「牡蠣の柚子胡椒焼き」のレシピを紹介します。
11月のレシピは「秋の和食」をテーマにしています。これまで紹介した3品はスウィーツでした。今日はかきはかきでも牡蠣の方。「牡蠣の柚子胡椒焼き」のレシピを紹介します。
牡蠣と言えば、姫路に大学時代の親友がいます。時々その親友が牡蠣を送ってくれます。殻付きの生の牡蠣を送ってくれるのですが、一番最初に送ってくれた時は、どうやって殻を開けたらいいのか、何を使って開けたらいいのかわからず四苦八苦。一つの牡蠣の殻を開けるのに結構時間がかかっていました。最近は開けるこつを憶えて、わりと早く開けることが出来るようになりました。経験は物を言うです。やっぱり新鮮な牡蠣は美味しいです。そのままレモンを絞ってズルズルっと食べる。磯の香もしてとても美味しい。一気に食べてしまいます。また牡蠣のお鍋も美味しいですね。牡蠣フライもいいですよね。ソースでもいいし、タルタルソースもいいですね。
さて今日は「牡蠣の柚子胡椒焼き」。焼いた牡蠣もいいですよね。
ではそろそろ「牡蠣の柚子胡椒焼き」のレシピを紹介しますね。
「牡蠣の柚子胡椒焼き」
1人分 約180kcal、たんぱく質 5g、食物繊維 2g
材料(2人分)
牡蠣 6個
★柚子胡椒 小さじ1/2
★小麦粉 大さじ1
★水 小さじ2
サラダ油 適宜
付け合わせ
さつまいも
人参
大根
*付け合わせ用ソース
マヨネーズやポン酢
作り方
- ①牡蠣はきれいに洗い、水気を取る
- ②★を混ぜ①につけて油を引いたフライパンで焼く。
- ③レンジでやわらかくした付け合わせも焼く。
管理栄養士さんからの一言
牡蠣
牡蠣は栄養の豊富さで「海のミルク」とも言われていますが、即エネルギー源となるグリコーゲンが多く体力・免疫力に効果が期待でき「天然の栄養ドリンク」とも言えそうです。
アミノ酸のコハク酸はうまみ成分であるとともに体力回復に、またタウリン、亜鉛、銅、鉄、カルシウム、マグネシウム、ビタミンB12、葉酸なども多く肝臓の働きや造血作用も助けてくれます。
私達が守るものは。
私たち医療にかかわるものがなぜ戦争のない平和な社会を作るりくみに関わらなければならないのかを少し考えてみたいと思います。
私たちが、「戦争反対!平和な社会を!」と声を上げたり、政治に対して何かものを言ったりするとき、何か特別なことをしているような印象をもつ方がいます。またそういったことをする人は特別な人たちなのではないかと思う人もいると思います。でも本当にそうでしょうか?自分の感じること、思っていることを素直に声にする。いろんな人たちに聴いてもらうことは極々自然なことだと思います。もっと自分の感じる思いをしっかり声を上げて伝えることは自然な私たちの権利だと思うことが必要だと思います。
さて、私たち医療にかかわるものの責務は憲法25条を実現させ守ること、社会保障を充実させることです。でも憲法25条だけを単独で実現させることはできません。
やはり、だれもが健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有するためには、国そのものが平和でなければなりません。そして、個人として尊重され、幸福を求める権利が保障され守られていなければなりません。
こういったことからも、私達医療に係るものは患者さんや国民の健康を守るには平和な国造り、そして憲法を生活に生かす。そういったことを日々の生活のなかで考えていかなればならないのだと思います。
では憲法25条を実現させる、社会保障を充実させる取り組みをする。なにか漠然としています。では一体私は何を守りたいのか。私は医師です。目の前にいる患者さんの命、健康を守りたい。そして私を支えている診療所のスタッフの生活を守りたい。そして家族を守りたい。
今、守りたい母はかなり認知症が進んでいます。私のこともどこまでわかっているかはわかりません。でもそんな母が小さな子供を見つめる穏やかな、そして優しい眼差し。そして母が見せる笑顔。たまにこんなに笑うかと思うほどに、顔をクチャクチャにしてまで笑う母。私はそんな母の笑顔が大好きです。そして、その母の笑顔をずっと見ていたい
