お尻の病気、自宅でできる対処法。出血編
新型コロナウイルスの感染が拡大している中、患者さんからも「お尻の具合が悪いが、新型コロナウイルスが怖いので受診できない。」とか、便秘の治療で内服薬を処方している患者さんからも「今のところ具合よく便も出ていて調子がいいです。新型コロナウイルスのこともあるので、薬だけ欲しい。」という問い合わせもあります。中には「熱があるが、肛門がすごく痛いので診てもらえないか。」といった電話での問い合わせもありました。
熱があって肛門が痛かった患者さんはやはり予想通り肛門周囲膿瘍でした。切開して膿を出してあげたことで、痛みは楽になり、肛門周囲膿瘍が原因での熱も下がり、とても楽になったとおっしゃっていました。その患者さんが、「家族には新型コロナウイルスじゃない。」と言われていて心配されていたようです。また「熱が出ていたので、診察してもらえないかと思った。」ともおっしゃっていました。肛門周囲膿瘍でも38度以上の高熱が出ることがあります。心配な時は電話で問合せしてくださいね。
新型コロナウイルスは皆さんの心も蝕んでしまっていきます。早く収束してほしいものです。そのためには私たちが出来ることをしっかりと、そして冷静に行っていきましょう。そして周りの人への思いやりも忘れないようにしなければならないと思います。
さて前回は自宅でできる対処法として痛み編をお話しました。今回は出血編です。
出血、心配ですが慌てずに
出血に対してはそれを自分で治すことはなかなかできません。自宅でできることは、まずは便の調整をして具合よく便が出るようにすること。また、内痔核や裂肛などで出血するときは温めてあげるのもいいと思います。そして軟膏などの外用薬を使うということが中心になると思います。
ただ、肛門の病気で血が止まらなくなって命に係わると言ったことはまずはありません。ですから出血した時も慌てずに、時期を診て医療機関を受診して下さい。さて出血のパターンである程度肛門の病気が推測できます。それによって自宅での対処法が違ってきます。それぞれの出血のパターンと病気についてお話します。
痛みなく出血する
まずは痛みを伴わずに出血するパターンです。
痛みなく出血する場合は内痔核からの出血の可能性が高いです。
内痔核は痛みの感じない部分にできます。ですから出血するときも痛みがありません。出血の仕方は、排便後に拭いたときにトイレットペーパーに血が付いていたり、便に血がついていたりします。また排便時にポタポタ便器に血が落ちることがあったり、内痔核が大きい場合はシャーと音を立てて出血することがあります。でも痛みはありません。出血すると、しかも便器が真っ赤に染まるとすごく心配になります。
でも24時間ずっと出血しているわけではありません。排便時に便が内痔核を擦ったり、押しつぶすように出てくるときに出血するだけで、それ以外の時は出血はしていません。また一回の出血では貧血にもなりません。ただ、排便時の出血が多く、しかも出血している期間が長いと徐々に貧血になっていくこともあります。
内痔核からの出血の対処法
内痔核の出血に対しての対処法としてはまずは便の調子を整えることです。便が出なくて頑張っている時間が長かったり、下痢の時も内痔核が悪くなります。次に血液の流れを良くしてあげると内痔核は良くなります。やはり入浴などで温めてあげることがいいと思います。そしてとりあえず軟膏などの外用薬を使う。まずはこのようなことを自宅で行ってもらって出血が続いたり、量が多かったりする場合は医療機関に受診するといいと思います。
痛みを伴う出血
次に排便時に痛みを伴って出血する場合です。この痛みが伴う場合は裂肛が原因のことが多いです。
便が硬かったり、また下痢の時も肛門に傷がついて痛みがありそして出血します。出血の程度はいろいろです。排便後拭いたら血が付いたり、便に血が付いていることもあります。また傷のつき具合では、ポタポタ血が便器に落ちることもあります。ただ裂肛の場合は痛みが伴います。
裂肛からの出血の対処法
裂肛に対して自宅でできることは、やはり便の状態を良くすることが一番です。硬い便だと傷がつきますし、下痢でも傷つきます。いい便が出るように調整することが一番です。
また、裂肛の場合も入浴などで温めてあげることで血液の流れが良くなり、傷の治りが良くなったり、温めることで肛門の緊張、括約筋の緊張が取れることで裂肛の治りが良くなっていきます。
またどんな軟膏でもいいので肛門の表面を塗った後、少し指を肛門の中に入れることで括約筋の緊張がとれ、裂肛の治りが良くなっていきます。
その他の出血のパターン
①血栓性外痔核が破けて出血
出血という症状にはあと二つほどあります。
一つは血栓性外痔核が破けて出血するパターンです。
血栓性外痔核は急に肛門に血栓、血豆が出来て腫れて痛い病気です。基本は腫れが引いて痛みが段々楽になり、血栓は徐々に溶けて吸収して治っていきます。ただ、場合によってはその血栓、血豆が破けて血が出ることがあります。この場合、急に痛くなって腫れてきて、そしていきなりの出血。びっくりしますし、悪くなったのではないかと心配される患者さんが多いです。
でも血栓性外痔核の場合、破けて中に詰まっていた血豆が出てくることで、血は出ますが痛みはスッと楽になります。血栓性外痔核の場合は血豆が詰まってキンキンに腫れる。これが痛みの原因です。破けて血が出ると一瞬「あっ!」と思いますが、キンキンさがなくなるので出血しても痛みは楽になります。
また自然に溶けて治るよりは破けたほうが血は付きますが早く治ってくれます。ですから出血しても悪くなったわけではなく、早く治るんだと思って安心してくださいね。
②肛門周囲膿瘍が自壊して出血
もう一つが肛門周囲膿瘍が、これも自然に破けて出血と膿が出ることがあります。
肛門周囲膿瘍も急に肛門が腫れてきて痛みが出て、しかもその痛みがどんどん強くなってくる病気です。肛門周囲膿瘍の場合は切開して膿を出す必要があります。でも自壊と言って自然に破けて、溜まっていた膿が出ることがあります。
この時も急に出血と膿が出てくるので先ほどと同じように「あっ!」と思いますがキンキンに溜まっていた膿が出るので痛みはスッと楽になります。
膿が出てくれると痛みだけでなく炎症も治まってきます。言ってみれば切開して膿を出した状態と同じです。痛みは楽になり炎症も治まってくるので心配しないでください。
でも肛門周囲膿瘍の場合はその後痔瘻になる可能性もあるので、痛みが楽になっても時期をみて医療機関を受診して下さいね。
できれば出血や痛みなど、肛門の具合が悪いときは肛門科を受診することをお勧めします。ただなかなか新型コロナウイルスの感染が拡大しているなか、医療機関を受診することもためらうことがあると思います。そのことはよくわかります。まずは自宅でできることで対処していただいて、時期を診て肛門科を受診して下さい。また自宅で対処していても症状が強くなってくるとか、やはり心配だと思います。そういった時には肛門科を受診して下さいね。
お尻の病気、自宅でできる対処法。痛み編
4月になって、新型コロナウイルスの感染拡大は治まることなく拡大しています。皆さん不安な日々を過ごしてられると思います。このような状況、なかなかお尻の具合が悪くても受診をためらっているかたも多いと思います。
基本的に肛門の病気は悪性のものは少なく、良性の疾患です。肛門周囲膿瘍は直ぐに切開して膿を出す必要がありますが、それ以外は緊急を要することはあまりありません。内痔核からの出血も排便時に出血はしますが、それ以外ずっと出血しているわけではありません。焦ることはありません。
今回は症状によっての病気の可能性と自宅でできる対処法についてお話します。
まず今日は痛みがでる病気とその対処法をお話します。
痛みのでる病気は?
