7月になりました。有床診療所の存続をかけ。

皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
今日から7月。雨で始まりました。渡邉医院の周辺は、今のところ激しい雨は降っていません。でも各地で線状降雨帯の影響で激しい雨で被害も出ているようです。皆さんはどうですか?被災された皆さんにはお見舞い申し上げます。
今日の渡邉医院、雨の影響もあってか、予約をキャンセルする方もいらっしゃいました。私も雨のことを考えて、金曜日から渡邉医院で寝泊まりしています。たまに診療所で過ごすのもいいなあと思います。これから先、あまりにも激しい雨は降らないで欲しいなあと思います。
1月に再開して約1か月で体調を崩し再入院。4月1日から再再開し3か月が過ぎました。今年の夏を乗り越えられば、体調も落ち着くだろうなあと思っています。
今は、体調もだいぶ良くなってきました。昨日は診療所の中でリハビリをしましたが、まだまだ少し歩いている際にふらつきはありますが、大分しっかりしてきました。内心「よしよし!この調子だ!」と思っています。
今日、兵庫県の先生で、渡邉医院と同じように、肛門科に特化してはおられませんが、有床診療所で肛門科をされている先生から電話が来ました。
内容は、なかなか有床診療所の運営は経済的に厳しい。渡邉先生はどうか?というものでした。
有床診療所は、全国的に減少を続けています。渡邉医院のように肛門疾患など専門科に特化した有床診療所もあれば、地域の医療を守るために貢献している有床診療所もあります。診察した後、自宅に帰すのは少し不安がある。1日入院してもらって経過を診ようといった風に、病院とは違い臨機応変にフットワークよく外来診療と入院診療ができるのが、有床診療所のいいところです。その大切な有床診療所がどんどん減ってきています。
入院患者さんがいらっしゃるので、医師や看護師の当直や宿直の問題や施設基準のハードルもあり、現在の有床診療所の入院基本料では、医療を守っている医療従事者への給与などが払えず、経営的に難しい状態です。
国に対しても、地域の医療にとても大切な有床診療所がなくならないように支援をして欲しいなあと思います。
渡邉医院も本格的には4月からの再開。まだまだ3か月です。私の体調もあり、診療内容もぐっと縮小しています。
なかなか経営面だけをみると、やはり厳しい状況にはあります。とりあえず私の家族、職員の生活を守る程度は収入を得なければと思っています。
でも、渡邉医院は皆さんのおかげで、いまのところ何とかやっていっています。
去年の3月から12月までの10か月間、そして今年の3月の休診。それにもかかわらず、再開した際は、渡邉医院のことを忘れずに受診して下さっています。
このことに感謝して、これからも診療を続けていきたいと思います。
まだまだ、予約が取りにくくなっていることや、手術が早くできない、診てもらいたい時に診察してもらえない等、本当にご迷惑をおかけしますが、私の体調が戻るまで、どのくらいかかるかわかりませんが、もうしばらくよろしくお願いいたします。
健康保険証廃止の「凍結」を求める意見書提出を求める陳情書

皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
マイナ保険証によるトラブルが相次いでいて、報道にも毎日のように取り上げられています。
もともとマイナンバーカードは任意。保険証は保険者が交付する義務があるものです。この任意のものと義務のものを紐づけることそのものが問題です。申請しなければ保険証がもらえなくなる。このことは私たちが、いつでも、どこでも、誰もが医療を受ける権利、受療権を侵害することになります。
やはり保険証の廃止は絶対に撤回させなければなりません。
私たちは、「健康保険証廃止の「凍結」を求める意見書提出を求める陳情書」を京都府を始め、各市町村の議会に提出しました。
すでに長岡京市では、以下に紹介する「健康保険証廃止の「凍結」を求める意見書」が採択されました。
京都府、京都市は国民の多くが保険証の廃止に反対、危惧をしている中、この陳情書をみてどう考えるかのか。党利に惑わされずに、私たち国民のためにどう考えるか?意見書を採択するのかしないのかしっかり診ていかなければなりません。そして次の選挙の際に私たちの審判を選挙で下さらなければならないと思います。
議員の方々はしっかり私たちの声を聴き、判断して欲しいと思います。
以下、陳情書と意見書を紹介します。
健康保険証廃止の「凍結」を求める意見書提出を求める陳情書
【陳情内容】
一、国に対し、健康保険証廃止の「凍結」を求める意見書を提出すること。