でも戦争が出来る国にしていこうとする動き。そして戦争になると、まずは私の母や、障害のある人たち、本来は国が責任を持って守り支えていかなければならない人たちがまず初めに犠牲になってしまいます。そして戦争に向かう社会では必ず優生思想が大きく私たちの前に現れてきます。とても怖い社会です。
まだまだそんなことにはならないと思っていても、また、時の為政者が「戦争をすることなどない。」、「憲法を変えても戦争するわけではない。」と言っても、戦争はその姿を見せることなく、私たちの心の隙間にスッと入り込んでいつの間にか戦争へと導いてしまいます。ですからどんな些細なことでも戦争へ進む目はみんなの力で摘み取っていかなければなりません。
私たちの守りたいものはなに。一人一人の思いいがみんなの思いに繋がります。そしてその力で私たちの目指す平和な社会にしていきましょう。
「栗の渋皮煮」のレシピを紹介します。
11月のレシピ。まずは甘いスウィーツから紹介しています。
今日は、「栗の渋皮煮」のレシピを紹介しますね。
栗は以前もお話したと思いますが、母がとても好きで、ご近所の方が下さる栗をむいて栗ご飯にしてくれていました。栗ご飯美味しいですよね!でも栗は甘くするのもいいですよね。もうすぐ、本当に早いですがお正月のお節料理の中の栗きんとんや黒豆と一緒に甘く煮た栗。押しいですよね。お菓子ではマロングラッセやケーキのモンブラン。甘いお菓子もいいですよね。
そうそう、今日、久しぶりにデパート(昔は百貨店ていってましたよね。)に行きました。食器などを売っているところを見ていると、栗を剥く道具や銀杏の殻を割る道具が売っていました。こんな道具も売っているんだと思いました。
それでは「栗の渋皮煮」のレシピを紹介しますね!
「栗の渋皮煮」
材料(作りやすい分量)
栗 1kg
重曹 大さじ2
砂糖 400g
ブランデー お好みで
作り方
- ①栗を熱湯につけてそのまま冷めるまで置いておく
(鬼皮がむきやすくなります)
②渋皮に傷をつけないようにおしりのほうから鬼皮をむきます。
③鍋に②とたっぷりの水と重曹大さじ1を入れ火にかける。20分ゆでる。
④崩れないように水に取り、やさしく筋を取り、きれいな水につけます。
⑤③④をもう一度繰り返します。
(栗の硬さ、筋の残り具合でもう一度繰り返す。)
⑥ひたひたの水と砂糖の1/3を入れ10分煮ます。
⑦ひたひたを保ちながら(水が足りなければ足し)砂糖1/3を足し10分煮ます⑧最後の砂糖を入れ10分煮ます。
⑨ブランデーをいれて一煮立ちさせ、一晩おいておく。
⑩保存袋に移し汁ごと冷凍します。
(冷凍することによりしっとりします)
「無花果の赤ワイン煮」のレシピを紹介します。
今日は「無花果の赤ワイン煮」のレシピを紹介しますね。
11月は「秋の和食」をテーマにレシピを紹介しています。前回は「柿のプリン」のレシピを紹介しましたが、今回もスウィーツをもう1品紹介します。
ところで、イチジクは「無花果」と書きます。どうして「花の無い果」と書くのだろうと思い調べてみました。そういえばイチジクの花、私は見たことがありません。調べてみると、私は知らなかったのですが、私達が食べているイチジクですが、果実ではなく、イチジクの花に当たる部分を食べてるということです。果実の様に見える部分は、本当は花軸が肥大化したもので、イチジクを切った時に粒粒の様に見えるのがイチジクの花だそうです。「無花果」と書くのは、実際に花が咲かないのではなく、「実」の中に無数の白い花を咲かせるため、外から見えないので「無花果」と書くようです。イチジクの花、見たことがなかったのも当然ですね。
私が小さかったころ、小学生の低学年の頃、私の家の近くにイチジクの木がありました。イチジクの実をとったり、葉や茎を切ると白い汁が出てきました。触るとネバネバしていて痒くなったことを記憶しています。アダムとイブのアダムの絵にイチジクの葉を付けているのを見て、「痒くならないのかなあ」と心配したのを憶えています。
この白い液体ですが、蛋白質分解酵素・フィシンというものだそうです。イチジクが害虫から身を守るための防衛物質だそうです。
そろそろ「無花果の赤ワイン煮」のレシピを紹介しますね。
「無花果の赤ワイン煮」
材料(作りやすい分量)
いちじく(小さいもの)8個
砂糖 50g
赤ワイン 100ml
レモン汁 小さじ1
作り方
