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2018.02.18

第3度以上の内痔核に対する5%フェノールアーモンドオイルによる痔核硬化療法の効果と経過についての検討.(第61回日本大腸肛門病学会)

 今回は、「第3度以上の内痔核に対する5%フェノールアーモンドオイルによる痔核硬化療法の効果と経過についての検討」という発表内容を紹介します。
 内痔核の治療方法に痔核硬化療法という治療方法があります。今では、今回紹介するパオスクレー(5%フェノール・アーモンドオイル)とジオン(硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸水溶液)の2種類の痔核硬化剤での痔核硬化療法が健康保険で治療できる保険適応となっています。
 ジオンが保険適応として登場するまではパオスクレーという痔核硬化剤でした。
 内痔核はその病状で第1度から第4度までの4段階に分かれています。それぞれの段階で治療方法が違ってきます。
 現在、渡邉医院では、第1度と第2度にはパオスクレーによる痔核硬化療法を、第3度にはジオンによる痔核硬化療法と適応を決めています。しかし、現在でも第3度の内痔核でも小さいものなど、適応を選んでパオスクレーによる痔核硬化療法を行っています。
 今回の発表内容は、第3度の内痔核に対してパオスクレーによる痔核硬化療法を行ったことに関して検討しています。

発表内容

  今回3度以上の内痔核に対して5%フェノールアーモンドオイル以下PAOによる痔核硬化療法を施行した症例についてその効果と施行後の経過について検討しました。
  対象は、3度以上の内痔核に対して痔核硬化療法を施行した278例中、再発に対して2回以上痔核硬化療法を施行した症例及び手術を施行した135例としました。
  135例について、再発時に痔核硬化療法を施行するまでの期間、手術に移行するまでの期間、再発時の内痔核の状態の変化を検討しました。
 痔核硬化療法は、無麻酔下に筒型の肛門鏡を用いて、1箇所の内痔核に対して、5ml以上のPAOを局注しました。
  PAOの効果に関する文献では、その効果は、線維化が始まる1週間後から現れ、1箇所の内痔核に対して5ml以上のPAOを局注すると有効率が高くなる。また、再発に関しては、粘膜下層に十分な量のPAOが局注されていないと数ヶ月後に再発してくる。再発時には何回か繰り返すことで再度効果を得られ、脱出する内痔核にも繰り返し施行することで脱出してこなくなる場合がある。ただ繰り返すことで粘膜下の癒合が強くなり、PAOの注入が十分にできなくなってくるとされています。そこで、初回に最大の効果をねらう必要があり、十分な量のPAOを粘膜下層に局注する必要があります。
 当院ではPAOの効果で線維化が始まる1週間の間に2回痔核硬化療法を行い、1箇所の内痔核に対して5ml以上のPAOを局注しています。
  痔核硬化療法の施行回数は平均3.1回でした。再発に対して2回目の痔核硬化療法を施行したのは111例、手術は24例でした。再度再発して痔核硬化療法を施行したのは60例、手術は16例でした。
  再発までの期間は、平均468.5日で、再発までの期間に有意差は認めませんでした。手術までの期間も初回再発時手術と再度再発した際に手術を施行した群の間には有意な差は認めませんでした。
  痔核硬化療法施行後の内痔核の状態は、初回再発に対して痔核硬化療法を施行した111例のうち、1度であったものが16例、2度が53例、3度以上が42例でした。再度再発し3回以上痔核硬化療法を施行した60例のうち、初回再発時に1度であったものは8例、このうち再発時に1度であったものが4例、23例、3度以上1例でした。同様に2度であったものは28例、16例、216例、3度以上6例。3度以上であったものは24例、16例、25例、3度以上13例でした。60例の最終の内痔核の程度は、116例、224例、3度以上20例で、初回再発時の割合と有意な差は認めませんでした。
  痔核硬化療法を2回施行後、再発時に手術を施行した16例をみると、初回再発時に1度であったもので手術を施行したのは1例、2度では7例、3度以上は8例と有意差は認めませんでしたが、初回再発時に内痔核の状態が軽度なほど次回再発時に手術を施行する症例も少ない傾向にありました。
  また、初回再発時に痔核硬化療法を施行した際の内痔核の状態によって再度再発した時の内痔核の程度に差があるかを比較すると、初回再発時の内痔核の状態が3度以上である症例では、再度再発した際も3度以上にの症例が有意に多く認めました。
  以上より、1回の施行や、何回か繰り返すことで1度・2度に軽快する症例があり、また、初回再発時に1度・2度まで軽快している症例では再度再発時に3度以上になる症例が少なくなることから、PAOによる痔核硬化療法は3度以上の内痔核に対しても初回に最大限の効果を得るために十分な量のPAOを粘膜下層に局注することで有用な治療法になると考えます。

 抄録を紹介します。

抄録

 第Ⅲ度以上の内痔核に対しての治療は、結紮切除術や最近ではジオン注などが行われている。今回我々は、第Ⅲ度以上の内痔核に対して5%フェノールアーモンドオイル(以下PAOとする)による痔核硬化療法を施行した症例についてその効果と施行後の経過に関して検討した。
【対象】第Ⅲ度以上の内痔核に対してPAOによる痔核硬化療法を施行した278例(男性162例、女性116例)を対象とした。
【方法】痔核硬化療法を施行した278例のうち、2回以上施行及び再発時手術を施行した症例は135例(48.6%)であった。この135例について①2回目以降の痔核硬化療法施行までの期間、②手術に移行するまでの期間、③2回目以降の内痔核の状態の変化について検討した。痔核硬化療法は無麻酔下に肛門鏡を用いて1箇所の内痔核に対してPAO5ml局注した。
【結果】痔核硬化療法を施行回数は2回から最高8回で、平均3.1回であった。痔核硬化療法を施行し初回の再発時に手術を施行したのは24例であった。2回以上痔核硬化療法を施行したのは111例で、このうち2回以上施行後に手術を施行したのは16例で、手術を施行しなかったのは95例であった。再発時2回目以降の痔核硬化療法施行までの平均期間は、2回目598.1日、3回目511.2日。4回目551.1日、5回目417.0日、6回目281.0日、7回目536.8日、8回目384.0日で、それぞれの期間には有意差は認めなかった。再発に対して2回目の痔核硬化療法を施行した症例は111例(82.2%)で、このうち69例(62.2%)が第Ⅰ度、Ⅱ度に軽快していた。42例(37.8%)は第Ⅲ度、Ⅳ度であった。第Ⅲ度、Ⅳ度であった42例中24例(57.1%)がさらに3回以上痔核硬化療法を施行した。このうち11例(45.8%)が第Ⅰ度、Ⅱ度に軽快した。
【まとめ】第Ⅲ度以上の内痔核に対するPAOによる痔核硬化療法は、根治性に関しては満足しうる結果とはいえないが、1回の施行で第Ⅰ度、Ⅱ度まで軽快する症例や、何回か繰り返し施行することで第Ⅰ度、Ⅱ度まで軽快する症例があった。麻酔の必要がなく外来で簡便に何回も施行でき、疼痛や出血等の合併症も少ないことから、第Ⅲ度以上の内痔核においても有用な治療手段と考える。

