「沢煮椀」のレシピを紹介します。

台風19号が大きな傷跡を残しながら過ぎ去って1週間になります。まだまだ被害の全貌は明らかになっていません。また復興はまだまだの状況だと思います。
台風の被害を受けた皆さんには深くお見舞い申し上げます。また早い復興をお祈り申し上げます。
10月も半ばを過ぎて、季節は秋。涼しくなってきました。今日は日中は少し暑かったですが、朝夕はグッと冷え込むようになりました。
渡邉医院の玄関先のハナミズキも段々色づいてきました。秋ですね。
11月のテーマは「秋の和食」です。今日は「沢煮椀」のレシピを紹介しますね。管理栄養士さんからの一言でもありますが色んな具材が入っていて、豚肉のうま味もあって、ご飯のおかずにもなりますね。野菜もしっかり摂れていいですね。
では「沢煮椀」のレシピを紹介します。
「沢煮椀」
1人分 約90kcal、たんぱく質 4g、食物繊維 2g
材料(2人分)
白菜 30g
大根 30g
えのき 20g
ごぼう 20g
人参 15g
青ねぎ
豚肉 30g
★小麦粉 適宜
だし汁
薄口しょうゆ 少々
塩 少々
作り方
- ①野菜はすべて千切りにする。
- ②鍋にだしを入れ①を入れて煮る(青ねぎ以外)。
- ③豚肉も細切りにし小麦粉をまぶす。
- ④②がやわらかくなれば③を入れ薄口しょうゆ・塩で味を整える。
- ⑤器に盛り青ねぎをのせる。
管理栄養士さんから一言
沢煮椀
「沢」とは「たくさんの」という意味でいっぱいの具が入った汁物です。具が多く豚肉のうまみがあるのでおかずにもなるし、減塩にもなります。
お野菜は冷蔵庫に残っているものやカット野菜でも作れます。
「小松菜とひじきの白和え」のレシピを紹介します。

今回は「小松菜とひじきの白和え」のレシピを紹介します。
日本大腸肛門病学会学術集会に東京に行ってもう1週間。あっという間の1週間でした。先週の金曜日。台風19号が近づいての雨。今日も秋雨前線の雨。まだまだ台風の被災地の被災状況もわからず、復興はまだまだ進んでいない中での今日の雨。被災された方々にはとって追い打ち。この雨で新たな被害が出ないことを祈るばかりです。
さて、今回のレシピは「小松菜とひじきの白和え」です。
白和えを調べてみると、白和えと一緒に覚えておいた方がいいという言葉に「和え衣」がありました。和え衣とは和え物を作るときに欠かすことが出来ない、砂糖、塩、酢、醤油、味噌などの調味料と風味豊かな食材など、具材にからみやすいものとを合わせて作ったものだそうです。そして「白和え」は白い豆腐や白胡麻などで作ったこの「和え衣」と野菜などを混ぜ合わしてつくる料理です。
若い頃はこの白和えの美味しさが分からなかったですが、年を取ってくると、その美味しさが分かってきました。ご飯にも合うし、お酒のつまみにもいいですよね。
今回の白和えにはひじきが入っています。便の量を増やすのには海藻類やキノコ類がいいです。シメジなどのキノコを加えるのもいいかもしれませんね。
では「小松菜とひじきの白和え」のレシピを紹介しますね。
「小松菜とひじきの白和え」
1人分 約100kcal、たんぱく質 6g、食物繊維 2g
材料(2人分)
小松菜(ゆで) 60g
ほうれん草・春菊・人参など他の野菜でも
ひじき煮 30g
白和え衣
★豆腐 100g
★砂糖 小さじ1
★味噌 小さじ1
★練りごま 小さじ2
作り方
- ①豆腐はペーパータオルで包んで電子レンジにかけ水切りする。
- ②①を崩し★を入れて泡だて器でなめらかになるまでよく混ぜる。
- ③ゆでて3cm程に切った小松菜とひじき煮を入れて混ぜ合わせる。
管理栄養士さんからの一言
白和え
今回は練りごまを使いましたが、ごまを炒ってすり鉢でするとさらに香りがよくなります。また、ピーナッツクリームと豆腐を合わせたり、ごまの代わりにきな粉を使ってもおいしくできます。
白和え衣は栄養豊富で、材料をまとめてくれるので食事量の少なくなった方・飲みこみにくい方にも食べやすいです。
「牡蠣の柚子胡椒焼き」のレシピを紹介します。