- ①いちじくがちょうど並ぶ小さめの鍋に、いちじく・赤ワイン・砂糖を入れふたをして弱めの中火で煮ます。(皮はむいてもむかなくても。写真はむいてません)
- ②やわらかくなればレモン汁を入れます。
*いちじくが終わりかけの小さいものがコンポートには向いてます。
*出来立てもおいしいですが冷蔵庫で冷やし2日から1週間くらいが味がなじんできます。ヨーグルトやアイスクリームと一緒にどうぞ。
管理栄養士さんから一言
いちじく
水溶性食物繊維のペクチンやカリウム、鉄、カルシウムのほかに女性ホルモンと同じ働きをする栄養素もあり、便秘、下痢、むくみ、老化防止、胃もたれ防止にも効果が期待できます。
傷みやすいので早めに食べること。食べ過ぎないことが大切です。
「柿プリン」のレシピを紹介します。
昨日のワールドカップラグビー、日本対スコットランドの試合。とても素晴らしい試合でした。そして日本チームのベスト8進出おめでとうございます。
力と力がぶち当たる力の入った試合でした。ホワードが開いての攻めをしっかり食い止める、何度も何度も相手の攻撃を体を張って止める。そして、そこから出たボールをしっかり繋いでトライにつなげる。チームが一つになってトライへとつなげていく。この姿に私たちは感動を覚えるのだと思います。また試合が終わった後の選手たちの顔。とてもいい表情をしていました。感動しました。
ベスト4をかけた南アフリカとの試合は、20日の日曜日。また応援したいと思います。
さて、11月のレシピのテーマは「秋の和食」です。そのまず第一弾は、スウィーツから紹介したいと思います。
その一つ目のスウィーツは「柿のプリン」です。柿もプリンになるんだと思いました。でも柿は和食にもよく合うと思います。柿を使っての白和えなども美味しいです。
パリパリっと硬い柿も美味しいですし、熟しきった少しドロッとした柿をスプーンで食べるのも美味しいですよね。
後で管理栄養士さんからの一言でも紹介しますが、柿には様々なビタミンが含まれているようです。また食物繊維も豊富で便秘にもいいようです。でも柿の中にはタンニンが含まれています。タンニンは2日酔いの予防や改善、余分な脂肪を燃焼する効果もあり、高血圧や動脈硬化といった生活習慣病の改善の効果もありますが、摂りすぎると便秘になることがあります。ではどの程度の量が目安かを調べてみると、200g前後を目安のとありました。200gと言うと、小さめの柿だと2個分、大きい柿だと1個分となるそうです。これを目安にしてくださいね。
それでは「柿のプリン」のレシピを紹介しますね。
「柿のプリン」
1人分 約50kcal、たんぱく質 2g、食物繊維 1g
材料(2人分)
柿 1個
牛乳 柿の半分
柿の甘みによって砂糖を加えてください。
作り方
- ①柿と牛乳をミキサーにかける。
- ②器にそそぎ冷蔵庫で冷やす。
*柿のペクチンによって固まります。
*ムースほどのやわらかいプリンです。
管理栄養士さんからの一言
柿
柿は「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われ、ビタミンCはかんきつ類の2倍も含まれています。他にもビタミンA、K、B1、B2も多く、疲労回復や風邪の予防、タンニン、カリウムには二日酔いの回復効果が期待できます。
栄養豊富でおいしい旬の柿ですが食べすぎにはご注意ください。
痔瘻に対して手術を施行した889例の部位別最大肛門静止圧の比較検討
台風19号は大きな被害を各地に与えました。被災された方々には本当にお見舞い申し上げます。早期の復興をお祈り申し上げます。
私は無事に京都に帰ってきました。今日の朝、新幹線で帰ってきました。在来線が動かない中、初めて経験した誰もいない東京駅。新幹線だけが動いている中帰ってくることが出来ました。
台風の中いろんな経験をしました。初めての学会の丸まる1日のプログラムの中止。
台風の中どこも行くことが出来ない中、早い時間のホテルへのチェックイン。3時チェックインまで、ホテルの方のご好意で、宴会場を開けていただき、チェックインまで快適な空間を与えて下さったことへの感謝。いろんな経験をしました。
残念ながら学会では発表できませんでしたが、ホームページでパワーポイントを使って発表できなかった演題を報告したいと思います。
