診療後、窓口負担ってどうやって決まるの?

今日、診察が終って会計をする際に、「再診料と処置料等を合計すると134点。1点が10円なので、1340円。その30%負担なので、今日は400円ですよ。」と言って会計すると。「そんな風な仕組みになっているんですね。初めて知りました。」と。そして医療機関で払う金額が違うのは?」ときかれたので、「渡邉医院では、手術や痔核硬化療法。軟膏や飲み薬など、自分が受けている医療行為と点数が一致するのでわかりやすいんですよ。内科などでは、管理料や指導料など実感がない医療行為に点数が付いていて、その管理料や指導料は、その医療機関の施設基準など、施設施設でとれる点数や取れない点数があるからですよ。」とお話すると。「そうなんですね。今度、明細書もらった時はみてみます。」と言って帰られました。
医療機関を受けて窓口で会計をする。その時の料金がどうなっているのかを十分に理解している患者さんは少ないのかなあと思い、今回はどんな仕組みで窓口で支払う料金が決まるかを少しお話したいと思います。
様々な医療行為に対してすべて点数がついています。そしてその点数は2年に1回づつ見直され、改定されます。今年の4月に改訂がありました。次は2年後です。
一つ一つの医療行為に点数が付いているのですが、例えば初診料というのがあります。初めて医療機関を受診した時につく点数です。今は、この初診料は288点です。ですから初診料だけですと288×10円=2880円となります。そして自己負担が3割の人は、2880×30%=864円。四捨五入で860円の窓口負担になります。2回目以降医療機関を受診する際の再診料は73点です。73×10円=730円。3割負担の方は730×30%=219円。ですから220円の窓口負担になります。こんな風にして計算して窓口負担が決まります。
少し詳しく例を挙げて説明しますね。
渡邉医院を始めて受診して、内痔核があったとします。出血も多いのでパオスクレーという痔核硬化剤で痔核硬化療法をして。軟膏も処方されたとします。その時はどうなるかです。
初診料:288点 痔核硬化療法:1660点 パオスクレー5ml:128点 軟膏:13点 調剤料:8点 処方料:42点
となります。これを全部足すと。288+1660+128+13+8+42=2139点となります。
2139×10円=21390円。3割負担の方だと21390×30%=6417円。四捨五入で6417円の窓口負担となります。こんな感じで決まっていきます。
渡邉医院の場合は、指導料や管理料などの実感のない点数が無いので、点数と窓口負担がわかりやすいと思います。ただ、内科系などの医療機関ですと、その管理料や指導料などが点数に加わってきます。この管理料や指導料が患者さんにとってはとても解り難いのだと思います。でも、この管理料や指導料は、患者さんにとっては解り難いのですが、とても大切な点数でもあります。例えば糖尿病や高血圧症の患者さんにどういったことに気を付けて生活をしたらいいか、どのような食事をしたらいいか。また、血液の検査などを行った結果を見ながら内服薬の調整をした理、次にいつ検査をしたらいいか、またどんな検査が必要なのかを考え、管理していく。そして指導していく。目に見えない医療行為ですがとても大切だと思います。またこの管理料や指導料が各医療機関の施設基準で変わってきます。また、初診料や再診料なども診療所と病院では違ってきます。
ただ、手術料などは日本全国どこの医療機関に言っても同じ点数です。例えば痔核根治術は5190点、痔瘻根治術は3750点、裂肛根治術は3110点と、この点数はどこの医療機関でも変わりません。
渡邉医院は有床診療所です。入院の施設があります。この入院の際にかかる入院基本料は各医療機関の人員配置(看護師の人数等)等、施設の規模や医師や看護師などの配置人数などで点数が違ってきます。渡邉医院の1日の入院基本料は776点です。
また、手術の点数はどの医療機関でも、診療所でも病院でも同じです。でも手術の際の麻酔の仕方で手術にかかる点数が変わってきます。渡邉医院は局所麻酔で手術をします。ですから手術の際にかかる麻酔量は麻酔薬の薬剤費だけです。これが腰椎麻酔や硬膜外麻酔、また全身麻酔等麻酔の仕方で点数がちがってきます。また麻酔の際の麻酔管理料なども加算されます。局所麻酔だけですと麻酔薬の薬剤費だけで、麻酔の管理料はありません。
このようにいろんな点数を足したものに10円をかけて、各自の負担割合(1割負担、2割負担、3割負担など)で窓口で払う費用が決まってきます。
