夜はぐっすり眠るために尿量が減る。

現在、私は悪性リンパ腫に対して抗がん剤治療を行っています。その抗がん剤の中にメソトレキセートという抗がん剤があります。
メソトレキセートは、葉酸拮抗薬に分類されます。どのように癌をやっつけるかです。
メソトレキセートはDNAのです。合成に必要な葉酸とよく似た構造式をしています。葉酸は細胞内で酵素によって活性化されて、DNAの合成に使われます。この酵素が、葉酸とよく似た構造をしているメソトレキセートと結合して、葉酸にこの酵素がくっつくことを阻止することで、葉酸の活性を抑え、その結果としてDNAの合成が阻害され、癌細胞の増殖を停止させるといった機序です。
さて、メソトレキセートはどこから排出されるかと言うと腎臓から尿中へと排出されます。したがって腎機能が悪かったり、十分に腎臓から尿中へとメソトレキセートが合い出されないと副作用が出たり、さらに腎機能を悪化させてしまいます。ですから私のように大量のメソトレキセートを投与した場合、速やかに尿中に排出させ、メソトレキセートの血中濃度を下げる必要があります。
さてちなみに、メソトレキセートの副作用としてどのようなものがあるかですが、大きくは三つ。一つは骨髄抑制です。二つ目が腎障害。三つめが粘膜障害でひどい口内炎になってしまいます。
では、メソトレキセートの尿中の排出を促して血中濃度を下げるのにはどうするかです。一つは輸液を多く投与して尿量を確保する。また口からも水分を接種する、また利尿剤を投与するなどがあります。また五時間に100mlを目標として6時間で600ml。これを下回った場合はさらに利尿剤を点滴のルートから静脈内注射したりします。そのようにして十分な尿量を確保します。このようにして私の場合はメソトレキセート投与後48時間後と72時間後にメソトレキセートの血中濃度を測定して基準以下ならば通常通りに戻ります。
これまでの4クールいずれも基準値を下回っています。今回もそれを期待するのとおそらく下回るであろう尿量が確保できています。
さて今回は、このようの尿量を確保する処置をしてもこれまでの私の経験では、昼間に尿量が多く、夜間は尿量が少ないということです。このことにかんし今更ですが少し調べてみました。
そうするとやはり尿量は昼間と夜間では尿量に差があり、日内変動があることがわかりました。
尿量はやはり夜間減少し、昼間増えるようになっています。この尿量の排泄リズムが睡眠と密着に関係しています。そしてこのリズムは一時的な生活状態の変化があったとしても容易に変化したい消失したりしないということです。ですから夜勤があった、徹夜をしたといったリズムが変わったとしても尿量の排泄リズムは変わらないということです。
このリズムはどうしてできるかと言うと、睡眠中には腎臓で作る尿の量を減らす一方で、反対に膀胱ではそのためる量を増やすようになります。このようなリズムになるのは、膀胱の体内時計によるものとされています。そそしてこのバランスが崩れた時に、子供では夜尿症(おねしょ)だったり、高齢者でしたら夜間頻尿となるということです。
今回私の経験でなんとなく夜の尿量は少なく、昼間は尿量が多いといった印象から調べてみましたがやはりそのようなリズムが、そしてリズムを刻む体内時計があることがわかりました。
やはり夜はゆっくり休めるように人間の体はできているのですね。あらためて認識したところです。
中駿赤十字病院の想い出。ゴルフ編

皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。今、悪性リンパ腫に対しての抗がん剤投与の5クール目のために入院しています。
昨日はオンコビンと大量のメソトレキセートの点滴をしました。特に強い副作用もなく、今回も順調に治療が進んでいます。今日から3日間、ロイコボリンの注射があります。ロイコボリンは葉酸代謝拮抗剤の毒性軽減と言って、要するに抗がん剤の副作用を軽減してくれるお薬です。これを3日間、点滴から静脈内注射します。いたって順調です。