痛みの出る病気には大きく四つあります。一つ目は血栓性外痔核、二つ目は肛門周囲膿瘍、三つめは裂肛、そして四つ目が内痔核に血栓が詰まった嵌頓痔核です。順番にお話していきますね。
- 1)血栓性外痔核
血栓性外痔核は肛門の外側、正確に言うと肛門上皮という肛門の中の皮膚の部分にまでにできるものを外痔核と言います。肛門の外側に細かな静脈が網の目の様になっている部分に血栓が詰まって、腫れて痛い病気です。冷えたり、疲れたり、忙しかったり、寝不足だったり、ストレスがかかるとどうしても血液の流れが悪くなり、そしてストレスがかかると血小板がくっ付きやすくなって血栓ができやすくなります。そういった条件がそろって、排便の時強く力んだり、重たいものを持ったりなど、腹圧がかかった時に血栓ができることがあります。
症状としては、今まで何ともなかったのに急に痛みが出て、触ってみると少し硬く豆のようなものを認めます。血豆詰まって腫れが強いと痛みが強くなります。
血栓性外痔核は基本は自然に治る。
血栓性外痔核は血栓が詰まって腫れて痛みが出る病気です。基本的には血栓が詰まって腫れて痛いので、段々腫れは引いてきて痛みは軽減してきます。また、血栓は時間がかかっても必ず溶けて吸収して治っていきます。どこかをぶつけて腫れて痛く、青く内出血しても腫れが引くと痛みが治まり、内出血も吸収して治っていくのと同じです。必ず治っていきます。
ただ、痛みが強い場合は局所麻酔をして血栓を取るとスッと楽になります。
血栓性外痔核の自宅での対処法
①温める
では医療機関にかからず自宅でできることはなにか。まず一番痛みが楽になるのが入浴です。ゆっくり温めてあげると、痛みは楽になります。これと同じように患部を温めてあげると楽になるので、ホカロンなどを当てて温めるのもいいと思います。直接当てると火傷するので気を付けて下さい。
②消炎鎮痛剤を使う
また血栓が詰まって腫れて痛いので、その腫れを取ると楽になります。ですから市販の痔の外用薬を付けるよりは、消炎鎮痛剤の座薬や内服薬で腫れをとると痛みは楽になってきます。血栓は自然に徐々に小さくなっていきます。
- 2)肛門周囲膿瘍
肛門周囲膿瘍は肛門にある肛門腺に細菌感染をして化膿して膿がどんどん広がっていく病気です。肛門周囲膿瘍も血栓性外痔核と同様に急に肛門が腫れてきて痛みが出てきます。しかも急速に腫れて痛みもどんどん強くなっていきます。
血栓性外痔核との違いは、血栓性外痔核の場合は血栓ができるので触ってみると豆のようなものを触れます。これに対して肛門周囲膿瘍は水膨れの様になったり、肛門全体が腫れてきたり、また豆と言うよりは全体に膨れた感じになることがあります。また腫れていなくても少し硬くなっていて押さえると痛かったりします。また膿が奥の方に広がっていくと、痛みだけでなく熱が出ることもあります。38度以上の熱が出ることもあります。
また肛門周囲膿瘍は急速に痛みが強くなり、改善されません。
肛門周囲膿瘍になるときは下痢をした時などに起きることがあります。このように血栓性外痔核とは違った症状が出てきます。
肛門周囲膿瘍の場合はすぐに医療機関を受診。
肛門周囲膿瘍になった場合は入浴して温めたりすると反対に痛みが強くなってきます。肛門周囲膿瘍の場合は自宅で治すことはできないので、直ぐに医療機関を受診して切開して膿を出してもらって下さい。
- 3)裂肛
裂肛は便が硬かったり、反対に下痢などで肛門上皮に傷がつく病気です。最初のうちは排便時の痛みだけですが、悪化していくと排便時だけでなく排便後も痛みが続き次第にその時間が長くなってきます。これは痛みによって内肛門括約筋の緊張が強くなるためです。裂肛は急に痛みが強くなることはありません。段々痛みが強くなってきます。
裂肛に対しての自宅での対処法
①便の調整
裂肛に対しての自宅での対処法ですが、一番が便の調整です。便が硬い場合は水分をしっかり摂ったり、場合によっては緩下剤を内服して便を柔らかくすることです。
②括約筋の緊張をとる
また、括約筋の緊張をとるために入浴も有効です。温めることで血液の流れが良くなり傷の治りもよくなりますし、温まることで括約筋の緊張も摂れます。
また軟膏はどんな軟膏でもいいと思います。裂肛の治療は塗り方が大切です。軟膏を肛門の周りに塗ると滑りが良くなります。そうしたうえで、少し指を肛門の中に入れることで肛門の緊張、括約筋の緊張をとることが出来ます。言ってみれば柔軟体操の要領です。体が硬い時柔軟体操をすると痛いですが、しばらく柔軟体操を続けると体が柔らかくなってきて痛みが楽になる。これに似ています。肛門の緊張、括約筋の緊張をとることで痛みが楽になり、裂肛も治っていきます。
- 3)嵌頓痔核
嵌頓痔核は内痔核に血栓が詰まって出たままの状態になったものをいいます。内痔核が出たままになるとさらに血液の流れが悪くなり腫れが強くなっていきます。できれば肛門の中に戻してあげることが必要ですが、なかなか自分で戻すことはできません。
嵌頓痔核になった場合も医療機関に受診して、一端戻してもらい時期をみて内痔核に対しての痔核根治術をしたり、場合によっては嵌頓痔核の状態で直ぐに手術をして治すこともあります。
嵌頓痔核に対して自宅でできる対処法
①温める
自宅でできることは、血栓性外痔核と同じで、入浴したりホカロンなどで温めてあげるといいです。
②消炎鎮痛剤を使う
また消炎鎮痛剤の座薬や内服薬を使うこともいいと思います。でも嵌頓痔核になった場合は早めに医療機関を受診して下さい。
このように、肛門周囲膿瘍だけは早急に医療機関を受診して切開して排膿してもらうことが必要です。それ以外はある程度自宅でも応急的に対応することはできますが、できれば時期をみて今の病気の状況や今後の治療方法などを決めるために医療機関を受診して下さいね。
