第73回日本大腸肛門病学会総会を終えて。Part2。
前回、「第73回日本大腸肛門病学会総会を終えて。」で痔瘻に関して今後の検討課題等についてお話しました。今回は、裂肛に関して感じたことをお話します。
やはり、裂肛に関してはまずは保存的治療が第1選択です。特に排便の状態をよくすることが、裂肛の治療に対して大切な治療であることは、だれも疑うことのない一致した意見です。そのうえで裂肛に対して手術治療を行う。
この考えは基本的な考えです。排便の調整、便秘下痢等を改善させる。そして痛みによって強くなった内肛門括約筋の緊張を軟膏等で保存的に治していく。このことで多くの裂肛で悩んでられる患者さんは治っていきます。
そこで、問題となる課題が、いつ裂肛が治癒したと判断するかです。例えば手術した際は、手術創が治って、痛みがなくなった時を一応治癒と判断しています。ただ、ここで難しいところは、「転んでも怪我しないように傷を治すことが出来ない。」と同じで、裂肛の根治術をしても、どうしても硬い便が出たり、頻回の下痢をした時は、どうしても傷がつきます。裂肛になるということです。ただ、裂肛の根治術をしているので、肛門の緊張はとれ、治り難い原因である皮垂や肛門ポリープも治しているので、次の便を柔らかく具合よく出ることで自然に治っていきます。肛門をもとの状態に戻したということでは、治癒したと考えていいと思います。
しかし、今日来られた患者さんの質問で、難しい質問を受けました。「私はこれまで、何回か切れたり治ったりしているのですが、これは、私が慢性裂肛になってしまったということでしょうか?」という質問です。この答えはなかなか難しいと思います。患者さんにとっては、切れたり治ったりを何年も繰り返しているので、私は慢性の裂肛になってしまったと心配される。このことはとてもよくわかる心配です。なかなか難しい!!慢性裂肛になると、常に深く潰瘍状になった裂肛が存在して、さらに裂肛を繰り返すことで皮垂や肛門ポリープを併発しています。また、内肛門括約筋の緊張も強く、硬い便がでたり、下痢だけでなく、柔らかくて形のある便で、通常なら裂肛とならないような便でも痛みが出る。また症状としては、排便時の肛門の痛みだけでなく、排便後も痛みが持続して、その持続時間が長くなっていく。こういった状態になった裂肛を慢性裂肛と言います。したがって、排便の調整や肛門のの緊張をとるように軟膏を使っていても症状は軽快せず、手術の適応となる裂肛を私たちは慢性裂肛います。でも患者さんは、ここまで悪くならなくても、何年も切れたり治ったりを繰り返すことで、自分は慢性裂肛になってしまったと思ってしまう。よくわかります。そこで問題となるのが、「いつ裂肛が治癒したと判断するか。」です。少し詭弁になってしまいますが、「転んでけがをする。でも自然に治っていく。また転んだら怪我をする。これを何年も繰り返していたら、慢性の傷というでしょうか。慢性の裂肛では、いくら具合よく便が出ても痛みがあり、深く潰瘍状になった裂肛が常にある状態です。排便時に痛みがないという時は裂肛は治っているということですよ。」とお答えしています。何度も繰り返しになりますが、裂肛の治癒判断は難しいです。
やはり最終的には便の調整をして、排便時に切れないように、裂肛にならないようにしていくことが裂肛の治療や際はと防止に一番大切なことだと思います。
第73回日本大腸肛門病学会総会を終えて。
第73回日本大腸肛門病学会総会が先週の金曜日、土曜日の二日間にわたって東京の新宿で開催されました。
今回も発表してきましたが、その内容はすでに紹介しましたのでご覧ください。発表以外にも様々な講演や発表を聞いてきました。そこで今後さらに検討しなければならないなと感じたことをいくつか紹介したいと思います。
