「ごぼうとひじきの混ぜご飯」のレシピを紹介します。
さて、「秋の訪れ!」をテーマに紹介してきた10月のレシピのとりを務めるのは、「ごぼうとひじきの混ぜご飯」です。
炊き込みご飯もそうですが、いろんなものをご飯に混ぜて食べるのは美味しいですよね。豆ごはんやトウモロコシを混ぜたご飯。ビビンバなんかも美味しいですよね。いくらでも食べれてしまいますよね。冷えても美味しいですよね。炊き込みご飯のおにぎり。いいですよね。
今回はごぼうとひじきの混ぜご飯。肛門科的にもごぼうやひじき。便秘にも有効だと思います。
さて、今回のレシピの中に「赤こんにゃく」が使われています。初めて赤こんにゃくを見たときは「これは何?」とおもいました。焼いた赤こんにゃくを塩につけて食べると、あたかもゆで卵の白身を食べているようで、とても不思議な感じがしました。
「赤こんにゃく」は近江八幡市の名物。三二酸化鉄という鉄分で赤く染められているそうです。赤く染められたのは、華やかなものが好きだった織田信長が赤く染めさせた等諸説があるようです。でも、由来や起源を示す歴史的な資料はないそうです。「赤こんにゃく」の赤はまだまだ謎に包まれています。
ではそろそろレシピを紹介しますね。
「ごぼうとひじきの混ぜご飯」
1人分 300kcal たんぱく質 5g 食物繊維 3.5g
材料(2人分)
ご飯 1合
ごぼう 100g
ひじき(乾) 10g
赤こんにゃく 50g
★めんつゆ 大さじ1
★みりん 大さじ1
★だしの素 少々
作り方
- ①ひじきは水で戻し汚れを取る。
- ②ごぼうは斜め輪切りにして千切りに、赤こんにゃくは小さく切ってゆでておく。
- ③鍋にひたひたの水と★を入れ煮立たせ、①②を炊く。
- ④汁気が少なくなったらご飯に混ぜる。
- 管理栄養士さんからの一言
-
赤こんにゃく
滋賀県近江八幡の名物でこの赤色が特徴です。
原料に三二酸化鉄を使用していることで鉄分が豊富に含まれています(豚レバーの6倍以上)。
他にもカルシウム、食物繊維が豊富でどれも日本人が不足しやすい栄養素です。
癖もなくもっちりとした食感でいろいろな料理に合います。ぜひ見かけたら使ってみてください。
「茄子と生麩の湯葉あんかけ」のレシピを紹介します。
10月のレシピは、「秋の訪れ!」をテーマに紹介しています。
今日は1日雨。一気に冷え込んで、半袖では少し寒いぐらいでした。
なかなか時間が取れなくて渡邉医院の中庭の掃除ができていませんでした。落ち葉や雑草などがこの間に茂ってしまい、少し気になっていました。
昨日は、今日は雨が降るという天気予報なので、「今日しか掃除できない!」と自分を鼓舞して、掃除をしました。
1時間程度でしたが、結構スッキリきれいになりました。
さて、今日になってみると、足が筋肉痛。チョット1時間ほど掃除をしただけなのに、この筋肉痛。日頃の運動不足を痛感させられました。細目に掃除して、運動不足を解消するのも一つの手かなあと感じました。
さて、今日のレシピは、「茄子と生麩の湯葉あんかけ」です。
生麩はいろんな食べ方がありますよね。生麩の田楽だったり、たまにお世話になるお店では、生麩のグラタンを出してくれます。また餡子が入っている生麩も美味しいですよね。
湯葉も、湯葉のあんかけ丼も美味しいですよね。
今回の「茄子と生麩の湯葉あんかけ」急に寒くなった今、体も温まりますよね。
では、レシピを紹介しますね。
「茄子と生麩の湯葉あんかけ」
1人分100kcal たんぱく質 10g
材料(2人分)
茄子 1本
生麩 1/2本
(今回はよもぎ麩)
湯葉 好みの量
(生でも乾燥でも)
白だし 大さじ1くらい
★片栗粉 小さじ2
★水 小さじ2
わさび 適宜
作り方
- ①茄子は乱切りにして油で揚げ焼きにして取り出す。
冷凍の素揚げ済茄子を使うと簡単です。
②鍋に水と白だしを入れ①と1cm幅に切った生麩を入れて一煮立ちさせる。
③器に②の茄子と生麩を盛り、残りの汁で湯葉を煮て、★を混ぜた水溶き片栗粉で様子を見ながらとろみをつける。
④③の器に③のあんをかけ、わさびをのせる。
*このあんをご飯にかけて湯葉丼にしてもおいしいです。
管理栄養士さんから一言
生麩
生麩は小麦粉からでんぷんを洗い流したグルテンともち米からできています。
たんぱく質が豊富で低カロリーで消化吸収にすぐれています。たんぱくな味はいろいろなお料理に使えます。
また、餡を包んだ生麩まんじゅうや黒蜜・きな粉をかけたスイーツとしてもおいしいです。
「鮭の胡麻味噌マヨ焼き」のレシピを紹介します。
10月のレシピのテーマは「秋の訪れ!」」です。
今回のレシピは「鮭の胡麻味噌マヨ焼き」です。
朝夕はとても涼しくなりました。日中も以前ほど熱くなく、過ごしやすい気候になってきたなあと思います。
鮭の旬っていつなんだろうと調べてみました。鮭は秋になると流通量が増えるので、秋が旬なのかなあと思うと、そうではないようです。鮭の旬は種類によって違うそうです。ですから、秋だけが美味しく食べられるというわけではないそうです。