次回は出血に対しての対象方法をお話します。
ALTA療法施行後1か月後に患者さんにするお話。
今日は一連のALTA療法に関して患者さんにお話し説明している内容の最終回です。
ALTA療法を行って退院して約1か月後の説明内容です。
ほとんどの患者さんは1か月後には具合良くなっています。
この時点ではほとんどの患者さんが排便時の出血や内痔核が出てくる症状はなくなって、とても具合よくなっています。でもこれまでお話してきたように、1か月後に診察した際にALTA療法を行った部分に硬結といって硬さを触知する患者さんが多いです。この時点で全くALTA療法を行った部分が解らなく、周りと同じように柔らかく治ってきている患者さんもいます。
一応、患者さんが感じる症状、例えば排便時の出血や内痔核が出てくると言った症状がなく、患者さんが気になる症状がなければ、ALTA療法を行った部分がまだわかる状態でも一応治療は終了します。この際も患者さんには、「まだまだ注射したところは少し硬くなっています。この硬さも段々柔らかくなって、どこに注射したかわからなくなるまでこれからも治っていきます。半年たってから受診して診せて下さる患者さんもいます。その時はどこに注射したかわからないように治っています。まだまだこれから良くなっていきます。でも硬さがあるということは、まだそこには炎症が残っているということです。とても調子が良かったのに出血するようになったとか、痛みが出てきたりとか、なにか気になる症状があればその時でいいので受診して下さいね。」とお話しています。
また「一端治った内痔核がある日突然に今回の様に排便時に出てくるようなことはありません。一端治ったら、もしも悪くなったとしても順番だって悪くなっていきます。出血したり違和感があると言った必ず症状が出てきます。また具合悪くなるには原因があります。一番の原因は排便時に頑張っている時間が長い。このことだと思います。排便の状態が悪くなければ内痔核も悪くなってきません。一応今日で終わりにしましょう。またなにか気になる症状がでたら、その時でいいのでまた診せに来てくださいね。」と治療を終了する患者さんにお話しています。
1か月後にまだ症状があることもあります。
ただ中には約1か月後の診察時に「まだ出血します。」とか「少し出てくる感じがあります。」と言われる患者さんがいます。こういった場合には、さらに1か月後に受診してもらっています。ALTA療法を行ってから、3か月程度は経過を診て内痔核の治り具合を診ていきます。
3か月経っても症状が続くようであればその時の内痔核の態度や具合に合わせて治療を加えています。例えば出血や少し出てくるという症状がある場合は、パオスクレー(5%フェノール・アーモンドオイル)による痔核硬化療法を追加してみています。また少し内痔核が出てきて、そう硬くなく柔らかな場合は内痔核の性状によっては輪ゴム結紮法などを行っています。
その時の患者さんの内痔核の状態によって改めて説明して治療を決めていっています。
出血や痛み以外に症状が出ることも。
また時には「肛門から膿のような、下り物が出てくる。」と言う患者さんも稀にいます。この場合は肛門鏡で観察してみると、少し潰瘍を形成していてそこから膿のような進出物が出てきている場合もあります。この場合は軟膏をつけてもらい経過を診ていくと自然に治っていきます。この場合も特に症状が強くなったり、痛みが強くなってきたり出血が多くなったりといった症状がなければ1か月後に診察に来てもらっています。
何か気になる症状があれば受診を。
これまでお話したように、たいていの患者さんはALTA療法後とても調子よく治っていきます。でも中には出血が続いたり少し内痔核が出てくるといった症状。また潰瘍を形成したりして、当初の予定通りに治っていかないこともあります。そんな場合は、患者さんにしっかりと今の状態をお話して、これからどのように治っていくか、どういった治療が必要なのかを説明していくことがとても大事だと考えています。
ALTA療法も患者さんに侵襲を加える治療です。そしてALTA療法の難しいところは、例えば痔核根治術の場合はどのように手術をしようか、どう切除していこうか自分自身がデザインをして手術をして切除することが出来ます。
これに対してALTA療法は、四段階注射法という注射手技を遵守して、内痔核の大きさでジオンの注入量が決まってきますが、ALTA療法を行った後はどうしてもジオンの効果任せになってしまいます。ALTA療法後は具合よく予定通りにジオンが効いてきているか、具合よく治ってきているかなどしっかり診察してみていく必要があります。そして予定通りに行っていない場合はそのことを患者さんにお話して、今の状態そしてこれからの治療方法、そして今後の経過の予想をしっかり話していかなければならないと考えます。
また患者さんも何か気になる症状がある場合は、遠慮なく医師にその症状を伝えることもとても大事なことだと思います。
ALTA療法後7~10日後に患者さんにするお話。
さて、今回はALTA療法を行って退院してから7~10日後に受診された患者さんへの説明についてお話します。
ALTA療法と痔核根治術の違い
ALTA療法を行うと排便時の出血や内痔核が出てくると言った症状は早く良くなります。大抵はこの時受診された患者さんは出血や内痔核が出てくるといった症状はありまあせん。でも中には、「排便時にまだ少し出血します。」とか「小さくはなったがまだ排便時に内痔核が出てくる。」といった症状がある患者さんもいます。
ALTA療法はやはり痔核根治術とは違います。
痔核根治術の場合は、内痔核を切除するので手術することで内痔核はなくなります。ただ、傷ができるので具合よくその傷が治っていくかどうかを診ていくのが痔核根治術です。
