痔瘻の手術後、スッキリ治らない理由。
前回は痔瘻に対して痔瘻根治術を行う難しさについてお話しました。今回はそういった難しさを前提に、痔瘻根治術をした後、スッキリ治らない原因についてお話したいと思います。
原発巣、原発口の処理が不十分
まずスッキリ治りきらない一つの原因に、原発巣、原発口がしっかり処理して取り除けていない場合があります。原発口や原発巣が十分に取り除かれていなければ、途中まで傷は治っていきますが最後まで治りきらずに、また同じように痔瘻になってしまいます。
ではどうして原発巣や原発口を取り除けなかったのかです。まずは、瘻管の走行、二次口と原発口の位置関係が十分に確認できなかったところにあると思います。
肛門の後ろ側、時計でいう6時の方向に二次口がある場合は、原発口は6時の方向にあります。ただ。6時以外に二次口がある場合、例えば時計でいう3時や1時といった場所に二次口がある場合、原発口が3時や1時にあり、真直ぐな痔瘻の場合もあれば、6時の方向から肛門の周囲を回って、3時や1時の方向に瘻管が伸びている場合があります。こういった場合、瘻管の走行を確認せず、3時の二次口の原発口は3時だと思い手術をすると、原発巣や原発口が取り除くことが出来ずに治っていきません。
また6時に原発口があり、同じく6時に二次口がある、一見して6時の方向の真直ぐな痔瘻だと思っていたら、6時の原発口から少し深い部分に瘻管が進み、そこから二次口へと伸びている場合があります。この場合、深くすすんだ瘻管や原発巣を取り残してしまうと、これもまた傷は治っていきません。このように原発口、原発巣そしてそこから二次口へと延びる瘻管の走行をしっかり確認して手術をすすめていかなければなりません。
術後、治り難い傷になる
もう一つは、原発口や原発巣は十分に処理でき取り除いたにもかかわらずスッキリ治らないときです。
これは手術をしてできた傷に形などに原因がある場合です。痔瘻の瘻管は皮膚よりも深い部分を通っています。瘻管を摘出すると皮膚よりも深い傷になります。手術でできた傷の形がいいと、傷の深い部分から徐々に肉が盛り上がり、そして最後に皮膚が出来て治っていきます。これが傷の形や大きさによっては、傷の深い部分から徐々に盛り上がってくる前に表面の皮膚の部分が塞がってしまうことがあります。傷が盛り上がる前に皮膚に部分が塞がってしまうと、やはり治らなくなって再度痔瘻になってしまいます。
この場合は、術後傷の治りを見ていく際に、どうしても治りを悪くしている部分があれば、患者さんにその旨ををお話して、理解していただいて、治り良い傷に手なおししていかなければなりません。
このように痔瘻根治術をした後、治らなくなってしまう原因は原発口や原発巣の処理が不十分であったこと、また、術後に治り難い傷になってしまったことが原因に挙げられます。
前者は、痔瘻の診察をする際に原発口と二次口へと延びる瘻管がどのような走行化を確認すること。また手術の際にもう一度瘻管の走行を確認しながら手術をすすめること、特に二次口が6時以外にある場合は慎重に瘻管の走行を確認していくことが必要です。当初の診断と異なる場合があります。
また後者の場合は、1回の手術でスッキリ治したいですが、術後の傷の治り具合を診ながら、どうしても治りを悪くするような傷になっていくのであれは早めにその傷を修正していくことが大切だと思います。
その時はもう一度患者さんに侵襲を加えることになります。患者さんには今の傷の具合がどうなのか、どうしてスッキリ治っていかないのか、その原因などをしっかりお話して、理解をしていただいてもう一度傷を整えていく必要があります。スッキリ治っていかない原因をしっかり患者さんにお話して、理解していただく。こういったところから信頼関係が生まれてくるのだと思います。
痔瘻の手術の難しいところ。
今日は痔瘻根治術の難しさと手術をしたあと、なかなかスッキリ治らない原因について2回に分けてお話したいと思います。
痔瘻はまずは肛門周囲膿瘍からことが始まります。肛門と直腸との間に肛門腺があり、ここに細菌感染を起こして膿瘍を形成していきます。これが肛門周囲膿瘍です。肛門周囲膿瘍になると、切開して膿を出す必要があります。自然に破けて膿が出ることもあります。
膿が出ると痛みはスッと楽になりますが、膿が出たところと原因となった部分との間に瘻管が出来ます。肛門周囲膿瘍で膿を出した後、約70%の人はその後何の症状も出ません。でも残り約30%の人は瘻管を通って膿が出たり治まったりします。このように膿が出るなどの何らかの症状が出ると、それが痔瘻です。痔瘻をスッキリ治すには痔瘻根治術必要になります。
痔瘻根治術を行った後、スッキリ治らない原因をお話する前に、痔瘻根治術の難しさをお話します。
痔瘻に対して痔瘻根治術を行うのに難しい点があります。一つは痔瘻はその人その人によって全く違うということです。
痔瘻には様々なタイプがある。
細菌感染を起こす部分は肛門腺です。肛門腺の部位はだれでも同じです。でも感染を起こして膿が広がっていく、その広がり方がその人その人によって違います。
膿が広がる部分が、皮膚の下を広がっていくもの、括約筋の浅い部分を広がっていくもの、括約筋の深い部分を広がっていくもの、またさらに深い坐骨直腸窩に広がっていくものなど、さまざまな広がりをしていきます。そういった肛門周囲膿瘍を切開して排膿した後、様々なタイプの痔瘻になっていきます。