2018.02.14

「豚肉のキムチーズロール」のレシピを紹介します。

辛いものはお尻に悪いと思っている方が多いですが、そんなことはありません。
肛門科の先生がとても面白いことをおっしゃいました。「肛門は唇がお尻についたようなものだ。」というお話です。なるほど、辛い物を食べたとき、唇はピリピリしますが、これは唇が辛いと感じていること。辛い物を食べた後、排便時に肛門がピリピリするのは肛門が辛いと感じていること。ピリピリするのは肛門が悪くなったわけではありません。
 キムチは発酵食品です。おなかの動きを調整してくれて、便秘や下痢など、排便の状態が悪い方にはお勧めだと思います。
 キムチとチーズを豚肉で包んで焼く。簡単で美味しいですし、食欲もわきます。ぜひ作ってみて下さい。

豚肉のキムチーズロール」

材料(2人分)

豚ロース肉(薄切り)  6枚

塩、コショウ     少々

小麦粉        少々

キムチ(きざむ)   大さじ5

スライスチーズ    3枚

ごま油        適量

作り方

  1. ① 豚肉に塩、コショウをし、全体に小麦粉を薄くまぶしておく。
  2. ② スライスチーズを半分に切り、肉の上に置く。
  3. ③ ②の手前側にきざんだキムチをのせ、手前からしっかりと巻く。
  4. ④ フライパンにごま油を熱し、巻き終わりの部分を下にして焼く。転がしながら全面に焼き色がつくまでこんがりと焼いたら出来上がり。
  • ☆マーク豚肉とチーズの間に大葉を挟むとさっぱりとして美味しいですよ。
  • 管理栄養士さんからの一言
    • ○栄養メモ○●

    キムチとチーズは乳酸菌がたっぷり! 乳酸菌はお腹の調子を整える働きがあり、便秘、下痢どちらにもオススメですよ。免疫力を高め、がんやアレルギーを抑える効果も注目されています。乳酸菌はヨーグルトお漬物味噌などにも多く含まれています。ぜひ毎日の食卓に取り入れてみて下さい。

 

2018.02.14

内痔核に対する5%フェノールアーモンドオイルと硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸液との効果の比較(第62回日本大腸肛門病学会)

 今回は、パオスクレ(5%フェノールアーモンドオイル)とジオン(硫酸アルミニウムカリウムタンニン酸水溶液という痔核硬化剤を使った、第3度の内痔核に対しての痔核硬化療法の効果について比較検討した発表を紹介します。
 少し古い発表です。その時点でのそれぞれの痔核硬化剤の評価です。
 結論は、今現在もそうですが、第3度の内痔核、排便時に内痔核が肛門の外に出てきて押し込む程度の内痔核に対してはジオンによる四段階注射法での痔核硬化療法が有効です。でも比較的小さな内痔核で、第3度の内痔核では、パオスクレーによる痔核硬化療法をある程度有効です。パオスクレーによる痔核硬化療法は麻酔をすることなく、外来での治療が可能です。第3度以上の内痔核に対しての一つの治療方法としての選択肢になると思います。
 内痔核に対してのパオスクレーによる痔核硬化療法については、本ページの「痔の治療」にも詳しく紹介してあります。こちらもご覧ください。

発表内容

 5%フェノールアーモンドオイル、以下PAOによる痔核硬化療法の適応は第1度や第2度の内痔核、特に出血に対して有効と言われています。我々はこれまでも、第3度以上の内痔核に対してもPAOによる痔核硬化療法を行ってきました。最近では、第3度以上の内痔核に対しては、硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸水溶液による痔核硬化療法、以下ALTA療法を施行するようになって来ました。
 今回、第3度以上の内痔核に対して行ったPAOによる痔核硬化療法とALTA療法について比較検討しました。
 対象は、第3度以上の内痔核に痔核硬化療法施行した症例としました。PAOによる痔核硬化療法を施行した症例は278例、男性162例、女性116例、平均年齢60.8歳。ALTA療法を施行した症例は109例、男性82例、女性27例、平均年齢55.6歳でした。
 PAOによる痔核硬化療法は無麻酔下に施行し、筒型の肛門鏡を用いて1箇所の内痔核に対して内痔核根部と内痔核に、ALTA療法での第1段階と第2、第3段階の部分に計5mlPAOを局注しました。3箇所の場合は総量15mlを局注しました。
 ALTA療法は1%塩酸プロカインによる局所麻酔下に四段階注射法で施行しました。いずれの痔核硬化療法も左側臥位で施行しました。
 平成19412日現在での非再発率をKaplan-Meier法で計算しログランク検定で比較検討しました。
 結果ですが、ALTA療法の観察期間は最長268日と短いですが、ALTA療法を施行した症例では再発は認めず、非再発率は100%であったのに対して、PAOによる痔核硬化療法の非再発率は43.5%と有意にALTA療法の非再発率が高値でした。
 ただ、PAOによる痔核硬化療法でもALTA療法での最長観察期間である268日の時点では、非再発率が82.7%であり、また、364日、約1年でも非再発率が77.3%1年までは比較的有効な治療法だと思います。
 第3度以上の内痔核に対する痔核硬化療法は、再発面からALTA療法のほうがPAOによる痔核硬化療法より優れており、非再発率は有意に高値でした。ただ、PAOによる痔核硬化療法でも非再発率は286日で82.7%、約1年では77.3%と、施行後1年までをみると比較的有効な治療法だと考えます。PAOによる痔核硬化療法は、無麻酔下に施行することができ、また比較的副作用も少ないため、外来通院での治療が可能です。また前回の大腸肛門病学会でも発表しましたが、第3度以上の内痔核に対してPAOによる痔核硬化療法を施行し、再発した症例でも、何回か痔核硬化療法を施行していく間に、内痔核の程度が軽快していく症例もありました。このことからも第3度以上の内痔核に対しての第1選択はALTA療法がよいと考えますが、PAOによる痔核硬化療法も治療法の一つの選択肢になると考えます。
 ALTA療法に関しては、まだ観察期間が短いため、非再発率がどのように推移していくか今後のfollow upが必要です。

