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2022.06.21

抗がん剤と腸内細菌

 皆さんこんにちは。今日は一日中雨ですね。やっと梅雨といった感じですね。
 さて、悪性リンパ腫の寛解に向けての5クールが終わり、いよいよ「完治」に向けた治療に向けて、明日から再度入院します。
 入院中は、抗がん剤の影響や環境の変化、そしてストレス等でやはりマグミットなどの緩下剤を内服して排便を調節していました。もともと調子よく出る快便なので、一旦退院した際はマグミットをやめて、具合よく便が出るように調整しています。なかなかこの調整が難しいです。

 最初は、そこまで便が来ているのに出ない。そこから、食事をしたり何か食べると、直ぐにお腹が張ってきて、それと同時にお腹周りや顔に痺れが来る。何とか出ると、お腹の張やお腹周りや顔の痺れが取れるといった感じの日が続きました。ようやく退院して1週間経ってスッキリ出るようになってきましたが、まだまだ本調子ではありません。
 こんなこともあって、抗がん剤が腸に与える影響、例えば腸内細菌へ与える影響、腸内環境に与える影響があるのではないかと、少し調べてみました。

 私が使った抗がん剤の中のオンコビンこれはブログでも紹介しましたが、自律神経障害を起こし、腸管の蠕動運動を抑制して便秘になりました。この障害が治まっていくのに私の場合は1週間、投与から2週間で回復してきたということでしょう。
 ただ、こういった直接の原因だけでなく、腸内細菌や腸内環境にも影響を与えるのではないかと思い調べました。
 こんな記事がありました。
 「薬も人によって良く効いたりあまり聞かなかったと個人差があります。この個人差という理由の一つが腸内細菌の違いだということが最近分かってきました。
 抗がん剤で例を挙げますと、ノーベル賞を受賞したオプジーボという薬がありますが、これはがん細胞が免疫系の攻撃を逃れる仕組みを持っているので、その仕組みを壊して自分の免疫に癌をやっつけさせるという薬です。この薬の効果の良しあしが、その患者さんの腸内細菌によって差があるということが言われてきています。
 まだまだこの分野は研究中ではありますが、この菌がいると効いて、この菌がいないと効かないなど、善玉悪玉などをクリアカットにどの菌の責任というような問題では表現できないということは分かっています。おそらくは細菌叢の多様性(いろいろな種類の菌がバランスよく存在していること)が大事で、多様性がある人には薬も良く効くという結論になりそうですが、この多様性を保つというのはなかなか難しい問題です。」という記事です。
 さらに、「がん治療の方は抗がん剤のみならず、抗生剤や胃薬その他たくさんの薬を飲まれていることが多く、必然的にその薬に対して弱い菌は減少し、生命力の強い菌は比率が多くなっていきます。そのような状態のところに、先ほどのオプジーボが投与されたとすると、腸内細菌がよりダメージをうけていない、偏りのない細菌叢を持っているひとには効き目が出やすいという事になると思われます。しかし長期の治療中の方はどうしても薬剤投与も多く長くなり、偏りが出てきてしまうのは否めません。できるだけ多様性を保つには、食物繊維などを積極的に摂るなどの食事療法も大事ですが、それでも失われる多様性のために、腸内細菌サプリメントをお勧めしております。」です。やはり、腸内細菌のバランス、腸内環境が良く保たれている。このことが薬の効きを良くしたり、免疫能を高めることに大切だということですね。この「多様性」とは、様々な腸内細菌がいて、腸内環境を良くするということです。
 さらに抗がん剤による治療は腸の粘膜を傷害しますが、抗がん剤の副作用で、血液中の白血球の数が減少してそれによって細菌感染を起こすことがあります。その場合、抗生剤の投与をするのですが、その抗生剤によって腸内の細菌が死滅したり減少します。そして腸内細菌叢のバランスが崩れ、腸内の環境が悪くなることもあります。
 こんな論文もありました。
 抗がん剤投与を中止した後の菌叢の変化を診た論文で、抗がん剤の投与を中止してから腸内の菌量の変化を診た論文です。抗がん剤を投与を中止すると、中止後23週間の間に徐々にもとの腸内細菌叢に戻る傾向がみられた。という内容です。私のお腹の具合と一致しています。私も2週間経ってようやく元の排便状態に戻ってきています。私の腸内細菌の状況が2週間経って元の状態に戻ってきたと行くことでしょう。
 さらにこんなことも書いてありました。
 一旦何らかの因子によって常住腸内細菌のバランスが崩れた時、病原性大腸菌が増加したり、外来菌の定着増殖が促進されるであろうと。そして、外来菌の定着には、その金の菌量、感染力、また、宿主側の因子としては腸内のpHや常在菌叢、その他免疫学的状態等が関与し、癌患者においては感染にかかりやすい状態にあり、さらに、各種抗がん剤によって生体の免疫能が低下し、この論文での研究のように、腸管内の錠剤腸内細菌叢の変化をきたすことが認められたと。
 癌患者の死因は感染症が多く、特にE. coli, によるものが多いという報告もなるとのことです。これらの感染症の原因菌と腸案内細菌の変動については興味のある問題と考えていると。そして最後に、抗がん剤投与時において、常住腸内細菌叢に変化をきたし、二次的病態を作ることを認め、また、副作用として消化管症状の出現令には腸内細菌叢のバランスの乱れがある点が考えられると締めています。