【陳情理由】
2023 年6月2日、国会において「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案」が成立した。これにより 2024 年秋には健康保険証が廃止されることになる。
国民皆保険体制では、健康保険証は原則無差別・無条件に交付されてきた。これは 「国民健康保険法」が第1条(この法律の目的)に「社会保障及び国民保健の向上」を謳い、国民の生命・健康を守る普遍的な医療保障を目指すものであることを体現している。
これに対し、マイナンバーカードの取得、マイナ保険証の紐づけ、マイナ保険証に代わる新たな資格確認書の取得の何れをとっても申請に基づくものである。すなわち健康保険証の廃止は、保険医療機関で医療を受けるために必要な資格確認の手段の取得を自己責任に預けてしまうものであり、国家による社会保障責務の著しい後退につながるものである。
まして法改正を前に 「マイナ保険証」をめぐるトラブルが大量発生し、それをメディアが大きく取り上げ、人々の不安が高まっている。
このような事態を放置したまま、健康保険証を廃止して良いはずがない。
ついては地方議会より、住民の生命・健康を守るため、国に対し健康保険証廃止の「凍結」を求めていただきたい。
2023 年6月 20 日
京都府議会
議長 石田宗久 殿
陳 情 人 :京都府保険医協会 理事長 鈴木 卓
健康保険証廃止の「凍結」を求める意見書(案)
2023 年6月2日、「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案」が国会成立し、2024 年秋の健康保険証廃止が決定した。
しかし、全国保険医団体連合会等が行った調査活動により、全国で「マイナ保険証」のトラブルが大量に発生し、メディアが大きく取り上げ、人々の不安が高まる中、厚生労働省が全国の保険者に登録データの分析を依頼するも、その結果公表を待つこともなく行われた採決であり、到底理解が得られるものではなかった。
京都府においてもオンライン資格確認等を実施している医療機関のうち、70%が何らかのトラブルを経験しており、「保険者情報が正しく反映されていなかった(無効・該当資格なしと表示された)」「カードリーダーまたはパソコンの不具合によりマイナ保険証を読み取りできなかった」といった内容が多数を占める一方、「他人の情報に紐づけ
られていた」との回答もあった(京都府保険医協会調査)。多くの医療機関は「その日に持ち合わせていた健康保険証で資格確認」することでトラブルに対応した。
このような事態を放置したまま、本当に健康保険証を廃止して良いのか。政府・与党には政治の決断が問われている。
健康保険証廃止は生命にかかわる問題であることを再度、認識する必要がある。
その主な理由は以下のとおりである。
健康保険証が廃止されオンライン資格確認が基本とされると、システムトラブルによって保険資格が確認できない場合、患者は一旦 10 割負担を支払うこととなり、医療を受ける権利が制限され、生命の危機に直結する。
システムトラブルにより、他人の情報に紐づけられたことによる投薬・治療情報の取り違えは、疾病の急性憎悪、アナフィラキシー、禁忌薬剤の投与等をはじめ重大な医療事故につながり、生命の危機に直結する。
健康保険証が廃止された後に保険者が発行する資格確認書もマイナ保険証同様、本人の求めによる発行が原則であり、高齢・障害等を理由に申請自体が出来ない人々は保険診療にアクセスする道が断たれ、生命の危機に直結する。
以上のことから、少なくとも現段階での健康保険証の廃止は政治道徳的に許されないと考えられるため、健康保険証廃止の「凍結」を求めるものである。
以上、地方自治法第 99 条の規定により意見書を提出する。
2023 年 月 日
京都府議会
内閣総理大臣 宛
保団連代議員会に参加して感じたことー反核・平和・原発

皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
前回は保団連代議員会に出席して感じたことの医療編についてお話ししました。今回は、反核平和、安全保障関連について感じたことをお話しします。
私たち医師がどうして反核平和、安全保障に関しても取り組むかというと、私たち医師を始め医療従事者は、「国民の健康を守る。」ということを責務としています。では「健康」の定義は何かです。WHOの定義は「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にもすべてが満たされている状態にあること。」です。そうすると健康と戦争は真逆のものです。ですから私たち医師や医療従事者は国民の健康を守るために、戦争のない、平和な世界を求めていかなければなりません。