11月のレシピは「秋の和食」をテーマにしています。これまで紹介した3品はスウィーツでした。今日はかきはかきでも牡蠣の方。「牡蠣の柚子胡椒焼き」のレシピを紹介します。
牡蠣と言えば、姫路に大学時代の親友がいます。時々その親友が牡蠣を送ってくれます。殻付きの生の牡蠣を送ってくれるのですが、一番最初に送ってくれた時は、どうやって殻を開けたらいいのか、何を使って開けたらいいのかわからず四苦八苦。一つの牡蠣の殻を開けるのに結構時間がかかっていました。最近は開けるこつを憶えて、わりと早く開けることが出来るようになりました。経験は物を言うです。やっぱり新鮮な牡蠣は美味しいです。そのままレモンを絞ってズルズルっと食べる。磯の香もしてとても美味しい。一気に食べてしまいます。また牡蠣のお鍋も美味しいですね。牡蠣フライもいいですよね。ソースでもいいし、タルタルソースもいいですね。
さて今日は「牡蠣の柚子胡椒焼き」。焼いた牡蠣もいいですよね。
ではそろそろ「牡蠣の柚子胡椒焼き」のレシピを紹介しますね。
「牡蠣の柚子胡椒焼き」
1人分 約180kcal、たんぱく質 5g、食物繊維 2g
材料(2人分)
牡蠣 6個
★柚子胡椒 小さじ1/2
★小麦粉 大さじ1
★水 小さじ2
サラダ油 適宜
付け合わせ
さつまいも
人参
大根
*付け合わせ用ソース
マヨネーズやポン酢
作り方
- ①牡蠣はきれいに洗い、水気を取る
- ②★を混ぜ①につけて油を引いたフライパンで焼く。
- ③レンジでやわらかくした付け合わせも焼く。
管理栄養士さんからの一言
牡蠣
牡蠣は栄養の豊富さで「海のミルク」とも言われていますが、即エネルギー源となるグリコーゲンが多く体力・免疫力に効果が期待でき「天然の栄養ドリンク」とも言えそうです。
アミノ酸のコハク酸はうまみ成分であるとともに体力回復に、またタウリン、亜鉛、銅、鉄、カルシウム、マグネシウム、ビタミンB12、葉酸なども多く肝臓の働きや造血作用も助けてくれます。
私達が守るものは。

私たち医療にかかわるものがなぜ戦争のない平和な社会を作るりくみに関わらなければならないのかを少し考えてみたいと思います。
私たちが、「戦争反対!平和な社会を!」と声を上げたり、政治に対して何かものを言ったりするとき、何か特別なことをしているような印象をもつ方がいます。またそういったことをする人は特別な人たちなのではないかと思う人もいると思います。でも本当にそうでしょうか?自分の感じること、思っていることを素直に声にする。いろんな人たちに聴いてもらうことは極々自然なことだと思います。もっと自分の感じる思いをしっかり声を上げて伝えることは自然な私たちの権利だと思うことが必要だと思います。
さて、私たち医療にかかわるものの責務は憲法25条を実現させ守ること、社会保障を充実させることです。でも憲法25条だけを単独で実現させることはできません。
やはり、だれもが健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有するためには、国そのものが平和でなければなりません。そして、個人として尊重され、幸福を求める権利が保障され守られていなければなりません。
こういったことからも、私達医療に係るものは患者さんや国民の健康を守るには平和な国造り、そして憲法を生活に生かす。そういったことを日々の生活のなかで考えていかなればならないのだと思います。
では憲法25条を実現させる、社会保障を充実させる取り組みをする。なにか漠然としています。では一体私は何を守りたいのか。私は医師です。目の前にいる患者さんの命、健康を守りたい。そして私を支えている診療所のスタッフの生活を守りたい。そして家族を守りたい。
今、守りたい母はかなり認知症が進んでいます。私のこともどこまでわかっているかはわかりません。でもそんな母が小さな子供を見つめる穏やかな、そして優しい眼差し。そして母が見せる笑顔。たまにこんなに笑うかと思うほどに、顔をクチャクチャにしてまで笑う母。私はそんな母の笑顔が大好きです。そして、その母の笑顔をずっと見ていたい
