「私のお尻のメッセー痔」発売‼ ヴェルヘルムⅢ世著
10月になりました。今年も残すところあと3ヶ月。今年は新型コロナウイルスの感染拡大で、コロナ、コロナであっという間に月日が経ってしまった感じです。
今日、夕方少し外に出てみると、とても涼しい。過ごしやすくなってきました。
さて今日は中秋の名月。天気も大丈夫そうなので、美しい中秋の名月を見ることができると思います。中秋の名月を見ながら皆さんはお団子ですか?それともお酒ですが?いずれにしても、美しい月を見ながら、ゆっくりとして時間を持ちたいものですね。
今日は漫画の紹介をします。ヴェルヘルムⅢ世さんというペンネームで漫画を描いてられる方の漫画です。書籍名は「私のお尻のメッセー痔」です。渡邉医院にぴったりです。
ヴェルヘルムⅢ世さんも痔で悩んでられて、手術をして治されました。その時の実体験をもとに描かれた漫画です。はじめはInstagramでの漫画投稿でしたが、フォローワーもどんどん増え、それが出版社の目に留まり書籍として出版されることになったようです。この本について次のような紹介がありました。
『痔主の共感度200%のインスタコミックエッセイが書籍化!Diに革命を!Diにもっと市民権を‼(※Di=痔)
日本人の3人に1人は痔を患っていると言います。
著者(30代女性)も痔主のひとり。痔という病の辛さを共有したいと思い立ち、2018年3月にインスタグラムをスタート。痔のマイナスイメージを払拭するため“痔”を“Di(ディーアイ)”という呼称にした「Diの悲劇」というタイトルの闘病マンガを投稿し続けたところ、徐々に「いいね」が増加。わずか半年後には3000を超える「いいね」が付くほど、多くの痔主たちからの賛同を得ました。
本書では、インスタで描かれた闘病物語に加え、書籍限定となる痔にまつわるQ&A、中国で痔になった友人の話を描き下ろし。読み応え抜群の200ページに。
中でも、あまりの痛みに舞い降りたほとばしる短歌は必読です。
誰にも言えずに落ち込んでいる痔主へ
ヴェルヘルムIII世が悩めるすべての痔主に送るメッセー痔!
痔ではない人もちょっぴり覗いてみたいDiの世界をぜひこの機会にご覧ください。』
実体験に基づいた話は、やはり相手に伝える力は強いです。漫画だとなおさらかなあと思います。
辛かったことをとても面白おかしく描かれています。あっという間に読めてしまいます。
お尻の具合の悪い方や、悩んでいる方の応援、そして肛門科への受診の後押しになってくれればいいなあと思います。「Diにもっと市民権を‼」なかなかいいキャッチコピーだと思います。
実は、この本の中のQ&Aコーナーに私が参加しています。よかったら読んでみて下さいね。
厚生労働省が通知した「インフルエンザ流行期に備え新たな新型コロナの体制整備」を考える
厚生労働省が、「インフルエンザ流行に備え新たな新型コロナの体制整備」を通知しました。またその体制をとるために「新型コロナウイルス感染症に対応した医療機関等へのさらなる支援」を打ち出しました。インフルエンザ流行期への備えに対して、発熱外来診療体制支援というものです。予算額としては2170億円です。
今回は、この内容について少し考えてみたいと思います。
厚生労働省が示している「発熱等の症状のある方の相談・受診の流れ」は三つのパターンがあります。
一つ目は、患者さんが「かかりつけ医等」に電話相談し、相談した同一医療機関に受診するパターン①。
二つ目は、患者さんが「かかりつけ医等」に電話相談し、相談した別の「診療・検査医療機関」に受診するパターン②
三つ目は、患者さんが「受診・相談センター」に電話して相談し、「診療・検査医療機関」に受診するパターン③。
この三つのパターンが示されています。
そして、補助金等の支援があるパターンは一つ目の相談した同一の医療機関、「診療・検査医療機関」受診のパターンの医療機関と、三つめの「受診・相談センター」の補助的機関として、夜間・土日祝日等に電話相談に応じる医療機関のみです。
それぞれのパターンをもう少し詳しくお話します。
基本的にはまず発熱した患者さんは医療機関や「受診・相談センター」に電話連絡するところから始まります。そして医療機関は一般の医療機関と、「診療・検査医療機関」、そして「受診・相談センター」の補助的医療機関に三つに分けられます。「診療・検査医療機関」と「受診・相談センター」の補助的医療機関は、都道府県が指定します。
- 1.パターン①:「診療・検査医療機関」に電話した場合。