まずは、痔瘻に関してです。今回も多くの先生が痔瘻に対しての手術方法などのビデオなどを通じて、手術の際の工夫などを報告されていました。その中で手術方法ではないのですが、痔瘻について興味をひかれたのが、痔瘻の発生部位と最大肛門静止圧の関係でした。
最大肛門静止圧は内肛門括約筋の緊張の度合いを知るのに役に立つもので、最大肛門静止圧が高いと、内肛門括約筋の緊張が強く、反対に最大肛門静止圧が低いと、内肛門括約筋の緊張が弱いことを意味します。発表された内容では、後方の痔瘻の場合は最大肛門静止圧が高い、すなわち内肛門括約筋の緊張が強く、反対に、前方、側方の痔瘻では、後方と比較して最大肛門静止圧が低い、すなわち内肛門括約筋の緊張が後方より弱いというものでした。
渡邉医院で痔瘻の手術前の最大肛門静止圧を測定した内容を学会で発表しましたが、基本的に、痔瘻の患者さんの最大肛門静止圧は内痔核術前の患者さんの最大肛門静止圧より高く、内肛門括約筋の緊張が強い傾向にありました。若い男性に多かったり、女性と比較して男性に痔瘻の発生が多いのも、この最大肛門静止圧が若い男性で高い傾向があることが原因と考えています。ただ、中には最大肛門静止圧が高くなく痔瘻を発生している患者さんもいました。ただ、そういった場合も肛門の広がりが悪い、緊張は強くないが狭い印象がある。そんな患者さんも痔瘻の患者さんの中にはおられます。痔瘻の慢性炎症で、括約筋の緊張が強くなくても狭くなるのか、それとも括約筋の緊張が強くなくても肛門が狭い印象にある患者さんに痔瘻も発生するのか。検討する必要があります。
まずはこれまで痔瘻の手術前に最大肛門静止圧を測定した患者さんのデータを後方、前方、側方で最大肛門静止圧に関して差があるのかどうかを検討してみたいと思います。最大肛門静止圧が高かったり、肛門が狭いことが痔瘻の原因であるならば、痔瘻の手術をする際に、内肛門括約筋の緊張をとり、正常にしたり、肛門が狭いのであれば、適切な広がりを持つように手術の際にすることが必要になると思います。
また、痔瘻に関しては、術後に創傷治癒が遷延する、治り難くなることがあります。すんなり治ることが多いのですが、場合によっては、不良肉芽ができ、傷の治りが遅れることがあります。今はそうなってしまった患者さん対しては治り難くなった傷に硝酸銀の水溶液を塗布して治癒を促しています。今回の特別企画の中で、「創傷治癒学からのメッセージ」という講演の中で、傷の治りが遅れる原因の中に傷の感染を指摘されていました。どうしても傷に感染を起こすと、治りが遅れてしまいます。痔瘻の手術など、肛門の手術は、どうしても便が通るところです。感染がおこらないように十分なドレナージを作ったりして、傷の治りをよくしようとするのですが、感染を起こすこともあるのかなと思います。痔瘻の手術後感染を起こすことも治癒の遷延を招くとするならば、感染を起こした場合の対処方法は?です。この講演では、感染を疑った場合にはヨウ素含有の軟膏の塗布が有効だというお話でした。痔瘻の術後遷延している場合には、このヨウ素含有の軟膏を使ってみることも有効なのかなと考えます。ただ、ヨウ素含有の軟膏の欠点は少し刺激があり、しみるという点だそうで、この点が痔瘻根治術後に使ってどうか?このことも検討して今なければならないなと思います。
「血栓性外痔核926例と皮垂1784例の 発生部位に関しての類似点と相違点の検討」第73回日本大腸肛門病学会総会
11月9日、10日の二日間にかけて、東京の新宿で第73回日本大腸肛門病学会が開催されました。