 なかなか、難しいですが、やはり食物繊維をしっかり摂り、善玉菌を増やして腸内環境を良くする。そして乱れ、バランスが崩れた場合にはそれを早く元の状態に戻していくことが大切なんだなあと、再確認しました。

 

2022.06.15

コロナでのかかりつけ医批判とそれに乗じた制度化論は筋違い

 

 いよいよ梅雨本番になりましたね。そんなに激しい雨ではありませんが、今日は朝から雨模様。
 いつも退院した時に散歩する賀茂川。雨の賀茂川もいいものです。


 さて、新型コロナウイルス感染症を経験して、国も新興感染症に対しての制度の見直しをしようとしている。
 このような中、財務省は今回の新型コロナ感染症に対しては、診療所医療提供体制や医師に問題がある、「かかりつけ医が機能しなかった」など、あたかも医療機関・開業医側が恣意的にコロナ診療を忌避したかのような議論にすり替えて、これを理由に医療費の削減等、医療提供体制の改悪を狙っている。ただただ医療費削減目的で、本質を見ることなく、歪曲し議論をすり替える。そして医療費を削減することで褒められる。そんな財務省には国民の健康、命は守れない。お金を持っていて頭を下げることはない。「一体何様だと思っているのだろうか。」と思ってしまう。また厚生労働省も、もっとしっかりして欲しい。財務省の言いなりになるのではなく、国民の命と健康、そして生活を守るためにもっと頑張って欲しい。そんな思いを私は何時もしている。
 今回は、私もかかわっている京都府保険医協会の主張を紹介したいと思います。京都保険医新聞6月10日号からの天気です。

「コロナでのかかりつけ医批判とそれに乗じた制度化論は筋違い」

  新型コロナでの診療所対応について、昨年来財務省は「フリーアクセスが機能しなかった」、最近の政府検証有識者会議では「かかりつけ医が機能しなかった」との意見が出るなど、これまでの診療所医療提供体制や医師に問題があるとしている。全く筋違いの指摘である。

 新型コロナ感染症の対処において当初、行政検査としてPCR検査数が拡大されず「375℃以上発熱、4日間」でなければ受診しないように抑制をかけ続けたのが政府であった。また、感染症法上〝全感染者入院〞の原則の下に、感染者情報の保健所一元集約と入院コントロールセンターによる全例対応指示の体制に固執し続けたのも政府方針のゆえであった。未知の感染症に対し、診療所は当初、矛(PCR検査等)も盾(防護具)も不足の中で立ち向かわざるを得なかった。その後の努力で発熱外来(診療・検査医療機関)は増えたが、関与できるのは診断までで、陽性で保健所へ発生届を提出後、その患者がその後どうなったかの情報には遮断された状況に置かれ続けた。一方、感染者本人は保健所からの指示や健康観察の電話をひたすら自宅待機して待つのみで、保健所業務のひっ迫とともに、数日間〝放置〞の状態が現出された。待機ステーションの積極的運用も進まず、入院待機はいつの間にか自宅療養と読み直された。そして第3波以降、自宅療養中に急変し死亡する症例が相次いだ。

 協会は、感染症パンデミックの基本的対処方針は感染者の隔離と〝医療提供〞だとして、早くから保健所の所有情報の医療機関との共有と早期医療介入(往診または電話再診)を訴え続けた。この間、診療所側で何とか患者と連絡を取って往診等を行った例を相当件数聞いている。しかし、これは言わば〝裏ルート〞経由のボランティア的対応であり、制度と資材の支えがない状況下でそのカバー範囲は限定的であった。自宅療養者と医療機関との繋がりを京都府が指示したのが212月で、一部の自宅療養者への往診が開始されたが、全対象者数から見ればわずかであった。本格的な訪問診療事業開始は京都府では218月から。そして京都市の場合、何と221月(!)になってやっと、通知が出された。

 さらにワクチン接種を巡っても、供給量と優先順位を曖昧にした政府の接種率引き上げ至上命令の下で拙速な実施計画となり、個別診療所は予約電話殺到で混乱し、罵声を浴びせられ、診療所やかかりつけ医と患者間の信頼関係が棄損される事態が現出した。

 この一連の経緯を見ても、感染者の医療アクセスを阻止し、かかりつけ医での医療を阻害し続けたのが、政府の新型コロナ対策方針・施策とその指導下にある各自治体であることは明らかである。政府側はこの点には一切ほおかむりして、あたかも医療機関・開業医側が恣意的にコロナ診療を忌避したかのような議論展開である。

 その上で、全く別次元の話である〝フリーアクセス〞や〝かかりつけ医機能〞を非論理的に結び付けて、新型コロナ禍のどさくさ紛れにその制度改革(改悪)を狙っている。 協会はこのような「ためにする議論」に断固反駁するものである。

京都保険医新聞 6月10日号 転記

2022.06.14

5クールを終え、完治への次なるステップ

 今日は朝から雨ですね。本格的に梅雨入りでしょうか?