ですから、私たち医師は反核平和・安全保障問題にも取り組んでいます。
まずは防衛費の増額。5年間で42兆円。ロシアのウクライナ侵攻そして。北朝鮮のミサイル発射とそれに対してのJアラートの発信。テレビやマスコミでほぼ毎日のように報道している。映像で国民に戦争の悲惨さや北朝鮮の脅威などを煽っているような気もする。
国民の命を守り、国を守るために防衛強化のための防衛費の増額。それであるならば国民の健康を守り、国を守るために社会保障費の増額ができないのかなあと思います。防衛費の増額分を増税で必死に集めようとしているのなら、社会保障費の増額のためにお金を集めることはできないのかなあ?少子化対策の財源もまだ曖昧なのにと考えてしまいます。
また、国立病院機構や地域医療機能推進機構などの病院の積立金を国保に返納させて防衛費に流用する。本来なら、患者さんの命を守るために使うためのお金を巻き上げてしまう。何かやっていることが変だなあと思います。
国民の命や国を守るのであれば、防衛費を増やすのであれば、社会保障費も上げなければいけないのではないか。なぜ削減しようとするのか。こんなことでは国民の命や国は守ることはできないと思います。
防衛費を増額するのなら、その増額分を何に使うのか?あり丁寧に国民に説明していないような気がする。防衛費の増額分を国を守るために使うのか?相手を攻撃するために使うのか?「専守防衛」が「先制攻撃」になってしまう可能性もあります。やはり増額する防衛費の使い道。国民に説明していないなあと思います。
核兵器に関しては、岸田首相はG7広島サミットの広島ビジョンで核兵器禁止条約に関しては一切言及せずに「我々の安全保障政策は、核兵器はそれぞれが存在する限りにおいて、防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し、並びに戦争及び威圧を防止すべきとの理解に基づいている。」と核抑止力を肯定している。岸田首相は「核兵器のない平和な社会を目指す」と言っているが、本当にそう思っているのだろうか?日本がしなければならないのは核兵器禁止条約に批准して、リーダーシップをもって核兵器廃絶への道を進むことではないだろうか。
原発問題も、福島第一原発事故以降、政府は原発の新増設に否定的でした。しかし、ロシアのウクライナ侵攻による電力不足を理由に老朽原発の再稼働や新たな原発へと大きく舵を切りました。GX電源法で原発推進だけでなく、再生可能エネルギーの主力電源化を掲げている。それならば、老朽化した原発は順次廃炉にしていき、原発の新設はしないのが本当ではないだろうか。
やはり、言っていることと、やっていることが矛盾している。
ロシアのウクライナ侵攻や新型コロナウイルス感染症のパンデミックなど、人々の不幸を利用して、国の進めたい方向へと進んでいっているようなきがします。
これらの政策は、国民のために行っているのか?だれのために行っているのだろう?
前回もお話ししましたが、医療をはじめとする社会保障の問題、反核・平和・原発の問題は、なかなか国民一人一人が直接実感することがない問題だと思います。ですからどうしても関心が薄くなってしまう。
私たちは、やはり国民に解りやすく、実感が持てるように丁寧に伝えていき、国民に理解してもらい、私たちの運動に賛同してもらい支えとなって、ともに取り組んでいかなければならないと思います。
こんなことを、今日の代議員会に参加して感じました。
保団連代議員会に参加して感じたことー医療編ー

皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
前回、保団連の第3回代議員会での発言内容を紹介しました。
今回は、代議員会に参加して感じたことをお話ししたいと思います。
まずは、今問題になっているマイナンバーカードについてです。マイナンバーカードと保険証を紐づけたマイナ保険証のトラブルが相次ぎ、テレビやマスコミで毎日のように報道されています。そしてマイナ保険証に対しての不安や、国に対しての不信感が高まってきています。
今回は保険証廃止、マイナ保険証の問題は、医療現場でのトラブルの声、そして国民自体がトラブルを経験して、マイナ保険証の問題点を実感したことによって不安を抱き、国への不信感が募ったのだと思います。
報道されているトラブル以外にも、保険証が廃止され、マイナ保健所がなければ、保険料を払っているのに保険証が交付されない。保険料を払っているのに申請しないと保険証がもらえない。これまでは保険料を払っている被保険者には、保険者が責任をもって保険証を交付することになっています。このことは私たちの医療を受ける受療権を侵害するものです。