この二日間、渡邉医院を休診にさせていただいて、発表してきました。9日の金曜日の午前中の発表でしたので、8日の木曜日の夜に東京に行ってきました。
今回の発表内容は、「血栓性外痔核926例と皮垂1784例の発生部位に関しての類似点と相違点の検討」という演題名で発表してきました。以前、学会で血栓性外痔核や皮垂に関して報告してきましたが、その時フッと血栓性外痔核と皮垂の発生部位に類似点があるのではと思い、それぞれの発生部位に関して検討してみました。
皮垂の発生に関しては、やはり血栓性外痔核が関与しているのではないかというのが、私の結論です。
例えば、内痔核にみられる皮垂ですが、手術をしなければならない内痔核でも皮垂を伴わない場合があります。
これまでは、内痔核が腫脹することで皮垂が出来るのではと思っていましたが、それでは手術をしなければならないほどの内痔核に皮垂が伴わない場合はどうしてか、ということになります。
おそらく、痛みなどの症状が出ない程度の小血栓が出来たり吸収されたりを繰り返すことで、皮垂が出来てくるのだと考えます。また裂肛にみられる皮垂も、皮膚のしわとしての皮垂もあれば、ポリープ状に硬くなった皮垂もあります。これらの発生にも違いがあるのだと思います。しわのような皮垂は、やはり小血栓が出来たり吸収されることでできた皮垂であり、ポリープ状の硬い皮垂は裂肛部分の炎症などが繰り返しての皮垂ではないかと考えています。このことは、裂肛で来られた患者さんを診察してみると、裂肛の部分に小血栓を伴っている患者さんがいます。このようなことを考えると、小血栓の発生が皮垂と深く関わっていると思います。したがって、血栓性外痔核と皮垂の発生部位に類似点があるのだと思います。
では、今回の発表で使ったパワーポイントを発表原稿に合わせて紹介します。
「血栓性外痔核926例と皮垂1784例の発生部位に関しての類似点と相違点の検討」
スライド1
今回は、血栓性外痔核926例と皮垂1784例の発生部位に関しての類似点と相違点の検討について報告します。
スライド2
さて、今回の検討のきっかけとなったのは、以前、血栓性外痔核や皮垂に関して学会で発表してきましたが、これらの発表を通じて、「うん?なにか血栓性外痔核と皮垂の発生部位に類似点があるのではないかな?」と思ったことです。そこで、今回、当院で経験した血栓性外痔核と皮垂の発生部位に関して、特に手術症例でその類似点と相違点について検討したので報告します。
対象ですが、H7年2月からH30年3月までに手術を施行した血栓性外痔核926例、血栓の数では982ヶ所、それと皮垂1784例、皮垂の数では2599ヶ所を対象として検討しました。
スライド3
検討項目は、血栓性外痔核及び皮垂の発生部位をパワーポイントに示すように、前後左右に分けて、それぞれの男女差、また発生部位の類似点や相違点を検討しました。
スライド4
結果ですが、まずは血栓性外痔核の発生部位をみてみると、男性では前方が42例(8.5%)、後方221例(44.6%)、左方217例(43.7%)、右方16例(3.2%)でした。
女性では、前方が90例(18.5%)、後方220例(45.3%)、左方173例(35.6%)、右方3例(0.6%)でした。
血栓性外痔核では男女とも左方及び後方の発生が多く、左方と後方をあわせると、男性では88.3%、女性では80.9%を占めました。
スライド5
次に皮垂の発生部位をみてみると、男性では前方が164例(29.3%)、後方325例(58.1%)、左方54例(9.7%)、右方16例(2.9%)でした。
女性では前方が928例(45.5%)、後方882例(43.2%)、左方182例(8.9%)、右方48例(2.4%)でした。