 私は、5クール目の化学療法が無事終了して一旦退院します。

 さて、今回の治療は悪性リンパ腫が脳の下垂体近傍に腫瘍として現れた、中枢神経原発B細胞リンパ腫に対して治療し、完解を目的とした治療でした。

 治療法はR-MPV療法で、Rはリツキサン、Mはメソトレキセート、Pはプロカルバジン、Vはオンコビンで、この4種の抗がん剤での治療でした。

 2クール目終了後に撮影した造影MRIでは、すでに腫瘍は縮小もしくは消失していました。その時点からさらに3クールを行い、予定通り5クールが完了しました。5クール目は、少し排便に関しての私自身の調整がまずく、少し苦労をしましたが、順調に終了したと思います。抗がん剤投与による副作用ですが、オンコビンによる末梢神経障害がやはり少し出ました。両手の指先の痺れがまだ残っています。ただ、通常の生活には支障はありません。やはりとても難しいのですが、ある程度副作用を許容することも必要ではないかと思います。どこまで許容するのか?どこまで許容できるのか?この問題は、抗がん剤投与を行う上での課題だと思います。

 さて、今回の5クールにわたる治療は悪性リンパ腫の寛解を目指した治療でした。来週の月曜日に再度造影MRIを撮影して治療効果を判定します。おそらく寛解しているはずです。そうすると寛解したならば、次のステップの治療に入ります。完治を目指した治療です。

その治療のために再度来週水曜日に入院します。

 治療法に関しては、まだまだ悪性リンパ腫の治療に関しては、私たちにはうれしいのですが日進月歩で進歩しています。ですがガイドラインがないとのことです。

 そこで今回完治に向けた治療で示された選択肢は三つ。

  • ①HD-AraC 2クール+4Gy
  • ②HD-AraC 2クール+自家血幹移植
  • ③HD-AraC 2クール+内服(維持)

でした。

 HD-AraCHDは大量と言う意味で、その大量とは中枢に移行する量と言うことだそうです。
 AraCはキロサイドという抗がん剤です。

 おそらく②のHD-AraC 2クール+自家血幹移植を選択すると思います。

 次回の治療に関しては、HD-AraCを行うことで骨髄抑制が来て血球が減少します。その減少した血球が立ち上がり、増えてくるときに自家血を採取する。1回の採取で十分な量が採取できるかどうかわからないので、もう一度同じことを繰り返す。そして最後に採取した自家血を使った自家血幹移植に進んでいく。と言った感じで進みます。したがって血球が立ち上がってくる時期には個人差があります。自家血の採取が土曜日、日曜日にかからないようにスケジュールを組まなければなりません。なかなか至難の業だと思います。ですから、今回の5クールのようなわけにはいかないと思います。

 でも完治を目指して、完治して復帰して、新しい渡邉医院「シン・渡邉医院」を再開したいと思います。もうしばらく時間がかかります。皆様方にはご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。そして「シン・渡邉医院」を支えて下さるようお願い申し上げます。

 

  R4614

       渡邉医院      渡邉賢治

2022.06.13

空に雲、川は流れ、大地には花ー風景画を描いてみました。動画ー

2022.06.12

オンコビンの逆襲!命のトマトスープ!

 皆さんこんばんは。渡邉医院の渡邉です。
 今、悪性リンパ腫に対して抗がん剤投与のため、入院治療しています。今回の治療は、全部で5クールの予定で、現在5クール目、最終クールの治療中です。明日のリツキサンという抗がん剤の投与が終わると終了です。
 少し脱線しますが、「リツキサン」はどうしても「イツキサン」に聞こえてしまって、そこから転じて「五木さん」になってしまいます。いったんそう聞こえると、いつも「五木さん」になります。そして「五木さん」から「五木ひろし」を思い浮かべます。毎回、クール最後の抗がん剤が「リツキサン」です。五木ひろしも紅白歌合戦などのとりを務めていた。そんなこともあって、いつも「とりを務める五木さん、頑張ってくださいね!」と言う気持ちで抗がん剤の投与を受けています。

 さて、今回の5クールが終わって、治療としての抗がん剤投与は終了です。
 2クール目が終わった後、造影のMRIで悪性リンパ腫が作った腫瘍は縮小、さらに消失まで良くなっていました。その後3クール。来週、治療の効果判定のために再度造影MRIを撮影しますが、おそらく消失して寛解状態になっていると思います。寛解状態になっていれば次の段階、完治に向けた治療が始まります。今のところ、その治療は来週の水曜日622日からの予定になっています。完治して復帰して、渡邉医院を再開したいと思います。今のところとても順調です。

