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2018.02.24

裂肛に対して側方皮下内肛門括約筋切開術(LSIS)が最大肛門静止圧に与える影響。(第58回日本大腸肛門病学会)

 裂肛は、排便時の痛みによって内肛門括約筋の緊張が強くなってきます。内肛門括約筋の緊張が強くなることで、排便時の痛みが強くなったり。、排便後の痛みの持続時間が長くなってきます。また内肛門括約筋の緊張が強くなることで、排便時に傷がつきやすくなってしまします。この内肛門括約筋の緊張の程度を知るために最大肛門静止圧を測定します。内肛門括約筋の緊張が強いほど最大肛門静止圧が高くなります。
 裂肛の手術は、この内経文括約筋の緊張を摂って、正常にすることが目的になります。
 今回は、裂肛に対しての手術に、側方皮下内肛門括約筋切開術(LSIS)という手術がありますが、このLSISが最大肛門静止圧に与える影響について検討した発表を紹介します。

発表原稿
 
裂肛に対して、内肛門括約筋の緊張をとり、最大肛門静止圧を下げる目的で、LSISが施行されています。今回、術前の最大肛門静止圧の違いで、LSISがどのように圧の低下に影響を与えるかについて検討しました。
 
対象は、平成109月から平成153月までにLSISを施行し、術前、局所麻酔後、LSIS施行後、治癒時の最大肛門静止圧を測定した154例としました。
 
方法は、術前、局所麻酔後、LSIS施行後、治癒時の最大肛門静止圧を測定。術前の最大肛門静止圧の低い順にA群からD群に分類しました。局所麻酔後、LSIS施行後、治癒時の低下率をそれぞれスライドのように定義して、各群で比較検討しました。
 
局所麻酔後の低下率を比較すると、A群で低下率が有意に少なかった。
 
LSIS施行後の低下率は、有意差を認めませんでした。
 
治癒時の低下率を比較すると、術前の最大肛門静止圧が高い群ほど低下率は大きかった。
 
術前の最大肛門静止圧が高い群で、治癒時の圧の低下が著明です。これに対して、LSIS施行後の最大肛門静止圧の低下には、有意差は認めませんでした。ではどの時点で治癒時の最大肛門静止圧の低下率に差がでたかですが、
 
術前の圧が高い症例では、炎症のために括約筋が硬く器質化した状態で、LSISによって括約筋を切開したことが圧を下げることに影響を与えたのに対して、術前の圧が低い症例では、括約筋の線維化がまだ進んでなく、柔らかい状態で、局所麻酔後の十分なストレッチングが圧の低下に影響を与えたと考えています。したがって同じようにLSISを施行したつもりでも、術前の圧が高い症例では、十分に括約筋が切開されたのに対して、圧の低い症例では、括約筋の切開より、ストレッチングによる括約筋の緊張の緩和が主体となり、必要以上に括約筋を切開せずにすんでいると考えています。そうすると、ストレッチングだけで十分圧が下がれば、括約筋の切開を加えず、十分圧が下がらない場合は、LSISで括約筋を切開する。このように、術中に最大肛門静止圧を測定することもLSISを施行する際の一つの目安となると考えます。 
 LSIS施行後の低下率は有意差を認めず、治癒時の低下率は、術前の最大肛門静止圧が高い群ほど大きかった。これは、術前の圧の違いで、LSISとストレッチングとの内肛門括約筋の緊張の緩和に与える影響が異なるためと考える。

抄録

 裂肛に対して最大肛門静止圧(以下marp)を低下させる目的で、側方皮下内肛門括約筋切開術(以下LSIS)が施行されている。今回我々は、術前のmarpの値の違いで、LSISがどのようにmarpの低下に影響を与えるかについて詳細に検討した。  
 【対象】平成109月〜平成153月までに裂肛に対してLSISを施行し、術前(LSIS施行前)・局所麻酔後・LSIS施行直後・治癒時の4marpを測定した154例(男性50例、女性104例、平均年令41.8才)とした。
 
【方法】術前、局所麻酔後、LSIS施行直後、治癒時の4marpを測定。術前のmarpA群(100mmHg未満)、B群(100-150mmHg未満)、C群(150-200mmHg未満)、D群(200mmHg以上)の4群に分類。術前と治癒時のmarp、局所麻酔後の低下率(100-局所麻酔後marp/術前marp×100%)、LSIS施行後の低下率(100-LSIS施行後marp/局所麻酔後marp×100%)、治癒時の低下率(100-治癒時marp/術前marp×100%)の4項目について比較検討した。手術は局所麻酔下に同一術者が施行した。
 【結果】ABCD、の4群間での比較で、治癒時のmarpはそれぞれ82.2±25.8mmHg100.4±34.8mmHg108.9±34.0mmHg120.9±46.8mmHgで、A群で他の3群と比較して有意に内圧が低かった。(p=0.0264p=0.0023p=0.0026)局所麻酔後の低下率は66.2±18.1%、77.3±12.8%、78.0±11.5%、81.9±12.6%とA群で有意に他の3群より内圧の低下が少なかった。LSIS施行後の低下率は39.6±30.9%、42.4±33.0%、46.8±25.2%、32.1±36.3%と各群間に有意差は認めなかった。治癒時の低下率はそれぞれ-6.2±34.9%、18.1±25.8%、35.5±21.3%、47.2±21.6%と術前のmarpが高いほど有意に内圧が低下した。
 
【まとめ】LSISは、術前のmarpが高い症例ほど有意にmarpを低下させることがわかった。術前のmarpが低い症例では、LSISによる括約筋切開での圧の低下より、むしろ局所麻酔後のストレッチングが、一方高い症例では、LSISによる括約筋切開が治癒時のmarpに影響を及ぼしたのではないかと推察する。

 

2018.02.24

内痔核に対して結紮切除術(LE)施行後の疼痛に関しての、短期入院と長期入院とでの比較検討較検討。(第59回日本大腸肛門病学会)

 内痔核に対して結紮切除術を施行する際に、術後の出血とともに、術後の疼痛管理が重要になってきます。患者さんにとって術後の出血や痛みは手術をうける際の不安の原因にもなります。また日帰り手術を行う際には、医師の目の届かないところでの術後管理が必要になってきます。このような状況のなか、入院での手術が適切なのか、日帰り手術が可能なのかについての判断が重要となってきます。、今回紹介する発表は、この判断の一つの目安として術後の疼痛に着目して、結紮切除術(LE)施行後の疼痛について短期入院と長期入院との間で、消炎鎮痛剤の内服状況や患者アンケートを比較することで検討しました。

発表内容

 内痔核に対して結紮切除術を施行する際に、術後の出血とともに、術後の疼痛管理が重要です。患者側の立場でもこれらのことは手術をうける際や術後の不安の原因にもなります。また日帰り手術が行われる様になり、医師の目の届かないところでの術後管理が必要になってきました。このような状況のなか、入院での手術が適切なのか、日帰り手術が可能なのかについての判断が必要となってきます。そこで、今回我々は、この判断の一つの目安として術後の疼痛に着目して、結紮切除術(LE)施行後の疼痛について短期入院と長期入院との間で、消炎鎮痛剤の内服状況や患者アンケートを比較することで検討しました。
 
