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2020.07.25

肛門科の苦悩とあるべき姿

 新型コロナウイルスの感染がまた拡大しつつあります。このような状況の中で、患者さんも医療機関を受診すると、そこで感染するのではないかという不安もあり。受診を控えている患者さんもいます。必要な医療は必要な時に受けることが大事だと思います。
 各医療機関も新型コロナウイルスに対して、感染しないように様々な感染対策をしてきています。また、患者さんの意識も変わり、皆さんマスクを着用して受診されます。このような中さらに安心して治療に専念できるように、今以上に対策を行っていかなければならないと思います。
 さて、各医療機関は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、経営的にも苦しい状態になっています。今年の34月のような状況がもう一度訪れると、経営が成り立たなくなる医療機関が多く出てくるのではないかと心配しています。そのような中で、ふと今まで書いた原稿をみていると、今から10年前の2010年に浜松で開催された日本大腸肛門病学会の原稿が目に留まりました。この内容を紹介したいと思います。
 この時点でもすでに肛門科では経営面などの問題点が揚げられていました。

 浜松で開催された学会の特別企画で「肛門科:クリニックの診療・経営戦略」というセクションがありそこで発表してきました。

 近年、肛門疾患の診断や治療法は様々な技術的な進歩によって、以前と比べて比較的容易に治療に関しての満足が得られるようになってきました。その反面、標準的な治療を蔑ろにする傾向もみられ、学会等においても様々な問題が惹起されています。また、肛門科の診療所では診療の内容の問題だけでなく、医療経済的にも苦悩しているのが現状です。

 肛門科の診療の形態には①無床で全ての手術を日帰り手術で行っている施設。②無床でも連携病院をもち、必要に応じて連携病院で手術して入院手術を行う施設。③有床で、入院手術を行う施設の三つの形態があります。

 また、医師も一人あるいは二人以上の体制があります。そんな様々な診療形態のなかで、日常の診療をどのようにしているのか、他の医療機関との連携や地域医療との関わり方などを示して、今後の肛門科の診療の問題点を明確にすること。また、患者さんの満足度、安全性、治療成績を向上させる工夫や経営戦略などやその苦悩について考えることを特別企画の目的としていました。私を含め13名の先生方がそれぞれの診療所、病院での取り組みや問題点などをシンポジウム形式で討論しました。

 渡邉医院は有床診療所で、診療の形態としては先ほどの三つの形態のなかでは、三番目の自院で入院手術を行い、肛門疾患専門での診療を行っています。この形態がとれる一番の要因は京都の西陣という地区での開業で、周りには多くの診療所や病院があり、肛門疾患だけを診察できるという環境があるます。地方の診療所や病院では、やはり周りの地域医療も支えていかなければならないため、肛門疾患以外の病気に関しても診療していかなければなりません。

 以前、私の大学のときの後輩が、肛門科で開業したいとのことで、当院に研修にきていました。自分の実家である山形県で開業をしたのですが、やはり地域医療にも携わらなければならないため、肛門疾患だけに特化した診療所の形態ではなく、さまざまな病気に対応せざるをえない環境のようです。

 こういった診療所の立地条件も大きく診療所の形態に影響してきます。渡邉医院が肛門疾患だけに特化して診療していけるのは、周りの診療所や病院の支えがあるからで、こういったことからも、病院と診療所、診療所と診療所の連携を今以上に強くしていくことが必要です。

 また、シンポジウムの中で、どのようにして患者さんにきてもらうかということについても討論になりました。

 私と同じように親子での医院の継承をした先生(この先生も私の大学のときの後輩で、一時当院に研修にこられていました。)が、医院を継承した後、患者さんが激減して40%減になったときの対応について話されました。このとき、「ひとりひとりをきっちりと診る。来た人が安心し、納得され、明るく元気になる。医療的な満足は当然として、治らない病気でも癒すことができる。」という理念をもって診療に努めることで患者さんが増えてきたと話されました。

 私も同様の経験をしました。私の父が病気で倒れ、京都に戻ってきたとき、もう26年前のことですが、私が診療を始めて1週間もすると患者さんが来られなくなり、いつも12時を待って午前の診療を終わる日が続きました。このときは、このままで診療をつづけていけるのかととても焦りました。患者さんが来なくなったとき、ねっとわーく京都という雑誌に「一代目他界、二代目闘病中、三代目奮闘中。渡邉医院を救うのはあなただ。」なんていう広告もだしました。今から思うと、なんという広告を出したかと思います。

 こんなとき、焦っている私に対して父が「何を焦っているんだ。診察に来られた患者さんを一人ひとりしっかり診察して治していけばいいんだ。」といいました。やはり患者さんも私の焦っている気持ちを感じられるのだと思います。
 満足度調査をした先生の報告があり、そのなかでもやはり患者さんは自分の訴えをしっかり聞いてくれて、病状をしっかり説明してともに治療し治してくれる医師に共感を持ち、信頼して病気を治すことに専念できる。こういった姿勢で医師は診療にあたらなければならないのだと確信しました。

 4年ほど前に肛門科不況がありました。肛門科を受診する患者さんがめっきり減った時期がありました。これは渡邉医院だけでなく、全国的な傾向でした。
 そんななか、様々なことを考えました。その中で一番感じたことが、診療だけでなく、肛門の病気やその治療方法などに関して、しっかりと正しい情報を発信できているかということでした。そしてそのことに対して、肛門の病気で悩んでられる多くの患者さんに正しく、そしてわかりやすく伝えていこうと、ホームページをつくり治しました。今後も患者さんが何を悩んでいるのか、そしてそれを解決するにはどういった治療があるのかなど、発信していきたいと思います。

2020.07.23

古典的治療法から新しい治療法へ。そのベストミックス!