また、化膿した原因(原発口)と膿を出した部分(二次口)との間にできる瘻管が真直ぐな痔瘻もあれば、肛門の後方から左右に瘻管が肛門を取り巻く様に伸びていくタイプもあります。また、原発口から浅い部分を真直ぐに二次口に伸びる瘻管もあれば、原発口から深い部分に進んでから二次口に瘻管が伸びてくる痔瘻もあります。
また肛門から二次口までの距離もその人その人によって違います。肛門からすぐのところに二次口がある痔瘻だったり、二次口が肛門よりかなり離れた部分にある痔瘻もあります。したがって、手術するときも、どういったタイプの痔瘻なのか、瘻管がどのように伸びているのかなどをしっかり診断したり、手術の際に瘻管の走行を確認しながら手術をすすめていかなければなりません。
というのも原発口と原発巣を取り残したり、処置が不十分な場合、傷が治っていきません。このようにその人その人によって痔瘻は違うということが痔瘻根治術を行う時の難しさの一つの要因になります。
相反する「根治性」と「機能温存」
もう一つ難しい点は、痔瘻根治術をする際にどうしても括約筋を傷つけてしまいます。このことは避けることはできません。再発しないように、しっかり手術をしようとするとどうしても括約筋の損傷が大きくなります。また肛門の機能を守って、温存しようと思うとどうしても十分に原発巣や原発口の処理が出来なくなる可能性があります。
痔瘻根治術をする際にこの「根治性」と「機能温存」という相反することに向き合わなければならないということです。
こういった痔瘻根治術を行う時の難しさを感じながら、常に手術をすすめています。
少し前置きが長くなってしまいました。こういった痔瘻根治術の難しさを前提に、痔瘻根治術を施行した後、スッキリ治らない原因を次回お話します。
肛囲皮膚炎、痒いのを掻かないでは無理。
今回は、肛囲皮膚炎に関してお話します。
最近、外来を受診する患者さんの中に「肛門が痒くて辛いです。」という主訴の方が何人か来られました。
痛いのも辛いですが、「痒い」もとても辛い症状です。その痒みも一日中痒いわけではありません。お風呂に入ったり、夜お布団に入って寝良いとするときに痒くなります。本当はとてもリラックスして気持ちよくなる時に痒みが出て辛かったり、またぐっすり眠れないということになってしまいます。これは皮膚炎があると、体が温まり、血管が拡張するときに痒みが出てきます。
痒いのを掻かないでは無理
「痒いけど、掻いてはいけない。」と皆さんは思います。そして思わず掻いてしまうと、「掻いてしまった。」と何か罪悪感を感じてしまうこともあります。そして一端痒くなって掻いてしまうとますます痒くなる。とっても辛い病気だと思います。「痒い時、掻いてはいけません。」と言われますが、私としてはこれは無理なことだと思います。痛いのはなんとか我慢できても、痒いのを掻くなはなかなか難しいです。寝ている間に無意識で掻いてしまうこともあります。ですから、早く「痒い」という症状をとってあげなければなりません。
皮膚炎は軟膏をつけると症状はとれ治っていきます。軟膏をつけると意外と早く痒みという症状は取れていきます。でも皮膚炎を悪くしてしまうことがあります。どうしても清潔にしなければという思いがありますが、その思いが強いほど皮膚炎になってしまいます。
肛囲皮膚炎の原因
一つ目は、お風呂に入った時に、石鹸でタオルでゴシゴシ洗うことです。しっかり洗って清潔にしようという思いがあると思います。また、皮膚炎で痒みがあるときはタオルでゴシゴシ洗うと気持ちはいいです。でもこれはかえって皮膚炎を悪くしてしまいます。気にはなると思いますが、お湯でサッと洗うぐらいにして下さい。
二つ目は、排便の後トイレットペーパーでゴシゴシ拭くことです。やはりきれいにしなければという思いで、トイレットペーパーでゴシゴシ拭くと、肛門に細かな傷がついて、そこに擦り込むことになってしまいます。あまり強くゴシゴシ拭かない方がいいです。
洗浄便座の洗浄で洗うのはいいと思います。ただあまり強い水圧で一生懸命に洗ってしまうと、かえって水圧で肛門に傷がついてしまったりします。また、洗浄の水が肛門に当たるとその水が直腸に入っていってしまいます。入った水はどうなるかというと、あとから出てきて、かえって汚れたり、そのことで皮膚がただれて痒くなってしまいます。洗浄してもいいのですが、水圧は緩く、サッと洗ってトイレットペーパーで軽く拭く様にして下さい。
三つめは、きれいにしなければ、清潔にしなければといって、消毒液で拭いたりアルコール綿で拭くなど、お薬を使って拭くことです。消毒液で拭くとかえって皮膚の具合は悪くなり、皮膚炎はこじれてしまいます。
四つ目は、排便の状態です。やはり肛門は便が出るところです。便の具合でも痒くなってしまうことがあります。下痢が続くと皮膚炎になることがあります。また便秘でスッキリ出ず、直腸に残ったままになっているときなども、肛門が汚れたりただれたりして痒くなってしまいます。スッキリ便を出すことも大事です。
こういったことが皮膚炎の原因にもなります。「これかなあ。」という原因があれば、まずはこの原因を取り除かなければ皮膚炎は治っていきません。自分の原因は何だろうと考えてその原因を取り除いて皮膚炎を治す軟膏を使ってみて下さい。
症状がなくなっても軟膏は塗り続けて。
