大量メソトレキセート療法を行いました。
皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
今回の入院、なかなか難渋しています。強い症状があるのですが、その原因が分かりません。今年の3月から入退院を繰り返していますが、悪性リンパ腫の再発かどうかもはっきり分からない状況で治療を進めています。今回もそうです。腰部から臀部にかけての強い痛みや両下肢のしびれ。また顔の全体、特に右側のしびれなどいろんな神経症状が出ています。ただその原因が分かりません。これまでは腰部から臀部にかけての痛みに関しては髄注による対症療法を行ってきましたが、症状は繰り返すばかりです。
痛みに対しての緩和医療をを始めましたか、まだまだうまくコントロールできていません。同じことを繰り返していても仕方がないということで、主治医の先生と相談して、本来ならば、原因がわかって、その原因に対しての治療と言う順番で進むことが順番です。ただ今年の3月からいろんな検査をしていますが、原因が分かりません。やはりもう一度全身的に抗がん剤の投与をしてみてはどうかと言うことになりました。私もそれに対して賛成の意見です。いちど診断的治療になりますが、抗がん剤の全身投与、化学療法を行って見ることにしました。
今回の治療で症状が治るようでしたら、血液の検査や髄液の検査、造影の頭部MRI、腰部MRIなど検査ではわからなかったけども、悪性リンパ腫がくすぶっていたと言うことになります。
今回は、大量メソトレキセートによる化学療法です。メソトレキセートの排泄を促さなければならないので、輸液の量も多くなります。ですから中心静脈カテーテルを挿入しました。また雪の量が多くなるので、尿量も増えてトイレに行く回数が増えます。両方の下肢がしびれていて動かないので、トイレに行くのが大変なので、尿道カテーテルも挿入してもらいました。準備万端整えて、今日、大量メソトレキセートによる化学療法を無事終了しました。激しい副作用もなくよかったです。今回の治療で、症状が取れ良くなってほしいなぁと思います。
すぐには良くならないと思いますが、今後副作用が出てこないか、症状が取れてくるかゆっくり見ていきたいと思います。
肛門科医として
皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
今週末はすごく冷え込むようですね。風邪などひかずに元気に楽しい週末をお過ごし下さい。
さて、肛門科医としては、やはりしっかり手術ができるということが大前提ですが、でも1番大事なところは手術をした後の経過をどのように患者さんにとって、具合よく診ていくかなと思います。
その一つが手術後の痛みであったり、手術後具合よくすっきり、気持ちよく便が出るようにしてあげるか。また出血の心配をどのように取り除いてあげるか。このように手術後のフォローがとても大事になってくると思います。
患者さんにとっては施術をするということが、やはり1番の重要な課題になると思いますが、でもやはり手術後ちゃんと便が出るだろうか、その時には痛みはどんな感じだろうか?やっぱり便をする時は出血するのかなあ?など思い切って手術をした後、やはり術後のいろんなことが心配になって行きます。こういった心配をすることなく順調に具合良く、術後の経過を過ごしてもらうことができる。そんなふうにうまくフォローできれば肛門科医としては満足することができると思います。
いくら手術がうまくいっても、術後全く便が出ない。便が出てもすっきりしない。いつも残った感じがする。常に便のことで悩んでいる。これではうまく治しているとは言えません。
また、術後の痛みが強く、それに対してのコントロールが具合良く言っていなければ、いずれ楽になるとは言っても、患者さんにとってはとても辛い期間となります。全く痛みを取り除きながら治していくと言う事は無理かもしれません。でもできるだけ術後の痛みを緩和するそういった方法をしっかりとっていくことが大切です。また痛みがいつまで続くのか、いつまで我慢すれば大丈夫なのかなど、具体的に患者さんに伝えることもとても大切なことだと思います。がんばらなければいけない期間がわからない。この事は、患者さんにとってはとてもとても辛いことだと思います。私自身、今入院して加療していますが、痛みの原因はわからない状況です。今は落ち着いているのですが、また何時何時痛みがぶり返してくるか、そしてその痛みはいつまで我慢すればいいのか、そのことがわからない状況にあります。やはりこの事はとても辛いです。