 医学の世界は日進月歩で、どんどん新しい技術や治療方法、そして手術方法などが開発され、またそのことが一般的な技術や治療法、また手術方法になっていっています。

 でもこの新しい技術、治療方法、手術方法は、いきなり出てくるものではありません。古典的な治療方法を元に、歴史と共に進歩していきます。やはり、私たちはその進歩の歴史も勉強することが必要だと思います。そして、古典的な治療法と最新の治療法方が上手くミックスされることで、より良い治療を患者さんに提供できるのだと思います。
 また、新しい手術方法や治療方法があっても、そのもとになった基礎的な手術手技や治療方法はしっかりマスターして、何かの時には行えるようにしておく必要もあると思います。

 新型コロナウイルスの感染拡大で学会や研究会などが軒並み中止や延期になっています。肛門科の分野も同じです。私が京都に帰ってきて、一番勉強になり、大切に思っているのが年3回開催される近畿肛門疾患懇談会です。そこで、古典的な治療法を学ばれ、実践しておられる先生に初めてお会いしました。

 最初のお出会いしたきっかけは、今は亡き父と一緒に近畿肛門疾患懇談会に初めて出席したときだったと思います。その後も、何かと声をかけていただき、いつも顔を合わすと、「しっかり勉強しろよ。しないと親父さんに言いつけるぞ」とはっぱをかけてくださっていました。また、「自分だけでなく、これから肛門科を目指そうとする人のためにも勉強して、そのことをしっかり教えなければならない使命があるんだぞ。」とも言われました。

 さて、この先生は、古典的な治療法を勉強されている先生で、華岡青洲の時代の治療法などを調べ、実際に現在の医療に使えるようにしています。ちなみに華岡青洲は麻酔薬「通仙散(つうせんさん)」を発明し、世界で初めての全身麻酔による乳癌摘出手術に成功した外科医です。

 たとえば、文献をもとに様々な軟膏を調合したり、内痔核の手術では分離結紮法といって、内痔核を糸で縛って治していく方法を紹介し、実際この方法を使って治療されています。また痔瘻の治療でも、いまでは学会等で一般的になっていますが、シートン法といって、痔瘻の瘻管に輪ゴムを通して治していく方法ですが、もとは薬のついた糸(薬線)を痔瘻の瘻管に通して、痔瘻に状態に合わせてアルカリや酸の薬を糸にしみこませ痔瘻を治していく方法など、古典的な治療を紹介しています。
 痔瘻に関して、日本でも1823年文政6年に「要術知新」で杉田玄白と親交のあった大槻玄澤の子、玄幹が痔瘻を切開する痔漏刀の使い方を説明しています。この時代から、痔瘻の病態を知り、治療する手術道具が作られていました。

 以前に紹介した内痔核の治療法でジオンという痔核硬化剤を用いて四段階注射法という方法で治していく痔核硬化療法も画期的な新しい治療法というわけではありません。
 痔核硬化療法という治療法は私の祖父の時代からもうすでにあり、少なくても80年以上前から実際に行われてきた治療法です。
 また、ジオンという硬化剤も、もともと消痔霊という薬剤があり、これが内痔核の治療によく効くので、どういった成分がどのように効いて治っていくのか、副作用はなど臨床の試験をうけてできた薬剤です。もともとの薬剤があったのです。
 渡邉医院にも以前は第二リン酸カルシウムグリセリン懸濁液という痔核硬化剤がありました。主に内痔核からの出血を抑えるために使っていたようです。この薬剤も父が言うには、以前は卵の殻を磨り潰して粉にしたものをグリセリンに混ぜて使っていたのをヒントに祖父がつくったとのことでした。昔から代々肛門科の治療をしているところには、それぞれ秘伝の門外不出の薬があったようです。

 新しい治療法、新しい手術方法などどうしても目が行きがちですが、西洋医学だけでなく、東洋の、そして日本の古来からある古典的な治療法も、もっと見直していくことも大事だと思います。場合によっては、昔の医療のレベルで行っていて、現在にも応用できるものであれば、より安全な治療法かもしれません。

 こんなことを書いているうちに、少し思い出したことがあります。それは、蟻の顎を使って傷を縫合するという話です。以前に医学系の新聞で読んだことがあるのですが、とても面白く、昔の人はよく考えたなと感心しました。
 ちょっと調べてみると、この蟻の顎で傷を縫合する方法は、世界的に古くから行われていたようです。
 切った傷をぴったりと合わせて、合わせた傷にそって蟻に咬ませます。蟻は一端咬みついたら死んでも離さないので、咬ませた後、蟻の胴体をもぎ取って咬みついた頭だけにし、傷が治るのをまったようです。
 記録では紀元前1千年ごろから行われていて、ごく最近までアジア、アフリカ、南米の一部で実際に行われていたようです。実に面白い発想だと思います。
 この発想は今では皮膚縫合用ステープラといって医療用のホッチキスで傷を縫合する際に実際に応用されています。また皮膚の縫合だけでなく、腸と腸を吻合したり、切除した胃と腸を吻合したりする際に用いられている自動吻合器にも応用されています。私が大学病院にいたころ、17年前ではまだ手縫いでも縫合していましたが、いまではおそらく自動吻合器が主流だと思います。昔も今も発想は同じなんだなと感心します。
 でも、やはり機械は壊れたりしますし、具合よくできるとは限りません。
 大学にいた時、ずいぶん前ですが、胃癌の手術をする際に中山式ペッツといって、胃を切除する際に使う約30㎝程度の大きなホッチキスのような機械があります。これを使って胃を切除したときに、ステープラ(ホッチキスの針のようなもの)がうまく装着されていなく、使えなかった時があります。この時は切除した胃を全て手縫いで縫合していきました。