皮垂では男女とも前方及び後方の発生が多く、前方と後方をあわせると、男性では87.4%、女性では88.7%を占めました。
スライド6
次に、男性において、血栓性外痔核と皮垂の発生部位を比較すると、いずれも右方の発生頻度が低く、血栓性外痔核では16例(3.2%)、皮垂では16例(2.9%)でした。
スライド7
女性においても男性と同様に血栓性外痔核も皮垂も右方の発生頻度が低く、血栓性外痔核では3例(0.6%)、皮垂では48例(2.4%)でした。
スライド8
まとめですが、血栓性外痔核では男女とも左方及び後方の発生が多く、左方と後方とをあわせると、男性も女性も、いずれも80%以上を占めました。このことは、内痔核の好発部位の3時と7時に血栓性外痔核ができやすい傾向があるのだと思われます。また男性も女性、いずれも右方の発生率が低く、男性3.2%、女性0.6%でした。このことは、内痔核の好発部位が含まれていないからと思われます。また、男性と比較して女性で前方に血栓性外痔核が多い傾向にあるのは、前方は裂肛の好発部位の一つであり、女性では男性と比較して裂肛が多いことも一因であると考えます。
皮垂では男女とも前方及び後方の発生が多く、前方と後方をあわせると男性も女性も、ともに90%近く占めました。これは内痔核の発生部位である7時、11時、そして裂肛の好発部位である6時と12時が含まれているからだと考えます。また皮垂においても右方の発生が、男性、女性とも発生頻度低く、男性で2.9%、女性では2.4%でした。
スライド9
以上、これらのことを考えると、血栓性外痔核も皮垂も、その発生部位は内痔核の発生に関連する上直腸動脈の走行や、裂肛による血管損傷による血腫形成や小血栓の発生などが関連しているのではないかと考えます。また、外痔核の成因やその病態についての論文報告をみてみると、次のように書かれていました。肛門部の静脈叢において、怒責、硬便、頻回の排便などの物理的な圧力によって自覚症状が出ない程度の小血栓の発生と吸収が繰り返され、その膨隆と委縮の積み重ねにより血管壁の脆弱化、静脈の拡張、慢性炎症、支持組織の過伸展、線維化、上皮の肥厚などが進行していく。そして、歯状線遠位側において急性血栓症を主にしたものは血栓性外痔核となり、上皮の肥厚と線維化を主としたものは皮垂に、静脈瘤の拡張・膨隆を主としたものは静脈瘤性外痔核の臨床像をとるとされています。このことからも、血栓性外痔核と皮垂の発生の原因は同じであると考えると、内痔核や裂肛などの肛門疾患の発生部位に血栓性外痔核や皮垂が発生しやすいのではないかと考えます。
抄録
当院で経験した血栓性外痔核と皮垂の発生部位に関して類似点及び相違点に関して検討した。【対象】H7年2月からH30年3月までに手術を施行した血栓性外痔核926例、皮垂1784例。【検討項目】血栓性外痔核及び皮垂の発生部位を前後左右に分け、それぞれの男女差及び、発生部位の類似点、相違点を検討した。【結果】血栓性外痔核は、男性は前方42例(8.5%)、後方221例(44.6%)、左方217例(43.7%)、右方16例(3.2%)。女性は前方90例(18.5%)、後方220例(45.3%)、左方173例(35.6%)、右方3例(0.6%)であった。皮垂は、男性は前方164例(29.3%)、後方325例(58.1%)、左方54例(9.7%)、右方16例(2.9%)。女性は前方928例(45.5%)、後方882例(43.2%)、左方182例(8.9%)、右方48例(2.4%)であった。【考察】血栓性外痔核では男女とも左方及び後方の発生が多く、左方及び後方で、男性88.3%、女性80.9%を占めた。