また出血に関しても同じです。ガーゼや綿花に血がついているが、この程度の出血はこのまま放っておいて大丈夫なのか?どんな出血が止血が必要なのか?出血はいつまで続くのか?など出血に関しても、様々な悩み心配事が患者さんにとってはあります。それを1つずつこの出血は大丈夫。こんなふうに出血したらすぐに連絡してほしい。いつ頃になったら出血が減ってくるのか?など具体的に患者さんに説明することが必要となります。
このように、肛門科医には、手術以外にしなければならないとても大切なことがたくさんあります。このことは1つでもかけてはなりません。どれか1つかけただけでそれは十分な手術を行ったと言うことにはなりません。手術をしっぱなしやりっぱなし。手術した後は何のフォローもしない。これでは肛門医ではありません。
手術だけではなく、手術後のフォロー、これをしっかりできるよう私たち肛門科医日々鍛錬していかなければなりません。このことを怠るようでは、肛門科医を名乗る資格はないと思います。
私も今後さらにいっそう頑張っていこうと思います。
保険証の廃止、撤回に向けて
保団連MM 第857号からの転記です。
保険証の廃止、撤回までもうひとがんばりです。
内容を紹介します。
「政府のマイナンバー情報総点検本部が対応する医療保険に係るマイナンバー紐づけの誤りの点検作業が11月末までに終了しないことが確実となりました。
10月10日大臣会見で、武見敬三厚労大臣は、7月末に終了した「保険者による総点検」で確認された紐づけ誤りとは別に紐づけ誤りが確認されたと報告。そのため医療保険者向け中間サーバーに存在する1億6000万件の登録済みデータ全体について住民基本台帳情報と突合してチェックしていると説明しました。
この登録済みデータ全体の突合作業は24年3月以降も続くことを示すスケジュールが9月7日の医療保険部会で確認されています。つまり、総点検本部が目標とした11月末までは間に合わないことが確定したことになります。
紐づけ誤りがないかを調べる突合作業が期日までに完了しない中で「国民の不安が払拭された」とは到底言えません。
岸田首相は8月4日の記者会見で「総点検で不安払拭のための措置が完了しない場合、更なる機関が必要と判断される場合は必要な対応を取る」と約束しました。政府は不安払拭というなら保険証廃止を撤回すべきです。」
またまた入院してしまいました。
皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
ずいぶん季節も進み、涼しいというよりは寒い時もありますね。一気に冬に入って行くような感じですね、
さて、私はまたまた入院してしまいました。を先週の土曜日に退院したばかりなのに、1週間も辛いうちにまた入院。
今回は、持続する嘔気と頻回の嘔吐、そして腰部から臀部にかけての激しい痛みのため、水曜日の夜緊急入院しました。
ずいぶん体調は良くなってきました。火曜日の食べた分は全部吐いてしまい、水木金と三日間の絶食をしていました。今日の昼から少し食事をとってみようと思います。腰部から臀部にかけての激しい痛みは、金曜日に髄液検査をした際に、ステロイドと2種類の抗がん剤の髄注によって随分痛みは楽になりました。このまま痛みはおさまってくれたらいいなと思います。痛みのため三日間ほとんど眠れなかったのですが、昨日はぐっすり眠ることができました。よかった。
さて、今回のの持続する嘔気と頻回の嘔吐の原因は、痛みに対して使っていたオピオイド系の鎮痛剤トラマールの副作用だったようです。ロキソニンやカロナールでは全く痛みに効果はなく、オピオイド系のトラマールを礼服し始めたのですが、1日25ミリグラムの4回、計100ミリグラムではあまり効果がなく、200ミリグラムまで増量しました。これが原因での副作用だったようです。入院後はトラマールは内服せず、ようやくその影響が取れてきたようです。やはり薬は怖いものですね。いろんなことが起きる。薬を飲んで何か変わった症状があったら、やはりそのお薬を続けたらいいかどうか、再検討する必要がありますね。