 やはり、何らかのトラブルがあった場合にもそれに適切に対応できる手技はしっかりと身に付けるという基本的なところはしっかりおさえておかなければなりません。このことは全てのことに言えると思います。

 昔からの方法、歴史をしっかり学び、そのうえで新しい方法を使い開発していく。また昔ながらの方法でも今に生かせるものがあれば生かしていくことが必要だと感じます。

 

2020.07.22

100%の手術⁉

 7月も後半を迎え、明日からは4連休になります。新型コロナウイルスの感染が再拡大をしている中、今日からGo Toキャンペーンが始まりました。それぞれの立場で、色々戸惑いがあると思います。でも今私たちが一番に考えなければならないのは、新型コロナウイルスの感染をこれ以上拡大させないことだと思います。それに向けた行動をしっかりしていかなければならないと思います。

 さて、こんな質問がありました。「内痔核は100%切除できますか?」という質問です。

 この質問はおそらく、「今ある嫌な症状を、手術することでスッキリ取り除くことが出来ますか?」だと思います。

 手術をしなければならないということは、これまで長い間お尻の具合が悪いのを我慢していた。そして具合の悪いのをずっと悩んでおられたのだと思います。
 治そうと決心した時、やはり手術をすることで、これまで悩んでいた嫌な症状がスッキリなくなって欲しい。もう悩まなくて済むようになりたい。こんな思いで「100%切除することができますか?」という質問になるのだと思います。

 でもこの「100%」の手術が100%できるか。このことはとても難しい投げかけです。
 患者さんは100%治して欲しい。そして私たち肛門科医も100%治したい。そんな強い気持ちで治療に臨みます。
 手術で治す。人の体にメスを入れて治していく。そこにはいろんなことが起こってきます。例えば、術前の診察以外に症状が加わる。内痔核であれば術前の診察した時以上に手術時に麻酔をかけたら腫れてくる。また、術前では腫れてこなかったところが少し腫れてくる。また麻酔をかけることで、予定していた部分以外にも少し腫れが出てくる。など、手術をする前にしっかり診断しておかなければならないのですが、どうしても手術をする際に術前の診察での診断とは違った状態が目の前に現れることがあります。
 このような場合、麻酔をかけたために腫れてきただけで、その部分は切除しなくてもいいものなのか、またはこの部分もしっかりと切除しなければならないのか。そこを判断しなければなりません。とても難しい判断になります。
 肛門の手術の場合、悪いところを取り除くを一番に優先してしまうと、手術の後の肛門の機能に影響が出てきます。毎日、気持ちよく排便できるというとても大切な機能を保つように手術をしなければなりません。できれば肛門にあまり大きな侵襲を加えることなく治していきたいという気持ちと、スッキリ取り除きたいという気持ち、この矛盾する二つのことを両立させなければいけない。ここに肛門の手術の難しさがあります。これにはやはり経験がものを言ってきます。
 やはり、十分に肛門の機能を残し、柔らかく肛門が治っていくようにすることを心がけながら、患者さんのこれまで悩んでこられた嫌な症状をしっかり治す。このことを考えて手術をしていきます。

 また、内痔核の場合、思い通りにスッキリ切除できたと思っても、術後に肛門の外側の外痔核部分が腫れてしまい、この腫れが治まった後に皮垂が出来て、その皮垂がまた患者さんの嫌な症状となり悩みの種にしてしまうことがあります。以前にもブログで紹介しましたが、手術後の皮垂が起きないように、術後の腫れを起こさないように手術をするのですがそれでもどうしても術後の腫れから皮垂になることは避けられません。その時は再度皮垂を切除することもあります。

 このように人の体にメスを入れて治すということする以上、やはり様々なことが起きてきます。そういったことを考えると、「100%切除できますか?」という質問に明確に「100%切除することが出来ます。」と答えられないところがあります。

 少し話は変わりますが、以前大学病院にいた頃先輩にこんなことを言われました。
 「自分の持っている力を100%出してする手術はするな。80%で余裕をもって手術をしろ。そしてその80%でできる手術の質や技術力を高めろ。」と。
 100%で目いっぱいの手術をすると、そこに何か予期せぬことが起きた場合、やはり余裕がなくなってしまいます。少し余力を残しながら、余裕をもって手術に臨むことで、何か起きた場合にも柔軟に対応できる、そんな余裕が生まれます。そして、この余裕をもってできる手術の質や技術を向上させることで、より良い手術ができるようになるんだと思います。そしてそのことが患者さんにとっても、術後に良好な経過や結果をもたらすことになると思います。

2020.07.21

新型コロナウイルス感染拡大に対しての緊急要請

 今日、7月21日は土用の丑の日です。皆さんも鰻を食べているのかなあと思います。
 私は久しぶりに渡邉医院の当直をして、一日の仕事を終えた後、母と一緒に過ごしています。鰻は残念ながら食べれませんでした。まあ、今日ではなくてもいいので、食べたいなあと思います。よく考えると、最近を食べていないなあと思います。
 今日は午後から会議があって、四条付近に行くと祇園祭の時の提灯と和傘が道沿いに飾られていました。今年は祇園祭の山鉾巡行が中止になり、祇園祭の雰囲気を全く味わっていなかったので、提灯と和傘だけですが、祇園祭を感じることができました。