電話して相談した医療機関が「診療・検査医療機関」であるので、電話相談した医療機関の指示に従って、受診する日にちや時間帯にその医療機関を受診する。
この「診療・検査医療機関」は都道府県の指定があります。国への報告の締め切りの第1回目は10月12日です。そしてこの医療機関には国からの補助金が出ます。
- 2.パターン②:「かかりつけ医等身近な医療機関として電話相談に応じる」の場合
発熱した患者さんは自分がいつもかかっている「かかりつけ医等」の医療機関に電話をします。相談した医療機関が「診療・検査医療機関」であれば、電話した医療機関の指示された日にちや時間帯にその医療機関を受診することになります。電話相談した医療機関が「診療・検査医療機関」出ない場合は、電話相談した医療機関が「診療・検査医療機関」を紹介してくれるので、その医療機関に連絡して、その医療機関の指示で指定された日にちや時間帯にその紹介された医療機関を受診する。こういった流れです。
この場合は、最初に電話した医療機関は「診療・検査医療機関」ではないので、都道府県の指定はありません。そしてくにからの補助金もありません。
- 3.パターン③には二つあります。一つは、「受診・相談センター」に電話をして医療機関を紹介してもらうパターンです。「受診・相談センター」はこれまでの「帰国者・接触者相談センター」等が担当します。二つ目が、「受診・相談センター」が休む、夜間や土日祝日に補助機関として電話相談に応じる医療機関です。この医療機関も都道府県が指定し、国からの補助金があります。
こういった体制を厚生労働省は考えています。
ただ、この体制にはいろいろ問題があるのではないかと思います。
まず一つ目は、「診療・検査医療機関」は自治体のホームページ上に公開されます。対応可能な日時や時間帯などが公表されます。おそらく一般の市民の方もこのホームページにアクセス可能だと思います。そうした際に、二つのことが危惧されます。一つ目はPCRなどの検査等をして欲しいという患者さんが殺到する可能性があります。また反対に、新型コロナウイルス感染患者が受診する医療機関だということで、その医療機関に受診することを控えたり、医療機関や、そこに従事している医師や職員に対しての誹謗中傷や風評被害が広がるのではないかという問題です。国や自治体が、しっかりとしたリスクコミュニケーションが出来ていない中、必ずこの問題は出てくると思います。
またどの程度の電話相談がくるか不明です。電話対応に終始して、本来の診療が出来なくなってしまい、その結果、地域医療が診療所などの開業医から崩壊していく可能性も秘めています。
また、一般の医療機関もそうですが、「診療・検査医療機関」に対して、もしそこで従事する医師やスタッフが新型コロナウイルスに感染した場合の補償がなにもありません。またお金は出すが、診療に当たって感染防止のためのマスクやガウンなどの防御資材の安定した供給の補償もありません。こういった基本的なところがしっかり整っていない中で10月中の体制整備は難しいのではないかと思います。時間的に余裕はありません。インフルエンザの流行期が迫る中、早急に体制を整えなければなりませんが、見切り発車では医療現場が混乱してしまいます。それではいけないと思います。
市民の命と健康を守るとともに、医療従事者の命と健康を守る。このことをしっかり押さえていかなければならないと思います。
肛門の血管走行と手術、痔核硬化療法(ALTA療法)
前回は、内肛門括約筋と外肛門括約筋の役割の違いについてお話しました。今回は、肛門の血管についてお話しようと思います。
肛門管に行く動脈は、腹大動脈から下腸間膜動脈に枝分かれします。その下腸間膜動脈からさらに左結腸動脈、上直腸動脈に分かれていきます。この上直腸動脈が三本にさらに枝分かれしていきます。通常は左右の2枝にさらに分かれていきます。そして右枝はさらに前後に枝分かれしていきます。右枝は肛門管の7時と11時(右後ろと右前)の方向に、左枝は3時(左)の方向に流れていきます。この3方向に枝分かれしていくので、どんどん血液が流れ込んでくるので、この3時、7時、11時の方向に内痔核ができやすくなります。
また、総腸骨静脈から内腸骨動脈に枝分かれして、内腸骨動脈から分かれた中直腸動脈は肛門挙筋を通り直腸の壁と肛門管の上部を支配します。また、内腸骨動脈から枝分かれした下直腸動脈は坐骨直腸窩を通り肛門管の筋肉や肛門の皮膚に分布します。
