新着記事

2020.08.08

痛みの出かたで、病気をある程度判断することができる。

 前回は出血によってある程度病気が判断できることをお話しました。今回は痛みの具合でどんな病気であるかを判断するかについてお話します。

 肛門の病気の痛みのでかた。

 肛門の病気で痛みが出る場合は、大きく5つの病気があります。

①肛門周囲膿瘍
 肛門周囲膿瘍:急に肛門が腫れあがり痛みが出る病気です。男性に多く、下痢をした後に起きることが多い傾向にあります。できる場所は肛門の後ろ側、背中の方にできることが多いです。肛門全体が腫れあがることがあります。膿瘍を形成するので、深い部分に膿が溜まると38度以上の熱が出ることもあります。

②裂肛
 裂肛:便秘や下痢などで肛門上皮という皮膚の部分に傷がついて痛みが出る病気です。排便時に痛みを感じ、裂肛が悪化してくると、排便時だけでなく排便後も痛みが持続して、その時間が段々長くなることもあります。

③血栓性外痔核
 血栓性外痔核:肛門の外側に血栓(血豆)が詰まって急に痛くなる病気です。血栓が詰まるので、肛門に豆のようなものが急に出来て触ると少し懲り頃硬さを感じることがあります。血栓が詰まって腫れて痛いので、時間と共に腫れが引いて、血栓性外痔核の場合は日にちが経つにつれて、腫れが引き、痛みは軽減してきます。このことが肛門周囲膿瘍と違うところです。肛門周囲膿瘍は段々膿が溜まり広がっていくので破けて膿が出ない限り痛みはどんどん強くなっていきます。

④内痔核
 内痔核に血栓が詰まった嵌頓痔核:これは基本に内痔核があります。排便時に痛みなく出血したり排便時に内痔核が肛門の外に出るなど内痔核の症状があります。その内痔核に血栓が詰まって腫れて痛くなる病気です。

⑤肛囲皮膚炎
 肛囲皮膚炎によっても痛みが出ることがあります。肛囲皮膚炎は清潔にしようと思い、入浴時に石鹸でタオルで一生懸命ゴシゴシ洗ったり、排便後にトイレットペーパーでゴシゴシ強く拭いたりしてもなることがあります。また最近では洗浄便座の洗浄が強く洗いすぎて肛門に傷を付けたり、直接洗浄の水が肛門に当たると、その水は直腸内に入っていきます。その入った水は後から出てきて、肛門が汚れてしまったり、痒くなったりします。肛囲皮膚炎は最初は痒みがありますが、皮膚炎がこじれてくると痒痛いから痛みへと変わっていくことがあります。また皮膚炎ではありませんが、肛門にヘルペスが出来ることもあります。水泡のような皮疹ができ、ピリピリする痛みから段々痛みが強くなっていきます。
 このように肛門に痛みの出る病気はその病気によってさまざまな痛みかたをします。

  肛門の病気以外での痛みの出る病気

さて、直腸や肛門の良性疾患以外に痛みが出ることもあります。

①直腸癌
 直腸癌がかなり進行して、粘膜を超え筋肉にまで癌が広がっていくと直腸癌でも痛みが出ることがあります。この場合は排便の具合が悪かったり前回お話したような出血があることがあります。

②肛門癌
 肛門癌で痛みを認めることがあります。肛門に癌が出来て硬い潰瘍状になります。肛門癌はとても痛い病気です。これは一目でわかるのですが、患者さんは痔が外に出たままになったと間違える方もいます。でも進行するととても痛い病気です。

 このように前回お話した出血の仕方や、痛みの状態によってある程度どのような病気があるかを判断することが出来ます。

 

 

2020.08.08

出血の仕方で、ある程度病気が判断できる。

 8月も一週間が終わり3連休から始まるお盆の時期になりました。今年はいつもと違ったお盆になるんだろうなあと思います。これまでお盆休みに帰省していた人たちも帰省を控える方が増えるのかなあと思います。
 新型コロナウイルスの感染拡大で、いろんな人たちとの距離、大切な人たちとの距離がどんどん離れていってしまうような気がします。また、感染防止を考えると、相手を疑う、自分自身も疑う。そんなマイナスの考えが前面に出てしまう。私たちはより強く相手を思いやる優しさを強く持たなければならないんだと思います。

 さて、今回は、「症状によって自分である程度病気を判断できませんか?」という質問を受けました。そこでまず、病気によってどんな出血をするのかを病気ごとにお話したいと思います。

痔など肛門の病気からの出血

 排便時の出血では、肛門の病気の場合は、便が通るときに傷がついての出血です。ですから、出血は鮮やかな赤色の新鮮血です。出血の仕方はいろいろです。排便時にポタポタ血が落ちたり、気が付いたら便器が真っ赤になったり。排便後拭いたときトイレットペーパーに血が付いたりします。でも便が通るときに傷がついての出血なので、新鮮血です。傷がつく場所、症状である程度肛門の病気は解ります。

①内痔核
 内痔核(いぼ痔)の場合は、内痔核は痛みの感じない直腸粘膜にできる静脈瘤です。ですから、排便時に痛みなく出血します。出血の仕方は、排便後に拭いたときに血が付いたり、ポタポタ便器に血が落ちたり、排便後気が付いたら便器が真っ赤になっているなどです。内痔核が大きく手術が必要な程度になると、シャーと音がしたり、血が飛び散ることがあります。