また、もともとマイナンバーカードは任意。保険証は保険者が交付する義務があるもの。これら任意のものと義務のものを紐づけることそのものが問題。これまでなんの問題もない保険証は廃止せずこれまで通りにして、マイナ保険証は紐づけたい人が任意で交付してもうことで十分ではないでしょうか。もしマイナ保険証で認証できなくても、保険証さえ持っていれば医療を受けることが出来ます。反対に保険証がなければ、マイナ保険証で認証されなかった場合、医療を受けられないか、10割負担を窓口で支払わなければなりません。
やはり保険証の廃止は絶対に撤回させなければなりません。
今回のマイナ保険証の問題は、医療機関だけでなく患者さん自身もその問題点を実感したということで大きな世論の盛り上がりが出てきています。でも国が進めている医療提供体制の改革、否「改悪」沢山あります。社会保障費を様々な方法で削減しようとしています。患者さんにとって影響のあることばかりです。でもなかなか医療制度に関しては解りにくい分野です。
やはり私たちは、国が進めている医療制度改革で生じる患者さんへの問題を、医療機関の現場からわかりやすく、しかも実感を持って国民に届け、理解しもらう取り組みが必要だと思います。
今回のマイナ保険証の問題は、国民にとってわかりやすい問題であったため、マスコミも取り上げたんだろうなあと思います。
これと同じことが医療だけでなく、反核平和そして安全保障についてもいえると思います。次回はそのことに関してお話ししたいと思います。
かかりつけ医機能を発揮する制度整備の評価をめぐって

皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
今日は午前中から午後の16時まで、保団連の第3回代議員会に参加し、発言してきました。去年一年間、代議員会は出席できていなく、今回久しぶりの参加、そして発言でした。
発言中に息切れしないかと心配していましたが、以後まで話すことが出来ました。と言っても1分30秒の短い時間です。でも、良かった!
私の発言は、「かかりつけ医機能を発揮する制度整備の評価をめぐって」という内容です。
今回、その発言内容を紹介します。
紹介する文章をさらに短くして、口語体にしたものを発言したのですが、少し長いバージョンを紹介します。
「かかりつけ医機能を発揮する制度整備の評価をめぐって」
「かかりつけ医機能を発揮する制度整備」を盛り込んだ「全世代型社会保障法案」が5月12日に国会で成立した。
今回の改正は財務省等がコロナ禍の開業医を批判し、イギリスのGPを念頭に「登録型のかかりつけ医制度」を提起したことに端を発するものだが、結果的にそれは実現しなかった。しかし、楽観視してはならない。
今回の「制度整備」は、小泉政権以降、国が進めている医療制度構造改革の一環である。それを抜きに、今回の内容のみ取り出して評論することはできない。
国は「都道府県別一人当たり医療費の地域差」縮減に向け、病床数・医師数のフラット化を志向し、後期高齢者医療制度創設、国保の都道府県化と並行して、お手盛りの「医療受給推計」を用いた「地域医療構想」による病床コントロールや「医師偏在指標」を用いた医師数・配置コントロールを導入してきた。そして、今回の「制度整備」により、「かかりつけ医機能報告」と外来機能報告の合わせ技による外来機能のコントロールが図られようとしているのである。
国は、医療費増加に歯止めをかけるべく、自由開業とフリーアクセスの制限を目指してきた。今回見送られた「登録型のかかりつけ医制度」も、かかりつけ医制度創設自体が目的というよりも、医師の適正配置や患者のフリーアクセス制限につなげることが可能であることからこそ提案されたものと考えられる。新自由主義改革の下での医療提供体制改革という基本的な政策の転換がなされない限り、今回の「制度整備」も今後、さらなる強権的手法導入の足場として使われることは自明である。
国会成立を前後して令和臨調が「かかりつけ医機能の認定・登録制」を提起し、財政制度等審議会の2023年5月の建議は「新規開業規制の徹底」を提案した。
今後も国は執念を持って手を変え品を変え、様々な形で策動を繰り返す。保団連が人々のための医療を守り、会員の経営と権利を守る立場からの抵抗と発信の先頭に立ち続けていただくことを心から願うものである。
このような内容を、もっと短くして発言しました。
これからも医療提供体制改革の基本的な政策転換を国に求め、社会保障の削減ではなく、充実に向かっていくよう取り組んでいきたいと思います。