ONE FOR ALL, ALL FOR ONE
「ONE FOR ALL, ALL FOR ONE」
10月も第2週に入りました。やっと涼しくなってきたかなあと思います。あちらこちらで区民運動会が開催されています。スポーツの秋、食欲の秋になりました。スポーツ界は大変、
ワールドカップバレーや全国で繰り広げられているワールドカップラグビー、そしてドーハで開催されている世界陸上。ワールドカップバレーとワールドカップラグビーは、ほぼ同じ時間に開催されていて、テレビのチャンネルをあっちこっちに変えながら見なければならないです。いい場面を見逃してしまったり。ですから必ず夜のスポーツニュースをみて、もう一度感動を呼び戻したり。大変!またドーハで開催されている世界陸上は夜中から朝方にかけてテレビで放送されています。テレビは夜中じゅうつけっぱなしになっています。
いずれの大会も素晴らしい試合を繰り広げています。凄い!
ラグビーは今や凄い人気ですが、私が中学生、高校生の頃は凄い人気でした。中学高校と私は同志社に通っていました。その頃の同志社大学のラグビーは強かった。憧れのスポーツでした。もう終わってしまいましたが、大泉洋主演のドラマ「ノーサイド・ゲーム」は毎週欠かさず見ていました。皆が一つになっていくドラマとっても好きです。米津玄師が歌う主題歌「馬と鹿」のさびとドラマの映像があった時は、毎回涙してしまいました。
さてラグビーの言葉の中に「ONE FOR ALL, ALL FOR ONE」という言葉があります。私はこの言葉の意味を、「一人は皆のために、皆は一人のために。」だと思っていました。でも本当は「一人は皆のために、皆は一つの目標のために。」だということを知りました。なるほど、一人は皆のために、そしてその一人一人の力を集めて、皆は一人一人の夢見る目標に向かって進んでいく。ラグビーの試合を見ているとその意味が実感として伝わってきます。フォワードがトライに向けてボールを奪い、そして守。そしてその思いがこもったボールをバックスが繋いでトライにつなげる。やっぱりいい。心にグッときます。
話は変わりますが、一人一人が悩んでいることや不安なこと。どうしても自分一人の中に閉じ込めてしまいがちです。自分の思いを声に出して叫びたい。でもどう叫んだらいいのか?どこで叫んだらいいのか?自分の思いを聞いてくれる人がいるのか。そんな思いを持ちながら日々過ごしていることが多いのではないかと思います。でもね、きっと自分の感じていることは、他の人たちも同じように感じ悩んでいるのだと思います。そして誰かが自分の感じている思いを声に出して叫んで欲しいと思っているのではないでしょうか?誰かが声を上げることでみんなが一緒に声を上げてくれるのだと思います。その一番最初の一人になるのが難しい。でも声を上げなければ伝わらない。声を上げなければ変わらない。ならば、皆でその最初の一人になればいいと思います。
昔母が教えてくれた言葉があります。「一人でみる夢は夢でしかない。でも皆でみる夢は現実になる。」この言葉はいつも私の中にあります。そして、「ONE FOR ALL, ALL FOR ONE」。この言葉を胸に、皆で素晴らしい社会に変えていきたいと思います。
10月1日、消費税率が10%になって。
早いもので、今日から10月。今年もあと3か月になりました。時のたつのは本当に早いものです。
そして今日10月1日から、いよいよ消費税率が10%に上がりました。
朝、昼ご飯をコンビニに買いに行ったのですが、この時はICOCAで買ったので、消費税率10%になった実感はありませんでした。午前中の診療が終って会議に行くのにタクシーに乗ったのですが、その時タクシーの運転手さんが「今日から消費税が上がったので、料金が高くなります。」と声をかけられ、実際料金を払う際に「10%になったんだ!」という実感を感じました。またガソリンスタンドでもレギュラー、ハイオクの料金掲示板の値段がやはり昨日と違って高い。ここでも消費税10%になったことを感じることになりました。
今日からの消費税率10%への引き上げ。日常の生活にどう影響が出てくるかとても心配ですし、不安が大きいです。そして私達、医療を提供する医師としては、医療や社会保障にどんな影響が出てくるかがとても心配するところです。
これまで進められてきた患者負担増で、すでに十分な医療を受けられなくなっている患者さんもいます。
京都府内の医療機関に実施したアンケートでは、経済的な理由で、医療機関を受診できなくなったケースもあり、3割の医療機関で、患者さんが治療を中断するケースを経験しているとのアンケート結果です。