対象は、平成155月から平成163月までにLEを施行した101例、男性49例、女性52例、平均年令54.2才で、短期入院は6日間以内、長期入院は7日間以上としました。
 
方法は1)短期入院と長期入院との間で、内痔核の切除個数で治癒までに投与した消炎鎮痛剤の総投与数を比較、2)切除個数間で治癒までに投与した消炎鎮痛剤の総投与数を短期入院と長期入院とでそれぞれ比較、3)患者アンケートで、術後疼痛、排便時の疼痛、排便時痛の消失期間について切除個数間で比較しました。アンケートは最大の痛みを100%として感じた痛みを%で回答していただきました。
 
まず消炎鎮痛剤の総投与数の比較ですが、1箇所、2箇所では有意差は認めませんでしたが、3箇所以上切除で有意に短期入院での消炎鎮痛剤の投与数が多かった。
 
短期入院において、切除個数間で比較すると、切除個数が増えるにしたがって投与数は増え、1箇所切除と比較して、3箇所切除で有意に投与数が多かった。
 
長期入院においても短期入院と同じ傾向があり、1箇所切除と比較して、3箇所以上切除で有意に投与数が多かった。
 消炎鎮痛剤の総投与数では、切除個数が増えると消炎鎮痛剤の投与数が増える傾向にあり、1箇所切除と比較して、3箇所切除で有意に投与数が多かった。また短期入院と長期入院との比較では、3箇所以上切除で有意に短期入院で投与数が多かった。このことから、3箇所以上切除が必要な場合は特に十分に疼痛を緩和する対策が必要であると考えます。
 
治癒までの期間については、短期入院と長期入院では有意差は認めませんでした。切除個数では、切除個数が増えるほど治癒までの期間が長い傾向があり、1箇所切除と比較して3箇所以上切除で有意に治癒までの期間が長かった。
 
治癒までの期間を短期入院と長期入院との間で切除個数で比較すると、短期入院の2箇所切除を除いては、切除個数が増えるにしたがって治癒までの期間が長くなる傾向が有るものの、短期入院と長期入院との間で有意差は認めなかった。
 
治癒期間に関しては当初術後の疼痛が強いほど治癒までの期間が長いのではないか、また、3箇所以上切除では消炎鎮痛剤の投与数が多い短期入院の方が長期入院より、治癒までの期間が長いのではないかと予想していましたが。切除個数に関しては、切除個数が増えるほど治癒までの期間が長い傾向はあり、1箇所切除と比較して、3箇所以上切除で有意に治癒までの期間が長く予想通りでしたが、3箇所以上切除で短期入院と長期入院との間には、治癒までの期間に有意差は認めませんでした。このことは短期入院では疼痛に対しての不安もあり、疼痛以外にもこの不安を取り除くために消炎鎮痛剤の量が増え、このことが逆に疼痛を十分に取り除く事ができ、その結果、治癒までの期間に有意差がでなかったのではないかと考えています。
 
アンケートの結果ですが、は、術後の疼痛に関しては、切除個数が増えると痛みが強い傾向にあり、1箇所切除と比較して、3箇所以上切除で有意に痛みが強かった。
 
排便時の疼痛に関しても同様に、切除個数が増えると痛みが強くなる傾向があり、1箇所切除と比較して、3箇所以上切除で有意に痛みが強かった。
 
排便時痛の消失期間は、切除個数が増えるにつれて長くなる傾向はありますが、統計学的には有意差を認めませんでした。
 
アンケートの結果から、術後の疼痛や排便時痛は、切除個数が増えるほど痛みが強くなる傾向があり、1箇所切除と比較して、3箇所以上切除で有意に痛みが強く、排便時痛の消失期間には有意差は認めませんでした。このことから術後1週間の痛みを、特に3箇所以上切除が必要とする場合は、しっかり緩和する必要があると考えます。
 
以上より、長期入院では術後の手術の痛みが軽減してからの退院であることや、入院中は術後の経過に関しての正しい情報が直ぐに得ることができ、これが安心につながるのに対して、短期入院では術後の疼痛がまだある時点での退院になり、退院後は術後の経過に関する情報が直ぐに得ることができず、不安につながる。このことも消炎鎮痛剤の投与数の差につながった一因と考えています。このことからも、短期入院の場合は退院後も入院での加療と同じような環境を提供する必要があると考えます。  
 そこで、3箇所以上切除の場合は、可能であれば1週間程度の入院加療が、術後の疼痛や不安を取り除く意味で、患者にとって有益であると考えます。また日帰り手術や短期入院の場合には、特に3箇所以上切除の場合、術後の疼痛や不安を十分に取り除き入院での加療と同じような環境を提供する必要があると思います。また術後の疼痛管理については、先取り鎮痛などで早めに十分な鎮痛を行い、消炎鎮痛剤に関しては、副作用については十分注意が必要ですが、疼痛に対しては我慢せず、しかりと内服してもらうよう指導していくことも重要だと考えます。

抄録を紹介します。

抄録

内痔核に対して結紮切除術(LE)施行後の疼痛を、短期入院と長期入院とで比較検討した。
【対象】H155月〜H163月までにLEを施行した101例(男性49例、女性52例、平均年令54.2才)を対象とし、短期入院は6日間以内(31例)、長期入院は7日間以上(70例)とした。
【方法】①内痔核の切除個数(1箇所、2箇所、3箇所以上)で治癒までの消炎鎮痛剤の総投与数を短期入院と長期入院とで比較。また、切除個数間で治癒までの消炎鎮痛剤の総投与数を比較。
なお、治癒期間は診療終了までの期間とし、短期、長期入院において各群間で治癒期間に有意差は認めなかった。②患者アンケートで術後疼痛、排便時痛、排便時痛の消失期間について切除個数間で比較。(最大の疼痛を100%とし、%で回答。)【結果】消炎鎮痛剤の総投与量は、短期入院では、1箇所2箇所3箇所切除の順に27.7±9.8錠、28.3±12.0錠、37.2±6.9錠。長期入院では23.1±8.5錠、27.4±14.5錠、29.3±9.5錠であり、治癒までの消炎鎮痛剤の総投与数は3箇所以上切除群で有意に短期入院で多かった。(p=0.0079)。また、消炎鎮痛剤の総投与数は、1箇所切除群と3箇所切除群との間に有意差を認め、3箇所で多かった。②患者アンケートでは、術後疼痛は1箇所2箇所3箇所切除の順に32.8±28.7%、44.3±25.9%、53.3±28.0%。排便時痛は32.8±18.1%、46.4±27.1%、55.5±30.9%。排便時痛の消失期間は4.8±3.6日、5.4±3.2日、6.0±3.0日であり、術後疼痛は1箇所切除群と3箇所切除群で有意差を認め(p=0.0132)、3箇所で痛みが強く、排便時痛も1箇所切除群と3箇所切除群間に有意差を認め(p=0.0054)、3箇所で痛みが強かった。排便時痛の消失期間は各群間に有意差はなかった。
【まとめ】以上より消炎鎮痛剤の総投与数やアンケート結果から、12箇所切除の場合は、術後疼痛は比較的軽度であり、短期入院や日帰り手術も可能と考える。一方、3箇所以上切除が必要な症例では、術後疼痛を考えると、7日間程度の入院治療が患者にとって有益と思われ、短期入院で行う場合には十分な疼痛緩和が必要であると考える。

