新着情報

2022.08.25

新型コロナウイルス、要件見直し、緩和で乗り切れるのか?

 こんにちは。渡邉医院の渡邉です。前回のブログに引き続いて新型コロナウイルス対策として要件の見直し、緩和で本当に乗り切れるのか。根本的な問題はなんであったのかを検証し、改善していかなければならないと思います。新興感染症は今回の新型コロナウイルスだけではありません。まだまだこれからも様々な新興感染症が必ず私たちの前に現れてきます。それにしっかり対応できるようにすることが必要だと思います。

さて、8月2日、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長ら「専門 家有志」が「提言」を発表しました。その提言には、新型コロナウイルスの「取扱変更のための2段階の移行案」であり、ステップ1に「現行法・通知解釈の範囲で運用可能な移行策」、 ステップ2に「法改正や通知の変更を伴うゴール」を示しています。
 ステップ1では、医療体制について、入院医療機関のゾーニングは現状の病棟単位 から病室単位を基本へと移行すること。また、医療スタッフは必ずしもフル PPE を必須としない感染防護とする等によって、各医療機関の患者受け入れキャパシティーを向上させ、同時に対応施設を拡大する。外来医療は診療・検査医療機関だけでなく、一般の診療所でも実施できる体制へ移行する。また、保健所・行政対応では、現状の入院勧告に基づく行政による入院対象者の入院・搬送調整ではなく「医療機関間の入院調整を導入」し、それを行 政が支援する体制へ移行。陽性患者への対応については、保健所によるすべての感染 者ならびに濃厚接触者の特定・外出自粛要請が不可能なため、「ひとりひとりが主体的 な感染予防行動を取るように『涵養』」するというものです。
 疫学調査についても保保健所が必要とした場合にのみ実施としました。
 
ステップ2では、医療体制について、ステップ1の実施を前提に、より多くの医療機関での入院を可能とすること。保健所・行政対応では、やはりステップ1の実施を前提に、 入院勧告を廃止して、医療機関間での入院調整へ移行。陽性患者への対応は感染症法の取り扱いを変更し、「制度上の宿泊療養・自宅療養ではなく、一般的な自宅での療養」 へ移行。濃厚接触者についても「特定は行わずとも」、「ひとりひとりの主体的な感染予 防行動を取るように『涵養』」するとしました。

 さて、ステップ1で、「医療スタッフは必ずしもフルPPEを必須としない感染防御」でいいということですが、その根拠は何か。このことに関しては全く説明されていません。
 また「保健所によるすべての感染者ならびに濃厚接触者の特定・外出自粛要請が不可能なため」の理由は何かも説明されていません。
 やはり、なぜこのような状況になってしまったのか?そのことに対して、しっかり検証し改善することなく、「緩和」で今の感染拡大を乗り切ろうとしてもそれは到底無理なことではないでしょうか?
 例えば、医療機関の感染者の報告がなくなったとしても、患者さんの医療機関への受診が減るわけではありません。これまでと同様に多くの患者さんが医療機関を受診されます。また一般の診療所で診察できるようにするとしても、発熱している患者さんと一般の患者さんを一緒に診察するわけにはいきません。いくら緩和されてもやはり熱発した患者さんを診れる診療所は限定されるのではないかと思います。

 私としては何となく、国は新型コロナウイルス感染の収束は諦めたという印象です。そして国の責任ではなく、自治体に丸投げになってしまっている。国は国民の命を守るといったことを放棄してしまったようにも感じます。
 そしてまだ、新型コロナウイルスでよかった。新型コロナウイルスに感染され重症化する患者さん、亡くなられた方、また後遺症に悩まれている方も多いと思います。でも、もっと致死率が高いウイルスが今のように拡大した時、今の国、自治体の対策では、感染した人を見殺しにすことしかできないことを明らかにしたんだなぁと思います。実際現在でも、高齢者施設等で感染された高齢者は、その施設に留め置きされ、必要な医療が受けられずにいる方も大勢いらっしゃいます。

 やはり、まずは、今医療の現場で起きていること、また、高齢者施設で起きていることをしっかり見て、必要で十分な医療を必要としている方々に提供できるよう改善すること。そして今回の対応をしなければならなくなった、根本的な問題を検証して、そこを改善して欲しいと思います。

