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2022.07.16

水彩画を描いてみました。「待つ」ことの大切さー動画ー

2022.07.15

風林火山

 皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。

 悪性リンパ腫に対しての治療は、とても順調です。一旦、明日716日に退院して、次の治療目的での入院は725日になります。約1週間、自宅で静養しながら骨髄の回復を待ちながら、体力アップも図っていきたいと思います。

 今回の治療の目的は、「寛解」後の「地固療法」です。寛解しても、もし残っているがん細胞があればそれを叩く治療です。言ってみればとどめを刺す治療です。それと、最終的に行う「自家血幹細胞移植」の時に使う「造血幹細胞」を採取するといった、二つの目的がありました。

 今回の治療で学んだことは「待つ」ことの必要性、大切さでした。
 シタラビンという抗がん剤を投与して、かなり強い骨髄抑制が来ます。その骨髄が回復してくるときに「造血幹細胞」が末梢へと漏れ出てきます。この漏れ出て来た造血幹細胞を採取することになります。

 そうすると、いつシタラビンを投与したらいいのか、骨髄抑制はどの時期からどの程度抑制されるのか。また、骨髄の回復はどのように回復していくのか。このことをあらかじめ予想しなければなりません。例えば、造血幹細胞を採取する時期が、週末にかかってしまうと、施設上採取することができません。連続3日間採取することもあるので、最低でも水曜日の採取が必要となります。

 その時期にうまく抑制された骨髄が回復してくるか。綿密なスケジュールが必要です。
 今回は主治医の先生の思惑通りに進み、十分すぎる造血幹細胞を採取することができました。主治医の先生は「この施設史上、一番採取できました。19回もの自家血幹移植ができるほど採取できましたと。

 本当に良かったと思います。今回の結果は、「寛解」に向けての5クールの抗がん剤治療で、骨髄へのダメージが少なかったこと、また主治医の先生の綿密なスケジュールの調整が今回の結果を生み出したと思います。

 今回の入院は、622日。シタラビンの投与は630日と71日の2日間。入院から抗がん剤投与まで、8日間の待ち時間がありました。でもこの「待つ」がとても大切で、今回の治療で一番のポイントとなりました。

 このようなことを考えているときに。ふと頭に浮かんだのが、武田信玄の軍旗「風林火山」でした。
 私が甲府市にいたということもあると思いますが、今回の治療は全くこの「風林火山」の様だと思いました。

 戦国時代、最強と言われた武田信玄の本陣に掲げられた軍旗。(正しくは「孫子の旗」、「四如の旗」と言うそうです。)「風林火山」。軍旗にはこう書かれています

「疾如風 徐如林 侵掠如火 不動如山」です。

 「其の疾(はや)きこと風の如(ごと)く 其の徐(しず)かなること林の如く

 侵掠すること日の如く 動かざること山の如し」

 です。

 まさにこの通りの治療だったと思います。しっかりスケジュールを決め、私の体のことを推察し戦略を立てる。騒ぎ立てることもなくじっくり林のように静かにそして山のようにどっしりと構えて待つ。そしていざ造血幹採取のタイミングとなった場合は、迷うことなく実行する。
 どうでしょうか。

 さて、この「風林火山」は中国の呉の兵法家の孫武が書いたとされています。兵法書は、戦略・戦術を説いたもので、113編からなります。

 この「風林火山」の部分は一部です。続きはこうです。

 「難知如陰 動如雷震」

 知り難きこと陰の如く、動くこと雷震の如く。

 意味としては、味方の戦略は暗闇の中のように敵にしられないようにし、兵を動かく時は雷のように激しくなければならない言うことです。

 全文を紹介しておきます。

「故其疾如、其徐如、侵掠如、不動如、難知如陰、動如雷震、掠郷分衆、廓地分利、懸權而動。」

 最後の部分は
 「郷を掠めて衆を分かち、地を廓めて利を分かち、権を懸けて動く。」
です。

 今回の治療、この「風林火山」の様だった気がします。 
 しっかり準備をして待つ。そして、ここぞというタイミングが来たら迷うことなく進む。
このことが大切なんだなあと思いました。

