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2018.09.30

「NEKO」シリーズ

 今回は「NEKO」の絵を紹介します。
 
以前、私が描いた自転車の油絵を紹介しました。医者になって3年目。大学病院で第3外科に所属していたころ、3年目になると、麻酔科にローテーションします。その時に、1週間個展を開いたときに描いたものが多いです。
自転車の絵ばかりだと描いているときにどうしても集中が欠けてしまうので、気分を変えるために自転車の絵を描きながら、子猫の絵を描いていました。
 今日、紹介する子猫の絵はすべて0号のキャンバスに描いたものです。すべての絵に共通して難しかったのは、子猫の柔らかい毛並みを表現することでした。どうでしょうか?うまく描けているでしょうか?それぞれの絵について少しコメントをつけて紹介していきたいと思います。
一番初めに描いた子猫の絵がこの少し上を向いている子猫の絵です。
この絵は、大学病院を退職する方がいて、その人のために描いた絵です。個展を開くことが決まって、急遽貸していただいた絵です。写真ではよくわからないかも知れませんが、我ながらうまく子猫の柔らかい毛並みが描けていると思います。少し自慢させていただくと、個展を開いているときに、八重洲画廊という画廊の画商さんが私の個展に来られました。その時、画商さんが、「この絵を譲っていただけませんか?」と。私はびっくりしました。でも「この絵はもうすでに私の知り合いにあげた絵で。個展のために借りている絵で、譲ることはできません。」とお答えしました。そうすると、画商さんは、「そうですか。この絵は売るのではなく、私が持っていたい絵です。」とおっしゃってくださいました。とてもうれしかったです。画商さんは「ここにある絵は、個展が終わったらどうされるのですか?」と。私は「まだかんがえていません。」と答えると、「絵は、その絵が欲しいと思う方に譲られたほうがいいですよ。そのことで、あなたが持っている以上に、ここにある絵は生きていきますよ。」と。そんなこともあって、個展が終わった後、展示した絵は、みな欲しいという方に譲ってしまいました。
 唯一今でも私の家にある絵がこの二匹の子猫が寄り添って寝ている絵です。
この絵は、私が結婚前に今の妻と付き合っていた時に、誕生日のプレゼントとして送った絵です。ちょっと毛が硬い感じかなとも思います。でもなんとなくほっこりと和んだ感じに描けたなと思います。
これから紹介する絵は、個展に向けて、自転車の絵と同時進行でかいていった絵です。
 遠くを見て物思いにふけっている子猫。
タオルにくるまってこちらを見ている子猫。
二匹でじゃれあう子猫。
籠の中で何を待っているのでしょう。三匹の子猫。
「どうしたの?」と言いたげに小首をかしげる子猫。ちょっと痩せていますかね?
こんな感じで、自転車と子猫の絵を描き、「CYARINKO&NECO」というタイトルで個展を開きました。私にとってとてもいい経験でした。
時々、また絵を描いて個展を開いてみたいなと思っています。
次回は最近描いたといってもちょっと前ですが、水彩色鉛筆で描いた絵を紹介しますね。こうご期待!

2018.09.30

裂肛の手術後は、肛門は緩んでしまわないの?

 前回、裂肛の手術についてお話をしました。
裂肛による痛みで、内肛門括約筋の緊張が強くなることで、裂肛の状態が悪くなり、裂肛の手術は、この緊張が強くなった内肛門括約筋の緊張を取ることが目的だとお話しました。ですから、内肛門活躍人の緊張がとれ、元の状態に戻るため、排便時の痛みは比較的早くスッと取れてきます。特に裂肛の状態が悪く、内肛門括約筋の緊張が強く、痛みが強い人ほど術後の排便時の痛みは楽になります。

裂肛の手術をして肛門は緩まないの?

でも患者さんの中には「内肛門括約筋を切開するので、手術の後肛門が緩んでしまうのでは?」と心配される方もいます。でも、その心配は大丈夫です。そもそも内肛門括約筋の緊張が強くなったものを、正常に、元の状態に戻すのが裂肛の手術です。正常の緊張を緩めてしまう手術ではありません。

また、内肛門括約筋は、便が出ないように締まってくれる筋肉ではありません。直腸に便が来て便がしたくなった場合、肛門が閉まっていては便を出すことができません。内肛門括約筋は、直腸に便がきて、便意を感じたときに、脳が命令して、自分の意志とは関係なく内肛門括約筋を緩めて、便が出やすいようにします。内肛門括約筋は便が出ないようにする筋肉ではなく、便が出やすいように緩んでくれる筋肉です。ですから、この内肛門括約の緊張が強くなってしますと、便が出にくくなったり、便が出るときに傷がついて裂肛が悪化していってしまいます。