2022.08.25

新型コロナウイルス「全数把握」見直し等に関して。

 皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。

 今、新型コロナウイルス感染に関して「全数把握」の見直しなどが議論されています。
 京都市でも「感染症法上の位置付けの見直しなどを国に求める意見書を採択しました。
 本当に、この意見書によって今の医療崩壊や保健所の逼迫が解消されるのか、そんな疑問もあり、京都社会保障推進協議会は声明を発表しました。その声明に関して入院中に連絡があり電話での取材等がありました。その記事の内容を転記して、紹介します。

 新型コロナの「第7波」の感染拡大を受け、京都市議会7月議会は最終日の2日、感染症法上の位置付けの見直しなどを国に求める意見書を、日本共産党を除く全会派一致で採択しました。共産党は、今やるべきことは医療体制や保健所機能の強化として、そのための支援を求める意見書を提案しましたが、同党のみの賛成で否決されました。これを受け、京都社会保障推進協議会は3日、声明を発表。採択された意見書を批判し、国に求めるべき意見書を提案しました。

 同社保協議長で医師の渡邉賢治さんに、意見書の問題点、声明のポイントについて、聞きました。

 採択された意見書が求めたものは二つです。新型コロナの感染症の分類を今の「2類相当」からインフルエンザと同じ「5類相当」に引き下げる。もう一つは、感染者の全数把握の見直しです。いずれもその理由は医療機関や保健所の業務ひっ迫です。

 現在、患者は医療が受けたくても受けられない、医療機関は診察したくても診察できない状況があります。
 しかし、意見書の求める方向が改善につながるか疑問です。
 まず分類見直しです。季節性インフルエンザに対し、新型コロナのオミクロン株では、60歳以上の重症化率は3・2倍、致死率は3・6倍です。しかも、インフルエンザには使用のハードルの低い抗ウイルス薬もあります。この状況で、インフルエンザとコロナを同じ扱いにはできません。
 また5類となれば、現在行われている入院の勧告・就業制限、外出自粛といった感染拡大を防ぐための要請はできません。全額公費負担の検査費や治療費も、自己負担が必要になります。これでは感染対策どころか、感染者や重症者を増加させる可能性があります

 患者の全数把握の見直しも同様です。事務作業が膨大になっているのは事実ですが、実態把握が不十分のままでは、現場は一層ひっ迫します。
 そもそも現場のひっ迫を招いた根本的な原因は、国の低医療費政策による医師・看護師・保健師の増員を十分に行ってこなかったことです。声明ではこの点を強調しました。

 いま、医師・看護師・保健師は、すべての患者の命と健康を守るために、昼夜分かたぬ努力を続けています。

 その現場が何を求めているのか。声明でも指摘しましたが、「5類」にすることや全数把握の見直しではありません。医師や看護師、保健師の増員と病床の確保です。特に緊急的に医師・看護師・介護職員や必要な医療専門職を配置した医療機能を持った臨時的入院施設の確保が求められています。また、検査体制の整備、早期のワクチン接種、治療薬の開発なども必要です。

 声明では、こうした立場で市議会が再度意見書を提出するよう求めました。共産党が、採択された意見書に反対し、医療体制や保健所の機能強化を求めたのは当然です。

 市議会が、救える命を救うための施策のために動くことを切望します。

  京都民報 第3043号 2022年8月21日

2022.08.24

移植関連死5%以下!

 皆さんこんばんは。渡邉医院の渡邉です。

 いよいよ悪性リンパ腫の最後の治療、「自家血幹移植」に向けての入院が91日に決定しました。
 それに向けて、自分のできることはしっかりと行っていきたいと思います。

 さて、自家血幹移植によって完治を目指すのですが、やはり移植関連死が約5%以下という頻度ですが、やはりあります。好中球が減少することでの感染症や、腎臓や肝臓などの臓器障害。また採取した造血幹細胞が生着しないなど、様々な原因で起きると思います。

 渡邉医院で内痔核に対して痔核根治術を行った場合、約1%ですが、術後710日目頃に内痔核の動脈を結紮した部分から動脈性の出血、晩期出血があって、どうしても止血処置が必要になります。100人に1人です。移植関連死は約5%以下、100人に5人以下。渡邉医院での晩期出血の頻度の5倍になります。100人に5人以下。多い気もします。
 そんなこともあって、以前、移植関連死が起きた場合はどうするか、相続税はどうなるか、渡邉医院はどうするか等、税理士さんにも相談しながら、妻と話し合ってしっかり方向性を決めました。やはり5%以下の移植関連死ですが、ここまでの準備をして臨みます。