抄録を紹介します。

抄録

 一般に5%フェノールアーモンドオイル(以下PAO)による痔核硬化療法の適応は第1度や第2度の内痔核といわれているが、我々は第3度以上の内痔核に対してもPAOによる痔核硬化療法を行ってきた。最近では硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸液による痔核硬化療法(以下ALTA療法)の出現により、第3度以上の内痔核に対して痔核硬化療法を施行する場合はALTA療法を施行するようになってきた。今回ALTA療法とPAOによる痔核硬化療法とを比較検討した。
【対象】第3度以上の内痔核に対してPAOによる痔核硬化療法例278例(男性162例、女性116例、平均年令60.8才)と、ALTA療法施行例109例(男性82例、女性27例、平均年令55.6才)を対象とした。【方法】PAOによる痔核硬化療法は無麻酔下に、ALTA療法は1%塩酸プロカインによる局所麻酔下に施行した。H19412日現在での非再発率をKaplan-Meier法で計算し、それぞれの痔核硬化療法の第3度以上の内痔核に対する効果を再発面から比較検討した(ログランク検定)。
【結果】平均follow-up期間はPAOによる痔核硬化療法が1248.0±981.3日、ALTA療法によるものが142.6±79.0日であった。PAOによる痔核硬化療法の非再発率は43.5%であり、ALTA療法の非再発率100%と比較して統計学的に有意に低値であった(P=0.0105)。ただし、ALTA療法は経過観察期間が最長でも286日であることから、PAOによる痔核硬化療法において286日に注目してみると、再発症例は48例(17.3%)であり、非再発率は280日で83.0%、364日で77.3%であった。
【まとめ】第3度以上の内痔核に対する痔核硬化療法は、再発面からALTA療法のほうがPAOより優れていた。ただし、ALTA療法に関しては現時点で経過観察期間が不十分であり、今後も十分follow-upしていく必要がある。

2018.02.12

内痔核の手術後の経過についてお話します。

 今回は内痔核に対して痔核根治術を行った時の手術後の経過についてお話しします。
 内痔核はその症状によって治療方法が決まります。内痔核はその症状によって第1度から第4度までの4段階に分けられています。その中で痔核根治術といって手術で内痔核を切除する必要がある内痔核は第3度以上の内痔核です。
 第3度の内痔核は、排便時に内痔核が肛門の外に出てきて(脱出と言います。)自然にはもどらず、指で押し込まないと戻らない程度。第4度の内痔核は、常に内痔核が脱出していて押し込もうと思っても押し込むことができない程度の内痔核を言います。内痔核そのものは静脈瘤で悪い病気ではありません。絶対に手術が必要と言うわけではありませんが、今ある嫌な症状、「排便時に内痔核が脱出する。内痔核が脱出したままになっている。出血もする。」といった症状を取り除き、スッキリ治すには第3度以上の内痔核になりますと痔核根治術という手術が必要になります。
 第3度以上の内痔核に対してジオンという痔核硬化剤を使って、四段階注射法という方法での痔核硬化療法で治す方法(ALTA療法)もありますが、万能ではありません。適応を選ばなければなりません。
 これに対して痔核根治術はどんな内痔核にも対応できる、オールマイティーな治療方法です。
 手術は、肛門の外側から皮膚を剥がし、さらに肛門上皮を剥がしていくと内痔核の根元まで剥離していくことができます。ジョキジョキ切るわけではなく、スッと剥がしていきます。最後に内痔核の根元の動脈を糸で縛って出血しないようにしてから内痔核を切除します。基本はそのまま切りっぱなしでも治っていくのですが、排便時の痛みや出血が少なくなるように、肛門の中の肛門上皮の部分は糸で縫合していきます。この手術方法を半閉鎖式と言います。
 手術にかかる時間は、1か所の内痔核の手術が約10分程度です。内痔核が出来やすい3か所手術しても30分程度です。

さて、術後の経過ですが、術後最初の1週間は傷が治っていく準備期間です。傷の大きさはさほど変わりませんが、傷が治っていく準備をする期間です。切ったといっても凸凹している傷が平らになってきたり、新しい皮膚ができるなど、とっても大事なことをする期間です。
 1週間が過ぎ、2週目に入ると今度は収縮といって一気に傷は治っていきます。術後2週間が過ぎると約80%は治っていきます。次の1週間は仕上げの時期。術後約3週間から4週間で傷はふさがります。
 術後の痛みですが、傷はどんな傷でも擦ると痛いように、痔核根治術をしても1日中常に痛みがあるわけではありません。普段は痛みは無く、排便時にどうしても傷を擦って便がでるので痛みがあります。この排便時の痛みですが、術後最初の1週間は傷が治っていく準備期間です。この期間は排便の状態、便の硬さや出し具合で、痛みがあったりなかったり、排便時の痛みには波があります。この波にどうしても一喜一憂してしまいます。でも傷の治る準備期間が終わると今度は収縮と言って一気に傷が治っていきます。この時期になると排便時の痛みもスッと楽になっていきます。感じとしては、今日も排便の時痛かったな。今日も痛かったな。今日も痛いかなと思って排便すると、昨日までの痛みと違ってスッと楽になる。昨日までと全然違うといった具合に排便時の痛みはなくなります。これ以降は傷はどんどん治っていきます。日に日に楽によくなっていきます。この術後7~10日までの間の痛みをしっかり取り除く。この期間を頑張れば後は楽になっていきます。ただ、手術を受けた患者さんに術後の痛みを聞くと、「想像していたよりも楽だった。」とおっしゃる方が多いです。
痛みは我慢することなく、しっかり消炎鎮痛剤を使って痛みを取り除く方が治りはいいです。術後7~10日までの痛みをしっかりとっていくことが大事です。
術後の出血に関しては、手術当日から24時間以内に起きる出血を早期出血と言います。また術後7~10日ごろに内痔核の根元を縛った部分から晩期出血という止血をしなければならない出血をおこすことがあります。でもこの晩期出血もこれまで約1%の頻度です。出血があった場合は、止血しなければなりませんが、振り出しに戻るわけではありません。傷はちゃんと1週間分治っています。止血はひつようでも、その後は予定通りに治っていきます。
 最後に、術後の入浴についてですが、術後1日目から入浴は可能です。入浴することで、血液の流れが良くなって傷の治りも良くなります。また術後に傷の腫れが起きても、入浴することで、この腫れがとれてきます。また肛門の痛みの原因の一つに、肛門の緊張があります。肛門の緊張が強く閉まることで、痛みが出ます。入浴することでこの筋肉、内肛門括約筋の緊張がとれ、痛みがすごく楽になります。痛みどめの座薬を入れる以上に入浴は痛みをとり、傷の治りを良くしてくれます。

2018.02.12

裂肛患者に対する側方皮下内肛門括約筋切開術術前と局所麻酔後の最大肛門静止圧の年齢、性別による検討(第62回日本大腸肛門病学会)