例えば、直腸に便がないとき、内肛門括約筋が100で締まっていたとしましょう。朝起きでご飯を食べて、お腹がぐるぐる動いて蠕動して直腸に便がおりてきます。そうすると、肛門が閉まっていては便が出ませんので、脳が命令して内肛門括約筋の緊張を取ります。では、50まで緩んだとしましょう。そうすると、直腸にある便が柔らかくて形のある便ですと、50以上の腹圧をかけると便が出ます。直腸に便がなくなると、また内肛門括約筋は100で締まります。このように、直腸にないときは内肛門括約筋は締まっていて、便が直腸に来ると緩んでくれる。そして直腸の便がすべて出てしまうと、また内肛門括約筋は締まる。こんな具合に内肛門括約筋は動きます。ですから、裂肛のために内肛門括約筋の緊張が倍の200になってしまったとしましょう。そうすると直腸に便が来て、括約筋の緊張が半分まで緩んだとしましょう。それでも100です。普通なら50以上の腹圧をかけたら便が出るところがまだ100でしまっているので、50の腹圧ではでません。さらに頑張らないと便は出ませんし、頑張るとまた切れて裂肛が悪くなってますます内肛門括約筋の緊張が強くなってししまいます。裂肛の手術は、この内肛門括約筋の緊張をとって正常にすることが目的です。ですから裂肛の手術をしても、肛門が緩んでしまうことはありません。

便が出ないようにする筋肉は?

では、便が出ないようにしてくれる筋肉は何かといいますと、肛門より奥にある、浅外肛門括約筋と恥骨直腸筋がその役割をしています。それぞれの筋肉が閉まっていて、直腸に便が来ないようにしています。朝起きて、食事をして大腸が蠕動を始めると、それぞれの筋肉が緩んで直腸に便が来ます。そうして直腸に便がきたら、内肛門括約筋が緩んで便を出しやすくしてくれます。トイレまで我慢して肛門を閉める筋肉は外肛門括約筋です。この筋肉は自分の意志で閉めることが出来ます。トイレまで我慢して、直腸にある便が出てしまうと、内肛門括約筋は締まり、また浅外肛門括約筋や恥骨直腸筋もしまり、直腸に便が来ないようにしてくれます。こういった具合に便は出るように、うまくなっています。

以前、側方皮下内肛門括約筋切開術と最大肛門静止圧との関係の論文を紹介したことがあります。(側方皮下内肛門括約筋切開術施行前後の最大肛門静止圧の経時的変化について。日本大腸肛門病学会雑誌 第58巻 第3号 2005)それをご覧いただければいいかと思いますが、内肛門括約筋の緊張の度合いを最大肛門静止圧が反映しますが、側方皮下内肛門括約筋切開術を行った場合、最大肛門静止圧の高い場合はしっかりと圧が下がり、最大肛門静止圧のそれほど高くない場合は、最大肛門静止圧の低下はそれほど下がってこないという結果でした。側方皮下内肛門括約筋切開術を行う場合、緊張の度合いによって、適度な緊張まで低下してくれるといった内容の論文です。
こういったことからも、内肛門括約筋を切開する。肛門のしまりが悪くならないかと心配かもしれませんが、そんなことはありません。極端に強くなってしまった括約筋の緊張をもとの正常な状態に戻すのが裂肛の手術だと思って下さい。

2018.09.30

裂肛の手術は痛みをとるのが目的です。術後早期に排便時の痛みがとれます。

 今回は、裂肛の手術についてお話したいと思います。 

 裂肛の原因

 裂肛は便が硬かったり、反対に下痢などで、肛門上皮に傷がつく病気です。症状としては排便時の痛みや出血です。出血に関しては、傷のつき具合で程度は様々です。排便時に痛みがあっても出血しなかったり、排便後拭いたらトイレットペーパーに血がついたり、便に血がついていたり、場合によっては排便時にポタポタ血が便器に落ちることもあります。ただ、裂肛は排便時の「痛み」が伴います。最初のうちは、排便時の痛みだけだったのが、段々排便時の痛みがつよくなり、次第に排便後も痛みが持続するようになっていきます。そしてその排便後の痛みの持続期間がだんだん長くなっていきます。これは排便時の痛みによって、内肛門括約筋の緊張、しまりが段々強くなっていくことが原因です。