 また私自身できることは、これまでの治療で落ちた体力や筋力をアップすることです。後は感染症に気を付けるために、基本的な感染予防策をしっかりとる。こんなところだと思います。

 一旦退院しているときの私の生活を少し紹介しますね。

 今日は、妻の勤務が昼からだったので、ゆっくり休んでもらおうと、妻が寝ている間に散歩に。今日は午前5時に目が覚めたので、5時半ごろに出発。約二時間程度のウオーキングと、ウオーキングのルートに鉄棒が2箇所あって、その鉄棒を使っての60回の腕立て伏せ。また、退院後一番大変なのが地下鉄の階段の登り。散歩のルートの中に地下鉄の階段の上り下りを入れています。
 家の帰ると、もう全身ずくずくの汗まみれ、シャワーに入るのですが、その時にお風呂の掃除。朝ごはんは、退院中は私が担当するので、コーヒーを入れて朝食の準備。食後は毎食後私がリハビリがてら食器洗い。
 今日は、実家と渡邉医院に郵便物が来ていないか、何か連絡事項が届いていないかなど確認に行きます。この時も体力アップのため徒歩とバス、地下鉄で行きます。
 今日はしませんでしたが、診療所の庭掃除をすることもあります。今日は何故か事務所の鍵が動かなくなっていて、何とか修理して動くように直すことができました。この鍵を治すということをするだけで汗ダラダラ。最後に植木鉢の花や観葉植物に水を上げて終了。そして帰宅。こういった実家と診療所に行くのは週23回程度です。
 自宅に帰って、少しテレビを見ながら休憩。今日はドラマの「ガリレオ」を見て、涼しくなった頃からお買い物。
 今日はねぎと、ジャガイモ、果物、ヨーグルト等を買いに行く。
 いつもは夕食は妻が仕事から帰ってから作ってくれるのですが、今日は夜勤。自分で何とかして食べる。そして今行っているブログの更新等。今日はこんな感じで1日が終わっていきます。
 こんな風な生活を退院時にはしています。

 でもこういった普通の生活が送れることに、本当に喜びを感じます。何気ない毎日が本当に大切なんだなあと思います。

 また、最近気が付いたのですが、誰かに「〇〇をしておいてくれる?」と頼まれても。「え~。今~?」と言うことがなくなりました。頼まれると、即答で「了解!」です。私自身に何か頼まれ、それをすることがとても幸せな感じがします。まあ、仕事をしていないので、私には十分な時間があるということもあると思いますが。でもそういった頼みごとをこなしていくことも、体力や筋力アップにつながると思っています。
 悪性リンパ腫になって、本当に何気ない毎日の生活を送ることの大切さ、幸せを強く艦居るようになりました。

 さて、自家血移植に向けた入院、91日まで後、今日も入れて8日間。特別なことはしませんが、これまでお話ししたような、普通の生活を大切にして、充実した日々を過ごしていきたいと思います。

2022.08.24

自家血幹移植に向けての入院が9月1日に決定!

 皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
 まだまだ暑い中、皆さんどうお過ごしでしょうか?体調は崩されてないでしょうか?
 新型コロナウイルス感染もまだまだ落ち着かない状況ですが、上げ止まりの状況かなあと思います。そろそろ新規感染者も減少していくのではないかと期待しています。

 さて、いよいよ自家血幹移植に向けての入院日が91日に決まりました。

 これまで、寛解導入に向けての5クールの抗がん剤による化学療法で、下垂体近傍にあった悪性リンパ腫による腫瘍も消失し「完全寛解」になりました。そして寛解状態でも、もし残っているがん細胞があればそれを叩く、言ってみればとどめを刺す治療として、2クールにわたって地固療法を行いました。その際に最終的に「自家血幹移植」の時に使う造血幹細胞の採取を行い、これも十分な量の造血幹細胞が採取でき、これまでは本当につまずくことなく順調に治療が進んできました。

 地固療法の2クール目が終わり、一旦811日に退院し、今は自宅療法を行っています。
 悪性リンパ腫には本当になりたくありませんでした。でも悪意性リンパ腫になったことで得るものも多かったと思います。

 いよいよ一連の治療の最終段階、「自家血幹移植」に向けての入院が91日に決定しました。私にとってはここまでの6カ月間、あっという間の6カ月でした。「よし!いよいよ最後の自家血幹移植だ!」」という気持ち、何か楽しみにしていたものがやっと来たというった気持ちです。