治療中断となった事例の多くは、生活習慣病ですが、中には悪性腫瘍なども含まれています。アンケートに答えて下さった医療機関からの声としては、「薬が切れているはずの患者さんが受診されない。」「受診の回数を減らしてほしい。」「薬代の負担を減らしてほしい。」などと患者さんから言われることが多いと回答しています。また、「専門の医療機関に紹介や入院をすすめたが拒否された。」という声や「症状の重い初診の患者さんが増えた。」などと回答する医療機関も少なくありません。
このようにこれまででも、本当は必要な医療を経済的な理由で受けたくても受けられないといった実態があります。
このような状況に、さらなる追い打ちとなるのが今日からの消費税率10%への引き上げです。このことでさらに私たち国民の生活が追い込まれ、命が危険にさらされていくことは目に見えて明らかです。
そもそも、消費税増税は全て社会保障に充てるということで、社会保障と税の一体改革が成立しました。しかし、現実は社会保障制度の充実とは程遠く、給付削減・自己責任ばかりが推し進められてきました。
このように、社会保障の充実か、消費税の引き上げかの、この二者択一を迫る方式では社会保障の充実は到底望めません。今一度、社会保障を充実させるために必要な財源は無いのか?すべての税制に対して検討し直す必要があるのではないでしょうか
国が行わなければならない一番の政策は国民の命を守ることです。それは武器を持って国民を守ることではありません。国民の生活や健康を豊かにして支え守る。このことが出来ないのであれば、国を治める資格はありません。
社会保障費の削減ではなく、さらなる社会保障の充実に向けての政策を打ち出し、しっかりと予算を充てる。そしてそのことによって、雇用を増やし経済を良い方向に転じさせ、国民一人一人が豊かな生活を送ることが出来る。そんな社会にしていかなければならないと思います。
今、私の母は認知症が進んでいます。そんな母が小さな子供を見ているときの穏やかな優しい眼差し。そして母が見せる笑顔。時にはそんなに笑うかと思うほど、顔をクチャクチャにして笑う母。そんな母の笑顔が私は大好きです。今進んでいる社会がこれからも続くのなら、その笑顔が見れなくなってしまいます。
私が大好きな母の笑顔をいつまでも見続けていられる社会にしていきたいと思います。
自分の排便リズムを知ることが大切
もうすぐ9月が終わります。今日の空はとても涼しそうでしたが、気温は上がって少し蒸し暑かったです。また、台風も近づいてきているようです。
さて、季節の変わり目変わり目で、便の調子が悪くなることがあるようです。ここ最近便が詰まってしまって受診される患者さんが多い気がします。
便秘をしたことがなく、いつも快便の人には便秘で悩むということは全くわからないと思います。でも、便秘の方は「どうしてスッキリ出ないんだろう。」と日々悩んでおられます。そしてどうしたら便秘が治っていくのかいつも考えて悩んでいます。そして便秘にいいというものがあれば、いろんなものを試している方も多いと思います。
これまでも何回か快便になる秘訣に関して記事を載せてきました。言うのは簡単ですが、実行するのは難しい。わかっているけどなかなか上手くいかない、そんなに言うほど便秘は解消しないと思っている方も多いと思います。その通りだなあと思います。
渡邉医院ではまずは酸化マグネシウムを処方しています。酸化マグネシウムで具合よく出る方もいますが、上手くいかない患者さんもいます。柔らかいけど何回も何回もちょっとずつしか出ないという方もいます。
便の量を増やすポリフルという薬もあります。また少しお腹の動きを良くしてあげたほうがいいこともあり、大腸を刺激する下剤もあります。
どのお薬をどのように飲んだら具合よく出るか。医師と一緒に快便に向けて取り組んでいかなければならないと思います。それにはお薬を飲んだらどんなふうに出るのかを最初はこまめに医師に報告して欲しいです。また、医師もそれをしっかり聞いてその患者さん患者さんにあったベストな下剤やその量を決めていかなければならないと思います。
また、緩下剤を飲んで具合よく出るようになると、どうしても早く緩下剤を止めないといけないと思っている方もいます。そんなことはありません。便秘は具合よく出る習慣をつけることです、焦らずじっくり治していくことが必要です。少し極端ですが、患者さんには「便秘だった期間をかけて、便秘を治していきましょう。1年便秘だったら1年かけて、2年便秘だったら2年かけて治す。そんな気持ちで治していくと早く良くなりますよ。」と話しています。
さて、便秘の方で、必ず毎日便を出さなければならないと思っている方がいます。毎日便が出るように、下痢をしてでも下剤を飲んで出している方もいるようです。