 裂肛の負のスパイラル

裂肛は、最初は転んだ時の怪我に似ています。転んだら怪我をして痛い。怪我の具合で出血の量が決まる。これと同じように、排便時の便の状態で肛門上皮に傷がつく。でも便の状態が良ければ自然に治っていく。でも毎日毎日転んでいたら、傷が治らず、段々悪くなっていくように、便の状態が悪く、切れたり治ったりを繰り返していくうちに裂肛が治り難く、また裂肛の状態が悪くなっていきます。この原因が内肛門括約筋の緊張が強くなることです。切れると痛い。痛いと内肛門括約筋の緊張が強くなる。これを繰り返すことで、やわらかい普通の便が出ても痛む、そしてさらに内肛門括約筋の緊張が強くなる。といったように悪循環になってしました。また切れたり治ったりを繰り返すことで、裂肛が深い潰瘍状になったり、潰瘍状になった裂肛が原因で肛門ポリープや皮垂ができ、慢性の裂肛になってしまいます。
また、裂肛のそもそもの原因が便秘で便が硬いことが多いですが、排便時に痛みがあると、排便するのが怖くなり、嫌になります。そうするとさらに便秘が頑固になってします。裂肛による痛みで、さらに便秘が悪化していく。こんな悪循環、負のスパイラルに陥てしました。

この負のスパイラルを断ち切らなければなりません。

ですから、裂肛の手術ですが、この負のスパイラルを断ち切り排便時の痛みをとることが、裂肛の手術の目的です。よく、「肛門の手術は痛い!」と思っている方が多いですが、裂肛の手術は「痛みを取り除く。」ことが目的です。排便時の痛みが強い人ほど、術後の最初の便が痛みなく楽に便を出すことが出来ます。
では、裂肛の手術はどうするかについて話していこうと思います。

裂肛の手術

結論から言うと、「緊張の強くなった内肛門括約筋の緊張をとって、もとの状態に戻す。」が裂肛の手術です。また、裂肛が原因でできた肛門ポリープや皮垂は切除して裂肛が治りやすいようにします。このように裂肛の治りを悪くする原因を取り除くことが裂肛の手術です。

渡邉医院では、裂肛の手術は側方皮下内肛門括約筋切開術という手術をしています。緊張の強くなった内肛門括約筋を一部切開して緊張を取り、元の状態に戻す手術です。渡邉医院では、手術は左を下にして横になる、左側臥位で手術を行います。そこで、内肛門括約筋を切開しやすい肛門の左側で内肛門括約筋を切開しています。肛門縁から少し離れた場所に、約510mm程度の傷を作って、そこからメスを入れていきます。そして、緊張の強くなった、硬さのある内肛門括約筋を切開して十分に柔らかく肛門が広がるように緊張を取っていきます。括約筋を切開するとき、ジャリジャリと硬い感じのことが多いです。括約筋を切開するときも、メスでバッサリ切るというのではなく、メスで括約筋を少し切開して、肛門鏡で肛門を広げ、指で切開した部分をさいていくようなイメージで手術をします。患者さんの肛門の具合にもよりますが、私の人差し指が二本柔らかく挿入できる程度に肛門の緊張を取っていきます。肛門ポリープは根元を糸で縛って切除します。また皮垂も切除して、裂肛に便が引っかからないように傷の大きさを決めていきます。以前話した内痔核の手術の時のドレナージと一緒です。

術後ですが、裂肛は肛門の中の皮膚、肛門上皮に傷があるので、排便時に痛みがあります。また、肛門の緊張が強いことがさらにその痛みを増していきます。裂肛の手術は、内肛門括約筋の緊張を取るだけですと、肛門上皮に新しく手術で傷はできません。そして、内肛門括約筋の緊張をとることで、術後最初の排便が、手術をする前と比べるとずいぶん痛みが楽になります。手術をした次の日から、普通に入浴をしてもらい、術後710日後に術後の傷の状態を診せていただき、裂肛も傷も治っていたら治療は終了です。

裂肛は排便時の痛みがつらい病気です。そして、痛みを我慢することで、裂肛の状態が悪くなり、痛みもだんだん強くなっていきます。裂肛の原因である、便秘などを治すことが大事ですが、痛みのある場合は、早くその痛みをとることで裂肛はよくなっていきます。
排便時の痛みが続く場合は、一度肛門科を受診してみてくださいね。