 このようにこれまでは、本当に順調に、最短でここまで来れたと思います。このことは、やはり、私の周りでこれまで支えてきてくださった、皆さんのおかげだと思います。感謝いたします。

 先日、自家血幹移植に向けての外来受診をしました。主治医の先生も、「これまでつまずくことなく、本当に順調に治療が進みました。最後の自家血幹移植、もう一度気を引き締めて治療に取り組みましょう!」との言葉をいただきました。本当にそうだと思います。ここまでに快復させて下さった先生方、そして私を見守ってきてくださった皆さんのためにもしっかりと最後の自家血幹移植に取り組んでいきたいと思います。

 外来受診時の血液の検査では、肝機能は正常。腎機能は現状維持。白血球は4300と正常へと改善。血小板も42.1万と多いぐらいに回復。また貧血の程度もHgb9.9と改善しています。ここに関しては準備万端です。ただ、KL-6といって、間質性肺炎の指標となる数値が800と高値になっています。4月の最初の時よりもだんだん増加しています。正常は500以下です。胸部単純X-Pでは特に異常はないのですが、移植に向けて間質性肺炎がどうか、ほかのリンパ節は腫脹していないかのチェックのために830日に胸腹部のCTを撮影することになりました。まずは自家血幹移植に関しては問題はないと思いますが。

 さて、これまで7クールにわたっての抗がん剤による化学療法でやはり体力、筋力が落ちています。
 今、自宅療養中にこの落ちてしまった体力、筋力をできるだけ入院までに回復させようと追っています。
 毎朝約2時間の散歩、その際に鉄棒を使っての腕立て伏せ、また掃除や洗濯、買い物など、できることは行っています。だいぶ体力も筋力もアップしてきたようです。

 そのことが一番わかるのが地下鉄の階段の登りです。初めのうちは、階段を登りきるとハアハアと息切れ、そしてその息切れが回復するまでの時間が長かったですが、最近はその生き疑売れも少なくなり、回復までの時間も短くなってきました。「結構回復したなあ!」と感じます。

 今回の自家血幹移植、抗がん剤を投与して約1週間程度で骨髄抑制が来て一旦骨髄が「死」にます。そのタイミングに合わせて事前に採取した造血幹細胞を移植します。移植された造血幹細胞は約10日から14日間で骨髄に生着して、血液を作り始めます。生着は白血球の中の好中球が500μl以上となりそれが3日以上続くことです。

 大体入院期間は1か月から2か月と主治医の先生はおっしゃいました。私としては最短で回復して復帰したいと思っています。

 自家血幹移植を行うことで、どうしても体力、筋力が落ちてしまいます。この落ち具合も復帰に影響します。
 今、自宅療養中に私ができること、それは体力、筋力をできる限りアップさせることです。入院中も極端に落ちないようにしていきたいと思いますし、それに向けての対策を練ろうと思います。

 329日に緊急入院をして、5カ月。いよいよ治療の最終段階。しっかり「自家血幹移植」に取り組み早く回復して、復帰して、渡邉医院を再開したいと思います。
 もう一息、頑張っていきたいと思います。

 渡邉医院の再開まで、もうしばらくかかります。皆さんにはご迷惑をおかけしていますが、もうしばらくです。よろしくお願いいたします。

 

2022.08.11

77回目の終戦記念日を迎えるにあたって

 皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。

 815日、77回目の終戦記念日迎えようとしています。
 私たちはもう一度戦争のない平和な世界の大切さをしっかり考えなければなりません。
 戦後77年が経ちました。でもまだ戦争は終わっていません。77年経った今でも戦争が終わっていない方、戦争の傷を負っておられる方が大勢いらっしゃいます。
 一旦戦争が始まれば、たとえ終戦を迎えたとしても永久に戦争は終わることはありません。

 戦争は人間を人間でなくしてしまいます。そしてその事を当然のように感じ、そのことに何の疑問を持たなくなってしまいます。
 このことは決して防ぐことはできません。
 ですからこそ、戦争をしない世界にしなければなりません。

 そしてそのためには平和の教育がとても大切になってきます。
 戦争の恐ろしさ、醜さ、そして悲惨さを、戦争を知らない人たちに語り、そして継いでいかなければなりません。

 戦争はいつの間に私たちの生活の隙間に入ってきます。そして知らないうちに、そして気が付いた時には戦争へと一気に広がってしまいます。どんな些細なことでも、戦争につながることに敏感になり、そしてその芽を摘み取っていくことが大切だと感じます。

