内痔核に対して輪ゴム結紮法は万能な治療方法か?
輪ゴム結紮法はどんな内痔核(いぼ痔)でも治すことができる万能の治療方法でしょうか?
その答えは「違う!」です。
輪ゴム結紮法による治療は、万能ではありません。適応を間違えて輪ゴム結紮法を行うと、内痔核が治らないばかりか、輪ゴムをかけた外側の部分が腫れあがり、痛みが強くなったり、輪ゴムが脱落した後に潰瘍を形成して、そこが裂肛(切れ痔)様になって、排便時の痛みがあったり、その痛みが原因で、肛門の緊張がつよくなり、慢性の裂肛となり、裂肛に対しての手術等が必要になってきます。
輪ゴム結紮法の適応となる内痔核は限定されています。治療しなければならない内痔核が輪ゴム結紮による治療が最適なのかをしっかり診断しなければなりません。
まず、輪ゴム結紮法の適応となる肛門の病気は内痔核です。
肛門の外側から約2~3㎝ほど皮膚の部分があります。この部分を肛門上皮と言います。その奥が直腸です。内痔核はこの約2~3㎝奥の直腸になった部分にできます。この内痔核の程度は四段階に分かれています。
まずは、排便時に出血したり違和感はあるものの、排便時に内痔核が脱出してこない(出てこない)程度の内痔核を第Ⅰ度の内痔核です。
次に排便時に脱出してくるが、自然に戻る程度の内痔核を第Ⅱ度の内痔核といいます。
さらに悪化すると、排便時に脱出して、自然には戻らず押し込まなければならない程度の内痔核を第Ⅲ度の内痔核。
一番具合が悪いのが第Ⅳ度の内痔核で、常に内痔核が脱出していて押し込むことができない程度の内痔核です。
内痔核だけですと、この間痛みはありません。内痔核以外のことが加わると痛みが出てきます。例えば裂肛(切れ痔)が合併したり、血栓(血豆)が詰まったりすると痛みが出てきます。
輪ゴム結紮の適応は第Ⅱ度以上の内痔核になります。排便時に内痔核が外に出てくるという症状があって初めて輪ゴム結紮の適応になります。でも先ほどお話したように、第Ⅱ度以上の内痔核すべてが輪ゴム結紮で治るわけではありません。
内痔核と言っても様々な性状を持っています。直腸の粘膜の部分だけにできる内痔核。肛門上皮の部分にできる痔核を外痔核と言いますが、内痔核だけでなく、肛門上皮の部分の腫脹がある外痔核を伴った内痔核。その外痔核部分が少ないものもあれば、外痔核部分が大きい内痔核もあります。
ただただ第Ⅱ度以上の内痔核といっても患者さん一人一人、内痔核の性状は全く違います。
輪ゴム結紮法の適応となるのは、粘膜の部分主張が主な内痔核です。肛門上皮の部分、外痔核部分が多い内痔核に対しては、適応となりません。もし、こういった内痔核に輪ゴム結紮法を行うと、肛門上皮の部分に輪ゴムがかかり、輪ゴムをかけた瞬間から強い痛みが出てきます。それでも痛みを我慢して治る場合もありますが、場合によっては、輪ゴムをかけた外側が腫れあがったり、輪ゴムが脱落(取れる)した際に、肛門上皮に潰瘍ができ、深い裂肛(切れ痔)様になり、排便時の痛みが続き、そのことが原因で、肛門の緊張が強くなって、裂肛の手術を行わなければならなくなることもあります。
ですから、輪ゴム結紮法を行う場合は、本当に患者さんの内痔核が輪ゴム結紮の適応となるかどうかをしっかりと診断し、判断しなければなりません。したがって、内痔核の状態、性状の的確に見極める診断が必要です。
安易に輪ゴム結紮法を行うと様々なトラブルを招く可能性があります。また、輪ゴム結紮法も内痔核の根元に輪ゴムをかけるので、輪ゴムが脱落した際に、内痔核の根部の動脈からの出血がおき、出血を止める止血術が必要となる可能性もあります。
輪ゴム結紮法の適応をしっかり見極め、適切に輪ゴム結紮法を行う必要があります。
輪ゴム結紮法について紹介していますので、そちらも参考にしてください。
適切な診断と適切な治療方法の選択が重要。
肛門の病気を治す際に、一番重要なことは、適切に肛門の病気が」診断できているかです。適切な診断なしでは、治療することはできません。適切な診断があってこそ、次の治療へとつないでいくことができます。
例えば内痔核(いぼ痔)についてお話しします。