 さて、今回の5クール目、これまでの4回目と同じ内容なのですが、少し苦労をしました。食欲がなくなり、食べれなくなってしまいました。
 その一つの原因は私が名付けた「オンコビンの逆襲」です。
 オンコビンの副作用に末梢神経障害と便秘があります。オンコビンの影響で腸管が動かなくなっての便秘です。
 私は日頃は快便で、必ず毎日、食後にきちんと排便があります。たまにはスッキリ出ないこともありますが、快便です。  これまでの4クールはオンコビンによる便秘に備えて、快便ですがあらかじめマグミット(酸化マグネシウム)を内服していました。このこともあって、これまではオンコビンの投与があっても、少し緩めですがちゃんと便は出ていました。
 今回は、便が出なかったらマグミットを飲もうということで、あらかじめ飲んでいませんでした。言ってみればオンコビンを甘く見ていたということです。案の定、便秘となってマグミット飲んであわてて無理やり出す状況になりました。ご飯を食べると、直ぐにお腹が張る。食べなくても、食べていることを想像するだけでお腹が張ってくる。こんな感じで一度だけ嘔吐しました。
 また、今回は5クール目。奇数クールには内服薬でプロカルバジンという抗がん剤を内服します。これも食欲を落とします。これまでも奇数回のクールでは、このプロカルバジンの影響で少し食欲が落ちていたのですが、「オンコビンの逆襲」とこのプロカルバジンの相互の作用で二日間、まったく食事が入りませんでした。ご飯の匂いをかぐだけでも気分が悪くなる。そんな状況でした。

 今日は随分良くなり、朝は半分、昼は一口二口。でも食欲以外は元気です。甘い飲み物なら飲めるだろうと、売店まで買いに行ったり、お腹の動きを良くするために、病棟内を歩いたり、柔軟体操をしたりしていました。

 そんな中、今日の晩御飯に出てきたのが「命のトマトスープ」でした。

 以前ブログでもお話ししましたが、3月下旬、入院する前は全く食事がとれない状態でした。せっかく妻が作ってくれた食事、一口二口食べたら、もう辛くてソファーに横になるといった生活でした。
 329日に入院して、23日経った頃でしょうか、大分具合も良くなり出てきた朝ごはんにトマトスープがありました。一口食べると、本当にとても美味しい。なぜか自然に涙が出てくる。最初に入院した部屋が個室だったので、声を上げて泣きながらいただきました。そんなこともあって、トマトスープのことを「命のトマトスープ」と私は読んでいます。

 その「命のトマトスープ」が今日食事に出てきました。今回も一口食べると、また涙が出てきて、泣きながらいただきました。今は4人部屋なので前のように声をあげながら泣きながら飲むことはできません。ティッシュで涙を拭きながらいただきました。この時。「神様って、本当にいるんじゃないの。」と思ったぐらいです。

こんなことで、最大の山場が5クール目に着ました。「オンコビンの逆襲」です。そしてこの「オンコビンの逆襲」から救ってくれたのも、今回も「命のトマトスープ」でした。

 これまでは今回の治療、医師でもあるから、自分一人で大丈夫、自分一人で頑張れると思っていました。やっぱりそんなことはありません。抗がん剤による治療。やはり精神的にも弱くなっています。誰かの助けがやはり必要です。見えなくても、傍にいてくれなくても、その人たちの支えがあって頑張っていけるんだと感じました。

 時々こんな話をしていました。「辛いとき辛いと言えているか?助けて欲しいとき助けてと言えているか?辛いとき辛いと言える、助けて欲しいとき助けてと言える社会にしたい。」
 今一度、自分にこの言葉を聞かせなければ。

2022.06.08

夜はぐっすり眠るために尿量が減る。

 現在、私は悪性リンパ腫に対して抗がん剤治療を行っています。その抗がん剤の中にメソトレキセートという抗がん剤があります。

 メソトレキセートは、葉酸拮抗薬に分類されます。どのように癌をやっつけるかです。

 メソトレキセートはDNAのです。合成に必要な葉酸とよく似た構造式をしています。葉酸は細胞内で酵素によって活性化されて、DNAの合成に使われます。この酵素が、葉酸とよく似た構造をしているメソトレキセートと結合して、葉酸にこの酵素がくっつくことを阻止することで、葉酸の活性を抑え、その結果としてDNAの合成が阻害され、癌細胞の増殖を停止させるといった機序です。

 さて、メソトレキセートはどこから排出されるかと言うと腎臓から尿中へと排出されます。したがって腎機能が悪かったり、十分に腎臓から尿中へとメソトレキセートが合い出されないと副作用が出たり、さらに腎機能を悪化させてしまいます。ですから私のように大量のメソトレキセートを投与した場合、速やかに尿中に排出させ、メソトレキセートの血中濃度を下げる必要があります。

 さてちなみに、メソトレキセートの副作用としてどのようなものがあるかですが、大きくは三つ。一つは骨髄抑制です。二つ目が腎障害。三つめが粘膜障害でひどい口内炎になってしまいます。