鮭は回遊魚で、北大西洋などで2年から8年ほど回遊をした後に産卵のために故郷の川に戻ってきます。東北地方や北海道の沿岸では、9月から11月ごろに戻ってくるそうです。この時期の鮭を「秋鮭」と呼ばれて全国に流通するそうです。
以前北海道に行ったとき、多くの秋鮭が川を上っていくのを見に行ったことがあります。河口付近で力尽きている鮭もいましたが、力強く川を上っていく鮭を見て感動しました。また見に行きたいなあと思います。
北海道から時々鮭を送っていただきます。やっぱり北海道の鮭、とても美味しいです。
さて、そろそろレシピを紹介しますね。
「鮭の胡麻味噌マヨ焼き」
1人分130kcal たんぱく質 17g
材料(2人分)
生鮭 2切れ
★味噌 小さじ1
★マヨネーズ 大さじ1
白ごま 大さじ2
作り方
- ①★を混ぜる。
- ②鮭の両面に①をぬり、白ごまをまぶす。
- ③クッキングシートを敷いたフライパンに②を並べふたをして両面焼く。
アルミホイルを敷いてオーブントースターで焼くこともできます。
管理栄養士さんから一言
生鮭
鮭は白鮭・紅鮭・銀鮭・キングサーモン・カラフトマスなど多くの種類があり、種類によって栄養成分にも差があり
キングサーモンなどは脂質の含有量などが多くEPA・DHAも多く、抗酸化作用を持つアスタキサンチンは紅鮭に多く
含まれます。また、貧血予防が期待できるビタミンB12や葉酸も多く含みます。
塩鮭は塩分が多くなりますので食べ過ぎには注意が必要です。
「かぼちゃのオートミールクッキー」のレシピを紹介します。
10月は「秋の訪れ!」をテーマに紹介しています。そして今回の「作ってみよう」は「かぼちゃのオートミールクッキー」です。
さて、オートミールですが、私は見たことはありますが、食べたことはありません。
見たことがあるのは、おそらく私が高校生の頃、ですから約45年前のことだったと思います。それ以降、おそらく私はオートミールを見たことはないと思います。
そのころ、私の祖父が朝ごはんにオートミールを食べていました。食べ方はうる憶えですが、オートミールに砂糖と暖かい牛乳をかけて、バターをのせて食べていたような気がします。そのころは、申し訳ないのですが、見た目もなんか美味しくなさそうでしたので、私は食べませんでした。どんな味がしていたのでしょうか?
今回そのオートミールを使ったクッキーということで、一番最初に頭にうかんだのが、祖父が朝食べていたオートミールでした。
ということで、今回はオートミールに関して少し調べてみました。
調べてみると、肛門科的には腸内の環境を良くして、しかも食物繊維も多く、排便の調整にとても良いのではないかと思いました。
オートミールは、オーツ麦を脱穀した後に調理しやすく加工したものだそうです。
「オートミール」はオーク麦の「oats」と食事の「meal」という英語の単語をくっつけて名前がつけられたそうです。オートミールは今人気のあるグラノーラの原料だそうです。オートミールにメイプルシロップや砂糖などで味をつけ、オリーブオイルなどを絡めてオーブンで焼いて作るそうです。
さて、オートミールはカロリーが低くダイエットにも効果があるそうです。
それ以上に肛門科的にお勧めの食材です。
例えば、便の量を増やすために必要な食物繊維は100gあたり7.52g。玄米の約3倍、白米と比べると約22倍もあります。
また、腸内環境を改善する食材でもあります。オートミールには「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」が豊富に含まれています。「水溶性食物繊維」は腸内の善玉菌を増やす効果があります。また水分を吸収して、柔らかい便を作ってくれます。硬い便の人は便を柔らかくしてくれます。また、「不溶性食物繊維」は水に溶けずに腸内で水分を吸収して膨らみ、量のある便にしてくれます。便の量が増えると、量が増えることで腸の蠕動運動を良くしてくれます。
オートミールは快便にはとても良い食材だと思います。
また、これ以外にも鉄分が多く含まれていて、貧血の改善にも有効です。
前置きが長くなってしまいました。そろそろレシピを紹介しますね。
「かぼちゃのオートミールクッキー」
(作りやすい分量)
かぼちゃ(皮を除いて)150g
オートミール 50g
牛乳 大さじ1
はちみつ 大さじ2
オリーブオイル 大さじ1
シナモンパウダー 少々
(作り方)
- ①かぼちゃを電子レンジで軟らかくする。
- ②オートミールはビニール袋に入れて袋の外から綿棒でたたき細かくする。
- ③②に①と他の材料を混ぜる。
- ④クッキングシートに薄い円状にのばす。
- ⑤170度に予熱したオーブンで20~30分焼く。
-
※シナモンのかわりに、チョコチップ・アーモンド・クルミ・ごま・レーズンなどを混ぜてもおいしいです。