下剤をたくさん飲んで下痢をして便を出すと、シャーと出るだけでスッキリ感がありません。「下痢をしているけれどまだまだスッキリ出ていないんだ。」と勘違いしてさらに下剤の量を増やして出そうとする方もいます。これはチョット間違っています。
そもそもだれもがみんな、毎日便を出さなければならないわけではありません。その人その人に便が出るリズムがあります。
以前にお話したことがありますが、食べたものが消化され、吸収され、便になるまで早くて12時間、ゆっくりで3日間です。今日食べたものが3日後に便となって出ることがあります。ですから、毎日便が出る人、1日おきに便が出る人、2かに1回便がでるというリズムの方もいます。
1日おきに、また2日に1回便が出る人も、その時に気持ちよくスッキリ出て、便がでない日はお腹が張ったり不愉快な症状がなければ、毎日便が出なくても快便と言うことです。ですからこの人たちは毎日便が出なくても便秘ではないので治療の必要はありません。
それに対して、毎日便が出ている人でも、スッキリ便が出ないで常にお腹が張ったり不愉快な症状がある人は、毎日便が出ていても、とても便の状態が悪い、快便ではないということです。毎日便が出ていても治療が必要になってきます。自分の排便のリズムを知ることもとても大切なことだと思います。
地域医療を崩壊させないために。
9月26日に厚生労働省が次のような内容を発表しました。その内容は、「過剰な」病床数を削減する事を目的に全国の公立・公的医療機関を対象に、再編・統合の必要性について「再検証」を行い、京都では、市立福知山病院大江分院、舞鶴赤十字病院、国保京丹波町病院、独立行政法人国立病院機構宇多野病院の4病院その対象にしました。そして京都の4病院を含む全国の424もの公立・公的病院等の名称の公表を行いました。厚生労働省は、自治体病院や日赤などの公的病院等1,455病院を対象に、2017年度の病床機能の報告データを基に、「診療実績」「似た実績のある病院が近隣に存在するかどうか」という「分析」を行い、このうち人口100万人以上の区域を除いた3割の424病院に対して、病床数の削減・変更や診療体制の見直しが必要であるとして病院名を公表しました。そして、来年の9月までに各病院に病床の削減や他の病院との再編・統合などの結論を出すように求めています。
「再検証」は、重症患者向けの「高度急性期」、「急性期」病院を対象に、がんや救急医療など9項目の診療の実績はどうか、競合する病院が「車で20分以内」の場所にあるかどうかで判断しています。
しかし、このような明確な根拠のない基準や、機械的な指標では、それぞれの病院がこれまで果たしてきた歴史的な役割、また、地域に提供してきた医療を全く考量していない内容です。「車で20分以内」という時間だけでの交通事情で判断していいのか。地域の住民がなぜその病院を選び受診しているのかの理由もなく単に時間で決めてしまっていいのでしょうか。
またその病院が担っている機能、例えば難病やリハビリなどの特別な医療をしている状況などがまったく考慮されていません。しかも、日夜、患者のいのちを支えている医師や看護師の慢性的な不足の状況や労働実態などもまったく無視をした、地域・患者と医療従事者の実態を顧みない「机上の空論」に他なりません。京都社会保障推進協議会が行った府内の病院への懇談では、医師や看護師などの人手不足が深刻であり、今国が進めている医療提供体制「改革」によって患者の医療を受ける権利が奪われつつあることが明らかになりました。今回の「再検証」は、厳しい医療提供体制の状況の中で、これまで積み重ねてきた地域医療を支える医療機関の努力を無にし、地域医療を崩壊させてしまうものになります。
今回の厚労省による患者・住民、医療従事者、医療関係者の意見や声を聴くことなく、一方的にこのような内容を発表したことは、患者や地域に混乱をもたらすもの以外なにものでもありません。
発表された京都の4病院をはじめは、それぞれの地域の病院今提供している医療は、患者・住民が今どんな医療を必要としているのか、地域住民の命を守るために何が必要なのかを考え築き上げてきたものです。一長一短で築き上げてきたものではありません。そういった努力の下で出来上がってきた医療提供体制です。また公的医療機関はやはり民間の医療機関と担う役割が違います。そういった意味でも、患者にとって本当にかけがえのない病院です。
入院の病床があるから医療費がかさむ、医療費を削減するには病床を減らす必要がある。民間の病床を減らすのには高いハードルがある。では公的医療機関の病床を削り、医療費を削減するために再編・統合する。こういった単純な考えで地域を支えてきた医療提供体制を壊してしまっていいのでしょうか?