 裂肛は排便時に便が硬かったり、反対に下痢だったり、また、柔らかいけれども頑張らないと便が出なかったり、便の状態が悪い時に排便時に肛門に傷がつく病気です。
 最初は、転んで怪我をするのと似ています。転んだら怪我をする。でも転ばなければ怪我は治っていく。と同じように、便の状態が悪くて肛門に傷がつく。この傷のことを裂肛と呼んでいるだけで、便の状態が良ければ傷、裂肛は治っていきます。ただ、切れたり治ったりを繰り返していくうちに、裂肛が治りにくくなったり、傷つきやすくなってしまいます。この原因が肛門の緊張。内肛門括約筋の緊張があります。痛いと肛門が閉まる。痛いと閉まるということを繰り返していくうちに、内肛門括約筋の緊張が強くなっていきます。内肛門括約筋の緊張が強くなって、肛門のしまりが強くなっていくと、柔らかい便であっても排便時に痛みがでて、さらに肛門のしまりが強くなる。と言ったように悪循環に陥ってしまいます。
 したがって、裂肛の治療は、この強くなってしまった、緊張が強くなった内肛門括約筋の緊張をとって、元の状態に戻すことで良くなります。言ってみれば柔軟体操のような感じです。裂肛の手術もこの緊張の強くなった内肛門括約筋の緊張をとることが目的です。内肛門括約筋の緊張をとり、正常に戻すことで裂肛は治っていきます。
 今回紹介する発表内容は、この肛門のしまり具合、内肛門括約筋の緊張の程度を比較してみました。
 最大肛門静止圧は内肛門括約筋の緊張をみるために測定します。最大肛門静止圧が高ければ、内肛門括約筋の緊張が強く、低ければ、内肛門括約筋の緊張が弱いということになります。

発表内容

 裂肛の原因の一つに内肛門括約筋の過度な緊張があります。今回我々は、裂肛に対して側方皮下内肛門括約筋切開術、以下LSISを施行した症例に関して、術前と局所麻酔後の最大肛門静止圧を測定することで、裂肛患者における内肛門括約筋の緊張の程度を年齢や性別によって比較検討しました。
 対象は、平成109月から平成194月までにLSISを施行した症例で、術前及び局所麻酔後に最大肛門静止圧を測定した512例、男性174例、女性338例としました。
 方法は、症例を30歳以下、40歳以下、50歳以下、60歳以下、70歳以下、71歳以上の6群に分類しました。
 最大肛門静止圧は術前及び局所麻酔後に測定しました。いずれも左側臥位で測定しました。また、局所麻酔は1%塩酸プロカインを用いて施行した。
 また、局所麻酔後の最大肛門静止圧の低下率を、各年齢間及び男女間で比較検討しました。
 年齢別患者数を男女間で比較してみると、女性では、20歳代が最も多く、年齢と共に減少していくのに対して、男性では、40歳代にピークがあり、それ以降年齢と共に低下していく傾向があり患者数のピークに男女差を認めました。
 男性で術前の最大肛門静止圧と局所麻酔後の低下率を年齢別に比較してみました。術前の最大肛門静止圧は、年齢間に有意な圧の差は認めませんでした。これに対して、局所麻酔後の低下率は、有意差は認めませんでしたが、年齢と共に低下率が小さくなる傾向が認められました。
 女性でも同様に術前の最大肛門静止圧と局所麻酔後の低下率を年齢別に比較してみました。
 術前の最大肛門静止圧は男性同様に、各年齢間に有意な圧の差は認めませんでした。これに対して、局所麻酔後の低下率は、女性の場合は年齢と共に有意に小さくなりました。
 男女間で術前の最大肛門静止圧と局所麻酔後の低下率を比較してみました。
 術前の最大肛門静止圧は男性のほうが高い傾向にありました。これに対して、局所麻酔後の低下率に関しては、女性において低下率が大きい傾向にありました。
 以上より、男女とも若年者では術前の最大肛門静止圧は高いにもかかわらず、局所麻酔後の低下率が大きいことを考えると、局所麻酔を行うことで内肛門括約筋の緊張が十分にとれることになり、若年者の場合、裂肛の原因には内肛門括約筋の緊張が大きく影響しているのではないかと考えます。これに対して、年齢と共に術前の最大肛門静止圧には有意な差が認められないにもかかわらず、局所麻酔後の低下率が年齢と共に小さくなっていくことから、年齢と共に内肛門括約筋の緊張だけでなく、瘢痕形成などのほかの要因も裂肛の原因に加わってくるのではないかと考えます。
 以上のことをふまえて、裂肛に対して施行する手術術式の選択の際に、年齢や最大肛門静止圧の低下の程度などを考慮することも必要であると思います。

 抄録を紹介します。

抄録

 内肛門括約筋の緊張が裂肛の一因とされている。今回我々は、裂肛に対し側方皮下内肛門括約筋切開術(以下LSIS)を施行した症例に関して、内肛門括約筋の緊張の程度を年齢や性別によって比較検討した。
【対象】H109月から平成194月までに、LSISを施行した症例で、術前及び局所麻酔後に最大肛門静止圧(以下MARP)を測定した男性174例、女性338例を対象とした。
【方法】症例を年齢別に30歳以下、40歳以下、50歳以下、60歳以下、70歳以下、71歳以上の6群に分けた。術前及び局所麻酔後にMARPを測定、
MARPの低下率(100-術前MARP-局所麻酔後MARP×100)を算出し、各年齢群間及び男女間で比較検討した。なお、局所麻酔は1%塩酸プロカインを使用した。
【結果】男性は30歳以下が19例、40歳以下38例、50歳以下41例、60歳以下36例、70歳以下26例、71歳以上14例であった。低下率はそれぞれ75.9±11.1%72.9±13.3%69.7±17.2%68.1±10.7%、68.0±14.0%、64.0±21.6%であり、30歳以下の群と60歳以下、71歳以上の群との間および40歳以下の群と60歳以下の群で有意差(P<0.05)を認め、その他の各群間では有意差を認めなかった。女性は、30歳以下が133例、40歳以下72例、50歳以下58例、60歳以下41例、70歳以下20例、71歳以上14例であった。低下率はそれぞれ83.8±9.9%、77.5±16.6%、77.9±11.1%、72.9±16.7%、70.8±10.2%、71.4±12.0%であり、30歳以下の群は他の群より有意に高値であった(P<0.05)。また、 40歳以下の群も70歳以下、71歳以上の群より低下率が高値であり(P<0.05)、 年齢とともに低下率が低くなる傾向を認めた。男女の低下率の比較では、70歳以下と71歳以上の群以外で女性の方が有意に高値を示した(P<0.05)。
【まとめ】裂肛患者におけるLSIS施行前及び局所麻酔後のMARPについて検討したが、女性では年齢とともにMARPの低下率が有意に低下し、男性でも有意差は認めないものの同様の傾向を認めた。このことから、若年者では内肛門括約筋の緊張が裂肛の病態に関与し、高齢になるにしたがい瘢痕形成などの他の要素も関連してくると考えられた。

2018.02.12

微温湯浣腸後の排出時間の検討(第63回日本大腸肛門病学会)