さて前回、「中駿日赤病院の想い出」と言うブログをアップしました。今回も引き続き中駿赤十字病院の想い出をお話ししたいと思います。初めての出張で、いろいろ楽しい経験もさせてもらいました。今回は「中駿赤十字病院の想い出。ゴルフ編」をお話ししたいと思います。
さて、私が中駿赤十字病院に配属されたその日だったか、次の日だったか、本当に早い時期に上司の外科部長に「2週間後の日曜日、皆でゴルフのコンペに行くぞ。」というものでした。その当時、中駿赤十字病院からは直ぐ目の前にたくさんのゴルフ場が車で直ぐのところにです。ですからおそらく、医局の先生方との懇親と言う意味で行っていたのだとお思います。
ただ、私にとっては驚きの言葉。これまで一度もゴルフなんかやったことがありません。両親が気分転換にゴルフの打ちっぱなしに行ったときについていって、打たせてもらったぐらいです。そもそもゴルフクラブもありません。突然の「命令?」にと間取りました。
たまたま大学病院時代に同じ班で一緒に仕事をした1級上の先輩がいらっしゃったので、「どうしたらいいですか?」と聞くと、「ゴルフクラブなどの道具は一式、近くのスーパーに売っているから買いに行こうか。」と。うん?ゴルフクラブなど一式がスーパーに売っている?仕事が終わって、近くのスーパーに行くと、本当にお店の一角にゴルフ用品が売っていました。それもめちゃくちゃ安い。やはりゴルフ場が沢山ある土地のスーパーだと思いました。記憶があいまいですが、ゴルフクラブがウッドとアイアン、そしてパターもついていてゴルフバッグ付きで20000円程度だったのではないかと思います。早速購入してその帰りに先輩に打ちっぱなしの練習場に連れて行ってもらいました。
直ぐにゴルフボール打てるんだろうなあと思っていたら飛んでもありません。全然ボールにかすりもしない。止まっているボールにゴルフクラブが当たらない。だんだん力が入れば日いるほど当たらず空振り。先輩に「力み過ぎ。軽く振って。」」とアドバイス。何とかボールに当たるようになりました。2週間先にはゴルフ場のコースに出なければならない。こんなことでいいのか、間に合うのかと思いながら、毎日練習場に通いました。
あっという間の2週間。ゴルフコンペ当日。いよいよコースに出ての本番。緊張もしました。もうどうにでもなれといった気分で始まりました。
練習のかいもあって、ボールに当たらず空振りすることはありませんでした。でもボールの飛んでいく方向は、まったくわかりません。右や左大変です。私の組についてくださっていたキャディさんが見かねたのか、途中からは私の横にビッタリくっついて個人教授。
まず一言目は、「まずあなたは、5番アイアンだけをもって打ちなさい。ほかのクラブは使わなくていいです。」とのアドバイス。とりあえず距離なんかは関係なく、前に進めと言うことでしょう。次に私が、「今度は、どこを狙ってうったらいいのですか?」に対してキャディさんは、「あの富士山に向かって打ちなさい。」と。富士山はどのコースからも見ることができて、大体真ん中に毅然と聳え立っています。とても美しい。その富士山に向かって打て。ですからどこも狙わなくてもいい。とりあえず前に進めと言うことだったのだろうと思います。
キャディさんの言うことを聞くと、なんとなく、前に進むことができるようになりました。
最後18番ホールが終わった時に、キャディさんが網の袋に入ったゴルフボールを下さり、「しっかり練習してね。」と。なんていい人なんだと思いました。
当然のことながら結果は最下位。皆さんの2倍3倍、山を越え谷を越え楽しませてもらいました。絶対に筋肉痛になると確信しました。皆さんコースアウトした後、ゴルフ場にあるお風呂に入る。温泉に来た時のように大きな綺麗なお風呂。ゴルフの疲れが取れる感じでした。
その後は一旦病院に戻って、それぞれの車をしまい、みんなで試合後の宴会。これはとても楽しい。中駿赤十字病院は裾野市にあります。富士山の近く。チョット行くと芦ノ湖にも行けます。そういった山にお幸が豊富にある。また、静岡県で、沼津にも近いので美味しい海の幸も豊富。食べ物はとても美味しかったです。