医学書院の図が解りやすいので引用させてもらっています。
血管の走行と痔核根治術
内痔核に対して痔核根治術をする場合、肛門の外側から剥離して肛門管内の肛門上皮を剥離していきます。その時、肛門管内に剥離が進んだ時、動脈性の出血をすることがあります。これは下直腸動脈からの動脈の枝からの出血です。ただ、バイポーラという凝固止血器での凝固止血で十分に止血できる程度の出血です。さらに剥離を進めて、内痔核の根部、この根部が上直腸動脈が枝分かれした動脈ですが、この部分はしっかりと糸で結紮して止血する必要があります。この部分は凝固止血では無理な部分です。またこの内痔核に流れ込む上直腸動脈を結紮した部分から術後7~10日目の晩期出血が起きます。術後3時間後までに起きる早期出血の多くは下直腸動脈からの分祀した動脈からの出血で、これに対しては凝固止血で十分に止血可能です。
このように手術の際は血管の走行などをイメージして、確認しながら手術をすることになります。上直腸動脈からの枝分かれした動脈は、指で触ると、その動脈の拍動が触れ、動脈の走行を確認することが出来ます。痔核根治術の方法に、まずはこの動脈の拍動を確認してまずはその動脈を糸で得結紮してから剥離を始める方法もあります。
私はあらかじめ動脈を糸で結紮せず、剥離していき、か直腸動脈の枝分かれした動脈の出血はバイポーラで凝固止血しながら内痔核の根部まで剥離して最後に、根部の上直腸動脈を結紮して内痔核を切除します。
血管の走行とALTA療法
ジオンという痔核硬化剤での四段階注射法による痔核硬化療法(ALTA療法)においても、この動脈の走行が重要になってきます。
ALTA療法の四段階とはまず第一段階では内痔核の上極に注射します。これは上直腸動脈からの血流を遮断する目的があります。第二段階は、中直腸動脈領域の血流を遮断、第四段階は下直腸動脈からの血流を遮断する。そういった意味合いがあります。第三段階は内痔核そのものの静脈瘤に対しての注射です。このようにALTA療法はそれぞれの段階での意味がしっかりあります。したがってALTA療法を行う時はこの四段階注射法を遵守して行う必要があります。
前回の肛門の括約筋などの筋肉の役割、そして肛門に伸びる血管の走行をしっかりイメージすることが、手術や痔核硬化療法には重要となっていきます。
内肛門括約筋と外肛門括約筋の役割の違い
9月ももうすぐ終わります。日中も涼しく、過ごしやすい季節になってきました。朝晩は寒いぐらいです。季節は着実に進んでいます。
今回は、肛門の括約筋に関してお話ししようと思います。
肛門の括約筋には内肛門括約筋と外肛門括約筋があります。それぞれ役割が違います。
括約筋と聞くと皆さんは直ぐに「括約筋は便が漏れないように、締まる筋肉だ。」と思っているかたが多いです。でもそうゆうわけでもありません。簡単にそれぞれの括約筋の役割を話すと、内肛門括約筋は、直腸に便が来たら出しやすいように緩んでくれる筋肉。外肛門括約筋は便がしたくなったら、トイレまで我慢できるように自分の意志で絞めて、便が出ないようにする筋肉という感じです。それぞれの括約筋についてもう少し詳しくお話します。
内肛門括約筋
内肛門括約筋は直腸固有筋層の内輪筋という筋肉に連続している筋肉です。平滑筋という筋肉でできていて肛門管の部分で肥厚して内肛門括約筋を形成します。内肛門括約筋は自律神経で支配されていて、不随意筋です。ですから自分の意志とは関係なく収縮したり弛緩したりします。直腸に便がないときは、肛門管を閉鎖しています。肛門内圧の最大肛門静止圧(安静にしているときの肛門の圧)の約85%を構成しています。
直腸に便などが来て、直腸に圧の刺激を加えると弛緩(緩む)します。
ですから、直腸に便がないときは内肛門括約筋は締まっていて、直腸に便が来るとその刺激で内肛門括約筋は弛緩して、便を出しやすくします。
例えば、直腸に便がない時に100の圧で締まっていたとします。直腸に便が来ると、便を出さなければならないので、50まで圧が下がったとしましょう。そうすると50以上の圧力をかけると便が出ます。直腸の便が全部出てしまうと、直腸は空になるのでまた内肛門括約筋は100まで締まります。
このように内肛門括約筋は便が出やすくするように、直腸に便が来ると緩んでくれる筋肉です。
直腸に着た便が硬いと、内肛門括約筋が緩んでいても頑張っても出ません。反対に下痢だと、括約筋が緩んでいるので、待ったなしで出てしまいます。