これは、内痔核の好発部位の3時と7時に血栓性外痔核ができやすい傾向があると思われる。また男女とも右方の発生率が男性3.2%、女性0.6%と発生頻度が低かった。これは内痔核の好発部位が含まれていないからと思われる。また、男性と比較して女性で前方が多い傾向は、前方は裂肛の好発部位の一つであり、女性では男性と比較して裂肛が多いことも一因であると考える。皮垂では男女とも前方及び後方の発生が多く、男性では87.4%、女性では88.7%を占めた。これは内痔核の発生部位である7時、11時と、裂肛の好発部位である6時と12時が含まれているからだと考える。また皮垂においても右方の発生が、男性2.9%、女性2.4%といずれも発生頻度低かった。これらのことを考えると、血栓性外痔核も皮垂の発生には、内痔核の発生に関連する上直腸動脈の走行や、裂肛による血管損傷による血腫形成や小血栓の発生なども関連しているのではないかと考える。また肛門部の静脈叢において、怒責、硬便、頻回の排便等の物理的圧力によって、血栓性外痔核の発生や自覚症状が出ない程度の小血栓の発生と吸収が繰り返して、皮垂へと進んでいくと考えると、内痔核や裂肛などの肛門疾患の発生部位に血栓性外痔核や皮垂が発生しやすいのではないかと考える。
水彩色鉛筆
以前、私が描いた油絵を紹介しました。大学の美術部にいたときに描いた油絵や、医者になって個展を開こうと思い立って、描いた油絵などを紹介しました。
京都に帰ってきて、なかなか油絵までは描けていません。油絵を描く習慣があれば何ともないんだと思いますが、なかなか、準備をしたり、油絵を溶くオイルのにおいなど、「油絵を描こう!」とすると、チョット決心がいります。
でも久しぶりに絵を描いてみたいなと、画材コーナーに行ったときに見つけたのが、「水彩色鉛筆」です。
見た目は色鉛筆なのですが、色を塗ったあと、水を含ませた筆でなぞると水彩がのようになります。グラデーションを出せたり。水彩画に近い絵を描くことが出来ます。
渡邉医院の玄関前の通り庭のハナミズキの葉が色付いてきました。以前このハナミズキの色付いた葉の絵を、この水彩絵の具で描いたことがあります。その絵を下書きから紹介したいと思います。
今回、下書きは、ボールペンで描きました。全体の輪郭を描いた後に、細かく細部まで描いていきます。結構、このボールペンだけでも一つのペンがとして十分かなと思うくらいに描きました。その後、次に水彩色鉛筆で色を付けていくのですが、私は薄い色から塗っていきます。まずは黄色から。
次は、橙色、そして赤と塗っていきます。また緑のところも残っているので、緑色を。この時も黄緑色から濃い緑をと塗っていきます。
全部塗り終わった後に、水で濡らした筆を使ってグラデーションを作っていきます。色鉛筆である程度しっかり塗っても水を含ませた筆で絵をなぞると、きれいなグラデーションができ、水彩画風になっていきます。
こんな感じで出来上がりです。
もう一つ花の絵も紹介しますね。
この花は、毎週月曜日に診療所の近くに集花園さんというお花屋さんが花を活けにきて下さいます。毎週新しい花で、私たちを癒していただいています。その集花園さんが活けてくださった花を描いてみました。要領は一緒で、まずはボールペンで下書きをしっかり描いて、その後水彩色鉛筆で色を付けていきます。その後に水を含ませた筆でグラデーションをつけていきます。
下書きはボールペンでしっかりかきます。
後、2作品。花の絵と猫の絵も描いてみました。
こんな感じで、たまには絵を描いています。絵を描いているときは、なにも考えることなく、絵を描くことに集中して、日常の生活や診療とは全く違った時間を持つことができて、とても有意義な時間です。気分転換にもなりますしね!