でも戦争が出来る国にしていこうとする動き。そして戦争になると、まずは私の母や、障害のある人たち、本来は国が責任を持って守り支えていかなければならない人たちがまず初めに犠牲になってしまいます。そして戦争に向かう社会では必ず優生思想が大きく私たちの前に現れてきます。とても怖い社会です。
まだまだそんなことにはならないと思っていても、また、時の為政者が「戦争をすることなどない。」、「憲法を変えても戦争するわけではない。」と言っても、戦争はその姿を見せることなく、私たちの心の隙間にスッと入り込んでいつの間にか戦争へと導いてしまいます。ですからどんな些細なことでも戦争へ進む目はみんなの力で摘み取っていかなければなりません。
私たちの守りたいものはなに。一人一人の思いいがみんなの思いに繋がります。そしてその力で私たちの目指す平和な社会にしていきましょう。
「栗の渋皮煮」のレシピを紹介します。

11月のレシピ。まずは甘いスウィーツから紹介しています。
今日は、「栗の渋皮煮」のレシピを紹介しますね。
栗は以前もお話したと思いますが、母がとても好きで、ご近所の方が下さる栗をむいて栗ご飯にしてくれていました。栗ご飯美味しいですよね!でも栗は甘くするのもいいですよね。もうすぐ、本当に早いですがお正月のお節料理の中の栗きんとんや黒豆と一緒に甘く煮た栗。押しいですよね。お菓子ではマロングラッセやケーキのモンブラン。甘いお菓子もいいですよね。
そうそう、今日、久しぶりにデパート(昔は百貨店ていってましたよね。)に行きました。食器などを売っているところを見ていると、栗を剥く道具や銀杏の殻を割る道具が売っていました。こんな道具も売っているんだと思いました。
それでは「栗の渋皮煮」のレシピを紹介しますね!
「栗の渋皮煮」
材料(作りやすい分量)
栗 1kg
重曹 大さじ2
砂糖 400g
ブランデー お好みで
作り方
- ①栗を熱湯につけてそのまま冷めるまで置いておく
(鬼皮がむきやすくなります)
②渋皮に傷をつけないようにおしりのほうから鬼皮をむきます。
③鍋に②とたっぷりの水と重曹大さじ1を入れ火にかける。20分ゆでる。
④崩れないように水に取り、やさしく筋を取り、きれいな水につけます。
⑤③④をもう一度繰り返します。
(栗の硬さ、筋の残り具合でもう一度繰り返す。)
⑥ひたひたの水と砂糖の1/3を入れ10分煮ます。
⑦ひたひたを保ちながら(水が足りなければ足し)砂糖1/3を足し10分煮ます⑧最後の砂糖を入れ10分煮ます。
⑨ブランデーをいれて一煮立ちさせ、一晩おいておく。
⑩保存袋に移し汁ごと冷凍します。
(冷凍することによりしっとりします)
「無花果の赤ワイン煮」のレシピを紹介します。

今日は「無花果の赤ワイン煮」のレシピを紹介しますね。
11月は「秋の和食」をテーマにレシピを紹介しています。前回は「柿のプリン」のレシピを紹介しましたが、今回もスウィーツをもう1品紹介します。
ところで、イチジクは「無花果」と書きます。どうして「花の無い果」と書くのだろうと思い調べてみました。そういえばイチジクの花、私は見たことがありません。調べてみると、私は知らなかったのですが、私達が食べているイチジクですが、果実ではなく、イチジクの花に当たる部分を食べてるということです。果実の様に見える部分は、本当は花軸が肥大化したもので、イチジクを切った時に粒粒の様に見えるのがイチジクの花だそうです。「無花果」と書くのは、実際に花が咲かないのではなく、「実」の中に無数の白い花を咲かせるため、外から見えないので「無花果」と書くようです。イチジクの花、見たことがなかったのも当然ですね。
私が小さかったころ、小学生の低学年の頃、私の家の近くにイチジクの木がありました。イチジクの実をとったり、葉や茎を切ると白い汁が出てきました。触るとネバネバしていて痒くなったことを記憶しています。アダムとイブのアダムの絵にイチジクの葉を付けているのを見て、「痒くならないのかなあ」と心配したのを憶えています。