今度医療機関にかかられた際には、一度明細書を見て確認してみて下さいね。
公衆衛生行政の充実を求めて。

もうすぐ9月になります。まだまだ厳しい残暑が続いています。でももう9月。残すところ今年も4か月。早いものです。
今年は新型コロナウイルスの感染拡大から始まって、新型コロナウイルスで終わる。まだまだ今年で収束知るかどうかもわからない状況です。
さて、新型コロナウイルスの感染拡大の中、保健所など公衆衛生行政の不十分さ、脆弱さを露呈しました。また、これまで進められてきた公衆衛生行政の縮小の影響が今の現状を反映していると思います。
公衆衛生行政の充実を求める京都市実行委員会が発足して、特に京都市の公衆衛生行政の充実を求めるためのシンポジウムの開催や、財源論を含めての提言を出すために委員会を開催しています。今回は第2回で議論された内容を紹介しますね。
「見せかけの人員増では乗り切れない」
公衆衛生行政の充実を求める京都市実行 委員会第2回を8月 26 日に開催しました。 冒頭、保健所・公衆衛生政策をめぐる京 都市の現状について意見を交換。
市が7月 29 日に開催した新型コロナウイルス感染症対策本部会議で、8月1日付で保健師の 体制見直しを発表し、翌日には「8人増加 で体制強化」などと京都新聞で報道されました。しかし実態は、20 年3月末まで新型 コロナの対応を行ってきた部署を、4月の 機構改革で別所属に。兼職をかけたうえで 実質的にはコロナ対応を行っていました。 それを8月に再び同じ所属に戻したという もの。
報告した出席者は「これは増員とは 言わず、体制強化には程遠い」と強く批判 しました。 また別の出席者は、保健師らの時間外労働について、5月以降、職員の大半が月 100 時間を超え、月 200 時間超の職員も複数人いると報告。
現在、PCR検査を受けてから結果が出 るまでの間、患者さんに重篤な症状があれば医師の判断で入院もあり得えますが、無症状の場合はいったん帰宅し、結果がでるまでは自宅待機。結果が出るのは早くても検査日翌日で、陽性の場合はそこから保健師らが調査に入ります。感染症を広げないという観点から時間外労働になってしまいますが、そうした業務を少ない人員で回すために、これだけの過重労働が強いられて います。いつ誰が倒れてもおかしくない状況の中、出席者から体制崩壊に対する強い危機感が示されました。
この問題に対しては、人員増を図ることでしか解決しないと 意見が一致。
毎年見直される定数条例の縛 りや人員増に対する総務省からのプレッシャーをどう跳ね返すかが課題となるとした うえで、実行委員会として人員増の要求を行うことを確認しました。
一方で、ドライブスルー形式のPCR検 査における車の誘導までも、最近まで保健師が担っていました。ようやくアルバイト が雇い入れられましたが、全体的な仕事の中にまだまだ事務的な作業があります。どこまでを事務職、どこまでを専門職が担当するのか、業務スキームの見直しも過重労働解消に向けた課題です。
また、実行委員会では「保健所の抜本的な体制強化を要請するにあたり、市民サー ビス、あるいは市民の新型コロナへの不安にどう応えられるようになるのかなどを打ち出さないと市民の協力は得られないのではないか」といった意見も出されました。
そもそも新型コロナの行政対応においては、市民の殺到やパニックを懸念して帰国者・接触者外来は非公表。感染した場合の治療スキームも不明瞭で、市民に情報が十分に伝わっているとは言えません。これでは市民の不安が解消されるわけがなく、地域住民に対する時時刻刻の情報発信、予防策の啓発等、もしもの時の対応についてア ウトリーチによって理解してもらう取り組 みが必要だと確認しました。
さらに、京都市衛生環境研究所への問題 にも言及。脆弱な体制などと報道されていますが、保健所と一体となって新興感染症対策が行えるよう、予算措置も含めた要求を行うことを確認しました。
今後は京都市の保健師らに対する聞き取り調査、並行して市民アンケートを実施し詳細な実態把握に努めるとともに、11 月1 日に開催するシンポジウムで調査結果の発表を行う予定です。
以上が第2回目の実行委員会の内容です。今後も委員会での議論の内容などを紹介していきたいと思います。
私たちにとってとても大事な保健所をはじめとした公衆衛生行政。その充実こそが、今の新型コロナウイルス感染拡大に対抗できる手段です。さらに今後も発生するであろう新興感染症に対して、十分な備えを今からでも整えていかなければなりません。
血栓性外痔核。血が出たけど大丈夫?