 山鉾巡行は中止になりましたが、疫病退散の神事は進められているようです。
 京都でも新型コロナウイルスの感染がまた拡大しつつあります。早く収束するように、神頼みだけでなく、私たち一人ひとりも新型コロナウイルス感染拡大の収束に向けての取り組みをしっかり行っていきたいと思います。
 今、京都でも新型コロナウイルスの感染拡大が再度進んでいます。このような状況の中、京都社会保障推進協議会は京都府に緊急要請を出しました。その内容を紹介します。

             緊急申し入れ

  京都府と京都市は、7月20日、京都府内の新型コロナウイルス感染症者が過去最多の27人になったと発表しました。

 いうまでもなく、この感染者数と増加のスピードは、対策を講じなければ、数週間で京都府の新型コロナウイルス感染症対策のために用意したとされる431床を超えかねない状況です。府民のいのちを守るために、緊急対策を実行することが必要であると考え、715日に出された「警戒基準到達をふまえた今後の対応について」を前提として、下記の点を要請します。

                  

 1 京都府内の感染拡大状況から、緊急に新型コロナウイルス感染症対策のために用意した431床を直ちに新型コロナウイルス感染症病床として稼働できるようにすること。同様に、軽症・無症状感染者のための療養ホテルについても緊急事態宣言時の部屋数を直ちに確保すること。

2 感染経路が判明している地域・業種に検査を徹底すること。

3 現在でも供給が不十分なマスク・ガウン・手袋などの感染防護資材について、各医療機関・介護施設などが必要とする数量を確保すること。

 4 現在、感染判明者のうち半数近くの染経路が不明である状況をふまえ、無症状の感染者を介した市中での感染拡大の可能性を考慮して、緊急事態宣言時と同等の行動制限や、経路不明感染者の居住地域・職域等に関わる全員検査など、大規模な感染拡大防止策を速やかに講じること。

 5 医療機関・介護施設に対する財政支援を緊急に行うこと。

 6 医療機関・介護施設への風評被害が起こらないように、府民への啓蒙を強めること。

 7 PCR検査の詳細な状況(設置数・稼働能力など)、療養ホテルでの暮らしぶりなど、新型コロナウイルス感染症に関わる情報を府民に丁寧に分かりやすく広報すること。

 8 新型コロナウイルス感染症対策の現在の状況について、国民生活を支え、全国の検査・保健所・医療提供体制を強化する施策について、緊張感を持ち、財政面もふくめた支援を緊急に実施するように政府に求めること。

                 以上

2020.07.19

「手当て」の持つ力

 7月はもう後半。今年は季節感を感じることが無く時間が過ぎていきます。 春は桜がきれいに咲き誇る中、花見は行けず、また、ゴールデンウイークもどこも出かけることなく自宅でのんびり。また京都の三大祭り、5月の「葵祭」7月の「祇園祭り」10月の「時代まつり」それぞれ中止や縮小。祇園祭に関しては、夏本番に向けての一大イベント。

 長刀は疫病邪気を払うものとされていました。長刀鉾は鉾先に大長刀をつけ、山鉾巡行で疫病邪気を鎮める。この山鉾巡行は中止になりましたが、宗教儀式の神事は実施され、今の新型コロナウイルスの感染拡大を抑えてくればと思います。

 今年になってこれまで日々、生活のメリハリなく過ぎてきた様に感じます。早く、四季折々の行事を満喫しながら、これまで通りの生活が送れるようになって欲しいものです。

 さて、今回は「手当て」の力についてお話したいと思います。

 患者さんが医療機関に受診され、どんな診察を受けるんだろうと不安を抱いて診察に臨まれます。また手術を受けるときは、「麻酔は痛いんだろうなあ。」「どのくらい痛いんだろう。」「麻酔しても痛みはあるのかなあ」「どのくらいで終わるんだろう。」といろいろ不安を持って手術を受けられます。この不安や恐怖心も痛みの強さに大きく影響すると思っています。できるだけ不安をや恐怖心を取り除いてあげることが痛みを軽減することが出来ると考えています。
 よく生前父が言っていました。「患者さんの診察をしたり、手術や処置をする際に、患者さんの方などに手を添えてあげるだけで、患者さんの不安は少し軽減できるんだよ。」と。今でも父が言っていたことを続けています。例えば、手術に際は看護師さんが患者さんの背中にまわり、患者さんの背中を子供を癒すようにポンポンと軽くたたいてもらっています。後から患者さんの中には、「背中をポンポンたたいてもらうことで、とても気持ちが落ち着いた。」と言ってくれる方もいます。
 また術後に診察をする際など、患者さんは左を下にして診察を受けてもらっていますが、患者さんの肩に手を添えてお話しています。やはり「手当て」はとても大事で、患者さんの不安を軽くする力になると思います。