2022.07.11

「病室から見える景色」水彩画で描いてみましたー動画ー

2022.07.11

第15回内痔核治療法研究会総会を終えてー2-

 皆さんこんにちは。今回は前回の続き、第15回内痔核治療法研究会総会の報告をしたいと思います。

 前回のパネルディスカッションのテーマは「併用療法の必要性と適応」でした。今回報告するテーマは「併用療法の手術手技と工夫」です。

 今回の報告する前に、確認しておかなければならないことがあります。それは治療方法の記載の仕方です。
 少し見えにくいですがALTA併用療法の名称記載の写真を張り付けています。

 まず

  • 1.治療法の部位が異なる併用療法。

それぞれ別の内痔核に結紮切除術とALTA療法を行う方法。
結紮切除術:LELigation & Excision) ALTA療法:A
結紮切除術とALTA療法を行うと、LE+Aと記載します。

  • 2.同一部位の内痔核と外痔核の治療方法が異なる併用療法

切除:E(Excision)
①外痔核切除術(E)が先行の場合 EA
②ALTA療法(A)が先行の場合 AE

2-2.外痔核切除(E)の分類

  E1:外痔核の切除が肛門縁より外側まで

  E2:外痔核の切除が歯状線に及ばないもの

  E3:外痔核切除・剥離が歯状線を超えるもの(歯状線まで含む)

3 Anal cushion lifting(ACL)との併用
 ACLAまたはAACL

4 分離結紮(DL)との併用(行為が分割なので分割結紮と呼ぶのが好ましい)
 DLLとする。
 LAまたはAL

 まずは、これをみていただいて話を進めますね。

 午後からのパネルディスカッションの議論の中心は、一つが「Eの切除範囲」。そしてもう一つが「Aが先か、Eが先か」。この二つが焦点でした。

Eの切除範囲」ですが、やはり外痔核の切除範囲がE1からE2E3と進むにつれて根治度は高くなっていきますが反対に痛みや出血が増えてきます。また、不必要な外痔核切除はしない方がよいとするパネリストの先生や、根治性を求めるのであればやはりE3まで行った方がいいという先生もいました。なか難しく、今後の検討課題です。でも私としたら、ALTA療法の効果も期待して、E2までにとどめて、後はしっかりALTA療法で治すことでいのではないかと思います。それは、やはりALTA療法の一番の売りは「痛みなく治す」ですから。

もう一つの論点が「Aが先か、Eが先か」です。

 これもなかなか難しい問題です。パネリストの先生は7人いらっしゃったのですが、一致した意見はなく、A先行の先生もいれば、E先行の先生もいらっしゃって、これもまた今後の検討課題です。

 A先行の先生の理由は、口側から流れ込んでくる血流量を減らすことで、Eの手術の際の出血量を減らすことができるとか、ALTA療法の効果を期待してAから始めるといった先生もいらっしゃいました。

 Eが先行の先生の理由は、外痔核部分が大きくて十分に内痔核を観察できずにALTAをしっかり四段階で局注することができないことがある。先に外痔核成分を切除すると視野が良くなり、Aがしやすくなるといった意見や、ALTAの総量を減らすことができるという理由でした。またAを先行すると、注射によって浮須が出て手術がしにくいのではないかと言った意見もありました。

 なかなかどちらが良いとは言い難いですが、その時の内痔核や外痔核の状態に合わせて臨機応変に対処したらいいのではないかと、私は思います。
 今後はこの「Eの範囲をどこまでにするか」と「Aが先かEが先か」が研究課題となると思います。

以上で第15回内痔核治療法研究会総会の報告を終わります。

2022.07.11

第15回内痔核治療法研究会総会を終えてー1-

 今日は、第15回内痔核治療法研究会総会がWEBで開催されました。
 朝の930分から午後の1450分までの長時間にわたり開催されました。私は病室から参加をしました。時々入院の関係もあって途切れてしまう所もありましたが、ほぼ参加することができました。