「栗と里芋と豚肉の煮物」のレシピを紹介します。
10月のレシピは、「秋の訪れ!」をテーマに紹介しています。
今日は、朝、入院の患者さんや手術をしたばかりの患者さんの診察が終わった後、車検で預けていたローバーミニを取りに行ってきました。
何年前でしょう。父が脳梗塞で倒れて私が京都に帰ってきた頃ですから、27年まえでしょうか。脳梗塞で麻痺が残る父を、狭い道でもどこにでも連れていけるようにと購入したのが、今私が乗っているミニです。父は漫画が好きで、そのころシティーハンターが放映されていたのか、冴羽 獠が乗っていたローバーミニが好きで、小さな車だったらミニにしようということで買ったようです。当初母は、赤色のミニが欲しかったようで、車屋さんにそういうと、母の年齢のことも考えられたのか、「夜は赤色は見えにくいですよ。白にしては。」と言われたと、母は言っていました。
そのころは母、もう白髪で、よく真っ赤なジャケットを着ていました。白髪と真っ赤なジャケット。結構目立っていたと思います。「白髪の老婆(ロウバー)が白いローバー(ミニ)に乗っている。」と有名でした。
今日車を取りに行って明細書を見ると今乗っているミニは1997年式と書いてありました。24年前のローバーミニでした。
そんなこんなで、結構故障したりするのですが、なかなかやめられなくなってしまっています。
ということで、今日からミニでの移動です。
さて、そろそろレシピを紹介しますね。
今回は「栗と里芋と豚肉の煮物」です。ご飯にあいそうです。
「栗と里芋と豚肉の煮物」
1人分 150kcal たんぱく質 10g 食物繊維 3.5g
材料(2人分)
くり 6個
里芋 6個
豚肉切り落とし 80g
◇塩 少々
◇小麦粉 大さじ1
★しょうゆ 大さじ1
★みりん 大さじ1
★砂糖 小さじ2
★だしの素 小さじ1
さやいんげん 適宜
作り方
- ①栗と里芋をむく。鍋に水を入れ軟らかく煮る。
- ②豚肉に◇をまぶし、一口大に丸くまとめて、油を敷いたフライパンで焼く。
- ③①の鍋に②と★を入れ煮からめる。
- ④器に盛り、ゆでたさやいんげんをのせる。
管理栄養士さんから一言
月見
一般的には十五夜を一年で一番月のきれいな日としています。今年は9月21日だそうで、お団子や里芋をお供えします。日本古来のものとして十三夜(今年は10月18日)もあり栗をお供えするそうです。
今回は豚肉も丸くして里芋と栗と一緒に煮物にしました。きれいな月が見れますように。
「厚揚げのたっぷりきのこ」のレシピを紹介します。
少し早いですが、10月のレシピを紹介していこうと思います。
9月に入って、やはり周りの空気が違ってきました。秋の訪れを感じさせる涼しさが出てきました。また、日が暮れるのも早くなってきたように思います。
緊急事態宣言の延長もきまり、まだまだ新型コロナウイルス感染の収束もまだ見えてきません。
でも少し明るい未来も見えてきました。ワクチン接種もまだまだワクチン接種を希望される方に十分な速さで接種はできてはいませんが、徐々に進んできています。また、治療法として抗体カクテル療法も出てきました。さらに内服薬の知見も進んできているようです。早く私たち地域の医師に新型コロナウイルスに対抗する武器ができ、それが増えていくことを期待しています。
私自身、肛門科をしながら、外来の患者さん、そして手術、入院の患者さんの診療をしながら、今の新型コロナウイルスに対応できることは何かを自問自答している状況です。
さて、10月のレシピのテーマは「秋の訪れ」です。
管理栄養士さんからのコメントを紹介します。
「先月の雨がやんだと思ったら猛暑がぶり返し、今度は雨とともに急に肌寒くなりました。ひんやりしてくると煮物やあんかけなどの温かい料理が恋しくなります。
今回は秋の始まりを感じる料理にしてみました。
まだまだいつもの生活には戻れませんが、それでも季節は移ろい、食卓に行事を取り入れることでいつもを感じられればと思います。
今回は、秋の食材にお月見・ハロウィンのかぼちゃをすこし取り合わせてみました。
気温変化も大きく、夏の疲れも出やすく、体調を崩しやすい時期です。食事を通して楽しく元気に過ごせればと願っています。」
10月のレシピの第一弾は、「厚揚げのたっぷりきのこ」です。
きのこは肛門科的には便秘に有効です。便の量を増やす食物繊維がたくさん含まれ、便の量を増やしてくれます。また後程、きのこに関しての管理栄養士さんの一言も紹介しますね。
では10月のレシピ第一弾を紹介しますね。
「厚揚げのたっぷりきのこ」
1人分 160kcal たんぱく質 12g 食物繊維 3g
材料(2人分)
厚揚げ 2枚
きのこ 100g
(今回はしめじ・舞茸・エリンギ)
★めんつゆ 大さじ1
★水 大さじ3
★片栗粉 小さじ2
★生姜 小さじ1
ねぎ 適宜
唐辛子 適宜
作り方
- ① 厚揚げを焼く。