2022.08.10

病室の窓から見えるケーキ屋さんを描いてみました。ー動画ー

2022.08.07

今宮神社3部作、水彩画で描いてみました。ー動画ー

2022.08.05

患者さんの治療へのモチベーションを上げるには。

 皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。

 現在、地固療法の2クール目のために入院しています。おそらく今日あたりが、骨髄抑制のため白血球数が最低値をとると思います。血液検査の結果待ちです。ただ、白血球が減少するのも予定通り、G-CSFの皮下注射をしながら琴髄の回復を「待つ」のみです。

 今回は、83日水曜日に「クローン病の栄養療法」という講演をWEBで視聴しました。その中で、いかに患者さんの治療へのモチベーションを上げるかについて話された部分が、クローン病かかわらず、全ての病気の治療につながると思い紹介します。

 「クローン病の栄養療法」の内容に関しては、クローン病の診察、治療をしていない私でもわかりやすい内容でした。

 さて、渡邉医院にもやはりクローン病の患者さんが受診されます。すでに治療をされていて肛門の具合が悪いから受診される方や、肛門疾患が初発症状でクローン病の治療経験がない患者さんも来られます。その場合は、クローン病など炎症性腸疾患を専門にされている先生に紹介して診てもらっています。

 やはり肛門疾患で受診されるクローン病の患者さんは裂肛や痔瘻、肛門周囲膿瘍が多いです。一般の方の裂肛や痔瘻とはやっぱり診た時の印象が違います。裂肛の場合は、深い潰瘍状になっていて、スキンタグがあれば、腫れぼったい浮腫状になっています。また痔瘻も二次口が多数認められる患者さんや原発口が触診だけではわかりにくい患者さんもいらっしゃいます。いずれの方もパッとした見た目がやせ形で、栄養状態が悪そうな患者さんが多いです。男性では痔瘻、女性では裂肛が多いです。

 クローン病が基礎にある肛門疾患の患者さんは頻回の下痢が続いていたり、腹痛などの腹部所見があります。また原因不明の発熱をしたりします。そして先ほどお話ししたように、いかにも低栄養のやせ形の方が多いです。

 こういった肛門以外の症状も聞いてクローン病を疑った場合は、専門医に紹介しています。
 クローン病の肛門疾患に関しては、基礎にあるクローン病をしっかり寛解させることで自然に良くなっていくことが多いです。もしそのような方は医療機関を受診して診察を受けてみて下さいね。

大分話が脱線してしまいました。

「クローン病の栄養療法」について少しお話しします。

 クローン病の栄養療法には二つあります。経腸栄養と静脈栄養です。クローン病に関しては腹部症状、腸管の損傷がなければ経腸栄養の適応となるようです。

 また1日に必要なエネルギーの半分を経腸栄養で補うHalf EDはクローン病が寛解した後の寛解維持期間を優位に延長するということです。したがって、クローン病の寛解維持、術後の再発を抑える意味でもHalf EDは有効とのことでした。

 治療方法に関しては、栄養療法と薬物療法の大きく二つに分けられるようで、それぞれの治療する作用部位が違ってきます。栄養療法は食物抗原などが朝刊粘膜から入ってこないようにする目的であり、生物学的製剤は粘膜内での炎症を抑える目的で使います。生物学的製剤によって随分治療方法も変わって来たようです。

 そして、クローン病の活動期、寛解導入期、寛解維持の病気によっても治療法が違ってくるそうです。ただ、栄養状態が低いと、生物学的製剤の効き目が悪くなるため、生物学的製剤を導入する前には、ある程度栄養状態が改善していないといけないとのこと。

 まずは栄養療法を行って栄養状態を良くして、検査などの結果が出次第生物学的製剤を使うといった流れになるようです。

 ただ、EDを飲むことで下痢をするという患者さんもいるようで、たいていが一気に飲んだり、濃い濃度のEDを飲むことで起きるので、飲み方の指導が大事なようです。またEDを飲んでいると飽きるという患者さんもいらっしゃるようで、様々なフレーバーがあったり、ゼリーにしてみるなどの工夫をしているとのことでした。