 今回のテーマは二つで、「併用療法の必要性と適応」と「併用療法の手術手技と工夫」でした。

 併用療法とは、以前は脱出してくる内痔核は痔核根治術、高位結紮切除術などの手術療法で治療をしてきました。手術なので、どうしても術後の痛みや出血は避けて通れません。そこで肛門科医は以下に出血しないように、痛みが軽くなるようにと手術を工夫してきました。そんなところにALTA療法が登場しました。ジオンと言うお薬、中身は硫酸アルミニュウムカリウム・タンニン酸水溶液ですが、の出現で、内痔核の治療はガラッと変わりました。ジオンと言う痔核硬化剤を四段階注射することで、脱出してくる内痔核を手術をしなくても治すことができるといった治療方法です。手術と違い傷ができませんから、術後や排便の痛みがありません。また傷がなく動脈を結紮する部分もないので、術後の出血が少ないといった利点があります。ただ、ALTA療法の適応があるか無いかをしっかり見極めることが大切になります。またどうしても再発率が痔核根治術よりも高いということです。そこでALTA療法のいいところと手術、切除のいいところを併用した治療方法と言うことでALTA療法と切除の「併用療法」と言うことになります。

 内痔核治療法研究会の研究会が始まった最初の頃のテーマはALTA療法の適切な注射方法やそのためにどのような器械を使っているか。また、ALTA療法の有害事象の検討と言うところからはじまりました。そして今はALTA療法単時腕の治療だと再発率が高い、その再発をしにくくするのはどうしたらいいのか、と言うことが中心になり、それが「併用療法」です。

 ALTA療法は内痔核の治療方法です。ただ、多くの内は肛門の外側や肛門管内にある外痔核成分が腫れてくる、内外外痔核がやはり多いです。この外痔核部分をどうするかが併用療法の検討課題です。

 今日の「併用療法の質陽性と適応」と「併用療法の手術手技と工夫」の二つのパネルディスカッションで議論された内容を紹介します。少し長くなりそうなので、2回に分けて報告しますね。

 まずはパネルディスカッション1「併用療法の必要性と適応」です。

 パネラーの基本的なところは、ALTA単独療法にはやはり一定数の再発があること。そしてALTA単独療法の適応が限定されるという点です。ここを何とかするために併用療法が必用であるという認識です。そして、やはり外痔核成分をどう処理するかが同じ課題となっていました。

 では再発の原因は何かです。いろんな意見が出ましたが、共通しているのが以下の三つです。一つ目は内痔核の大きさです。やはり内痔核が大きいと再発しやすく、またそういった内痔核は内痔核だけでなく、外痔核成分が多いということです。時に肛門管内外痔核成分です。そして、二つ目が歯状線の破綻がおきているかどうかです。歯状線付近には粘膜支持靭帯(パークス靭帯)があります。この支持組織が破綻することで内痔核や内痔核部分の粘膜が滑脱してきて内痔核が脱出してきます。その粘膜支持靭帯が破綻している場合も再発が多い。そして三つ目は内痔核の変死、器質化、線維化が起きている、硬くなっているかどうかです。これらの要素がALTA単独療法で再発する要素としています。そしてそれぞれ再発しやすい要素を取り除くには手術が必要になり、ALTA療法と切除の「併用療法」を行う必要があるということです。

 ですから、併用療法としては外痔核部分の腫脹や、内痔核が変性して線維化して硬くなったは部分や肛門ポリープなどは手術で切除して、内痔核に対してはALTA療法を行うといった具合です。

 粘膜支持靭帯が破綻して歯状線が固定されているかいないかをみる方法ですが、麻酔後に、内痔核を鉗子でつまみ肛門の外側に引っ張った時に、歯状線が肛門外に出てくるか出てこないかで判断ができるということです。歯状線が出てこない時にはALTA療法の適応があり、出てくるようだとやはり切除が必用で、痔核根治術をするか、併用療法にするかの選択になります。