患者さんの症状としての訴えは、「排便時に出血した。」「排便時に、いぼ痔が出てきて押し込んでいる。」「いぼ痔が出たままになっている。」「排便後も便が残ったような違和感がある。」「なにかいつも肛門にものが挟まったような違和感がある。」「痛みがある。」「肛門がいつもジクジクしたかんじがある。」「出血はしないが、粘液のようなものがでてくる。」などなど様々な症状を訴えられます。
内痔核の診断において、大きく二点について注目します。
まず一つ目は、排便時の出血です。内痔核は痛みの感じない部分にできます。したがって出血も排便時に痛みなく出血を認めます。出血の量は、拭いたらつく程度の出血から、排便時に飛び散るような出血など、内痔核の程度で出血の具合は変わってきます。でも、裂肛(切れ痔)などの内痔核以外の病気がなく、内痔核だけの場合は、排便時に痛みなく出血します。
もう一つは、排便時に内痔核が脱出する(出てくる)かどうかということです。
出血だけの場合は、出血の程度がよっぽどひどい場合を除いては、手術による治療にはなりません。手術をするかどうかを決める目安が、排便時に内痔核が脱出してくるかどうか。また脱出した内痔核が、自然に戻るのか、押し込まなければ戻らないのか、さらに押し込むことができないのか。この排便時の内痔核の脱出の有無、程度が手術をするかどうかを決める、重要なポインとになってきます。
排便時に内痔核が脱出してこなければ(第Ⅰ度の内痔核)、手術による治療の必要はありません。軟膏や座薬などの外用薬による治療や、出血が多かったり、外用薬で症状がとれなかったりした場合は、パオスクレーという痔核硬化剤による痔核硬化療法で治療します。
排便時に内痔核が脱出するも自然に戻る程度の内痔核(第Ⅱ度の内痔核)の場合は、外用薬だけでは十分に症状がとれません。この場合は、痔核硬化療法や内痔核の性状によっては、輪ゴム結紮法を行います。
排便時に内痔核が脱出して、押し込まなければならない程度の内痔核(第Ⅲ度の内痔核)の場合は、痔核根治術やジオンという痔核硬化剤を使っての四段階注射法での痔核硬化療法を行います。内痔核の大きさや、性状によっては輪ゴム結紮法で治すこともできます。
脱出したままになっている内痔核(第Ⅳ度の内痔核)の場合も第Ⅲ度の内痔核と同様に、痔核根治術、四段階注射法による痔核硬化療法、場合によっては輪ゴム結紮法などで治療していきます。
手術が必要な内痔核に対してどんな内痔核でも治療できるオールマイティーな治療方法は痔核根治術です。
ジオンによる四段階注射法による痔核硬化療法や輪ゴム結紮法はいずれも万能な治療方法ではありません。適応を間違えると、内痔核が治らないばかりか、症状が悪化してしまうことがあります。
しっかり内痔核の状態、性状を診断して、その内痔核に対してどのような治療法が最適な治療法なのかを決めていかなければなりません。
そのためには、内痔核に対してのさまざまな治療法を修得していなければなりませんし、最低限、どんな内痔核も治療できるオールマイティーな手術法である痔核根治術はできるようにならなければなりません。
「きんぴらごぼうトースト」のレシピを紹介します。
今日は、本当に暑かったですね。もう夏という感じです。寒かったり急に暑くなったり、体調の管理が大変ですね。
ゴールデンウイーク。ずいぶん前のような気がして、私にとって5月は、結構長く感じます。皆さんはどうでしょうか。
さて今回は、「きんぴらごぼうトースト」のレシピを紹介します。
「きんぴらごぼう」というと、ご飯と一緒に食べると美味しいですよね。私は、鷹の爪を入れて、ちょっとピリ辛のきんぴらごぼうが好きです。
私の家では、きんぴらごぼうが余ったとき、きんぴらごぼうを具に、春巻きを作って食べたりしています。きんぴらごぼうの春巻きも美味しく、ご飯がすすみますよ。
さて今回は、きんぴらごぼうはパンとあうということで、「きんぴらごぼうトースト」です。
簡単にできそうなので、試してみて下さいね。
「きんぴらごぼうトースト」
材料(1人分) 1人分 349kcal 食物繊維3.1g 食パン(5枚切り) 1枚
「管理栄養士さんからの一言。」 ご飯のお供は、パンのお供!? ご飯のお供と言えば、きんぴらごぼうやじゃこ、明太子などがありますが、これらはパンとの相性も抜群です!