ALTA療法はジオンを局注下そのジオンが段々効いてきて内痔核が小さくなり治っていくのを診ていくのがALTA療法です。ここに大きな違いがあります。
ですから7~10日後に肛門鏡で診察してみると、まだまだ内痔核はあります。「この時期に出血や内痔核が出てきても心配はありません。段々ジオンの効果で治っていきます。まだ症状があってもまだまだ焦らないでくださいね。」とお話しています。
症状が無くてもまだ治ったわけではありません
反対に排便時に出血もなく、内痔核が出てこなくなってとても具合良くなっている患者さんもいます。
でもこの患者さんにも、「まだまだ内痔核はあって、これから良くなって内痔核が小さくなっていきます。治ったわけではありません。具合良かったのに出血が多くなったり、痛みが出てきたり、何か気になる症状がある場合はすぐに診せて下さいね。」とお話します。
またこの時期に発熱があったかどうかも患者さんに聞いています。そして特に症状もなくとても具合良くても、次は1か月後に受診してもらうようにお話します。
出血や痛み以外の症状
また、時々この時期に「便をするときに、内痔核は出てこないのだけど、出てくるような感じがする。」という患者さんもいます。この感覚もその通りだと思います。実際にまだ内痔核があり、ALTA療法によって出てこないだけなので、このような感覚があっても不思議はありません。そんな時は「その感覚は正しいと思います。実際に肛門鏡で診てみるとまだ内痔核はあります。段々注射の効果が出て内痔核が小さくなって治っていくとそのような症状も取れてきます。」とお話します。
またこの時期に「便が少し細くなったような気がする。」とか、「少し便が出にくい感じがする。」という患者さんもいます。この症状もまだまだ内痔核があって、治っていないにも関わらず排便時に内痔核が出てこない。このことが原因だと思います。
ALTA療法で治す前は、排便時に具合よく便が出るように、言ってみれば緊急避難的に内痔核が外に出ることで便が出ていた。でもALTA療法を行うことで内痔核があるにもかかわらず排便しても内痔核が出てこない。こんなことから便が少し細くなったり、出しにくくなるのだと思います。特に3箇所の内痔核に対してALTA療法を行った場合にこのような症状が出ることが多い気がします。
この時は緩下剤を内服してもらい楽に便が出るようにしてもらいます。そして、「注射の効果が出てきて、内痔核が段々小さくなってきたら通常通りに便が出るようになります。」とお話しています。
ALTA療法は内痔核をいったん硬化させて、最終的には柔らかく治っていきます。この一端硬くなる際にこのような症状が出ることがあります。私は今まで経験がありませんが、ALTA療法を行った部分に狭窄を起こすこともあるようです。でもこれも時間と共に狭窄は治っていきます。
このようにALTA療法を行った後、出血や痛みだけでなく、排便の状態が変わることもあります。こういった場合は今お話したような内容を患者さんに説明して、しばらく緩下剤を内服してもらいながら経過を診ていきます。
そして最後の「出血や痛み。またそうでなくても何か気になる症状があった場合にはすぐに診せに来てくださいね。そうでなければ次は1か月後に診せに来てください。」とお話しています。
そして軟膏に関しては、ALTA療法で治すのが主な治療なので、出血や痛み、そして違和感がない場合は毎日つけなくてもいいですよとお話しています。
何らかの症状がある場合だけつけてもらうようにしています。
次回は1か月後の診察の時に説明する内容をお話します。
ALTA療法施行後1日目に患者さんにするお話。
今回はALTA療法を行った次の日、退院の時にお話しする内容を紹介します。
ALTA療法でどのように治っていくのか
まずは、内痔核に対して四段階注射法で痔核硬化療法をしたことをお話します。四段階でジオンを局注していく意味をお話しています。
痔核硬化療法は「硬化」と書くので、出てくる内痔核がそのままの大きさで硬くなって、排便時に出血したり出てこなくなると思っている方がいます。でもそうではありません。ジオンの注射の効果で、徐々に内痔核が小さくなっていき、最終的には硬さもなく元の状態に戻っていきます。ジオンの内容ですが、硫酸アルミニュウムカリウム(明礬のことです。)とタンニン酸が含まれています。ジオンを注射して炎症を起こさせて内痔核を小さくしていくのですが、この炎症を起こさせるのが硫酸アルミニウムカリウムすなはち明礬です。
でも明礬だけを濃い濃度で沢山注射すると、注射した部位が激しく炎症を起こし、潰瘍を形成したりしていきます。この炎症をじわじわゆっくり効かせていくのがタンニン酸の役割です。この明礬とタンニン酸とが上手く合わさって具合よく治っていきます。
またタンニン酸は血管を収縮させる役割があります。したがってタンニン酸の効果で出血が治まってくれます。こういったように明礬とタンニン酸の二つが合わさって内痔核を治していきます。ALTA療法の効果は比較的早く、たいていの場合はALTA療法を行った次の日から排便時に内痔核は出てく無くなり、出血も治まります。
ALTA療法施行後の経過と通院
ただここで重要なことは、排便時に出血しなくなったり、内痔核が出てこなくなったからといって治ってしまったわけではありません。ただただ嫌な症状が治まっただけにすぎません。肛門鏡で観察するとまだ内痔核は存在します。
そこで退院後の受診ですが、まずは7~10日後に受診してもらっています。退院してから7~10日間の間の具合を教えてもらいます。例えば退院した後、排便しても出血も内痔核の脱出もなくなったとか、排便時に内痔核は出てくるが随分小さくなったとか状態を教えてもらいます。そしてこの時に出血もなく内痔核が出てこなくなっていて、とても具合良くなっていたとしても、手術で治すのをALTA療法で治す。ジオンを注射した部分では痛みが無くても激しい反応が起きています。