次に軟膏をつけて皮膚炎を治して欲しいのですが、痒みなどの症状がとれた時点では軟膏をつけるのを止めないでください。どうしても痒いなどの症状がなくなると、「治った。」と思ってしまいます。でも症状がとれただけでは皮膚炎が治ったとは限りません。
というのは、皮膚炎は直ぐに症状が出ません。正常だった皮膚が何らかの原因で皮膚炎になっていきます。でもすぐには痒みなどの症状は出てきません。ある程度皮膚炎が悪くなって初めて痒いなどの症状が出ます。ですから、原因を気を付けて軟膏をつけていくと皮膚炎は治っていきますが、治りきる前に症状がとれてしまいます。
悪くなる時はある程度皮膚炎が悪くなってから症状がでますが、良くなる時は皮膚炎が治りきる前に、痒いなどの症状がとれてしまいます。
痒みなどの症状がとれた時が一番大事な時期です。痒みがとれ、症状がなくなり治ったかなあと思っても軟膏をつけ続けて、本当に皮膚炎が治りきるまで軟膏は付けて下さい。皮膚科の先生に聞くと、症状がなくなって、見た目に皮膚炎もなくなり、治ったと思ってからもしばらく軟膏を続けたほうがいいとアドバイスをいただいています。
「痒い!」という症状はとても辛い症状です。皮膚炎の原因はなにかを見つけて、それを止め、軟膏をしっかり治りきるまで塗り続けて下さいね。軟膏をつけると3~4日すると痒みは取れます。それからも面倒ですがつけ続けましょうね。
痔瘻って放っておいたらどんどん悪くなるの?
5月も残すところ今日1日です。緊急事態宣言は解除されましたがまだまだ新型コロナウイルスの感染が収束したわけではありません。感染させない、感染しないに心がけて日常の生活を取り戻していきたいと思います。
渡邉医院も緊急事態宣言に合わせて、スタッフの勤務の体勢など変えて対応してきましたが、6月1日からは通常通りの体勢で診療をしていきます。
さて、Twitterなどの相談のなかで、「痔瘻は放っておいたらどんどんわるくなるのですか?」という質問を受けることがあります。放っておくとどんどん痔瘻が悪化して、瘻管がどんどん広がり、膿の出る場所が増えていくと思っている方が多いようです。でもこの答えは、「肛門周囲膿瘍の時の様に腫れてきて痛みが強くなって、それを放っておくと悪くなりますよ。」です。痔瘻は再度腫れてきて痛みが出ることが無ければ膿が出るなどの症状があっても、痔瘻そのものは悪くなっていきません。
このことは、どうして痔瘻になるかを理解していただければ納得してもらえると思います。
痔瘻になるには、まず肛門周囲膿瘍から始まります。いきなり痔瘻にはなりません。
肛門周囲膿瘍は肛門の出口から約2~3センチほど奥まで肛門上皮という部分があります。ここまでを肛門と言います。そしてその奥が直腸です。この肛門と直腸との境目に肛門腺といって分泌液を分泌する腺があります。ここの感染から肛門周囲膿瘍は始まります。
肛門腺の具合が悪く、そこに下痢などが多いのですが、便の状態が悪くて肛門腺に細菌が感染する。おそらく肛門腺の具合が正常でちゃんと分泌液を分泌していれば、最近が入ってきても分泌液が分泌されることで最近を押し出すことができて感染しないのではないかと思います。肛門腺の具合が悪く、そこに細菌感染を起こす。そして忙しかったり疲れていたり、寝不足だったり、自分の抵抗力が落ちていることで感染が広がり膿瘍を形成していく。そして膿瘍はどんどん広がり肛門周囲膿瘍となっていきます。膿瘍腔を形成してしまうと、抗生剤だけでは十分に抑えきれません。局所麻酔をして切開して膿を出す必要があります。
切開して排膿することで痛みはスッと楽になります。何もないところに物が溜まる。このこと自体がとても痛いことです。溜まっているものが出ることで痛みが楽になります。キンキンに腫れていることが痛みに繋がります。
さて、膿が出ることで痛みは楽になります。でも感染を起こした肛門腺はまだあります。またこの部分に感染を起こして膿が体に広がっていくと困ります。そうならないように人間の体は上手くできていて、感染を起こした原因と切開して膿を出した部分との間に硬い管、瘻管を作ります。そうすることで、もし原因となったところに再度感染を起こして膿が出来ても、体に広がっていくことはなく、この瘻管を通って体の外に出すようにしてくれます。
自分の体が、膿が体に広がらないように、自分の体を守るためにこの瘻管を作ってくれます。ですから、痛みが取れた後も、この瘻管の出口から膿が出てくるということは、原因の部分に感染を起こして有無が出来ているが、体に広がらないように瘻管が膿を外に出してくれているということです。
ですから自分が作った瘻管がちゃんとその目的、機能を果たしているということです。ですから、膿が出ていても、自分の体が自分の体を守るために瘻管が機能しているということです。こういった状態では瘻管があちこちに広がって、痔瘻を悪くしていくことは有りません。でも、膿が出たり治まったりする症状がやはり不愉快な症状なので、その症状を取り除くには原因と瘻管を取り除く痔瘻根治術が必要になります。
でも全然焦る必要はありません。「この際もうそろそろしっかり治してしまおう。」と思って、手術をする時間が取れたときにしっかり治せばいいと思います。
では、痔瘻を悪くしないために、早く受診してほしいときは何時かです。それは、瘻管の出口が塞がって(塞がること自体は悪くありません)、しかも原因の部分に再度感染を起こして膿が出来、瘻管を通って外に出ようとしても出口が塞がって出ることができない。大抵の場合は出口のところが破けて膿が出て治まっていくのですが、破けることなく膿が溜まっていく場合は早く受診して、塞がった出口を開けてもらう必要があります。