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今日は、母の日でした。
今日は、「母の日」でした。皆さんは、どうお過ごしでしたか?
私は、入院の患者さんの診察が終わって、花を買って母のいる実家へ。
一緒に食事をした後、母が昔書いたエッセイを見せてくれました。私が30歳のころに書いたエッセイです。
今日の「母の日」に、母からもらったプレゼントでした。
「スミレの便り」
忘れられない日。それは息子が高校一年の秋、左膝に障害を持つ様になった日。
杖を手に通学するのを送り迎えして二学期を終え、新しい年を迎えた診療日、
「一生、その足を背負っていくのだな」
と医者の言葉に黙ってしまった息子は、家に帰るなり、
「使えない足なら、切ってしまえ」
と、火のついているストーブをけり倒し、自室にこもってしまった。
スポーツ、スポーツ、スポーツの子が。
雪の舞う休日、嵐山にボートを漕ぎに連れ出したのは父親。父子のボート漕ぎは、
それからの我家の休日行事となった。
日射しも少しずつやわらいで来た日、
「お母さん、プレゼント」
嵐山の川上の岩影に、一株咲いていたスミレを、舟を寄せて取って来たとか。
その夜、夕食のかたづけをする母の背に、
「僕、ぐれないからね。心配しなくていいよ」
その息子も今年三十歳。春浅い日に、東京から静岡の裾野市に転勤となり、就任地の様子を知らせる電話が入った。
カーテンを開けると目の前に富士山。宿舎から職場まで歩いて四、五分。
道の両側は畑が広がって、と田舎の景色がえがかれる。
「元気でね」
と、離しかけた受話器のむこうから、
「お母さん、スミレが咲いていたよ。」
「アジの南蛮漬け」のレシピを紹介します。
ゴールデンウイークも終わって、日常の生活、仕事に戻って疲れは出ていませんか?楽しいゴールデンウイークでしたか?
今回は「アジの南蛮漬け」のレシピを紹介します。
アジと聞いてすぐに頭に浮かんだのは、アジフライでした。サクッと揚がったアジフライ。ご飯が進みますよね。
今回の「アジの南蛮漬け」に使うお酢にはクエン酸という成分が含まれています。このクエン酸という成分は、疲労の素を分解し、疲れが溜まるのを防いでくれるそうです。
ゴールデンウイークが終わっての1週間の疲れ、これから暑くなるようですが、暑さにばてないように、「アジの南蛮漬け」をためしてみて下さいね。
「アジの南蛮漬け」
材料(4人分)1人分 173kcal 食物繊維1.3g アジ(三枚おろし) 2尾
管理栄養士さんからの一言 ○●疲れの素に効く!お酢のパワー●○ お酢のクエン酸という成分は、疲労の素を分解し、 |
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ゴールデンウイークも後半ですね。
早いもので、ゴールデンウイークも今日を入れてあと2日。後半になってきました。まずまずのお天気。今日は特に行楽日和ですね。皆さんはどうお過ごしですか?
私は、入院な患者さんもいらっしゃるので、ゴールデンウイーク中も診療所に来ています。
さて、アイキャッチ画像と言って、投稿の記事の題名と一緒に載っている写真ですが、今使っている花の写真は最近母と一緒に京都の北区にある植物園に行ったときに撮ってきた写真を使っています。
何年かぶりに植物園に行ったのですが、とてもよかったです。母はもうすぐ84歳で、入場は無料。私も200円で入園できます。
4月8日に行ったときは、まだ少し桜の花が残っていたのと、チューリップが満開でした。様々な種類のちチューリップが色とりどりに咲いていました。
母も楽しかったようで、もう一度行こうということで、 4月29日にも行ってきました。前回は時間が遅かったこともあって、温室に入れなかったので、この時はまず温室に行ってきました。少し暑かったですが、珍しい花などが咲いていました。この青い花も温室に咲いていました。淡い青色。優しさを感じました。
まだバラ園のバラは少しだけ咲いていましたが、たくさんの蕾がついていました。そろそろ咲いているころではないかと思います。白色のモッコウバラは、ほぼ満開でした。
母は、小さな子供が好きで、子供たちに会うたびに声をかけて、楽しそうに、そして嬉しそうに、本当に素敵な笑顔を浮かべていました。
私もそんな母の笑顔が大好きです。いつまでも母の素敵な笑顔を見続けられる社会になって欲しい、そんな社会にしていかなければならないと思います。そして全ての人たちが、心の底から思いっきり笑えて、素敵な笑顔になれる社会にしていかなければと感じました。