なかなか水彩色鉛筆、面白いですよ。興味がある方はぜひ使ってみてくださいね。
「11月の献立」を紹介します。
11月に入ってグッと冷え込んできました。昨日の文化の日はとても良い天気でした。私は丸山公園の野外音楽堂で開催された憲法集会に参加してきました。今週は少し暖かくなるようですが、風邪などひかないようにしてくださいね。
休日も入院している患者さんや、手術をしたばかりの患者さんの具合を診に診療所に行くのですが、その帰り道、鴨川を通って帰ってきました。まだまだ紅葉には早いようです。鴨川の桜の木が赤く紅葉すると、とてもきれいです。渡邉医院の玄関前の通り庭にあるハナミズキは、ずいぶん色付いてきました。赤や黄色に彩られる景色。楽しみですね。
さて11月最後のレシピは「11月の献立」のレシピです。
11月に紹介したレシピを使ってので献立です。土鍋ご飯の炊き方も紹介しますね。
土鍋で炊いたご飯のおこげの部分。香ばしくて美味しいですよね。11月のレシピのおかずでアツアツの白ご飯。いい感じだと思います。
献立は、「かぶら蒸」、「牛肉とごぼうのしぐれ煮」、そして「春菊のサラダ」と春菊を使ってのお味噌汁です。
11月の献立
1人分850kcal たんぱく質45g
「土鍋ご飯」
材料(2合分)
米 2合
水 360㏄ 水の量はお好みで調整してください
作り方
① ボールに米を入れ、水を入れ、すぐ水を切る。
② 軽く混ぜて水を入れて水を切る。2回繰り返す。
③ 水につける。最低30分。米が白くなるまで。
④ 土鍋に水を切った米と、米のカップで2杯(360㏄)の水を入れ、ふたをして中火にかける。
⑤ 約10分で沸騰する。沸騰したら弱火にして約15分。ぱちぱち音がしたら中火にし10秒で火を消す。
⑥ 10分蒸らす。
⑦ ふたを取り、やさしく上下を返すように混ぜる。
*土鍋の外側が濡れて火にかけると割れる恐れがあります。
管理栄養士さんから一言
11月24日は『和食の日』だそうです。
秋の深まりにだしをとって土鍋でご飯を炊いてゆっくり過ごすのも素敵だと思います。
他の献立は手軽に作れて材料を使いきれるものを合わせてみました。
「かぶら蒸」のレシピを紹介します。
今回は、「かぶら蒸」のレシピを紹介します。
「かぶら蒸」と聞くと、なかなか和食料理屋さんでしか食べないイメージがあります。家で食べることはあまりないのではと思います。作るのに、すごく手間がかかるような印象があります。
かぶら蒸のお椀の蓋を開けたときのゆずの香り。かぶら蒸の食感。美味しいですよね。
「かぶら蒸」、だしがとっても大事なんだろうなって思います。11月のレシピで紹介した「基本の一番だし」を使って、ぜひ作ってみてください。料亭の味にせまれるでしょうか?
では「かぶら蒸」のレシピを紹介しますね。
「かぶら蒸」
1人分 150kcal たんぱく質20g
材料(2人分)
蕪(中) 1個
卵白 1個分
塩 少々
鯛など 1切れ
エビ 2尾
ゆずの皮、柚子胡椒
銀あん(一番出し、塩、薄口しょうゆ、片栗粉)
作り方
① 鯛、エビは一口大にしレンジでチンして火を通しておく。
② かぶの葉はさっとゆでる。白いほうは皮をむきすりおろして軽く水気をきる。
③ 卵白は少量の塩を入れ、つのが立つまで泡立てる。2と混ぜる。
④ 小鉢に①を入れ③をかけて600Wで3~5分電子レンジでチンする。
⑤ だしに味をつけ片栗粉でとろみをつけて銀あんを作る。
⑥ 盛り付ける器に④を入れ⑤をかけてゆず皮・かぶの葉・柚子胡椒を盛り付ける
*中に入れる具はカレイやタラ、鶏肉、ツナなども合います。
《即席漬け 2種》
◇かぶの皮を千切りにし塩もみして水気を切り、砂糖・柚子のしぼり汁・鷹の爪を混ぜる。
◇さっとゆでたかぶの葉をしっかりしぼり、昆布茶でもむ。
管理栄養士さんから一言
かぶの栄養
かぶは根の白い部分よりも葉のほうにカロテン・ビタミンC・K・鉄・カルシウムなど
たくさんの栄養は含まれています。
「春菊のサラダ」のレシピを紹介します。