8月も残すところ1週間です。まだまだ暑い日月ずいています。でも夕方、日が暮れるのが少し早くなってきました。秋が少し近づいてきたのかなあと思います。
まだまだ暑い中、新型コロナウイルス感染対策と、熱中症対策の両方ともとっていかなければなりません。水分をしっかり摂って、そしてバランスの取れた食事を摂って、もうしばらく続く残暑を乗り越えていきましょう。
今日は、最近のTwitterの相談の中に、「血栓性外痔核と言われたが急に出血して心配。」といった内容の相談がありました。このことについて少しお話したいと思います。
血栓性外痔核は、以前にもお話したことがありますが、肛門の外側の静脈に急に血栓が詰まって腫れて痛い病気です。もともと細かな静脈が集まっているところなので、血液の流れは悪いところです。また人間は寝ているとき以外は肛門は常に心臓より下です。重力もあり、鬱血して血液の流れが悪いところです。
こういったところに、冷えたり、疲れたり、忙しかったり、そして寝不足だったりストレスがかかるとさらに血液の流れは悪くなってしまいます。またストレスがかかると血栓ができやすくなってしまいます。ストレスがかかると血小板がくっ付き易くなって血栓ができやすくなってしまいます。また、今この暑い時期、汗をかいたりして体の外にどんどん水分が出ていってしまいます。この出ていった水分が十分に補うことが出来ないと、血液は濃くなり、血栓ができやすくなってしまいます。血栓ができにくくなるように、この時期十分に水分を摂ることが大切です。
こういった血栓ができやすい条件が揃い、さらに便秘だったり下痢だったりして排便時にグッと頑張る時間が長かったり、重たいものを持ったりしてお腹に力が入った時に血栓が詰まってしまうことがあります。
ですから、血栓性外痔核は、もともと持っていたものが悪くなって腫れて痛くなったり、以前具合が悪かったところにまたできてしまったというわけではありません。たまたまいろんな条件が揃って、さらに排便の状態などが悪くてグッと頑張った時に、たまたま血栓が詰まってしまったということです。
基本的に血栓性外痔核は自然に腫れが治まって痛みは楽になっていきます。指を挟んで血豆が出来て腫れていたとか、どこかをぶつけて青く内出血して腫れて痛いと同じです。腫れが引くと痛みは楽になります。血栓は直ぐにはなくなりませんが、段々溶けて吸収して治っていきます。
血栓性外痔核の治療は、腫れて痛い、この痛みをとることが治療の目的です。消炎鎮痛剤の座薬を入れることで腫れが引いて痛みは楽になります。また、お風呂でゆっくり温まることでも腫れが引いて痛みが楽になっていきます。また時間が経つと腫れが治まっていくので、時間も解決してくれます。このように血栓性外痔核は急に出来て腫れて痛い病気ですが、なった後は徐々に腫れが引いて痛みはとれ、血栓は溶けて吸収していき治ります。
さて相談があった血栓性外痔核が急に血が出てしまったことに関してですが、これは血栓、血豆が破けたための出血です。出血した時は一瞬「アッ!」と思いますが、心配しないでください。血豆が破けて、詰まっていた血栓や溶けた血栓が出てきただけです。詰まっている血豆が全部出てしまうと出血もしなくなります。傷が出来て傷口から出血しているわけではなく、詰まった血栓が出てきているだけです。自然に溶けて吸収して治るよりも、破けて血栓が出てきた方が、早く治ってくれます。
また血栓性外痔核が痛い原因は、キンキンに腫れているところにあります。キンキンさが取れて、少ししなっとなると痛みは随分楽になります。血栓が破けた際、出血して一瞬不安になりますが、血栓が破けることでそのキンキンさが取れるので、破けることで痛みもスッと楽になります。
また、血栓が破けたところから細菌が感染して化膿するということもありません。破けた状態でもお風呂に入ると、さらに痛みも楽になりますし傷の具合もよくなります。
「出血」するととても心配で不安になりますが、痛みはスッと楽になりますし、治りも早くなります。ですから血栓性外痔核が破れて出血しても心配しないでくださいね。
ただ、早く治そうと思って血栓をつぶそうとは思わないでくださいね。
今、新型コロナウイルス禍に社会保障を想う。

新型コロナウイルス感染拡大に対して、緊急事態宣言を出したことで、一端は感染者が減少したが、宣言解除後、再び新型コロナウイルスの感染が急速に拡大しつつあります。これに対して、国はなすすべを持たないのか、何の術を施すことなく、ただただ経済活動へと舵を切ってしまっています。