さて、今回の題名でもあるように、どのようにして患者さんの治療へのモチベーションを上げるかです。

 やはり大切なことは、患者さんにわかりやすい説明をするということです。
 患者さんにとって、今自分の病気の状況がどういう状況なのか。そして、今何をしなければならないのか。それを十分にわかってもらったうえで、治療の必要性、治療の方法を、これも患者さんにわかりやすく説明する。このことがしっかりできていれば患者さんの治療へのモチベーションが上がってくると思います。
 このことはクローン病にかかわらず、全ての病気に共通します。
 なかなか先生と話ができていない。自分の状況はどうなのかわからない。本当でこれでいいのか。と言った相談も受けています。
 やはり医師、患者さんともに良いコミュニケーションが取れる。そういった環境をしっかり作っていかなければならないと思います。

2022.08.02

しんどい時が一番辛い

 皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。

 現在入院中ですが、眼科の受診をしてきました。と言うのも、46日に左目の手術を受けたからです。視力は裸眼で、右目0.7、左目は1.0と私としてはとてもいい具合になり、それを継続しています。

 入院当時は、物が二重に見える複視もありましたが、左目には硝子体内に浮遊物があり、なかなかものも見づらく、書くことさえ困難でした。今のようにパソコンのキーボードを打ったり、スマホの画面を見ることも困難でした。右目は動眼神経麻痺で瞼が下がってくることはありましたが、まだ見えていました。

 右目は動眼神経麻痺だけで、浮遊物はなかったので、手術は左目だけでした。
 局所麻酔でするのですが、痛みもなく、何か万華鏡を見ているような感じでした。また浮遊物が吸い取られていくのも感じました。硝子体手術をすると後日高い確率で白内障が悪化するとのことでしたので、左目は白内障の手術も一緒に行いました。

 さて、その浮遊物のなかに悪性リンパ腫の細胞がやはりあり、それで確定診断がつきました。下垂体近傍に腫瘍として現れた中枢神経原発型悪性リンパ腫と言う確定診断です。
 目の方もまだ右眼動眼神経麻痺があるので、複視はあるものの、左目の浮遊物がなくなったので、物はすごく良く見えるようになりました。
 左目の手術をすることで、中枢神経原発型悪性リンパ腫と診断できたのと、複視はありますが、目が良く見えるようになった、この一石二鳥でした。その後はこれまでお話しした経過をたどって今に至ります。

 今から思うと、329日に緊急入院をして、とてもしんどい時期に、入院している患者さんをどうするか。手術を決めている患者さんへの連絡はどうするか。また、その時の状況だと渡邉医院を休止しなければならないこと、それにはこれまで私を支え働いていてくれたスタッフの皆さんを解雇しなければならないこと、また渡邉医院休止の手続きやスタッフの解雇にかかわる厚生年金や医師国保の手続き。また、患者さんが持ってこられる診断書の作成。さらには渡邉医院を休止した後の私たち家族に経済的な不安、問題をどう解決していくのか。などなど、一番しんどい時に様々な書類を書いたり、各方面への連絡等を行っていたなあと思います。今では、入院中、落ち着いて治療に専念でき、「待つ」と言う大切な治療の時間に絵を描いたりして過ごしています。

 誰も、いついつからから病気になる等予定を立てることはできません。また緊急入院となればなおさらです。
 私だけでなく、全ての方が、自分が一番しんどいときに大変な作業をしなければならないと思います。
 一番しんどい時はしっかり休めて、ある程度回復してから書類、手続き、各方面の連絡ができるようになればいいなあとは思いますが、なかなかそうはいかないと思っています。

 さて、今回の地固療法が終わったら、最終的には「自家血幹移植」を行って完治を目指します。完治して復帰して、渡邉医院を再開したいと思っています。
 この再開する際も様々な書類書き、手続き、各方面への連絡等大変な作業が待っているんだなあと思います。
 入院中もしっかり体力をつけるようにして、退院してもしっかり体が動くようにしておかなければと今、思っています。

2022.08.01

第14作目「病室から見える朝焼け」を水彩画で描いてみました。ー動画ー

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医院情報

院名 渡邉医院
住所 〒602-8462
京都府京都市上京区浄福寺通今出川下ル
竪亀屋町255
TEL 075-441-4303

診療時間

診療時間 日・祝
9:00~12:00 ✖️

※術後の患者さんも緊急対応いたします。
※日曜日・祝日は休診です。
※第3土曜日は休診にさせていただきます。
※完全予約制ですので、必ずお電話して頂き、予約してからの受診をお願いいたします。
予約の電話受付は平日12:00-14:30です。