よく、「便がいつの間にか出てしまっている。」とか、「いつもダラダラ便が出てきて汚れる。」とい症状で自分は括約筋が緩んでしまったのだと思っている方がいますが、そうではありません。いつも空っぽでなければならない直腸に便が残ったままになっていると、内肛門括約筋は便を出やすくするように緩んでくれています。ですから腹圧がかかった時に直腸に残っている便が勝手に出てきてしまう。内肛門括約筋は便が出るように緩んでくれている、内肛門括約筋はちゃんと機能しているということです。では何が悪いかというと、直腸に便が残っているということが便が勝手に出てしまう原因です。ですから直腸に便が残らないように、直腸にきた便がスッキリ出てしまうように、排便の状態を良くすることで、この嫌な症状は解消されます。
外肛門括約筋
外肛門括約筋は、内肛門括約筋の外側を筒の様に包み込んでいる筋肉です。筋肉の種類は横紋筋で随意筋でです。ですから自分の意志で外肛門括約筋は絞めることが出来ます。神経も自律神経ではなく、体制神経です。
外肛門括約筋は三つに分かれています。深外括約筋+恥骨直腸筋と浅外括約筋、そして皮下外括約筋です。
外肛門括約筋は随意筋なので自分の意志で絞めることが出来ます。ですから、直腸に便が来て、便意を感じると、内肛門括約筋が緩んで便が出やすいようにしてくれます。そしてトイレまで我慢するために自分の意志で外肛門括約筋を絞めるという具合です。
でも肛門は便を出すところです、出るのと我慢するのでは出る方がやはり勝ちます。ですから便がしたくなったら、我慢することなくトイレに行って出すことが大事です。
またいつの間にか便が出る、勝手に便が漏れるといった症状がある方は、直腸に便が残らないようにスッキリ便を出すように排便の調整をすることが大事になります。
裂肛は我慢すればするほど悪くなる。
四連休が終わって、9月もあと1週間。グッと涼しく過ごしやすくなってきました。
四連休はどう過ごされましたか?自粛自粛が都築、多くの人はストレスを抱えての生活だと思います。また、この生活が何時まで続くのかまだまだ予想できない状況です。そんなこともあってか、連休中の旅行などの人出は増えたのかなと思います。皆さん、自分自身の感染対策も随分しっかりできていると思います。今後は新型コロナウイルスとどう付き合っていくかも大事な課題だと思います。収束はあっても終息は難しいのではないかと思います。
私も、連休中はゆっくりさせてもらいました。心身ともにリフレッシュ。今日からに仕事も充実しています。
たまには息抜き、リフレッシュは大切だと思います。うつらない、そして相手にうつさないということをしっかり守って、生活していきたいと思います。
さて、最近裂肛で悩んでおられる方が多いような気がします。今月も、裂肛の状態が悪くなって、手術を決める患者さんも何人かいました。少し裂肛に関してお話したいと思います。
裂肛の辛いところは、痛みを我慢すればするほど、裂肛の状態が悪くなっていくというところです。
普通、怪我をした時などは、痛みを我慢していると傷は段々治っていきます。傷に細菌感染を起こして化膿してしまった場合は別ですが、細菌感染さえ起こしていなければ、傷は時間と共に徐々に治っていきます。また痛みに関しては消炎鎮痛剤の内服薬を内服しながら、傷の手当てをしていけば治っていきます。痛みも徐々に楽になっていきます。
でも裂肛は違います。排便時の痛みを我慢すればするほど、排便時の痛みが強くなっていきます。そして、排便時の痛みだけでなく、排便後の痛みの持続する時間も段々長くなっていきます。「痛みも我慢すれば徐々に楽になっていくのでは。」と期待してもその期待通りにはならず、反対に痛みは強くなっていきます。ですから、裂肛の場合は早く治療することが必要になります。
何故このようになるのか。それは、排便時に痛みがあると、肛門の内肛門括約筋の緊張が段々強くなっていくからです。痛いと無い肛門括約筋の緊張が強くなり、肛門の締まりが強くなります。痛いと締まる、痛いと締まるを繰り返すことで、徐々に裂肛は悪くなっていきます。
排便時に痛みがある。これはとても辛いことです。
さて、裂肛は最初のうちは排便の状態を良くすることで治っていきます。
誰でもいつも具合よく便が出るとは限りません。硬いこともあれば下痢のこともあります。誰もが排便の状態で、排便時に痛みを感じる経験はあると思います。でも排便の状態がいい人は、硬い便が一度あって、裂肛になったとしても、次の日の便が正常であれば裂肛は治療しなくても治っていきます。ですから、裂肛の初期の治療は、裂肛そのものを治すというよりは、裂肛の原因となる便秘や下痢を治す。排便の状態を良くすることで治っていきます。