出口から膿が出ることが出来ずに腫れてくると、自分が作った瘻管の一番弱いところからまた膿が広がっていってしまいます。そうすると、そこにまた新たな瘻管が出来て痔瘻は悪くなっていきます。この場合は、一番最初の肛門周囲膿瘍と同様の症状が出てきます。肛門の腫れと痛みです。この時は早く受診して出口を開けることで、痔瘻は悪くなっていきません。
ただ、こういったことを繰り返したり、また痛みがなくても膿が出たり治まったりするようでしたら時期を見てしっかり痔瘻根治術を受けることをお勧めします。
ジオンによる痔核硬化療法(ALTA療法)ってどんな治療?
京都も緊急事態宣言が解除されました。少しづつ人の流れが出てきているようです。休業していたお店も少しづつですが、営業を再開しているようです。
まだまだ新型コロナウイルスの感染が収束したわけではないので、皆さんの不安や、心配な中での今まで通りの生活に向けて少しずつ戻していくのかと思います。まだまだ第2波、第3波に向けてしっかり備えていかなければならないと思います。今回の新型コロナウイルスの感染拡大で明らかになった医療や公衆衛生などの体勢の不備や弱点を第2波が来るまでに十分に強化していかなければいけないと思います。
またこれまで進めてきた保健所の縮小や病院の統廃合などの医療制度改革が本当に正しかったのか、これから同じように進めていったらいいのか、もう一度立ち止まり検証しなければならないと思います。
さて、今回はジオンによる痔核硬化療法、ALTA療法について質問がありました。その質問に回答していこうと思います。
ジオンの成分
まず、ジオンの成分です。ジオンは硫酸アルミニュウムカリウム・タンニン酸水溶液です。
硫酸アルミニュウムカリウムは明礬のことで、茄子のお漬物の色をきれいにするために使ったり、お芋を煮るときに煮崩れしないようにするために使ったりするときに使う明礬です。
痔核硬化療法は内痔核にこのジオンを局注して、炎症を起こさせて硬化、退縮させていく治療法です。ジオンではこの炎症を起こさせる作用があるのが明礬です。でも明礬だけだと激しく炎症を起こして局注した部分の組織を壊して深く潰瘍などを作ってしまうので、タンニン酸がじっくりジワジワ効く様に調整する役割があります。
またタンニン酸は血管を収縮させる作用があるので、出血を抑える作用もあります。この二つの薬が上手く作用して内痔核を治していきます。
四段階注射法
痔核硬化療法の方法も大切です。ALTA療法は四段階注射法という方法で内痔核に注射していきます。内痔核の4か所に注射をしていく方法です。
第1段階は内痔核の上極一番奥の方に注射します。次に内痔核の深い部分に注射します。これが第2段階です。さらに針を抜きながら浅い部分に注射をしていきます。これが第3段階です。最後に歯状線付近の内痔核の下極に注射をします。これが第4段階です。
この四段階注射法をしっかり守って痔核硬化療法をすることが大切です。
ジオンの注射の量
注射の量もそれぞれの段階で決まっています。第1段階は3ml、そして第2段階は内痔核の大きさによって2~4mlを、そして第3段階は第2段階の半分量。そして最後の第4段階は4mlのジオンを注射していきます。
この四段階での注射ですが、内痔核が出え来ないようにするのに大切なのが第1段階と第4段階です。したがってこの第1段階と第4段階の注射の量は内痔核の大きさに関わらず、大きくても小さくても、内痔核が出てこないようにするのが目的ですので量が決まっています。
第1段階の量が不十分な場合は、再発する際に奥の方から内痔核が出てくるようなタイプで再発します。また第4段階が不十分な場合は、外側が出てくるようなタイプで再発してきます。いずれの段階も内痔核が出てこないようにするためにとても大切な段階です。
第2段階、第3段階は内痔核の大きさで量が決まります。私は少し多めに注射をしています。注射した後、しっかりマッサージをして、ジオンの薬液を内痔核全体に広がるようにするのですが、多い量は、このマッサージの時に出てきてくれます。ですからこのジオンを局注した後のマッサージは大切な操作だと考えています。
ALTA療法は万能の治療法ではありません。
最後にすべての内痔核をこのジオンによるALTA療法では治すことはできません。万能な治療方法ではないということです。
肛門上皮の部分の腫脹が強い外痔核成分が多い内痔核はジオンが効きにくかったり、再発しやすかったりします。またジオンは内痔核を治す治療方法なので、内痔核が原因での皮垂を治すことはできません。
一番の適応は、外痔核成分が少なく、内痔核ができる粘膜部分の腫脹が強い内痔核がよい適応です。
症状でいうとあまり出血せず、痛みが出る内痔核は前者のタイプの内痔核である可能性が高く、無効であったり、再発の可能性が高いです。
反対に痛みはなく、出血が多いタイプは後者のタイプの内痔核である可能性が高く、ジオンによるALTA療法の適応となります。
ALTA療法は痛みなく、傷を作ることなく内痔核を治す治療方法でとてもいい治療法です。しっかりと適応を診断して、四段階注射法を守って行うことでよい効果を得ることができます。
皮垂(スキンタグ)を切除してもまたできるの?