②裂肛
 裂肛(切れ痔)の場合は、肛門上皮という皮膚の部分が切れる病気なので、必ず排便時に痛みがあります。排便時に痛みがあって、拭いたら血が付いていたり、便に血が付いている場合は裂肛の場合が多いです。傷のつき具合で出血の仕方も違うので、裂肛の場合でも、ポタポタ血が落ちたり、便器が真っ赤になっていることもあります。でも裂肛の場合は必ず痛みが伴います。

③血栓性外痔核
 血栓性外痔核の場合も出血することがあります。血栓性外痔核は肛門の外側の静脈に血栓が詰まって急に腫れて痛くなる病気です。基本は自然に溶けて吸収されて治っていきますが、場合によっては血豆が破けて血が出ることがあります。この場合は血豆が破けての出血なので、下着に常に血が付く症状になります。また、破けて血が出ることで痛みは楽になります。

④肛門周囲膿瘍
 肛門周囲膿瘍や痔瘻の場合も血が付くことがあります。肛門周囲膿瘍は肛門腺に細菌感染して化膿して膿が溜まり広がる病気です。医療機関で石化して排膿をしますが、場合によっては自然に破けて膿が出ることもあります。この場合は膿を伴った出血です。破けて膿が出ることで痛みはスッと楽になります。痔瘻の場合は、肛門周囲膿瘍の既往があって、破けて膿が出たところが痔瘻の出口になって、時々その出口から血膿が出ることがあります。

大腸や直腸などに病気があって出血する場合。

①大腸癌、直腸癌
 大腸癌、直腸癌の場合は、新鮮血というよりは癌からの出血がしばらく大腸や直腸に残っていてそれが排便時に出てくることになります。ですから出血した血はしばらく時間が経つと酸化されて黒くなってきます。ですから新鮮血ではなく、黒くドロッとした血の便や、血の下痢状になって排便時に出てきます。癌からの出血の量が多いと血の下痢状になって排便時に出てきます。ただ、直腸がなどから目に見える出血をする場合は出血以外に症状が出ます。便が出にくい、便意が常にあって、トイレに行っても少しづつしか便が出なくて、何回も何回も便がしたくなりスッキリしないなどの症状や腹痛や腹部膨満感等のお腹の症状があります。

②大腸憩室炎、曲悦清大腸炎
 大腸憩室炎や虚血性大腸炎の場合は出血した血がある程度塊、下痢状になって出てきます。頻回の下痢となることが多いです。下痢だと思ってトイレに行って出してみると下痢状に血が出るといった症状です。腹痛を伴うことがあります。

③潰瘍性大腸炎、クローン病
 潰瘍性大腸炎やクローン病ではやはり下痢状の出血です。また粘液なども多く出るようになります。また渋り腹と言って常に便意があって出してもちょっとしか便が出ない、その時出血や粘膜が伴うといったような感じで出血します。

 出血をとってもそれぞれの病気である程度特徴的な出血をします。
 次回は、痛みに関して病気によっての違いをお話したいと思います。

2020.08.06

被爆75年、核兵器のない世界を求めて!

 今日、86日は広島に原爆が投下されて75年を迎えます。広島では平和記念公園で原爆死没者慰霊式・平和祈念式」が営まれました。私たち国民の核兵器廃絶の願いが込められた1日です。世界で唯一の被爆国である日本。核兵器禁止条約への署名・批准を私たちはしっかりと国に求めていかなければなりません。

 核兵器廃絶に向けての画期的な出来事が3年前の2017年の7月におきました。 それは、77日に国連で「核兵器の禁止に関する条約」が採択されたことです。122か国の賛成で採択されました。
 条約の前文には、「核兵器使用の犠牲者(ヒバクシャ)と核実験の影響を被った被災者の受け入れがたい苦悩と被害に留意し」という一節が明記されました。国連での採択の結果をみると確実に核兵器廃絶への時は刻まれていると思います。

 この時の条約で具体的に何を禁止したかですが、核兵器禁止条約は前文と全21条から成り立っています。第1条で、核兵器にかかわる主要な活動のほとんどを明確に非合法化しています。そして、第6条 被害者に対する支援及び環境の修復という条文があります。
 その1項に「締約国は、自国の管轄下において核兵器の使用または実験によって影響を受けた個人に関して、適応可能な国際人道法及び国際人権法に従って、差別することなく、医療、機能回復訓練及び心理的支援を含む年齢及び性別に配慮した支援を十分に提供し、その社会的かつ経済的な包摂を提供する。」とあります。
 日本がこの条約に参加すれば、広島・長崎の被爆者への援護施策を手厚く行うことが条約上の義務として国際的に求められることになります。

 こういった国際的な核兵器廃絶の流れのなかで残念なことに、唯一被爆国である日本の日本政府の対応は「我々はこの条約の構想に反対である。だから会議には参加しない」と発言して会議の場から退席してしまいました。しかし、この会議では、日本政府が退席した後の席は空席として残され、
 そこに「折り鶴」がずっと置かれていました。その折り鶴には「Wish you were here」(あなたがここにいてほしい)とかかれていました。