少し話は違いますが、こんなことがありました。

 私がまだ大学の医局にいて、出張病院に出張していた頃の話です。
 当直をしていると、腹痛を主訴で女性の方が受診されました。お子さんと一緒でした。診察の時に、お腹の痛みがあるところにそっと手をしばらく添えていました。そのことで痛みが治ったわけではありませんが、少し痛みが楽になったとその患者さんはおっしゃり、処方をした内服薬を持って帰られました。
 ある日、仕事からの帰り道、横断歩道を渡っているときに、左折してきたトラックにはねられました。大きなけがはなかったのですが、大事な右手の舟状骨を骨折してしまいました。しばらくはギブスを巻いて経過を診て、どうしても治らないようだったら手術という診断でした。右手の舟状骨の骨折だけでしたので、できる仕事はしようと、病院での勤務は続けていました。
 そんなギブスをしながらの診察、病院を歩いていた時、先ほどの女性の患者さんがいて、その方のお子さんがこんなことを言っていたと話してくださいました。「お母さん。お母さんのおなかの痛いのを治してくれた先生の魔法の手が壊れてしまった。どうしよう。」と。そして、「早く治してくださいね。」と優しい言葉をかけてもらいました。僕の手が患者さん痛みを治したわけではありません。でも痛みのあるお腹に手を添えたことでお母さんの痛みが楽になった。手を添えることで治してくれたとその子は思ったのでしょう。でもその話を聞いて、私は胸がキュッと嬉しい気持ちになりました。

 最近は電子カルテや様々な検査方法が進歩したり、画像診断もどんどん進化しています。どうしてもパソコンの画面を見る時間が多くなったり、検査データの解析などが中心になってしまい、患者さんの視診、聴診、触診などが十分でないことがあるのではないかと思います。「手当て」というようにやはり患者さんに手を添えて診察する、大切なことだと思います。また「看」も手で見るです。これからもこのことを忘れずに診療にあたろうと思います。

2020.07.18

痔核硬化療法は何回行っても大丈夫か?

 今回は、「痔核硬化療法は何回行っても大丈夫か?」ということについてお話したいと思います。
 結論は、「痔核硬化療法の適応であれば何回行っても大丈夫。」です。

 パオスクレーという痔核硬化剤があります。パオスクレーはアーモンドの油の中に5%の割合でフェノールが含まれている痔核硬化剤です。

 パオスクレーを使っての痔核硬化療法の適応は第Ⅰ度、第Ⅱ度の内痔核です。第Ⅰ度は排便時に出血する内痔核で痔核の脱出はありません。第Ⅱ度は排便時の出血と排便時に脱出しますが直ぐに戻る程度の内痔核です。特に出血している内痔核の出血を治すのに有効です。第Ⅱ度までの内痔核では排便時に脱出してこなくなります。
 第Ⅲ度以上の内痔核は排便時の出血や内痔核が排便時に脱出して押し込まないと中に戻らない程度の内痔核です。第Ⅲ度以上になりますと、パオスクレーによる痔核硬化療法の適応ではありません。やはり第Ⅲ度以上の内痔核に対しては痔核根治術の適応です。ただ、ジオンと言って硫酸アルミニュウム・タンニン酸水溶液による四段階注射法という方法での痔核硬化療法によって今まで痔核根治術の適応であった内痔核もジオンによる痔核硬化療法でも治すことが出来るようになりました。

 ただ、ジオンという痔核硬化剤がなかった時には第Ⅲ度の内痔核にも、手術が出来ない患者さんに対して、パオスクレーによる痔核硬化療法を行っていました。
 第Ⅲ度以上の内痔核に対してパオスクレーでの痔核硬化療法でも出血は治まり、排便時に内痔核が脱出してくるという症状をある程度抑えることが出来ます。ただやはり1年ほどたつの再度出血や脱出という症状が出てきます。ただそのたびに何回かパオスクレーによる痔核硬化療法を繰り返すことで、第Ⅲ度であった内痔核が第Ⅱ度や第Ⅰ度の内痔核にグレードダウンすることもあります。このことから、パオスクレーによる痔核硬化療法もある程度第Ⅲ度以上の内痔核にも症状を軽減するには有効だと思います。

 時々痔核硬化療法は何度も行うことが出来ないと思っている方がいますが、そんなことはありません。一度痔核硬化療法を施行した後も、出血や脱出などの症状が再度出てきた場合は、その内痔核の状態によっては再度痔核硬化療法を施行することが有効なことがあります。その時の内痔核の状態、性状によって何回も痔核硬化療法を行うことが出来ます。

 また、痔核硬化療法を施行すると、痔核根治術が必要になった場合に、手術がし難くなる、内痔核が剥離し難くなるのではないかと心配される方もいます。でも痔核硬化療法を施行した後に、痔核根治術をしなければならなくなっても、通常通りに手術をすることが可能です。決して手術がし難くなることは有りません。

 どうしてかと言うと、内痔核に対して痔核根治術が必要となる場合は、排便時に内痔核が肛門外に出てきて押し込まなければならない、第Ⅲ度以上の内痔核が手術適応です。

 内痔核になる静脈叢は、正常な場合はしっかりした組織で支えられています。しかし、内痔核が腫れたり治まったり、場合によっては第Ⅱ度程度の内痔核になって、出たり戻ったりしているうちに、その支持組織が壊れていきます。そして排便時に内痔核が肛門外に脱出して戻らなくなるということは、こも内痔核になる静脈叢を支えている支持組織が壊れてしまい、内痔核が脱出しても肛門内に戻ることが出来なくなってしまった状態になってしまったということです。
 ですから、痔核硬化療法後に再度内痔核が脱出してくるようになるということは、痔核硬化療法をによって固定された内痔核が強い怒責などの排便の状態が悪い場合、固定できなくなってしまい再度排便時に脱出するようになってしまったということです。したがって、痔核硬化療法で固定されていた部分が再度壊れて内痔核が脱出してくるようになったということですから、手術が必要になったとしても、内痔核が剥離しにくくなることは有りません。
 反対にいうと、内痔核が剥離しにくい、剥離できないということは、しっかり痔核硬化療法で内痔核になってしまう静脈叢が固定されているということですから、再発して内痔核が脱出してくることはないはずです。

