保団連代議員会に参加して感じたことー医療編ー
皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
前回、保団連の第3回代議員会での発言内容を紹介しました。
今回は、代議員会に参加して感じたことをお話ししたいと思います。
まずは、今問題になっているマイナンバーカードについてです。マイナンバーカードと保険証を紐づけたマイナ保険証のトラブルが相次ぎ、テレビやマスコミで毎日のように報道されています。そしてマイナ保険証に対しての不安や、国に対しての不信感が高まってきています。
今回は保険証廃止、マイナ保険証の問題は、医療現場でのトラブルの声、そして国民自体がトラブルを経験して、マイナ保険証の問題点を実感したことによって不安を抱き、国への不信感が募ったのだと思います。
報道されているトラブル以外にも、保険証が廃止され、マイナ保健所がなければ、保険料を払っているのに保険証が交付されない。保険料を払っているのに申請しないと保険証がもらえない。これまでは保険料を払っている被保険者には、保険者が責任をもって保険証を交付することになっています。このことは私たちの医療を受ける受療権を侵害するものです。
また、もともとマイナンバーカードは任意。保険証は保険者が交付する義務があるもの。これら任意のものと義務のものを紐づけることそのものが問題。これまでなんの問題もない保険証は廃止せずこれまで通りにして、マイナ保険証は紐づけたい人が任意で交付してもうことで十分ではないでしょうか。もしマイナ保険証で認証できなくても、保険証さえ持っていれば医療を受けることが出来ます。反対に保険証がなければ、マイナ保険証で認証されなかった場合、医療を受けられないか、10割負担を窓口で支払わなければなりません。
やはり保険証の廃止は絶対に撤回させなければなりません。
今回のマイナ保険証の問題は、医療機関だけでなく患者さん自身もその問題点を実感したということで大きな世論の盛り上がりが出てきています。でも国が進めている医療提供体制の改革、否「改悪」沢山あります。社会保障費を様々な方法で削減しようとしています。患者さんにとって影響のあることばかりです。でもなかなか医療制度に関しては解りにくい分野です。
やはり私たちは、国が進めている医療制度改革で生じる患者さんへの問題を、医療機関の現場からわかりやすく、しかも実感を持って国民に届け、理解しもらう取り組みが必要だと思います。
今回のマイナ保険証の問題は、国民にとってわかりやすい問題であったため、マスコミも取り上げたんだろうなあと思います。
これと同じことが医療だけでなく、反核平和そして安全保障についてもいえると思います。次回はそのことに関してお話ししたいと思います。
かかりつけ医機能を発揮する制度整備の評価をめぐって
皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
今日は午前中から午後の16時まで、保団連の第3回代議員会に参加し、発言してきました。去年一年間、代議員会は出席できていなく、今回久しぶりの参加、そして発言でした。
発言中に息切れしないかと心配していましたが、以後まで話すことが出来ました。と言っても1分30秒の短い時間です。でも、良かった!
私の発言は、「かかりつけ医機能を発揮する制度整備の評価をめぐって」という内容です。
今回、その発言内容を紹介します。
紹介する文章をさらに短くして、口語体にしたものを発言したのですが、少し長いバージョンを紹介します。
「かかりつけ医機能を発揮する制度整備の評価をめぐって」
「かかりつけ医機能を発揮する制度整備」を盛り込んだ「全世代型社会保障法案」が5月12日に国会で成立した。
今回の改正は財務省等がコロナ禍の開業医を批判し、イギリスのGPを念頭に「登録型のかかりつけ医制度」を提起したことに端を発するものだが、結果的にそれは実現しなかった。しかし、楽観視してはならない。
今回の「制度整備」は、小泉政権以降、国が進めている医療制度構造改革の一環である。それを抜きに、今回の内容のみ取り出して評論することはできない。
国は「都道府県別一人当たり医療費の地域差」縮減に向け、病床数・医師数のフラット化を志向し、後期高齢者医療制度創設、国保の都道府県化と並行して、お手盛りの「医療受給推計」を用いた「地域医療構想」による病床コントロールや「医師偏在指標」を用いた医師数・配置コントロールを導入してきた。そして、今回の「制度整備」により、「かかりつけ医機能報告」と外来機能報告の合わせ技による外来機能のコントロールが図られようとしているのである。