 

 

 

2018.02.24

ジオンによる四段階注射法による痔核硬化療法(ALTA療法)の副作用について

 ジオンによる四段階注射法による痔核硬化療法(ALTA療法)という治療方法がでて、内痔核の治療方法は劇的に変わりました。
 今まで手術が必要だった内痔核も、内痔核の性状によってはALTA療法でも治すことができるようになりました。痔核根治術という方法で内痔核を手術で治す場合はどうしても傷ができます。傷の痛みや排便時に傷を擦るときの痛み。そしてどうしても術後の出血などを起こすことがあります。ALTA療法は手術と違い、傷もできず、痛みなく治すことができます。
 でも、すべての内痔核がこのALTA療法で治るわけではありません。オールマイティな万能な痔核根治術と違い、ALTA療法で治療できる内痔核は限定されます。適応を間違えてALTA療法を行うことで、内痔核が治らないばかりでなく、痛みなどの症状がでることがあります。ALTA療法を行うには、しっかりとした内痔核の診断と適応の有無を判断する必要があります。適応を見極め、適切にALTA療法を行うことで、とても楽に内痔核を治していくことができます。
 ただ、適切にALTA療法を行っていても、やはり副作用はでます。今回は、このALTA療法の副作用についてお話します。
 ALTA療法の多い副作用は、血圧低下、除脈、発熱です。
 まずは血圧低下ですが、渡邉医院では現在のところ1.3%の患者さんに血圧低下を認めています。
血圧低下が起きる最も多いのがALTA療法を行っている最中で14例です。ALTA療法を終わった直後にも4例の方が血圧低下を起こしています。ALTA療法が終わって病室に戻られて安静にしている時にも3例の方が血圧低下を起こしています。また、ALTA療法後にトイレに行かれた時にも6人の方が血圧低下を起こしています。ただ、2時間以降に血圧低下を起こした方はいません。次は除脈、脈拍が遅くなる副作用です。
除脈は1.0%の患者さんに起きています。除脈も血圧低下と同じようにALTA療法を行っているときに起きるのが最も多く14例です。また、ALTA療法が終わってトイレに行かれる時にも5人のかたが静脈になっています。除脈も血圧低下と同じように、2時間以降は起きていません。

このように、ALTA療法を行う時に、血圧低下や除脈が起きることがあります。ただ、いずれの副作用もALTA療法特有の副作用とは考えていません。
 肛門の診察をする際に、指で肛門や直腸を触診している時や、肛門鏡を肛門に挿入して診察しているときにも、血圧低下や除脈を起こすことがあります。
 このように血圧低下や除脈は、直腸を刺激することによる神経の反射によっておきるのだと思います。
 渡邉医院ではこのようなALTA療法を行うこ時にとっている対策としては、
①血圧低下や除脈が起きたときに血圧をあげる薬剤や除脈を治す薬剤をすぐに投与できるように血管確保といって点滴をしています。ただ、これまで、血圧低下や除脈を起こしても薬剤を投与しなければならないようなことはありませんでした。
②血圧低下や除脈がすぐにわかるように、自動血圧計やパルオキシメーターを装着して、常時脈拍数や血圧を観察しています。
③副作用が起きたときにすぐに対応できるように、複数のスタッフでALTA療法を行っています。
④ALTA療法が終わった後は、車椅子で病室に戻ってもらいます。また、血圧低下や除脈が起きている2時間までは1回の病室で安静にしていただき、点滴も2時間は行っています。
⑤トイレに行く際は看護職員と一緒に行っていただいています。
⑥ALTA療法施行後、3時間たって医師の診察をうけてから自分の病室に戻ってもらっています。
このような対応を渡邉医院ではしています。次に発熱です。
渡邉医院では4.4%の人が38度以上の発熱をしています。
発熱の時期ですが、ALTA療法を行った次の日と、10日目に多いです。特に10日目に発熱することが多いです。ALTA療法を行ってすぐに熱がでると、直ぐに「これはALTA療法のための発熱だ。」と思ってもらえますが、10日ごろに発熱すると、「どうしたんだろう?何の熱だろう?」と思われると思います。ALTA療法を行って、風もひいていない、のども痛くないのに、昨日までなんともなかったのに急に38度以上の熱が出た場合は、まずはALTA療法の影響と考えてください。なにもしなくても1~2日で熱は下がりますが、原因がわかっていれば、熱を下げた方が楽なので、解熱剤を内服してもらっています。
 このように一過性の発熱は問題ないのですが、なかなか熱が下がらない持続性の発熱の場合は膿瘍の形成なども考えられますので、診察をする必要があります。
 ほかにもALTA療法をおこなった部分の潰瘍形成などもありますが、重篤な副作用はありません。保存的に治療することで、治っていきます。
 でもこのような副作用があることを知っている、知らないでは全然違います。ALTA療法を受けられた後、なにか具合の悪いこと、心配なことがあればすぐに医師に相談することが大事です。
 ALTA療法は痛みがなく、楽に治すことができます。でも、ALTA療法による副作用もあります。
内痔核の診断をしっかり行い、ALTA療法で治る内痔核がどうかを見極めることがまずは一番大切です。そして正く四段階注射法でジオンを内痔核に注射していくこと。そして副作用が出た場合には、適切に対応していくことがとても大事になります。

2018.02.23

「厚揚げのきのこあんかけ~柚子胡椒風味~」のレシピを紹介します。

 今日は「厚揚げのきのこあんかけ~柚子胡椒風味~」のレシピを紹介します。
 便秘を解消するには、食物繊維と十分な水分が必要です。食物繊維は便の量を増やしてくれます。大腸の中にチョットしか便がないと、肛門を十分に動かしてくれません。大腸に量のある便があると、便そのもが大腸を動かしてくれます。でも食物繊維だけだと便秘になってしまいます。便の中に十分な水分が含まれていることも大切です。便の中の水分量が70%だとカチカチの硬い便になります。90%になると下痢になってしまいます。
 便の量を増やす食物繊維をしっかり摂って、そこに十分な水分が含まれることで便秘は解消されていきます。
 食物繊維をしっかり摂るといっても、生野菜はかさは多いですが、食物繊維の量としてはあまり摂ることができません。ですから、「私は生野菜のサラダを食べているから食物繊維は十分摂れている。」ではありません。便の量を増やすには、生野菜を摂るだけでなく、海藻類やきのこ類を摂るのもいいと思います。

「厚揚げのきのこあんかけ~柚子胡椒風味~」

 材料(4人分) 1人分:166kcal 食物繊維 3.0

厚揚げ      2

しめじ・えのき  各1

にんじん     1/2

ねぎ       適宜

だし汁    2カップ

塩      小さじ1/4

みりん    大さじ2

薄口醤油   大さじ2

柚子胡椒   少々

作り方

①   きのこ類は石づきを取り、食べやすい大きさにほぐしておく。にんじんは千切り、ねぎは小口切りにする。
②   厚揚げはキッチンペーパーで包み、電子レンジ600W12分加熱する。4等分に切り分け、器に盛る。
③   鍋にだし汁、塩、みりん、薄口醤油、柚子胡椒を煮立て、にんじん、きのこを煮る。具材に火が通ったら、水溶き片栗粉(片栗粉・水 各大さじ1.5)を加え、とろみをつける。