日常の診療を行うにあたって、痔瘻は肛門の締まりが強い患者、すなはち括約筋の緊張が強い患者に多いという印象があります。実際、痔瘻において、最大肛門静止圧は高く、また、若い男性に多く発生するのも、このことに起因すると考えています。
今回、痔瘻の発生部位によって、最大肛門静止圧に差があるのかについて検討しました。
対象は、平成10年10月から平成31年2月までに痔瘻の手術をした889例、男性778例、平均年齢41.0歳。女性111例、平均年齢42.4歳を対象としました。
痔瘻の発生部位を前方、後方、側方の三つに分けました。11時、12時、1時を前方、5時、6時、7時を後方、2時、3時、4時、8時、9時、10時を側方としました。そして、それぞれの最大肛門静止圧について比較検討しました。
対象とした889例中、男性は788例、87.7%。女性は111例、12.3%と圧倒的に痔瘻は男性に多く認めました。
痔瘻の発生部位をみると、男性では、前方105例、13.3%。後方526例、66.8%。側方157例、19.9%と後方が全体の約70%を占めました。これに対して女性では、前方29例、26.2%。後方55例、49.5%。側方27例、24.3%と男性と比較して側方、前方が多い傾向がありました。
年齢についてみると、男性では、前方41.0歳、後方42.8歳、側方39.3歳と側方でやや年齢が低い印象はあるが明らかな差は認めませんでした。
女性では前方42.3歳、後方43.3歳、側方41.6歳と各部位で明らかな差は認めなかった。また男女差も認めなかった。
次に、痔瘻発生部位別の最大肛門静止圧をみると、男性では、前方127.5mmHg、後方127.7mmHg、側方125.2mmHgと側方でやや低い傾向はあるものの、それぞれの部位で明らかな差は認めませんでした。
女性においては、前方98.0mmHg、後方84.8mmHg、側方93.6mmHgと男性と比べてすべての部位の最大静止圧は低く、また後方の最大静止圧がやや低い傾向にありましたが明らかな差は認めませんでした。
まとめです。
今回、痔瘻の発生部位別の最大肛門静止圧を比較検討する際に、側方の痔瘻において最大肛門静止圧が後方より低いのではないかと考えていました。しかし、今回の検討の結果では各部位とも男女とも最大肛門静止圧に明らかな差は認めませんでした。痔瘻の発生部位では、男性と比較して女性では前方、側方がやや多い傾向にありました。
男性と女性の最大肛門静止圧をみると、明らかに女性の方が低く、女性の痔瘻に対して痔瘻根治術を施行する場合は、より術後の機能温存に注意を払い手術を施行する必要があると考えます。
第74回日本大腸肛門病学会学術集会を終えて。最終回
今回のPart3で第74回日本大腸肛門病学会学術集会の報告は最終回です。
今は、ホテルの中にいるので外の台風19号で外がどういった状況になっているかわかりません。ホテルの中は静かです。さっきの地震の揺れはチョットびっくりしました。テレビの報道を見ていると、被害が出てきているようです。これから本格的に台風が来ます。今後どうなるか不安です。
今日の夜中から明日の未明に東京を台風は通過するので、明日は京都に変えれるかなあと思っていますが、被害の状況によってはいつ帰れるかはわからない状況になるかもしれないと覚悟しています。
でも14日の月曜日も休みでよかったと思います。また火曜日から通常通りの診療を始めることが出来ます。そういった意味では、ホッとしています。
今回最初に報告するのはランチョンセミナーで「慢性便秘の診断と治療―新規便秘症治療薬の適切な使い方―」です。
ランチョンセミナーは、製薬会社などが共催で行う講演会です。午前のセクションが終わった後のお昼に開催されます。お弁当を食べながら話を聞くのですが、以前母と一緒に学会に行っていた時は母が、「お尻の手術や大腸がんの手術をしている映像や話を聞きながら皆お弁当を食べて凄いわね。」と。今までそんなことを感じていませんでしたが、母の感覚の方が正しいのかもしれません。やはり医師はチョット特殊な感覚を持っているのかもしれません。
まずは便秘を治す一番の基本は、便秘がどんな便秘なのかをしっかり診断することです。
