介護保険制度を改悪しないで!
皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
自家血幹移植が終わり、退院してから1か月過ぎました。まだまだ本調子ではありませんが、順調に来ています。自家血幹移植の際に主治医から「入院期間は1か月半から2か月ぐらいです。」と言われました。2か月だと11月に退院でもおかしくなかったと思うと、焦らずに、じっくりリハビリしながら渡邉医院の再開に向けて準備をしていきたいと思います。
さて、今、介護保険に関しての見直しの議論がなされています。これまでの国の政策では、介護保険制度はどんどん改悪され、利用者が利用できない状況が進んでいます。今回の見直しでさらに介護保険制度が改悪されると困ります。今回はこの介護保険制度に関してお話ししたいと思います。
介護保険は2000年に施行され、22年が経ちます。
介護保険は、「介護の社会化」ということで、「家庭内・家族が担っていた介護を広く社会共通の課題として認識し、実際の介護、ケアを担う社会資源(サービス)を、税と保険料を中心に拠出された財源によって、社会全体が担っていくもの」とされていました。しかし、この22年間の介護保険制度の改悪で、必要とする介護サービスを利用できない状況が広がってきています。医療保険は現物給付なのに対して、介護保険はサービスを「お金で買う」という制度設計になっています。ですから、経済的理由によって、本当は必要な介護やケアを受けられなくなってしまいます。
また、家族を介護しなければならないという理由での「介護離職」も増えています。さらに介護事業所においても、介護の担い手となる人材不足が深刻なのと、低い介護報酬から、経営が難しくなっています。2022年1月から9月までの老人福祉・介護事業の倒産は100件。介護保険法が施行された2000年以降で最多となりました。
そして現在のコロナ禍において、こういった事態はさらに深刻になっています。
このような状況の中、政府は2023年の通常国会に向けて介護保険の見直しの検討をしています。これまでの政府の政策をみると、良い方向に改正されるという期待は持てません。必ず改悪に進んでいきます。
さて、今政府が検討している介護保険の見直しの内容ですが、次の7点があげられると思います。
1)要介護1・2の訪問介護・通所介護を総合事業へ移⾏
2)利⽤者負担の引き上げ(原則2割化、2・3割の対象拡⼤)
3)ケアマネジメントに利⽤者負担の導⼊ (ケアプラン作成の有料化)
4)福祉⽤具を貸与から購⼊へ
5)⽼健施設などの多床室(相部屋)の室料有料化
6)ICT・ロボット等活⽤で⼈員配置基準の切り下げ
7)「科学的介護」の名の下で「⾃⽴」促進
です。
このように、今検討している内容は、介護保険利用者への負担増と給付の削減です。
要介護1・2の方が本当に軽度者なのか?また総合事業に移行することで地域差が出てこないかも心配です。また、利用者負担の引き上げが行われると、今ですら多くの介護サービスはあるものの、経済的な理由で、その「サービスを買う」ことが難しくなっている中、さらに必要な介護・ケアを受けられなくなる人たちが増えてしまいます。
ケアプラン作成の有料化では、独居の高齢者にとって社会とのつながりであったケアマネージャーとの関係がなくなりかねず、さらに孤立化が進んでしまうのではないかと心配です。
ICT・ロボット等活⽤で⼈員配置基準の切り下げにおいては、国は良くAIを用いて効率化を図ると言います。でもこの効率化を図った先にあるものは何か。国は効率化を図り、孤立化された分、人員を削減するといった方向に向きます。本来ならば効率化を図り余裕のできた時間は、その人員を利用者との触れ合いなど、人にしかできない介護・ケアを充実させる方向に進めていかなければならないのではないかと思います。
来年の通常国会に向けての介護保険の見直しにおいては、今、利用者や介護事業所、介護従事者が直面している困難をしっかり聞いて、見て、利用者が必要とする介護・ケアを経済的な心配をせずに十分に提供できるような制度に介護保険を見直して欲しいと思います。
そして私たちは、来年1月に開かれる通常国会までに介護保険制度をよりよくするように求める声を大きくしていかなければなりません。
健康保険証の廃止に反対する!
皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
今回は、オンライン資格確認の義務化と、健康保険証の廃止に対して反対する理由などをお話ししたいと思います。
まず、オンライン資格確認に関しては原則義務化とされました。このことは療養担当規則にも明示されてしまいました。このことは、オンライン資格確認のシステムを導入していない医療機関は保健医療ができなくなってしまいます。また、廃業してしまうことに繋がります。医療機関の中には、設備的にオンラインができない施設だったり、オンライン資格確認のシステム機器を置くスペースがない、またオンラインに対応できない医療機関等あります。
すべての医療機関がこのオンライン資格確認システムを導入できない状況にあります。
そうすると、地域の医療を守り、私たちの健康、命を守ってきた医療機関がどんどん地域からなくなってしまうことになります。
渡邉医院は、現在紙カルテ、紙レセプトのため、この原則の中には入りません。
でも、10月13日に河野大臣が発表した「健康保険証の廃止」が行われれば、渡邉医院では本院確認をする方法がなくなってしまうので、保健医療ができなくなってしまいます。
「オンライン資格確認」、「健康保険証の廃止」には、これ以外に様々な問題があります。この問題に関しては、またあらためてお話ししたいと思います。
今日は、「マイナ保険証の“義務化”撤回を」という抗議談話を京都府保険医協会が出しました。この内容を転記して紹介します。
また、「このまま健康保険証が廃止されれば、マイナンバーカードがない医療にかかれなくなるの?!」という健康保険証の廃止を撤回させる署名運動もしていく予定です。
もし署名用紙をご覧になったら、ぜひ署名お願いいたします。撤回させるには多くの方
の賛同、協力が必要です。
では、抗議談話を紹介します。
抗議談話
マイナ保険証の“義務化”撤回を
京都府保険医協会理事長 鈴木 卓
現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に切り替えると、河野太郎デジタル相が 10 月 13 日に発表した。法的には任意のカード取得を、生命に関わる保険証を使って事実上義務化し、強制することは到底容認できるものではなく、撤回を求めたい。
岸田政権は骨太方針 2022 に「2024年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制 の導入を目指し、さらにオンライン資格確認の導入状況等を踏まえ、保険証の原則廃止を目指す」と書き込み、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)推進を重点政 策に掲げた。その狙いについて協会は、個々人の医療情報を民間企業に利活用させ「経済活動」の道具とすることを目指し、さらに国家が個々人の医療情報をすべて把握することで、「負担」と「給付」の関係を管理し、医療費抑制政策に役立てることにあると指摘してきた。
強引な手法で急ぐのは、マイナ保険証こそがその医療DXの基盤であるからに他なら ない。医療機関には 2023 年4月からオンライン資格確認が原則義務化される。医療機 関、患者双方向から同時に強制しなければ進まないと考えたのだろう。
国はデジタル化推進の理由にさまざまなメリットを挙げる。たしかにこれからの社会 に必要なインフラであり、さまざまな便利さをもたらすであろうことは否定しない。しかし、マイナポイント事業などを駆使してもカードが普及しないのは、国が集めた個人情報がどう使われるのか、情報が漏洩しないのか、利便性以上に国民の不安が根強いからではないのか。
マイナンバー制度が導入されたのは 2016年だが、カード普及率は 49.6%。2021年10 月に利用開始したマイナ保険証を持つ人は全人口の2割にすぎない。全国の医療機関におけるオンライン資格確認参加率は 10 月現在 31.5%で、医科診療所では 21.4%に限られる。
このような状況であるにもかかわらず、国は国民の不安に向き合わず、丁寧な説明を尽くすこともせずに、「強制」というカードを切ってきた。この間の政治の劣化が顕著 にあらわれている。 また、「マイナ保険証」を取得したくてもできない人が出てこないのか。具体的な仕 組み作りはこれからだという。これにより、患者の受診機会を阻害することや、その混乱を医療の現場に押し付けることがあってはならない。
改めて協会は、国に対しデジタル化にあたっては国民の情報管理の在り方と使い方に ついて根本的な見直しを行って国民の理解を得ること、そしてマイナ保険証及びオンライン資格確認の義務化を撤回することを求めるものである。
2022 年 10 月 18 日
11月になりました。焦らずじっくりと。
11月になりました。昨日は雨の一日でしたが、今日はとてもいい天気です。これから紅葉も進み行楽シーズンになりますね。
私たちができる感染対策をしっかりとって、紅葉を楽しみたいと思います。
悪性リンパ腫の一連の治療の最後、自家血幹移植も終わり、10月5日に退院。もう直ぐ退院して1か月になります。