母が教えてくれた素敵な言葉。
「一人で見る夢は夢でしかない。みんなで見る夢は現実になる。」
その言葉がふと、思い浮かびました。
ゴールデンウイーク。楽しいひと時をお過ごしくださいね。
「サツマイモのチーズケーキ」のレシピを紹介します。
今回は、久しぶりにスイーツのレシピを紹介します。
サツマイモのスイーツというと、今、一番最初に頭に浮かんだのが、スウィートポテトです。
以前、デパートの催事場で開催された大北海道展で、1個500gもある巨大なスウィートポテトをかって食べたことがあります。美味しかったですよ。
二番目に浮かんだのは、石焼き芋です。寒い時期、「石焼~芋~」と軽トラックで売りに来ますよね。ホクホクのアツアツの石焼き芋。美味しいですよね。
サツマイモも便秘に良いです。皮と実の間に便を良くする成分があるので、皮ごと調理して食べるのが便秘には良いです。
さて今回は「サツマイモのチーズケーキ」のレシピを紹介します。
「サツマイモのチーズケーキ」
材料(パウンド型1台分)1台 968kcal 食物繊維5.3g サツマイモ 中1本(300g) |
下準備 ●パウンド型にオーブンシートを敷いておく。 作り方 ① サツマイモは厚めに皮をむいて5ミリ幅にスライスする。水にさらしてアク抜きをしたら、電子レンジ(600W)で5分程加熱し、なめらかになるまでつぶす。 |
★冷蔵庫で一晩冷やすと、しっとりとして美味しいです♪
緩下剤の飲み方Part3
今回は、塩類下剤の酸化マグネシウムと大腸刺激性下剤のセンナの違いについてお話ししたいと思います。
よく「下剤はくせになる。」「なるべく飲まない方がいい。」「下剤をのむとお腹が痛くなる。」など、下剤はあまり飲まない方がいいと思っている人がいます。このように、「下剤はくせになる。」下剤はセンナやアロエ、大黄などの大腸を刺激する下剤でこのような症状が出ることがあります。
ただ、こういった大腸刺激する下剤がまったく飲んではだめだということではありません。症状や場合によってはとても有効な場合もあります。
ここで大切になってくることは「便秘とは?」です。いつもは毎日気持ちよく便が出ていたのに、たまたま便がでなくてつらい。例えば、いつもは毎日便がスッキリ出るのに、旅行に行ったり、環境が変わったりしたときにたまたま便が出なくなった。
こういった状況では、便秘であっても一過性の便秘で、便秘症という病気ではありません。こういった場合は、大腸を刺激する下剤を飲んで、一度スッキリ出してしまえば、次からはいつもと同じように気持ちよく便が出るようになります。
これに対して、いつもスッキリ便がでない。毎日便はでるがスッキリせずにいつもお腹が張ったような不快感がある。こういった場合は便秘症という病気です。こういった場合は大腸を刺激する下剤を飲んでいると、段々その刺激になれていき、下剤の量が増えていってしまいます。下剤の量が増えるということは、便秘が頑固な便秘になるということです。 一過性の便秘なのか、便秘症という病気なのかで治し方が違ってきます。全く違う状態なので、同じ治し方ではいけません。
さて下剤の目的は、どんな種類の下剤でも、便のなかにお水を補うことが目的です。その便の中に十分に水分を残す方法が下剤の種類によって違ってきます。便は大腸の一番最初の部分ではどんなに硬い便が出る人でもどろどろの下痢状の便です。飲んだり食べたりして摂った水分は、まずは大腸に来ます。大腸を通過していくうちに、大腸の粘膜から水分が吸収されて硬くなっていきます。
大腸を刺激する下剤は、大腸を刺激して、大腸の動きを激しくして、大腸の粘膜から水分が吸収される時間を短くして便を柔らかくする下剤です。ですから、大腸が激しく動くことでお腹が痛くなったり、下痢をしたりします。「飲んだら下痢なって、お腹も痛くなる。」はこのことが原因です。ですから、この刺激にだんだん慣れてきて、1錠ではでなくなり2錠、3錠へと増えていってしまいます。便秘が頑固な便秘になるということです。
一過性の便秘で、その時だけ大腸を刺激する下剤を飲んで、一度スッキリ便を出すといった場合に飲むには大腸刺激性の下剤でいいと思います。また、胃の検査でバリュウムを飲んだ場合、バリュウムを早く出してしまわないと固まってしまうので、こういった場合も大腸刺激性の下剤を飲んで出してしまうことはいいと思います。