しかし、排便時の痛みが強くなってきたり、排便時に痛みを感じることが多くなると、裂肛自身の治療が必要になってきます。
裂肛の治療には渡邉医院では軟膏を使っています。
軟膏の塗り方は、裂肛そのものに軟膏をつけるという具合ではなく、痛みによって、締まりが強くなってきている内肛門括約筋の緊張をとるように軟膏を塗ってもらっています。
塗り方としては、軟膏を指にとって、それを第1関節ぐらい肛門の中に挿入してもらっています。指を少し入れることで、内肛門括約筋の緊張をとることが目的です。言ってみれば軟膏を潤滑油として緊張をとる柔軟体操をするといった具合です。注入軟膏の場合、肛門に注入軟膏をさして注入するでは裂肛は治っていきません。緊張の強くなった、締まりが強くなった内肛門括約筋の緊張をとる。柔軟体操が必要です。ですから注入軟膏を指にとって、やはり肛門の中にいれ、緊張をとることが大事です。
ただ、内肛門括約筋の緊張がさらに強くなり、また、裂肛が原因での皮垂や肛門ポリープ等が出来ると慢性裂肛になります。そういった場合は裂肛に対しての根治術が必要になります。この場合も裂肛が治らなくなってしまう原因である内肛門括約筋の緊張をとることが目的です。また裂肛が原因での皮垂や肛門ポリープも裂肛が治らない原因になるので切除します。
肛門の手術は術後痛いと思っている方が多いです。でも裂肛に対しての根治術は、排便時の痛みをとることが目的です。ですから、裂肛の根治術をして、内肛門括約筋の緊張をとり、皮垂や肛門ポリープなど、裂肛の治りを悪くしているものを取り除くことで、排便時の痛みはスッと楽になります。
裂肛に対しての裂肛根治術は、排便時の痛みが強ければ強いほど手術を行った後の排便時の痛みは楽になります。
排便時に痛みがある、そして場合によっては排便後も痛みが持続する裂肛。とても辛い病気です。スッキリ治して、毎回の排便時の苦痛を取り除き、快適な排便を取り戻して下さいね。
妊娠中に血栓性外痔核ができやすくなる理由
9月も今週になってようやく涼しくなって、秋の気配がしてきました。空に浮かぶ雲も秋の雲。これから過ごしやすいいい気候になります。本来なら、秋の運動会や、行楽のシーズン。残念ながら、今年は新型コロナウイルスの感染拡大で、いつもとは違う秋の夜長の過ごし方を考えて、少しでも楽しく、これまでのストレスを解消できればいいなあと思います。
ストレスと言えば、ストレスがかかると、血小板がくっ付き易くなって、血栓ができやすくなります。そして肛門科的には、血栓性外痔核や内痔核に血栓が詰まって痛くなる嵌頓痔核など、血栓による痛いお尻の病気があります。
今週に入って、何人かの妊婦さんがこの血栓性外痔核で受診されました。
血栓性外痔核は基本的には、何もしなくても腫れが引いて痛みがとれ、血栓は溶けて吸収していきます。したがって、手術をして血栓を取らなくても治っていきます。ですから、血栓性外痔核の治療は血栓が詰まって腫れてしまった、その腫れによる痛みをどうとるかが治療になります。
通常の場合は、消炎鎮痛剤の座薬を入れると、腫れが引き痛みがとれ、楽になります。そして血栓は自然に溶けていきます。ただ妊婦さんの場合は、この消炎鎮痛剤の座薬がお腹の中の赤ちゃんに悪影響を及ぼすことがあるので使うとしても注意が必要になります。ですから、妊婦さんにも使うことが出来るカロナールという痛み止めを使ったり、後は軟膏を使って治していきます。また入浴もとてもよく、温めてあげることで、腫れが引いて痛みは楽になっていきます。
でも、痛みが強い場合は局所麻酔をして血栓を取り除く手術も妊娠中でも可能です。痛みが強いのを我慢しているのも、お腹の中の赤ちゃんに悪影響を与えるのではないかと思います。痛みが強い場合は手術をして血栓を取り除くと、スッと痛みは楽になります。また血栓を取るだけでしたら入院にもなりません。
さて、ではどうして妊娠すると血栓ができやすくなるかを調べてみました。この要因には多くく四つあります。
1.血が止まりやすくなる
一つ目は出産に備えて血が止まりやすくなることです。
出産時に約500ml程度の出血があるそうです。この出血からお母さんを守るために、妊娠の好機になると血が止まりやすくなるように、血液の凝固機能が高まっていきます。凝固機能が高まるということは血栓ができやすくなるということです。このように出血からお母さんを守るための体の機能が血栓をできやすくします。