そんなことで、ゴルフコンペはちょっと辛いですが、その後の宴会はとても楽しいひと時を過ごすことができました。
このように医療以外にもいろんな思い出が、中駿赤十字病院にはあります。
さて、ゴルフですが、やっぱり僕には合わないんだろうなと思い、中駿赤十字病院を卒業したら、ゴルフも卒業しました。
中駿赤十字病院での思い出。

4クール目が順調に終了して、一旦退院して自宅療養をしているとき、毎回自宅の近くの賀茂川を朝散歩することにしています。大体1時間から1時間半程度歩いています。後からiPhoneで見てみると、退院中は一日平均10km以上歩いていることがわかり、我ながらびっくりしました。まだまだ朝は涼しく、吹いてくる風も涼しくけるころには程よく汗ばんでいる状態でした。日差しはやはり強く成って、周りの人からは「日に焼けましたね。」と言われるのですが、私は「抗がん剤のメソトレキセートの影響での皮膚の色素沈着かなあ?」と少しおもっています。でも体力はアップ。ある程度体力が戻っての5クール目に入ることができました。
退院中、自分の机周りの整理、掃除をしました。その時に「そういえば、中駿赤十字病院(現在、裾野日赤病院)にいたころの、赤十字救護員証をどこかしまっておいたなあ。」と探してみたところ、出てきました。赤十字救護員証の日付は「平成元年4月1日」となっていました。33年前です。ついている顔写真の私もめちゃくちゃ若いです。
私は当時日大の第三外科(現在、消化器外科)に入局しました。そこで3年研修をして、その後、麻酔科の研修を経て、初めて関連病院に出張したのが中駿赤十字病院でした。
今、入院中で少し懐かしくなったので調べてみました。
私のいた中駿赤十字病院はS27年7月に発足したそうです。その後H9年7月に中駿赤十字病院から裾野赤十字病院に改称。H9年12月に裾野赤十字病院は増改築工事竣工となっていました。
ネットで検索して調べてみると、写真医映っている正面玄関は見覚えのある懐かしい佇まいでした。
私は病院の近くのアパートに住んでいました。窓からは富士山が綺麗に見えました。毎日富士山を見て過ごしていました。
さて、中駿赤十字病院での思い出は診療だけでなく、やはり赤十字の病院、大規模な防災訓練にも参加します。その救護班の班長に選らばれたのが私です。やはり防災。怪我にも対応できなければならないということもあったのでしょう。
私は2年ほど中駿赤十字病院にいましたが、その間2回大規模な防災訓練に参加しました。
災害時に着る赤十字のマークがついた防災服にブーツ、ヘルメットを着けての参加です。
5~6人で参加したでしょうか、場所は覚えていませんが救急車に乗っていくのですが、新幹線の新富士駅を超えていったあたりだったように記憶しています。
現地に到着すると、運動会の時のように行進して、本部の前に来ると、「中駿赤十字病院、渡邉賢治以下〇名、ただ今到着しました。」と報告をしたり、その後の防災訓練に参加しました。ここでの訓練はあまり覚えていません。
もう1回は、江戸川の河川敷での訓練です。
私の役割は、自衛隊のヘリコプターに乗って必要な医薬品をなどの物資を現地に届けるといった設定でした。上流のほうまで上がって、そこで自衛隊のヘリコプターを待ちました。当区から3機のヘリコプターが飛来し、物資を輸送するヘリコプターに私は乗り込みました。その時は結構怖かったです。ヘリコプターは安定しているのかと思ったら、スッと下降してみたりして、体がムズムズしました。着陸して私は医薬品などが入ったジュラルミンのケースをもって現場までは組んで終了でした。
私はどこでその晩ネタ化ははっきり覚えていません。ただ、近くの体育館には乾パンや非常用の食料。また寝袋などが置いてあった記憶があります。でも寝袋委で体育館で似た記憶はありません。どうしたのでしょうね。
このように中駿赤十字病院にいたころは医療だけでなく、防災や、実際の防災訓練など、貴重な経験をさせていただきました。やはりこの時の経験が今にも生かされていると思います。
抗がん剤の副作用、どこまで許容するのか?できるのか?