体調はまずまずですが、まだまだ元通りとはいきません。昨日外来診察の日でした。血液の検査では、退院後白血球が14000/μl前後を推移していて、増えてはいましたが、まだまだ正常の機能はしてなく統制が摂れていませんでしたが、昨日の血液検査では8400/μlと落ち着いてきました。ただ、白血球の分画をみると、好中球が少なく、好酸球が多いなどまだまだだなあと思います。また、血小板に関しては、退院後徐々に減少し、先週の段階では12.4万/μlと正常値の下限を切りました。このまま減っていくのかと心配していましたが、血小板に関しては昨日の結果では15.1万/μlと増加傾向になりました。少し安心しました。
血液の検査、一喜一憂してはいけないと思いますが、徐々に落ち着いてきているようです。
ただ、退院してもう直ぐ1か月。私としては、もっと元の状態に戻るかと思っていましたが、まだまだ退院してきたときと、そう変わらない感じです。6か月超の治療、そして最終の自家血幹移植のダメージは結構蓄積しているんだなあと感じました。
退院後、ウオーキングをしましたが、少し頑張りすぎたのか、焦りすぎたのか、以前痛めた左の膝に痛みが出てしまいました。今週は少し休んで、焦らずに徐々に行っていこうと、チョット反省しているところです。入院しているときは、治療のことだけを考えて日々を過ごしていましたが、やはり退院するといろんなことを考え焦りや不安、反対に楽しみや期待等様々な感情が湧き出てきます。これもとても貴重な経験だと思います。
ということで、現在の私の状況はこんな感じです。
渡邉医院の再開の目標は、年明けの1月から。まだ2か月あると思えばいいのか、もう2カ月しかないと思えばいいのか、少し焦りはありますが、肉体的にも精神的にもしっかり体力アップして再開したいと思います。
渡邉医院再開に向けて。
皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
10月5日に退院して3週間がたちます。何気ない日常の生活に戻ったということにとても幸せを感じています。
朝起きて、コーヒーを入れる、食後のかたずけ、お風呂の掃除、洗濯や買い物。以前は極々当たり前のことで何も感じなかったことが、退院した今はできる。とてもうれしく幸せを感じます。これまで休みの日に食事を作るということはありませんでした。でも退院してからは自分で作るようにもなりました。大きな変化です。
悪性リンパ腫。本当になりたくなかったです。白血病や悪性リンパ腫はテレビなどで有名人の報道があり、自分とは全く関係ないことのように思っていました。それが突然の発症。まさか自分がなるとはとは思ってもいませんでした。でも、なったことでいろんなことを経験し、また、以前の自分にはできなかったこと、やらなかったことなどをするようになりました。
今回の治療で、私自身一つ成長したなあと感じます。
現在の体調としてはまずまずかなあと思っています。まだまだ元に戻ってはいません。
3月29日に緊急入院をして約6か月間。この間の治療の影響が蓄積されているんだなあと感じます。
肉体的な体力に関しては、退院後約1時間30分程度のウオーキングを毎朝行っているので大分アップしてきているのではないかと思います。3週間経ちますが、足の筋肉痛はまだまだあります。こんなに筋力も落ちていたのかと、ビックリしています。
さて、自家血幹移植後の経過ですが、9月24日に生着して、約1か月経ちました。白血球の数は13000/μlと増加はしていますが、その内容をみると好中球は少なく、好酸球が多かったり、まだまだ正常に統制されていないようです。また、血小板に関しては一旦33万/μlまで増加しましたが、その後徐々に減少して、今週の火曜日(10月25日)の段階では12万/μlまで低下。正常値の下限を切りました。白血球や血小板の増減に関しては自覚症状はありません。毎週の外来受診時の血液検査の結果でわかります。
この白血球の増え方がしっかり正常に統制されるのはいつか?血小板の減少はどこで留まり再度増加してくるのか?まだまだ予断は許さないなあと思っています。
良く患者さんに術後に「傷がふさがったのと治ったのは別です。傷がふさがってからもまだまだ治っていきます。」とお話ししていますが。やっぱり悪性リンパ腫の治療も一緒。
造血幹細胞が無事生着したからと言ってそれで元の状態に戻るわけではないなあと感じます。まだまだこれからといったとこなんだなあと思います。
さて、渡邉医院の再開についてですが、今のところの私の目標は、来年年明けの1月からの再開です。それに向けた準備を少しづつ始めています。
悪性リンパ腫になる前と同じようにはなかなか診療できないのかなあと今は思っています。でも手術をして患者さんを治していきたい気持ちもあります。現在の有床診療所の施設基準をワンランク下げて再開しようかなあと考え、それに向けての届け出の書類なども作成しています。
渡邉医院の再開の際のスタッフですが、現在のところ5名の方が復帰してもいいとの返事をいただいています。本当にありがたいことです。私の入院、渡邉医院の休止によって突然の解雇。やむを得ない状況とは言え、スタッフにとってはとても辛い決定になってしまったと思います。それにも関わらず、渡邉医院休止から約10か月後の再開の際に復帰を申し出てくれえました。本当に感謝しかありません。