 唯一被爆国である日本政府の姿勢として、別所浩郎国連大使は、交渉会議に参加せず禁止条約採択をうけて、「署名することはない」と発言しています。
 以前、長崎での「原爆の日」に被爆者の方が、安倍総理に「あなたはどこの国の総理ですか?」と問うたことに象徴されるように、私たち国民の核兵器廃絶への願いと日本政府の意識には大きな隔たりがあると思います。私たち国民の方が先を歩んでいます。
 日本政府を条約に参加させるためには、国内で核兵器禁止条約参加の声を圧倒的な声とし、政府、議会に迫ることが必要です。
 今年8月に開催された原水爆禁止2020年世界大会はオンラインで開催されます。新型コロナウイルス感染拡大等、社会がどんな状況にあっても、私たちは核兵器廃絶にむけての運動を進めていかなければならないと思います。

 さて以前にも紹介したことがありますが、私の父は、広島に原爆が投下された時、江田島の海軍兵学校にいました。ここでの状況を父はこう綴っています。

「午前815分。手洗いに向かって歩いていた時、一瞬、何かがピカッとひかりました。さほど気にも止めず10歩程歩いたでしょうか?ドーンという大音響、爆風のため、12歩後退、校舎の壁のモルタルがバラバラッと落ちました。あわを食ってもぐりこんだ防空壕の外で「見ろ!見ろ!見ろ!」と逃げ遅れた連中が騒いでいるのでおっかなびっくり、防空壕を出てみると、古鷹山(ふるたかやま)より高く、高く、天然現象と思える入道雲が、モクモク、モクモク、上へ上へと成長していくのです。その雲の下でこの世の地獄が現出しているとはつゆ知らず「ガスタンクの爆発」が当時17歳で海軍兵学校の最下級生であった私が考える事の出来た、最大の爆発でした。」

 今から思うと残念ですが、私は生前父と広島に原爆が投下された時の状況やその後の悲惨な広島に関して全く話す機会はありませんでした。ですから、私は、父がその時のことを思い出して書いた文章をみてその時の父の思いを想像するしかありません。
 直接被爆された方の体験を聞くことは今後段々難しくなっていくと思います。でも被爆された方々のその経験をこれからもしっかり引き継いで、後世に伝えていく義務が私たちにはあると思います。

 新型コロナウイルスと違い、核兵器は私たち人間が自らが生み出した非人道的兵器です。であるのであれば、必ず私たち自身の手で、世界から核兵器を全て廃絶することは可能です。
 私たちは世界から核兵器がなくなり、核の脅威のない平和な世界への道をしっかりと歩んでいかなければなりません。

 

2020.08.02

新型コロナウイルスより怖い「心を蝕むウイルス」の感染拡大

 長かった梅雨がようやく明け、8月に入り一気に夏本番。暑い日が厳しくなりました。
 今年の夏はいつもとは違う「夏」を私たちは経験し、過ごさなければなりません。
 新型コロナウイルスの感染が再拡大している中、私たちは一人一人基本的な感染予防をしていかなければなりません。マスクに関しても、熱中症に注意しながら、必要に応じて外すなどして調整していかなければなりません。

 新型コロナウイルスの感染拡大以上に私たちが脅威を憶え、そして危惧することは新型コロナウイルス感染拡大と共に、「心を蝕むウイルス」の感染拡大です。
 「自粛警察」と呼ばれる恫喝行為の拡大。一方新型コロナウイルスに感染した人たちに対する誹謗・中傷。感染した人たちを悪者扱いにしてしまう。県境をまたいで従事する人たちやその子供たちへの差別、そして医療従事者への差別など、新型コロナウイルスの感染拡大と同様、あるいはそれ以上の社会的な脅威と言わなければなりません。私たちはこの「心を蝕むウイルス」の感染拡大を広げてはいけません。収束に向けて私たち一人一人が取り組んでいかなければなりません。この「心を蝕むウイルス」は私たちの力で収束させることが出来ます。

 感染を防止することを一番に考えた場合、どうしても感染しないためには相手を疑う、そして自分自身を疑う。「相手を、そして自分を疑う気持ち」が大きく心を占めてしまいます。そのことが大きく自分を支配してしまうと、相手に対しての優しさがどんどん失われてしまいます。感染してしまった人には今以上の優しさを注ぐことを忘れてしまうと、自分自身がどんどん壊れてしまっていきます。「心を蝕むウイルス」に対しては「相手を包み込む優しさ」という抗体で感染をブロックしていかなければなりません。

 私たちの不安はやはり新型コロナウイルスはどうゆうものなのか。感染してしまった場合はどうなってしまうのか。など私たちの不安を取り除く情報が全く国や自治体から発信されていないことにあると思います。ニュースを見れば、「感染者数が何人、過去最高の発生者数だ。」とか、「自粛要請をする。」、「食事は2時間」、「5人以上の会食は自粛する。」などの情報は流れていますが、そのことも大事ですが、わからないことがまだまだ多いのだと思いますが、私たちの不安にしっかり答え、正しい情報を国や自治体がしっかり伝える姿勢もほしいと思います。例えば、親が感染し、子どもは感染していない。そんな時親が入院、隔離された場合は子供はどうなるのか?子供の生活や面倒は行政がしっかり守り保障してくれるのか。家庭内に介護される高齢者がいて、介護している人が感染して入院、隔離された場合に、その介護を受けていた人の生活はどうなるのか。また一人暮らしの方が感染を起こし、自宅待機になった場合、都会なら宅配によって食事は摂れますが、そういう体制がない場所では外出することもできず、その人の食事はどうするのか。本当に身近な、そして一番大切な問題が多くあります。
 また新型コロナウイルスに感染した場合、周りの目はどうなのか、誹謗中傷を受けてしまうのか。そういった場合、今いる場所で暮らし続けられるのか、等私たちを取り巻く不安は多く、そのことに押しつぶされかねません。こういった私たちの不安に国や行政はしっかり耳を傾け、寄り添い、支え共に新型コロナウイルスが収束するまで戦う姿勢を見せて欲しいと思います。