- ② きのこを適当な大きさに裂く。
- ③ フライパンで②を空煎りし、★を入れてしっかりとろみをつける。
- ④ 器に①を盛り③をかけてねぎ・唐辛子をのせる。
*きのこは他にもしいたけ・えのき・ヒラタケなどなんでもいいですが組み合わせる方がおいしくなります。
管理栄養士さんから一言
きのこ
きのこは低カロリーで食物繊維が豊富に含まれています。また、ビタミンBやビタミンÐ、リンやカリウムなども豊富に含まれています。買って来たら30分ほど天日に干すことでビタミンÐも増え、食感もよくなります。
完全に乾燥していないので生と同じように保存・調理してください。
新型コロナウイルス感染症をめぐる課題2
「新型コロナウイルス感染症をめぐる課題」を引き続き紹介したいと思います。今回はポストコロナを見据えた医療政策の動向です。
「ポストコロナを見据えた医療政策の動向」
さてもう一つのポストコロナを見据えた医療政策の動向について次にお話しします。
菅内閣が閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針では、新型コロナウイルス感染症が世界経済に与えたインパクトを「経済構造や競争関係に大きな影響を与える変化がダイナミックに発生」と指摘しています。
その上で国内にあっては「これまで進められなかった課題を一気に進めるチャンス」としています。
これまでの新自由主義化改革をさらに推し進める構想がされています。
こうした政府の構想の一方で、新型コロナウイルス感染症で人々の生活は極限状態にあります。生活、暮らしの崩壊がおきています。雇用においては、特に女性・非正規に影響が集中しています。
これは、これまでの雇用政策の変化がもたらした結果であり、旧来型の所得保障、社会保障制度の破綻がコロナ禍において顕在化されたものといえます。
生活保護制度も機能しておらず、コロナ禍に喘ぐ人々は事実上放置されている状況です。
こうした中にあっても、財政健全化目標は堅持され、2022~24年度の3年間、従来と同様の歳出改革努力を方針は求めています。
歳出改革の目玉となるのは社会保障制度です。医療制度も例外ではなく、これまで進められてきた「医療制度構造改革」がより一層、激しく進められていくでしょう。
国債残高が約1,000兆円にも達しようとする財政状況では、政権側が様々な医療改革を繰り出してくる可能性が高く、既に先の通常国会では、「全世代型社会保障制度改革」の一環として後期高齢者医療制度への窓口一部負担金の2割導入が強行されました。
しかしこういった個別制度の改悪に止まらず、従来から幾度も取り沙汰された「医療費総額管理」=「経済規模に対応した」医療給付費の目標を設定し、医療費を抑え込む仕組みの創設を財務省建議が再び示唆したことにも注目が必要です。
国は、新型コロナウイルス感染症の収束に目途が立つことを前提に、より大胆な制度改革を打ち出してくるのではないかと思われます。
財務省の一松主計官は、2022年診療報酬改定に向け、「医療提供体制の改革なくして診療報酬改定なし」と述べ、新型コロナウイルス感染症における地域の医師への批判を込めてここに示すようにフリーアクセスの否定、患者の登録制、そして包括払いを語っています。
さらに、医療提供体制・医療提供者改革もこれまで通り進めていく方針です。
新型コロナウイルス感染症によってあらためて脆弱さが明らかになった医療提供体制についても、国は感染症病床の増床や感染症専門医の養成などに取り組む姿勢は一切見せていません。
むしろ、地域医療構想のさらなる推進と2019年末に問題となった公立・公的病院の再編・統合方針も引き続き推進する構えです。そして、さらに改正医療法成立で2022年4月施行となる「外来医療の機能の明確化・連携」には最大限の警戒が必要と考えます。
その内容は、地域医療構想における病床機能報告の仕組みにならった「外来機能報告制度」の創設です。これは地域の外来医療の機能を「専門外来」(医療資源を集中的に活用する外来)と「かかりつけ医」に振り分けることがねらいと考えられます。
今のところ、外来機能報告が義務づけられる医療機関は病院と有床診療所のみですが、将来、すべての診療所が対象となることが予想されます。
この、「専門外来」と「かかりつけ医」とに分けることは、国民皆保険体制の下で医療を実践してきた医師の姿を大きく変えることにつながります。
日本の国民皆保険体制を支える原則は
① 保険証の全国民対象の無条件交付
② 全国統一給付保障
③ 必要充足型給付保障
で、③の必要充足型給付保障は
ⅰ 療養の給付
ⅱ フリーアクセス
ⅲ 自由開業制
の3つの原則で成り立っています。
これらの原則が日本の医師の姿を形成し、皆保険を支えてきました。
しかし、これらの原則は医療費を抑えたい国の思惑と大きく対立するものです。
したがって国が目指すベクトルは、