 さて、話は少し変わります。では併用療法の利点は何かです。やはり痔核根治術をすると、傷が大きくなります。術後で問題になるのは痛みと出血です。
 痛みに関しては、やはり傷ができるので全く痛くないというわけにはいきません。ただ痔核根治術よりは軽減される。
 また、出血に対しては、痔核根治術では内痔核の根元まで剥離して動脈を結紮するために、奥深い部分からの出血であり、止血処置に難渋する。それに対して併用療法では、外痔核を剥離して歯状線まで、場合によっては歯状線をやや超えたあたりで結紮するため、出血に関してはあまり大きな出血はなく、出血して止血処置が必要な場合も比較的浅い部分からの出血なので、止血し易いといった利点があります。
 このようにALTA療法と切除のいいところを合わせたのが「併用療法」と言うことになります。

 今回はここまでとします。次回はパネルディスカッション2の「併用療法の手術手技と工夫」に関して報告しますね。

2022.07.09

糞便移植

 皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。

 今、私は「地固療法」と最終的に自家血幹細胞移植を行うときに必要な造血幹細胞を採取するために入院しています。今のところとても順調です。78日の段階で白血球数も700μLと正常の約20%までに減少しています。骨髄抑制が来ています。今回はこの骨髄抑制から骨髄が回復する際に末梢血に漏れ出てくる造血幹細胞を採取します。骨髄抑制も行ってみれば順調に目的を果たすために抑制されてきています。回復してくる予定の714日、15日の2日間にわたって造血幹細胞を採取します。そしてこの採取した造血幹細胞を使って最終的に「完治」を目指した自家血幹細胞移植をします。

 さて「移植」ですが、「糞便移植」と言うものがあります。
 この「糞便移植」は、そもそもクロストリジウムという細菌によって引き起こされる腸炎の治療法として確立したものです。クロストリジウムは、健康な人の腸管にも常にいる欣男一つです。いつもは悪さをしないのですが、感染症の治療などで、抗菌剤、特にいろんな細菌に効く広域スペクトルの抗菌剤を長期にわたって投与すると、それまで正常であった腸内細菌叢が破壊され、そうするとクロストリジウムが増殖して、毒素を出して発熱や下痢といった症状が出るクロストリジウム腸炎が起きることがあります。

 このような時、まずは感染症に対して使っていた抗菌剤を止めて、クロストリジウムに効果があるバンコマイシンやメトロニダゾールといった抗菌薬を投与することでクロストリジウム腸炎を治療していきます。国内ではこのような治療をしていますが、欧米ではこの毒素を出すクロストリジウムに対して抗菌剤などで治療が上手くいかなかったときや再発したりする場合に糞便移植治療が非常に有効だと報告されています。

 当初はこのようなクロストリジウム腸炎の治療として行われてきましたが、
その後、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群に対する治療法としても有効ではないかと、研究が行われています。潰瘍性大腸炎や過敏性腸症候群で一定の効果が認められているそうです。

 この「糞便移植」ですが、以前にブログでお話しした「腸内細菌叢」、腸内フローラの機能を回復させる効果があるのではないかとされています。
 腸内には約1000種類、約100兆個の腸内細菌が常在します。理想的には善玉菌:悪玉菌:日和見菌のバランスが2:1:7が理想的といわれています。
 この腸内フローラは、人間にとってとても大切で、いろんな生理作用を持っています。有用な作用としては、病原菌が定着するのを阻害する、免疫機能を活性化する、ビタミンを産生するなどがあります。反対に有害な作用としては、腐敗産物や発がん物質を産生したり、様々な腸疾患にかかわります。また幸福物質といわれるセロトニンの約90%が腸内に存在すると言われ、このことは腸内細菌と精神的な状態とは密接に関連していると言われます。ストレスがかかった時に下痢や便秘をしたり、精神的な要素と排便状態がリンクするのもこのことが要因だと思います。そして、糞便移植をすることで自閉症、うつ状態などの精神にかかわる病気が改善したという報告もあるそうです。
 このように、腸内フローラは人間の健康と、とても密接な関係があります。ですから、人間に有用な働きをする腸内細菌、善玉菌を増やして、反対に有害な働きをする腸内細菌、悪玉菌を減らすようにすることが、私たちの健康にとって良いことになります。