②に③のあんをかけ、ねぎを散らしたら出来上がり☆

  • ○栄養メモ「大豆の力」○●

厚揚げや豆腐、納豆などの大豆製品は、骨粗しょう症生理痛更年期障害の改善、アンチエイジング(老化防止)に効果があり、女性は特に積極的に摂りたい食材です。たっぷりのきのこは食物繊維を補い、便秘予防美肌作りをサポートします。毎日の食事からキレイと健康を手に入れましょう☆★ 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018.02.18

内痔核の手術後の出血について。

 今回は、少し怖い話ですが、内痔核に対して手術を行った後の出血に関してお話したいと思います。
 内痔核は、その内痔核の程度によっては手術をして治さなければならないことがあります。基本は痔核根治術という手術を行いますが、内痔核の性状や大きさによっては輪ゴム結紮法という方法で治すこともあります。
 でも、いずれの手術でも術後の出血は避けることができないものです。手術ではどうしても傷をつくります。傷口から排便時に出血したりすることはあります。でもほとんどは、心配のいらないものです。ただ、術後の出血のなかでどうしても、もう一度麻酔をして止血処置をしなければならない出血があります。今回はその出血についてお話します。
 内痔核に対して痔核根治術を行ったときに起きる、もう一度麻酔をして止血処置をしなければならない出血には二つあります。
一つ目は、早期出血です。手術して24時間以内に起きる出血のことを言います。
 この出血は起きる場所に大きく2か所あります。一つは内痔核にたいして痔核根治術を行う場合、内痔核を剥離していき、内痔核の根元の動脈を糸で縛って、出血しないようにしてから内痔核を切除します。この内痔核の根元の動脈を縛ったところからの出血です。この場合は、もう一度しっかり麻酔をして、再度出血している部分を糸で縛って止血する必要があります。
 もう一つは、ドレナージといって、肛門の中にできる傷を早く具合よく治すために、肛門の外側に傷を作ります。ここからの出血です。この出血も止血処置が必要ですが、出血している場所のみの麻酔で、バイポーラといって凝固して止血する器械で止血が可能です。
 早期出血は24時間以内に起きる出血ですが、たいていが3時間以内におきます。ですから、術後3時間後には必ず出血がないかどうかを確認しています。3時間までに早期出血がなければしばらく困った出血はおきません。
 もう一つの出血が晩期出血といいます。
 この出血は内痔核の根元を縛った部分から、術後7~10日目ごろにおきます。渡邉医院でもこれまで約1%の頻度ですが、晩期出血があり、止血処置をしています。
 晩期出血は、内痔核の根元を縛ったところからの動脈性の出血です。
 最近は手術後、1泊2日や3泊4日の短期間の入院になっています。ですから、この出血がおきるのは退院した後になります。
 どのような出血かというと、内痔核の根元を縛ったところからの出血です。ですから、出血した血は、直腸の中にだんだん溜まっていきます。直腸に血が溜まってくると、便をしたくなります。「下痢をしたのかな?」と思ってトイレにいくと、下痢状に血の塊が大量に出ます。

これが1回だけでなく、頻回になります。ですから、いつの間にか知らないうちに出血しているということはありませんし、この出血が晩期出血かどうか迷うような出血ではありません。このような出血がおきたときは、時間関係なく、何時でも、いつでもすぐに連絡していただき、診察して、止血処置をします。
 出血の具合や量。また止血処置をした時間帯(夜中など)によってはその日は入院していただくこともあります。
 ただ、晩期出血したからといって、振り出しに戻るというわけではありません。傷はちゃんと7~10日分は治っています。
この晩期出血は、痔核根治術だけでなく、輪ゴム結紮法でも起きる可能性があります。渡邉医院では幸いに今のところ輪ゴム結紮法での晩期出血は経験していません。でも可能性はあるので、輪ゴム結紮法の場合も出血があった場合はすぐに連絡してもらうようにお話しています。
 今回は少し怖い話をしましたが、まずは起きない出血ですが知っておいてもらわないといけないことですのでお話させていただきました。

 

2018.02.18

「ツナと柴漬けのちらし寿司」のレシピを紹介します。

 今回は「ツナと柴漬けのちらし寿司」のレシピを紹介します。
 私にとって1月はとても長く感じましたが、2月はもう残すところ10日。早いものです。寒い日が続いていますが、そろそろ春の気配も。
 3月に入るとひな祭り。今回はツナと柴漬けのちらし寿司です。ぜひ作ってみて下さい。
 またこの季節、そろそろ花粉症に悩まされる季節になりました。私はまだまだなんとなく鼻づまりと、目がしょぼしょぼする程度です。今回は管理栄養士さんから花粉症対策のワンポイントアドバイスもあります。参考にしていただければと思います。

 「ツナと柴漬けのちらし寿司」

材料(3人分) 1人分:588kcal

米      2

すし酢    60ml

ツナ缶    3

柴漬け    50

 きゅうり   1

 卵      2

作り方

①   お米を洗い、水(すし酢の分量だけ減らす)に浸して炊飯する。
②   きゅうりは輪切りにして塩もみし、しんなりしたら水気を絞る。柴漬けは粗めのみじん切りにする。ツナ缶は油をきる。卵は錦糸卵にする。
③   炊き上がったご飯にすし酢を回しかけ、全体を大きくほぐしながら切るように混ぜる。☆うちわであおぎながら混ぜるとツヤがでます。
④   ③にツナ、柴漬け、きゅうりを加えて混ぜる。※飾り用に具を少量残しておく。

④をお皿に盛り、錦糸卵と飾り用の具を盛り付けたら出来上がり🌼

  • 管理栄養士さんからの一言
  • ○花粉症の症状を抑える食事のポイント○●

1.たんぱく質(肉や卵など)はほどほどに:たんぱく質をとり過ぎると、アレルギー症状が出やすくなります
2.野菜や果物をたっぷりと:かゆみや炎症の原因物質を減らす働きがあります
魚や紫蘇には花粉症の症状をやわらげる成分が含まれています。今月は、ツナ缶と柴漬けを使ってこれらを手軽に取れるメニューです!ぜひお試し下さい♪

 

 

2018.02.18

内痔核、痔瘻、裂肛における術前の最大肛門静止圧の検討.(第60回日本大腸肛門病学会)