療養の給付 ➡ 現金給付
出来高払い ➡ 包括払い
自由開業 ➡ 計画配置
フリーアクセス ➡ 登録制
となります。
今、国が目指しているのは、次のような仕組みだと考えます。
①専門医制度を活用して、「かかりつけ医」と「専門医」を医師養成段階から複線化する。
②外来機能報告を含む地域医療構想、医師偏在指標を活用して
地域における「かかりつけ医」と「専門医」の必要数を定めて、計画的に配置する
③「かかりつけ医」登録制を創設して、「専門医」にかかるには「かかりつけ医」を必ず通らなければならない仕組みをつくる
④「かかりつけ医」への報酬は「包括払い」にする
このような仕組みを今までもこれからも目指していくのだと考えます。
新型コロナウイルス感染症パンデミック前から、国は医師の在り方自体を変更する改革=医療提供者改革に着手してきました。そして、このコロナ禍をむしろ逆バネに、その推進を図ろうとしています。
ここに、2016年10月10日に京都アピール「開業医医療」の復権を求めてを発表しました。それは、
日本の開業医は、地域の人々の生命と健康を守ってきました。新たな「かかりつけ医」のシステムではなく、開業医医療の復権こそが皆保険体制を活かす道である。
このことを実現していくために様々な手立て打ち、運動を進めていきたいと思います。
新型コロナウイルス感染症をめぐる課題1
私は京都府保険医協会という京都府の開業医が構成している医療団体の役員をしています。先日、理事者学習会が開催され、そこで私が報告した内容を紹介しようと思います。
テーマは「新型コロナウイルス感染症をめぐる課題」で、大きく二つのことについて報告しました。
一つは、医療提供体制をめぐる課題、そしてもう一つはポストコロナを見据えた医療政策の動向についてです。
まずは一つ目の医療提供体制をめぐる課題について紹介します。次回はポストコロナを見据えた医療政策の動向について紹介します。
「新型コロナウイルス感染症をめぐる課題」
新型コロナウイルス感染症をめぐる課題と協会の取り組みに関してお話しします。内容としては一つは医療提供体制をめぐる課題、そしてもう一つはポストコロナを見据えた医療政策の動向について。この二つに関してお話ししていきます。
まずは、医療提供体制をめぐる課題です。
今年の5月6日、新型コロナウイルス感染症の第4波が押し寄せる中、自宅療養中だった京都市の20代男性が亡くなる事例が発生しました。
ご本人は入院を希望していたが、京都府入院医療コントロールセンターは基準に該当せずと判断。京都市保健所が健康観察していましたが、5月5日に連絡がつかなくなり、6日未明に死亡が確認されました
このように一たび感染が拡大すると、病床が逼迫している中では、陽性でも入院できず、自宅療養・入院待機の患者さんが増加します。連日600人を超える患者さんへの健康観察を充分に行うだけのキャパシティを現在の京都市保健所は持っていないのではないでしょうか?
さて、京都府におけるコロナ対策はどのようになっているかです。
PCR検査等で「陽性」が判明すると、患者さんの身柄が「主治医」から「保健所」に移されます。
保健所が中心になり、患者さんの処遇が決められます。
法律上は、指定感染症のうち、2類感染症の患者さんは「入院勧告」の対象なので、入院してもらうことが基本になります。入院することで本来ならば、主治医の手を離れた患者さんもしっかりと新しい入院医療機関への主治医につなぐことができます。でも現状ではそれができない状況になっています。
感染が拡大するなか、病床が不足するため、自宅療養や宿泊療養の患者が増えています。
いくら「家庭医」「主治医」がいたとしてもいったんその手を離れてしまった患者さんが入院できないとなれば、その患者さんには医療を提供することができなくなります。ここが一番重要なところです
なぜこのような状況になってしまったかです。ここに入院病床数があります。感染症対策の根拠法である感染症法に基づいて設置されている京都府の指定感染症病床は、もともとは38床だけです。今回のような新興感染症のパンデミックに対応できる病床がそもそも確保できていなかったということです。
次に京都市保健所の逼迫です。
京都市のコロナ対応業務が激増し、1000時間超の残業者が38人であることが、京都新聞で報道されました。
そのうち年間で残業が多かった京都市職員の上位5人はいずれも保健所所属の職員でした。いずれの職員もここにあるように1600時間を超えています。
新型コロナウイルスは感染者だけでなく、それに対応する保健所等の市の職員、医療従事者の命を奪うことになります。
では問題の所在はどこにあるのかです。
現在の基本的なルールは、陽性が確認されると主治医の手を離れ、当該患者が入院できない場合、保健所がその患者の医療に責任を持つことになります。