この白い液体ですが、蛋白質分解酵素・フィシンというものだそうです。イチジクが害虫から身を守るための防衛物質だそうです。
そろそろ「無花果の赤ワイン煮」のレシピを紹介しますね。
「無花果の赤ワイン煮」
材料(作りやすい分量)
いちじく(小さいもの)8個
砂糖 50g
赤ワイン 100ml
レモン汁 小さじ1
作り方
- ①いちじくがちょうど並ぶ小さめの鍋に、いちじく・赤ワイン・砂糖を入れふたをして弱めの中火で煮ます。(皮はむいてもむかなくても。写真はむいてません)
- ②やわらかくなればレモン汁を入れます。
*いちじくが終わりかけの小さいものがコンポートには向いてます。
*出来立てもおいしいですが冷蔵庫で冷やし2日から1週間くらいが味がなじんできます。ヨーグルトやアイスクリームと一緒にどうぞ。
管理栄養士さんから一言
いちじく
水溶性食物繊維のペクチンやカリウム、鉄、カルシウムのほかに女性ホルモンと同じ働きをする栄養素もあり、便秘、下痢、むくみ、老化防止、胃もたれ防止にも効果が期待できます。
傷みやすいので早めに食べること。食べ過ぎないことが大切です。
「柿プリン」のレシピを紹介します。

昨日のワールドカップラグビー、日本対スコットランドの試合。とても素晴らしい試合でした。そして日本チームのベスト8進出おめでとうございます。
力と力がぶち当たる力の入った試合でした。ホワードが開いての攻めをしっかり食い止める、何度も何度も相手の攻撃を体を張って止める。そして、そこから出たボールをしっかり繋いでトライにつなげる。チームが一つになってトライへとつなげていく。この姿に私たちは感動を覚えるのだと思います。また試合が終わった後の選手たちの顔。とてもいい表情をしていました。感動しました。
ベスト4をかけた南アフリカとの試合は、20日の日曜日。また応援したいと思います。
さて、11月のレシピのテーマは「秋の和食」です。そのまず第一弾は、スウィーツから紹介したいと思います。
その一つ目のスウィーツは「柿のプリン」です。柿もプリンになるんだと思いました。でも柿は和食にもよく合うと思います。柿を使っての白和えなども美味しいです。
パリパリっと硬い柿も美味しいですし、熟しきった少しドロッとした柿をスプーンで食べるのも美味しいですよね。
後で管理栄養士さんからの一言でも紹介しますが、柿には様々なビタミンが含まれているようです。また食物繊維も豊富で便秘にもいいようです。でも柿の中にはタンニンが含まれています。タンニンは2日酔いの予防や改善、余分な脂肪を燃焼する効果もあり、高血圧や動脈硬化といった生活習慣病の改善の効果もありますが、摂りすぎると便秘になることがあります。ではどの程度の量が目安かを調べてみると、200g前後を目安のとありました。200gと言うと、小さめの柿だと2個分、大きい柿だと1個分となるそうです。これを目安にしてくださいね。
それでは「柿のプリン」のレシピを紹介しますね。
「柿のプリン」
1人分 約50kcal、たんぱく質 2g、食物繊維 1g
材料(2人分)
柿 1個
牛乳 柿の半分
柿の甘みによって砂糖を加えてください。
作り方
- ①柿と牛乳をミキサーにかける。
- ②器にそそぎ冷蔵庫で冷やす。
*柿のペクチンによって固まります。
*ムースほどのやわらかいプリンです。
管理栄養士さんからの一言
柿
柿は「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われ、ビタミンCはかんきつ類の2倍も含まれています。他にもビタミンA、K、B1、B2も多く、疲労回復や風邪の予防、タンニン、カリウムには二日酔いの回復効果が期待できます。
栄養豊富でおいしい旬の柿ですが食べすぎにはご注意ください。
痔瘻に対して手術を施行した889例の部位別最大肛門静止圧の比較検討

台風19号は大きな被害を各地に与えました。被災された方々には本当にお見舞い申し上げます。早期の復興をお祈り申し上げます。
私は無事に京都に帰ってきました。今日の朝、新幹線で帰ってきました。在来線が動かない中、初めて経験した誰もいない東京駅。新幹線だけが動いている中帰ってくることが出来ました。