昨日まではとてもいい天気でした。今日は、朝から雨。いよいよ梅雨に入るんでしょうね。
今日は悪性リンパ腫に対しての5クール目の抗がん剤投与に向け再入院しました。入院日に雨が降ったのは今回初めてです。
昨日の晩に、「明日は雨が降っているだろうし、朝8時15分頃に、タクシーを予約しておこう。」と電話をしてみると、「その時間の予約は、もういっぱいで無理です。」との返事。もう一つのタクシー会社にかけてみても同じ返事。仕方がないので、地下鉄で行くことにしました。
今回のいったん退院の期間、一番散歩等体力アップのために歩きました。先週の火曜日に退院したのですが、後からiPhoneで調べてみると、その日を含めて毎日10km以上歩いていたと記録されていました。これまでで一番の距離数。体力はばっちり?ある程度戻ってきていたので、地下鉄でも大丈夫だという自信はあったのですが、傘をさしてと思うとちょっと憂鬱でした。でも、そんなに激しい雨でもなく、体力アップもできていたので、「これからは地下鉄でいいか。」と感じました。
「雨降って地固まる。」という言葉もあるように、自家血幹移植前の治療としての5クール目、しっかり完治を目指して治療しようと思います。
さて、今回はちょっと抗がん剤の副作用と、それをどこまで許容するのか?許容できるのか?に関して少し考えてみたいと思います。
私はこれまでの4クール、骨髄抑制や、激しい肝機能、腎機能障害も出ずに順調に抗がん剤による治療が進んできました。でも同じ治療をしても私のように強い副作用が出ない方もいれば、副作用が出て休薬など治療を中断しなければならない方もいらっしゃると思います。
やはり抗がん剤と言う強い薬の投与、やはり何らかの副作用が出ます。
私も、オンコビンと言う抗がん剤を投与しています。オンコビンの副作用の中に、末梢神経障害という副作用があります。手や足の指先がしびれたり、場合によってはボタンを留められなくなったり、お箸を落としたり、そういった指先の末梢神経に障害が起きるというものです。先生からは、例えば音楽家等、指先の敏感な感覚が大切な職業の人や私のような外科医が末梢神経障害になると、今後の仕事に差し支えるということで、症状が有れば伝えて欲しいと言われています。そんな場合はオンコビンの休薬や減量を考慮しなければなりません。オンコビンが有効に悪性リンパ腫をたたいていたとしてもその休薬、減量で、悪性リンパ腫への治療効果はどうなるかと言うことも考えてしまいます。
ですから、抗がん剤の有用性と副作用との関係はとても難しい問題だと思います。メリット、デメリットを天秤にかけることになります。とても悩ましい!