新型コロナウイルスの感染拡大は「自粛」では収束させることが出来ないことが今回の緊急事態宣言解除後の状況を見ると明らかです。収束させる唯一の方法は、やはり安心して使うことが出来る治療薬と予防や症状軽減に対してのワクチンの開発しかありません。それまでは、いかに感染拡大のスピードを抑え込むか、そして新型コロナウイルス感染から重傷者や死亡者をなくすことを目指すことにかかっています。そのことに対して、私たちはしっかり取り組んでいかなければなりません。
そして私たち医師をはじめ、医療にかかわるものはそのことに責任をもって行動することが求められています。ただ、これには私たち医師をはじめ、医療にかかわるすべての人たちへの正しい認識、評価を国民の全ての人たちに持ってもらわなければなりません。医療従事者やその家族の人たちへの差別、誹謗中傷が残念ながら起きていることも事実です。
今私たちが立ち向かわなければならないのは新型コロナウイルスの感染拡大です。このことをしっかり認識して、間違った方向へ自分自身の不安や恐怖をぶつけないよう心掛けなければなりません。
さて、今回の新型コロナウイルスの感染拡大によって、これまで国が推し進めてきた医療や介護などの社会保障改革が破綻したことは明らかです。したがって、感染が収束したとしてもこれまで通りの政策を再起動させてはなりません。新型コロナウイルス感染拡大前までに進められていた改革が正しかったのかをしっかりと検証する責任が国にはあるはずです。
しかし、これまでの国の姿勢はこういった危機を利用してさらなる新自由主義改革を推し進めてきました。今回の新型コロナウイルス感染拡大をも利用して、さらなる改革を推し進め、貫徹させようとすることは間違いありません。私たちはこのことに対してしっかりと対抗していかなければならなりません。それには公的な社会保障で日本で暮らす全ての人たちの命や健康そして暮らしを守る新しい福祉国家を求め、つくることが必要であり、そのことが私たちに求められています。
また、新型コロナウイルス感染拡大以上に危惧することに、私たちの「心を蝕むウイルス」の感染拡大です。人への思いやり、優しさが新型コロナウイルスの感染拡大によってどんどん蝕まれているように感じます。
また、密を避けるために、どんどん人とのつながりが壊されてしまっています。また見えないものに対しての不安や恐怖を見えるものにぶつけてしまう。こうした「心を蝕むウイルス」に対しても私たちは対抗していかなければなりません。今、この時期だからこそ私たちの持っている「優しさ」、「相手への思いやり」を最大限に発揮しなければなりません。
新型コロナウイルスの感染拡大の収束が見えない今の状況のなか、社会保障充実の運動のみならず、反核平和の運動、憲法問題などの市民運動が制限されてしまっています。しかし、今この時期だからこそ、こういった市民運動を強めていかなければなりません。新しい運動の仕方、あり方など模索しながら、確実に、社会保障の充実そして憲法を守り生かす平和な国造りに向けて私たちは進んでいかなければなりません。
内痔核に痔核根治術をした後、スッキリ治らない原因と対処法

お盆も明けて、8月も後半に入ってきました。毎日毎日、猛暑が続きますね。熱中症には気を付けて下さいね。水分だけでなく、バランスの取れた食事を摂るように心がけて下さい。
ただ、夕方になるとなんとなく涼しくなってきたような気がします。気がするだけかもしれません。でも着実に秋には季節は進んでいます。
さて、内痔核に対して痔核根治術を受けられた後、スッキリ治らずに、排便時の痛みや出血が続いていると言って受診される患者さんがいます。
決心して手術を受けたのにスッキリ治りきらずいつまでも嫌な症状が続く。とても辛いことだと思います。手術を受けて1か月経っても排便時の出血や痛みが続く場合は、医師に今の状態と今後の見通しを聞いてみて下さいね。
さて、内痔核に対して痔核根治術をした後に、スッキリ治りきらない原因についてお話したいと思います。
痔核根治術をする際に肛門上皮と言って肛門の中に皮膚の部分があって、どうしてもこの皮膚の部分に傷が出来ます。排便時に痛みが出る傷は、この肛門上皮にできる傷です。この肛門上皮の傷を具合よく治るようにするために肛門の外側にドレナージという傷を作ります。
治り方の順番は、肛門上皮の傷が治った後にドレナージの傷が治る。この順番で治る必要があります。先にドレナージの傷が治ってしまい、肛門上皮の傷が残ってしまうと、言ってみれば裂肛(切れ痔)と同じ状態になってしまいます。