 腸内フローラのバランスが崩れて、それによって生じる様々な腸の病気、さらには精神的な病気を発症した際には、腸内フローラの回復が必要となります。
「便移植」というのは、このようなバランスの乱れを整え、腸内フローラを回復させるために、健康な人の便をもらって、腸内の環境を整備してあげるといった発想から生まれた治療法だそうです。

 方法としては、通常の大腸内視鏡検査と同じように、大腸ファイバーを大腸の一番初めの盲腸まで挿入して、そこに健康な人の腸内細菌を投与するといった方法だそうです。通常の大腸内視鏡検査と同じような要領だそうです。移植するために投与するものは、健康な人の便を生理食塩水で溶かして、固形物は濾過して腸内細菌の液体として生成したものを投与するようです。

 しかし、まだまだ研究途上だそうで、まずは移植に用いる健康な人の糞便に関して、何が「正常なのか」「健康なのか」がまだしっかり定義されていません。今後も安全性を第一に考え、この「糞便移植」が一般的な治療になればいいなあと思います。

今回は「糞便移植」と言った新しい治療法について少し調べたことをお話ししました。

2022.07.09

声明「民主主義の破壊は許さない」

202279

       声明

   京都社会保障推進協議会   議長 渡辺 賢治

         民主主義の破壊は許さない

  昨日、奈良市内において安倍元首相が銃撃され亡くなられた。安倍元首相は、在任中、社会保障の権利性を否定する「全世代型社会保障改革」や75歳医療費2倍化法を成立させ、国民を二分した安保関連法を強行するなど、日本の社会保障や平和主義を大きく歪めてきた。
 私たちは、安倍氏の政策にたいして強く反対をしてきたが、同時にあらゆる暴力を許さない立場から、不当にもいのちを奪われた安倍氏に謹んで哀悼の意を表する。

  逮捕された男による安倍氏への銃撃は、選挙期間中という民主主義の根幹に関わる中での暴力であり、絶対に許すことはできない。

 私たちは、すべての人の言論の自由を尊重する。また、平和と民主主義を守ることをあらためて表明する。そして、今回の事件によって参政権行使を萎縮することないように、当面、すべての有権者が、明日の参議院選挙で権利を行使することを訴える。

        以上

 

2022.07.08

便秘ネットフォーラムを終えてー胆汁酸と慢性便秘ー

 皆さんこんにちは。渡邉です。
 78日は、朝から衝撃的なことばかりが起こりました。

 一つ目は、朝の血液検査の結果で、白血球数が700/μLにまで低下したことです。正常値が33008600/μLですから約80%程度減少したということになります。骨髄抑制がしっかり来ています。血小板も158000348000/μLが正常であるところ、32000/μLまで低下しました。さらに低下すると血小板の輸血が必要にはなります。
 このように骨髄抑制が来て最低値になり、回復してくるときに末梢血に出てくる造血幹細胞を採取する予定です。地固療法と造血幹細胞の採取が今回の目的ですが、やはりこの血液検査の結果は衝撃的です。まだ下がってくると思います。

 そしてもう一つは、安倍元首相の狙撃事件です。亡くなられたことに対して、哀悼の意を表します。自分の持つ意見や信条がたとえ違っていても暴力でそれを阻止することは絶対に許されることはできません。今回の民主主義の根幹を攻撃する暴力行為には断固抗議する。そして暴力によって政治を捻じ曲げてはいけない。民主主義を守れと訴えたい。
 今後、こんなことが起きないように私たちは考えていかなければなりません。

 さて、話はガラッと変わります。
 今日、便秘ネットフォーラムが開催され、WEBで参加しました。今回はその内容を報告しますね。今回の演題名は「新時代を迎えた慢性便秘症診療―新たなエビデンスを含めてー」でした。
 結論から言うと、「胆汁酸は慢性便秘の治療に有効である。」と言うことです。以前ブログでもこの胆汁酸に関してお話ししたことがあります。そちらの方も参考にして下さいね。
 さて、フォーラムでの講師は慢性便秘の原因を次の三つを指摘していました。