住民の意思、病院と地域の歴史を無視して進める病床削減は、地域の医療を不幸にするだけです。国民の健康、命を守るためにしなければならない政策とは何かをもう一度しっかり考え直す必要が厚生労働省にはあると思います。
いつ肛門科を受診したらいいの?
やっぱり暑さ寒さは彼岸までという言葉があるように、一気に涼しくなってきまいたね。これから秋へと季節が進んでいきます。紅葉の季節に入っていきますね。また秋は食欲の秋。10月のレシピもホームページに紹介しています。またこちらの方もみて下さいね。
さて、患者さんの悩みに、「いつ肛門科を受診したらいいのだろう?」というのがあります。いつもこの質問をされた時にこたえる私の言葉が、「思い立ったが吉日。」です。
やっぱりもうそろそろ受診しようと思った時が一番だと思います。医療には「早期発見、早期治療」という言葉がありますが、肛門の良性疾患、内痔核や裂肛、そして痔瘻は基本的には悪性の病気ではありません。これらの病気で命に係わることはまずありません。肛門の病気に対しての治療の基本は、嫌な症状を取り除くということが目的です。ですから「これまで悩んできた嫌な症状をそろそろ取り除こうかな?治してしまおうかなあ?」と思った時が肛門科を受診する一番の時だと思います。それが例えば、痛みが強くなってきたとか、出血が多くなってきたとか、出血が頻繁に起きるようになったとか、受診のきっかけはいろいろあると思います。
肛門科を受診しようと思ってためらってしまう原因は何なんだろうと考えてみました。
恥ずかしいんから?怖いから?その人にとっていろんな原因があると思います。でもたぶん受診できない原因はこうかなあと思います。それは受診したら、必ず病気を治さなければならないと思ってしまうところにあるのではないでしょうか?
治すとなると、「長いこと痔を持っていたからきっと手術になってしまうんだろうなあ。」とか、「手術は痛いんだろうなあ。」。また、「手術になったら入院かなあ?何日入院しなければならないのかなあ?」とか、「その間仕事はどうしよう。仕事は休めるかなあ?」など、受診をすると考えただけで、病気以外に様々な不安が頭をよぎっていきます。そしてその不安が段々大きくなていってしまいます。そうすると「やっぱり今は手術できない。」、「仕事は今は休めない。」。そして、「やっぱり今は受診できない。」といった風に考えが言ってしまうのではないでしょうか?
でも、もう一度考えてみて下さい。例えば内痔核の場合、今まで出血や脱出などのいろんな症状があったのに、嫌な症状があったにも関わらず、今日まで我慢出来ていたではないですか。内痔核は悪性の病気ではありません。スッキリ治すのには手術が必要な内痔核でも、今すぐ手術をして治さなければならないというわけではありません。自分が治そうと思った時、納得した時に手術をすればいいと思います。
ですからまずは、今の病気の状態がどうなのかを知るために受診してみてはどうでしょうか?治すための受診ではなく。
今の自分の病気は何なのか、そしてその病気の状況はどうゆう状態なのか。そしてその治療方法はどういったものがあるのかを聞くだけでも十分だと思います。
意外と自分が考えているほど病状は悪化していない場合も多々あります。自分の病状をしっかり知っておくこと、このことがとても大切なことだと思います。そして治療に関しては「よし自分の病状は分かった。しっかり治してしまおう!」と思った時に治したらいいと思います。
私も内痔核とその治療をお話するときには、例えば手術が必要な患者さんには、最後はこう言っています。「一番大事なところは、内痔核は悪性の病気ではないところです。嫌な症状を取り除くのが内痔核の治療です。慌てることはありません。この際スッキリしてしまおうと思って、時間が取れたときにしっかり治したらいいですよ。」と。
時々、「手術が必要です。ほっておくと出血がひどくなったり、血栓が詰まってすごく痛くなってしまいますよ。直ぐに手術しましょう。」と言われることがあるようです。
不安を抱えながら受診してこのように言われてしまうと、ますます不安が高まり、冷静に判断できなくなってしまいます。こんな時は一端、「今日は自分の病気の状態が分かって、治療法が分かったので良かったです。手術に関してはもう一度考えて、治そうと思ったらお願いしたいと思います。」と、その場で直ぐに決めなくてもいいと思います。