また、肛門上皮の傷が治ると同時にドレナージの傷が治っても、具合よく治らないことがあります。それはドレナージの傷は肛門の外側にある傷なので、排便の状態に影響されずに治っていきます。でも肛門上皮の傷は、便が硬かったり下痢だったりすると、一端治ったかなあと思った傷がまた便によって切れてしまうことがあります。裂肛と同じです。ですから理想は、肛門上皮の傷がしっかり治った後も、少しドレナージの傷が残っている。肛門上皮の傷が治ってからドレナージの傷が治る。これが理想です。
痔核根治術を受けた後、具合よく治らない多くの場合が、裂肛様になってしまうことです。しっかり肛門上皮の傷が治りきらず、裂肛様になると、そのまま我慢していると慢性の裂肛になっていってしまいます。治りきっていない傷の外側に皮垂(スキンタグ)が出来たり傷の奥にポリープが出来たりです。
予定通りに治っていかない場合は、ドレナージの傷が先にふさがり肛門上皮の部分の傷が取り残されてしまう時に起きてしまいます。
では対処方法です。
このままだとスッキリ治りきらないと判断して早期の場合は、もう一度肛門上皮の傷を治りやすくするために、ドレナージの傷をつくり治します。
「また傷ができる。」と思ってしまいますが、ドレナージの傷は肛門の外側の傷です。直接便が通るところにできる傷ではありません。ですからもう一度ドレナージの傷をつくり治しても、そのために痛みが強くなるということは有りません。肛門上皮の傷の治りがよくなるので、排便時の痛みもスッと良くなります。
ただ、痛みをどうしても我慢してしまうと、慢性の裂肛様になることがあります。肛門上皮の傷が便意よって慢性の炎症を起こすことで、裂肛の時にできる皮垂(スキンタグ)が出来ることがあります。また裂肛と同様に肛門ポリープもできてしまうことがあります。また排便時の痛みが続くことで内肛門括約筋の緊張が強くなり、排便時の痛みが強くなったり、排便後も痛みが持続するようになります。こういった状態になった場合は、裂肛根治術に準じて手術をします。
でも裂肛の根治術を行った後、排便時の痛みがスッと楽になるように、肛門上皮の傷が治らず慢性裂肛様になっても裂肛根治術をすることで治りが良くなり痛みもスッと良くなっていきます。
内痔核に対して痔核根治術を受けた後、1か月ほど経っても痛みが続いたり、または排便時の痛みが強くなったり、また出血が続くようなことがあれば、医師に今の状況がどうなのかをしっかり聞いて下さいね。そして、今後の見通しや、もう一度手術が必要なのか。手術が必要であればどのような手術がもう一度必要なのかをしっかり聞いて下さい。
治り難くなっている原因を取り除くことで、スッキリ治っていきます。心配しないでくださいね。
75回目の終戦記念日を迎えて。

今日は75回目の終戦記念日です。新型コロナウイルスの感染拡大もあって、戦争のことを考える余裕がないかもしれません。でもこんな時だからこそ、戦争が残した傷跡。それがいまだに続いていることに思いを寄せ、二度と戦争が起こることのない平和な世界へ向けて私たちは確実に一歩づつ前を向いて進んでいかなければなりません。そのためには過去を振り返り、なぜこのような悲惨な戦争が起きてしまったのか。なでそれを止めることが出来なかったのかをしっかり検証して、反省することでようやく前に進むことが出来ます。このことなしでは、また同じことが繰り返されてしまうと思います。
少し父のことをお話します。父は生前、反核平和の運動をしていました。そんな父は広島県の江田島にある海軍兵学校で終戦を迎えました。
終戦を迎え、京都に帰ってきた父は旧制第三高等学校への編入試験をうけました。そのときの口頭試問の質問が「こんどの戦争は正しかったと思いますか?」でした。
この質問は残酷な質問だと思います。軍国主義純粋培養の形で教育され、小学校、京都一中、そして海軍兵学校と、その教育の中で優等生として育ってきました。教練の教官からもかわいがられていたとのことです。日本のため軍国主義純粋培養してきた教育者からの質問です。どういう答えを求めていたのでしょう。「今でも正しいと思っている。」、「今からでも戦いに行く。」という答えを求めていたのでしょうか?これまで正しいと教えられてきたものを、「今回の戦争は間違っていた。」ときっぱりと答えることはできないはずだと思います。しかも17歳です。父の出した答えは、「貴方達教育者から正しいと教えられ、それを信じて今まで生きてきました。」です。この質問の答えを探すことがその時の父の生きるテーマでした。