2.静脈の圧迫
二つ目はお腹が大きくなることでの静脈の圧迫です。
妊娠してお腹の赤ちゃんが大きくなっていくと、お腹の中の静脈が圧迫され、そのことによって血液の流れが悪くなります。妊娠中、あおむけに寝ると苦しくなって、あおむけに寝れなくなる一つの理由もここにあります。肛門の血液は内痔核や外痔核が出来る静脈叢から下大静脈を通って肝臓に流れ込んでいきます。この静脈が圧迫され、血液の流れが悪くなることで内痔核が腫れてきたり、外痔核が腫れてきます。こういった血流が悪くなることでも血栓ができやすくなります。
3.エストロゲンの増加
三つめはエストロゲンの分泌が増えることです。
妊娠するとエストロゲンというホルモンが増えていきます。エストロゲンには血液凝固作用を高める作用があります。このことで血栓ができやすくなります。このことと同様に、低用量ピルを服用することで、血中のエストロゲンの濃度がふえ、このことによって血液凝固作用が高まり血栓が出来やすくなります。
4.血液量の増加
四つ目は妊娠すると血液量が増えることによります。
妊娠すると、お母さんの血液量は通常の1.4倍になるそうです。このことで、血液中の血小板や白血球の数が増えていきます。このことで血液が固まりやすくなって、血栓ができやすくなります。
このようなことが妊娠中の血栓ができやすくなる要因になります。
妊娠していると、何も治療ができないと思っている患者さんがいます。そんなことは有りません。局所麻酔での手術も可能です。何かあれば相談してくださいね。
10月の献立「いつもの食材でちょっと違う秋」秋の和?食
9月も半ばを過ぎて、やっと秋の気配。涼しくなってきました。まだまだ日中は暑さを感じますが、それでも過ごしやすいですね。
今日は10月の献立を紹介します。これまで紹介してきた10月のレシピを使っての献立です。管理栄養士さんが付けたテーマは、「いつもの食材でちょっと違う秋」、秋の和?食です。今回の献立、便秘の人にとってはとてもいい献立かなあと思います。食物繊維として、キノコ類や海藻類がしっかり摂れます。また青魚はコレステロールも下げてくれます。
少し話は変わりますが、エスキモーは欧米の白人同様に脂肪分を多く食べているのにも関わらず、血液の中の総コレステロールが低くしかも、善玉コレステロールが高いことが知られています。ですから、心筋梗塞や脳梗塞などの血栓が引き起こす病気が少ないとされています。これは、脂肪の摂取する量ではなく、その摂る脂質の質の違いによるとされています。エスキモーは魚やオットセイなどの海にいる生物を主食にしています。このことで、魚などに多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)などの多価不飽和脂肪酸が体に多く増えると血小板がくっ付きにくくなって血栓ができにくくなります。このようにEPAは血液の中のコレステロールを低下させたり、血液の流れを良くする作用や血圧を下げる作用もあるようです。青魚、ひかりもんは時々食べるといいと思います。
秋刀魚もいいのですが、今年はチョット不漁。なかなか食べれないかもしれませんね。残念!早く庶民の魚、秋刀魚が戻ってきて欲しいですね。
少し脱線しましたが、献立を紹介しますね。
10月の献立
1人分約840kcal、たんぱく質37g、食物繊維8g
・ぶりのバターポン酢焼き・青梗菜とえのきの生姜醤油和え
・長芋の柚子胡椒サラダ・ところてんわかめスープ・ご飯
の計5品
管理栄養士さんからの一言
長芋
長芋は粘りが特徴で、生でも食べられるいも類です。でんぷん分解酵素の
アミラーゼを含み、たんぱく質・ビタミンB1・ビタミンC・カリウムも多く
含みます。食物繊維は便のかさを増やす不溶性食物繊維と腸内細菌のえさとなる水溶性食物繊維の両方とも含まれています。
漢方でも山薬という生薬で胃腸などに効果があり精がつくと言われています。
「ぶりのバターポン酢焼き」のレシピを紹介します。
今回は「ぶりのバターポン酢焼き」のレシピを紹介します。
今日は、診療が終って母の家で一緒にいるとチャイムがなりました。誰かなあと玄関を開けると、母の家の小学校区の社会福祉協議会の民生委員の方が、母に敬老の日の記念品を持ってきてくださいました。母の住んでいる学区には80歳以上の方が850余名住んでおられるとのことでした。