さて、便秘症という病気の際は、塩類下剤の酸化マグネシウムをまず飲んでみることがいいと思います。 酸化マグネシウムは便の中に十分に水分を残すことしかしません。便の中に程よく水分を含ませることで、便が柔らかくなり、量を増やすことができます。このことで、具合よく便を出すことができます。大腸を刺激して動かす下剤ではありまえんので、お腹が痛くなったり。くせになったりしません。
酸化マグネシウムを飲むことで、具合よく便が出る場合は、便のもとになる食物繊維は十分にとっていて、大腸も具合よく動いていて、ただただ便のなかに水分を補うことで具合よく便がでるということです。ですから、酸化マグネシウムを飲みながら十分な水分を摂ることができるようになれば、便秘は治っていくということです。便秘症という病気の場合は、まずは酸化マグネシウムから始めていくのがいいと思います。
さて、下剤の飲み方で大切なことは、一過性の便秘の時は、その時だけ下剤を飲んで、一回スッキリ便を出してしまえば、その後は具合よく便がでるので、毎日下剤を飲むことはありません。
それに対して便秘症という病気の場合は、具合よく便が出ていても毎日下剤を飲んで便秘を治して行く必要があります。便がでないから下剤を飲んで出す。また便が出ないから飲んで出す。と言ったように飲んだりのまなかったりすると、本当に便が出なくなったら、下剤を飲んでも出なくなってしまいます。先ほどもお話ししたように、どんな下剤も便の中に水分を残して、便が柔らかくなるようにするのが下剤です。一端硬くなってしまった便を下剤を飲んで柔らかくすることはできません。一端硬くなった便を柔らかくする下剤はありません。下剤はあくまでも硬くならないように柔らかくするお薬です。
ですから具合よく便が出てる間はしっかり飲んで便秘を治していく必要があります。毎日飲んでいて、便が緩く、下痢状になってきたときに、便秘が治ってきたということで少しづつ下剤を減らしていくことが大切です。
緩下剤の飲み方Part2
前回、緩下剤の種類に関してお話ししました。今回は渡邉医院での緩下剤での便秘の治療に関してお話しします。 便が硬くてコロコロの便が出る人は、便の中に含まれる水分が足らないということなので、まずは酸化マグネシウムを飲んでもらっています。
酸化マグネシウムは、便の中に水分を含ませてくれることでけをする緩下剤です。おなかを刺激して出す下剤ではないので、お腹が痛くなったり、くせになったりはしません。酸化マグネシウムで具合よく便が出る人は、便のもとになる繊維は十分にとっていて、大腸はちゃんと動いていて、ただ便のなかにいく水分の量が少ないということです。したがって酸化マグネシウムで気持ち良く便が出る人は、十分に水分を摂ることで、便秘が治っていくということです。ただ、便秘の程度で酸化マグネシウムを飲む量は違ってきます。便秘の人が、みんな同じ量の酸化マグネシウムを飲んで、みんながみんな同じように便秘が治っていくということはありません。1日に何g飲んだら具合よく出るかを見つけてそれを続け、具合よく便が出るようにして、さらに水分を摂っていくことで便秘は治っていきます。例えば1日に3g飲んで具合よく出る人がいたとします。便に行くお水が10あって柔らかいとします。便に行くお水が7で、3足らないから便が硬い。3足らない分を3gが補って7+3=10で柔らかく、具合よく便が出ます。十分水分を摂ることができ、便に行くお水が8になったとします。そうすると、8+3=11で水分が多くなって下痢になります。そうしたら酸化マグネシウムの量を減らし、2gにすることで、8+2=10で柔らかくなります。そういったことを繰り返していくことで、便に行くお水が10になれば、酸化マグネシウムを飲まなくてすむようになって、便秘が治ったということです。
でも酸化マグネシウムでは便は柔らかくなるが、1日も少しづつ何回も出るという人がいます。この人は、便の量が少ないことが原因であることがあります。こういった場合は、コロネルやポリフルを飲んでもらいます。ポリフルやコロネルは言ってみれば合成の食物繊維と考えてもらえばいいと思います。食物繊維を補い、そこに水分が十分に行くことで、量のある良い便になって、便が具合よく出るようになります。この場合は、海藻類やきのこ類など、食物繊維をとることで、具合よく出るようになります。