以前ホームページに便秘についての話をアップしました。大腸癌や大腸の狭窄など、大腸の器質的な疾患が無ければ便の中に程よく水分が含まれ、食物繊維を摂って便の量を増やして、そして大腸が具合よく動く。この三つがすべてそろって調子よく便が出るというお話をしました。このうちのどこが悪くて便秘になっているのかをまずはしっかり診断することが大切です。
水分が足らなくで便が硬くて便秘であるのならば、十分な水分を摂ることが必要です。また食物繊維が足らなくて便秘であるのならば、食物繊維をしっかり摂って便の量を増やす必要があります。また大腸の動きが悪くて便秘であるのならば、大腸が具合よく動くようにしなければなりません。またこれらが重なり合っての便秘かもしれません。そこをしっかり診断する必要があります。
講演のなかで、「慢性便秘の改善と食物繊維の摂取量とは相関しないことがある。」と話されました。食物繊維を十分に摂って便秘が改善する人は全体の40%と言うことでした。例えば大腸の動きが悪くて便秘の人や、直腸まで来た便が直腸瘤や排便時の奇異性運動などで、直腸まで来た便を出すことが出来ずに便秘の患者さんは、食物繊維をとって、便の量が増えるとますます便が詰まってしまい苦しくなってしまいます。こういった患者さんは直腸瘤の治療を行ったり、排便時の奇異性運動の治療などが必要になってきます。こういった排便障害のない便秘の人は食物繊維を摂ることで便秘が改善されていきます。
また、「便秘は一つの下剤だけでは治らない。」ともおっしゃっていました。「便秘はこの薬を飲んだら皆スッキリ。」とはいかないということです。その人その人に合った下剤を見つけることそしてその量を見つけることが大切だということです。そのためにも医師とのやり取りが大切になってきます。医師が処方した下剤でどのように便が出るのかをしっかりと医師に伝え、一緒に治していくことが大事です。
そしていきなり新しい下剤を使わないということです。例えば酸化マグネシウムから初めてみる。どうしても改善されない場合は次の薬を試してみるといったように、いきなり強い新しい薬をつかうのではなく、患者さん一人一人に合った下剤を見つけ出すといった過程が大切だと思います。
次に参加したのが特別企画「腸内細菌叢と疾患、特に腸疾患に関して」です。
人間は30兆の細胞でできているそうです。そして人間の大腸の中には40兆もの細菌がいるそうです。人間とその40兆もの細菌がお互いに共生している。そのバランスが崩れたときに様々な病気になるということです。
例えば大腸の中の最近の多様性が減少することで、病的肥満になったり、2型糖尿病になったり、また潰瘍性大腸炎を発症したりする。また腸内フローラの変化で自閉症やうつにもなり、これらの治療に正常糞便を移植する治療も試みられているそうです。
人間と町内の40兆ともいわれる最近腸内フローラがバランスよく共生することで人間の健康、命が営まれて言うんだなあと感じました。
そして、今年の学会の最後に聴いた講演は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙飛行士であり医師でもある金井 宣茂氏の宇宙ステーションでの研究生活の話でした。
今の時代は宇宙に行って地球に帰ってくるのはもう当たり前のこと、宇宙でどんな研究をしてくるかと言う時代になっていること。そこまでになった化学の進歩。意外と快適な宇宙ステーションでの生活。精神面も含めて宇宙ステーションでの生活を支える地球にいる人たち。こういったことが一つになって今の時点に到達していることを話されました。
月で一定期間居住できる居住地を作る計画があることなど、夢のあるお話を聞きました。
最後に宇宙ステーションには様々な国の人たちが集まり、皆が一つになって宇宙空間で過ごし、協力し合って研究をしている。またいかにエコに、そして無駄なものを出さずに再利用していく。地球でもそういったことが可能なのではないかとと話をされました。
来年は11月13日(金曜日)、14日(土曜日)に横浜の横浜国際平和会議場で第75回日本大腸肛門病学会学術集会が開催されます。今年は残念ながら発表することはできませんでしたが、また来年に向けて課題を見つけ、まとめていきたいと思います。
第74回日本大腸肛門病学会学術集会を終えて。Part2