 肛門の病気を診察する際に、ただ単に指診をしたり、肛門鏡で観察してもなかなか肛門の病気の状態の全体像をしっかりと確認し、診断することは難しいです。
 排便する際には、便意が起きたら腹圧をかけて頑張る(このことを怒責といいます。)。この際に肛門の出口から2~3cm奥に肛門上皮といって皮膚の部分がありますが、この肛門上皮が肛門の外側に出るような感じになって便が出てきます。ただただ肛門が広がって便が出てくるわけではありません。このように便意を感じて怒責する。祖に際に肛門上皮が外側に出るような感じで便を排出するといった一連の肛門の動きがあります。
 この怒責した際に起きる肛門の状態を診ることがとても大切です。
 そこで、渡邉医院では、新患の患者さんを診察する際には、指診をした後、微温湯による浣腸をして、その微温湯を怒責して出してもらった後の肛門の状態を診察しています。指診や肛門鏡での観察だけではわからなかったことが、この怒責してもらうことでわかってきます。内痔核などの場合は、排便時に肛門の外に出てくる脱出といった症状や脱出時の状態を診断できます。
 内痔核の原因の多くが、この怒責の強さや、怒責している時間が関係すると考えています。必要以上に怒責したり、怒責している時間が長いことが、内痔核の原因となると考えています。
 今回は、便秘の有無や内痔核の程度によって怒責している時間に違いがあるのかを検討した発表を紹介します。

発表内容

 当院では肛門の診察をする際に50mlの微温湯による浣腸をおこない、これを排出してもらうことで怒責診を行っています。この際、微温湯を排出する時間がそれぞれの患者さんの間で長かったり、短かったり、差があることを経験します。
 今回、排出時間が便秘の有無に関連があるのか、また、肛門疾患やその程度に関連があるかを検討しました。
 対象は平成201月から3月までに当院を受診した患者で、排出時間が測定できた138例、男性60例、女性78例、平均年令53.3歳としました。
 疾患は内痔核が多く、全体の53%でした。
 方法は50mlの微温湯を浣腸し、排出するまでの時間を測定しました。
 検討項目は、男女別、年齢別の排出時間。また、便秘の有無による排出時間。そして疾患で多かった内痔核に関してGoligher分類の第1度、第2度、第3度以上との間で排出時間を比較検討しました。
 まず、男女間での排出時間の検討ですが、男女間では排出時間には有意差は認めませんでした。
 次に年齢による排出時間ですが、男性では年齢による排出時間には有意差は認めませんでした。
 女性においても、年齢による排出時間の差は認めませんでした。
 年齢とともに排出時間は長くなるのではと考えていましたが、今回の検討では年齢による排出時間の差は認めませんでした。
 次に便秘の有無での排出時間の比較です。便秘有りが61例、便秘無しが77例でした。
 便秘有りの群の排出時間は、便秘無しの群と比較して排出時間が長く、有意差を認めました。
 便秘有りの群でも排出時間が短い症例や長い症例があり、この差がどこにあるのか?例えば、排出時間の短い便秘群は直腸にある便を柔らかくするだけで具合良く便がでるようになるのか?また、排出時間の長い群は便の性状だけでなく、機能的になんらかの原因で排出が困難になっているのか、また、便秘無しの群でも排出時間が長い症例は便秘の予備軍になるのかも今後検討していく必要があると思います。
 次に、内痔核の程度による排出時間の比較です。第1度が33例、第2度が12例、第3度以上が27例でした。
 それぞれの間に排出時間の有意な差は認めませんでしたが、内痔核の程度がすすむにつれて排出時間は長くなる傾向を認めました。
 このことは、怒責する時間が長いことで内痔核を増悪させる要因になったり、また逆に内痔核自体が残便感の原因となって怒責する時間が長くなったりするのではないかと思います。
 内痔核の術前と治癒時との間で排出時間に差がでるかなど、今後、検討していく必要があると思います。
 まとめです。
今後の課題ですが、便秘に関しては、便秘有りの群でも排出時間が短い症例と長い症例との差がどこにあるのか?直腸内の便の性状だけなのか、機能的な原因があるのかなど、微温湯を排出する時間や怒責排出した後、直腸内に残っている微温湯の量などを観察することで、ある程度、排便障害の治療の目安にならないか、また、便秘無しの群でも排出時間の長い症例は便秘の予備軍になるのかなど今後検討が必要だと思います。
 また、内痔核に関しては、怒責して排出する時間が長いことも内痔核の増悪因子になると思いますが、内痔核を治療することで排出時間が短くなるのかなど今後検討していきたいと思います。

 抄録を紹介します。

抄録

 当院では肛門の診察をする際に50mlの微温湯による浣腸を施行し、これを排出することで怒責診を行っている。この際、微温湯を排出する時間(以後排出時間)が個々の患者に差があることを経験している。排出時間が便秘の有無、肛門疾患やその程度に関連があるか検討した。
【対象】H201月から3月までに来院した患者で、排出時間が測定できた138例(男性60例、女性78例、平均年齢53.3歳。)を対象とした。疾患は、内痔核73例、裂肛35例、痔瘻5例、肛門周囲膿瘍1例、外痔核15例、肛囲皮膚炎6例、直腸脱1例、その他2例であった。
【方法】50mlの微温湯を浣腸後、排出するまでの時間を測定。男女別、年齢別に排出時間を比較した。また、便秘の有無による排出時間を比較した。疾患で多かった内痔核に関して第1度、第2度、第3度以上との間で排出時間を比較検討した。疾患間では内痔核と裂肛とを比較検討した。
【結果】男女間の比較では男性の排出時間は385.7±220.3秒、女性338.6±186.7秒で有意差は認めなかった。年齢と排出時間は男女とも有意差は認めなかった。便秘の有無では、「便秘有り」が61例、排出時間は391.5±194.6秒、「便秘無し」が77例、排出時間は333.5±206.3秒と便秘有りの群で有意に排出時間が長かった(p0.0029)。内痔核では、第1度は33例、排出時間307.2±126.1秒、第2度は12例、379.9±193.2秒、第3度以上は27例、391.5±244.3秒と、内痔核の程度がすすむにつれ排出時間は長くなる傾向にあった。内痔核と裂肛との間には有意差は認めなかった。
【まとめ】「便秘有り」では有意に排出時間が長く、直腸内の内容物を怒責して排出し難かったり、怒責することが習慣になったりしていると考えられる。また内痔核の程度がすすむにつれて排出時間が長くなる傾向があり、怒責して排出する時間が内痔核の増悪因子になる可能性がある。

 