次は1か月後に受診してもらいます。この間に出血や痛み、それ以外にも気になる症状があり大丈夫かなあと不安を感じるときはすぐに受診していただくようにしています。例えば、明礬による炎症が強ければ痛みが出てきてもおかしくありません。またALTA療法を行ったあと、2週間までに38度台の発熱があることがあります。
渡邉医院では役4%の患者さんに発熱があります。発熱の時期としてはALTA療法を行って1日2日目の直ぐの場合と7~10日後にでることがあります。渡邉医院では7~10日目に発熱する方が多いです。ALTA療法を行ってすぐに熱が出ると、「この熱は注射にせいだ。」と思ってもらえますが、7~10日後に熱が出ると「どうしたんだろう?」と思ってしまいます。なんの症状もなく突然熱が出た場合はALTA療法による熱であることを説明して、退院時に渡す解熱消炎鎮痛剤を内服してもらうようにお話しています。
そしてこの1か月間の間、出血もなく、内痔核も出てこなくなり、症状がなければとりあえず治療は終了とします。ただ、この時点でもジオンを注射した部分は周りと異なり、硬さがあったりします。ですから治療を終了した後でも、出血や痛みなど何か気になる症状が出たときは受診していただくようにお話します。
このようにALTA療法を行った際に痛みがなく、患者さんにとっては楽ですが、排便時に出血しなかったり、内痔核が出てこなくなったからといって治ったわけではありません。
そのことをしっかり患者さんにお話して、出血や痛み、そして何か大丈夫かなあと心配な症状があった時はすぐに受診してもらうようにお話してから退院してもらっています。
次回は退院後7~10日後に受診された時に患者さんに説明する内容をお話します。
ALTA療法(ジオンによる四段階注射法)施行当日に患者さんにするお話。
今、ALTA療法をする際に患者さんに説明しているお話を何回かに分けて紹介しています。前回は「初診時にALTA療法適応の患者さんにするお話」でした。
今回は、ALTA療法(ジオンによる四段階注射法での痔核硬化療法)を行う当日に患者さんにお話しする内容を紹介します。
ALTA療法を行う前の話。
1)麻酔について
まずはALTA療法をする前に局所麻酔の方法や麻酔にかかる時間。そしてALTA療法にかかる時間などをお話します。
局所麻酔に関しては、ALTA療法が痛いので麻酔をするのではなく、痛みなく十分に肛門を広げて内痔核の奥の方からしっかりとジオンを局注していくために麻酔をすること。また麻酔の方法はまずは肛門の表面全周に麻酔をした後に括約筋に注射して筋肉の緊張をとるように肛門全周に筋肉に麻酔をすることを話します。局所麻酔ですので、最初の表面一周と、筋肉一周は痛みがありますが、筋肉には何周か麻酔をしていきます。麻酔をした部分に麻酔を足していくので途中で痛みはなくなります。大体5分程度で麻酔は終わります。
2)ALTA療法にかかる時間について
内痔核に対してALTA療法を行う時間は1箇所の内痔核に対して大体5分程度で終わります。3箇所の場合は15分程度です。
3)ALTA療法後の痛みについて
次にALTA療法を行った後の痛みについてお話します。ALTA療法は傷が出来ないので、麻酔が切れて傷の痛みが出ることはありません。でも、肛門はグッと締まることも痛みの原因になります。局所麻酔が切れてくると、肛門も一端締まってきます。この肛門が締まることが痛みとして感じることがあるので、あらかじめ消炎鎮痛剤をわたし、痛みがあるならば迷わず内服してもらうようにお話します。これがALTA療法施行前に患者さんにお話しする内容です。
ALTA療法が終わった直後に話す内容
次にALTA療法が終わった直後に患者さんにお話しする内容です。
ALTA療法が終わった後は3点お話します。
1点目は、局所麻酔は1時間で切れるので、この際に肛門が締まってきて痛みを感じることがあるので、痛みがあるようなら迷わず消炎鎮痛剤を内服してもらうこと。
2点目は点滴はALTA療法が終って2時間たっても血圧が下がったり脈が遅くなることが無ければ終了することを話します。これまでALTA療法を行ってきて、2時間過ぎてから血圧が下がったり、脈が遅くなったりすることが無いからです。そして3点目が、ALTA療法をおこなってから3時間後にもう一度私自身が診察をして肛門部の腫れが無いか、硬化療法を行った部位の硬さがどうなのかを診察することをお話します。
ALTA療法を行った後は、1時間後、2時間後は看護師が、そして3時間後には私自身が状態を診ています。
ALTA療法後3時間後に話す内容
ALTA療法3時間後にもう一度診察する際に患者さんにお話することは3点です。
1点目は出血に関してです。出血は手術と違うので、傷口からの出血は無いので安心してもらうこと。でも内痔核に注射をしているので、その際にどうしても針孔から血が出て、最初の排便の時に血がついても心配ないこと。
2点目は痛みについて。痛みに関しては、局所麻酔で行うので、麻酔は1時間経つと完全に切れてしまうこと。どうしても麻酔が切れてくると肛門が締まってきますそれが痛みと感じることがあります。3時間経つと完全に麻酔が切れています。完全に麻酔が切れた状態が今の痛みであることをお話します。
ただ、局所麻酔の際に針を刺します。針を刺すと痛みがあります。麻酔の針だからといって針を刺した後の痛みが無いはずはありません。痛みがあるようならしんかり消炎鎮痛剤を飲んで欲しいということをお話します。
最後の3点目は排便に関してです。排便はALTA療法を行った次の日から、行きたくなったらいつもと同じように力んで出して下さいということをお話しています。どうしても怖い感じはすると思います。大抵がALTA療法を行った最初の排便から内痔核は出てこなくなります。いつもと同じように排便してもらっています。