 今回は、三大肛門疾患と言われている内痔核、痔瘻、裂肛について、術前の最大肛門静止圧に関してそれぞれの疾患ごと年齢や性差について比較。また、疾患どうしでも比較検討した発表内容を紹介します。
 最大肛門静止圧は内肛門括約筋の緊張の程度を知るために測定する圧です。
 裂肛では、排便時に肛門上皮に傷がつき、痛みによって内肛門括約筋の緊張が強くなってきます。この内肛門括約筋の緊張を把握するために最大肛門静止圧を測定します。また内痔核の手術を行った際に、内肛門括約筋の緊張が強い患者さんが術後の疼痛が強い傾向があります。術前に最大肛門静止圧を測定することで、術後の疼痛の程度を予測することができますし、内肛門括約筋の緊張が極端に強い場合は、手術の際に括約筋の緊張を十分にとる処置を加えることで、術後の痛みが軽減されます。
 今回はそれぞれの疾患において、術前の最大肛門静止圧(MARP)に関して比較検討した発表を紹介します。
 今回は発表内容を論文形式で紹介します。

発表内容

 

【はじめに】
  肛門機能をみる際に、肛門・直腸内圧検査は重要な検査の一つである。また、肛門疾患の病態をみるうえでも肛門直腸内圧検査は有用である。例えば、裂肛などでは排便時の疼痛による内肛門括約筋の緊張の程度を把握する方法でもある。内痔核に対して結紮切除を施行する際にも術後の疼痛に関して、術前の最大肛門静止圧がある程度関与していることもわれわれは以前に報告した。このように、内圧を測定することは、肛門の機能や、肛門疾患の病態、さらに術後の疼痛を知るうえで重要な検査である。しかしながら肛門疾患に関して各疾患の内圧に関しての精細な報告は認められない。 今回われわれは、手術を施行した内痔核、痔瘻、裂肛の3疾患において、術前の最大肛門静止圧(以下MARPとする)について年齢別に、また各疾患間で比較検討した。
【対象】
 平成10年8月〜平成17年3月までに、術前にMARPを測定した内痔核1533例(男性792例、女性741例)、痔瘻455例(男性380例、女性75例)、裂肛448例(男性146例、女性302例)を対象とした。【方法】
 年令を30歳以下、40歳以下、50歳以下、60歳以下、70歳以下、71歳以上と10才間隔に区切り、各疾患で年齢層間、男女間の術前MARPの関連性を検討した。また、各疾患間でも術前のMARPを比較検討した。内痔核に関しては、1箇所、2箇所、3箇所以上に分けて比較した。最大肛門静止圧の測定にはコニスバーグ社のカテーテル型圧力トランスデューサー(Model No.P31)を用いた。測定の際は、被験者を左側臥位にしてトランスデューサーを挿入し、引き抜きで内圧を測定した。統計学的検討は、各群間における分散分析を行ったうえで、2群間の比較にはポストホック・テストで行い、p<0.05をもって有意差ありとした。
【結果】
 ①内痔核に関して。
 内痔核の術前MARPは、1箇所、2箇所、3箇所とも年令とともに男女とも低下していく傾向があった。
  男性では、内痔核1箇所の場合30歳以下群から60歳以下群までは術前のMARPが年代とともに低下する傾向があるものの有意な差は認めなかった。30歳以下群では70歳以下群と71歳以上群との間に有意差を認めた。40歳以下群から70歳以下群までは71歳以上群とのみ有意差を認めた。内痔核2箇所の場合は、30歳以下群では60歳以下、70歳以下、71歳以上の3群との間で有意差を認めた。また、40歳以下群、50歳以下群、60歳以下群では内痔核1箇所と異なり、さらに70歳以下群との間にも有意差を認めた。内痔核3箇所では、30歳以下群から50歳以下群までには有意な圧の差は認めなかった。30歳以下群と40歳以下群では60歳以下群以上と有意差を認めた。50歳以下から70歳以下群ではそれぞれ71歳以上群との間で有意差を認めた。
  女性では、内痔核1箇所の場合30歳以下群から50歳以下群までは術前のMARPが年代とともに低下する傾向を認めたが有意な差は認めなかった。30歳以下群では60歳以下群以上との間に有意差を認めた。40歳以下群から60歳以下群までは、70歳以下群以上との間に有意差を認めた。内痔核2箇所では30歳以下群は他の群との間で有意差を認め、40歳以下群では70歳以下群以上との間に有意差を認めた。しかし50歳以下群以上では書く群間に有意差は認めなかった。内痔核3箇所では30歳以下群から50歳以下群までそれぞれ60歳以下以上との間で有意差を認めた。60歳以下群も70歳以下群以上との間で有意差を認めた。
術前MARPを男性と女性とで内痔核の切除個数で比較した。1箇所切除では、50歳以下群と71歳以上群の2群で有意差は認めず、他の4群では有意に男性のほうが術前MARPは高かった。2箇所切除群では、有意に男性で圧が高かった群は40歳以下群、50歳以下群、60歳以下群の3群で、他の3群は男女間に有意差は認めなかった。3箇所以上切除群になると、70歳以下群でのみ男性で有意に圧が高く、他の5群では男女差は認めなかった。各年代群で内痔核の切除個数間での術前MARPを比較してみると、男性では60歳以下群の1箇所切除と3箇所以上切除した群間と、2箇所切除と3箇所切除群間および70歳以下群の1箇所切除と2箇所切除との間に有意差を認めるのみでほとんどが有意差を認めなかった。女性ではさらに70歳以下群の2箇所切除と3箇所切除の間にのみ有意差を認めるのみであり、各年代では内痔核の切除個数では術前のMARPにはほとんど有意差は認めなかった。
②痔瘻に関して。
 男性では、30歳以下群では40歳以下群と50歳以下群との間では有意差は認めなかった。それ以上の3群との間では有意に30歳以下群で有意に術前のMARPが高かった。40歳以上群では、50歳以下群と60歳以下群との間では有意差は認めなかったが、それ以上の2群の間では有意に40歳以下群で圧が高かった。50歳以下群では60歳以下群とは有意な差は認めなかったが、それ以上の2群間では有意に50歳以下群で圧が高かった。60歳以下群、70歳以下群、71歳以上群の3群間ではいずれも有意差は認めなかった。年齢とともに術前のMARPは低下する傾向にあった。
 女性では、30歳以下群と50歳以下群、40歳以下群と50歳以下群、50歳以下群と60歳以下群との間のみ有意差を認めたが、それ以外の群間には有意差は認めなかった。女性では、症例が少ないことも影響したのか、50歳以下群の術前のMARPが特に低く男性のように、年齢とともに術前のMARPは低下してこなかった。
 男女差に関して。
 男女間の術前のMARPを比較すると、30歳以下群と50歳以下群との間で有意に男性の圧が高かった。女性の痔瘻の症例が少ないのも影響したのか、女性の50歳以下群での内圧が極端に低かった。また内痔核と異なり、男女間の内圧の差はあまり認められなかった。
 痔瘻と内痔核との比較