したがって、保健所が逼迫し、健康観察が十分に出来なくなれば患者は「主治医」の役割を担う者を失うことになってしまいます。新興感染症という治療法も確立していない未知の疾患の患者だけが、医療から遠ざけられることになります。
本来ならば陽性者は「主治医」から離れると同時に入院医療での「主治医」を持ち、医療が提供できなくなる空白を生まないように法律上はなっています。でもそれが今はできていません。
自宅療養の患者さんの生命を守るために、自治体と地域の医療者が連携し、新たな枠組をつくる必要があります。
そこで、協会が京都市に要請した内容が以下の三つです。
一、 入院待機中・自宅療養となっているすべての患者さんに対する保健所による健康観察を、今の一か所の集約ではなく、11区役所並びに3支所において行うこと
一、 そのために、専門職をはじめとした職員を各区役所に再配置し、各区役所の職員と共に健康観察業務をおこなうこと。また同時に、医師・保健師を増員すること。京都新聞の報道にもあったように過度な労働にならないように職員の生命・健康を守ること
一、 各区役所・支所は、やはり地区医師会や地域の医療機関との連携し、担当する医師(主治医)、保健師を決め、容体に応じて、柔軟に対応できるようにすること。
です。
このような要請の中、今度は宿泊療養中の60歳代の患者さんがなくなるという悲劇が今年の5月26日に再び起きました。
20日に入所以来、高熱が続き、施設では看護師の健康観察と出務医師の診察も受けていましたが、急変し、亡くなりました。
この事例は、宿泊療養施設では必要な医療が保障されるための医療体制が不十分であるということを明らかにしました。
<問題の所在>
まずは、宿泊施設が単なる「隔離」の場所ではなく、患者の生命・健康を守る十分な医療が提供できるような体制にすることが求められます。国による制度運用を見直すこと、そして自治体と保健所と地域の医療者が力を合わせて体制を構築することが求められています。
ようやく抗体カクテル療法等、新型コロナウイルス感染症の治療薬も開発が進んでいます。でも、現在の体制では入院患者にしか提供できません。この点も具体的な解決が求められているのではないでしょうか。
そして外来でも、そして自宅でも治療できる治療薬が私たち開業医は望んでいます。
何の武器を持つことなく、コロナに対抗することはできません。自分の無力さを感じなくて済む治療法が早く出てきて欲しいと思います。
こういった、宿泊療養者に対しての要請を出しました。
1. まずは医師の配置を強化することです。各施設内の患者の状況や医療の提供状況を一元的に管理できる専任の医師を常勤で配置すること
2. そしてその医師の下に、出務医師や看護師が、チームで医療ができる体制を確立すること
3. さらに、看護師についても、正式に京都府と雇用関係を結ぶこと
4. 医師は、24時間・365日間配置すること
5. 必要に応じて出務する医師による対面診療も可能とすること
6. 急変時等、即応の求められる際には、現場医師の判断により、容体に応じて必要な対応が臨機応変に行えるようにすること
これら6項目を要請しました。
また8月6日には次のような要請をだしました。
「陽性患者に「良質かつ適切な医療を受ける権利」を保障せよ」(2021.8.6)
一、 新型コロナウイルス感染症の陽性患者は入院治療が原則であることを再確認し、一層の受け入れ病床確保が進むよう、さらに努力すること
一、 宿泊療養施設をさらに確保するとともに、同施設の機能を可能な限り病院に近づける方向で努力をすること。
一、 地域の医療者による宿泊療養施設・自宅療養者への医療提供を可能とするため、保健所の機能を拡充し、密接な連携体制がとれるようにすること。
一、 上記を前提に、抗体カクテル療法が宿泊療養施設・自宅療養においても実施できるよう適応を拡げ、十分確保すること
さて、ワクチンに関しても課題があります。
ワクチンをめぐって協会は繰り返し、府・市に接種体制の強化を要請し、自治体もそれを受け止め、改善を重ねてきました。
ようやく体制が整い、集団接種・個別接種ともに接種が進むと思った矢先に、国が供給不足を明らかにしました。これにより、接種医療機関や自治体はせっかくの予約をキャンセルしてもらう業務を強いられることになりました。
協会は、国がワクチン供給の全体像を明らかにし、十分なワクチンが地域に届くよう、国に対しても要請を行っています。
そして国にワクチン供給に関して以下のような質問をしました。
1.何故ワクチンが需要過多に陥ったのか?
2.解決のために具体的に都道府県、市町村、医療機関は何をすればいいのか?
3.いつごろにどれだけの供給があるのかを明確に示していただきたいこと。
4.ワクチンの供給量が不足で、接種を実施している医療機関などで混乱が起こっている中、なぜ大規模接種を優先するのか?
しかしながら、これに対しての回答はまだ国からはありません。
私は脱肛ですか?