台風だけでなく、さっきは地震がありました。震度3だそうです。自然の驚異を感じます。
さて、今回は第74回日本大腸肛門病学会学術集会に参加してPart2を報告しますね。
前回、「肛門病変への対応」の途中で終わりました。今回はその続きからです。
このセクションに「肛門狭窄と痔核の併存症例に対するSSG+ACL療法の検討」という演題がありました。SSGはSliding skin graftといって以前ホームページでも紹介しましたが、裂肛や肛門狭窄に対して行う手術です。
ACLはAnal cushion liftingといって内痔核の手術の一つで、内痔核を切除することなく、脱出する内痔核をもとの位置に戻して固定するという手術です。私は行っていません。
裂肛と内痔核を合併している場合はどのよう手術するかという内容です。この場合もケースバイケースだと思います。内痔核が7時(右後ろ)にあって、裂肛が6時(後方)にある場合は、内痔核を切除しながら裂肛によって硬くなった部分を切除して、緊張の強くなった括約筋の緊張をとる。場合によっては内痔核を切除した部分で括約筋を一部切開して緊張をとったり。内痔核の部位と裂肛の部位によっては内痔核に対して痔核根治術を行い。括約筋を切開するLSIS(渡邉医院では3時、左側で行います)を追加することがあります。ただ、肛門が硬く広がりが悪く硬い感じになってしまった場合は、痔核根治術とSSGを行うことがあります。痔核根治術を行った部分を利用してSSGを行うこともあります。
患者さん一人一人の裂肛や内痔核の具合や部位、肛門の硬さ広がり具合などを診ながら最適な手術を行うことになります。
ただ、肛門の手術を行う場合に一番大切なことは、どんな病気でも手術を行った後、肛門が柔らかく治っていくことがとても大切なことだと思います。そのためには、肛門の解剖をしっかり理解することが大切だと思います。
肛門という特殊性をしっかり考えて治療すること、このことを怠ると、術後の変形や機能不全に陥りやすいということをしっかりと注意していくことが必要です。
「Pagetoid spread を伴う肛門管癌に対して腹腔鏡下括約筋間直腸切除術を施行した1例」という演題もありました。
肛門にも悪性腫瘍が発生することがあります。肛門に近い部分にできる直腸癌や今夏の演題の様に肛門管癌であったり、肛門管から外側に広がる癌であったり、悪性黒色腫など様々な悪性腫瘍ができることがあります。肛門に近い部分(肛門縁から約10cm奥まで)の直腸癌や肛門癌は触診や視診で分かりますが、それ以外の特殊な悪性腫瘍はそんなに頻度はありません。でも一度写真でもいいので画像を見ているか見ていないかでは全然違います。またなにかおかしいと感じることもあります。そういった意味では、肛門疾患の様々な画像や写真は見ておいた方がいいと思います。
ポスターセクションにも行ってきました。ここにはいろんな症例の写真があり、勉強になります。
Part2はこのあたりにしておきます。次は便秘や腸内細菌叢の話を聞いてきたので報告したいと思います。
第74回日本大腸肛門病学会学術集会を終えて。Part1
10月11日の金曜日から10月12日の土曜日まで、東京のヒルトン東京お台場で第74回日本大腸肛門病学会学術集会が開催される予定でした。
しかしながら、台風19号の影響で11日の金曜日だけの開催となり、12日のプログラムはすべて中止となりました。私の発表は12日の金曜日でしたので発表することなく今回の学会は終了しました。12日の土曜日には、私が大学にいた頃に所属していた大腸肛門班の同窓会をする予定でしたが、残念ですがこちらも中止となってしまいました。
今日は京都に帰ることが出来ないので、もう1泊して明日京都に帰る予定です。
今回の台風は巨大なモンスター級の台風とのこと、被害が出ないことを願うしかありません。
さて、今回の学会は1日だけとなりましたが、とても勉強になりました。今まで私が感じていたこと、思っていたことが正しかったんだと確信することもできました。また来週からの診療に直ぐに役立つこともありました。今回もその内容を報告したいと思います。1回では無理かなあと思いますので、2回程度に分けて報告したいと思います。