2018.09.24

痔核根治術後は年齢等、個人差なく同じように治っていきます。

内痔核に対して痔核根治術を行った後は、年齢差や男女差など個人差なく、みんな同じように治っていきます。
これまで何回かにわたって内痔核に対しての痔核根治術に関してお話してきました。内痔核の手術にはデザインが大切なこと、そして、治りに影響を与えるのがドレナージであることなどをお話しました。内痔核に対して痔核根治術を行う時にこれらのことに注意して手術を行うと、皆さん個人差なく同じように治っていきます。
年齢に関しては、例えば全身麻酔で開腹手術が必要な場合などは、やはり年齢的な影響もあると思います。でも、渡邉医院では局所麻酔で痔核根治術を行います。しかも体にあまり大きな侵襲はかかりません。こんなことから、年齢的な差はありません。また内痔核の大きさでも差がありません。
そもそも内痔核ができる場所は痛みを感じないところにできます。内痔核が大きくても小さくても肛門にできる傷は同じです。渡邉医院では半閉鎖式といって、肛門の中の傷は縫ってしまいます。ですから内痔核が大きくても小さくても肛門の中にできる傷は一緒です。また傷の治りに影響を与えるドレナージの傷も、内痔核が大きいから大きな傷になる、小さいから小さな傷ドレナージですむというわけではありません。内痔核を切除するためにできる肛門の中の傷を具合よく予定通りに直すために肛門の外にわざわざ傷を作ってドレナージを作ります。ですから、内痔核の大きさに関係なくドレナージの大きさも決まってきます。ですから、たいていの場合はどんな内痔核の手術をしても傷の大きさ形は同じになります。
「たいていの」と言ったのは、時に、内痔核は肛門の3時、7時、11時(左、右後ろ、右前)の3か所にできますが、それぞれの内痔核が肛門の外側の外痔核部分が連続しているタイプの内痔核があります。こういった場合は少し手術に工夫がいります。でもそれでも同じように治っていきます。肛門の中の傷を治すためのドレナージは約15mmですので、前回お話した計算式に当てはめると、(15×1.19)+3.6日=21.45日で、約3週間で治っていきます。
ただ、排便時の痛みがスッと楽になる7~10日までの排便時の痛みには差があります。内痔核の手術が1か所で済む人、2か所の人、3か所の人を比較すると、やはり1か所の人の排便時の痛みは2か所、3か所の人と比べると楽です。2か所と3か所との人の間には痛みに差はありません。1か所であるか2か所以上かで排便時の痛みあ差が出ます。でも、7~10日までの排便時の痛みが取れる時期が過ぎるとみな同じように治っていきます。

「内痔核を長い間持っているから」とか、「内痔核が大きいから」とか、「年齢がいっているから」などで内痔核に対しての痔核根治術後、傷が治る期間には差があるのではないかと心配される患者さんもいますが、そんなことはありません。皆さん同じように治っていきます。同じように治っていかない場合は、術後の傷の具合で、どこか治りにくくしている要素があるはずです。そこをしっかり術後診ていき、何か治りを悪くする要素があれば、それを早く、しっかりリカバリーすることで、予定通りに治っていきます。ですから、術後の管理は大切になります。

2018.09.24

内痔核の術後の経過が悪くなる要因とリカバリーは?