時々患者さんから「私で痔ですか?」と聞かれると同じように、「私は脱肛ですか?」と聞かれることがあります。
「痔ですか?」に関しては以前お話ししたことがありますが、国語辞書で「痔」と調べると、「肛門の病気」とあります。ですから国語辞書的には肛門の病気を「痔」ということになります。この「肛門の病気」=「痔」に症状を「痔」の前につけて肛門の病気を表しているようです。例えば肛門に「いぼ」のようなものができた肛門の病気を「いぼ痔」。肛門が切れた病気を「切れ痔」。穴ができた肛門の病気を「穴痔」。肛門がかゆい病気を「痒痔」のようにです。
ですから内痔核や外痔核は肛門にいぼのようなものができるので、まったく違う病気ですが「いぼ痔」とまとめられてしまっているようです。
また排便時に出血する場合は、傷がついて出血するというくくりで、内痔核からの出血でも、裂肛による出血でも「切れ痔」とくくられてしまうようです。このように、本当の病名ではなく、「○○痔」として呼ばれるので、混乱されてしまうことがあります。
例えば、内痔核がだんだん悪くなってくると、排便時に内痔核が外に出てきて、指で押し込まなければならなくなることがあります。これは内痔核が脱出してきたので、もとの位置に戻すといいので、押し込むことになります。それに対して外痔核は肛門の外にできるので、内痔核のように押し込むことはできません。時々、「いぼ痔が出てきたので、押し込もうとしても入りません。痛いだけです。」という患者さんがいます。これは外痔核なので、押し込むことはできません。血栓が詰まって腫れていたいので、押し込もうとするとかえって痛くなります。このように内痔核と外痔核は全く違う病気ですが、「いぼ痔」という言葉でひとくくりされていることで生じる誤解です。
さて、もう一つ患者さんに聞かれることに、「私は脱肛ですか?」ということがあります。
「脱肛」も同じです。脱肛は排便時に肛門上皮の部分が外に出るように動いて、スムーズに便が出るようにする肛門の動きを言います。
肛門の外側から約2~3㎝ほど中に皮膚の部分があり、ここを肛門上皮と言います。排便時には、ただただ肛門が広がって便がでるのではなく、排便時に力んだ時に、肛門上皮が外に出るようにして便が出ます。ですから具合よく、気持ちよく便が出るためには、肛門が具合よく脱肛することが必要です。ですから「脱肛」は排便時に気持ちよく便が出るための肛門の動きのことを言います。
ではなぜ「私は脱肛ですか?」になるかです。内痔核がだんだん悪くなると、排便時に内痔核が肛門の外に出てくるようになります。そして指で押し込まなければもとに戻らなくなります。この状態を第Ⅲ度の内痔核と言います。その際に内痔核が肛門の外に出ることを「脱出」と言います。おそらくこの「脱出」と「脱肛」がこんがらがってしまっているのだと思います。おそらく「私は脱肛ですか?」と聞かれた時の「脱肛」はこのようなことだと思います。それは、内痔核が第Ⅲ度の内痔核になると、排便時に内痔核が脱出して戻さなければ脱出したままになります。この時に起きていることはこうです。排便時に肛門は脱肛しながら便が出ます。その時に内痔核は脱出します。そして脱出したままにしておくと、肛門は脱肛したままの状態になります。この一連の動きを「脱肛」という病名にしているのだと思います。ですから、「私は脱肛ですか?」は「私は第Ⅲ度の内痔核ですか?」ということだと思います。
このように肛門の病気だけでなく、一般に呼ばれている病名と本当の医学的病名とは異なることがあります。例えば、「盲腸」と言っているのは「急性虫垂炎」ですし、「脱腸」は「鼠径ヘルニア」などの「ヘルニア」だったりします。
やはり私たち医師は「あなたはいぼ痔ですよ。」ではなく、「あなたは内痔核ですよ。」と正確な病名を患者さんに伝えなければなりませんし、患者さんも自分の正しい病名を憶えておく必要があると思います。
第14回内痔核治療法研究会総会を終えて
今日は去年、新型コロナウイルス感染拡大によって中止された第14回内痔核治療法研究会がwebで開催されました。
今回のテーマは、ALTA療法(ジオンという痔核硬化剤を用いて四段階注射法という方法で痔核硬化療法を行い内痔核を治す治療方法)に関して、患者さんにどのように説明しているか、インフォームドコンセントをしているかでした。
パネルディスカッション1では「ALTA療法選択のインフォームドコンセント」。パネルディスカッション2では「ALTA療法施行時の有害事象のインフォームドコンセント」についての討論でした。
私はパネルディスカッション2で発表し、パネリストの先生方とディスカッションしました。
まずは、私の発表内容を紹介します。
「ALTA療法有害事象に対してのインフォームドコンセントの内容とそのタイミング」
はじめに、ALTA療法が出現するまでは、第Ⅲ度以上の内痔核に対してはLEなど、外科的切除が基本でした。どうしても傷ができ、そのため術後や排便時の痛み、また晩期出血など出血が患者さんを苦しめます。そのため、私たちは痛みや出血を軽減するために工夫をしてきました。
ALTA療法の出現で、治療は一変しました。適応をしっかり見極め、四段階注射法を遵守することで、比較的に簡便に治療効果を得ることができます。そしてALTA療法の最大のメリットは、痛みなく治療できるところです。したがって、当院では、ALTA療法の最大のメリットを生かすために、ALTA単独療法を基本にしています。
さて、ALTA療法は低侵襲の治療法と言われています。本当にそうでしょうか?