台風の中いろんな経験をしました。初めての学会の丸まる1日のプログラムの中止。
台風の中どこも行くことが出来ない中、早い時間のホテルへのチェックイン。3時チェックインまで、ホテルの方のご好意で、宴会場を開けていただき、チェックインまで快適な空間を与えて下さったことへの感謝。いろんな経験をしました。
残念ながら学会では発表できませんでしたが、ホームページでパワーポイントを使って発表できなかった演題を報告したいと思います。
日常の診療を行うにあたって、痔瘻は肛門の締まりが強い患者、すなはち括約筋の緊張が強い患者に多いという印象があります。実際、痔瘻において、最大肛門静止圧は高く、また、若い男性に多く発生するのも、このことに起因すると考えています。
今回、痔瘻の発生部位によって、最大肛門静止圧に差があるのかについて検討しました。
対象は、平成10年10月から平成31年2月までに痔瘻の手術をした889例、男性778例、平均年齢41.0歳。女性111例、平均年齢42.4歳を対象としました。
痔瘻の発生部位を前方、後方、側方の三つに分けました。11時、12時、1時を前方、5時、6時、7時を後方、2時、3時、4時、8時、9時、10時を側方としました。そして、それぞれの最大肛門静止圧について比較検討しました。
対象とした889例中、男性は788例、87.7%。女性は111例、12.3%と圧倒的に痔瘻は男性に多く認めました。
痔瘻の発生部位をみると、男性では、前方105例、13.3%。後方526例、66.8%。側方157例、19.9%と後方が全体の約70%を占めました。これに対して女性では、前方29例、26.2%。後方55例、49.5%。側方27例、24.3%と男性と比較して側方、前方が多い傾向がありました。
年齢についてみると、男性では、前方41.0歳、後方42.8歳、側方39.3歳と側方でやや年齢が低い印象はあるが明らかな差は認めませんでした。
女性では前方42.3歳、後方43.3歳、側方41.6歳と各部位で明らかな差は認めなかった。また男女差も認めなかった。
次に、痔瘻発生部位別の最大肛門静止圧をみると、男性では、前方127.5mmHg、後方127.7mmHg、側方125.2mmHgと側方でやや低い傾向はあるものの、それぞれの部位で明らかな差は認めませんでした。
女性においては、前方98.0mmHg、後方84.8mmHg、側方93.6mmHgと男性と比べてすべての部位の最大静止圧は低く、また後方の最大静止圧がやや低い傾向にありましたが明らかな差は認めませんでした。
まとめです。
今回、痔瘻の発生部位別の最大肛門静止圧を比較検討する際に、側方の痔瘻において最大肛門静止圧が後方より低いのではないかと考えていました。しかし、今回の検討の結果では各部位とも男女とも最大肛門静止圧に明らかな差は認めませんでした。痔瘻の発生部位では、男性と比較して女性では前方、側方がやや多い傾向にありました。
男性と女性の最大肛門静止圧をみると、明らかに女性の方が低く、女性の痔瘻に対して痔瘻根治術を施行する場合は、より術後の機能温存に注意を払い手術を施行する必要があると考えます。
第74回日本大腸肛門病学会学術集会を終えて。最終回

今回のPart3で第74回日本大腸肛門病学会学術集会の報告は最終回です。
今は、ホテルの中にいるので外の台風19号で外がどういった状況になっているかわかりません。ホテルの中は静かです。さっきの地震の揺れはチョットびっくりしました。テレビの報道を見ていると、被害が出てきているようです。これから本格的に台風が来ます。今後どうなるか不安です。
今日の夜中から明日の未明に東京を台風は通過するので、明日は京都に変えれるかなあと思っていますが、被害の状況によってはいつ帰れるかはわからない状況になるかもしれないと覚悟しています。
でも14日の月曜日も休みでよかったと思います。また火曜日から通常通りの診療を始めることが出来ます。そういった意味では、ホッとしています。