国は、医療費増加に歯止めをかけるべく、自由開業とフリーアクセスの制限を目指してきた。今回見送られた「登録型のかかりつけ医制度」も、かかりつけ医制度創設自体が目的というよりも、医師の適正配置や患者のフリーアクセス制限につなげることが可能であることからこそ提案されたものと考えられる。新自由主義改革の下での医療提供体制改革という基本的な政策の転換がなされない限り、今回の「制度整備」も今後、さらなる強権的手法導入の足場として使われることは自明である。
国会成立を前後して令和臨調が「かかりつけ医機能の認定・登録制」を提起し、財政制度等審議会の2023年5月の建議は「新規開業規制の徹底」を提案した。
今後も国は執念を持って手を変え品を変え、様々な形で策動を繰り返す。保団連が人々のための医療を守り、会員の経営と権利を守る立場からの抵抗と発信の先頭に立ち続けていただくことを心から願うものである。
このような内容を、もっと短くして発言しました。
これからも医療提供体制改革の基本的な政策転換を国に求め、社会保障の削減ではなく、充実に向かっていくよう取り組んでいきたいと思います。
渡邉医院2回目の再開から3か月が経ちました。
「脱肛」て何?ー脱肛と脱出の違いー動画
リニューアル第一弾は、「ストーリーができた。」
こんにちは。渡邉医院の渡邉です。
Kyoto-ji.jp「痔の専門家が教える痔のはなし」のホームページがリニューアルしました。
今後もいろんな痔に関しての情報や私の思いなどのブログにアップしていきたいと思います。また、「体に優しいレシピ」も私が去年入院してから休んでいますが、こちらのレシピも再開していきたいなあと思います。
さて、リニューアルして最初のブログですが、今年の3月4日に再入院してからこれまでの症状や検査結果が、「なるほど。」という思えるストーリーができました。
2回目の入院は明らかな症状が有るにもかかわらず、検査結果がどう判断していいかわからないことばかりでした。
まず、3月4日に撮影した造影MRIでは悪性リンパ腫の再発の所見はありませんでした。また、左外転神経麻痺の原因となる所見もありませんでした。
入院して最初の月曜日に行った、髄液検査でも悪性リンパ腫の再発と思われる検査結果はなく、髄液中の細胞数と蛋白が増加していたのみでした。悪性リンパ腫の再発を確定する検査結果はありませんでしたが、やはり再発が疑われるため抗がん剤の内服を開始しました。
去年入院して、寛解導入の化学療法を5クール行い、造影MRIで完全寛解。そして2クールにわたる地固め療法。さらに最終的に自家血幹移植を行って去年の10月に退院。
一応「完治」で退院して約4ヶ月。再発であるならばあまりにも早い再発。様々な検査で絵再発を確定する検査結果がない。こんなことでカンファレンスでも「再発ではないのではないか。」という意見もありました。
このように、よくわからない悶々とした気持ちで退院し、自宅での療養をしていました。
退院後の症状として、入院前から入院中はずっと鼻づまりがあり、退院頃から鼻づまりはなくなり、今度はサラサラな鼻汁が流れ出るようになったということです。また、入院前、入院中も頭痛があり、後頭部の痛みもありました。「髄液漏?ではないか。」と外来を受診した時に主治医と話したところ、主治医の先生は、髄液漏に関して詳しくないので、脳神経外科の先生に違った目で診てもらい、アドバイスをいただこうということになりました。
先日、血液内科の受診後に脳神経外科の受診をしました。
脳外科の先生とお話しして、これまでの経過が「なるほど。」というストーリーができました。
脳神経外科の先生には、まずは寛解導入の化学療法を5クール、地固め療法を2クール行った後、最終的には自家血幹移植をしたことを話しました。去年の10月に退院して、リハビリ等を行って1月から診療を再開。忙しさもあったためか、2月28日から急に複視が出現。後頭部痛や腰部の痛み、そして全身倦怠感等があり今年の3月4日に入院。造影MRIでも左外転神経麻痺の原因や悪性リンパ腫の再発の所見は認められず、髄液検査でも髄液内の細胞数や蛋白の増加を認めたが、悪性の所見は認めなかったこと。入院中は鼻詰まりが続いていたことを話しました。また退院後は鼻詰まりは解消した代わりに、サラサラした鼻汁が出ること。特にトイレで排便時に腹圧をかけると多量の鼻水が出ること、下を向いているだけでも出てくること、現在はその症状は改善していることを話しました。また、入院中には3回髄液検査をして、その影響か退院後は後頭部の頭痛が激しく1週間安静にして頭痛は改善していった等を話しました。