こういった具合に、便の量を増やして、程よく水分を補うことで、便そのものが大腸を刺激して、大腸の動きをよくしてくれますが、それでも大腸の動きが悪くて便が出にくいという場合は、蠕動をよくするガナトンやガスモチン。また大腸を刺激するラキソベロンなどの大腸刺激性の下剤を内服してもらっています。
なかなか食事や水分をとるといったことでは、気持ちよく便が出ないことが多いです。まずはお薬の力をかりて、気持ちよく便が出るようにしながら、水分や食物繊維をとってお薬を減らしていけばいいと思います。
どうしても便秘を治す際にあせってしまう方が多いです。便が出ないということに焦る。また下剤を飲み始めると、早く下剤を飲まないようにしなければと焦ってします。便秘は焦らずじっくり治す気持ちで治していくと、意外と早く治っていきます。焦りは禁物です。
緩下剤の飲み方Part1
これまで、快便のの秘訣に関して4回にわけてお話ししてきました。今回からは、便秘に対して緩下剤の内服の仕方に関してお話ししていきたいと思います。
快便になるには、1)便の中に十分な水分が含まれること。2)便のもとになる食物繊維をとり、便の量を増やすこと。3)大腸が具合よく動くこと。この三つが必要であることをお話ししました。
水分では、便の中の水分量が70%だとコロコロのカチカチ。90%で下痢。一日に約2L の水分が体の外に出てしまうので、最低限1日に2Lの水分を取る必要があります。
便の量では、食物繊維は1日に25g程度を摂りたいです。また大腸の動きは、便の量が増えることで、便そのものが大腸を刺激して動かしてくれます。
今回はそのそれぞれに対応する緩下剤などをお話しします。 まずは、水分に関してです。1日に汗とか尿とか便などによって約2Lの水分が体の外に出ていきます。したがって、1日に最低2L以上の水分を摂ることが必要です。ただ、2Lお水を飲むのではなく、食事の中にも水分が含まれています。ご飯が美味しく食べれるだけで、1日の1~1.5Lの水分を摂ることができます。ですから、食事以外で1L 程度の水分を摂ることが必要になります。
さて、この便の中に水分を補ってくれるお薬が、酸化マグネシウムです。お薬の名前としては、酸化マグネシウム、カマグ、マグミット、マグラックスなどがあります。粉のお薬だったり、錠剤だったりします。粉のお薬でしたら、一袋に入っている酸化マグネシウムの量が違っていたり、錠剤でも1錠に含まれている量が違います。1日に何グラム飲んだら具合よくでるかを調整する必要があります。
ただ、大腸を刺激する下剤ではないので、お腹が痛くなったり、くせになったりしません。
次に便の量を増やすには、食物繊維を摂ることが大切です。1日にとる食物繊維の量は約25gと言われています。なかなか自分では1日何gの食物繊維を摂っているかわかりません。最近では、柔らかくて消化の良いものが多く、1日に10g程度になっている方もいるようです。生野菜は量があっても繊維の量としては多く摂れません。海藻類やきのこ類などが便の量を増やしてくれます。この便の量を増やすお薬が、ポリフルやコロネルです。これらのお薬は、飲むと体に吸収することなく、便として出てくるだけです。お薬を飲んで便として出てくるまでにポリフルやコロネルは水分を吸収して、コロコロの便の人は水分を吸収して柔らかく量のある便にしてくれます。反対に下痢の人は、下痢のの方の水分を吸収して柔らかく形のある便にしてくれます。したがって便秘の人も下痢の人もどちらの人にも効くというお薬です。似たようなものに、寒天があります。寒天も水分を吸収して便の量を増やしてくれます。
最後に大腸の動きを良くすることに関してです。大腸の動きを良くするには、便の量を増やすことが一番ですが、大腸の蠕動を良くするお薬に、ガナトンやガスモチンがあります。
よく「下剤はくせになる。」と言われますが、この下剤はセンナなどの大腸を刺激して出す下剤です。大腸を刺激する下剤は、刺激になれ、段々下剤の量が増えていってしまうことがあります。1錠が2錠、2錠が3錠へと。このことは便秘が頑固な便秘になってしまうということです。
こういったセンナ、アロエ、大黄などの大腸を刺激する下剤は、「便秘を治す。」というよりは、「便を出す。」のが目的です、ですからこういった下剤を飲むと、お腹が痛くなったり下痢することもあります。こういった下剤は、便秘という病気を治す下剤ではなく、便を出すための下剤だと思ってください。次回はこういった下剤の飲み方などについてお話ししたいと思います。