今回最初に報告するのはランチョンセミナーで「慢性便秘の診断と治療―新規便秘症治療薬の適切な使い方―」です。
ランチョンセミナーは、製薬会社などが共催で行う講演会です。午前のセクションが終わった後のお昼に開催されます。お弁当を食べながら話を聞くのですが、以前母と一緒に学会に行っていた時は母が、「お尻の手術や大腸がんの手術をしている映像や話を聞きながら皆お弁当を食べて凄いわね。」と。今までそんなことを感じていませんでしたが、母の感覚の方が正しいのかもしれません。やはり医師はチョット特殊な感覚を持っているのかもしれません。
まずは便秘を治す一番の基本は、便秘がどんな便秘なのかをしっかり診断することです。
以前ホームページに便秘についての話をアップしました。大腸癌や大腸の狭窄など、大腸の器質的な疾患が無ければ便の中に程よく水分が含まれ、食物繊維を摂って便の量を増やして、そして大腸が具合よく動く。この三つがすべてそろって調子よく便が出るというお話をしました。このうちのどこが悪くて便秘になっているのかをまずはしっかり診断することが大切です。
水分が足らなくで便が硬くて便秘であるのならば、十分な水分を摂ることが必要です。また食物繊維が足らなくて便秘であるのならば、食物繊維をしっかり摂って便の量を増やす必要があります。また大腸の動きが悪くて便秘であるのならば、大腸が具合よく動くようにしなければなりません。またこれらが重なり合っての便秘かもしれません。そこをしっかり診断する必要があります。
講演のなかで、「慢性便秘の改善と食物繊維の摂取量とは相関しないことがある。」と話されました。食物繊維を十分に摂って便秘が改善する人は全体の40%と言うことでした。例えば大腸の動きが悪くて便秘の人や、直腸まで来た便が直腸瘤や排便時の奇異性運動などで、直腸まで来た便を出すことが出来ずに便秘の患者さんは、食物繊維をとって、便の量が増えるとますます便が詰まってしまい苦しくなってしまいます。こういった患者さんは直腸瘤の治療を行ったり、排便時の奇異性運動の治療などが必要になってきます。こういった排便障害のない便秘の人は食物繊維を摂ることで便秘が改善されていきます。
また、「便秘は一つの下剤だけでは治らない。」ともおっしゃっていました。「便秘はこの薬を飲んだら皆スッキリ。」とはいかないということです。その人その人に合った下剤を見つけることそしてその量を見つけることが大切だということです。そのためにも医師とのやり取りが大切になってきます。医師が処方した下剤でどのように便が出るのかをしっかりと医師に伝え、一緒に治していくことが大事です。
そしていきなり新しい下剤を使わないということです。例えば酸化マグネシウムから初めてみる。どうしても改善されない場合は次の薬を試してみるといったように、いきなり強い新しい薬をつかうのではなく、患者さん一人一人に合った下剤を見つけ出すといった過程が大切だと思います。
次に参加したのが特別企画「腸内細菌叢と疾患、特に腸疾患に関して」です。
人間は30兆の細胞でできているそうです。そして人間の大腸の中には40兆もの細菌がいるそうです。人間とその40兆もの細菌がお互いに共生している。そのバランスが崩れたときに様々な病気になるということです。
例えば大腸の中の最近の多様性が減少することで、病的肥満になったり、2型糖尿病になったり、また潰瘍性大腸炎を発症したりする。また腸内フローラの変化で自閉症やうつにもなり、これらの治療に正常糞便を移植する治療も試みられているそうです。
人間と町内の40兆ともいわれる最近腸内フローラがバランスよく共生することで人間の健康、命が営まれて言うんだなあと感じました。
そして、今年の学会の最後に聴いた講演は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙飛行士であり医師でもある金井 宣茂氏の宇宙ステーションでの研究生活の話でした。