 では、メソトレキセートの尿中の排出を促して血中濃度を下げるのにはどうするかです。一つは輸液を多く投与して尿量を確保する。また口からも水分を接種する、また利尿剤を投与するなどがあります。また五時間に100mlを目標として6時間で600ml。これを下回った場合はさらに利尿剤を点滴のルートから静脈内注射したりします。そのようにして十分な尿量を確保します。このようにして私の場合はメソトレキセート投与後48時間後と72時間後にメソトレキセートの血中濃度を測定して基準以下ならば通常通りに戻ります。

 これまでの4クールいずれも基準値を下回っています。今回もそれを期待するのとおそらく下回るであろう尿量が確保できています。

 さて今回は、このようの尿量を確保する処置をしてもこれまでの私の経験では、昼間に尿量が多く、夜間は尿量が少ないということです。このことにかんし今更ですが少し調べてみました。

 そうするとやはり尿量は昼間と夜間では尿量に差があり、日内変動があることがわかりました。

 尿量はやはり夜間減少し、昼間増えるようになっています。この尿量の排泄リズムが睡眠と密着に関係しています。そしてこのリズムは一時的な生活状態の変化があったとしても容易に変化したい消失したりしないということです。ですから夜勤があった、徹夜をしたといったリズムが変わったとしても尿量の排泄リズムは変わらないということです。

 このリズムはどうしてできるかと言うと、睡眠中には腎臓で作る尿の量を減らす一方で、反対に膀胱ではそのためる量を増やすようになります。このようなリズムになるのは、膀胱の体内時計によるものとされています。そそしてこのバランスが崩れた時に、子供では夜尿症(おねしょ)だったり、高齢者でしたら夜間頻尿となるということです。

 今回私の経験でなんとなく夜の尿量は少なく、昼間は尿量が多いといった印象から調べてみましたがやはりそのようなリズムが、そしてリズムを刻む体内時計があることがわかりました。

 やはり夜はゆっくり休めるように人間の体はできているのですね。あらためて認識したところです。

2022.06.08

中駿赤十字病院の想い出。ゴルフ編

 皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。今、悪性リンパ腫に対しての抗がん剤投与の5クール目のために入院しています。

 昨日はオンコビンと大量のメソトレキセートの点滴をしました。特に強い副作用もなく、今回も順調に治療が進んでいます。今日から3日間、ロイコボリンの注射があります。ロイコボリンは葉酸代謝拮抗剤の毒性軽減と言って、要するに抗がん剤の副作用を軽減してくれるお薬です。これを3日間、点滴から静脈内注射します。いたって順調です。

 さて前回、「中駿日赤病院の想い出」と言うブログをアップしました。今回も引き続き中駿赤十字病院の想い出をお話ししたいと思います。初めての出張で、いろいろ楽しい経験もさせてもらいました。今回は「中駿赤十字病院の想い出。ゴルフ編」をお話ししたいと思います。

 さて、私が中駿赤十字病院に配属されたその日だったか、次の日だったか、本当に早い時期に上司の外科部長に「2週間後の日曜日、皆でゴルフのコンペに行くぞ。」というものでした。その当時、中駿赤十字病院からは直ぐ目の前にたくさんのゴルフ場が車で直ぐのところにです。ですからおそらく、医局の先生方との懇親と言う意味で行っていたのだとお思います。

 ただ、私にとっては驚きの言葉。これまで一度もゴルフなんかやったことがありません。両親が気分転換にゴルフの打ちっぱなしに行ったときについていって、打たせてもらったぐらいです。そもそもゴルフクラブもありません。突然の「命令?」にと間取りました。

 たまたま大学病院時代に同じ班で一緒に仕事をした1級上の先輩がいらっしゃったので、「どうしたらいいですか?」と聞くと、「ゴルフクラブなどの道具は一式、近くのスーパーに売っているから買いに行こうか。」と。うん?ゴルフクラブなど一式がスーパーに売っている?仕事が終わって、近くのスーパーに行くと、本当にお店の一角にゴルフ用品が売っていました。それもめちゃくちゃ安い。やはりゴルフ場が沢山ある土地のスーパーだと思いました。記憶があいまいですが、ゴルフクラブがウッドとアイアン、そしてパターもついていてゴルフバッグ付きで20000円程度だったのではないかと思います。早速購入してその帰りに先輩に打ちっぱなしの練習場に連れて行ってもらいました。

 直ぐにゴルフボール打てるんだろうなあと思っていたら飛んでもありません。全然ボールにかすりもしない。止まっているボールにゴルフクラブが当たらない。だんだん力が入れば日いるほど当たらず空振り。先輩に「力み過ぎ。軽く振って。」」とアドバイス。何とかボールに当たるようになりました。2週間先にはゴルフ場のコースに出なければならない。こんなことでいいのか、間に合うのかと思いながら、毎日練習場に通いました。

 あっという間の2週間。ゴルフコンペ当日。いよいよコースに出ての本番。緊張もしました。もうどうにでもなれといった気分で始まりました。

 練習のかいもあって、ボールに当たらず空振りすることはありませんでした。でもボールの飛んでいく方向は、まったくわかりません。右や左大変です。私の組についてくださっていたキャディさんが見かねたのか、途中からは私の横にビッタリくっついて個人教授。