戦争は、いつの間にか、その実態を隠しながら私達に迫ってきます。そして教育という名の下、戦争を正しいものへと変え、私達もそのことを疑うことなく進んでいってしまいます。私たちはなぜこのような戦争が起きてしまったのか。なぜ防ぐことができなかったのかということをしっかり検証し、反省しなければなりません。このことがなければ、必ずまた同じことを繰り返していきます。
教育によって戦争へと少しづつ変化させていきます。そして、その変化を気づかせないようにします。またその変化を正しいもの、正しい方向に進む変化だと教育していく。教育改革といった言葉がでたときは、どんなことが変わっていくのかに注意が必要だと思います。
また、特定秘密保護法などは、この変化すら、見ることができないようにする。その変化に気づいて声を上げようとしたら罰せられてしまう。また、そのことについて問題意識をもって、反対しようと皆で相談すると、共謀罪でつかまる。そして報道への圧力や規制です。報道への圧力、規制によって正しいこと、本当に起きている真実が報道されなくなってしまいます。報道の自由度ランキングというものがあります。国際的なジャーナリストの団体「国境なき記者団」が発表するもので、180か国でそのランキングが決められています。日本の報道の自由度は、2009年は17位、2010年では11位でした。それが2016年のランキングは72位まで大きく後退してしまっています。2017年も72位、2018年、2019年には67位、2019年は66位になっていますがまだまだ低く、G7 では最下位です。
新型コロナウイルス感染拡大の中、どうしても感染を防止するには人とのつながりが薄れていってしまいます。また、相手をそして自分をも疑ってしまう。そんな状況になってしまいます。見えないものへの恐怖を見えるものへとぶつけることで、自分の恐怖や不安を取り除こうとする、そんな人間の心が今、新型コロナウイルスの感染拡大の中、増幅されて言ってしまっています。人の「心を蝕むウイルス」の感染拡大です。新型コロナウイルス感染者への誹謗中傷。感染者のネットでの焙り出し。また、医療従事者やその家族、子どもたちへの差別。こういった「心を蝕むウイルス」が広がっているように思います。やはり今、私たちに大切なことは、相手を思いやる優しさ。それを最大限にすることだと思います。そういったことが今目の前にある新型コロナウイルスの感染拡大から、私たちの心の優しさを守り、打ち勝っていく方法だと思います。またそのことが、戦争のない平和な世界へと繋がっていくと思います。
今、新型コロナウイルス感染が拡大している中、こういった時だからこそ、戦争に対して、二度と起こさない誓いを皆さんと共にしたいと思います。
「秋の始まりを感じる定食」を紹介します。

今日は75回目の終戦記念日です。新型コロナウイルスの感染拡大もあって、戦争のことを考える余裕がないかもしれません。でもこんな時だからこそ、戦争が残した傷跡。それがいまだに続いていることに思いを寄せ、二度と戦争が起こることのない平和な世界へ向けて私たちは確実に一歩づつ前を向いて進んでいかなければなりません。そのためには過去を振り返り、なぜこのような悲惨な戦争が起きてしまったのか。なでそれを止めることが出来なかったのかをしっかり検証して、反省することでようやく前に進むことが出来ます。このことなしでは、また同じことが繰り返されてしまうと思います。
新型コロナウイルス感染拡大の中、どうしても感染を防止するには人とのつながりが薄れていってしまいます。また、相手をそして自分をも疑ってしまう。そんな状況になってしまいます。やはり今、私たちに大切なことは、相手を思いやる優しさ。それを最大限にすることだと思います。そういったことが、今目の前にある新型コロナウイルスの感染拡大から、私たちの心の優しさを守り、打ち勝っていく方法だと思います。またそのことが、戦争のない平和な世界へと繋がっていくと思います。
さて、まだまだ夏本番、真っただ中ですが、9月のレシピを使った「秋の気配を感じる定食」を紹介しますね。
「秋の気配を感じる定食」
9月の献立
・さんまの蒲焼開きを使って
・茄子ときのこの味噌炒め
・切り干しともやしのもずく酢和え
・パプリカとインゲンのピクルス(ナス・しめじ)
・ゴーヤの佃煮
・ご飯
メインを茄子かサンマかどちらかにした時の1人分