 一つ目は「心理的、社会的なストレス。」

 二つ目は「消化管(大腸)運動異常」特に大腸の輸送能の遅延。食べたものが消化され吸収され大腸に来ます。上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸と運ばれてきますが、この間の輸送能両区が遅延しているということです。

 三つめが「内臓の知覚異常」です。
 この三つを慢性便秘の原因と指摘していました。
 特に、直腸の知覚異常が重要であり、知覚異常を回復させ、直腸に便が来たら、便がしたい(便意)といった感覚を取り戻すことが大切であるとしていました。
 慢性便秘の患者さんの中で23%の方が直腸の知覚鈍麻があるとされています。また、直腸の便がたまったままになると、直腸より口側の大腸の動きさえ悪くなります。
 これらの方々の60%以上に大腸の通貨遅延を認めたそうです。
 したがって慢性便秘の治療には、この直腸の知覚を改善することが大切で必要になってきます。

 そこに出てくるのが胆汁酸です。
 胆汁酸は肝臓で作られ、十二指腸に分泌されます。その分泌された5%が再吸収されずに大腸に行きます。この胆汁酸が大腸の動きを良くします。

 高齢になるほど便秘になりやすくなります。胆汁酸の量を量ってみると、やはり高齢になるほど胆汁酸の分泌量が減るということで、胆汁酸の量と慢性便秘との関連性を見出します。

 また、便秘の人の便中の胆汁酸の濃度を測定すると、やはり濃度が低いということでした。
 便中の胆汁酸が増えることで、便中の水分量が増えます。 したがって、胆汁酸の一つの作用としては便中の水分量を増やすことです。

 もう一つ胆汁酸の役割は、大腸の運動を促進させることです。

 さらに最近分かったことが、胆汁酸は直腸の知覚を改善する役割があることです。
 直腸の中に胆汁酸を注入すると直腸の知覚を鋭敏にしたという実験もあるそうです。したがって胆汁酸は便意の促進作用もあるということです。
 これらのことをまとめると、胆汁酸には三つの役割があります。

 一つ目は「大腸の運動を改善する。」
 二つ目は「水分の分泌を促進する。」
 三つめは「直腸の知覚を改善する。」

この三つです。

 そしてこの胆汁酸を増やして便秘を治すお薬もあり、エロビキシバット(商品名:グーフィス)です。

 今回は、胆汁酸と慢性便秘が中心での講演でした。

 次回7月の28日にも便秘ネットフォーラムが開催されます。また、その内容をまとめてご報告しますね。

2022.07.08

水彩画9作目「私がいつも歩く道」ー動画ー

2022.07.07

造血幹細胞採取

 台風が過ぎていい天気にはなりましたが、と絵も暑い日が続くのでしょうね。熱中症になって体調を崩されている人も多いようです。水分はしっかり摂って、やはりエアコンはしっかり使って熱中症から自分の命を守っていきましょうね。

 写真は病室の窓から見える右大文字山です。今年は五山の送り火いつも通りに行われるのでしょか?
 ひょっとすると、私はここから五山の送り火、右大文字を見ることになるのかなあと思っています。

 さて、今回はこれから私が臨む「造血幹細胞採取」に関して少しお話ししたいと思います。あまり関係のない方が多いと思いますが、参考にして下さい。

 私は、5クールの抗がん剤投与によって、下垂体近傍にあった悪性リンパ腫による腫瘍は、造影MRI上では消失し、「完全寛解」状態になりました。

 今回、入院して治療しているのは、寛解後、もし残存するがん細胞があればそれを叩く、言ってみればとどめを刺す治療、「地固療法」を行うのと、その時に副作用として出る骨髄抑制を利用して、最終的目標である、「完治」に向けた自家血幹移植の際に使用する末梢血幹細胞の採取という二つの目的で入院治療しています。