 男性では、50歳以下群、60歳以下群、71歳以上群の3群でそれぞれ内痔核3箇所との間で有意に痔瘻のほうが術前の圧が高かったのみで、他の群間では有意差は認めなかった。
  女性では、50歳以下群と70歳以下群の2群でそれぞれ内痔核3箇所との間で有意に痔瘻で圧が高かったのみで、男性同様他の群間では有意差は認めなかった。
 ③裂肛に関して。
  裂肛では、MARPは男性では年齢とともにMARPが高くなる傾向を認めたものの、男女とも年齢間に有意な圧の差は認めなかった。男女間の比較では、30歳以下と50歳以下の2群間には有意差は認めなかったが、他の年代間では有意に男性のMARPが高値であった。30歳以下、50歳以下の群においても、男性で圧が高い傾向にあった。
  内痔核との比較では、男性では30歳以下の群では裂肛と内痔核の各個数間では術前MARPには有意差を認めなかった。また、50歳以下の群で裂肛と2箇所内痔核との間にも有意差は認めなかった。それ以外の年代では、いずれの群でも裂肛の方が術前のMARPは有意に高値であった。女性では、30歳以下の群で内痔核2箇所および3箇所の間で有意差を認めなかったのと、40歳以下の群で内痔核3箇所との間で有意差を認めなかった以外は、各年代間で裂肛の方が有意に術前のMARPが高値であった。
  裂肛と内痔核との比較
  男性では、30歳以下群では内痔核1箇所、2箇所、3箇所との間でいずれも有意差は認めなかった。50歳以下群で、内痔核2箇所との間に有意差は認めなかった。これ以外ではすべての群で裂肛のほうが術前のMARPは有意に高かった。
  女性では30歳以下群で、内痔核2箇所、3箇所との間で有意差を認めなかったのと、40歳以下群で内痔核3箇所との間で有意な圧の差は認めなかったのみで、これ以外ではすべての群で裂肛のほうが術前のMARPは高値であった。
【考察】
 肛門疾患の病態や、成因を考えるうえでMARPの測定はある程度の情報をあたえてくれると検査だと考えている。今回われわれは、内痔核、痔瘻および裂肛に関して術前のMARPについて、年代差、男女差、さらに各疾患間における差を検討した。
  内痔核に関して。
  男性においては、すべての群間に有意差は認めなかったがものの内痔核の個数に関係なく、加齢とともに術前のMARPは低下していく傾向を認めた。この傾向は女性にも認められた。内痔核の個数による術前のMARPを各年代で比較した。男性では60歳以下群の1箇所切除群と3箇所切除群と2箇所切除群と3箇所切除群の間で有意差を認めたのと、70歳以下群の1箇所切除群と2箇所切除群との間に有意差を認めたのみで、各年代では内痔核の個数間には有意差は認めなかった。女性でも同様の結果で、70歳以下群の2箇所切除と3箇所切除群との間でのみ有意差を認めた。このことから、内痔核の切除個数と術前のMARPとの間には関連性は認めないと考えられる。したがって、内痔核の発生に関してはMARPの違いによってではなく、随意圧や随意圧とMARPとの差などが関連してくるのではないかと思われ、今後検討をしていく必要がある。また、年齢とともにMARPが男女とも低下する傾向にあるが、各年代で内痔核の個数間に有意差が認められなかったことから、健常人でも同様の傾向があると推察する。しかしながら、痔核根治術術前後の肛門機能に関しての発表で、対象群内では年齢によるMARPの差を認めず、痔核患者群で若年者群は高齢者に比して高値を示したと*)の報告もあることから、健常人のMARPの年齢による変化も今後検討の課題であると考える。
  痔瘻に関して。
  男性では、年齢とともに術前のMARPは低下していく傾向にあるが、有意差がでるのは30歳以下群では60歳以下群以上、40歳以下群では70歳以下群以上、50歳以下群でも70歳以下群以上であり、60歳以下群以上の群間には有意差は認めなかった。また30歳以下群、40歳以下群、50歳以下群との間でも有意差は認めなかった。
  女性では、痔瘻の症例が男性のように多くないことや、50歳以下群の術前のMARPが極端に低かったこともあり、男性のように各年代間にあまり有意差は認めなかった。特に30歳以下群や40歳以下群の若年群でも60歳以下群以上との間で有意な差は認めなかった。
  このことから、痔瘻に対して手術を施行する際に男性では年齢とともにMARPが低下していくことを考えると、手術術式を選択する際にはやはり年齢を考慮する必要があり加齢とともに括約筋を温存する術式を念頭におかなければならないと考える。また女性の場合では男性と異なり各年代間にMARPの差があまり認められないことから、全年齢を通じて括約筋の温存には配慮する必要があると考える。
  内痔核との比較では、男性では痔瘻の50歳以下群、60歳以下群、71歳以上群で内痔核3箇所群との間で有意に痔瘻のほうが術前のMARPが高かったが、それ以外の群間では有意差は認めなかった。ただ各年代間を通してみると、内痔核と比較して痔瘻はMARPが高い傾向にあった。これに対して女性では、70歳以下群で内痔核3箇所群との間で有意に圧が高かったのみで、他の群間には有意差はなく、各年代を通してみても男性と異なり、内痔核と比較して圧の差は認めなかった。このことから、男性においてはMARPの高さも痔瘻の発生にある程度関与しているのではないかと考える。これに対して女性の場合は男性と異なりMARPとの関連性は少なく、男性とは発生の原因が異なるのではないかと考える。今後、男女間の痔瘻の発生の違いを検討する必要がある。
  裂肛に関して。
  裂肛では男女とも内痔核と異なり年齢とともに術前のMARPの低下はなく、各年代間に有意な圧の差は認めなかった。また、内痔核と比較しても男性では30歳以下群と内痔核1箇所2箇所3箇所の各群間と、50歳以下群と内痔核2箇所との間でのみ有意差を認めず、女性でも30歳以下群で内痔核2箇所および3箇所の間と、40歳以下群と内痔核3箇所との間でのみ有意差を認めなかった以外は裂肛のほうが有意にMARPは高値であった。したがって、MARPにおいて、肛門括約筋のうち内肛門括約筋が80%の影響を与えて得ているとされていることから、このことは疼痛が原因で内肛門括約筋と緊張が高くなったことを示していると推察され、裂肛に関してはMARPが病態に大きく関与していると考えられる。ただ30歳以下群においては、裂肛と内痔核との間ではMARPの差があまり認められないことから、30歳以下群のMARPの健常人の値がわからないが、裂肛に対して手術を施行する際にMARPが高いことだけで手術適応を決めないほうがよいのではないかと考える。また裂肛に対して手術を施行する際も各年代の健常人の正常値に近づけるように括約筋を切開する必要があると考える。このことからも今後健常人の各年代ごとのMARPの正常値を求めていかなければならないと考える。