 新型コロナウイルスの感染以上に「心を蝕むウイルス」の感染拡大が本当に心配です。私たちの力で、この「心を蝕むウイルス」の撲滅に向けて一人一人できることを取り組んでいかなければなりません。

2020.07.31

肛門ポリープってなに?悪性なの?良性なの?

 さて、今回は肛門ポリープに関してお話したいと思います。
 肛門ポリープは裂肛(切れ痔)などによく合併します。排便時に肛門上皮が切れてしまうのが裂肛ですが、切れたり治ったりすることを繰り返すことによって肛門ポリープが出来てきます。また内痔核にも一緒にできることがあります。この場合も内痔核が腫れたり治まったりすることでできてきます。
 ではどうして肛門ポリープが出来るかをお話します。

 肛門の出口から、約23㎝まで肛門上皮と言って皮膚の部分があります。その奥が直腸になります。この肛門と直腸との境目に歯状線という部分があります。見た目が歯の様に見えるので歯状線と言います。歯状線の部分には細長い凸凹した部分があります。これを肛門乳頭と言います。移行上皮と言って普通の皮膚とは少し違うものでできている肛門乳頭にできる炎症性・線維性に肥厚した肛門乳頭を肛門ポリープと言います。

 原因としては下痢や便秘などを繰り返すことで裂肛や内痔核などが発生して、その慢性的な刺激によって炎症を起こし、線維化を起こし肥厚して大きくなりポリープになっていきます。でも肛門ポリープは大腸や直腸などの粘膜にできるポリープとは違います。したがって癌化することは有りません。ちょっと違いますが「ペンだこ」の様に慢性の刺激炎症によって起きる炎症性のポリープです。
 悪性化しないのですが、慢性の刺激や炎症が続くことで段々大きくなっていくことがあります。したがって肛門ポリープの大きさはさまざまです。肛門乳頭が少し大きくなったような米粒大のものから、親指大まで様々です。形も色々で、えのきだけのようなポリープもあれば、なめたけのような大きさのものもあります。また、柔らかいもののあれば、炎症が繰り返すことで硬くなったポリープもあります。

 症状としては肛門ポリープだけではポリープが大きくなって、排便時に肛門の外側に出てくるようにならない限り、肛門ポリープ単独の症状はあまりありません。
 裂肛に合併するときは裂肛の症状が主体で、排便時の痛みや出血があります。肛門鏡などで観察すると裂肛による慢性の炎症で肛門ポリープを合併していることがあります。
 また、内痔核が腫れたり治まったりすることで炎症を起こし肛門ポリープが出来てきます。この時も肛門ポリープ単独の症状はなく、内痔核の症状、排便時の出血や違和感そして排便時の内痔核の脱出といった内痔核の症状が主体となります。ただ。内痔核が脱出してこなくても肛門ポリープだけが大きくなり排便時に外に出てくることもあります。また内痔核が排便時脱出してくることで初めて、肛門ポリープも出てきて内痔核以外に何か出てきているといった症状で肛門ポリープを確認することもあります。
 ですから、肛門ポリープだけですと大きくなって排便時に肛門の外側に出てくるようになって初めて肛門ポリープに気が付くことがほとんどです。
 でも肛門ポリープは癌化することは有りません。肛門の中だけにあって、排便時にも肛門の外に出てこず、症状がなければそのまま放置しておいて、全然大丈夫です。
 でも大きくなって排便時に肛門の外に肛門ポリープが出てくるようになった際は、スッキリ治そうと思うと肛門ポリープを切除しなければなりません。
 裂肛に肛門ポリープが合併した場合は、裂肛そのものが慢性化していて裂肛根治術が必要な場合が多いので、裂肛根治術の時に一緒に肛門ポリープを切除します。肛門ポリープが排便時に出てくることで裂肛そのものも治り難くなります。また内痔核の脱出と一緒に肛門ポリープも出てくるようでしたら痔核根治術をしながら一緒に肛門ポリープを切除します。
 内痔核の場合、ジオンによる四段階注射法での痔核硬化療法(ALTA療法)の適応である内痔核に肛門ポリープが合併していた場合は、肛門ポリープは切除して、内痔核に対してはALTA療法を行うといった方法で治すこともあります。

 肛門ポリープだけが単独で排便時に肛門の外に出てくることもあります。その場合は、肛門ポリープの根元に局所麻酔をして肛門ポリープを切除することがあります。この時は入院での手術ではなく、外来での手術になります。肛門ポリープだけの切除ですと、術後や排便時の痛みはほとんどありません。手術を行った後は710日間後に受診していただき、痛みや出血など症状がなく、スッキリしていれば治療は終了となります。比較的簡単に終わります。
 肛門ポリープ、放っておいても癌化しない、悪いものではないと言っても、大きくなって排便時に肛門の外に出てくるようになると、やはり嫌な症状になります。そういった場合は手術で肛門ポリープを切除してスッキリするといいと思います。
 気になる症状があれば、受診して下さいね。