私も今、少し指先が痺れています。そのしびれが強く成らないかどうか?また指先の知覚や運動神経がどうかを確かめるために、毎食時お箸を使いながら確認しています。例えば豆の料理が出てきたら、豆を一つずつお箸でつまんで食べるとか、おかずを一口で食べないで、お箸を使って、細かく分けて食べています。これも麻痺の程度を確認できます。また、薬の袋が上手く開けられるかもみています。また、絵を描くのも、指の感覚を確かめるといった意味合いもあります。ただ絵を描くのはその間集中していますし、出来上がっていく過程が面白い。また、完成を想像して、そのイメージ通りに行くかどうかも絵を描く面白さだと思います。これって外科医の基本かなあとも思います。まずは術後の状態、切除した後のイメージ、デザインをして、それに向けて手術を進めていく。こういった点が絵を描くのと手術似ています。
さて、指先の痺れですが、これまで抗がん剤治療が4クール終わりました。指先の痺れは強く成ってきていません。また、字を書くのにも藤生はありません。お箸もうまく使えています。また、診療所に行ったときに手術で行う糸結びもやってみましたが、問題なく指も動いて糸も結べます。指先の痺れはあるものの、まだまだ許容範囲です。
このままオンコビンも休薬、中止することなく、悪性リンパ腫をしっかり治すことを一番の優先にして、今回も投与することにしました。
今後も自家血幹移植に際しても抗がん剤を使うことになります。今後も抗がん剤の副作用をどこまで許容できるか?どこまで許容するのか?この難しい課題には、主治医の先生と良く相談しながら決めていきたいと思います。
でも、この課題は癌を治すという点でとても難しく、永遠のテーマなんだろうなあと思います。
短鎖脂肪酸と腸内フローラ

今回は、第31回教育セミナーの中で興味深く、そして面白かった便秘に関しての講演に関して前回に引き続いてお話ししたいと思います。
今回は、前回お話しできなかった。「短鎖脂肪酸」と「胆汁酸」便秘に関してお話ししたいと思います。
私たちの腸の中には、100兆個以上もの細菌が棲んでいるそうです。100兆個、なかなか想像できない数ですね。でもこれらの細菌が、私たち体全身の健康に深く関係しています。 私たちの腸内にはその100兆個の腸内細菌が菌種ごとに集まって群生する様子が、お花畑(フローラ)に例えられて、腸内フローラ(腸内細菌叢)と呼ばれています。
腸内フローラの状態をよくするためには、腸内にいる善玉菌を増やして悪玉菌を減らす必要があります。善玉菌と悪玉菌は常に腸内で勢力争いをしています。そして善玉菌を増やすのに役に立つのが「短鎖脂肪酸です」です。
「短鎖脂肪酸」は腸内環境、便通、過敏性腸症候群など優れた効用をもたらすことが研究で分かってきたそうです。
短鎖脂肪酸とは、腸内細菌が水溶性食物繊維を発行分解して作る、酪酸、プロピオン酸、酢酸などの有機酸のことです。特に酪酸は腸上皮細胞の最も重要なエネルギー源であり、抗炎症作用など優れた生理効果を発揮するそうです。
短鎖脂肪酸は臭いや味、吸収性などから食べたり飲んだりして摂ることが困難物質です。
ですから、腸内細菌に短鎖脂肪酸を作ってもらう必要があります。ですから、その原料となる水溶性食物繊維をしっかり摂る必要があります。言っていれば、短鎖脂肪酸を創るために腸内細菌の餌になる水溶性食物繊維が必要になるということです。
さて、生成された短鎖脂肪酸のほとんどは大腸粘膜組織から吸収されます。吸収された短鎖脂肪酸は、上皮細胞の増殖や粘液の分泌、水やミネラルの吸収のためのエネルギー源として利用されます。一部は血流に乗って全身に運ばれ、肝臓や筋肉、腎臓などの組織でエネルギー源や脂肪を合成する材料として利用されるそうです。
これ以外にも短鎖脂肪酸には、腸内を弱酸性の環境にすることで悪玉菌の増殖を抑制します。さらに大腸の粘膜を刺激して蠕動運動を促進します。便秘などを解消してくれますね。また、腸の粘膜が病原体などの侵入を防ぐ腸管バリア機能を担います。短鎖脂肪酸は、特に酪酸やプロピオン酸は腸粘膜を維持してヒトの免疫反応を制御してくれます。