まず最初に参加したのは「痔瘻手術治療の現在地」というビデオシンポジウムです。発表された先生方は様々なこだわりを持って痔瘻の手術をされていました。
でもやはり痔瘻の手術は「根治性と機能温存」が大きなテーマで今後も続く永遠のテーマだと思います。ただ、痔瘻には様々な痔瘻があります。患者さん一人一人痔瘻は違い、様々に瘻管が走行しています。ですから一人一人痔瘻の走行を確認して手術をしていく必要があります。それでもなかなか難しいこともありますが、1回の手術で根治させる手術を行わなければならないと思います。スーパードクターだけが出来る痔瘻根治術でなく、だれもが標準的にできる1回で済み、括約筋を傷つけることなく原発口、原発巣を処理できる痔瘻根治術の方法が生み出されることを望むところです。
次に参加したプログラムは「肛門病変への対応」です。
このセクションは7題の演題がありました。その中の一つに「年齢と便秘スコアによるGoligher分類の病期間隔進行の予測」という演題がありました。やはり便秘の程度が悪い人ほど内痔核になりやすく、便秘が改善されないと内痔核が進行していきます。発表の内容では、対象の患者さんの病期間隔は第Ⅱ度(排便時に脱出するも自然に戻る)から第Ⅲ度(排便時に脱出して押し込む)までの期間は4年、第Ⅲ度から第Ⅳ度(脱出したままで戻らない)までの期間は1年と第Ⅱ度から第Ⅲ度までの期間より、第Ⅲ度から第Ⅳ度までの期間が短いという報告でした。また、年齢が若年であるほど第Ⅱ度から第Ⅲ度への期間、第Ⅲ度から第Ⅳ度への期間が短いとの報告でした。
若い人で便秘である患者さんは、便秘を治療することが内痔核の悪化を防ぐ方法で、便秘が続くことで、早期に内痔核が悪化して手術が必要となる可能性が高くなるということでした。
やはり内痔核の原因は排便の時の怒責の強さ時間に関係があり、それが改善されなければ進行していく。一番大切なことはいかに排便の状態を早く良くすることだと思います。
また「嵌頓痔核の保存的加療とその問題点」という演題がありました。
嵌頓痔核に対しての治療に関しての検討です。嵌頓痔核で受診された患者さんの治療をどうするか。血栓が詰まって脱出したままになった内痔核。直ぐに手術をして治すのか、それとも保存的に治療をして、改めて手術をするのかの問題です。
嵌頓痔核は内痔核に血栓などが詰まって血流障害を起こし、そして脱出したままの状態になった状態です。痛みを伴ってとても辛い状態です。軟膏をつけてゆっくり押し込むともとに戻すことが出来ます。ただまた排便などお腹に力が入るとまた脱出してきます。痛みが伴い大きくなっているので、患者さん自身で戻すことが少し難しくなります。ただ脱出したままになると、さらに血流障害が出てきます。できるだけもとに戻すことが必要です。
では渡邉医院ではどうしているかですが、嵌頓痔核になった前の内痔核の程度で治療法を決めています。患者さんへの問診で、嵌頓痔核になる前がどんな状態だったかを聞いています。排便時に出血したことはあるが、内痔核は脱出してくることはなかった第Ⅰ度の内痔核だったか、それとも排便時に内痔核が脱出して、自然に戻ったり、自分で押し込んでいた第Ⅱ度、第Ⅲ度の内痔核だったのかを聞きます。
第Ⅰ度の内痔核でも血栓が詰まって嵌頓痔核になることがあります。でも元の状態が第Ⅰ度の内痔核ですので、消炎鎮痛剤の座薬などを使いながら保存的に治療することで良くなっていきます。
これに対して、第Ⅱ度や第Ⅲ度の様にもともと脱出する症状がある場合はジオンによる痔核硬化療法も含む外科的治療を選択しています。やはり嵌頓痔核にならなくても第Ⅲ度以上の内痔核になりますと根治的な治療が必要です。痛みが強かったり、患者さん本人の予定や希望があればすぐに痔核根治術をすることがあります。痛みは強いが直ぐに根治的な治療ができない場合は、消炎鎮痛剤の座薬を使いながら保存的に治療をして、時期を見て痔核根治術を施行します。
また保存的に治療することで、ジオンによる痔核硬化療法が適応できる内痔核になることもあります。嵌頓痔核に対しての早期の外科的治療、痔核根治術をするかしないかに関しては、患者さんの痛みの状態や患者さんの都合などを相談して治療を決めています。
いずれにしても、嵌頓痔核になる前の内痔核の状態から判断することが必要だと思います。