さて、渡邉医院のまずは縮小からのスタートを考えています。ただ、無床の診療所にはせず、有床診療所のままでいたいと思います。やはり入院施設を持っていることで、患者さんに必要な治療を迷うことなく行うことが出来ます。
休止前は、有床診療所入院基本料5を算定していましたが、再開時にはワンランク下げた有床診療所入院基本料6を算定しようと思っています。休止前の有床診療所入院基本料5の場合、常勤の看護職員が4人以上7人未満という施設基準があります。そして1日の入院基本料は737点、7370円で3割負担の方は2210円の自己負担になります。有床診療所入院基本料6の場合は常勤の看護職員が1人以上4人未満という施設基準で、入院基本料は543点、5430円で3割負担の方では1630円の自己負担となります。渡邉医院としては1日1940円の減収になります。反対に患者さんにとっては1940円の負担軽減、3割負担の方は1日580円の窓口負担減となります。
このように、有床診療所入院基本料をワンランク下げる。
また、外来診療の時間は、最初のうちは月曜日から土曜日までの午前中だけの診療都市、順次、以前の診療時間に戻していく。
さらに手術に関しては、まずは1月は入院しなくてもいい手術から始めて、私自身の体調、そして大切なのが、術後の患者さんの治り具合などを診ながら2月以降入院が必要な手術を始めていこうと考えています。
まだまだ目標で、私の回復の状態などもしっかり診ながら、焦らずに進めていきたいと思います。
退院しました!!
皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
10月5日に退院しました。
3月29日に緊急入院。悪性リンパ腫の診断で、まずは寛解導入に向けての5クールの抗がん剤治療。この治療で下垂体近傍ににあった腫瘍は消失して完全寛解になりました。
引き続いて、もしも残っているがん細胞があれば、それを叩く、言ってみればとどめを刺すための地固療法を2クール。この時に最終的に自家血幹移植を行う際に使う造血幹細胞の採取。そして、一連の治療の最後、自家血幹移植のために9月1日に入院しました。移植前処置の抗がん剤投与をした後、9月14日に採取保存してあった造血幹細胞を移植。移植10日目に生着。その後順調に白血球などの血球が増加して、10月5日に退院となりました。
6か月超の一連の治療が終わりました。この間やはり肉体的な体力の低下。また、会議や人の話をしっかり聞いて、それにこたえるという気力、体力もやはり低下しています。
この体力をこれから渡邉医院再開に向けてしっかりアップしていきたいと思います。
今、毎ウオーキングをしています。最初はとぼとぼ歩いていましたが、今日は歩幅も広くなり、腕もしかり振れるようになりました。昨日からウオーキングの途中にある鉄棒を使っての腕立て伏せも再開しました。本当に筋力も落ちているようで、今は筋肉痛が強いです。毎日のウオーキングをすることでこの筋肉痛が治まれば体力アップ、筋力アップが図れるんだと頑張っています。
自家血幹移植のための入院前の目標が、10月14日から10月16日まで京都文化博物館で開催される「シルバー美術展」に、自分自身が出展する作品を搬入するでした。この目標も達成することが出来ました。
今回の一連の入院期間で計28作品を描きました。その中の1点を出展しました。
寛解導入の抗がん剤投与が終わりに近づき、次のステージ、地固療法から自家血幹移植に向けての治療の節目に描いた絵です。次のステージの治療が進み、その先にはしっかり根を張った大樹が待っているといった気持ちで描いた絵です。
退院して、これまで描いてきた絵をもう一度見てみると、その時その時の気持ちが込められた絵だなあと感じます。治療がしんどかった時は、絵も力なくしんどそうな絵になっています。やっぱり、これら28作品が一つの作品なんだなあと思います。
さて、この6か月超の治療を頑張れたのは、やはり妻の支えがあったからこそだと思います。妻にそのことを話すと、「私は何もしていないよ。」と返事が返ってきました。でもそんなことはありません。1クール終わるたびに約1週間一旦退院します。これを繰り返していきます。退院した時は、朝コーヒーをいれ朝食の準備をしたり、食後のお茶碗洗い、お風呂の掃除や家の掃除。買い物に行ったりする、この何気ない、本当にありふれた日常生活に本当に幸せを感じます。そしてそこに妻がいてくれる。しっかり治して、この妻がいる幸せな日常生活に戻りたい。こういった気持ちが私の支えになり、力になりました。本当に妻には感謝です。
また、家族以外にも私を支えてくれた皆さんにも感謝です。
さて、今後の渡邉医院の再開に向けての予定ですが、まずはしっかり体力をつけ、人の話をしっかり聞けて、それに適切にこたえることが出来る、そんな体力を10月、11月でつけたいと思います。
そして12月から渡邉医院の再開に向けた準備をして、来年年明け1月から再開したいと考えています。
もうしばらくご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
10月になりました。退院に向かって!!
皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
10月になりました。病室の窓から見える空の雲。もう下記の雲になっています。病室にいると季節の移り変わりが空と、雲、そして外の景色でしかわかりません。朝夕は涼しくなってきているのでしょうか?
さて現在の私の状態ですが、今回が悪性リンパ腫に対しての最後の治療となる「自家血幹移植」のために9月1日から入院しています。今回はクリーンルームからのスタートになりました。治療が始まると、この部屋から一切外に出ることはできなくなります。
いよいよ、9月7日から移植前処置が始まりました。今回移植前処置に使った抗がん剤はブスルフェクスとリサイオという抗がん剤です。ブスルフェクス2日間投与、続いてリサイオの2日間投与の4日間行いました。やはり、今回はこれまでよりも強く副作用が出ました。リサイオ2回目投与後の夜から、嘔気、嘔吐が続きました。食べたものだけでなく、水分を摂っても直ぐに嘔吐してしまう。そんな状態でした。ただ、これも3~4日ほど経つとだんだん改善してきました。ただなかなか、以前の様な食欲は出てきませんでした。
自家血幹移植は9月14日に行いました。前回の地固療法の際に採取して保存してあった増加継幹細胞を輸血のように自分の体に戻していきます。
移植後も白血球の数はぐんぐん減り、9月18日の段階では200/μl(正常3300~8600/μl)、9月20日には100/μlまで減少し、骨髄は一旦「死」の状態になりました。後はそこに移植した造血幹細胞が生着し、白血球やそのほかの血球を増やしてくれるのを、ただ待つだけになりました。
移植前より熱が出始め、発熱性好中球減少症に準じて抗生剤を内服から点滴へ変更するなど対処。口唇(疲れた時などに良くできていた部分)に、ヘルペスらしく皮疹が出てきたのでヘルペスに対しての治療など、行っていきました。
9月22日の段階でもまだ白血球は100/μlのままでした。
このころは頻回の下痢にも悩まされていました。出てくれるのはいいのですが、やっぱりお尻が痛い。なかなか自分で診察することはできませんね。
自家血幹移植後10日目、9月24日の血液の検査で、白血球が2000/μlに増加、好中球も76.6%と増加してきました。その後も9月26日には白血球7300/μl、9月29日には8300/μlと増加。これをもって9月24日が生着日となりました。
血小板の一時1.4万/μl(正常15.8万~34.8万/μlにまで低下、これに対しては血小板輸血を行いました。生着後は白血球と同じように増加し、9月29日には19.3万/μlに増加しました。
生着し、白血球も血小板も増え、正常値になったのですが、やはり移植、生着、造血といった物凄いことが体の中に起きているせいか、熱がなかなか下がりませんでした。ようやく昨日から平熱に戻り、11日間で続けていた熱もようやく落ち着きました。
これまでお話ししたような経過をたどって今日まで来ました。
後は明日の月曜日の血液検査の結果を見て、いよいよ退院の日が決まります。もう直ぐです。
さて、退院後ですが、10月、11月はこの約半年間に渡っての治療で随分落ちてしまった体力をアップするためにしばらく自宅療養と外来通院をしたいと思っています。そして12月に入ったら、渡邉医院の再開に向けての準備を行い、できれば来年1月から「シン・渡邉医院」を再開したいと思っています。
長い間、本当にご迷惑をおかけしてきました。でも私の周りにいる皆さんが私に力を与えてくれて、支えて下さっているんだということをしっかり感じることが出来ました。
渡邉医院の再開まではもう少し先になりますが、もう現実として見えてきています。
これからも、温かく見守り、支えて下さいね。よろしくお願いいたします。
2022年10月2日
渡邉医院 渡邉賢治
内痔核術後1か月、お腹が張って、おならも多い。
こんにちは、渡邉医院の渡邉です。
今回は、同じ悩みで悩んで、苦しんでおられる患者さんが多いのではないかと思う相談があったのでそのことについてお話ししたいと思います。