 まず一言目は、「まずあなたは、5番アイアンだけをもって打ちなさい。ほかのクラブは使わなくていいです。」とのアドバイス。とりあえず距離なんかは関係なく、前に進めと言うことでしょう。次に私が、「今度は、どこを狙ってうったらいいのですか?」に対してキャディさんは、「あの富士山に向かって打ちなさい。」と。富士山はどのコースからも見ることができて、大体真ん中に毅然と聳え立っています。とても美しい。その富士山に向かって打て。ですからどこも狙わなくてもいい。とりあえず前に進めと言うことだったのだろうと思います。

 キャディさんの言うことを聞くと、なんとなく、前に進むことができるようになりました。 

 最後18番ホールが終わった時に、キャディさんが網の袋に入ったゴルフボールを下さり、「しっかり練習してね。」と。なんていい人なんだと思いました。

 当然のことながら結果は最下位。皆さんの23倍、山を越え谷を越え楽しませてもらいました。絶対に筋肉痛になると確信しました。皆さんコースアウトした後、ゴルフ場にあるお風呂に入る。温泉に来た時のように大きな綺麗なお風呂。ゴルフの疲れが取れる感じでした。

 その後は一旦病院に戻って、それぞれの車をしまい、みんなで試合後の宴会。これはとても楽しい。中駿赤十字病院は裾野市にあります。富士山の近く。チョット行くと芦ノ湖にも行けます。そういった山にお幸が豊富にある。また、静岡県で、沼津にも近いので美味しい海の幸も豊富。食べ物はとても美味しかったです。

 そんなことで、ゴルフコンペはちょっと辛いですが、その後の宴会はとても楽しいひと時を過ごすことができました。

 このように医療以外にもいろんな思い出が、中駿赤十字病院にはあります。

 さて、ゴルフですが、やっぱり僕には合わないんだろうなと思い、中駿赤十字病院を卒業したら、ゴルフも卒業しました。

2022.06.07

中駿赤十字病院での思い出。

 4クール目が順調に終了して、一旦退院して自宅療養をしているとき、毎回自宅の近くの賀茂川を朝散歩することにしています。大体1時間から1時間半程度歩いています。後からiPhoneで見てみると、退院中は一日平均10km以上歩いていることがわかり、我ながらびっくりしました。まだまだ朝は涼しく、吹いてくる風も涼しくけるころには程よく汗ばんでいる状態でした。日差しはやはり強く成って、周りの人からは「日に焼けましたね。」と言われるのですが、私は「抗がん剤のメソトレキセートの影響での皮膚の色素沈着かなあ?」と少しおもっています。でも体力はアップ。ある程度体力が戻っての5クール目に入ることができました。

 退院中、自分の机周りの整理、掃除をしました。その時に「そういえば、中駿赤十字病院(現在、裾野日赤病院)にいたころの、赤十字救護員証をどこかしまっておいたなあ。」と探してみたところ、出てきました。赤十字救護員証の日付は「平成元年41日」となっていました。33年前です。ついている顔写真の私もめちゃくちゃ若いです。

 私は当時日大の第三外科(現在、消化器外科)に入局しました。そこで3年研修をして、その後、麻酔科の研修を経て、初めて関連病院に出張したのが中駿赤十字病院でした。

 今、入院中で少し懐かしくなったので調べてみました。

 私のいた中駿赤十字病院はS277月に発足したそうです。その後H97月に中駿赤十字病院から裾野赤十字病院に改称。H912月に裾野赤十字病院は増改築工事竣工となっていました。

 ネットで検索して調べてみると、写真医映っている正面玄関は見覚えのある懐かしい佇まいでした。

 私は病院の近くのアパートに住んでいました。窓からは富士山が綺麗に見えました。毎日富士山を見て過ごしていました。

 さて、中駿赤十字病院での思い出は診療だけでなく、やはり赤十字の病院、大規模な防災訓練にも参加します。その救護班の班長に選らばれたのが私です。やはり防災。怪我にも対応できなければならないということもあったのでしょう。

 私は2年ほど中駿赤十字病院にいましたが、その間2回大規模な防災訓練に参加しました。

 災害時に着る赤十字のマークがついた防災服にブーツ、ヘルメットを着けての参加です。

 56人で参加したでしょうか、場所は覚えていませんが救急車に乗っていくのですが、新幹線の新富士駅を超えていったあたりだったように記憶しています。

 現地に到着すると、運動会の時のように行進して、本部の前に来ると、「中駿赤十字病院、渡邉賢治以下〇名、ただ今到着しました。」と報告をしたり、その後の防災訓練に参加しました。ここでの訓練はあまり覚えていません。

 もう1回は、江戸川の河川敷での訓練です。

 私の役割は、自衛隊のヘリコプターに乗って必要な医薬品をなどの物資を現地に届けるといった設定でした。上流のほうまで上がって、そこで自衛隊のヘリコプターを待ちました。当区から3機のヘリコプターが飛来し、物資を輸送するヘリコプターに私は乗り込みました。その時は結構怖かったです。ヘリコプターは安定しているのかと思ったら、スッと下降してみたりして、体がムズムズしました。着陸して私は医薬品などが入ったジュラルミンのケースをもって現場までは組んで終了でした。

 私はどこでその晩ネタ化ははっきり覚えていません。ただ、近くの体育館には乾パンや非常用の食料。また寝袋などが置いてあった記憶があります。でも寝袋委で体育館で似た記憶はありません。どうしたのでしょうね。

 このように中駿赤十字病院にいたころは医療だけでなく、防災や、実際の防災訓練など、貴重な経験をさせていただきました。やはりこの時の経験が今にも生かされていると思います。

2022.06.06

抗がん剤の副作用、どこまで許容するのか?できるのか?