少し長くなたので、続きは次回に回したいと思います。
切除が必要な皮垂
ここ数日、朝夕は本当に涼しく、少し寒さを感じるようになりました。日中もそんなに熱くなくなりました。
さて、皮垂(スキンタッグ)が気になって手術をされる患者さんがいます。皮垂は内痔核や裂肛、また血栓性外痔核など肛門の病気で肛門にできたシワのことです。基本的には悪い病気ではないので、必ず手術をして切除をしなければならないというわけではありません。
でも何かいつも気になってしまう。ないほうがいいなあと思う。こういう思いをずっと抱いていることは、精神衛生上良くないのではないかと思います。
特に皮垂を切除することで、肛門の機能が悪くなるわけではありません。括約筋をいじるわけではないので、しまりが悪くなったりしません。また肛門が狭くなったりするわけでもありません。
いつも気になっていた「嫌なもの」、「気になっていたもの」がなくなるというだけです。手術して切除しようと思った時、その時に手術をしたらいいと思います
皮垂に関しては以前にもブログに書いたので詳しく知りたい方はご覧いただければと思います。
今日は、どうしても皮垂をとらなければならないことがあることをお話したいと思います。
必ず取らなければならない皮垂の一つ目のケースは、肛門上皮に傷があり、その傷が原因でできた皮垂です。
例えば、内痔核の手術をする際にどうしても肛門上皮に傷が出来ます。その傷を治すために肛門の外側にドレナージという傷を作ります。肛門上皮にできた傷を具合よく早く治すための傷です。ただ、このドレナージの形が悪かったり、大きさが小さかったりした場合にできる皮垂です。
肛門上皮の部分はどうしても便が通るところです。使いながら傷を治していかなければなりません。ですから形のいい、そして適切な大きさのドレナージが無ければ、肛門上皮にある傷は治っていきません。
それに対して肛門の外側に作った傷、ドレナージは便が通りませんから、時間が経てば必ず治っていきます。
手術をした後、そのドレナージの傷が肛門上皮にできた傷よりも早く治ってしまうと、肛門上皮にある傷が予定通り治っていきません。肛門上皮にできた傷だけになってしまうと、その傷に排便の時に便が引っかかったりするために炎症を起こして、これが原因で肛門上皮の傷の外側に皮垂が出来てきます。
この時にできる皮垂は炎症を起こしているため、少し硬さがあって、痛みを伴うこともあります。また皮垂が出来るとより排便の際に便が引っかかりやすくなって、さらに皮垂が大きくなっていきます。
また、肛門上皮の傷が治らないばかりか、排便時の痛みで肛門の括約筋の緊張が強くなって痛みが段々強くなっていってしまいます。裂肛と同じような状態になってしまいます。このように皮垂がだんだん大きくなって、しかも括約筋の緊張が強くなって、痛みが強くなった場合は、裂肛の手術に準じた手術が必要になってきます。
このようにドレナージの傷がふさがってしまって、肛門上皮にある傷が治り難くなり、皮垂が出来てきたような場合は、早めにその皮垂を切除して、もう一度ドレナージを作る必要があります。そして早めに皮垂を切除してドレナージをつくり治すことで、肛門上皮の傷もその後は順調に治っていきます。これが必ず皮垂の切除が必要な場合の一つです。
もう一つのケースは、ドレナージの傷そのものの形が悪く、ドレナージの傷の周りが硬く皮垂ができてきた場合です。この場合もそのドレナージの傷に便が引っかかりやすくなって、傷の治りが悪くなり、また痛みが出てくることがあります。この場合も硬くなった皮垂を切除して治りやす傷にする必要があります。
もう一つのケースは、皮垂が原因で肛門の皮膚炎が治らない場合です。たいていの場合は、肛門の皮膚炎は軟膏をつけることで良くなっていきますが、皮垂が皮膚炎の治りを悪くしてしまうことがあります。軟膏を使っていてもなかなか症状が良くならない。場合によっては皮膚炎が治っては悪くなってを繰り返す場合は、皮垂が原因のこともあり、切除することがあります。
このように、皮垂は放っておいてもなんの影響もないと言われることがありますが、そうでない場合もあります。皮垂などで気になる症状がある場合は診察を受けて、最善の方法を一緒に考えることが大切だと思います。