このようなことをALTA療法を行う当日に患者さんにお話しています。
初診時にALTA療法(ジオンによる四段階注射法)適応の患者さんにするお話。
初めて渡邉医院を受診されて、第Ⅲ度以上の内痔核の患者さんへの治療の説明の時、まずは患者さんの内痔核がジオンによる四段階注射法での痔核硬化療法(ALTA療法)の適応があるのか、痔核根治術が必要な内痔核なのかをまずお話します。患者さんのもつ内痔核の性状でALTA療法で治るのか、痔核根治術をしなければ治らないのかをまず判断して患者さんにお話します。
ALTA療法の適応の患者さんにも痔核根治術の話を
ALTA療法で治療が可能であると判断した場合も、まずは痔核根治術で治す際のお話をします。どのように手術をしていくのか、術後の出血、特に1%の晩期出血があること。そして排便時の痛みに関してお話します。
痔核根治術の話が済んでからいよいよALTA療法のお話をします。これは、これまでは痔核根治術で治していた内痔核をALTA療法で治すことの意味を知っていただきたいからです。ALTA療法は痛みがなく、患者さんにとってはとても楽な治療方法です。でも痔核根治術を施行しなければ治らなかった内痔核をALTA療法で治す。このことは患者さんにとって痛みが無くても、ALTA療法を行った局所では手術と治すと同じ様に激しい反応が起こっているということを理解してもらいたい、そういった意図があります。
ALTA療法で起きる可能性があること
ALTA療法は傷を付けることなく治す方法で患者さんにとっては痛みがなく、楽に治していくことが出来ます。でもいいことばかりでないことをお話しています。例えば、渡邉医院においてはALTA療法を行う際に血圧低下や徐脈が約1%程度起きていることです。そのため、血圧低下や徐脈が起きた際の対応のために点滴をして血管確保をして行うこと。また十分に肛門を広げ、確実に四段階注射法が行えるようにするために局所麻酔ですが、麻酔をしておこなうこと。こういった血圧が下がったり、徐脈が起きたりする可能性があったり、局所麻酔ですがしっかり麻酔をすることもあって、渡邉医院では1日は入院してもらってALTA療法を行うことをお話します。
退院後の通院の仕方
またALTA療法を行った後、退院後どのように通院するかについてお話します。
まずは退院後7~10日後に受診してもらっています。このALTA療法を行ってから再診までの間どうであったか、排便時に出血しないか、また排便時に内痔核が脱出してくるかどうかを教えてもらうためです。この時点で出血もなく、内痔核の脱出もなく何の症状もなく具合良くても、次は約1か月後に受診してもらっています。でも、ALTA療法を行った後、痛みが出てきたり、その痛みが強くなったり、出血が多い、また出血や痛み出なくても何か気になること、大丈夫かなあと思った時はその時はすぐに受診してもらうようにお話します。
1か月後に診察して診察した時に、まだALTA療法を行ったことがはっきりわかるか患者さんがほとんどです。ALTA療法を行った部分はそれ以外の部分と比べて少し硬く触れることがあります。ALTA療法を行っている医師の中には、何の症状が無くても、ALTA療法を行った部分がわからなくなって、周りと同じようになるまで毎月毎月半年間ほど通院してもらって診察する医師もいます。渡邉医院では1か月後に特に症状がなく具合が良ければ一応診察は終了にします。でもその後なにか出血や痛み、それだけでなく何か気になることがあった場合は受診して下さいと患者さんにお話しています。
ここまでが初めて渡邉医院を受診され、ALTA療法の適応と判断した患者さんにお話することです。
次回はALTA療法を行う当日のALTA療法を行う前と行った後にお話しする内容を紹介します。
新型コロナウイルス感染症対策への緊急提言
新型コロナウイルスの感染拡大によって、東京オリンピックの延期が決まりました。このことによってさまざまな分野に大きな影響がこれから出てくると思います。私たちはこれらのことに関して、冷静に対応していかなければならないと思います。
私たちの本質が今試されているときです。
さて、京都府保険医協会は新型コロナウイルスの感染が広がっていく中、それに対してしっかり対応できる医療提供体制の構築が重要であると考え、京都府に「新型コロナウイルス感染症対策への緊急提言 京都府内における医療提供体制の確保について」という提言を京都府に示しました。
その内容を紹介します。
「新型コロナウイルス感染症対策への緊急提言
京都府内における医療提供体制の確保について」
はじめに
厚生労働省の事務連絡「新型コロナウイルスの患者数が大幅に増えたときに備えた医療提供体制 等の検討について(依頼)」(R2年3月6日)に示された数式によれば、京都府保健医療計画の基準 病床数に定められた現状の感染症病床数(38 床)では到底対応できないのは明白である。入院・外 来において、医療機関は通常の診療業務を果たしながら、COVID-19 に対応することが求められる。
京都府においては、地域包括ケア構想をオール京都で推進することを掲げている。COVID-19 への 対応についても、ハイリスクの高齢者が多いことにも留意し、同様の姿勢で臨むことが求められよ う。 またイギリス公衆衛生当局は「CoviD-19 outbreak could last until spring 2021 and see 7.9 million hospitalised in the UK」と見込んでいる。わが国においても、こうしたレンジの対策を 念頭に置く必要があると考える。 当協会は府内における COVID-19 患者数の大幅増加を見込んだ医療提供体制の確保について、下 記のとおり、緊急に意見を取りまとめた。施策に活かしていただくよう、お願いする。