母は認知症が進んでいますが、まだまだ元気です。先日母をデイサービスに迎えに行ったとき、母はいつも笑顔で私を迎えてくれるのですが、帰り道に私が「元気でしたか?」と聞くと、「私は元気ですよ。」と。私が「元気でよかった!」というと「そうですか。」と。
3~4年前でしたか、母と一緒に歩いているとき、ふと母が「私がいない方が、あなたは楽よね。」と。私はドキッとしました。そんなことを母が考えていたとは。なぜそのようなことを考えたのかわかりません。でもそんなことはありません。いつも母は笑顔でいてくれます。時にはこんなに笑うかと思うほど、顔をクチャクチャにして笑うこともあります。私はそんな笑顔が大好きです。そんな母をみているだけで日々の仕事を頑張ることが出来ます。いつまでも母の笑顔をみていたいと思います。
同じ小学校区に住んでおられる80歳以上の方々も同じだと思います。その方が元気でいることがまわりの人に生きる力を与えるのだと思います。
敬老の日を迎えるにあたって、皆さん元気でお過ごしください。
さて、今回はぶりのバターポン酢焼きです。ぶりと言えばすぐに頭に浮かぶのは、ぶりの照り焼きです。バターポン酢焼き、バターのこくとポン酢のさっぱり感。美味しそうです。管理栄養士さんから、鯖、鱈、鮭でも可能ということです。きっと白ご飯と会いますよ。前回紹介した、ところてんとワカメのスープと一緒に楽しんで下さいね。
ではレシピを紹介しますね。
「ぶりのバターポン酢焼き」
1人分 約380kcal たんぱく質 25g 食物繊維 2.5g
材料(2人分)
ぶり 2切れ
鯖、鱈、鮭でも可
塩 少々
小麦粉 適宜
油 小さじ2
★バター 大さじ1
★ポン酢 大さじ2
ピーマン 1袋
舞茸 1袋
作り方
- ①ぶりは軽く塩をし10分置いて、出てきた水気をふき取る。
- ②①に小麦粉を薄くまぶし、油をしいたフライパンで両面焼く。一緒にピーマン・舞茸も焼く。
*ピーマンは大きければ半分に、小さければそのまま焼く。
③付け合わせを取り出し、バター・ポン酢を入れてぶりに絡ませる。
④うつわに盛る。
管理栄養士さんから一言
ぶり
ぶりはたんぱく質が豊富で、脳の活性化や生活習慣病予防効果の期待できるDHAやEPA、骨の形成に重要なビタミンD、貧血予防の鉄、疲労回復の
ビタミンB1、脂質代謝に係るビタミンB2なども多く含みます。
魚油が流れ落ちない調理法が効果的です。
「青梗菜とえのきの生姜醤油和え」と「ところてんとワカメのスープ」のレシピを紹介します。
今日は、「青梗菜とえのきの生姜醤油和え」と「ところてんとワカメのスープ」のレシピを紹介します。
今日も日曜日ですが、入院の患者さんや手術をしたばかりの患者さんの診察に診療所に行ってきました。患者さんからは「先生、お休みなしですね。」とねぎらいの言葉をいただきますが、この生活がリズムになっているのであまり気にはなりません。
祖父も父も同じように診療していました。特に祖父の時はもっと頑張って診療をしていたようです。休みはお正月の三が日だけだったようです。土曜日は夕方まで、日曜日も午前中の診療をしていたようです。父が少しずつ休みを増やしていて、今の診療体制になりました。ですから今は随分診療時間も短くなって、楽をさせてもらっています。
ただ休みの日も、何か患者さんの具合が悪くなったりした場合は、直ぐに連絡がとれ、診察できる体制は24時間常にとっています。ですから泊りがけの旅行には行ったりすることはできません。
私が子供の頃は、父と一緒の旅行はなく旅行は母と妹の3人でした。なかなか入院の患者さんや手術をした患者さんがいるので、泊りがけの旅行はいけません。学会や年末年始の休みの時は、休み中に何も起きないように、そっして休み中は安心して患者さんが過ごしてもらえるように、休みの前はある程度手術を制限しています。こんな感じで日々を過ごしています。
さて話は変わりますが、今回のレシピ。便秘の方にはとても良いレシピだと思います。
具合よく便が出るには便の中に程よく水分が含まれ、そして便の量を増やす食物繊維があり、そして大腸が具合よく動く。この三つが揃って気持ちよく便が出ます。どれ一つ欠けてもダメです。ただ大腸の動きは便の量があると便そのものが大腸を刺激して動きを良くしてくれます。