自分がしっかりと病状を理解して、納得して手術を受けようと思った時は、直ぐに決めてもいいと思います。
でも慌てることもありません。例えば出血がひどくなったとしても、出血に対しては手術をしなくても出血を抑える方法はいろいろあります。
例えば痔核硬化療法や軟膏などを使うことで出血は治まることがあります。また血栓が詰まって腫れてしまって、痛みが強くても消炎鎮痛剤の座薬を使うなどして痛みを抑えることができます。内痔核を根本的に治すことが出来なくても出血や痛みなどの症状を軽減させることはできます。
そのうえで自分が治そうと思った時まで保存的にみていくことが出来ます。
渡邉医院を受診している患者さんの中にも、手術が必要な患者さんで、自分が治そうと思うまで軟膏を使っている方もいます。軟膏がなくなったら受診され、「今のところ軟膏を使っていると大丈夫です。」とおっしゃっています。私も「手術してスッキリ治そうと思ったら言ってくださいね。その時は手術しましょう。それまでに、出血がひどくなったり、痛みが出たときは直ぐに診せて下さいね。その症状をとる方法は手術以外にもありますからね。」と言っています。
医師側も、自分の考えを患者さんに押し付けるのではなく、患者さんが今何を望んでいるのかをしっかり聞いてあげられる、そして「待つ」ことができるそんな度量を持たなければいけないと思います。
術後の不安はどこから生まれるのか。
9月ももう後1週間で終わってしまいますね。一日一日ががどんどん過ぎていくという感じです。一気に涼しくもなってきました。「暑さ寒さも彼岸まで。」とはよく言ったものですね。
さて、肛門の手術をして患者さんが一番気になるのが、具合よく治っていっているかどうかだと思います。
肛門の手術ではどうしても傷の治り具合が実際に患者さん本人が見えないというところに不安になる一番の原因があると思います。
例えば怪我をした場合、実際に怪我をした傷の具合をみることが出来ます。どの程度の傷なのか、出血の状況はどうかなど、実際に自分の目で見て確認することが出来ます。見ることさえできれば、これまでの経験が生かすことが出来ます。このくらいの出血なら、圧迫して置いたら自然に止まるだろうとか、この出血はこのままほっておくことはできない。病院に行かなければと自分自身で的確に判断してそれの基づいて対応をすることが出来ます。
また、傷の具合をみることが出来ると、「昨日よりは良くなってきた。」とか、具合が悪い場合も「少し化膿してきたかな?病院に行かなければいけないかなあ。」と判断することが出来ます。また傷を少し擦ってしまって、痛みがあっても、「傷を擦って少し痛くて、出血したけど、大丈夫だ!」の様に、見えるところに傷があると、これまでの経験が生かすことが出来て、適切な判断が出来ます。また、傷の治りの経過を診ることができるので安心感もあります。
それに対して肛門の手術は自分で傷をみることが出来ません。ここが大きな違いで、患者さんが具合よく治っていっているのか、経過が順調なのかが不安になる一番の原因だと思います。
また、通常の怪我や傷の場合は、なるべく触らないように、ガーゼを当てたり、包帯を巻いたり、バンドエイドを貼ったりして傷を保護しながら治していきます。誰も毎日怪我を擦って治す人はいません。擦ると痛みが出るのと、出血することを分かっているからです。でも肛門の手術でできる傷は違います。どうしても便が出る部分です。毎日使いながら治していかなければなりません。また歩いたり座ったり、どうしても傷を安静にして治していくことはできません。
肛門の手術をして患者さんが治ってきたと実感できるのは、排便時の痛みが楽になったとか、排便時の出血がなくなったとか、浸出液などがなくなり汚れなくなってきたなど、自分が感じる症状がとれることで「治ってきた!」と実感できます。
肛門の手術をすると、実際の傷の治りと、患者さんが治ってきたと実感できる排便時の痛みや出血などが減るといった症状が最初は一致しないところで患者さんは不安になっていきます。