2020.07.31

7月が終わり、新型コロナウイルスの感染再拡大のなかで

 7月も終わり、そして梅雨明けにもなりました。そのような中、新型コロナウイルスの感染が再度拡大してきています。そのような中、今、感じることをお話したいと思います。

 緊急事態宣言後に、いったんは新型コロナウイルスの感染者数は減少しました。でも完全に収束ことはできませんでした。現在、緊急事態宣言時以上に感染者が増加しています。
 このことは、「自粛」だけでは新型コロナウイルスの感染を完全に収束することはできないということが明らかになったのだと思います。やはり、感染拡大を収束させるには、新型コロナウイルスに対して安全に使える治療薬、そして予防策や症状を軽減させるためのワクチンが副作用なく接種できるようにならなければなりません。そしてこのことで新型コロナウイルスの感染拡大を収束させることが出来るのだと思います。
 でも、自粛をするな、自由に活動してもいいということではありません。私たち一人一人が出来る感染対策を今以上にしっかり取り組んでいかなければなりません。
 治療薬やワクチンが実用化されるまでに私たちが今できることは、新型頃のウイルスの感染拡大のスピードを抑え、そして重傷者をふやすことな私たち皆の命を守ることです。

 このためには早期に新型コロナウイルス感染者を診断して早期に治療に移行できる体制をとることだと思います。PCR検査の拡充もその一つです。それには、PCR検査に関わる医師やなどのスタッフや検査技師の確保増員。そして検体を運ぶ人たちの確保も必要でしょう。またその結果を迅速に報告する体制も必要です。そして、新型コロナウイルス感染患者を受け入れる側の医療従事者には十分なマスクや防護服、フェイスシールドなどの十分な装備が滞りなく供給できる体制が担保されることで医療従事者も新型コロナウイルスに立ち向かえるのだと思います。
 現時点の病院等の医療機関では、345月で、新型コロナウイルスの感染患者さん以外で延期になっていた患者さんの手術などの治療に当たっているため、今の時点で新たに新型コロナウイルスの感染患者を受け入れることには後ろ向きなのだと思います。一端、一般患者さんの受け入れ体制の移行した病院等では急に再度新型コロナウイルス受け入れ体制に戻すことは難しいのではないかと思います。そうすると、新型コロナウイルスの患者の入院、そして、それ以外の患者さんの治療を同時に、そしてこれまで通りに行っていくとなれば、新型コロナウイルの感染患者さんを受け入れる施設や体制を新たに増やさなければならないと思います。これは入院だけでなく、外来においても同じだと思います。やはり、発熱外来を持つ新規の公的外来医療機関、公的入院医療機関を作り新型コロナウイルス感染患者さんと、一般の患者さんを分けて治療できる体制が必要だと思います。

 また、保健所の機能拡大や、感染症に関しての保健所を支援する体制や新たな感染症対策に関しての行政機関の設置等も考えなければならないと思います。保健所は普段から感染症対策の中核機関であり、一端感染が拡大した際には最前線に立つ行政機関です。そのためにも保健所の設置個所を増やしたり、そこに従事する職員の増員も必要になると思います。これまでのような、いかに職員をリストラするか、また民間への委託を増やすかという政策から、行政が責任をもって市民の命や健康、そして暮らしを責任をもって行う体制へと政策を変換することが必要ではないでしょうか。また、新型コロナウイルスの感染者を早く見つけ、早く封じ込めていくには小さな地域での体制が必要かと思います。住宅地、オフィス街、歓楽街、等々、各地域によって全く抱えている問題が違います。またそこに住む人たちの人口構成なども地域地域でまったく違います。京都府、京都市と言った大きな地域での感染対策ではなく、各行政区単位、もしくはもっと小さな中学校区域単位などでの対策が必要になってくるのではないかと思います。そしてそこには医師がいる保健所と、地区医師会や地域の先生方との連携が大事になると思います。

2020.07.27

血栓性外痔核、「治りやすい」と「治り難い」との差

 本当はオリンピックが開催されていた4連休も終わり、新たな一週間が始まりました。京都は今日も雨ですが、そろそろ梅雨明けも近づいているようです。いよいよ暑さ厳しい夏が来ます。蝉の声も聴く様になり。夏本番だなあと思います。

 さて、今日は血栓性外痔核についてお話したいと思います。
 血栓性外痔核は肛門の外側の静脈叢に血栓が詰まって腫れて痛いというのが基本的です。でも血栓性外痔核と言っても様々な症状で患者さんは受診されます。例えば、「急に肛門が腫れてきて痛くなった!」と痛みが強く出る患者さんもいれば、「肛門に何かできて、痛くはないが異物感がある。」と痛みを訴えない患者さんもいます。血栓性外痔核も痛みが強いこともあれば、痛みがなく、ただ違和感や異物感だけのこともあります。
 また、「拭いても拭いても血が止まらない!」とびっくりされてくる患者さんもいます。
 このように血栓性外痔核でも様々な症状で患者さんは受診されます。
 また血栓性外痔核の治り方にも違いがあります。痛みは強いが直ぐに治まってしまう血栓性外痔核があると思えば、痛くはないが全然治らず、いつまでたっても違和感や異物感がある血栓性外痔核もあります。
 どうして、血栓性外痔核でも痛みがあったりなかったり、早く治ったり治らなかったりするのかに関して、私の思うところをお話します。