 昨日まではとてもいい天気でした。今日は、朝から雨。いよいよ梅雨に入るんでしょうね。

 今日は悪性リンパ腫に対しての5クール目の抗がん剤投与に向け再入院しました。入院日に雨が降ったのは今回初めてです。

 昨日の晩に、「明日は雨が降っているだろうし、朝815分頃に、タクシーを予約しておこう。」と電話をしてみると、「その時間の予約は、もういっぱいで無理です。」との返事。もう一つのタクシー会社にかけてみても同じ返事。仕方がないので、地下鉄で行くことにしました。

 今回のいったん退院の期間、一番散歩等体力アップのために歩きました。先週の火曜日に退院したのですが、後からiPhoneで調べてみると、その日を含めて毎日10km以上歩いていたと記録されていました。これまでで一番の距離数。体力はばっちり?ある程度戻ってきていたので、地下鉄でも大丈夫だという自信はあったのですが、傘をさしてと思うとちょっと憂鬱でした。でも、そんなに激しい雨でもなく、体力アップもできていたので、「これからは地下鉄でいいか。」と感じました。

 「雨降って地固まる。」という言葉もあるように、自家血幹移植前の治療としての5クール目、しっかり完治を目指して治療しようと思います。

 さて、今回はちょっと抗がん剤の副作用と、それをどこまで許容するのか?許容できるのか?に関して少し考えてみたいと思います。

 私はこれまでの4クール、骨髄抑制や、激しい肝機能、腎機能障害も出ずに順調に抗がん剤による治療が進んできました。でも同じ治療をしても私のように強い副作用が出ない方もいれば、副作用が出て休薬など治療を中断しなければならない方もいらっしゃると思います。

 やはり抗がん剤と言う強い薬の投与、やはり何らかの副作用が出ます。

 私も、オンコビンと言う抗がん剤を投与しています。オンコビンの副作用の中に、末梢神経障害という副作用があります。手や足の指先がしびれたり、場合によってはボタンを留められなくなったり、お箸を落としたり、そういった指先の末梢神経に障害が起きるというものです。先生からは、例えば音楽家等、指先の敏感な感覚が大切な職業の人や私のような外科医が末梢神経障害になると、今後の仕事に差し支えるということで、症状が有れば伝えて欲しいと言われています。そんな場合はオンコビンの休薬や減量を考慮しなければなりません。オンコビンが有効に悪性リンパ腫をたたいていたとしてもその休薬、減量で、悪性リンパ腫への治療効果はどうなるかと言うことも考えてしまいます。

 ですから、抗がん剤の有用性と副作用との関係はとても難しい問題だと思います。メリット、デメリットを天秤にかけることになります。とても悩ましい!

 私も今、少し指先が痺れています。そのしびれが強く成らないかどうか?また指先の知覚や運動神経がどうかを確かめるために、毎食時お箸を使いながら確認しています。例えば豆の料理が出てきたら、豆を一つずつお箸でつまんで食べるとか、おかずを一口で食べないで、お箸を使って、細かく分けて食べています。これも麻痺の程度を確認できます。また、薬の袋が上手く開けられるかもみています。また、絵を描くのも、指の感覚を確かめるといった意味合いもあります。ただ絵を描くのはその間集中していますし、出来上がっていく過程が面白い。また、完成を想像して、そのイメージ通りに行くかどうかも絵を描く面白さだと思います。これって外科医の基本かなあとも思います。まずは術後の状態、切除した後のイメージ、デザインをして、それに向けて手術を進めていく。こういった点が絵を描くのと手術似ています。

 さて、指先の痺れですが、これまで抗がん剤治療が4クール終わりました。指先の痺れは強く成ってきていません。また、字を書くのにも藤生はありません。お箸もうまく使えています。また、診療所に行ったときに手術で行う糸結びもやってみましたが、問題なく指も動いて糸も結べます。指先の痺れはあるものの、まだまだ許容範囲です。

 このままオンコビンも休薬、中止することなく、悪性リンパ腫をしっかり治すことを一番の優先にして、今回も投与することにしました。

 今後も自家血幹移植に際しても抗がん剤を使うことになります。今後も抗がん剤の副作用をどこまで許容できるか?どこまで許容するのか?この難しい課題には、主治医の先生と良く相談しながら決めていきたいと思います。