2018.02.11

輪ゴム結紮法という手術方法を紹介します。

 今回は、輪ゴム結紮法という内痔核に対して行う手術方法を紹介します。
 輪ゴム結紮法は内痔核(いぼ痔)に対して行う治療方法です。
 内痔核の根元に輪ゴムをかけて内痔核にいく血液の流れを断って、内痔核を腐らせて取り除く(壊死脱落)手術方法です。
 肛門鏡を使って内痔核をよく観察しながら内痔核の根元に輪ゴムをかけていきます。麻酔をしなくても行うことができることが多く、入院ではなく外来での手術となります。肛門鏡を入れ、輪ゴムをかけるだけの手術です。輪ゴム1個だけかけただけではすぐに取れてしまっては困るので、通常1か所の内痔核に2個の輪ゴムを掛けます。それでもほんの数分で終わります。内痔核は痛みの感じない部分にできる病気なので、内痔核にうまく輪ゴムをかけると、痛みなく治療することができます。また、傷ができませんので、当日から普段通りの生活ができ、入浴も可能です。
 ただ、輪ゴム結紮で治療可能かどうかの診断、適応を診間違ったり、適切に輪ゴムをかけなければ、内痔核が治らないばかりか、輪ゴムをかけた瞬間から強い痛みが出て、輪ゴムをかけた肛門の外側が腫れてしまうことがあります。
 輪ゴム結紮法は内痔核を治す治療方法です。内痔核がどうかを診断する必要があります。
 内痔核は肛門の出口から約2~3cm奥の粘膜の部分にできる静脈の瘤、静脈瘤です。この部分は粘膜ですので、痛みは感じません。内痔核の症状には、排便時に出血する。排便時に内痔核が肛門の外に出てくる(脱出する)。また肛門に違和感を感じるなどの症状があります。
 内痔核の症状によって内痔核の病気の程度が、第1度から第4度の4つに分けられています。
 第1度:排便時に出血する。なにか挟まったような違和感がある。
 第2度:排便時に出血する。排便時に内痔核が肛門の外に出てくる(脱出)が自然に戻る。
 第3度:排便時に出血する。排便時に内痔核が肛門の外に出てくる(脱出)が自然に戻らず、
    指で押し込む。
 第4度:常に内痔核が肛門の外に出ていて押し込むことができない。

 の四段階に分けられています。ただ、内痔核だけですと、この間痛みはありません。
 輪ゴム結紮法はこの内痔核の第2度以上の内痔核に対して行います。
 ただ、すべての内痔核が輪ゴム結紮法の適応になりません。内痔核の性状で輪ゴム結紮法の適応が決まります。適応の条件としては、
1)輪ゴム結紮器のドラムといって輪ゴムをかける輪っかの中に内痔核が入る程度の大きさでなければできません。
2)内痔核は粘膜の部分にできますが、この粘膜の部分の脱出が主な内痔核が適応になります。
 肛門上皮といって、肛門の出口から約2~3cmまでに皮膚の部分があります。この部分が腫れてくる肛門の病気を外痔核といいます。この肛門上皮の部分の腫れが強いタイプの内痔核は適応になりません。肛門上皮、皮膚の部分に輪ゴムがかかると、輪ゴムをかけた瞬間から強い痛みがでてきます。
 また輪ゴムをかけた外側が腫れてしまうことがあります。
このように輪ゴム結紮で治すことができる内痔核は限定されます。輪ゴム結紮法は万能ではありません。
 しっかり内痔核の性状を診断して、輪ゴム結紮法で痛みなく十分に治すことができるかどうか判断することが一番大切です。
 また輪ゴム結紮法も内痔核の根元に輪ゴムをかけるので、内痔核が壊死脱落するときに、内痔核に流れる動脈から、動脈性の出血を起こして止血処置が必要な場合もあります。渡邉医院では今のところそういった出血はまだ経験していません。その理由の一つには内痔核の大きさがあるのかなとも考えています。ただ、そういった出血が起きた場合は必ず連絡してもらい、止血処置が必要かどうか診察する必要があります。
 輪ゴム結紮法は適応をしっかり見極め、適切に輪ゴムを掛けることで脱出してくる内痔核を治すことができます。痛みもなく、通常の生活を送りながら治せます。こういった手術方法も内痔核の治療の一つにあります。
 内痔核でお悩みの方は一度診察を受けられ、どういった方法で治すことができる内痔核かを診断して治療を進めていっていただければと思います。

2018.02.11

「かぼちゃコロッケ」のレシピを紹介します。

 今回は、「かぼちゃコロッケ」を紹介します。
 コロッケも好きな食べ物の一つです。母も今年85歳になるのですが、一緒に母と食事をすることが多くなりました。食事をすると言っても、飲むことが多いのですが(笑)。そんなとき、必ずと言っていいほどコロッケをたのみます。クリームコロッケだったり、ジャガイモたっぷりのコロッケだったり。またポテトサラダでつくったコロッケだったり。お店によっていろんなコロッケがあります。
 でも、私にとって「コロッケ」というと、母がつくる俵型のジャガイモたっぷり、お肉の入ったコロッケが、大皿いっぱいに積み上げられたコロッケを思い出します。
 ところで、コロッケに何をかけて食べますか?
 そのまま?ウースターソース?醤油?マヨネーズっていうのもありますね。お店ではデミグラスソース。意外とマヨネーズ+醤油も結構いけますよ。
 さて、今回はかぼちゃのコロッケのレシピを紹介します。

「かぼちゃコロッケ」

材料4人分 1人分:381kcal 食物繊維 4.5g

かぼちゃ     1/4
茹で卵      1
ハム(薄切り)    4
バター      10g 
塩、コショウ   適宜
小麦粉     50
卵       1
水       50ml
パン粉      適宜
揚げ油      適宜

作り方
①   かぼちゃは23センチ角に切り、電子レンジ(600W)56分加熱する。
②   柔らかくなったら皮ごとマッシャーでつぶし、みじん切りにした茹で卵とハム、バターを加えて混ぜ、塩、コショウで味を調節する。
③   ★の材料を混ぜ、バッター液を作る。
④   ②を食べやすい大きさに丸め、バッター液、パン粉の順に付け、180℃の油できつね色になるまで揚げる。

お好みでケチャップやソースをつけてお召し上がり下さい♪

2018.02.11

内痔核に対して結紮切除術施行後の術後及び排便時の疼痛に関してーアンケート結果よりー(第64回日本大腸肛門病学会)

 今回は、「内痔核に対して結紮切除術施行後の術後及び排便時の疼痛に関してーアンケート結果よりー」という内容の学会発表を紹介します。
 肛門の手術を受ける患者さんにとってさまざまな不安があると思います。手術はどうするんだろうか?手術中は痛いんだろうか?手術をしてしっかり治るのかな?手術の後はちゃんと便が出るのだろうか?などなど、数えればいくつもの不安が出てくると思います。そのような中で、不安の中で最も大きなものの一つが手術後の痛みだと思います。
 渡邉医院を受診された患者さんで、内痔核に対して手術の必要な方に術後の痛みについてお話しするときは、次のようにお話しています。
 1)傷はどんな傷でも擦ると痛いですよね。肛門の手術の後も一緒です。手術をしたからと言って、1日中痛いわけではありません。普段は痛くなく、傷を擦るとき、排便するときに痛みがあります。でも、この排便時の痛みも手術して7~10日過ぎると96.5%の人が急にスッと痛みが取れます。
 2)手術後、排便時の痛みは手術した傷の数、内痔核を切除した数に関係します。1か所の手術の方は2か所、3か所の手術が必要な方と比べて痛みは楽です。2か所と3か所の方の間では、痛みに差がありません。1か所か2か所以上かで痛みに差が出ます。
 このようなことをお話ししています。その根拠となったのが、手術を受けた患者さんのアンケートです。渡邉医院では、手術した患者さん皆さんにアンケートを取っています。このアンケートをもとに、これから手術する患者さんに必要な情報を提供しています。
 今回は内痔核のに対して痔核根治術を行った患者さんに、手術後の痛みについてのアンケートをとった結果を報告した発表内容を紹介します。
 