記
1. COVID-19 に対応する医療提供体制確立の目的は、「死亡者を減らすこと」、同時に人々の不安感を軽減することとする。
2. 診療報酬における「感染防止対策加算Ⅰ」を届出る入院医療機関(33 ヵ所)で構成する「COVID19 医療ネットワーク(仮称)(略称:COVID-19 ネット)」を構築する(なお、事態の推移によって同加算Ⅱを算定する医療機関(66 ヵ所)も加えることを想定する)。あわせて、感染防止 対策加算Ⅰを算定する入院医療機関と、数カ所の同加算Ⅱを届出る医療機関によるグループを 立ち上げ、地域ごとのカバー体制を構築する。
3. COVID-19 ネットは以下を実現する。 (1) 医師が感染を疑ったとき、患者に対する検査(PCR のみならず近く明らかにされる新たなキットによる検査法も含む)について、迅速に実施する。同時に、京都府保健環境研究所、京都 市衛生環境研究所出張所を保健所単位に仮設し、検査実施可能数を拡大する。 (2) 感染が確認された患者について、重症者のトリアージならびにハイリスク患者の判定を行う。
(3) 重症者は原則、各地域の感染防止対策加算Ⅰ算定病院が受入れることとし、必要に応じて COVID-19 ネット全体で対応する。想定される病床は、主に感染症病床もしくは集中治療病床とする。
(4) ハイリスク患者については、各々の疾患特性に応じて COVID-19 ネットが協議し、入院先を決定する。
4. 重症者以外の入院は急性期病床、地域包括ケア病床など病態に応じた適切な施設で対応する。
(1) 重症以外の患者については、環境感染学会 GL に準拠し、一般病床における「診療の手引き」 を作成した上で、一般病床における病室もしくは病棟でのコホート対応とする。 (2) 不顕性者は自宅だけでなく、ホテル、民泊等への入所も可能となるよう検討する。また、(1) の病床が不足する場合には、軽症者についても臨時的に受け入れることも想定する。こうした 際には、施設内に医師・医療スタッフが不在であるため、プライマリケア連合学会の手引きに 準拠する形で、外部から医療を提供できるよう、地域内において担当する医療者の体制を確保する。
(3) 上記対応により COVID-19 ネットを構成する医療機関は重症の感染患者を受け入れるため、通常の患者の入院先を別に確保することが必要になる。その役割は感染防止対策加算届出以外 の医療機関が担うこととする。さらに休止中の病床の活用、活用されていない有床診療所の病 床においての対応が考えられるが、その際はマンパワーの手当てが必要となる。
5. 対応医療機関や施設に対するバックアップ 対応するすべての医療機関は、空床確保、診療縮小や休止など経済的な困難に直面することが予 想される。国・自治体による経済的なバックアップ、そして施設基準の弾力的な運用等が必要とな る。
6. 医療者の健康保護、モチベーション維持、医療提供体制維持のために リスクを軽減する体制構築や感染防護のための装備は必須である。これは新型インフルエンザ時 の調査結果を参考に対処する。とりわけ今、医療現場で不足するN95 マスクや消毒液等の確保が緊 急に必要である。
7. 提供体制整備とともに急がれるワクチンや治療薬の開発感染拡大に備えた医療提供体制の構築とともに急がれるのがワクチンや治療薬・治療法の開発で ある。報道では、アメリカでワクチンの治験や治療薬の開発が始まっている。速やかに認可、保険 収載などの対応を行い、供給されるよう、国に対して求める。
8.感染症拡大防止策を進める中で起こり得る差別・人権侵害の防止 COVID-19 に感染者、感染が発生した店舗や事業所、その周辺の人々に対するいわれなき差別やいじめが起こり得る事態がある。また、社会混乱は社会的マイノリティへの差別を引き起こしかねない。国とともに差別禁止の法制化、条例化も含め、人権擁護のための施策を強める。
以 上
ALTA療法(ジオンによる四段階注射法による痔核硬化療法)に関してのインフォームドコンセント
3月も残すところ後6日間。京都も桜の開花宣言が出た後、あっという間に桜の胃花が開いてきています。今日も朝は冷え込んでいましたが、昼からは温かくなってきました。今週が桜の見ごろなのかなあと思います。残念ながら、今年は新型コロナウイルスの感染拡大でいつものような花見はできませんが、いつもとは違ったかたちになりますが花見をしたいなあと思います。
第14回内痔核治療法研究会総会
さて、今年の6月28日に東京で第14回内痔核治療法研究会総会が開催されます。その頃、新型コロナウイルスの状況がどうなっているかは解りません。中止になってしまう可能性もあります。
テーマはALTA療法に関してのインフォームドコンセント
今回のテーマは「ALTA療法(単独療法、併用療法)を施行する際のインフォームドコンセント」で、二つの主題で検討されます。ALTA療法とはジオンという痔核硬化剤を用いて四段階注射法という方法で行う痔核硬化療法のことです。
主題の一つ目は「ALTA療法選択のインフォームドコンセント(適応、手技、成績など)」で、ALTA療法を施行する際にどのようにその適応や痔核硬化療法の仕方、そしてその成績を患者さんに説明して同意してもらっているか。
主題の二つ目は「ALTA療法有害事象のインフォームドコンセント」で、ALTA療法を施行することで起きうる有害事象に関してどのように説明をしているか。
この二つの主題で全国から参加される肛門科を専門とする医師たちが検討します。