茄子 :約650kcal、たんぱく質25g、食物繊維6.2g、野菜摂取量220g
サンマ:約600kcal、たんぱく質22g、食物繊維10g、野菜摂取量270g
管理栄養士さんから一言
野菜
野菜は1日350g取ることが推奨されていますがどの年代も足りていないのが現状です。350gは小鉢で5皿が目安になります。
私たちは野菜からビタミンAやKの半分・ビタミンCや葉酸の30%・その他のビタミンやミネラルをとっています。食物繊維の40%も野菜由来です。
ベジファーストのように食べる順番でも健康効果が期待できます。
食品はいい成分・ほしくない成分が混在していているので「〇〇だけ食べたら」ということはなくいろいろ組み合わせて食べることが大切です。
「さんまの蒲焼(開きを使って)」のレシピを紹介します。

9月最後のレシピは「さんまの蒲焼(開きを使って)」です。
8月に入って、急に暑くなってここ数日は京都は猛暑日が続いています。夏と言えば夏なのですが、やっぱり暑いです。熱中症に注意しながらコロナ対策。大変な夏です。
暑さが続くとどうしても食欲が落ちてしまう方もいます。難しいですが、暑い時こそ、しっかり食べて、この暑さに対抗できる体を作らなければと思います。そのことが新型コロナウイルスに対しての免疫力を高めるかなあと思います。しっかり食べ、しっかり水分を摂って、そしてしっかり睡眠をとる。このことが大事です。夜も迷わずエアコンを入れて、快適に十分な睡眠をとりましょう。
今回のレシピはさんまを使ったレシピです。さんまと言えば一番最初に頭に浮かぶのはさんまの塩焼きです。大根おろしに(私はポン酢で食べるのが好きですが)醤油をたらし、白ご飯を食べる。美味しいですよね。
でも残念なことに、さんまの漁獲量は年々減少しています。調べてみると、2019年の水揚げは、11年前の2008年の水揚げの8分の1までにも減ってきているとのことでした。海水温の上昇も一つの原因のようです。地球温暖化が影響しているのですね。
今年のさんまはどうなるか心配ですが、美味しく食べれる庶民の魚に戻って欲しいなあと思います。
という少し寂しい話になってしまいましたが、今回はさんまの開きを使っての蒲焼。アツアツのご飯にとても合うと思います。食欲が落ちてくる中、しっかり食べて栄養を付けましょう。
ではレシピを紹介しますね。
「さんまの蒲焼(開きを使って)」
1人分 約260kcal たんぱく質 18g 食物繊維 1.2g
材料(2人分)
さんまの開き 2尾
小麦粉 適宜
油 小さじ2
★水 大さじ2
★はちみつ 大さじ1
★酒 大さじ1
★しょうゆ 大さじ1
小松菜 100g
(作り方)
- ①小松菜(冷凍)は電子レンジにかけ解凍する。
- ②さんまの開きの頭と骨を取り、難文に切って薄く小麦粉をつける。
- ③★を合わせる。
- ④油を敷いたフライパンで②を焼き③をからめる。
- ⑤器に①と④を盛り付ける。
- 管理栄養士さんから一言
-
さんま
サンマの漁獲量は年々減少していますが今年はさらに少なく去年の価格よりの高くなりそうです。
サンマには良質なたんぱく質・カルシウム・ビタミンDやA・鉄・EPA・DHA
などたくさんの栄養成分を含んでいます。
油溶性の成分が多いので油も取れる調理法が理想的です。
「パプリカとインゲンのピクルス」と「ゴーヤの佃煮」のレシピを紹介します。

9月のレシピのテーマは、「価格高騰でも野菜たっぷり!」です。
夏になるとなぜかカレー等辛いものや、酸っぱいものが欲しくなります。暑さのため、体が欲しがるのかもしれません。
中学の頃、部活でテニスをしていました。夏の練習が結構きつかったのを憶えています。ポリタンクに麦茶やカルピスを入れて冷凍庫で凍らしたものを持っていき、練習の休憩の時に溶けた冷たいのを飲んでいました。
またレモンを輪切りにして、蜂蜜に付けたものを食べたり、レモンそのものをみかんの様に剥いて食べたり。意外とレモンの酸っぱさがその時はとても美味しかったことを思い出します。今、この文章を書いているとき酸っぱさで唾液が出てきました。きっとこの唾液が出るのも体にいいのかなあと思います。
母も酢の物が好きで、よく春雨とワカメの酢の物を作っていました。なかに、キュウリやみょうがを刻んだものを入れると美味しいです。母はよく、「私は酢の物さえあればいい。」なんて言っていました。小さい頃はあまり酢の物は好きではなかったのですが、この暑い時期、やっぱり酢の物は美味しいですね。