このように、短鎖脂肪酸を増やすことは大腸の環境を良くして便秘なども解消してくれます。
食物繊維としては日本人成人では10g/1000kcalが目安とされています。2000kcalですと1日20gが必要と言うことになります。食物繊維を摂るにはブルーベリーやキウイが良いそうで、ベリー系のフルーツが多く摂れるとのことです。食物戦としては海藻類、キノコ類、ベリー系の果物が良いということになります。
さて、もう一つの胆汁酸についてお話しします。
さて、便秘に対して下剤を処方します。下剤の種類には以下のようなものがあります。
- ①塩類下剤、②膨張性下剤、③浸潤性下剤、④刺激性下剤があります。
良く使われ、皆さんが知っておられるのが、塩類下剤の酸化マグネシウムや、刺激性下剤のセンナやアロエ、ダイオウです。
酸化マグネシウムは随分古い薬で、シーボルトが日本に持ち込んだとのことです。ただ、酸化マグネシウムだけでは十分に緩下剤としての作用を起こしません。酸化マグネシウムと胃酸との反応式をしまします。
MgO+2HCl=MgCl2+H2O
と酸がなければ効果が減弱してしまいます。ですから胃切除後であったり、制酸薬を内服している方は酸化マグネシウムの効き目が減弱します。
刺激性下剤はやはり内服し続けることによって習慣性になったり、センナを飲み続けると、大腸の粘膜に色素が沈着し、黒くなる大腸メラノーシスになることがあります。
このセンナやアロエなどは、紀元前より使用されていたようです。アレキサンダー大王も便秘で使用していたそうです。
最近、新しい下剤も出てきました。それは「グーフィス」という下剤です。
胆汁酸トランスポーター阻害剤で、胆汁酸の再吸収にかかわるトランスポーターを阻害することで、大腸に流入する胆汁の両を増加させ、水分分泌とと大腸蠕動運動の促進の2つの作用で自然な排便を促すというものです。
前回、「完全排泄」と「不完全排泄」と言うことをお話ししたともいます。このグーフィスと言う下剤は、「完全排泄」を目指す下剤です。
胆汁酸を直腸内に注入すると、直腸が動き始めるといったこともわかったそうです。
このように、下剤には新しい作用の下剤が出てきています。やはりその中から自分にあった下剤を選び、治していく必要がありますね。
いよいよ5クール目の治療、その後完治を目指す治療へ

6月になりました。季節は一気に進んでいますね。
私は今、悪性リンパ腫の抗がん剤治療のために入退院を繰り返しています。
どうしても入院しているときは、病棟内エアコンが効いているので、快適です。3月29日に入院をしたのですが、この間、私の中では季節は全く進んでいませんでした。でも4クール目が順調に終わり、来週の月曜日から5クール目の抗がん剤投与になりますが、一旦自宅に戻ってきています。やはり、暑くなってきていますね。季節は確実に進んでいます。
どうしても入院治療していると体力が落ちてしまいます。この落ちてしまった体力をアップさせるために毎朝、近くの賀茂川を散歩しています。その時の風景を絵にしたのがブログでもご紹介している風景画です。
まだ朝なので、自宅に帰るころには額に薄っすら汗をかきますが、吹いてくる風は、まだまだとても心地いいです。
さて、今の私の状況をお話しします。
悪性リンパ腫の治療、完解を目指して今抗がん剤による化学療法を行っています。この治療は全部で5クール行います。
現在4クールが済み、残すは来週月曜日からの5クール目を残すところです。
今のところ、強い副作用もなく、順調に治療が進んでいます。2クール目が終わった後に治療効果を診た造影MRIでは、脳の視床下部近くにあった腫瘍もほぼ消失しました。今回の5クール目が終わった後、再度造園MRIで治療効果を診ます。おそらく、腫瘍は消失して完解状態になっています。
ただ、治療はここでやめることなく、完治を目指していきたいと思います。まだ詳しい日程等は主治医と相談していませんが、完治に向けて自家血移植を行う予定です。造血幹細胞移植には、同種造血幹細胞移植と、自家造血幹細胞移植があります。