 このように同じ血栓性外痔核でも痛みや治り方に差が出るのは、どのような血栓がどう詰まったかによるのだと思います。
 例えば、痛みが強く腫れも強い血栓性外痔核は、小さな血栓が多数詰まって、そのことによって腫れが強いタイプの血栓性外痔核です。ただ、一つ一つの血栓が小さいので、消炎鎮痛剤の座薬を使うことで腫れは引いてきます。腫れているのが痛いので、腫れが引くと痛みはスッと楽になってきます。そして詰まっている血栓一つ一つは小さいので溶けて体に吸収するまでの期間はやはり短くなります。こういったタイプは痛みは強いですが、早く治る血栓性外痔核です。
 これに対して比較的大きな血栓が一つブチっと詰まると、それほど腫れは強くないので、痛みは楽です。でも大きな血栓が一つ詰まるので、違和感や異物感は強くなります。痛みは少ないのですが、血栓の一つが大きいので、溶けて体に吸収するまでにはどうしても時間がかかってしまいます。こういったタイプの血栓性外痔核が痛みはないがなかなか治らないタイプです。

 また、「出血が止まらない!」ということで受診されるタイプの血栓性外痔核は、比較的浅いところに血栓が詰まって、直ぐにその表面が破けてしまうタイプの血栓性外痔核です。
 詰まった時は痛みがあるのですが、破けて出血はしますが、破けることで痛みはスッと楽になります。痛みはキンキンに腫れているのが痛みの原因です。破けることでそのキンキンさがなくなり、血は付きますが、痛みは楽になります。
 また出血に関しても詰まった血栓が出てきているだけなので、傷口から絶えず出血しているわけではありません。かえって溶けて体に吸収される以上に破けたところから血栓が出ていくので、血が出てびっくりはしますが、こういったタイプも早く治ります。
 このように血栓性外痔核と言っても痛みや腫れだけでなく、様々な症状があり、血栓性外痔核のタイプによって治り方も違ってきます。

 でも血栓性外痔核の治療の基本は痛みをとることで、血栓は自然に吸収され治っていきます。でも血栓が大きかったり痛みが強い場合は、その症状を早く取るという目的で手術をすることもあります。
 自分の症状そして血栓性外痔核の性状を診て、一番いい治療法を選択して治していくのがいいと思います。

2020.07.26

妊娠中も大抵の治療が可能です

 7月も今週で終わります。京都は728日の火曜日頃に梅雨明け、そして本格的な夏を迎えます。
 今年の夏は、新型コロナウイルスの影響で、これまでとは違う夏を過ごすことになると思います。五山の送り火も縮小され、また各地の花火大会も中止。海水浴場の海の家などもなくなるところもあるようです。これまで過ごしてきた「夏」ではない「夏」を経験することになります。子供たちが楽しみにしている海水浴やプール。どうなるのかなあと思います。

 また夏と言えばビヤガーデン。今年はどうなるんだろう。密を避けながらのビヤガーデンになるんでしょうか。仲間たちと一緒に楽しくビールを飲む。今年は少し趣を変えた方法で夏のビールを楽しむことになるのでしょうね。
 でも、ある程度気分転換して、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込むこともしなければ、ストレスばかり溜まってしまいます。なかなか難しいですが、新型コロナウイルスの感染に注意をしながらストレスも上手く解消していかなければなりませんね。

 さて、7月に二人の妊婦さんの手術をしました。妊娠中は何も治療ができないと思っている方が多いと思います。そんなことは有りません。肛門の病気では、たいていの治療を受けることが出来ます。
 軟膏などの治療はおなかの赤ちゃんには影響はありません。またどうしても妊娠中は便秘傾向になります。そういった場合には緩下剤で便の調整をすることもできます。渡邉医院では便秘の際はまずは酸化マグネシウムを内服してもらっています。この酸化マグネシウムもおなかの赤ちゃんには影響はありません。どうしても妊娠中は便秘傾向になり、これが原因で裂肛(切れ痔)や内痔核(いぼ痔)になります。これらの病気は緩下剤などで便の調整をして、軟膏をつけることで大抵の場合は良くなっていきます。

 また、内痔核が悪くなり、排便時の出血が多くなってきたり、排便時に少し内痔核が肛門外に出てくるようになっても、パオスクレー(5%フェノール・アーモンドオイル)による痔核硬化療法で、出血は治まりますし、第Ⅱ度程度の排便時に肛門の外に内痔核が出る場合も出なくなります。このようにパオスクレーによる痔核硬化療法も妊娠中でも可能です。
 ただ、第Ⅲ度以上の内痔核の治療に使うジオンという痔核硬化剤は妊娠中には使うことはできません。
 さて、妊娠中に急にお尻の具合が悪くなり痛みが出てくることがあります。一つは血栓性外痔核と言って、血栓(血豆)が肛門の外側に急に詰まって腫れて痛みが出る病気です。
 もう一つは内痔核に血栓が詰まって急に痛くなることがあります。そして血栓が詰まった内痔核が肛門の外に出たままの状態、嵌頓痔核になることもあります。
 そしてもう一つ痛みが出る病気に肛門周囲膿瘍があります。