 このようなことから、内痔核に対しての痔核硬化療法は、その適応があれば何回行っても大丈夫です。場合によっては何回か繰り返して痔核硬化療法を施行する過程で、内痔核の状態が重度のものから軽度のものへと軽快していくこともあります。また痔核硬化療法を繰り返して行った後、どうしても痔核根治術などの手術が必要になった場合でも、内が剥離できず、手術が困難になるということは有りません。心配しないでくださいね。

2020.07.16

8月の献立「夏の鶏南蛮定食」のレシピを紹介します

 今日は京都では久しぶりに一日雨は降らず暑い一日でした。
 いつもなら祇園祭の宵々山、宵山に繰り出す人たちが浴衣姿で歩いている姿を大勢見かけるのですが、今年はそういった風景を見ることはできません。でも、祇園祭が持つ疫病退散の力で、今の新型コロナウイルスの感染拡大を収束に向けていって欲しいものです。少し神頼み的になっていますが。どんな力を借りてでも収束に向かってほしいと思います。
 渡邉医院も、厳しい6月下旬から、7月上旬にかけてを何とか乗り切れたかなあと思っています。でもでも安心せず、できることをしっかりやっていきたいと思います。また、なかなか新型コロナウイルスの感染拡大で、受診したくても感染が心配で受診できない患者さんが、安心して受診できるようにしていきたいと思います。

 さて、夏の「暑さを乗りくる!」をテーマで8月のレシピを掃海しました。献立の一つは鰻を使ったレシピでした。8月のもう一つの献立は、鶏を使った献立は「夏の鶏南蛮定食」です。

 その中で、「水晶風和え物」のレシピがありました。この「水晶風」って何?管理栄養士さんからの一言でもありますが、本来はサメの軟骨と梅肉を和えた料理ということで、もう少し調べてみました。

 梅水晶は、サメの軟骨を千切りにして、そこに梅肉を加えて和えたものをいいます。なぜ「水晶」というかは、千切りにしたサメの軟骨が水晶の様に見えることや、梅肉によってほんのりとピンク色に染まった色合いがとてもきれいだということから「梅水晶」と名付けられたと言います。これまで私自身は食べたことが無いように思います。

 おそらく食感はコリコリした食感で、梅クラゲに似ているのかなあと思います。

 今回は管理栄養士さんがサメの軟骨の代わりに比較的手に入れやすい鶏のヤゲン軟骨を使ってのレシピを作って下さいました。きっとお酒のつまみにももってこいなのかなあと思います。場合によっては熱い白ご飯にも合うかなあと思います。

ではレシピを紹介しますね。

「夏の鶏南蛮定食」

1人分 約800kcal たんぱく質 45g 食物繊維  1g

8月の献立

8月の献立は「夏の鶏南蛮定食」

・おからで鶏南蛮(夏)・梅水晶風和え物・味噌汁(ナス・しめじ)・ご飯

の4品です。

「梅水晶風和え物」

1人分 約30kcal、たんぱく質 5.5

材料

鶏むねヤゲン軟骨 100g
梅干し       1
昆布茶       少々
青シソ

作り方

①ヤゲン軟骨は細く切ってゆでる。
②梅干しをたたき①と昆布茶で和える。

管理栄養士さんから一言

梅水晶
 本来はサメの軟骨と梅肉を合わせた料理ですが、今回は手に入りやすい
鶏肉のヤゲン軟骨で作りました。

2020.07.15

「おからで鶏南蛮(夏)-辛味と酸味を効かせてー」のレシピを紹介します。

 8月のレシピは、「暑さを乗り切る!」をテーマにレシピを紹介してきています。前半は鰻を使ったレシピを、後半はおからパウダーを使ったレシピを紹介しています。

 さて、京都の今現在は、日も照ってきて、いい天気になってきました。少し雨も落ち着いてきたのかなあと言った感じです。今年は祇園祭も中止になり、本来なら今日は宵々山だったのかなあと思います。本来ですと、祇園祭りが終っていよいよ夏本番と言った気持ちになるのですが・・・今年は新型コロナウイルスの感染拡大で、季節の移り変わりに何のメリハリもなく、なんとなくダラダラ季節が過ぎていっているように思います。
 少し寂しい気持ちにもなりますが、今は新型コロナウイルス感染拡大の収束に向けて一人一人頑張っていかなければならないんだなあと思います。そして、私たちが今できることをしっかりと行っていきたいなあと思います。
 一つ気になることがあります。それは、政治だけでなく世の中すべてが「新型コロナウイルスの影響」という言葉で大切なことを議論することなく、様々な人の意見をきくことなく、この一言で済まされて言っているのではないかと言うことです。新型コロナウイルスの感染拡大を抑え、収束させることは大事です。でもこれから先の世の中を動かしていく、そんな大事な議論はしっかりとしていかなければならないと思います。

 さて、レシピに戻りますね。今回のレシピは「おからで鶏南蛮(夏)-辛味と酸味を効かせてー」です。夏はやっぱりピリ辛で少し酸っぱいものが美味しく感じます。そして食欲もわきます。ではどうして夏の暑い時期に辛味や酸味が欲しくなるのでしょうか?ちょと調べてみました。
 酸味に関しては、酸っぱいもの煮はクエン酸という酸が含まれています。体が疲れる原因に、体内に乳酸が溜まることが挙げられます。クエン酸はこの乳酸を代謝するときに必要となります。ですから疲れた時には酸味のあるものが欲しくなると言われています。暑い夏頑張って仕事をしたり、また夏の暑さに立ち向かうために頑張るとやはり疲れが出るその疲れをとるために酸味が欲しくなる。と言ったことのようです。