そしてこのサラサラの鼻汁は髄液漏が原因ではないかとお話ししました。
これらの私の話と、以前撮影した造影MRIを診ながら診断していただきました。
その結果、やはり私が感じていた髄液漏があったのではないか、これが原因で左動眼神経麻痺などの今回の一連の症状が出たのではないかと診断されました。その先生の診断に私ももやもやしたものがとれ、スッキリ感を覚えました。脳神経外科医と肛門科医。診る場所は違うが同じ外科医。お互いに感じるものが一致したといった感じです。その内容はこのようなものです。
まず、一連の治療後に髄液漏はあったのではないかということです。
去年、悪性リンパ腫の治療によって、悪性リンパ腫によってできた下垂体近傍に腫瘍は完全消失しました。ただ、そのことによって、画像ではわからないが、抗がん剤の治療によって骨に損傷ができていたのではないか。その部分からのすでに髄液漏があったのではないか。
自家血幹移植後は自宅での療養のみをしていましたが、1月以降に仕事を再開したことで、忙しさやストレスなどで、その部分の状態が悪化して、髄液の漏出が多くなった。またその時期から3月の退院後までは鼻づまりがあったため、栓をした状態になり、鼻からサラサラの鼻汁がでることなく、喉の方に流れ込んでいた。
また外転神経麻痺に関しては、髄液漏で髄液が少なることで脳が下に動き、このことで外転神経に影響を及ぼして左外転神経麻痺になったのでは。また入院中の最初の髄液検査で細胞数や蛋白数が増えていたのは、この髄液漏からの感染ではないか。
また退院後低髄圧症候群になったのは、入院中の3回の髄液検査が直接の原因ではなく、髄液漏でもともと減少したところに3回の腰椎穿刺。通常の髄液検査とは違い、もともと髄液が漏出している中での髄液検査が低髄圧症候群を引き起こした。退院前の3回目の髄液検査では、明らかに髄圧が低く、髄液の採取に時間がかかったのも理屈が通ります。
退院後は、鼻づまりが取れたことで、髄液漏がサラサラの鼻汁となって出てきた。退院後、座っているだけで後頭部の痛みが出るため、横になって安静にしていたので髄液漏が軽快してきた。また、5月の連休後、どこから感染したかわかりませんがカンピロバクタ―にる腸炎を発症し、2週間程度帰宅後は横になって安静にしていた。このことも髄液漏に対しては良い方向に働いた。
こんな感じです。
退院後の髄液検査では、髄圧も正常、髄液も容易に採取できたこと。髄液の細胞数も蛋白数も少なくなったこと。まだサラサラした鼻汁は出ているものの随分少なくなったことなど、髄液漏だったとしても随分軽快してきてるのではないかと思います。
このストーリーも本当に正しいのかの確定はできません。このストーリーは間違っているかもしれません。でもこれまでの症状や検査結果を考えると、スッと胸に落ちる感じがしました。
今後は同じようなことにならないように、もうしばらくはゆっくりのんびり、無理せずに仕事をしていこうと思います。
でも今回はスッキリしました。
今の私の状態でも十分満足。
皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
やっぱり梅雨。今日も一日雨。激しい雨になって、災害が出ないことを祈るばかりです。 ただ程よい雨は、木々の緑を鮮やかにします。渡邉医院の木々たちも生き生き輝いているように見えます。
私も4月1日から渡邉医院を再再開しました。まだまだ2カ月しかたっていませんが、前回は1か月でダウン。再入院。今回も5月のゴールデンウイーク明けに5月危機がありましたが、「また入院か?」と思いましたが、何とか乗り切ることが出来ました。私としては2か月乗り切れた!といった気持ちです。去年は入院していて夏を経験していません。病室での快適な環境の中にいました。これから訪れる夏を乗り越えたら、私の病状も安定してくるのかなあと思っています。
まだまだ体力も落ちています。地下鉄の階段を登るだけで、心臓はバコバコ。地上に上がると2~3分休んで息を整えてからの次の行動。歩道を歩いていても少し斜めになっているところがあるとバランスを崩してよろめいてしまいます。少しずつ体力アップを図っていきたいなあと思います。
悪性リンパ腫になる前の状態と比べると100分の1程度の状態なのかなあと思います。
でも日常の生活は悪性リンパ腫になる前よりとても楽しいです。
父も仕事やそれ以外のことで忙しく、頑張りすぎたためか脳梗塞で倒れてしまいました。それを見ていた私自身も、父に起きたことに関しての学習がなく、休むことなく仕事をしていました。入院の患者さんもいらっしゃるので、日曜日もなく仕事。休むのは年末年始だけという生活。かなりストレスが溜まっていたんだなあと思います。よく妻や妹に「お父さんに起きたこと、全然学習しなかったね」と。