今日のレシピは、「パプリカとインゲンのピクルス」と「ゴーヤの佃煮」です。
「パプリカとインゲンのピクルス」は赤、黄色、緑と色鮮やかで「夏!」という感じを受けます。色鮮やかで美味しそう!ピクルスもこの暑い時期、ビールのつまみにも合いますね。またおやつ代わりにパリパリ食べるのもいいなあと思います。
「ゴーヤの佃煮」と聞いてゴーヤと言えばゴーヤチャンプル。ゴーヤの天ぷらを思い浮かべますが「ゴーヤの佃煮」苦しょっぱいのかなあと思います。ゴーヤも夏をイメージします。苦さが美味しく感じます。ゴーヤチャンプルでご飯モリモリと言った感じですね。
どちらもビールに合いますよね。きっと!ではそろそろレシピを紹介しますね。
「パプリカとインゲンのピクルス」
全体量 約350kcal、たんぱく質 2g、食物繊維 3.3g
材料(2人分)
冷凍パプリカ 150g
冷凍インゲン 50g
寿司酢 大さじ4
オリーブオイル 大さじ2
粒胡椒 少々
作り方
①袋に凍ったままの野菜と調味料を入れる。
*冷凍野菜を使うことで味が早くしみこみます。
「ゴーヤの佃煮」
全体量 約200kcal、たんぱく質 8g、食物繊維 6g
材料(作りやすい分量)
ゴーヤ 1本
ほんだし 小さじ1
砂糖 大さじ1
しょうゆ 小さじ1
酢 大さじ1
いりごま 小さじ2
かつお節 1袋
ごま油 適宜
作り方
①ゴーヤは中身を取り薄切りにする。
②ごま油で①をしんなりするまで炒める。
③他の材料をすべて入れ汁気がなくなるまで炒める。
「手作りスポーツドリンク」のレシピを紹介します。

いよいよお盆という雰囲気になってきました。患者さんの受診も昨日までとは違って、今日はのんびりゆっくりでした。
渡邉医院はこれまでもずっとお盆休みなしでやってきました。今年も同様に休みなくカレンダー通りに診療をしています。明日金曜日、明後日土曜日も通常通りに診療しています。お尻の具合が悪い方は受診して下さいね。
8月に入って、本格的に夏!暑さも厳しく、毎日猛暑日が続いています。ニュースでは新型コロナウイルスの感染と同じように熱中症で病院に搬送される方の報道がなされています。新型コロナウイルス感染防止のためにマスクの着用は必要ですが、熱中症にも気を付けなければなりません。状況を見てマスクを外すなどこまめに調整が必要だと思います。
京都に帰ってくる前は、救命救急センターで仕事をしていました。夏には、重症の熱中症の患者さんが運ばれてきました。重症の患者さんになると、脳機能の障害や腎機能の障害も起こします。治療には持続の透析を行わなければならないこともあります。また熱中症で深部体温が40℃を超えてくると、骨格筋の変性や壊死なども起こしてきます。とても怖い状態です。
また、家の中で熱中症にかかる方の割合が高くなっています。家の中にいても、暑さに対して頑張りすぎず、冷房を付けて暑さ対策、熱中症対策をして下さいね。
また、喉が渇く前にこまめにこまめに水分を補給していきましょう。喉が渇いた状態では少し遅いと思います。そして、前回もお話したように、水分だけでなく、バランスの取れた食事も心がけていきたいものです。
さて、今日は管理栄養士さんが、自分で作れるスポーツドリンクのレシピを作って下さいました。簡単に作れそうなので、つくってみて下さいね。また熱中症になった場合は冷やしたペットボトルなど、わきの下などに当てて体を冷やすことも応急処置になります。何本か作って冷蔵庫で冷やしておくのもいいかもしれません。
では「手作りスポーツドリンク」のレシピを紹介しますね。
「手作りスポーツドリンク」
材料(1ℓ分)
水 1ℓ
砂糖 大さじ4
レモン汁 大さじ1
塩 小さじ1/2
写真は左から
(2018年8月紹介の)
梅ジュース
ジンジャーエールの素
砂糖の代わりに使うことができます。酸味はお好みで
(作り方)
全ての材料を混ぜる。
酸味はなくてもよいがある方が飲みやすい。酢でもよい
管理栄養士さんから一言
水分
今年はマスクをしていることもあり脱水・熱中症に注意が必要です。
ヒトのからだは約60%が水分で、この水分によって栄養分など必要なものが
運ばれ不要物は回収・排泄され体温調節なども行われています。
水分は食事からも約1ℓ取っています。呼吸や睡眠でも失われています。
まずは食事をしっかりとり、喉が渇く前に、ちょこちょこ頻回に飲むことが大切です。
普段の水分補給は水や麦茶など甘くない飲み物を、汗をたくさんかいたときはスポーツドリンクを飲んでください。