ALTAを局注した部分では激しい反応が起きています。しかし、ALTA療法によって、痛みなく脱出や出血は早期に取り除かれ、患者のQOLは改善されます。このことが、医師や患者がALTA療法を安易に考えてしまう危険性があるのではないかと思います。
患者さんには「手術で治していたものを注射で治す。注射した部分にはものすごい反応が起きているのですよ。」と伝えています。
当院の副作用の発生頻度ですが、血圧低下は34例1.2%です。ALTA療法施行時、直後が24例で71%を占めています。トイレでの血圧低下が5例15%。2時間以降の血圧低下は発生していません。
徐脈は26例、0.95%。ALTA療法施行時、直後が19例、83%を占めています。トイレでの徐脈が4例14.5%、2時間以降の徐脈は発生していません。
発熱に関しては、ALTA療法当日から2日目までの発熱は29例、28%、6日目から10日目までは56例、54%と二峰性で、6日目から10日目までの発熱が多い傾向にあります。
このような副反応の発生頻度をもとに患者さんにインフォームドコンセントをしています。
そのタイミングは、初診時、術前の診察時、ALTA療法施行後3時間後、退院時、約1週間後の受診時、そして1か月後の診察時の6回の時点で話をしています。それぞれ話す内容は違い、今の状況や今後注意することを話しています。
初診時には内痔核に関しての説明。そして、現在の患者の内痔核の程度や、第Ⅲ度以上の場合は、LEやALTA療法などの治療の必要性をお話しします。そしていずれの治療方法についても説明します。
LEでは、術後の疼痛、早期出血や晩期出血の発生頻度や、その時の対処方法について説明します。
ALTA療法の適応があれば、当院でのALTA療法の流れをはなし、メリットとしては、傷ができないので痛みがないこと、1%の晩期出血がないこと。また、出血や脱出などの症状は早期に軽快することをはなします。
デメリットとしては、ALTA療法は万能な治療方法ではなく、適応を見間違えると治らないばかりか、悪化してしまうことなどを話します。そして、当院での副作用の発生頻度をお話しします。
そして 最後に、手術で治すのを注射で治す。手術のように術後の痛み出血はないが、注射した局所では激しい反応が起きていることを理解していただきます。
当院でのALTA療法の流れをお話しします。
当院では、ALTA療法は基本1泊2日の入院での治療となります。退院後は約1週間後と1か月後の受診としています。発熱に関しては発生する時期を話し、予定の受診日以外にも、痛みや出血など、気になる症状が出た場合はすぐに受診してもらうように伝えます。
ここまでのことを初診時に説明します。
ALTA療法施行する前の診察時には、局所麻酔をすること。手術と違い、傷ができないので、傷の痛みはないこと。ただ、肛門に傷がなくても、麻酔が切れる1時間後までは、肛門が収縮することで痛みが出ることがあり、この際は、消炎鎮痛剤を内服してもらうように説明しています。
血圧低下や徐脈に対応するため点滴をすること。血圧低下や徐脈はALTA療法施行後2時間までに起きているので、2時間経って症状なければ終了することなど説明しています。
3時間後では、ALTA施行後の状態を話しています。また、局所麻酔は完全に切れていること。痛みがあれば消炎鎮痛剤を内服してもらうこと。排便はできれば明日にするのが望ましいが、我慢はしなくていいこと。そして食事はしっかり摂ってもらうことなどをお話ししています。
退院時には、初診時に話した内容をもう一度お話しします。
排便があれば、排便時の出血と脱出の有無を聞き、患者さんには便意があれば、これまで通りに排便をするよう指示します。
また、入浴等、日常の生活には制限がなく、食事もこれまで通り摂っていただくように話します。
副反応に関しては、ALTA療法施行後2週間までに約4%に発熱があること。そして発熱の出現時期、特に7~10日目の発熱が多いこと。今はコロナ感染症のこともあり、咳、咽頭痛などの症状がなく急な発熱はALTA療法の副反応であること。発熱した場合、解熱剤の内服をしてもらうようにしています。また、痛みや出血の症状が悪化したり、その他、気になる症状があれば、受診していただくように指導しています。
約1週間後には、退院後の排便時の出血、脱出、そして熱発の有無をききます。
受診日まで熱発がなくても、2週間までに熱発する可能性があることを話します。
排便の状態はどうか?排便があるが、細い便が出る、出るのは出るが出しにくい。排便時に脱出しないが、するような気がする。などの症状を訴える患者もいます。出血や脱出の症状がなくても治ったわけではないこと、手術とALTA療法の違いなどをお話しします。
1か月後は、排便時の出血や脱出の有無、熱発があったか。排便時の状態がどうかをききます。
1か月後の受診の際、特に問題がなければ一応終診とします。ただ、その後も、何か気になる症状があれば、受診してもらうように指示しています。
そして最後に患者さんに話すことは、「必ず肛門の病気には自覚症状がでること。なんの症状もなく気が付いたら今回のようになることはないこと。そして悪くなるには排便の状態など、必ず原因があることを話し、気になる症状があれば、すぐに受診するよう指導します。
最後に、患者さんに対して、有害事象をどの時点で、どの範囲まで説明することは難しい問題です。
1回にすべてのことを患者さんに話をしても、その内容をすべて確実に1回で理解してもらうことはなかなか難しいと思います。
必要な時に、必要な説明をして理解していただくことが大切ではないでしょうか。
また、患者が不安に思うであろうことを、先手先手に説明していくこと、このことも大切であると考えます。