この中の便の量を増やすということで、今回のレシピは有効です。十分な食物繊維が必要ですが、生野菜は量があってもそれほど繊維の量は摂れません。どちらかというと、キノコ類や海藻類の方が繊維の量は増やせます。ですから便の量を増やすということだけを考えると、生野菜のサラダよりは海藻とキノコのサラダの方が繊維の量は摂れます。そういったことを考えると今回のレシピ「青梗菜とえのきの生姜醤油和え」と「ところてんとワカメのスープ」はいずれも便の量を増やしてくれます。便秘の方は特に試して下さいね。
ではレシピを紹介しますね。
「青梗菜とえのきの生姜醤油和え」
1人分 約75kcal、たんぱく質 5g、食物繊維 3g
材料(2人分)
青梗菜 1株
えのき 1袋
うす揚げ(小) 1枚
生姜(すりおろし)1かけ
粉末だし 少々
醤油 小さじ1/2
作り方
- ①青梗菜・えのきは3cmの長さに切ってゆでる
- ②うす揚げは焼いて短冊に切る
- ③調味料で混ぜる
- 「ところてんとワカメのスープ」
-
1人分 約40kcal、たんぱく質 1g、食物繊維 1g
材料(1人分)
ところてん 小1パック
わかめ 大さじ1
ごま 小さじ1
めんつゆ 適宜
ごま油 小さじ1
*めんつゆの代わりに中華スープで作ってもおいしいです。作り方
①器にところてん以外を入れ熱湯を注ぐ。
②水切りしたところてんを入れる。
「長芋の柚子胡椒サラダ」と「長芋とミートボールのグラタン」のレシピを紹介します。
今日は、長芋2品ということで、「長芋の柚子胡椒サラダ」と「長芋とミートボールのグラタン」のレシピを紹介します。
9月になって、特に今週に入って少し涼しくなり、秋の気配を感じるようになってきました。でも何か、天気は安定せず、今も辺りは暗くなって、いかにも雨が降り出しそうな気配です。日の沈むのも早くなって、6時半ともなれば辺りは暗くなっています。
さて、今回紹介するレシピのなかにあるグラタンですが、私は小さいころからマカロニグラタンが好きでした。表面のカリッと少し焦げた感じや、中のホワイトソースが好きです。マカロニグラタンをおかずに白ご飯も食べれます。
グラタンと聞くといつも思い出すことがあります。それはまだ私が小学生のころ甲府に住んでいたのですが、生まれたのは長野県の松本。松本には小さいころよく遊んでくれたご近所の方がいて、お兄さんのような存在でした。「かつみ」というお名前で(漢字があいまいなのでひらがなで)いつも「かっちゃん、かっちゃん。」と言って遊んでもらっていました。その「かっちゃん」の家に小学生の頃初めて一人で汽車に乗っていったときのことです。
家族の方と食事を食べに行ったとき、「なんでも好きなものを頼んでいいよ。」と言われて、メニューを見ると「グラタン」がありました。私はてっきり「マカロニグラタン」だと思いこんで頼んでみると、マカロニが入っていませんでした。すごくショックでしたが、そんなことは言えません。でも美味しく頂きました。次の日、「昨日は物足りなかったろうから、今日はかつ丼ね。」と。グラタンと聞くと必ずこのことを思い出します。
また、自宅に近くに、こちらは正真正銘のマカロニグラタンをメニューにおいてあるお店がありました。このお店に行ったときは必ず「エビのマカロニグラタン」を頼んでいました。お店の方からも、時々、「今日はマカロニグラタンはよろしいんですか?」と聞かれるぐらいです。またそのお店には「牛筋肉の小さなカレー」というメニューもあって、最後の絞めに頼んでました。残念ながら、そのお店は別のお店に変わってしまい、食べることが出来なくなってしまいました。
ということで、そろそろレシピを紹介しますね。
「長芋の柚子胡椒サラダ」
全体量 約110kcal、たんぱく質 3g、食物繊維 1.2g
材料(4人分)
長芋 8cm
ウインナー 50g
玉ねぎ 1/8個
マヨネーズ 大さじ2
柚子胡椒 小さじ1/2
*長芋は火を通し過ぎない方が表面はほくほく・中はシャキシャキと食感がいいです。
作り方
- ①長芋は5cm角、ウインナーは小口、玉ねぎは薄切りにしてフライパンで炒める。
- ②全ての材料を混ぜる。
「長芋とミートボールのグラタン」
全体量 約400kcal、たんぱく質 21g、食物繊維 5g
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材料(作りやすい分量)
長芋 8cm
茄子 1本
ミートボール 1袋
チーズ 40g
*長芋がホワイトソース替わりになります。 - 作り方
- ①器に乱切りした茄子とミートボールを入れ電子レンジで温める。
- ②①に長芋をすりおろし、軽く混ぜて、チーズをかけオーブントースターで焼く。