この副作用が出ている間、不思議な経験をしました。夢なのか現実なのかわからないのですが、何か意味のわからないことを頭の中で考えていました。これって妄想なのかなぁと思いました。この妄想が大きくなっていって、現実の世界と妄想の世界との区別ができなくなった時、厳格になって異常な行動を起こすのだろうなぁと思いました。やはりオピオイド系、麻薬系統のお薬は怖いですね。ただ、他にもこういった妄想や幻覚が出るお薬もあります。何かおかしな行動、異常な行動をした時、やはり今飲んでいるお薬の影響は無いのかどうかはしっかりと検討する必要がありますね。さて、この調子で食事も取れるようになり、ふらつきや痛みが楽になれば退院に向けて進んでいくんだろうなぁと思います。早くそうなってほしいなぁと思います。
先週退院してまた今週入院。本当に皆さんにはご迷惑をおかけします。もうしばらく待ってくださいね。よろしくお願いします。
臨床肛門病学会第5回WEBセミナーに参加して。
皆さんこんにちは。今日から10月になりました。
昨日の夜は、激しい雷雨。今日は雨が上がり、いよいよ明日からは秋を感じるよい季節になるでしょう。楽しみです。
さて、今日は私に取っては勉強の1日でした。午後14時から臨床肛門病学会主催の第5回WEB教育セミナーに参加しました。今回のテーマは「内外痔核の脱出、いわゆる脱肛の手術療法」についてでした。
ここで、「いわゆる脱肛」となっているのは、排便時に肛門上皮が外に出るようにして弁が出てきます。人間は具合良く脱肛することでスッキリ便が出ます。ただ、排便時に内痔核が肛門の外に出て肛門は脱肛したままの状態になっていることを「いわゆる脱肛」といっています。ですからこのようなテーマの題になったのだと思います。
今回はセミナーに参加して感じたこと思ったことを、少し箇条書きのように紹介していきます。専門的なこともあってイメージがつきにくいところもらやと思いますが、ご了承下さい。
まずは、今回のセミナーで一番伝えたかったことは、痔核根治術(以下LE)の一番大事なことは、どのようにデザインして手術をするかです。LEはどんな内痔核でも治すことができます。ただ、そこにある内痔核を切除すれば良いというわけではありません。デザインを間違えると肛門狭窄などの後遺症を残したりすることがあります。必要で十分な、そして適切なデザインで手術をする必要があります。ですから、肛門科医は必ずこのLEを習得しなければなりません。肛門科医に取っては基本中の基本の手術になりです。でも奥が深い手術です。
さて一つ目は、内痔核を剥離していき、内痔核の根部、動脈のところをどう処理するかです。演者の中には根部結紮した後さらに奥の方に動脈と共に粘膜に糸をかけて結紮して奥の方に結紮部分を引き込ませるということでした。渡邉医院でも根部結紮した後、もう1針糸をかけて奥の方に引き込まれるようにしています。今後、この糸をかける場所をもう少し工夫する必要があるかなあと感じました。
二つ目は、ドレナージ創の皮膚がめくれ上がらないように皮膚とドレナージ創の組織を縫合して固定したり、剥離してできた肛門上皮の傷の皮膚をない肛門括約筋に縫合して固定するということでした。ただ、括約筋に糸をかけて縫合した場合、痛みが出ないだろうかと思います。また、ドレナージ創の皮膚のめくれは、ドレナージの形を整えて、しっかり半閉鎖することで大丈夫ではないかと思います。やはり、必要以上のことを加えると、それが術後の痛みにつながるのではないかと思います。
三つ目は、肛門狭窄を合併している時です。この時はLSIS(側方皮下内肛門括約筋切開術)を加えるとのことでした。渡邉医院でも同様にLSISを加えたり、内痔核を剥離した創で一部括約筋を切開して狭窄を解除したりしています。括約筋の緊張が強いとやはり術後の痛みが強くなります。
四つ目は、ない痔核の剥離の仕方です。内痔核を剥離していく場合、粘膜の後壁を十分剥離することで内痔核を肛門の外に引き出せるようになります。この際、内痔核を牽引することで、縦に走る線維ががはっきりわかりこれを剥離することで内痔核を肛門外に引き出せて、内痔核の根部の処理が容易になります。
五つ目は、内痔核を剥離して根部に輪ゴム結紮法を行うときの注意です。やはり輪ゴムをかける際にある程度の粘膜などの組織の幅と厚みが必要です。なるべく粘膜と血管のみに剥離して、必要十分な幅、厚みにして輪ゴムをかけることで術後の痛みが軽減すると思います。