例えば内痔核に対して痔核根治術を行った場合は、どうしても手術を施行した後、7~10日間は排便時の痛みがあります。7~10日が過ぎると、排便時の痛みが突然スッと楽になってきます。術後7~10日間の間は傷が治っていく準備をしている期間です。とても傷の治りにとっては大切なことをしているのですが、患者さんの感じる痛みにはさがなく、日に日に痛みが楽になっていくといった感じがありません。傷はちゃんと治っているのですが、痛みなどの感じる症状が楽にならない。このギャップが患者さんを不安にしていきます。
このギャップを埋めるのが医師や看護師などのスタッフが担う大切な役割です。そして、その時に傷の治りや患者さんの感じる不安や痛みの取れ具合などをしるデーターが患者さんにお願いしているアンケートです。このアンケートをもとに患者さんがどのようなことが不安なのか、心配なのかを知ることが出来ます。また、手術の傷の治りと患者さんの痛みや出血などの症状が良くなっていく過程が解ります。そしてその患者さんの症状と、傷が治っていく過程がピッタリ合っています。
手術をして7~10日間は傷が治っていく準備をしている「準備」期間です。
とても大切なことをしているのですが傷の大きさは術の傷とほとんど変わりません。ですから排便時の痛みなどはあまりかわりません。排便時の痛みがあったり、今日は少し楽かなあとおもったら次の日は痛かったなどどうしても波があります。しかし、そういった準備期間が終わって10日を過ぎてくると次は「収縮」と言って一気に傷が治っていく時期に入ります。術後7~10日を過ぎると一気に傷が小さくなり、つぎの1週間で約80%治っていきます。このように準備期間が終わると一気に傷が治っていくので、痛みも急にスッと楽になります。そして次の1週間で仕上げ。手術をして3~4週間で治っていきます。術後7~10かを過ぎると傷の治りと患者さんが感じる痛みや出血など治ってきたという実感が一致するようになります。
このように患者さんが見えない傷、これまでの経験が生かすことが出来ない肛門の傷やその治り方については、患者さんが不安を感じる前に前にと先手をうってお話してあげることが大切です。いつになったら痛みがとれるのか、どういった風に痛みが取れていくのかなどの傷の治りの関してその都度その都度話をしていくことで、患者さんの不安を鶏のどくことが出来、痛みがあっても出血があっても安心して過ごすことが出来ると思います。
患者さんも、自分の感じる不安は、しっかり医師や看護師などのスタッフに遠慮なく聞くことで、術後の経過は良好になっていくと思います。
便が出ないととても辛い!
台風17号が近づいてきています。京都は天気は悪いですが、まだ台風の影響はあまり感じられません。
先週は、糞便栓塞といって、便が詰まっていくら頑張ってもでないという症状で受診された患者さんが何人かいらっしゃいました。季節の変わり目で出にくくなってしまう方がいるようです。
そこまで便が来ているのにいくら頑張っても出ない。頑張っているうちに目の前が真っ暗になってしまう。貧血気味になる。強く頑張るので肛門が腫れて痛くなる。そして、便が出ないと尿まで出なくなってしまう。とても辛い状態です。
硬い便が詰まった状態で浣腸しても、浣腸の液しか出てきません。硬くなった便をある程度崩してから浣腸しなければ出すことはできません。
便が出なくなってからあわてて下剤を飲んでも硬くなった便は出てきません。と言うのも、硬くなった便を、内服薬で柔らかくするお薬はありません。下剤は硬くならないように柔らかくするための薬です。便が出ないから下剤を飲む、出ないから飲むという風に下剤を飲んでいると、本当に出なくなってしまうと、下剤を飲んでも出ません。場合によっては硬い便の脇をどろどろの便が24時間でてきて、下着を汚してしまうといった具合になってしまうこともあります。やはり便秘で悩んでいる方は、便秘を治す下剤を適切にしっかり飲み続けることが大事だと思います。
「下剤は癖になる!」と思っている方がいらっしゃいます。下剤の中には癖になる下剤もあります。例えばセンナやアロエ、ダイオウなどの成分が入っている下剤がそうです。これらの成分が入った下剤は、大腸を刺激して便を出す下剤です。したがって、これらの下剤を飲むとお腹が痛くなったりしますが必ず便が出ます。でも大腸を刺激して出す便なので、その刺激に慣れてくると段々効かなくなってきてしまいます。1錠だったのが2錠に、2錠が3錠へと段々飲む薬の量が増えていってしまいます。このことは1錠で出ていた便秘が、3錠飲まないと出ない頑固な便秘になってしまったということになります。