今は、患者さんにはご迷惑をおかけしていると思いますが、完全に予約制にさせてもらって、手術日を決め、手術も縮小。土日に入院患者さんがいないように調整。週末はゆっくり休ませてもらっています。とても体力的にも精神的にも楽になりました。
いつ病状が悪くなるかわからない。そんな中、これまでできなかったこと、やりたいことを今しておかなければと思います。
悪性リンパ腫になる前は、旅行もいかずただただ仕事。子どもたちと遊びに行くこともほとんどなかったなあと思います。
今は、週末ゆっくり休ませてもらったり、いろんなところに出かけています。とても楽しい。
体調や体力的にはまだまだです。でも随分縮小しましたが、仕事もできている。ある程度自分で自分のことが出来ている。自分がやりたいこともある程度できる。今までできなかったことが出来ている。今の私の状態でも十分満足しています。悪意性リンパ腫、スッキリ治って欲しいです。でも今の状態がずっと続いてくれるなら、このままでも本当に楽しく、いいかなあと思っています。
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財政制度等審議会建議「歴史的転機における財政」に対して
こんにちは。渡邉医院の渡邉です。
財務省が財政制度等審議会建議「歴史的転機における財政」を出しました。
これに対しての談話を出しました。紹介します。
【談話】
財政制度等審議会建議「歴史的転機における財政」について
2023 年5月 29 日に財政制度等審議会が示した建議「歴史的転機における財政」は、
新型コロナウイルス感染症の拡大によって疲弊した医療・社会保障領域におけるサービスの担い手と患者・市民をさらに痛めつけるよう政府に進言する重大な内容である。
建議は「基本認識」において、地球環境問題、国際平和秩序の危機とグローバルな経済・金融環境の変化を引き、日本が経済成長力の低下や人口減少・少子高齢化等の危機に陥っていると危惧。「危機に際して機動的に財政を運営するためには、平時にこそ財政を健全化することが不可欠であり、コロナ対策により一層低下した財政余力の回復が急務」とした。その上で、山積する社会課題の解決に向けては「規制改革などの他の施策と相まって」「民間の活力を引き出すことが重要」「産業構造の転換と労働市場の流動化を図ること等により生産性を高める」とし、「民間主導の経済成長に向けた環境整備を行うことが、政府の役割である」と断じている。さらに5年間で 43 兆円もの「防衛力整備」は当然視し、その実施のための経済・金融・財政の基盤強化に不断に取り組むことが必要としている。
以上のような「認識」が新たに示されたことは、少なくとも財務省は 1990 年代以降、固執し続けている新自由主義改革路線以外に、困難に直面し、閉塞した社会状況の打開策を何ら構想できない状態に陥っていることを表すものである。
新自由主義改革は、巨大企業の活動を拘束するあらゆる規制を除去し、市場と競争が野放図に展開される社会・政治体制の構築を企むものである。日本は皆保険体制によって高い質の医療を人々が等しく保障されることを目指し、世界的な長寿を達成したにもかかわらず、改革によって雇用はじめ人々を守る社会制度が破壊され、医療・社会保障制度が後退し、子どもを産み育てる希望すら抱けない国になってしまった。
建議の謳う GX・DX は、従来政策の誤りがもたらした社会・財政危機を今また新自由主義的政策で乗り越えようとする無理筋なものである。「少子化対策」の財源に社会保障歳出改革の徹底や新たな負担を求める自己矛盾に陥り、公的に保障してきたサービ
スを市場へ委ね、企業利益を増大させる以外、何ら方策を打ち出せない姿に怒りを禁じえない。
コロナ禍が露呈させた公衆衛生・医療提供体制の脆弱性は、従来の政策の誤りと破綻を何よりも証明するものであるにもかかわらず、2024 年の同時改定での報酬引き上げを否定し、相も変わらず地域医療構想の推進を説き、介護保険制度の解体的見直しを求め、果ては医療における自由開業を否定し「新規開業規制」の徹底を求めており、言語同断である。
今日の状況を真に「歴史的転機」とするには、痛めつけられた人々の生活に寄り添い、雇用・経営を守り、医療・福祉を公的に保障する仕組みの再構築こそ必要である。
このことを私たちは強く指摘し、建議に対する強い抗議の意思を表するものである。
2023 年6月8日
京都府保険医協会
副理事長 渡邉賢治