発表内容

 内痔核に対して結紮切除術を施行する際に患者さんが一番不安に感じるのは、手術後の痛みや排便時の痛みです。
 今回、内痔核に対して結紮切除術を施行した後の術後の痛みと、排便時の痛みに関してのアンケートをおこない、その結果を集計したので報告します。
 平成1312月から平成213月までに内痔核に対して結紮切除術を施行して、術後及び排便時の痛みに関してアンケートに答えていただいた1011例、男性481例、女性530例を対象としました。
 方法は、術後及び排便時の疼痛を最小0から最大10までの11段階で評価しました。
 1)内痔核の切除個数、2)年齢別、3)男女別について比較検討しました。
 年齢はA群30歳未満からF群70歳以上まで6群に分類しました。
 人数分布ですが、男女とも50~60歳代にピークを認めました。女性では男性と比較して30歳代がやや多い傾向がありました。
 術後の疼痛ですが、男性では平均1箇所が3.22箇所が4.23箇所以上が4.8と切除個数は増えるにしたがって痛みは強くなる傾向がありました。
 女性でも1箇所が2.82箇所が4.13箇所以上が4.8と同様の傾向を認めました。
 術後の疼痛に関して年齢別では、1箇所切除では男女とも各群間にあまり差は認めませんでした。
 切除が2箇所以上になると年齢とともに術後の疼痛が軽度になっていく傾向がありました。
 排便時の疼痛ですが、男性では平均1箇所が3.62箇所が4.93箇所以上が5.9と術後の疼痛と同様に切除個数が増えるとともに痛みが強くなる傾向がありました。
 女性でも1箇所が3.12箇所が4.73箇所以上が5.3と同様の傾向を認めました。
 年齢による排便時の疼痛に関しても術後と同様に、1箇所切除では男女ともに各群間に差は認めませんでした。
 切除が2箇所以上になると男女とも年齢とともに排便時の疼痛が軽度になる傾向を認めました。
 この術後の疼痛と排便時の疼痛の年齢による変化と、以前発表した年齢別の最大肛門静止圧の変化とを重ねてみますと、術後の疼痛では年齢による疼痛の変化と最大肛門静止圧の変化は同様の傾向を認めました。
 また、排便時の疼痛でも同様に年齢による疼痛の変化と最大肛門静止圧の変化は同様の傾向を示しました。
 このことから術後及び排便時の疼痛の強さと最大肛門静止圧との間には関連があるのではないかと思います。
 まとめです。
 11箇所切除では比較的術後及び排便時の疼痛は軽度で、年齢による差も認めませんでした。
 2)術後及び排便時の疼痛は切除個数が増えるにしたがって強くなりました。
 32箇所以上切除では、術後及び排便時の疼痛は年齢とともに軽度になる傾向を認めました。この疼痛の変化は最大肛門静止圧が年齢とともに低下していくのと同じ傾向であり、術後及び排便時の疼痛と最大肛門静止圧との間には関連性があると考えます。
 このことから、術後及び排便時の疼痛を緩和し、患者さんの不安を軽減するためにも、最大肛門静止圧に影響をおよぼす、内肛門括約筋が術後に過度な緊張を起こさないようにすることが大事ではないかと考えます。

抄録を紹介します。

抄録

 内痔核に対して結紮切除術を施行後の術後及び排便時の疼痛に関してアンケート調査をしたので報告する。
【対象】H13年12月からH21年3月までに内痔核に対して結紮切除術を施行し、術後及び排便時の疼痛に関してアンケートに回答した1011例(男性481例、女性530例)を対象とした。
【方法】術後及び排便時の疼痛の程度を最小0から最大10の11段階で評価し、内痔核の切除個数、年齢別に比較検討した。年齢は30歳未満A群、30歳代B群、40歳代C群、50歳代D群、60歳代E群、70歳以上F群と分類した。
【結果】①術後疼痛:男性ではA群は1箇所切除4.3、2箇所切除6.7、3箇所以上切除5.3、以下同様にB群2.9、4.7、6.1、C群3.5、3.4、5.5、D群3.6、3.9、4.7、E群2.5、3.2、3.9、F群2.4、3.4、3.2であった。女性ではA群3.2、5.6、5.1、B群3.4、4.6、5.9、C群2.7、4.3、5.3、D群2.6、3.9、4.0、E群2.5、3.3、4.3、F群2.3、3.0、4.4であった。②排便後疼痛:同様に男性ではA群4.6、8.1、8.1、B群4.3、5.2、6.7、C群3.7、3.9、6.2、D群3.2、4.5、6.0、E群2.9、4.0、5.4、F群2.9、3.7、3.2であった。女性はA群4.1、6.7、6.4、B群3.5、5.2、6.4、C群2.8、4.2、5.6、D群3.0、4.3、5.0、E群2.9、3.5、4.5、F群2.2、4.1、4.1であった。術後疼痛は各群男女とも切除個数が増えると疼痛が強くなり、各群間の比較では男女とも年齢とともに痛みが軽度になる傾向があり、有意差を認めるものもあった。排便後疼痛も術後疼痛と同様の結果であった。術後疼痛では女性では1箇所切除では各群間に有意差を認めず、また排便後疼痛では男性で1箇所切除では各群間に有意差は認めなかった。
【まとめ】1箇所切除では比較的術後及び排便時の疼痛が軽度であった。術後疼痛及び排便後疼痛は切除個数が増えるにしたがって強くなり、年齢とともに軽度となった。これは、最大肛門静止圧が年齢とともに低下していくのと同じ傾向を認めた。  

2018.02.11

当院(有床診療所)の過去12年間の診療実績と今後の展望(第65回日本大腸肛門病学会)

 今回は、平成10年から平成21年までの12年間の渡邉医院の診療実績と今後の展望という内容の学会発表を紹介します。
 渡邉医院は19床のベットを持つ入院施設のある有床診療所です。
 今、全国的に年々有床診療所は減少してきています。その原因の一つには、有床診療所の入院基本料が低いため、なかなか経営が成り立っていかないこと。また有床診療所を継承してくれる人が見つからないなどの継承問題。などなど、有床診療所を取り巻く現状はとても厳しいものがあります。でも有床診療所のいいところは、地域に密着して受診しやすい環境があること。また入院と外来の診療を同じ医師が担当すること。外来から入院まで同じ医師が診察、治療にあたるので、患者さんにとってはとても安心感のあることだと思います。また、大きな病院と違って、いろんなことにすぐに対応できる、フットワークがいいことも有床診療所のいいところだと思います。
 渡邉医院は肛門科に特化した有床診療所です。渡邉医院が肛門科に特化できるのも、周囲に多くの医療機関があって、肛門疾患に集中して診療ができるといった、医療環境があるからだと思っています。肛門科に特化した診療を続けていくためにも、周囲の医療機関としっかりと連携していく必要があると思います。
 有床診療所は地域の医療を守るため、また専門の医療を提供する役割を今も担っています。これから先も、有床診療所の持っている意義をしっかり発信して、有床診療所を守っていきたいと思います。
 さて、学会での発表内容を紹介します。