 

 

2018.02.18

第3度以上の内痔核に対する5%フェノールアーモンドオイルによる痔核硬化療法の効果と経過についての検討.(第61回日本大腸肛門病学会)

 今回は、「第3度以上の内痔核に対する5%フェノールアーモンドオイルによる痔核硬化療法の効果と経過についての検討」という発表内容を紹介します。
 内痔核の治療方法に痔核硬化療法という治療方法があります。今では、今回紹介するパオスクレー(5%フェノール・アーモンドオイル)とジオン(硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸水溶液)の2種類の痔核硬化剤での痔核硬化療法が健康保険で治療できる保険適応となっています。
 ジオンが保険適応として登場するまではパオスクレーという痔核硬化剤でした。
 内痔核はその病状で第1度から第4度までの4段階に分かれています。それぞれの段階で治療方法が違ってきます。
 現在、渡邉医院では、第1度と第2度にはパオスクレーによる痔核硬化療法を、第3度にはジオンによる痔核硬化療法と適応を決めています。しかし、現在でも第3度の内痔核でも小さいものなど、適応を選んでパオスクレーによる痔核硬化療法を行っています。
 今回の発表内容は、第3度の内痔核に対してパオスクレーによる痔核硬化療法を行ったことに関して検討しています。

発表内容

  今回3度以上の内痔核に対して5%フェノールアーモンドオイル以下PAOによる痔核硬化療法を施行した症例についてその効果と施行後の経過について検討しました。
  対象は、3度以上の内痔核に対して痔核硬化療法を施行した278例中、再発に対して2回以上痔核硬化療法を施行した症例及び手術を施行した135例としました。
  135例について、再発時に痔核硬化療法を施行するまでの期間、手術に移行するまでの期間、再発時の内痔核の状態の変化を検討しました。
 痔核硬化療法は、無麻酔下に筒型の肛門鏡を用いて、1箇所の内痔核に対して、5ml以上のPAOを局注しました。
  PAOの効果に関する文献では、その効果は、線維化が始まる1週間後から現れ、1箇所の内痔核に対して5ml以上のPAOを局注すると有効率が高くなる。また、再発に関しては、粘膜下層に十分な量のPAOが局注されていないと数ヶ月後に再発してくる。再発時には何回か繰り返すことで再度効果を得られ、脱出する内痔核にも繰り返し施行することで脱出してこなくなる場合がある。ただ繰り返すことで粘膜下の癒合が強くなり、PAOの注入が十分にできなくなってくるとされています。そこで、初回に最大の効果をねらう必要があり、十分な量のPAOを粘膜下層に局注する必要があります。
 当院ではPAOの効果で線維化が始まる1週間の間に2回痔核硬化療法を行い、1箇所の内痔核に対して5ml以上のPAOを局注しています。
  痔核硬化療法の施行回数は平均3.1回でした。再発に対して2回目の痔核硬化療法を施行したのは111例、手術は24例でした。再度再発して痔核硬化療法を施行したのは60例、手術は16例でした。
  再発までの期間は、平均468.5日で、再発までの期間に有意差は認めませんでした。手術までの期間も初回再発時手術と再度再発した際に手術を施行した群の間には有意な差は認めませんでした。
  痔核硬化療法施行後の内痔核の状態は、初回再発に対して痔核硬化療法を施行した111例のうち、1度であったものが16例、2度が53例、3度以上が42例でした。再度再発し3回以上痔核硬化療法を施行した60例のうち、初回再発時に1度であったものは8例、このうち再発時に1度であったものが4例、23例、3度以上1例でした。同様に2度であったものは28例、16例、216例、3度以上6例。3度以上であったものは24例、16例、25例、3度以上13例でした。60例の最終の内痔核の程度は、116例、224例、3度以上20例で、初回再発時の割合と有意な差は認めませんでした。
  痔核硬化療法を2回施行後、再発時に手術を施行した16例をみると、初回再発時に1度であったもので手術を施行したのは1例、2度では7例、3度以上は8例と有意差は認めませんでしたが、初回再発時に内痔核の状態が軽度なほど次回再発時に手術を施行する症例も少ない傾向にありました。
  また、初回再発時に痔核硬化療法を施行した際の内痔核の状態によって再度再発した時の内痔核の程度に差があるかを比較すると、初回再発時の内痔核の状態が3度以上である症例では、再度再発した際も3度以上にの症例が有意に多く認めました。
  以上より、1回の施行や、何回か繰り返すことで1度・2度に軽快する症例があり、また、初回再発時に1度・2度まで軽快している症例では再度再発時に3度以上になる症例が少なくなることから、PAOによる痔核硬化療法は3度以上の内痔核に対しても初回に最大限の効果を得るために十分な量のPAOを粘膜下層に局注することで有用な治療法になると考えます。

 抄録を紹介します。

抄録

 第Ⅲ度以上の内痔核に対しての治療は、結紮切除術や最近ではジオン注などが行われている。今回我々は、第Ⅲ度以上の内痔核に対して5%フェノールアーモンドオイル(以下PAOとする)による痔核硬化療法を施行した症例についてその効果と施行後の経過に関して検討した。
【対象】第Ⅲ度以上の内痔核に対してPAOによる痔核硬化療法を施行した278例(男性162例、女性116例)を対象とした。
【方法】痔核硬化療法を施行した278例のうち、2回以上施行及び再発時手術を施行した症例は135例(48.6%)であった。この135例について①2回目以降の痔核硬化療法施行までの期間、②手術に移行するまでの期間、③2回目以降の内痔核の状態の変化について検討した。痔核硬化療法は無麻酔下に肛門鏡を用いて1箇所の内痔核に対してPAO5ml局注した。
【結果】痔核硬化療法を施行回数は2回から最高8回で、平均3.1回であった。痔核硬化療法を施行し初回の再発時に手術を施行したのは24例であった。2回以上痔核硬化療法を施行したのは111例で、このうち2回以上施行後に手術を施行したのは16例で、手術を施行しなかったのは95例であった。再発時2回目以降の痔核硬化療法施行までの平均期間は、2回目598.1日、3回目511.2日。4回目551.1日、5回目417.0日、6回目281.0日、7回目536.8日、8回目384.0日で、それぞれの期間には有意差は認めなかった。再発に対して2回目の痔核硬化療法を施行した症例は111例(82.2%)で、このうち69例(62.2%)が第Ⅰ度、Ⅱ度に軽快していた。42例(37.8%)は第Ⅲ度、Ⅳ度であった。第Ⅲ度、Ⅳ度であった42例中24例(57.1%)がさらに3回以上痔核硬化療法を施行した。このうち11例(45.8%)が第Ⅰ度、Ⅱ度に軽快した。
【まとめ】第Ⅲ度以上の内痔核に対するPAOによる痔核硬化療法は、根治性に関しては満足しうる結果とはいえないが、1回の施行で第Ⅰ度、Ⅱ度まで軽快する症例や、何回か繰り返し施行することで第Ⅰ度、Ⅱ度まで軽快する症例があった。麻酔の必要がなく外来で簡便に何回も施行でき、疼痛や出血等の合併症も少ないことから、第Ⅲ度以上の内痔核においても有用な治療手段と考える。

2018.02.14

「豚肉のキムチーズロール」のレシピを紹介します。

辛いものはお尻に悪いと思っている方が多いですが、そんなことはありません。
肛門科の先生がとても面白いことをおっしゃいました。「肛門は唇がお尻についたようなものだ。」というお話です。なるほど、辛い物を食べたとき、唇はピリピリしますが、これは唇が辛いと感じていること。辛い物を食べた後、排便時に肛門がピリピリするのは肛門が辛いと感じていること。ピリピリするのは肛門が悪くなったわけではありません。
 キムチは発酵食品です。おなかの動きを調整してくれて、便秘や下痢など、排便の状態が悪い方にはお勧めだと思います。
 キムチとチーズを豚肉で包んで焼く。簡単で美味しいですし、食欲もわきます。ぜひ作ってみて下さい。