Twitterで皮垂(スキンタグ)についての相談がありました。相談の内容は、「皮垂を切除してもまたできてしまうのか?」また、「切除した後の日常の生活はどうなるのでしょうか?」、「仕事はできるのか?」といった内容の相談でした。
まず、皮垂(スキンタグ)ですが、皮垂は字のごとく「皮膚が垂れる」でシワのようなものです。皮垂そのものは、痛みが出たり出血したりなどの症状は出ません。ただ。このしわがやはり気になる。また皮垂があることで強く拭きすぎたり、また一生懸命に洗いすぎたりして、皮膚炎を起こして痒みが出ることがあります。また皮垂があることで拭きにくく感じたり、皮垂そのものがあることが気になる等の症状があります。
特に悪いものではないので絶対に切除しなければならないわけではありません。でも、私としては気になるようであれば切除してスッキリするのがいいと思います。
皮垂は単独の病気ではありません。皮垂が出来るにはそのもとになる肛門の病気があります。例えば、内痔核が腫れたり治まったりすることで皮垂が出来たり、また裂肛によってその裂肛の外側に皮垂が出来ることもあります。また血栓性外痔核が出来、血栓が吸収されていく過程で皮垂が出来ることもあります。
相談の「皮垂を切除してもまたできますか?」の質問ですが、「できることがある。」が答えです。それは何もなかったところに、内痔核や裂肛、そして血栓性外痔核などの原因がまたできると、それを繰り返していく間に皮垂が出来てきます。したがって、皮垂を切除した後は、その原因となった内痔核や裂肛、血栓性外痔核にならないようにすることが大事です。そうすると、これらの肛門の病気の一番の原因は排便の状態です。便秘であれば便秘を治す。下痢であれば下痢を治すなど、排便の状態を良くしていくことが一番大切です。原因がなければその結果としての内痔核や裂肛、血栓性外痔核が出来ません。そうするとおのずと皮垂もできないということです。
また皮垂を切除した後に再度皮垂が出来る原因の一つに、皮垂を切除した後に術後の傷が腫れてしまうという原因があります。
どうしても肛門にできた皮垂を切除する際に術後に傷が腫れることがあります。この術後の腫れの具合で、皮垂を切除した後にその腫れが引いた後に再度皮垂が出来るということがあります。こういった術後の腫脹によって皮垂が出来る場合は、多くは内痔核が原因での皮垂を切除する場合に起きやすいです。
皮垂の切除をした場合に、その傷が小さすぎたり、また皮垂を切除するという外科的侵襲で内痔核が腫れてくることもあります。したがって内痔核が原因での皮垂を切除する場合には、途中までは内痔核に対して行う痔核根治術と同じように皮膚を剥離して、ある程度肛門管内まで剥離して皮垂を切除する必要があります。場合によっては内痔核の根部を糸で縛って肛門上皮の部分を縫合するように、皮垂を剥離してその根元を糸で縛って内痔核の時と同じように何針か縫合したりします。
こういったことが原因で皮垂を切除してもまたできることがあります。前者は皮垂を切除した後の排便の状態を良くして、皮垂が出来る原因を取り除くことが大事ですし、後者はやはり皮垂に原因によって皮垂の切除の仕方を工夫する必要があります。前者は患者さんが先生と相談して排便の状態を良くすることが大事ですし、後者は手術をする医師が心がけなければならないことです。
皮垂の切除後ですが、普段通りの生活をしてもらっています。術後1日目から入浴をしてもらっています。また仕事などもいつも通りにしてもらっています。
少し話は違いますが、文部科学省が困窮している学生に10~20万円の給付を行うという報道がありました。
給付することは困っている学生さんには少しは助けになると思います。でも根本的な解決にはなりません。授業料を払うため、また借り入れた奨学金を返すためにバイトをしてそれに当てる。ですから給付金を渡すとともに、この高い授業料や奨学金の返済についてもっと支援をして、その負担を軽減することが必要なのではないでしょうか。また大学など教育機関に、もっと国費を投入して、日本の未来を担う若者たちが、経済的な理由で学ぶことが出来ないことにならないようにしていくことこそが根本的な支援ではないでしょうか。
例えば内痔核の治療は、内痔核が出来てしまったことに対しての治療です。でもこれは内痔核が出来てしまった原因に対しての治療ではありません。内痔核を治した後は、その原因となる排便の状態を良くするといった原因を治す治療が一番大切です。このことに当てはめてみると、困窮している学生さんたちに給付金を渡すということは、内痔核の治療です。でもその原因である排便の状態を良くするということは、授業料や奨学金への支援、そして大学などの教育機関に国費を投入して、経済的な理由で学ぶことが出来ないといった状態にならないようにすることだと思います。