白血病患者さんはドナーからの同種造血幹細胞移植です。また、抗がん剤による治療効果が出にくい方や、抗がん剤治療でいったん完解された方が再度再発された時にも行うようです。
私が行うのは、自分の造血幹細胞をあらかじめ採取しておいて、その造血幹細胞を移植する方法です。
このように、これまでは、発症した悪性リンパ腫の治療、完解を目指す治療を5クールしてきました。来週からはその治療の5クール目です。それが終わり、治療効果を診る造影MRIで完解が認められたら、今度は完治を目指す治療として、私は自家血幹細胞移植を受けることになります。
もうしばらく治療はかかります。完治して復帰したいと思います。皆様には、本当にご迷惑をおかけしていますが、もうしばらくお待ちください。しっかり完治して「シン・渡邉医院」を再開したいと思います。
動物の便の排出時間は12±7秒

こんばんは。5月も明日1日残して終わってしまいますね。私は今悪性リンパ腫に対しての抗がん剤治療で入院中です。入院していると、エアコンが効いているので、暑さは感じず快適です。3月29日に入院したのですが、病棟の中はその時のままです。全く季節は進んでいません。今私は5クール予定のうち、今日で4クールが済みました。特に強い副作用所なく、順調に治療は進んでいます。いつもですが、1クール終わって、特に強い副作用等がなければ一旦退院です。ですから明日私は退院。次は6月6日の月曜日に5クール目に向けて再入院します。その後の治療予定はその時に主治医と相談することになります。
必要な治療はしっかり受け、完治して復帰したいと思います。渡邉医院は休止中でご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
Twitterでの相談していますのでお尻のことで何か心配なこと不安なことがあれば、遠慮なく相談してくださいね。
今回は先日行われた日本大腸肛門病学会主催の第31回教育セミナーの内容を前回と今回とで報告したいと思います。今回はとても興味深く面白かった便秘についての話です。これまで私がブログにアップしている内容に違いはないので、今回はその私のブログにさらに付け加えて、のことに関してお話しします。
便秘に関しての基本は同じで変わったわけでなく、具合よく便が出るには、①便のもとになる食物繊維があり量があること。②便の中に十分な水分が含まれていること。そして③大腸が具合よく動く。この三つは変わりません。
さて今回のタイトルですが「動物の排便時間は12±7秒」と衝撃的なものとしました。
やはり野生の動物、排便にあまり時間をかけていると、周りには沢山の天敵がいます。弱肉強食の世界です。排便も早くサッと済ませて長居をしない。そして直ぐに逃げられるようにする。そのために短いんだろうということです。それと比べて皆さんはどうでしょうか。野生動物並みに「排便時間12±7秒」と言う方、おられるかもしれませんが大抵はそうではないと思います。短時間で気持ちよく出るようにしたいものです。
今回お話しする新しい内容は短鎖脂肪酸と、胆汁酸の便に与える影響についてです。
もう少しだけ、違うお話を続けます。
「ストレスは便秘の原因。」と良く言われますが、本当にストレスがかかると便秘になるのかというお話です。
マウスの実験で、ストレスをかけたストレスマウスと、まったくストレスをかけないストレスフリーのマウスに関して調べた実験です。
すべての結腸の上皮細胞にグアニリンとウログアニリンという物質が発現します。
グアニリンとウログアニリンは腸管内に水分を増やして便の中の水分量を増やしてくれる物質です。
ストレスをかけたストレスマウスでは、このグアニリンが有意に減少している。このために腸管内の水分量が減り、このことが便の中の水分量も減らすことになり便秘になるという実験結果でした。
このように、やはりストレスも便秘になるということが証明されたわけです。なかなかストレスを取り除くことはできませんが、うまく解消していく方法を見つけ、便の調整をしたいものですね。
もう一つ、直腸に便が残ったままになっていると、「便がしたい。」という便意がなくなるということです。私のブログでもお話ししたことがあります。ただ、直腸にコロコロの便だからスッキリ出ずに残り、このことで「便がしたい」と言った便意が出なくなるだけではないそうです。