ではこれらの下剤はどうのよに使うかです。大腸を刺激する下剤は便秘を治すお薬ではなく、便を出すのが目的です。普段は調子よく便が出ているのが、たまたま出なかったときなどに一時的に飲む下剤です。食べたものが消化され吸収され便になるまでゆっくりで3日間です。3日間の間には1度はスッキリ便を出す必要があります。こういった時に大腸を刺激する下剤を飲むことはいいのかなと思います。
では常に便秘で悩んでいる方が便秘を治すのにはどんな下剤がいいかです。渡邉医院では、便秘で悩んでいる患者さんには、まずは酸化マグネシウムを処方しています。
酸化マグネシウムはただ単に便の中に水分を残して柔らかくする下剤です。大腸を刺激して出す下剤ではないのでお腹が痛くなったり、癖になったりはしません。
具合よく便が出るときは、便の中に程よく水分が含まれていて、便の量があって、そして大腸が具合よく動く。この三つがそろって具合よく便がでます。どれ一つ欠けても具合よく便はでません。酸化マグネシウムはこの中で、便の中に水分を残すだけの薬です。酸化マグネシウムで具合よく便が出るということは、便の量を増やすもとになる繊維は十分に摂っていて、大腸も具合よく動いている。ただ水分が足らないということです。酸化マグネシウムを飲みながら水分を十分に摂っていくことで便秘は治っていくということになります。
便が出ないということはとても辛いことです。朝気持ちよく便が出るということはその日1日を快適に過ごすことが出来る大切なことだと思います。便秘を治す下剤を正しく飲むことで、便秘を治していきましょうね。
10月の献立と「バターナッツかぼちゃのロースト」のレシピを紹介します。
10月のテーマ「いも・くり・なんきん」を使った10月の献立と「バターナッツかぼちゃのロースト」のレシピを紹介しますね。
9月も半分終わりました。湿度が下がったのか、気温が高くなっても過ごしやすくなりました。朝夕は本当に涼しくなりました。一気に秋が進みそうです。
暑さも和らぎ、食欲の秋。今回のレシピを組み合わせた献立を紹介します。是非作ってみて下さいね。
そして今回はもう一つ「バターナッツかぼちゃのロースト」のレシピも紹介しますね。
ところで、私は初めて「バターナッツかぼちゃ」という名前を聞きました。そこでいつもの様に少し「バターナッツかぼちゃ」を調べてみました。
バターナッツかぼちゃは南アメリカ大陸が原産で、アメリカでは極々ポピュラーなかぼちゃの一つだそうです。最近になって日本でも人気が高まってきているとのことです。海外から入ってきた品種ですが、分類上では日本カボチャと同じ仲間だそうです。形は瓢箪型をしています。「バターナッツかぼちゃ」とネットで検索すると、濃厚ポタージュ、バターナッツかぼちゃのグラタンなどいろんなレシピが紹介されています。
今回はシンプルにバターナッツかぼちゃのローストです。メイプルシロップをかけると、きっとスイーツのような味わいがあるのだと思います。場合によってはメープルシロップにさらにシナモンを少しかけてもいいんじゃないかと思いますがどうでしょう。
まずは献立から紹介しますね。
10月の献立
1人分 約600kcal、たんぱく質 30g、食物繊維 8g
・牛肉とかぼちゃの炒め物・サンマカルパッチョ(骨せんべい添え)・甘栗のクリーム煮・バターナッツかぼちゃのロースト・さつまいもとりんごのヨーグルト
バターナッツかぼちゃのローストのレシピを紹介します。
「バターナッツかぼちゃのロースト」
材料
バターナッツかぼちゃ 80g
オリーブオイル 大さじ1
メープルシロップ
塩こしょう 適宜
作り方
①かぼちゃをスライスしてオリーブオイルをかけ、オーブントースターで
やわらかくなるまで焼く。
- ②好みでシロップ、塩こしょうをかける。
- 管理栄養士さんから一言
-
バターナッツかぼちゃ
最近見かけることが多くなったひょうたん型のかぼちゃで、南アメリカが原産ですが、日本かぼちゃの仲間です。
栄養成分では、食物繊維、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンK、
カリウム、マンガン、マグネシウムを含み特、特にビタミンAとビタミンEを豊富に含んでいます。