 地固療法で持ちいたのがキロサイドです。大量のキロサイドとは中枢に移行する量のキロサイドと言うことです。この抗がん剤投与を630日、71日の2日間にわたって投与しました。そして今、造血幹細胞の採取のタイミングを計っているところです。

 造血幹細胞は、骨髄が抑制され最低値になった後、回復する際に末梢血内に漏れ出てきます。この漏れ出た造血幹細胞を採取します。
 その時に白血球を増やすお薬がG-CSF(顆粒球コロニー形成刺激因子製剤)です。
 白血球を増やす際に造血幹細胞も増えます。これを採取します。
 造血細胞移植ガイドラインー造血幹細胞採取(第2版)によると、今回のように化学療法後の造血回復期にG-CSFを投与する場合、化学療法終了後、少なくとも24時間以降からG-CSFを投与することになっています。私はキロサイド投与後3日後から連日投与しています。
 そして造血幹細胞を採取する時期でが、二つの場合があります。
 一つは、末梢血のCD34陽性細胞数が20/μLを超えるとき。
もう一つは、白血球数が5000/μLを超えて、かつ血小板が75000/μLを超えた時です。

 まだまだ私は骨髄抑制が来る途中です。76日の時点で、白血球数が3800/μL.血小板が107000/μLです。白血球数の3800/μLG-CSFを投与してでの値です。血小板が107000/μLと減少しているので、骨髄抑制は来ているはずです。これから一旦最低値になり、そこから回復して白血球数、血小板数が造血幹細胞の採取基準に当てはまる時期に採取が必要となります。今のところ、714日、15日の2日間で採取する予定です。

 さて、自家血幹移植に必要な造血幹細胞の数ですが、採取の目標は2×106乗個です。そうすると74㎏の場合、148×10の六乗個、14800万個必要と言うことになります。
 今回の1クールで必要な量が取れない場合は、地固療法の2クール目で同様の治療をすることになります。

 さて、造血幹細胞を採取することをアフェレーシスと言うそうです。
 この際、透析の要領で採取していきます。
 造血幹細胞を採取する際は「血球成分分離装置」を用います。体から血液を取り出し(脱血)血球成分分離装置を通して、それ以外の血液はもう一度体に戻します。(返血)この脱血、返血のための血管ルートが必要になります。採取する血管は太い血管を確保します。十分な太さの血管でないと、脱血不良を起こしてしまい、時間がかかるだけでなく、十分な造血幹細胞を採取することができなくなってします。

 採取のために推奨されている穿刺部位は肘静脈、肘のところの静脈です。どうしても血管を確保できない場合は、大腿静脈を使うこともあります。経静脈や鎖骨下静脈からの穿刺は、穿刺のリスクもあるため避けるようにしています。さて、脱血用と返血用の2本のルートが必用なので、造血幹細胞を採取している間は両手を使うことができません。約34時間かけて採取していきます。

 さてアフェレーシスを行うにあたっての有害事象があります
 一つは、採取中に血液が固まらないように抗凝固剤を使います。ACD液と言うのを使いますが、この中に含まれているクエン酸によるクエン酸中毒があります。ただ、これに関してはグルコン酸カルシウムによってカルシウム駅の持続注入することでほとんどが予防できます。
 もう一つが、血管迷走神経反射です。徐脈になることもあり、採取中は心電図モニターなどを装着して管理する必要があります。
 最後に、アフェレーシスによる血小板の減少があります。
 こういった有害事象に気を付けながら造血幹細胞を採取していきます。

 さて最後に、造血幹細胞の採取の目標です。
 自家血幹細胞移植に必要な造血幹細胞数は、2×106乗/kgのCD34陽性細胞です。
 74㎏とすれば146×106乗個、14800万個の造血幹細胞が必要となります。
 1回の採取で十分な量を採取できることもありますが、今回私は2日間に分けて2回採取します。もしこの2回でも十分な造血幹細胞が採取できない場合は、次の2クール目の地固療法の時に採取します。できれば今回1回で十分な造血幹細胞が採取できればいいなあと思っています。

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TEL 075-441-4303

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