今回は、「春菊のサラダ」のレシピを紹介します。
春菊ってなかなかサラダでは食べないな~と思っていました。春菊だと、お浸しやお鍋の時の具を直ぐに思い出します。お鍋は別として、春菊をもりもりサラダで食べるっていう印象はありませんでした。春菊をサラダとして食べたらどんな感じなんだろうと、興味を惹かれます。
後で管理栄養士さんの一言で紹介しますが、春菊っていろんな栄養素を持っているんだな~と思いました。栄養素が熱に弱いということなので、サラダとして生で食べたほうがいいのかなと思いました。
では、「春菊のサラダ」のレシピを紹介しますね。
「春菊のサラダ」
1人分 60kcal 食物繊維 3g
材料(2人分)
春菊(やわらかい葉) 60g
ベビーリーフ 60g
ごま油 小さじ2
ポン酢 大さじ1
作り方
① 器にベビーリーフと春菊を生のまま入れる。
② フライパンでごま油を熱し、1にかける。
*熱したごま油をかけることで苦みが抑えられ、香りがよくなります。
③ ポン酢をかけてよく混ぜる。
《もう1品 お味噌汁》
だしがらのかつお節をごま油で炒め、春菊の硬い部分とお味噌汁にする。
管理栄養士さんから一言
春菊の栄養
春菊は免疫を高め粘膜・皮膚・髪・目の健康に役立つカロテンが豊富な緑黄色野菜で
ビタミンKや葉酸も多く、カルシウム・マグネシウム・鉄・リンなどのミネラルは
骨の形成に必要な栄養素で、カリウムは高血圧・むくみに、独特の香り成分は咳を抑えるなど
たくさんの効果があります。熱に弱い成分もあり生食もできます。
「牛肉とごぼうのしぐれ煮」のレシピを紹介します。
今日は「牛肉とごぼうのしぐれ煮」のレシピを紹介します。
牛肉とごぼうってあいますよね!牛肉をごぼうと一緒に甘く煮て、白いご飯で食べる。美味しいです。お酒のつまみにもなりますよね。鷹の爪を入れて少しピリ辛にするのもいいかなと思います。
「ごぼう」と聞いて今直ぐに頭に浮かんだのが、昔、お正月のお節料理を作る手伝いで、ごぼうの笹がきが私の役割だったことをフッと思い出しました。渡邉家の元旦のお雑炊は、丸餅に鶏肉と笹がきしたごぼうのお澄ましでした。その家その家で、元旦のお雑煮の具は決まっていると思います。どんなお雑煮でしょうか?
さて、「牛肉とごぼうのしぐれ煮」のレシピを紹介しますね。
「牛肉とごぼうのしぐれ煮」
1食分 80kcal 食物繊維 1.4g
材料(作りやすい量)
牛肉(こま切れ) 150g
ごぼう(ささがき) 100g
昆布(だしがら) 100g
生姜 1かけ
しょうゆ 大さじ1と1/3
酒 大さじ1
みりん 大さじ1
砂糖 大さじ1/2
作り方
① フライパンにごま油を入れ牛肉を炒める。しょうゆ・砂糖を入れ、
肉に火が通ったら肉だけ取り出す(汁は残しておく)。
② ごぼうと昆布と生姜と酒を入れ蒸し煮にする(必要に応じて水を足す)。
③ 1の肉を戻し、みりんを入れてつやを出す。
《アレンジ例 だし茶漬け》
ご飯にのせてすまし汁に味付けしただしをかけてもおいしいです。
管理栄養士さんからの一言
ごぼうの栄養
ごぼうは食物繊維が多く水溶性と不溶性の両方がバランスよく含まれています。
便秘解消や大腸がんの予防、血糖値を下げる、コレステロールをさげるなどの効果が期待できます。
またアミノ酸の1種のアルギニンやミネラルも豊富に含まれています。
「基本の一番だし」のレシピを紹介します。
今回は、「基本の一番だし」のレシピを紹介します。
なんでも基本は大事ですよね。私も外科の医局に入って、毎日糸結びの練習をしていました。手術が終わって、余った糸をもらって練習をしました。同級生もみな同じで、医局の部屋の中や、いろんなところに糸結びの練習をした跡の何回も結ばれた糸がぶら下がっていたものです。糸結びにもいろんな結び方があります。手術の場面場面で、最も適した結び方で血管を縛ったり、縫合したりしていきます。糸結びの美しさが大事だなと思っています。糸を結ぶ美しさの中には、的確な糸結び、無駄のなさが表れていると思います。