六つ目は、術後の出血予防で術後にガーゼ等を挿入するかです。ガーゼやスポンゼル(止血用のスポンジのようなものを)を挿入する先生もおられました。渡邉医院でも父の時代はガーゼを挿入していました。ただ、術後に肛門内にガーゼなどを入れることで、これも術後の痛みに関連し、痛みが強くなります。またガーゼですとガーゼに傷の組織が入り込み、ガーゼを取る際に痛みがあります。ですから、私になってからは、ガーゼは挿入する事なく、アズノール軟膏を綿花に塗布して貼るだけにしています。
最後に、局所麻酔でも十分に括約筋の緊張がとれ、弛緩でき、手術の際に十分な視野が取れることです。やはり局所麻酔で手術することで、術後すぐに歩くこともでき、1時間ほど経ち局所麻酔が切れると、食事も摂ることができます。また、全身麻酔などのように体への負担が少なくすみます。やはり局所麻酔で手術ができることは強みになると思います。
許のブログ、参考になるかどうかわかりませんが、以上のようなことを、今回のセミナーで感じました。
29日に再入院しました。
皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
今日で9月が終わり、明日からは10月になります。涼しくなってきて、少し秋らしくなって来ました。長い長い夏でしたね。これからしばらくは気候もよく、美味しいものがたくさん出てきます。いっぱい食べましょうね。そして楽しい時間を過ごしましょう。
さて、私ですが、9月2日に退院したばかりなのに、9月29日昨日再入院してしまいました。今回も緊急入院です。患者さんやスタッフにまたご迷惑をかけることになってしまいました。本当に申し訳ありません。
今回、9月29日に入院に至るまでの症状は入院3日前より右の腰部から臀部にかけての持続する痛みの症状。温めると一時的に軽減するもすぐに痛みが出現。日に日に増強していきました。また、入院2日前から朝の嘔気が出現。特に入院日の29日は朝から夜まで、嘔吐はありませんでしたが、嘔気が続いていました。特に29日は診察を何回か途中で休憩しなければならない程でした。3月の入院の際と同じような症状が出てきていました。
29日は金曜日。土日を挟んでしまうので、救急で血液内科を受診することになりましたそして土日を挟む前に緊急入院して、検査と治療をすることになりました。
入院時に血液検査を行い、入院当日に髄液検査とステロイドの髄注を行ないました。
腰部から臀部にかけての痛みは、夜になると軽減していきました。30日の朝はほとんど痛みもなく、嘔気もなく朝食は摂れました。
今後の予定はまだ未定です。髄液検査は、まだ詳細にはわかっていませんが、髄液中の細胞数は1個。正常範囲内の数です。細胞診にも提出していますが、おそらく悪性の所見は検出されないと思います。
今回の入院の治療はどうなるか?ですが、やはりステロイドの髄中を行うことで症状が軽快してきていることを考えると、悪性リンパ腫が何らかの影響を与えているのだと考えるのが妥当だと思います。
主治医の意見も、症状は軽快しているが、今の状態ですぐに退院してもすぐに同じ症状が出るのではないかというものです。週明けに再度ステロイドと抗ガン剤(メソトレキセートとキロサイド)の髄注を行ない、そしてべレキシブルから変更したテモダールにつなげていくことになると思います。
再度の緊急入院。患者さんやスタッフにまた迷惑をかけてしまいました。
今回は早期の退院を期待したいです。
皆さんにはご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
昨日の満月です。
渡邉医院 渡邉賢治
100年以上続く痔核硬化療法
皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
今日は久しぶりに肛門科の話をします。今回は痔核硬化療法についてです。
今、痔核硬化療法というとジオン(硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸水溶液)による痔核硬化療法を多くの方、医師も思い浮かべると思います。そして痔核硬化療法は新しい治療法だと勘違いされているかたも多いと思います。痔核硬化療法はすでに100年以上前から行われています。その痔核硬化療法の用いる痔核硬化剤がいろいろ開発され、一番最近に開発されたのがジオンです。