 ではなぜ辛いものが欲しくなるかです。香辛料など辛味や刺激のあるものは、体の中から発汗して汗をかくことによって体温を下げようというところからくるのではないかと言われています。

 ということで、今回は、お腹の調子を良くしてくれるおからパウダーを使った、少しピリ辛で酸味のある、夏にはもってこいのレシピ「おからで鶏南蛮」のレシピを紹介しますね。

「おからで鶏南蛮」

1人分 約450kcal たんぱく質 30g 食物繊維 6

材料(2人分)

鶏モモ肉  1枚(200g)
◎おからパウダー 大さじ2
◎卵         1

〈甘酢〉

★酢       大さじ2
★みりん     大さじ2
★しょうゆ    大さじ1
★唐辛子       1

〈タルタルソース〉

ゆで卵        1
紫玉ねぎ     1/4個
きゅうり     1/4本
◇ヨーグルト   大さじ2
◇マヨネーズ   大さじ1
◇レモン汁    小さじ1
◇はちみつ    小さじ1
◇おからパウダー 小さじ1
◇塩胡椒

(作り方)

  • ①鶏モモ肉は厚さを揃えて一口大に切る。
  • ②◎を混ぜ①につけ、フライパンで揚げ焼きにして取り出しておく。
  • ③フライパンをふき、★を煮立たせ甘酢を作り②を入れる。
  • ④紫玉ねぎ・きゅうりをみじん切りにし塩もみする。
  • ⑤みじん切りのゆで卵と④と◇をませタルタルを作る。
  • ⑥皿に付け合わせ野菜と③を盛り、⑤をかける。
2020.07.14

内痔核が急に痛くなる時

 さて、今回は内痔核(いぼ痔)がどんな時に痛くなってしまうかについて少しお話したいと思います。
 最近、今まで持っていた内痔核が急に痛くなって受診される患者さんが何人かおられました。内痔核が痛くなると、本当に辛いです。こんな場合は早く肛門科を受診して治療することが大事で、そのことで楽になります。なかなか肛門科の受診は診察や治療、そして手術等不安が多く、こわいと感じている患者さんが多いと思います。でも痛いときは思い切って受診して下さい、そのことで今ある痛みを楽にすることができます。

 さて、内痔核は肛門の外側から約23㎝奥の肛門と直腸との境目、歯状線の直腸側にできる静脈瘤のことを言います。時間が経つにつれて、静脈瘤というよりは粘膜脱状になることもあります。通常、内痔核は直腸粘膜の痛みの感じない部分にできるため痛みを伴わない病気です。排便時に内痔核から出血しても、痛みはありません。また内痔核が悪化して、排便時に肛門の外に出てくる、脱出するようになっても、また、脱出したままの状態になっても、内痔核だけだと痛みはありません。内痔核、いぼ痔は痛いもんだと思っている方も多いと思いますが、内痔核だけですと手術をしなければならないほど悪くなっても痛みがありません。

 なかなか痛みがなく、排便時の出血や、場合によっては排便時に内痔核が脱出するようになっても、痛みはなく、押し込むことで通常の生活には支障はありません。内示アックの程度が悪くなると、排便時だけでなく、お腹に力が入った時や、歩いていても内痔核が脱出するようになることもあります。でも基本的には排便時に出血したり、脱出してきてもその時だけの症状です。
 こういうことも理由で、なかなか肛門科に受診できないのではないかと思っています。内痔核の症状が強くなって、例えば出血が頻回になったり、出血の量が増えてきたり、また排便時以外にも内痔核が脱出してくるようになると「そろそろ肛門科に行ってみてもらい、治さなければ。」と思うのではないかと思います。でも私はこういったことがきっかけで肛門科を受診するでいいと思います。治そうと思った時が肛門科を受診するベストタイミングだと思います。

 でも、内痔核が悪化して肛門科を受診する理由で一番の理由は痛みが強くなった時だと思います。出血も心配だとは思いますが、内痔核が痛くなると、本当に痛くて辛いです。痛くて寝てもいられない、何もできない。仕事どころではない。内痔核が痛くなると何も手につかなくなってしまいます。

 では、手術をしなければならないほど悪くなっても痛くない内痔核が、どんな時に痛みが強くなってくるかをお話します。

内痔核に血栓が詰まった時

 一つ目は、内痔核に血栓が詰まってしまった時です。内痔核に血栓が詰まって脱出したままになり、しかも血流障害を起こした状態を嵌頓痔核と言います。血流障害が続くと、脱出したままの内痔核が壊死に至ることもあります。また脱出したままにならなくても肛門内に内痔核があっても、そこに血栓が詰まってしまうと脱出していなくてもとても痛いです。またそこを排便時便が通るので、排便時の痛みも伴います。

 嵌頓痔核の場合は、消炎鎮痛剤の座薬などを使って、痛みをとり、ある程度落ち着いてから痔核根治術をすることもありますが、嵌頓痔核で痛みが強い時に、直ぐに痔核根治術をすることもあります。直ぐに痔核根治術をする場合は、入院や術後の外来通院などもあり、ある程度仕事などの日程が付くときに行います。ただ、嵌頓痔核は常時痛みがあります。痛みが原因で、手術をしなくても痛みのため、仕事どころではないため、直ぐに手術をされる患者さんが多いです。でも先にお話したように消炎鎮痛剤を使いながら、仕事などの予定をたててから待機的に痔核根治術をすることも可能です。今の痛みの状態や仕事などの予定などを考えながら医師と相談して手術を決めたらいいと思います。