 どうしても妊娠中は血栓ができやすくなるのかなあと思います。血栓が詰まって腫れると痛みが出ます。でも血栓性外痔核は基本的には自然に腫れが引いて痛みが楽になり、血栓は自然に体に吸収され治っていきます。でもあまり痛みが強い場合は局所麻酔をして血栓を摘出するとスッと楽になります。
 また内痔核に血栓が詰まってしまった場合も、血栓は自然に吸収されていくので、血栓が詰まった前の状態にまでは徐々に戻っていきます。ただ、内痔核に血栓が詰まって肛門の外に出たままになった嵌頓痔核はやはり痛みが強いです。この場合も局所麻酔で痔核根治術をすることがあります。
 また、血栓が詰まってはいなくても、排便時に内痔核が出てきて戻しにくくなったり、場合によっては出たままの状態になってしまうこともあります。この場合も痔核根治術をすることがあります。

 さて、肛門周囲膿瘍の場合は、そのままだと膿がどんどん広がり、痛みが強くなて行きます。肛門周囲膿瘍の場合は直ぐに局所麻酔をして切開して膿を出すとすぐにスッと楽になります。

 このように妊娠中も病気の種類や病状によっては局所麻酔で手術をして治すことが可能です。
 痛みが強く、それをずっと我慢している。そのストレスもお腹の赤ちゃんには悪い影響を与えてしまう可能性があるのではないかと思います。痛みの強い場合はしっかり手術をして治す方がいいと思います。
 また渡邉医院では手術の際に使う局所麻酔は塩酸プロカインです。手術に使う麻酔の量はそれほど多いものではありません。局所麻酔がお腹の赤ちゃんに与える影響はまずないと思って下さいね。また痛み止めも妊娠中に使える内服薬もあります。そのお薬を術後痛い時に内服してもらっています。
 ただ、手術をすることで、今ある痛みが取れてくれます。内痔核の手術の場合は術後排便時の痛みはありますが、その排便時の痛みも1週間ほどするとスッと楽になります。

 どうしても妊娠中は何の治療もできない。ただ我慢するだけしかないと思っている方が多いかなあと思います。そんなことは有りません。心配なこと、不安なことがあれば遠慮なくそうだんして下さいね。

2020.07.25

学会のもう一つの楽しみ

 去年の日本大腸肛門病学会は、台風の影響で途中で中止になってしまいました。発表を予定していたのですが、発表することなく、学会は終わってしまいました。そして、今年は今のところ、11月に横浜で開催が予定されていますが、新型コロナウイルスの感染が再度拡大している中、開催できるかどうか心配されるところです。
 学会では、多くの先生の研究成果や経験等、日々の診療にとても役に立つ発表を聞くことができ、とても有意義な時間を持つことが出来ます。そして実際、学会で学んだことを日々の診療に応用して生かしていったり、また学会で得たことをヒントに、さらなるステップアップに必要な研究や調査に関してのデザインを作ることが出来ます。
 このように日々の診療に役立ち、今後の進歩のために大事な勉強の場です。そして、もう一つ学会で面白いのは、医師以外の方々の講演会が企画されることです。
 前回10年前の学会の内容を紹介しましたが、この浜松で開催された学会では、スズキ自動車のスズキ株式会社代表取締役会長兼社長の鈴木修氏の特別講演がありました。「俺は、中小企業のおやじ」という題での講演でした。この時の内容が面白かったので、紹介しますね。
 10年前に私が書いた記事を一部転記しているので、鈴木氏の年齢等はその当時の時として読んで下さい。

 鈴木氏は1930130日生まれで、80歳。壇上に立たれた鈴木氏は80歳とは思えない若々しさを感じました。70歳で会長に就任された際に、「かつては人生50年といっていたが、いまの平均寿命は70歳超。ならば年齢も7掛けで考えるべきではないか。70歳といっても7掛けすれば49歳。だから退くのではなく昇格した。まだまだ現役でバリバリやっていく。(2000年)」と著書に書かれたそうです。こんなこともあって、講演会の紹介では80歳に7掛けをして56歳と紹介されました。講演の内容は如何にして経費を削減して経営を立て直すかを面白く講演されました。少し内容を紹介します。

 まずは「三歩で歩くところを二歩にする努力をする。」でした。部品を取り付けているときは仕事をしているとき。部品をとりにいている間は仕事をしているのではない。部品を取りにいく時間を短縮することで増収につながる。

 また、筆記用具を赤と黒のボールペン二本にして、鉛筆や消しゴムを使わないようにしたという。消しゴムを使うのは鉛筆を使うからだ。それならいっそ両方ともやめて報告書などすべてボールペンで書くようにした。部下から「ボールペンで間違ったらどうしましょう?」の問いに、「二本線を引いて修正印をおしなさい。」と。さらに「そんなことをしたら報告書がきたなくなります。」に対して、「きたない報告書を書くようなやつは、まとめる能力が疑われる。」と。こんなやりとりがあって、鉛筆や消しゴムの経費が節約でいた以外に、報告書もきれいになったとのことでした。

 他にもいろいろ話をされました。政治家が「検討します。」は「何もしない。」ということ。「前向きに検討し善処します。」は「少し時間をおいて何もしない。」ということ。政治がなにもしてくれないのなら、自分たちで頑張るしかないとも力強く話してられました。