平常心で通常の日常を送ることの大切さ。
感染者に発表人数が減少してきているとは言うものの、また再度感染者が増える可能性もあり、まだまだ収束の見えない新型コロナウイルスの感染。
自粛生活が長くなってきています。そのような中で、一番大事なことは、難しいのですが、いつもと同じような気持ちで、これまで通りの通常の生活を送るということだと思います。
新型コロナウイルスの感染の収束に向けて、あまり強い気持ちで、「収束させるんだ。」と思い詰めるのもよくない。非常時に対して極端に元気になってしまうのもよくないと思います。
そんな強く張り詰められた気持ちが一端プツンと切れてしまった時、私たち人間は一気に深い闇の中に落ち込んでいってしまうと思います。
私がまだ大学病院の救命救急センターに勤めていた頃、目の前にいる患者さんの命をどう守ったらいいのだろうか、どう救命したらいいのだろうかと悩み、仲間と共に懸命に治療をしていました。そんな時は時間が経つのも忘れて治療に当たっていました。1日のうちに何人もの急患が救命救急センターに運び込まれてきます。
こんな日もありました。朝、交通事故で小腸穿孔の診断で緊急手術をしました。手術が終わってひと段落した時に、今度は肝破裂の患者さんの受け入れ要求。搬送された後、血液検査。そして画像診断等をして出血部位の特定をする。血管造影をしながら、塞栓術で止血できないトライする。でもどうしても出血が治まらないので、引き続いて開腹手術で止血術や場合によっては肝切除。気を許すことが出来ない状態が続きます。様々な処置をして術後の管理をしているうちに夜が明けるということもありました。
救命救急センターに運ばれてくる患者さんは、私たちのちょっとした気持ちの緩みや、油断で一気に急変してしまうこともあります。刻々と変化する患者さんの状態を診ながら、その都度その都度データを集めそれを検討して治療法を的確に判断して、迅速に行っていく。そうゆう時間が日常でした。
そんな中、当直明けや、手術が夜中までかかったりした後、気分としてはとてもハイな状態になります。疲れがでません。でも当直明けより、その次の日の方が疲れが出てきます。そんな時の方が、集中力にかけてしまいます。
また、皆で力を合わせて、救命しようと治療を続けていても、どうしても救命できないことがあります。そんな時、患者さんが亡くなった時。張り詰めた糸が、やはりプツンと切れた状態になります。でも、そんな時に医師に求められることは、亡くなった患者さんには申し訳ないのですが、次に搬送されてくる患者さんの命を救命することに私たちの気持ち切り替え、強く気持ちを持っていかなければなりません。そんな時に大切なのことが、いつもと同じように、気持ちが昂ることなく、また落ち込むことなく、平常心で目の前にいる患者さんの治療へと向かっていくことです。とても難しいことです。
今、新型コロナウイルスに立ち向かっている医師や看護師、そしてそれを支えていく医療スタッフも同じ状態にいると思います。また、医療にかかわる人たちだけでなく、日々の生活の困難や不安に立ち向かっている方々も同じだと思います。皆が戦っているのは新型コロナウイルスです。そしてすべての人たちがこの緊急事態に様々な立場で、その人その人が、それぞれ自分にできることを精一杯して立ち向かい、乗り越えていこうとしています。
私たちはお互いを思いやる気持ち、優しさを忘れることなく、難しいですが、いつもと変わることない平常心を持っていつも通りの生活を送っていく。そのことを心にとめて、今を乗り越えていきましょう。
「作ってみよう!フライパンで焼き豚まん」のレシピを紹介します。
6月はトルコ料理の特集でした。今回、6月最後のレシピは、皆で「作ってみよう!」レシピです。紹介するのは「フライパンで焼き豚まん」です
管理栄養士さんからいただいたメールにこう書かれていました。
『「作ってみよう!」は豚まんです。普段は買ってくるものも、意外と材料はシンプルです。こねて焼けば出来上がります。おやつやお昼ご飯にいかがでしょう。』
そういえば豚まんってなかなか家では作らないなあと思いました。冷凍食品の豚まんなどを買ってきてレンジでチン。でもなかなかそれでも美味しいです。東京にいたときは中華街、今は神戸の南京街に行ったときに食べることは有ります。
ところで、豚まんを始めて食べたのは何時だったかなあとふと思い、記憶をたどってみました。
私の記憶で一番古いのが、小学校のころ、まだ山梨県の甲府市に住んでいた時だったと思います。冬に、皆で近くのスケートリンクに行ったときにはじめて豚まんを食べたと思います。ちっちゃな練りがらしがついていて、それを付けて食べたと思います。ふかふかのアツアツの豚まんを美味しく食べたと思います。