内痔核に裂肛を合併した時

 二つ目に、内痔核が痛くなる原因は、排便時に内痔核が脱出したり押し込んで戻したりしているうちに肛門に傷がつき、裂肛を合併することがあります。脱出する内痔核に裂肛が合併してしまうと、排便時も痛いですが、押し込むときも痛い。そして痛みのため、内肛門括約筋の緊張が強くなると、押し込んだ後も痛みが持続するようになります。
 この脱出する内痔核に裂肛が合併した時も痛みが強くなります。脱出する内痔核に裂肛が合併すると内痔核が出たり戻したりするため、裂肛そのものも徐々に悪化して、痛みも段々強くなっていってしまいます。

 こういった裂肛が合併して痛く内痔核の特徴は、肛門上皮の部分の腫脹が強いタイプの内痔核に起きやすい印象があります。粘膜部分だけの静脈瘤が脱出する内痔核の場合は、出血は多いですが、あまり裂肛を合併しないように思います。肛門上皮に腫脹が強いタイプの内痔核はあまり出血はしませんが、裂肛を合併したり、血栓が詰まったりして、出血よりは痛みが出るタイプの内痔核だと思います。

 この裂肛が合併した内痔核もやはり手術をしてスッキリ治す必要があります。脱出する内痔核に裂肛が合併すると、裂肛も治っていいきません。

 ただ、血栓が詰まった嵌頓痔核も、裂肛が合併した内痔核も手術をすることで常の痛みはグッと楽になります。嵌頓痔核の様に常に痛みが続くということは術後はありません。排便時の痛みはありますが、これも710日ほど経つとスッと楽になります。
 また裂肛が合併した内痔核は術後の排便時の痛みも楽になります。手術で肛門に傷はできますが脱出する内痔核に裂肛があるよりはずっと痛みは楽です。

 このように通常痛みがない内痔核も血栓が詰まったり、裂肛を合併すると急に痛みが出る辛い内痔核になってしまいます。このような状態になった時は迷わず肛門科を受診して、どのように治していくかを知師としっかり相談してくださいね。

2020.07.14

「おからパウダーのヨーグルトケーキ」のレシピを紹介します

 7月も2週間が経ちました。今日は午後から雨も上がり、久しぶりに青空を見た気がします。夕方は風も涼しく、蒸しっとしていたのが一転爽やかになりました。なかなか明るいニュースがない中少し気持ちが張れる気がしました。

 8月のレシピは、まずは鰻を使ったレシピを紹介してきました。栄養を付けて、これからの暑い日々を乗り切ろうというテーマです。

 さて、今日は久しぶりにスウィーツのレシピを紹介します。

 今回のスウィーツは「おからパウダーのヨーグルトケーキ」です。

 おからは肛門科的には便秘に良い食材です。便の量を増やしてくれます。便の量が増えることで、大腸を刺激して、大腸の動きを良くしてくれます。
 時々「私は便秘だから、消化のいいものを食べるようにしています。」という方がいます。でもこれは間違いで、いくら沢山食べても、消化の良いものを食べていると、消化され吸収され便のもとが少なくなって、かえって便が出なくなってしまいます。やはり、便のもとになるものもしっかり摂らなければ便秘はよくなりません。そんな点、おからは便の量を増やしてくれます。
 また、おからパウダーを調べてみると、ダイエットにもいいとのことです。
その理由として、先ほどお話したように便の量を増やしてくれることで快便が得られることも一つの理由だと思います。同じような理由で、おからパウダーを摂ることで、満腹感も得やすいとのことで。おからパウダーが水分を含むことで、3倍近く膨れ量が増えるそうです。そのために満腹感が得られやすく、過度に食べてしまうことを防いでくれるようです。
 また、私はまだおからパウダーを食べたことはまだありませんが、おからパウダーはそのままでも食べれるそうで、しかもあまり味がないとのことで、他の食材の味の邪魔をしないとのことです。ヨーグルトにおからパウダーをかけて食べるだけでもよさそうです。

 時々、ダイエットのために食事制限をしたりすることで、便秘になったり、また便秘が悪化したりすることがあります。そんなことを考えると、おからパウダーはダイエットにもいいし、便の量も増やしてくれるので、便秘にもいい。一石二鳥ですね。

 ではそろそろレシピを紹介しますね。

「おからパウダーのヨーグルトケーキ」

全量   約360kcal、たんぱく質 21g、食物繊維 8.7g

材料(1つ分)

おからパウダー 20g
ヨーグルト  100g
 水切りせずそのまま使用
卵        2
砂糖      大さじ2
お好みではちみつやメープルシロップやジャムをかけても

(作り方)

  • ①卵を卵黄と卵白に分け、卵白を泡立ててメレンゲを作る。
  • ②別の容器で卵黄・ヨーグルト・砂糖を混ぜる。
  • ③②に①の1/3を入れしっかり混ぜる。

④残りの①をふんわり混ぜ、電子レンジ500Wで4分チンする。

管理栄養士さんから一言

おからパウダー
おからを乾燥させ細かい粉末にしたもので、低糖質(小麦粉の1/8)
・高たんぱく質(納豆の1.5倍)・食物繊維は木綿豆腐の100倍以上です。
普段の飲み物やヨーグルト、炒めものやカレーなどにも混ぜるだけで手軽に使えるので便利です。

 

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※日曜日・祝日は休診です。
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