豚肉のキムチーズロール」

材料(2人分)

豚ロース肉(薄切り)  6枚

塩、コショウ     少々

小麦粉        少々

キムチ(きざむ)   大さじ5

スライスチーズ    3枚

ごま油        適量

作り方

  1. ① 豚肉に塩、コショウをし、全体に小麦粉を薄くまぶしておく。
  2. ② スライスチーズを半分に切り、肉の上に置く。
  3. ③ ②の手前側にきざんだキムチをのせ、手前からしっかりと巻く。
  4. ④ フライパンにごま油を熱し、巻き終わりの部分を下にして焼く。転がしながら全面に焼き色がつくまでこんがりと焼いたら出来上がり。
  • ☆マーク豚肉とチーズの間に大葉を挟むとさっぱりとして美味しいですよ。
  • 管理栄養士さんからの一言
    • ○栄養メモ○●

    キムチとチーズは乳酸菌がたっぷり! 乳酸菌はお腹の調子を整える働きがあり、便秘、下痢どちらにもオススメですよ。免疫力を高め、がんやアレルギーを抑える効果も注目されています。乳酸菌はヨーグルトお漬物味噌などにも多く含まれています。ぜひ毎日の食卓に取り入れてみて下さい。

 

2018.02.14

内痔核に対する5%フェノールアーモンドオイルと硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸液との効果の比較(第62回日本大腸肛門病学会)

 今回は、パオスクレ(5%フェノールアーモンドオイル)とジオン(硫酸アルミニウムカリウムタンニン酸水溶液という痔核硬化剤を使った、第3度の内痔核に対しての痔核硬化療法の効果について比較検討した発表を紹介します。
 少し古い発表です。その時点でのそれぞれの痔核硬化剤の評価です。
 結論は、今現在もそうですが、第3度の内痔核、排便時に内痔核が肛門の外に出てきて押し込む程度の内痔核に対してはジオンによる四段階注射法での痔核硬化療法が有効です。でも比較的小さな内痔核で、第3度の内痔核では、パオスクレーによる痔核硬化療法をある程度有効です。パオスクレーによる痔核硬化療法は麻酔をすることなく、外来での治療が可能です。第3度以上の内痔核に対しての一つの治療方法としての選択肢になると思います。
 内痔核に対してのパオスクレーによる痔核硬化療法については、本ページの「痔の治療」にも詳しく紹介してあります。こちらもご覧ください。

発表内容

 5%フェノールアーモンドオイル、以下PAOによる痔核硬化療法の適応は第1度や第2度の内痔核、特に出血に対して有効と言われています。我々はこれまでも、第3度以上の内痔核に対してもPAOによる痔核硬化療法を行ってきました。最近では、第3度以上の内痔核に対しては、硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸水溶液による痔核硬化療法、以下ALTA療法を施行するようになって来ました。
 今回、第3度以上の内痔核に対して行ったPAOによる痔核硬化療法とALTA療法について比較検討しました。
 対象は、第3度以上の内痔核に痔核硬化療法施行した症例としました。PAOによる痔核硬化療法を施行した症例は278例、男性162例、女性116例、平均年齢60.8歳。ALTA療法を施行した症例は109例、男性82例、女性27例、平均年齢55.6歳でした。
 PAOによる痔核硬化療法は無麻酔下に施行し、筒型の肛門鏡を用いて1箇所の内痔核に対して内痔核根部と内痔核に、ALTA療法での第1段階と第2、第3段階の部分に計5mlPAOを局注しました。3箇所の場合は総量15mlを局注しました。
 ALTA療法は1%塩酸プロカインによる局所麻酔下に四段階注射法で施行しました。いずれの痔核硬化療法も左側臥位で施行しました。
 平成19412日現在での非再発率をKaplan-Meier法で計算しログランク検定で比較検討しました。
 結果ですが、ALTA療法の観察期間は最長268日と短いですが、ALTA療法を施行した症例では再発は認めず、非再発率は100%であったのに対して、PAOによる痔核硬化療法の非再発率は43.5%と有意にALTA療法の非再発率が高値でした。
 ただ、PAOによる痔核硬化療法でもALTA療法での最長観察期間である268日の時点では、非再発率が82.7%であり、また、364日、約1年でも非再発率が77.3%1年までは比較的有効な治療法だと思います。
 第3度以上の内痔核に対する痔核硬化療法は、再発面からALTA療法のほうがPAOによる痔核硬化療法より優れており、非再発率は有意に高値でした。ただ、PAOによる痔核硬化療法でも非再発率は286日で82.7%、約1年では77.3%と、施行後1年までをみると比較的有効な治療法だと考えます。PAOによる痔核硬化療法は、無麻酔下に施行することができ、また比較的副作用も少ないため、外来通院での治療が可能です。また前回の大腸肛門病学会でも発表しましたが、第3度以上の内痔核に対してPAOによる痔核硬化療法を施行し、再発した症例でも、何回か痔核硬化療法を施行していく間に、内痔核の程度が軽快していく症例もありました。このことからも第3度以上の内痔核に対しての第1選択はALTA療法がよいと考えますが、PAOによる痔核硬化療法も治療法の一つの選択肢になると考えます。
 ALTA療法に関しては、まだ観察期間が短いため、非再発率がどのように推移していくか今後のfollow upが必要です。

抄録を紹介します。

抄録

 一般に5%フェノールアーモンドオイル(以下PAO)による痔核硬化療法の適応は第1度や第2度の内痔核といわれているが、我々は第3度以上の内痔核に対してもPAOによる痔核硬化療法を行ってきた。最近では硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸液による痔核硬化療法(以下ALTA療法)の出現により、第3度以上の内痔核に対して痔核硬化療法を施行する場合はALTA療法を施行するようになってきた。今回ALTA療法とPAOによる痔核硬化療法とを比較検討した。
【対象】第3度以上の内痔核に対してPAOによる痔核硬化療法例278例(男性162例、女性116例、平均年令60.8才)と、ALTA療法施行例109例(男性82例、女性27例、平均年令55.6才)を対象とした。【方法】PAOによる痔核硬化療法は無麻酔下に、ALTA療法は1%塩酸プロカインによる局所麻酔下に施行した。H19412日現在での非再発率をKaplan-Meier法で計算し、それぞれの痔核硬化療法の第3度以上の内痔核に対する効果を再発面から比較検討した(ログランク検定)。
【結果】平均follow-up期間はPAOによる痔核硬化療法が1248.0±981.3日、ALTA療法によるものが142.6±79.0日であった。PAOによる痔核硬化療法の非再発率は43.5%であり、ALTA療法の非再発率100%と比較して統計学的に有意に低値であった(P=0.0105)。ただし、ALTA療法は経過観察期間が最長でも286日であることから、PAOによる痔核硬化療法において286日に注目してみると、再発症例は48例(17.3%)であり、非再発率は280日で83.0%、364日で77.3%であった。
【まとめ】第3度以上の内痔核に対する痔核硬化療法は、再発面からALTA療法のほうがPAOより優れていた。ただし、ALTA療法に関しては現時点で経過観察期間が不十分であり、今後も十分follow-upしていく必要がある。

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