現在、保険適応がある痔核硬化剤は、このジオンともう一つ随分昔からあるパオスクレ―
(5%フェノール・アーモンドオイル)があります。
パオスクレ―はとても良い、効果のある硬化剤です。ですが、なかなか肛門科の先生でも使うところが少ないです。とても良い痔核硬化剤なのになぜかなあと不思議に感じています。もっと広く普及してくれれば、出血など内痔核で悩んでいる患者さんを治すことが出来るのになあと思います。
さて今日は、1979年、今から44年前に祖父が書いた論文をもとに、痔核硬化療法についてお話ししたいと思います。
はじめに祖父はこんなことを冒頭に「一般に肛門疾患の患者は、その疾患の性質上、自らいわゆる保存療法を繰り返し行っても効果の認められぬ場合に、やむをえず外科、あるいは肛門科を訪れることが多く、」と書いています。今は随分変わっては来ていますが、まだまだ肛門科の敷居は高いようです。
さて祖父は大正14年5月から昭和6年4月まで大阪の肛門科・加藤医院で痔核硬化療法の指導を受けました。大正14年というと98年前です。この時代にはもうすでに痔核硬化療法は確立していました。使っていた痔核硬化剤も今のパオスクレ―やジオンではありません。
少し脱線しますが、内痔核に対しての輪ゴム結紮法に関して少し祖父が触れていました。「McGiveneyのゴム輪結紮器を用いての結紮法は、一時期施行したこともあるが、適応となる痔核が少なく、時として出血をみた例があり、現在ではほとんど施行していない」と書いてありました。私も同意見です。患者さんに聞くと、「肛門科を受診したら、直ぐに輪ゴム結紮法をされた。」とおっしゃる方が多いです。そんなに輪ゴム結紮の適応となる患者さんはいらっしゃらないと思うのですが、不思議です。もし輪ゴム結紮しましょうといわれたら本当に適応があるのかどうか、もう一度医師に確認してくださいね。場合によってはセカンドオピニオンをされた方がいいと思います。
さて、話を戻します。
祖父は昭和6年に京都で開業して以来、第1度の内痔核には前例、第2度の内痔核の大半に痔核硬化療法をしていたようです。この際に使用していた痔核硬化剤はマグネシン(マグネシウム4gを100mlのグリセリンに懸濁させたもの)を使っていました。しかし、戦争が始まって戦局が苛烈なものになるにつれてマグネシウムが入手できなくなりました。その時にマグネシウムの代わりに用いたのがヤトコニン(果糖燐酸カルシウム)でした。ヤトコニンをグリセリンに懸濁させたものを使用したそうです。そして入手できた第2燐酸カルシウムのグリセリン懸濁液を作り使用し、マグネシンと同等の効果を得ることが出来ました。この第2燐酸カルシウム・グリセリン懸濁液に関しては、昭和28年、第8回日本直腸肛門病学会で発表しました。
その頃使っていた硬化剤は第2燐酸カルシウム4gをグリセリン100mlに懸濁させたものです。
痔核硬化療法の時の注射の仕方ですが、内痔核のやや口側(奥の方)の粘膜下に浅く注射する。1回に1か所約0.3mlを3か所。計約1mlを使用して隔日に3回注射するというものでした。必要があればその都度追加をします。
注射を施行した痔核においては、静脈周囲の線維性結合織の増生が強く、そのために静脈は圧迫されたように裂隙状になり、炎症反応も軽度認められるという組織所見でした。
特に内痔核第1度の出血に対して最も効果があります。パオスクレ―による痔核硬化療法とほぼ同等の効果を得るとしています。
このような経過でパオスクレ―(5%フェノール・アーモンドオイル)が保険適応となり、そしてジオンが適応となり、痔核硬化療法の幅が広がりました。
さて、祖父は次のようなことを言っています。「硬化療法は学問的に裏付けのある、きわめてすぐれた安全な療法であるにも関わらず、まったく普及されていないというのが現状である。」と。
今、私たちの時代も祖父と同じような状況です。
新しいジオンに飛びつくのもいいでしょう。でも痔核硬化剤がどのように進歩してきたかを、やっぱり知ってほしいです。そして今以上に普及して多くの患者さんを治療できればと思います。
母の原稿
皆さんこんにちは。今日から連休。皆さんはどうお過ごしですか?