管理栄養士さんのメールでは、材料はシンプルでこねて焼いたら出来上がりということですごく簡単なのかなあ?と思います。皆さん一緒にこねて、焼いて作って食べて下さいね。
もう一つ管理栄養士さんからの提案があります。
『(簡単)とはいえ、もうくたくたというときは思い切り簡単に「レトルトカレー祭り」はいかがでしょう。ご飯だけ炊いて家にあるレトルトカレーを数種温めると、みんなで少しずついろいろな味が楽しめます。賞味期限整理にもなります。』です。
場合によってはスーパーに行って気になるレトルトのカレーを買ってきて、皆で食べ比べるっていうのも面白いかもしれませんね。人数が多いほど、いろんなレトルトカレーを食べ比べることが出来るので、今、皆さんが自粛で家にいるときがいいチャンスかもしれません。是非やっていてください。
最後に管理栄養士さんが、「私たちの体は食べ物からしか作られません。毎日食べなければいけないからこそ、どう食べるかが大事だと思っています。家庭料理はまずおいしく。作る人も食べる人も楽しく。そう過ごせればいいなと思っています。」
では「作ってみよう!」豚まんのレシピを紹介しますね。
「フライパンで焼き豚まん」
1個分 エネルギー 200kcal たんぱく質 8g
焼き豚まん(8個分)材料
(皮)
強力粉・薄力粉 各100g
砂糖 大さじ3
ドライイースト 小さじ1
ベーキングパウダー 小さじ1
塩 小さじ1/2
ぬるま湯 100cc
サラダ油 小さじ2
(肉だね)
豚ひき肉 200g
玉ねぎ(みじん切り) 1/2個
パン粉 大さじ2
中華練調味料・しょうゆ 各小さじ2
ごま油・砂糖 各小さじ2
作り方
- ①皮の材料をひとかたまりになるまでこねる。ラップをかけ30分寝かす。
- ②肉だねのすべての材料をこねる。8等分に丸める。
- ③①を8等分にし平たく伸ばして②を包む。
*肉だねの油が皮につくと開いてくるので、皮どうしをひっぱってしっかりつける。
④フライパンに③を並べ水100㏄を入れふたをして中火で焼く。水気がなくなり底に焦げ目がつくまで焼く。
6月の献立は三大世界料理の一つトルコ料理。
6月のレシピは世界三大料理のトルコ料理のレシピを紹介しています。
前回少しお話しましたが、私はこれまでに一度だけトルコのイスタンブールに行ったことがあります。
大学を卒業した後、私は日本大学の第3外科の医局に入りました。私が卒業したころは、今の様に初期研修ではなく、いきなり医局に入る制度でした。私は、実家が肛門科をしていたこともあって、なんとなく後を継ぐんだなあと思っていたこともあって、消化器外科を専門としていた第3外科に入局しました。
1年目で仕事をしていた時、外科はその頃は5人で一つのグループを作り担当の患者さんの治療に当たっていました。そんな中、グループの班長の先生が、「賢ちゃん。今度トルコのイスタンブールで化学療法学会が開催されて行くんだけど一緒に行く?」と。
そのころ第3外科には研究グループとして、化学療法班、癌班、消化器班、肝・胆道班、そして移植班の五つの研究班がありました。私のグループの班長の先生は化学療法班でした。国際学会で発表するためにイスタンブールに行くとのことでした。その頃まだ1年目だったので、どの班にもまだ属していなかったのですが、いきなりのお誘い。私が一緒について行っていいのかなあと思いながらも、トルコのイスタンブール。チョット魅力的でしたので、連れて行ってもらうことにしました。私としてはただただイスタンブールへの「観光」でした。
33年ほど前のことですので、その頃のことを全て思い出すことはできません。でもイスタンブールへの「観光」で印象に残っていることをお話します。
一つは前回お話した、焼いたカエルの足を食べたことです。とても美味しかったのですが、最初料理が運ばれてきた時はびっくりでした。
イスタンブールの旧市街地にあるモスクなどの施設への観光もしました。トルコ独特の佇まい。異国情緒満点でした。また旧市街地に向かう金角湾にかかるガラタ橋の下にはレストランなどいろんなお店があったような記憶があります。また旧市街地の中心部に位置するグランドバザールにも行きました。いろんなものが売られていて何をお土産に買おうか迷ったことを憶えています。そこでびっくりしたのが、スイカを切って街頭で売っていたことでした。たくさんのスイカが所狭しと置いてありました。
また、公園に行くと背中にチャイの入ったタンクを背負って、お盆にチャイを飲むためのコップを置いて売り歩いていることでした。「こんな風にチャイを公園で売って飲ませてくれるんだ。」と思いました。