発表内容

 当院は京都市の西陣にある肛門疾患のみに特化した19床の有床診療所です。
医師1名、看護職員7名、事務員2名、当直5名の計15名で診療しています。
 入院は良性の肛門疾患の手術後の患者さんのみで、重度の合併症等のある患者さんは術後連携病院に入院または連携病院で手術を施行しています。
 当院は京都市の上京区に位置しています。御所の少し西側の西陣にあり、周りには多くの診療所や病院があり、こういった環境も肛門疾患だけに特化して診療できる要因だと思います。
 今回は平成10年から平成21年までの12年間の診療実績に関して、
年間の総患者数の推移、診療報酬の総点数及び外来・入院別の点数、各健康保険別の総点数、外来・入院の点数の推移、平均入院日数の推移、内痔核の入院治療の推移に関して検討しました。
 診療報酬の総点数及び外来・入院別総点数の推移ですが、総点数は平成12年をピークに減少し、15年以降はほぼ横這い、入院は平成12年をピークに減少、平成17年に一端増加するも以後は減少、外来は平成17年より減少するも平成20年から増加傾向です。
 年間の患者数の推移は、新患、再診患者とも平成16年から増加傾向です。
 健康保険別入院総点数の推移は国民健康保険が社会保険より多い傾向があります。
 外来総点数も入院と同様に国民健康保険が社会保険より多い傾向にあります。
 平均入院日数の推移は平成14年より減少傾向で、内痔核の入院日数もALTA療法の出現と係り無く減少傾向にあります。これは短期入院の社会的な傾向だと思います。
 年間手術件数は平成17年から外来手術が減少し、入院手術が増加し、平成17年から手術件数はほぼ横這いです。平成17年からは最低限1泊2日の入院治療をするようになったのが原因です。
 内痔核の手術件数の推移は平成17年から内痔核の入院手術は増加し、以後微増。平成17年からLEが減少し、ALTA療法が増加、平成21年からはALTA療法がLEを上回るようになりました。内痔核の入院治療が増加している要因に、ALTA療法の出現で手術に踏み切れなかった患者の需要がふえたのだと思います。
 まず外来に関して検討します。平成17年からの外来点数の減少は外来手術の減少の影響が大きく、平成20年からの増加は肛門鏡検査が算定できるようになったことと、患者数が増加していることからだと思います。
 入院に関しては、平成17年に増加したのはこの年から最低1泊2かの入院による治療を行うようになり、入院手術が増えたこと。平成18年からの減少はALTA療法の導入と、ALTA療法の件数が増加したことが影響したと思います。
 さらに、平成20年の診療報酬の改定で、有床診療所の入院基本料に加算できる。加算100点が算定できず、入院基本料が大幅に減少したことが大きく影響しています。また内痔核の入院手術と比較してみると、やはり平成17年からLEの減少とALTA療法の増加が影響していると考えます。ただ、内痔核の入院治療が増加している要因に、ALTA療法によってこれまで手術に踏み切れなかった患者さんの需要が増えてきていることがあり、ALTA療法の点数も増加したことから、今後のポイントとなると考えます。
 さらに平均入院期間の短縮も入院点数の減少の原因と思われます。この傾向は今後も変わらないと思います。
 まとめです。
 京都市の西陣という立地環境が肛門疾患単科での開業を可能にしている。
 小規模有床診療所の経営を維持するには新患数の増加と手術件数の増加が必要である。
 肛門科単科での外来の一人当たりの診療報酬の単価が低いので入院治療も収入に大きな影響を与える。また技術料の変化で大きく診療報酬の点数がかわってくる。
 ALTA療法の出現だけではなく、時代の流れが短期入院の方向になっており、平均入院日数が短くなる傾向は今後も変わらない。
 ALTA療法の出現で、手術に踏み切れなかった患者の需要を増やしていると考える。この点も今後のポイントとなってくると考えます。

抄録を紹介します。

抄録

当院における過去12年間の診療実績を検討した。
【当院の概要】
 当院は京都市の西陣にある肛門疾患のみに特化した有床診療所(19床)である。現在、常勤医師1名、看護職員6名、事務員2名、当直(看護要員)5名の計14名で構成。入院は肛門疾患の術後の患者のみで、重度の合併症等のある患者は、術後に連携病院に入院又は連携病院で手術を施行している。手術は全例局所麻酔で行っている。
【検討項目】
 H10年からH21年までの12年間について以下の5項目を検討。1)年間総患者数及び年間総新患数の推移。2)診療報酬の総点数及び外来入院別点数。3)国民健康保険及び社会保険の年間の総点数、入院点数、外来点数の推移。4)平均入院日数の推移。5ALTA療法の出現で、治療法に大きな変化のあった内痔核の入院治療の推移。
【結果】
1)年間総患者数は2430人から3252人へ、年間総新患数も2165人から2816人へと徐々に増加。年間総患者数―年間総新患数も265名から436名と増加傾向にある。
2)診療報酬総点数は12年間ほぼ横ばい状態である。入院点数と外来点数は、H17年から19年の3年間のみ入院点数が多い以外は外来点数が上回った。H12年からH16年まで徐々に入院点数が減少傾向にあり、この間外来点数の増加を認めた。
3)国民健康保険と社会保険との比較では、いずれの年も国民健康保険が上回っている。
4)平均入院日数は全疾患ではH12年の8.5日をピークに減少しH21年は3.4日と60%減となった。
5)内痔核の入院治療はH1516年と減少し、H17年以降平均307件と横ばいである。H18年からALTA療法の導入でLEは減少しH21年で116例と62%減となった。ALTA療法導入後これに合わせて平均入院日数も減少しH13年の9.9日からH21年は2.8日へと72%減となった。
【今後の展望】
 基本的であるが小規模有床診療所の経営を維持するには、新患数を増加させ手術件数を増やす工夫がさらに重要になってくる。またALTA療法の出現で平均入院日数が短くなり、この傾向は今後かわらないと思われる。有床診療所の経営には入院治療での収入も大きな影響を与えるため、外来だけでなく入院治療を今後も継続し充実させていく必要がある。

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医院情報

院名 渡邉医院
住所 〒602-8462
京都府京都市上京区浄福寺通今出川下ル
竪亀屋町255
TEL 075-441-4303

診療時間

診療時間 日・祝
9:00~12:00

※術後の患者さんも緊急対応いたします。
※日曜日・祝日は休診です。
※△は手術日となります。
※第3土曜日は休診にさせていただきます。
※完全予約制ですので、必ずお電話して頂き、予約してからの受診をお願いいたします。
予約の電話受付は平日12:00-14:30です。