 でも、この課題は癌を治すという点でとても難しく、永遠のテーマなんだろうなあと思います。

2022.06.03

短鎖脂肪酸と腸内フローラ

 今回は、第31回教育セミナーの中で興味深く、そして面白かった便秘に関しての講演に関して前回に引き続いてお話ししたいと思います。

 今回は、前回お話しできなかった。「短鎖脂肪酸」と「胆汁酸」便秘に関してお話ししたいと思います。

 私たちの腸の中には、100兆個以上もの細菌が棲んでいるそうです。100兆個、なかなか想像できない数ですね。でもこれらの細菌が、私たち体全身の健康に深く関係しています。 私たちの腸内にはその100兆個の腸内細菌が菌種ごとに集まって群生する様子が、お花畑(フローラ)に例えられて、腸内フローラ(腸内細菌叢)と呼ばれています。

腸内フローラの状態をよくするためには、腸内にいる善玉菌を増やして悪玉菌を減らす必要があります。善玉菌と悪玉菌は常に腸内で勢力争いをしています。そして善玉菌を増やすのに役に立つのが「短鎖脂肪酸です」です。

 「短鎖脂肪酸」は腸内環境、便通、過敏性腸症候群など優れた効用をもたらすことが研究で分かってきたそうです。

 短鎖脂肪酸とは、腸内細菌が水溶性食物繊維を発行分解して作る、酪酸、プロピオン酸、酢酸などの有機酸のことです。特に酪酸は腸上皮細胞の最も重要なエネルギー源であり、抗炎症作用など優れた生理効果を発揮するそうです。
 短鎖脂肪酸は臭いや味、吸収性などから食べたり飲んだりして摂ることが困難物質です。
ですから、腸内細菌に短鎖脂肪酸を作ってもらう必要があります。ですから、その原料となる水溶性食物繊維をしっかり摂る必要があります。言っていれば、短鎖脂肪酸を創るために腸内細菌の餌になる水溶性食物繊維が必要になるということです。

 さて、生成された短鎖脂肪酸のほとんどは大腸粘膜組織から吸収されます。吸収された短鎖脂肪酸は、上皮細胞の増殖や粘液の分泌、水やミネラルの吸収のためのエネルギー源として利用されます。一部は血流に乗って全身に運ばれ、肝臓や筋肉、腎臓などの組織でエネルギー源や脂肪を合成する材料として利用されるそうです。

これ以外にも短鎖脂肪酸には、腸内を弱酸性の環境にすることで悪玉菌の増殖を抑制します。さらに大腸の粘膜を刺激して蠕動運動を促進します。便秘などを解消してくれますね。また、腸の粘膜が病原体などの侵入を防ぐ腸管バリア機能を担います。短鎖脂肪酸は、特に酪酸やプロピオン酸は腸粘膜を維持してヒトの免疫反応を制御してくれます。

 このように、短鎖脂肪酸を増やすことは大腸の環境を良くして便秘なども解消してくれます。

 食物繊維としては日本人成人では10g/1000kcalが目安とされています。2000kcalですと1日20gが必要と言うことになります。食物繊維を摂るにはブルーベリーやキウイが良いそうで、ベリー系のフルーツが多く摂れるとのことです。食物戦としては海藻類、キノコ類、ベリー系の果物が良いということになります。

 さて、もう一つの胆汁酸についてお話しします。

 さて、便秘に対して下剤を処方します。下剤の種類には以下のようなものがあります。

  •  ①塩類下剤、②膨張性下剤、③浸潤性下剤、④刺激性下剤があります。

良く使われ、皆さんが知っておられるのが、塩類下剤の酸化マグネシウムや、刺激性下剤のセンナやアロエ、ダイオウです。

 酸化マグネシウムは随分古い薬で、シーボルトが日本に持ち込んだとのことです。ただ、酸化マグネシウムだけでは十分に緩下剤としての作用を起こしません。酸化マグネシウムと胃酸との反応式をしまします。

 MgO+2HCl=MgCl2+H2O

と酸がなければ効果が減弱してしまいます。ですから胃切除後であったり、制酸薬を内服している方は酸化マグネシウムの効き目が減弱します。

 刺激性下剤はやはり内服し続けることによって習慣性になったり、センナを飲み続けると、大腸の粘膜に色素が沈着し、黒くなる大腸メラノーシスになることがあります。

 このセンナやアロエなどは、紀元前より使用されていたようです。アレキサンダー大王も便秘で使用していたそうです。

 最近、新しい下剤も出てきました。それは「グーフィス」という下剤です。

 胆汁酸トランスポーター阻害剤で、胆汁酸の再吸収にかかわるトランスポーターを阻害することで、大腸に流入する胆汁の両を増加させ、水分分泌とと大腸蠕動運動の促進の2つの作用で自然な排便を促すというものです。

 前回、「完全排泄」と「不完全排泄」と言うことをお話ししたともいます。このグーフィスと言う下剤は、「完全排泄」を目指す下剤です。 

 胆汁酸を直腸内に注入すると、直腸が動き始めるといったこともわかったそうです。

 このように、下剤には新しい作用の下剤が出てきています。やはりその中から自分にあった下剤を選び、治していく必要がありますね。

 

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