 やはり大きな企業になるとちょとしたことが経費の削減になり、またそのために苦労、努力しているのだなと感心しました。

 企業の経費節減の方法がすべて医療にあてはまるとは思いません。でも参考にできるところは参考にしながらやっていこうと感じました。

 今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、多くの学会や研究会、懇談会が中止になっています。今年の日本大腸肛門病学会は1113日、14日の2日間。横浜のパシフィコ横浜ノースで開催が予定されています。今年のテーマは「挑戦と検証(Challenge and Inspection)です。

 無事開催されることを期待しています。

2020.07.25

便が漏れる、下着が汚れる

  いつの間にか便が出てしまっていて、下着を汚してしまったり、我慢しきれずに漏れてしまったりするということで受診される患者さんが多くなってきたような気がします。とても嫌な症状なのに誰にも相談できない。家族の人にも相談できず一人で悩でいる。そんな患者さんがいらっしゃいます。
 「外出した時に勝手に出てしまったらどうしよう。」とか、「間に合わなかったらどうしよう。」などを心配され、外出することもできずに身体的だけでなく、精神的にも大きな負担になってしまっている患者さんがいます。
 肛門の病気もなかなか敷居が高くて受診しにくいなか、いつの間にか便が出てしまう、下着が汚れてしまうといった症状は、なかなか診察にも来にくいと思います。でも同じ症状で悩んでいる患者さんは多いと思います。

 こういったいつの間にか便が出てしまう、下着が汚れてしまうといった便失禁には大きく二つの要因があります。

便秘の場合

 一つ目は、直腸に便が残ったままになっている場合です。
 直腸の中に便が残ったままになっていてスッキリ出ず、腹圧がかかったときに知らないうちに便が漏れてきたり、硬い便が直腸に残ったままになってしまい、その硬い便の隙間をどろどろの便が通り漏れ出てくるといった、便秘が原因の場合です。

下痢の場合

 二つ目は、下痢が我慢できない場合です。
 大腸の動きが過敏になりすぎ下痢状の便が我慢できずに出てしまう場合があります。

治療方法はそれぞれで違う。

 それぞれで治療方法は違ってきます。
 前者の場合は、緩下剤などを使ってスッキリ便が出るようにして、直腸内に便が残らないようにすることで症状が改善されます。また、下剤が正しく使われていない場合も起きることがあります。例えば、いつもダラダラ便が始終出てきてしまうと、便秘ではなく下痢だと思ってしまって、下痢止めを飲んでしまっている患者さんもいます。そうするとますます症状は悪化していってしまいます。
 また、直腸に便が詰まったままの状態ですとそれだけで肛門が痛くなってしまい、便が出せなくなってしまいます。スッキリ便が出るようにする必要があります。
 反対に、また便が詰まってしまったら苦しいから詰まらないようにしようと、下剤をたくさん飲んで、本当に下痢をしている患者さんもいます。気持ちはとてもわかるのですが、下痢も肛門にはよくありません。また下痢でも我慢できずに、勝手に出てきてしまうこともあります。やはり形があって柔らかな便がスッと出るように緩下剤を調整して正しく内服する必要があります。
 さて、後者の場合は、激しく大腸が動くことで下痢になってしまうことがあります。その時は、大腸の動きを整えたり、便の性状を柔らかく形のある便にする薬で改善することができます。また、脳と大腸には密接な関係があって、「また便が漏れたらどうしよう。」とか「我慢できなかったらどうしよう。」と思うことで大腸の動きが激しくなって、下痢が悪化してしまうことがあります。生活にリズムが狂ったり、ストレスによって大腸が激しく動くことで下痢になってしまいます。こういった場合は、内服薬を飲みながら、「具合よく便が出た。」、「いい便になってきた。」、「最近は便が漏れることが少なくなってきた。」といったポジティブな経験をすることでも大腸の動きが良くなり、便の状態が良くなっていくことがあります。

 また、肛門の筋肉を鍛える運動もあります。
 肛門を締める運動をするのですが、肛門をキュッ、キュッ、キュッと細かく絞めてもあまり鍛えられません。しばらくギュッと絞めたまま5秒ほど持続して緩める。またギュッと5秒ほど絞めては緩めるといった具合に、しばらくの間、持続して絞めるように10回ほどを繰り返し、2週間ほどすると段々肛門を締める筋肉は鍛えられます。
 こういった、いろんな治療法を組み合わせることで症状を改善することができます。なかなか受診しにくい悩みですが、意外と多くの方が悩まれている症状です。一度思い切って診察を受けることをお勧めします。悩みを話すことでも気持ちが楽になると思います。

 

1 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 92
075-441-4303 LINEで相談 痔の手術漫画 youtube twitter
一番上に戻る
一番上に戻る
痔の手術漫画LINEで相談0754414303
渡邉医院 痔のコラム お尻のことでお悩みの方 痔の手術専用NAVI ~監修:渡邉医院~渡邉医院の強み 女性のお尻のお悩みサイト

医院情報

院名 渡邉医院
住所 〒602-8462
京都府京都市上京区浄福寺通今出川下ル
竪亀屋町255
TEL 075-441-4303

診療時間

診療時間 日・祝
9:00~12:00

※術後の患者さんも緊急対応いたします。
※日曜日・祝日は休診です。
※△は手術日となります。
※第3土曜日は休診にさせていただきます。
※完全予約制ですので、必ずお電話して頂き、予約してからの受診をお願いいたします。
予約の電話受付は平日12:00-14:30です。