今回、私のところにも演題発表の依頼がありました。私は二つ目のALTA療法を施行するにあたっての有害事象に関しての主題で発表することにしました。
演題の抄録を作りながら感じた私の考えを少しお話したいと思います。
ALTA療法出現までの内痔核の治療
ALTA療法が出現するまでは、第Ⅲ度以上の内痔核(排便時に出血したり、内痔核が脱出して押し込む)に対して痔核根治術など、切除という方法で治療を行ってきました。したがって、患者に外科的侵襲を加えることで傷ができることになります。そのことによってどうしても排便時の出血や痛みのなどの苦痛が伴ってしまいます。
そのため、私たちは、手術後いかに出血しないように、そして術後の痛みをどうしたら最小限にすることができるかなど工夫をしてきました。例えば痔核根治術を行う時に、開放創だったものを肛門上皮の部分を縫合する半閉鎖式にすることで痛みや出血を軽減を図るなどがあります。また、渡邉医院では内痔核の根部を結紮する糸の太さで痛みに差があるか。また、術前の内肛門括約筋の緊張を反映する最大肛門静止圧の強さと術後の痛みを検討したりしてきました。また内痔核を十分に剥離することで痛みが軽減することからどこまでどのように内痔核を剥離して根部を結紮したらいいかなど検討してきました。このような様々な工夫によって、痔核根治術も随分術後の痛みが軽減されてきました。
ALTA療法の出現で内痔核の治療は一変
そういった状況のなかで、ALTA療法の出現したことで内痔核の治療は一変しました。ALTA療法は、適応をしっかりと見極め、四段階注射法という注射手技をしっかりマスターすることで比較的簡便で、しかも治療効果を得ることができる治療方法です。そしてALTA療法の一番のメリットは患者さんが痛みを感じることなく治療できることにあります。そのため、渡邉医院では肛門に傷を付けないALTA単独療法を基本に治療を勧めています。
ALTA療法は本当に低侵襲?
さて、ALTA療法は低侵襲の治療方法だと言われています。しかし、手術で切除していたものをALTA療法で治すということは、ALTAを局注した部分では手術と同様に激しい反応がおきているということです。
患者が痛みを感じないということでALTA療法が低侵襲の治療法と言っていいのかは疑問があります。
ALTA療法によって脱出や出血が早期に取り除かれ、患者のQOLは比較的早期に改善されます。そして早期に社会復帰して日常の生活が送れるようになります。しかしこのことが、ALTA療法を施行する医師や、また受ける患者さん側もALTA療法を安易に考える危険性があるのではないかと思います。
ALTA療法による有害事象に関してのインフォームドコンセント
ALTA療法に伴う局所での反応は激しく、それによる有害事象が発生する可能性もあります。このことをしっかりと患者に説明して同意してもらうことが必要だと考えます。
渡邉医院ではALTA単独療法で血圧低下や徐脈の発生頻度は約1%、熱発の発生頻度は約4%である。また症状が無くても潰瘍形成など発生することもあります。こういった有害事象は一過性のものではあります。その時の適切な処置や保存的に治療することで治っていきます。でもそういった有害事象に関して、どの時点でどの範囲まで患者に説明するかは難しい問題です。
一時に全てのことを患者さんに説明しても、患者さんがそのことを全て完全に理解することはとても難しいことだと思います。また、一回説明をしたからといってそれだけで十分ではありません。必要な時に必要な説明をしていく。また患者が不安に思うであろう症状を先手先手で説明していくことが必要と考ええます。こういったことをふまえて、渡邉医院でのALTA療法やそれに伴う有害事象の患者への説明時期やその内容をまとめて報告していきたいと思います。
またその内容については次回お話したいと思います。
「そぼろ弁当」のレシピを紹介します。
4月の「春爛漫!お弁当」のレシピの最後のレシピです。最後のお弁当は「そぼろ弁当」です。
お花見の時のお弁当というと、私が頭に浮かぶのはそぼろ弁当。豚肉や鶏肉のひき肉を少し甘辛くしものと、少し甘めの卵をそぼろにしたものをご飯の上にのせる。美味しいですよね。最近はコンビニのお弁当コーナーにも、そぼろ弁当が置いてあるときがあります。量は少ないですが、午前の診療が終ったと、手術までの時間に食べる量としてはちょうどいい量です。私としては、あまりお腹いっぱいの状態で手術はしたくないです。でも少しお腹に入れておきたい。そんな時にとても適量です。チョット話が脱線してしまいました。
そぼろ弁当にピンク色した甘い「桜でんぷ」なども一緒にいれて、肉のそぼろとピンク色の桜でんぷ、そして黄色の卵のそぼろ。そこにインゲン豆の緑。色とりどりで、やっぱりお花見気分になりますね。
ではそろそろ「そぼろ弁当」のレシピを紹介しますね。
「そぼろ弁当」
エネルギー 約500kcal たんぱく質 20g 食物繊維 4g
- ●鶏そぼろ
- ●さやいんげん
- ●卵そぼろ
- 卵1個と塩少々をマグカップに溶き1分チン。細かくなるまで箸で混ぜる。
- ●わかめのナムル
- わかめをごま油とめんつゆで水分がなくなるまで炒める。
- ●人参のガレット
- 人参の千切りに小麦粉とごまを混ぜ小判状に焼く
●ご飯
「鶏そぼろ」2人分
材料
鶏ひき肉 100g
おろし生姜 少々
しょうゆ 大さじ1
酒 大さじ1
みりん 大さじ1/2
砂糖 大さじ1/2
作り方
①マグカップにすべての材料を入れよく混ぜる。
②ラップなしで電子レンジで1分チン。混ぜて1分チン。
しっかり火が通るまで繰り返す。
管理栄養士さんからの一言
電子レンジそぼろ
そぼろを電子レンジで調理することにより、洗いものも少なく時短で作れます。混ぜるだけなので火を使うことが難しい方でも簡単につくれ、余ればラップをして冷蔵庫で2~3日持ちます。