肛門科になっても、肛門の手術の基本となる内痔核に対しての痔核根治術がしっかりと、的確に行えることが、肛門科医の基本だと思っています。
さて、今回は「基本の一番だし」。試してみてくださいね。
「基本の一番だし」
材料(1ℓ)
昆布 10g
かつお節 20g
水 1ℓ
作り方
① 水1リットルに昆布10gを入れる。火にかけ約65℃で1時間加熱する。
約65℃=昆布の周りに細かい泡がついている状態
② 昆布を引き、約85℃に温度を上げ、火を止め、かつお節を入れる。
約85℃=なべ底に小さい泡がついている状態
③ 静かに沈ませ、30秒触らずに待ち、ざるでこす。
④ しぼらずに自然に落ちるのを待つ。
*あくまでもいろいろなだしの取り方の一例です。これでなければというものではありませんが、
今、おいしいといわれているだしの取り方です。
*時間がないときは前日から水に昆布をつけた水だし昆布だしも便利です。
*煮物などは2番だしも使えます。だしがらは佃煮や食材として使えます。
管理栄養士さんから一言
今回のだしには、グルタミン酸、イノシン酸といったうまみ成分が含まれています。
うまみ成分を含む食材は他にもたくさんあり、組み合わせて使うとよりおいしくなります。
英語でも「UMAMI」です。
「亥の子餅」のレシピを紹介します。
11月は「和食月間」をテーマにレシピを紹介していきます。
今回は「亥の子餅」のレシピを紹介します。
後で管理栄養士さんからの一言でも紹介しますが、私は「亥の子」という行事があることを初めて知りました。少し「亥の子」に関して調べたことを紹介します。
日本には、昔から地方によっていろいろな行事ごとがあります。「亥の子」もそんな行事に一つだそうです。
「亥の子」は、亥の月の最初の亥の日のことで、その日に行われる行事のことを言います。
十二支を旧暦の月に当てはめると、1月は寅、2月は卯、3月は辰という具合に当てはめていくと、旧暦の10月が亥になります。「亥の月」は旧暦の10月、現在は11月が亥の月になります。その11月の最初の亥の日が「亥の子」となるそうで、今年は11月3日の土曜日がその日に当たります。
「亥の子」の由来は中国の「亥子祝」と言われていて、亥の月の亥の日、そして亥の刻(21時から23時にあたるそうで)に穀物を混ぜ込んだ餅を食べると病気にならないという風習があったそうで、無病息災を願う儀式だったそうです。
また、イノシシは子供をたくさん産むこともあって、子孫繁栄を願う意味もあったようです。
日本には「亥の子」は平安時代に伝わり、最初は宮中での行事であったものが、収穫時期の収穫のお祭りとして庶民にも広がっていったようです。
今日、紹介する「亥の子餅」はイノシシの子供の形を模していて、昔は田の神様へのお供えとしていたようです。その後、無病息災、子孫繁栄を祈り「亥の子餅」を食べるようになったそうです。
11月の最初の土曜日です。是非作ってみてくださいね。
「亥の子餅」
1個分 150kcal 食物繊維 3g
材料(作りやすい量)
★白玉粉 80g
★上新粉 40g
★砂糖 40g
★水 230㏄
あん 200g
くるみ 30g
きなこ 適量
シナモン 少量
作り方
① ★を深めのどんぶりに入れよく混ぜる。ラップをしてレンジで2分チン。一度出してよく混ぜ、ラップをして1分チン。透明感があり、つやが出るまで1~2回繰り返す。
② 皿にきな粉とシナモンをしき、①を出して冷ましておく。
③ あんにくるみを混ぜ10等分して丸める。
④ 10等分し③を包む。
⑤ 焼いた金串で筋をつける。(なくてもよい)
管理栄養士さんから一言
亥の子餅
亥の子は亥の月の最初の亥の日のことで、今年は11月3日になるそうです。
中国の無病息災を願う儀式から始まり、イノシシにあやかって子孫繁栄を願い、
収穫の時期なので収穫祭も兼ね、火の使神から炬燵開きが行われるなど時代によって
さまざまな意味を持って行事が行われ、亥の子餅も食べられているようです。