「甘栗のクリーム煮」のレシピを紹介します。
10月のレシピのテーマは「いも・くり・なんきん」です。今日はその中の「くり」、「甘栗のクリーム煮」のレシピを紹介します。
甘栗と言えば、直ぐに頭に浮かんでくるのが「天津甘栗」です。以前は時々買って食べていました。四条通にも天津甘栗屋さんがありますよね。栗の皮を剥くとき指が少し黒くなってしまいますが、いったん食べだすとやめられなくなってしまいますよね。今ではコンビニでも、すでに皮を剥いた状態の甘栗を売っていますね。簡単に食べれるようになりました。
実家の近くのお宅に、大きな栗の木があって、毎年、イガ付きの取れたての栗をいただき、母が湯がいてくれました。そのままでも美味しいのですが、栗をもらった時は、必ず栗ご飯を炊いてくれました。ゴロっとした栗が入っている少し塩気が効いた栗ご飯。美味しいです。
今回はその甘栗を使ってのクリーム煮。甘栗のクリーム煮、少し甘さがあるのかなあと思いますが、チョット想像つきませんが、美味しそうです。
少し話は変わりますが、縄文時代縄文人の集落の周りには栗林などが人工的に作られた跡が残っているということです。縄文時代は栗が主食だったようです。
でもそれもわかる気がします。そんなに癖もなく、食べだしたらやめられなくなる。保存もきくので主食になったのでしょう。また縄文時代では無理だったかもしれませんが、今では栗を使ったいろんな料理やお菓子がありますよね。
では、「甘栗のクリーム煮」のレシピを紹介しますね。
「甘栗のクリーム煮」
1人分 約130kcal、たんぱく質 8g、食物繊維 3g
材料(4人分)
甘栗(1袋) 65g
エリンギ 1/2パック
しめじ 1/2パック
玉ねぎ 1/2個
鶏むね肉 80g
★小麦粉 大さじ1
バター 大さじ1
牛乳 200g
塩こしょう
作り方
- ①鶏むね肉はそぎ切りにし、★小麦粉をつけてバターで焼き、取り出す。
- ②玉ねぎはスライスし、エリンギ、しめじは食べやすい大きさにして
①で炒める。 - ③②に牛乳、甘栗を入れとろみがついたら①を戻し、塩こしょうで味を整える。
- 管理栄養士さんから一言
-
甘栗
コンビニやスーパーでも手軽に変えるようになった甘栗です。
旬の生の栗は「食べたいけど手間がかかるし」と敬遠されている方はぜひお試しください。
甘栗の食物繊維は豊富でさつまいもの2倍も含まれています。
葉酸やカリウムも豊富です。糖質も多いので栄養不足の方にはよい食品ですが食べ過ぎには注意が必要です。
「さんまのカルパッチョ」のレシピを紹介します。
「さんま」は「秋刀魚」と書いて秋の味覚を代表する魚ですね。塩焼きにして大根おろしと一緒に熱い白ご飯を食べる。美味しいですよね!
栄養も豊富で、EPAやDHAが含まれていて血液をサラサラにすると言われています。DHAは悪玉コレステロールを減らす作用もあります。また蛋白質やビタミンも豊富です。ビタミンB2 は他の魚の3倍以上、ビタミンAは牛肉の12倍と言われています。
でも今年はさんまの漁獲量が例年の7分の1とのことです。ニュースでもやっていましたね。秋の味覚。大衆魚のさんまが高嶺の花になってしまっては困りますね。
今日はさんまのカルパッチョ。さんまは傷みやすいと言われていますね。以前ではさんまを生では考えられなかったことでしょう。現在の流通のおかげですね。さんまもいろんな食べ方ができるようになりました。ありがたいことです。
それでは、「さんまのカルパッチョ」のレシピを紹介しますね!
「さんまのカルパッチョ」
1人分 約140kcal、たんぱく質 7g、食物繊維 1g
材料(4人分)
さんま 1尾
玉ねぎ 1/2個
貝割れ大根 1/2パック
オリーブオイル 大さじ1
ハーブソルト
塩
作り方
- ①さんまは3枚におろし、背骨は水につけておく。
*刺身のさんまを買ってくると簡単です。
②玉ねぎをスライスし①をのせ、貝割れ大根を飾る(写真は赤万願寺)
③ハーブソルトとオリーブオイルをかける。
骨せんべいの作り方
①水気をよくとって皿に並べ、塩をまぶして電子レンジで1分チン
(ラップなし)。
- ②取り出して塩をして再度1分チン。
- ③カラカラになるまで必要ならもう一度繰り返す。
*油でゆっくり揚げてもおいしくできます。