涼しくもなり、天気もいいので行楽日和ですね。
私は、この連休はゆっくり自宅で過ごそうと思います。体力は大分戻ってきていますが、
まだまだです。また免疫力も正常の半分以下。大勢の方が集まるところに行くと、感染してしまうリスクが高いので。コロナやインフルエンザだけでなく、チョットしたことに感染してしまいます。もうしばらく、あまり人込みには行かないようにしようと思います。
さて、でも家でテレビを見て横になっているだけでは楽しくない。寝ていると、またまた体力が落ちてくる。そんなことで、部屋の掃除をすることにしました。実家から持ってきたものも整理しています。
整理していると、昔、今から33年前に母がどこかに投稿しようとしていたのか、原稿が出てきました。「楽しかった旅」という題でした。サブタイトルが、「息子とのかかわりの旅」でした。
1回目は、私が高校生の頃、膝を悪くして大好きだったスポーツが出来なくなって、荒れまくっていたころ、息子との距離を置く旅。2回目は私がその膝を手術して看病の旅でした。
原稿を紹介しますね。
「楽しかった旅」
クール宅急便が届いた。差出人の名前を見て思わず声が出、顔がほころぶのが分かる。
蓋を開けると、今にも動き出しそうな小型のカニがぎっしりと詰まっていた。
三十歳の息子が膝の手術を千葉の銚子病院でするといって来た。高校一年で痛めた時から覚悟していた日がついに来たのだった。遠く離れたところでと、京都から新幹線に乗り銚子へと向かった。
あの時も新幹線に乗った。障害を持つようになった息子と、一歩も引けない張りつめた生活をしていた時、「一度、子供と離れたら。」との夫の勧めで、とりあえず東京へ向かったのだった。息子と離れた気の緩みからか、車中あふれる涙を抑えようもなかった。
「御不幸があったのですね。」と、隣のご婦人の声にふと我に帰った。
あれから十五年。年月の思いが次々と走っていく。
手術の後、ベッドに固定されていた足が松葉杖と車椅子で動ける日が来た。「もう大丈夫」と息子の笑顔に一人でドライブに出かけた。
犬吠埼の岩礁にくだける怒涛も楽しく三百六十度見渡せる丘に登り、丸い地球のその一頂点に立っているのだと感激し、飯岡の行部岬で真っ赤に染めて沈み行く夕陽を眺め、銚子へ帰り、お寿司屋ののれんをくぐった。
お酒のまわる程に口もまわり、京のバッテラを、バッテラ街道を語るのだが、今はサバは銚子から送っていると返って来る。
「何が美味しいって、キンチャクガニに勝ものは無し。」と隣の席の御夫婦が強調される。「是非食べさせたい。」「御馳走になりたい。」と別れたのだったが、待っても待っても届かない。通りすがりのお酒の上での約束だったとあきらめ、忘れかけた時に届いたカニの嬉しさ。このカニに勝るものなし。
だけど、街中であの御夫婦とふとすれ違った時、「あら!!」と振り返ることが出来るだろうか。
母が58歳の時の原稿です。
私もそのころのことを今、思い出しています。
副作用が軽減した~!
皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
今日朝起きて、窓を開けるととても涼しい空気が流れ込んできました。季節が進みましたね。これからどんどん過ごしやすい気候になっていってくれるかなあと思います。楽しみです。
さて、入院中に発症した右顔面神経麻痺もリハビリの先生に教えていただいたリハビリと、マッサージで随分良くなってきました。
先日、耳鼻科を受診したのですが、その時先生は「顔面神経麻痺を発症した時は、顔面神経の評価は30点満点中3点でしたが、今日は30点満点28点まで良くなりましたね。」とおっしゃって下さいました。良かった!これからもリハビリとマッサージで完璧にしていこうと思います。
さて、もう一つの問題は、抗がん剤をべレキシブルからテモダールに変更しました。
これまでの経過を診てみると、悪性リンパ腫が明らかに再発したという検査結果や画像診断もありません。先日撮影した頭部造影MRIでも明らかな異常所見は認めませんでした。しかし、グレーな状態。これまで内服してきたべレキシブルに耐性ができたのかなあと主治医の先生と話をしました。そこで、べレキシブルを止めテモダールに変更することにしました。
内服の仕方としてはテモダールを5日間内服し、その後23日間休薬。これを1クールとして内服します。
そこで、内服を開始したのですが、1日目夕食後に内服したところ、夜中の0時頃から激しい嘔吐が始まりました。朝の8時まで計5回の嘔吐。1回内服しただけで休薬し、主治医の先生と相談し、制吐剤を飲んでいなかったので、テモダールを内服する30分前に制吐剤を内服するようにしようということになりました。
夕食や制吐剤、テモダールの内服の仕方も工夫してみました。
テモダールを内服する日の夕食は、お粥などの消化の良いものを腹6~8分目にしてみました。
食後1~2時間ほど経って、ある程度胃の内容物がなくなるころにまずは制吐剤を内服。その後30分程度経ってからテモダールの内服をするようにしてみました。
このように、工夫してみると、2回目以降、嘔気や嘔吐はなくなりました。
おそらく、制吐剤が一番有効だったのだと思いますが、食事を工夫したことも、少しは副作用の軽減になったかなあと思います。
やはり、どうしても治療のためには抗がん剤の内服が必要になってきます。この際、内服している患者さんにとって最も辛いのは副作用です。副作用を0にすることはなかなか難しいと思います。でもその副作用に対して、それを予防したり軽減させる薬も進歩しています。
抗がん剤を内服している患者さんは、主治医の先生、薬剤師さん、看護師さんと相談しながら、抗がん剤の内服が続けられるようにしましょうね。頑張らずに!