今の時代は宇宙に行って地球に帰ってくるのはもう当たり前のこと、宇宙でどんな研究をしてくるかと言う時代になっていること。そこまでになった化学の進歩。意外と快適な宇宙ステーションでの生活。精神面も含めて宇宙ステーションでの生活を支える地球にいる人たち。こういったことが一つになって今の時点に到達していることを話されました。
月で一定期間居住できる居住地を作る計画があることなど、夢のあるお話を聞きました。
最後に宇宙ステーションには様々な国の人たちが集まり、皆が一つになって宇宙空間で過ごし、協力し合って研究をしている。またいかにエコに、そして無駄なものを出さずに再利用していく。地球でもそういったことが可能なのではないかとと話をされました。
来年は11月13日(金曜日)、14日(土曜日)に横浜の横浜国際平和会議場で第75回日本大腸肛門病学会学術集会が開催されます。今年は残念ながら発表することはできませんでしたが、また来年に向けて課題を見つけ、まとめていきたいと思います。
第74回日本大腸肛門病学会学術集会を終えて。Part2

台風だけでなく、さっきは地震がありました。震度3だそうです。自然の驚異を感じます。
さて、今回は第74回日本大腸肛門病学会学術集会に参加してPart2を報告しますね。
前回、「肛門病変への対応」の途中で終わりました。今回はその続きからです。
このセクションに「肛門狭窄と痔核の併存症例に対するSSG+ACL療法の検討」という演題がありました。SSGはSliding skin graftといって以前ホームページでも紹介しましたが、裂肛や肛門狭窄に対して行う手術です。
ACLはAnal cushion liftingといって内痔核の手術の一つで、内痔核を切除することなく、脱出する内痔核をもとの位置に戻して固定するという手術です。私は行っていません。
裂肛と内痔核を合併している場合はどのよう手術するかという内容です。この場合もケースバイケースだと思います。内痔核が7時(右後ろ)にあって、裂肛が6時(後方)にある場合は、内痔核を切除しながら裂肛によって硬くなった部分を切除して、緊張の強くなった括約筋の緊張をとる。場合によっては内痔核を切除した部分で括約筋を一部切開して緊張をとったり。内痔核の部位と裂肛の部位によっては内痔核に対して痔核根治術を行い。括約筋を切開するLSIS(渡邉医院では3時、左側で行います)を追加することがあります。ただ、肛門が硬く広がりが悪く硬い感じになってしまった場合は、痔核根治術とSSGを行うことがあります。痔核根治術を行った部分を利用してSSGを行うこともあります。
患者さん一人一人の裂肛や内痔核の具合や部位、肛門の硬さ広がり具合などを診ながら最適な手術を行うことになります。
ただ、肛門の手術を行う場合に一番大切なことは、どんな病気でも手術を行った後、肛門が柔らかく治っていくことがとても大切なことだと思います。そのためには、肛門の解剖をしっかり理解することが大切だと思います。
肛門という特殊性をしっかり考えて治療すること、このことを怠ると、術後の変形や機能不全に陥りやすいということをしっかりと注意していくことが必要です。
「Pagetoid spread を伴う肛門管癌に対して腹腔鏡下括約筋間直腸切除術を施行した1例」という演題もありました。
肛門にも悪性腫瘍が発生することがあります。肛門に近い部分にできる直腸癌や今夏の演題の様に肛門管癌であったり、肛門管から外側に広がる癌であったり、悪性黒色腫など様々な悪性腫瘍ができることがあります。肛門に近い部分(肛門縁から約10cm奥まで)の直腸癌や肛門癌は触診や視診で分かりますが、それ以外の特殊な悪性腫瘍はそんなに頻度はありません。でも一度写真でもいいので画像を見ているか見ていないかでは全然違います。またなにかおかしいと感じることもあります。そういった意味では、肛門疾患の様々な画像や写真は見ておいた方がいいと思います。
ポスターセクションにも行ってきました。ここにはいろんな症例の写真があり、勉強になります。
Part2はこのあたりにしておきます。次は便秘や腸内細菌叢の話を聞いてきたので報告したいと思います。