イスタンブールで何か買っていこうとは思っていました。そんなところに班長の先生が、「賢ちゃん。トルコ絨毯を買おうと思うけど、買いに行くの付き合って。」と。
観光のツアーで絨毯屋さんを見に行ったのですが、もう一度そこに行って、絨毯を買いたいとのことでした。一緒に行っていろんな絨毯を見せてもらいました。絨毯の柄について、「ここに描かれている木は命の木です。」などと教えてもらいました。また一度買うと一生ものになるとも教えてもらいました。班長先生はかなり大きな絨毯を買われた記憶があります。私も買おうかどうしようか迷いましたが、せっかくでしたので思い切って、畳一畳ほどの絨毯を購入しました。
買った絨毯は船便で日本に贈られるとのことでした。絨毯ですが、日本に帰ってから何か月か経ってから、絨毯を買ったことも忘れそうになるくらいたってから班長の先生から、「賢ちゃん。やっと絨毯届いたから取りに切ってくる。」との電話。イスタンブールでの思い出がもう一度蘇り、絨毯も私の手元に届きました。
何か思い出したことをとりとめもなく、まとまりなく書いてしまいました。
さて、6月の献立はやはりトルコ料理の献立。トルコに行った気分、異国情緒を食卓で味わって下さいね。
6月のメニュー 1人分 約600kcal、食物繊維 10g
・チョバン・サラタス(羊飼いのサラダ)
・ターゼファスリエ(さやいんげんのオリーブオイル煮)
・チキンケバブ(鶏肉のヨーグルトスパイス焼き)
・イマム・マユルドゥ(お坊さんの気絶)
・ピベル・ドルマス(ピーマンの詰め物)
管理栄養士さんから一言
トルコ料理
フランス料理・中国料理とともに世界三大料理の1つです。
野菜・豆・魚・鶏肉や羊肉や牛肉・オリーブオイル・ヨーグルトをよく使うシンプルな料理が多いです。
ピラフの元になった料理やヨーグルト発祥の地でもあり、オスマン帝国時代の広大な土地、いろいろな民族、豊富な食材によって多種多様に発展しました。
チョバン・サラタスとターゼファスリエのレシピを紹介します。
今回はチョバン・サラタス(羊飼いのサラダ)とターゼファスリエ(さやいんげんのオリーブオイル煮)のレシピを紹介します。
チョバン・サラタスのチョバンは羊飼いのことで、サラタスはサラダのことです。このサラダの名前が「羊飼いのサラダ」と名付けられた由来を調べてみました。羊飼いの人たちが、牧場で休憩するときにサッと野菜を刻んで作れる簡単なサラダということが羊飼いのサラダの由来だそうです。
ターゼファスリエもトルコ料理の代表的な料理だそうです。調べてみると、クタクタになるまで煮込まないと「生だ。」と言われてしまうそうです。さやいんげんのシャリシャリと言った食感はないぐらいに煮込むのが本場のターゼファスリエなんですね。
チョバン・サラタス(羊飼いのサラダ)はレモン汁でチョット酸っぱめ、ターゼファスリエ(さやいんげんのオリーブオイル煮)は唐辛子でチョットピリ辛。どちらもこれから暑くなる夏に向けていい感じですね。
さて、私はこれまで一度だけトルコに行ったことがあります。イスタンブールに行ってきました。私の時代で言うと、庄野真代の「飛んでイスタンブール」です。
私が医師になって、1年目の時です。33年も前のことです。この時の記憶に残っていることは次回お話するとして、イスタンブールで食べた食事の中で一番印象に残っているのが、カエルの足を焼いた料理です。
その頃、助教授だった先生と二人で食事をした時です。なぜかその頃から「賢ちゃん」と呼ばれていたのですが、「賢ちゃん。ご飯食べに行こう。」と誘われレストランに行きました。その時、「このカエルの足を焼いたという料理を食べてみよう。」と。頼んで料理が運ばれてくると、割と大きなお皿に山盛り一杯の焼いたカエルの足が盛られていました。その姿にびっくりしました。でも食べてみると、鶏肉みたいで、しかも1本1本が小さいので、簡単に食べていくことが出来ました。食事ではこの焼いたカエルの足が今でもとても印象に残っています。
ではレシピを紹介しますね。
チョバン・サラタス(羊飼いのサラダ)
材料(作りやすい分量)全量 約100kcal、食物繊維2g
新たまねぎ 1/4個
きゅうり 1/2本
トマト 小1個
塩 少々
胡椒 少々
オリーブオイル 小さじ2
レモン汁 小さじ2
作り方
- ①野菜はすべて同じ大きさのサイコロに切る。
- ②①を塩でしんなりさせ、すべての材料を混ぜる。
ターゼファスリエ(さやいんげんのオリーブオイル煮)
-
材料(作りやすい分量)全量 約100kcal、食物繊維4g
さやいんげん 100g
玉ねぎ 1/4個
カットトマト缶 50g
オリーブオイル 小さじ1
砂糖 小さじ1
唐辛子 1/2本
水 大さじ2
塩 少々作り方
- ①オリーブオイルで唐辛子・野菜を炒める。
- ②すべての材料を入れ水気がなくなるまで煮る。