相談の内容は次のようなものでした。
1か月前に内痔核の手術をした後、未だにおならの溜まり方が多く、お腹が張る。歩いていてもおならが出てしまう。内痔核の手術後にこのような症状が出ることがあるのか?という質問でした。
内痔核の手術をしていなくても、お腹が張って、おならが溜まる。とても辛い症状です。
今回、私も自家血幹移植の前の移植前処置での抗がん剤の副作用で頻回の下痢をしました。便がしたくなって下痢が出てもスッキリしない、まだ残った感じがする。もう一回トイレに行くと少ししか出ない。これを繰り返していました。下痢は治まってもどうしてもいつも便がしたいような気持になる。お腹がスッキリしないといった症状がでて、ようやく落ち着いてきたところです。
さて、今回の質問に関して、結論から言うとそういうことはあります。私が考えるに三つのパターンあると思います。このことに関しては後からお話しします。
まずは、肛門はただ便やおならが通る出口です。肛門の具合が悪いからと言ってお腹の調子が悪くなることは本来ないと思います。やはり、便秘や下痢など排便の状態が悪いなどの原因があれば、それを治すのが大切だと思います。今後、内痔核が再発しないためにも術後とても必要なことです。このことがまずは大前提です。
さて本題に戻ります。今回の症状が出る理由には三つあると思います。
まず一つ目は、内痔核の術後に肛門の狭窄ができた場合です。
排便をする時にどのように便が出るのかというと、ただただ肛門が広がって便が出るわけではありません。排便時に頑張ることを「怒責」と言いますが、怒責すると肛門の中の肛門上皮の部分が外に出るようにして便が出ます。このことを「脱肛」と言います。人間は、具合よく脱肛しながら便が出ます。
肛門狭窄が起きると、この脱肛がし難くなります。ただ肛門が広がって出るといった具合になってしまいます。そうすると、排便しても細い便しか出なかったり、スッキリで出きらないことがあります。そうするとお腹が張ったり、おならが多くなったりします。
このように、肛門が狭窄してしまった場合、指やブジ―と言って棒のような肛門を広げる器械があります。それで狭くなった肛門を広げる処置をしたり、場合によっては肛門を広げる手術が必要になることがあります。
も一つが傷の硬さです。どんな傷でも傷がふさがった時は硬いです。だんだん時間が経つとともに柔らかくなって治っていきます。肛門の手術も同じです。どうしても傷が治ってもその硬さが残ります。ただ、この硬さも同じように徐々に柔らかくなって治っていきます。
やはりこの硬さも先ほどお話しした肛門狭窄同様に、排便時に脱肛し難くなります。その結果、お腹が張ったり、おならが多くなったりします。ですから、傷がふさがった=治ったではありません。段々柔らかくなって治っていきます。術後1か月、まだ傷の硬さが残っている時期です。3か月~6カ月程度で柔らかくなっていきます。この場合は、排便を整えて経過を診ていきます。
さて最後は内痔核の術後の排便時の痛みです。
どうしても肛門の手術をすると、特に内痔核は排便時の痛みが伴います。排便時の痛みがあると一回でスッキリ出すことが出来にくくなることもあります。また、排便時の出血も気になります。そうするとどうしても排便の状態が悪くなってしまうことがあります。
ただこの場合は、肛門が狭いといった状態ではないので、お腹の調子を良くしてあげればいいということになります。
便秘なら便秘を下痢なら下痢を治すことも大事です。整腸剤を飲んでみたり、食事ではヨーグルトや発酵食品など腸内の環境を良くする食品を摂るなど工夫してみて下さい。食物繊維も大切ですが、食物繊維だけだと頑固な便秘になるので水分もしっかり摂って下さいね。
最後になりますが、お腹が張ったり、おならが多い原因に、食事のスピードが速いということがあります。急いでご飯を食べるとどうしても空気を飲み込む量も増えます。ゆっくり、のんびり食事を摂ってみて下さい。ゆっくり食べることでダイエットにもなります。
また、多くの方が同じような悩みをされているだろう相談があれば、そのことについてお話ししますね。
頻回の下痢、硬い便でお尻が痛い!
皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
9月14日に移植した造血幹細胞が移植後10日目の9月24日に生着しました。これで生着するかどうか心配する必要がなくなり、後は白血球をはじめとする血球が増えていくのを待つだけになりました。
まだまだ、移植前処置での抗がん剤の影響は残っています。まだお腹の調子が本調子でないこと。また唾液の分泌が減るようで、口腔内が乾燥して殻から。食事をするときも少し飲み込みにくい感じがあります。まあ、次第に改善して治っていくと思っています。
さて今回、移植後10日目という比較的早い時期に生着した要因として、私は次のようなことを考えています。
1.自家血幹移植までに行ってきた抗がん剤による治療のダメージが少なかったこと。
2.接種した造血幹細胞が元気で、十分な量を採取できたこと。
3.移植時に7×10の6乗の造血幹細胞が使えたこと。
4.体自身が頑張ってくれたこと。
この4つが要因ではないかと考えています。また自分の造血幹細胞を移植する自家血幹移植だったことが一番だと思います。感じとしては、完全に抑制が来た骨髄。造血幹細胞の移殖で、「お帰り!待っていたよ!後は任せたからよろしく!しっかりフォローするからね!」といった感じです。
一応生着しましたが、まだまだ気を緩めず頑張っていきたいと思います。
さて、今回はもう一つ。これからお話しする内容は、今回の移植前処置の際に頻回の下痢をして肛門だけでなく、肛門周囲も痛くなった経験した内容です。医学的にしっかり検証したわけではないので間違っているかもしれませんがお話しします。
便秘で肛門が切れる裂肛という病気があります。裂肛は便秘だけでなく、下痢でも起きます。下痢をしてお尻が痛いとなればまずは裂肛を考えます。また、頻回の下痢などで、血栓が詰まってしまったり、血栓が詰まらなくても、皮下出血を肛門の周囲に作って受診される方もいます。また、硬い便が出なくて、頑張って頑張ってやっと出てお尻が痛いという患者さんの診察をすると、肛門内に小さな血栓が多数詰まっている患者さんいます。
このように頻回の下痢や硬便で何回も何回も怒責を繰り返すことで裂肛や場所は様々ですが血栓が詰まることがあります。ただ、今回の経験では、これだけではないと思っています。
今回、私は抗がん剤の副作用もあって、頻回の下痢が続きました。さらに常に便がしたい感じがあって、トイレで座って頑張っても出ないということまりました。ですから何とかこの回でスッキリ出し切りたいという気持ちから、強い力みを繰り返しました。
その結果、肛門が痛くなりました。
裂肛の痛みもありましたが、それとは別に肛門から少し離れた部分、座った時に当たる部分に痛みが出ました。
肛門上皮が避ける裂肛ではなく、外肛門括約筋及びその外側の部分が痛みました。常に痛みがあるのですが、特に立ったり座ったりしても痛みがあったり、便がしたくなると痛みが出たり。そんな症状でした。
排便時に怒責(排便時に頑張ること)すると、肛門は外に出るような感じになります。これを脱肛と言います。人間具合よく脱肛して具合よく便が出ます。排便が終わり怒責を止めると、脱肛はもとの状態に戻ります。
やはり、この際に強い怒責をすることで、脱肛状態が強くなる。さらに腹圧をかけて便を出そうとすると、相当な圧力が肛門の内外肛門括約筋などにかかると思います。
その際に、筋肉がダメージを受ける。このダメージが常に痛みがあり、立ったり座ったりする際の痛みになったり、また便意がきた時の痛みになるのかなあと思います。またそのダメージを受けた部分が座ったりしたときに痛みが出たりするのかなあと思います。
私の場合は、前後がそんな感じの症状で、特に前方が痛かったです。
1週間ぐらい経つと、痛みは軽減してきています。特に何の処置をしなくても治っていくと思います。現在も軟膏や座薬等は使っていません。
私が経験したように、頻回の下痢でそのたび強い怒責をしたり、硬い便をやっとのおもいで出したりした場合、裂肛や血栓が詰まるだけでなく、筋肉のダメージも受けるのだろうと思います。
このことに関してまた調べておきます。
自分の体に感謝!
皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
前回は動画で「癒しの旅」という題で食事に行ったお店の絵を紹介しました。
前回の地固療法が終わり、今回の自家血幹移植を行うまでの間、いつもは1週間程度の一時退院でしたが、3週間ありました。
毎回退院すると、本当に体力が落ちていて、家に帰ると2階へ行く階段を登るだけでも「ハアハア、ゼイゼイ」となってしまいます。毎回の退院時はその落ちてしまった体力をある程度元の状態に戻すように頑張っていました。
毎朝、約2時間程度のウォーキングをしたり、お風呂の掃除や洗濯、また買い物などにも行っていました。ある程度体力が戻り入院すると、また振り出しに戻ることになっていました。でもこうした退院時の体力アップがこれまでの治療を順調にしてきた要因ではないかなあと思っています。
そこで、今回の自家血幹移植に向けての入院は3週間ありました。いつも以上に体力アップができました。
一番体力が戻って来たなあと実感するのは、地下鉄の階段を登るときです。結構京都の地下鉄の階段上るのはしんどいですね。始めのうちは登りきると「ハアハア、ゼイゼイ」呼吸を整えるのに時間がかかっていました。ウォーキングのコースに地下鉄の階段を入れていたのですが、後半になると息が整うのにかかる時間が短くなってきました。
ある程度体力もアップしたので、一度心身ともに癒されようと思い、今回の温泉旅行になりました。
いつもは、まかせっきりの私ですが、今回は温泉宿を決め、言った当日の夕食と次の日のお昼ご飯を食べるお店をネットで検索して、「ここは良さそう。」と感じたお店を予約しました。
そんな経過で行ったお店が今回動画で紹介したお店でした。
外観はお洒落で、若者向きのお店なのかなあと入ってみると、こじんまりとして、とてもいい雰囲気のお店でした。料理も美味しく「当たり。」でした。私は今アルコールを一切飲んでいないのでノンアルコールで、妻はワインで乾杯。今ここにいて楽しい一時を過ごせることに感謝しました。
さて目的の体の癒しのための温泉。宿泊施設内にも温泉があるのですが、それに併設された色んな湯が楽しめる施設がありました。
1日目は縮把握施設内の温泉に、チャックインしてすぐと、夕食後、そして次の日の朝と3回入りました。やっぱり広い浴場でゆっくり温まる。本当に癒されます。
2日目は、朝から併設された温泉に行ってきました。
いろんな湯があり、五右衛門風呂などもあり、のんびりゆっくり心身ともに癒しました。
入浴しているときは、思わず自分の体に「良くここまで頑張ってくれたね。あともう一息。一緒に頑張ろう。」と声を掛けました。
悪性リンパ腫の治療、基本的に腎機能、肝機能が正常であってこその治療だと思います。また、寛解導入までの治療では、できるだけ骨髄に抑制が来ないようにするために尿量を増やして排泄を促す。腎臓が活躍してくれました。また骨髄も頑張ってくれたので、骨髄抑制もなく、最小限のダメージで終わりました。
地固療法では骨髄抑制を起こして、骨髄が回復する際に出てくる造血幹細胞を採取するため白血球や血小板もぐっと減りました。この時は骨髄が頑張ってくれて正常まで戻してくれました。
肛門科的にはやはり排便に関してです。これも酸化マグネシウムなどの助けを借りましたが、頑固な便秘等もなく、順調でした。やはり腸内細菌に感謝です。腸内の環境を整えてくれたおかげだと思っています。しっかり食物繊維を摂って善玉の腸内細菌を増やしてあげなければならないと思います。
自分の体の一つ一つの臓器ですが、それぞれが力を合わせて治療に頑張ってくれているのだと感じます。
こんなことを想いながら温泉につかっていると、汗だけでなく、涙も出てきました。
さて、9月18日日曜日の血液検査で白血球は200まで減少しました。明日20日にも血液検査を行います。おそらくさらに減少しているのではないかと思います。
今日から白血球を増やすG-CSF(顆粒球コロニー形成刺激因子製剤)の投与を始めました。早く、しっかりと造血幹細胞が生着して白血球をはじめとする血球を、どんどん造っていって欲しいです。
今週末には生着して欲しいなあと思います。