下痢の時も直腸に来た下痢を力んで出した時も、完全に下痢便が排出できずに、直腸内の下痢の一部が力むことでS状結腸に戻ってしまう。この下痢がまた直腸に降りてきて何回も排便したくなるといった症状になるようです。これらの完全に便が直腸内から排泄できないことを「不完全排泄」と言います。やはり便の量を増やして、形のある柔らかい便がスッと「完全排泄」できるようにしたいものです。
さて、本題からずれて長く鳴ってしまいました。本題の短鎖脂肪酸と胆汁酸に関しては次回にしたいと思います。
第31回教育セミナー(日本大腸肛門病学会主催)を終えて。

さて、今私は悪性リンパ腫に対して抗がん剤投与の4クール目のため入院しています。4クール目もこれまで同様に、特に強い副作用もなくいつも言ってますが、「私はとても元気」です。しっかり治療して復帰していきたいと思います。皆様には本当にご迷惑をおかけして申し訳ありません。
さて、今日は日本大腸肛門病学会主催の第31回教育セミナーに参加しました。今回の病気、入院前に申し込んでいたものでした。朝の9時から午後13時35分まで長時間に渡ってのセミナーでした。
今回の肛門科のセクションは、肛門科を専門医している先生方に向けたセミナーと言うよりは、内科の先生や、肛門の診察をしない先生方に向けての肛門科からのある意味メッセージと言った内容でした。
講演されている先生がこんなことをおっしゃっていました。「患者さんにとっては見せたくない部分、医師にとってはあまり見たくない部分」と。なかなか内科の診察の流れの中で「胸の音を聞いてみましょう。」とか、「お腹の動き具合を聴診してみましょう」とか、「お腹の具合を観ましょうね。」とかで、胸をはだけていただいたり、服をたくし上げてお腹を診せてもらったりはします。ただ、この診察の流れで、「ではお尻を出して下さい。肛門を診てみましょう。」とはなかなかいきません。
でも、肛門内に指を入れて診察する指診だけでも様々なことがわかります。時々糞便栓塞と言って、直腸に便が詰まって受診される患者さんがいらっしゃいます。症状としては、肛門がとても痛い、便がだらだら下痢状に出る。」などの症状を訴えられ、場合によっては救急車で運んでこられる患者さんもいらっしゃいます。こんな場合、肛門が痛いならば、肛門の座薬か軟膏を処方しておくだけ、また患者さんの訴える下痢状の便がだらだら出るには下痢止めを処方してしまう。そんな変な治療になってしまいます。
肛門が痛いのは、直腸に硬い便が詰まってしまって肛門の外側がパンパンに腫れあがっているための痛み。下痢状の便がだらだら出るのは直腸に便が詰まっているために、其の脇を下痢状の便が出ているため。全く違います。チョット肛門を診てあげて、それだけでももうわかります。さらに指を挿入すると、直腸内に硬い便が詰まっていることが指を入れた瞬間わかります。そうすれば直腸にある硬い便を崩して、あるいは摘便してあげて、残った便をグリセリン浣腸で出してしまう。そうすると肛門の痛みもなくなり、お腹もスッキリして患者さんはスッと楽になります。
このように、指を入れて肛門や直腸を指診するだけでもいろんなことがわかります。
さらに肛門鏡で肛門や直腸の中を観察することで病気を早く見つけることもできます。特に出血です。出血したという患者さんに肛門鏡を入れ観察すると、直腸内に多量の血塊が残っている場合があります。このような場合は大腸憩室縁からの出血を疑ったり、直腸の粘膜に炎症などがあれば潰瘍性大腸炎などもわかります。病気の早期発見や治療中の状態などを診ていくこともできます。
このように、指を入れる、肛門鏡を入れて観察するだけで多くの情報を得ることができ、診断治療に繋がっていきます。そんなことで、私からも肛門指診、直腸指診、そして肛門鏡検査をお願いしたいと思います。
少し長く鳴ったので、セミナーの肛門科のセクションはこの辺で終わりにしたいと思います。
次回はセミナーの中で面白かった「便秘」に関してのお話をしたいと思います。