 内痔核は第Ⅲ度(排便時に内痔核が脱出して押し込む程度)以上の内痔核は痔核根治術が必要となります。内痔核の性状によっては、ジオンという痔核硬化剤での四段階注射法での痔核硬化療法(ALTA療法とも言います。)や輪ゴム結紮法での治療が可能です。でもこれらは万能ではありません。どのような内痔核にも対応できる手術が痔核根治術です。
 前回2回に分けて、痔核根治術ではデザインが重要で、とくにドレナージが痔核根治術の治りに重要なポイントになることをお話しました。
 今回は、内痔核に対して痔核根治術をしても、いつまでも痛みが続いたり、出血が続き、予定通りに治っていかない場合が時にあります。この要因やリカバリーについてお話します。
 内痔核に対して痔核根治術を行った場合、だいたい手術をおこなってから約3週間から4週間で治っていきます。術後の痛みに関しては、排便時の痛みも術後7日間から10日間でスッと楽になります。出血に関しては傷が完全にふさがるまである程度出血は続きますが、怪我と同じように、傷が治っていくとともに、だんだん出血の量は減ってきます。
 このように痔核根治術を行った場合、術後7~10日で排便時の痛みがとれ、術後2週間で約80%治り、術後3~4週間で治っていきます。
 前回、ドレナージが大事といいましたが、どうしても排便時に肛門の中の傷に便が付着します。排便後、肛門の中まできれいに洗ったり、拭くことができません。そこで、排便時に肛門の中の傷に便が付着しないように、付着した便が具合よく外に出るようにドレナージを作ります。このドレナージが適切な大きさであると、予定通りに治っていきます。
さて、この術後3~4週間という期間ですが、これはドレナージの傷の幅から出した期間です。傷の幅で治る日にちは決まってきます。傷の幅をXmmとした場合、治るのにかかる期間は、次のような式で算出します。
治るまでの期間=(Xmm×1.19)+3.6日です。だいたいドレナージの傷の幅は15mm程度ですので、(15×1.19)+3.6日=21.45日となり、約3週間となります。
 さて、痔核根治術を行った後、具合よく治らない原因の多くが、このドレナージの傷が小さく、肛門内の傷が治るよりも先にドレナージの傷が治ってしまうことです。理想的な治り方は、肛門の中の傷が治った後も、ドレナージの傷が残っていて、肛門内の傷が治った後にドレナージの傷が治る。この順番で治ることが理想です。ドレナージの傷は肛門の外にあるので、直接便が通るところではありません。時間がたてば、必ず治っていきます。これに対して、肛門の中の傷は便が通るところなので、術後便が硬かったり、反対に下痢などが続いた時にはどうしても肛門の中の傷がこすれます。ですからしっかり肛門の中の傷が治ってからドレナージの傷が治るという傷の治り大切です。ドレナージの傷が先に治り、肛門の中の傷が残っていると、裂肛(切れ痔)のようになってしまいます。
肛門の中の傷が残っているので、排便時の痛みがあり、場合によっては排便後も痛みが続くなど、裂肛と同じような症状が出ます。また慢性の裂肛と同じように、傷の外側が硬く腫れ、皮垂が出来てきたりもします。一見ドレナージの傷がふさがっているので、傷が治った様に見えますが、肛門の中の傷が治っていないので、排便時の痛みや出血が続きます。
このような状態になった場合はどうするか。リカバリーの方法ですが、ドレナージの傷が先にふさがってしまい、肛門の中の傷が残っているため、しばらく、外用薬で保存的に治療して様子を診ることもありますが、もう一度、ドレナージをつくり治すことで、肛門の中に残った傷がスッと治っていきます。「もう一回手術か。」と思いますが、内痔核の手術をするわけではありまあせん。排便時に痛みがでる、肛門の中に新たに傷ができるわけではないので、ドレナージをつくり治すことで、痛みが強くなることはありません。ドレナージができることで、痛みも軽減していきます。このドレナージをつくる場合は入院の必要はありません。局所麻酔をしてだいたい5分程度で終わります。
また、どうしても排便時の痛みが続き、痛みが原因で内肛門括約筋の緊張が強くなってしまうこともあります。この場合は、裂肛の手術と同じように、内肛門括約筋の緊張をとる手術を加えることで、治りにくくなってしまった肛門の中の傷はスッと治っていきます。
 手術を受けた後、必ず痛いとか出血するなどの症状が出ます。この患者さんの症状、訴えがとても大切だと思います。ドレナージの傷が治ると、一見痔核根治術後の傷は治った様に見えます。でも肛門の中の傷が残っていると、必ず排便時の痛みや排便後の痛み。また排便時の出血などの症状が出ます。やはり、患者さんの症状や訴えはとても大事です。症状がある場合は、しっかりそのことを伝えていくことが必要ですし、医師もその声をしっかりきき、その訴えの原因をみきわめ、治していくことが大切です。
次回は裂肛の手術に関してお話しようと思います。

2018.09.17

内痔核の手術は必要最小限の傷と十分なドレナージが重要!

 今回は内痔核の手術に関してお話します。
 内痔核の手術は、「必要最小限の傷と十分なドレナージが重要!」です。
 内痔核があるからと言って大きな傷で内痔核を切除すると、術後の肛門の機能が悪くなります。例えば、肛門上皮と言って肛門の外側から内側に約3㎝程度皮膚の部分があります。この肛門上皮を大きくとってしまうと、特に3ヶ所の内痔核で肛門上皮を大きくとると、術後肛門が狭くなってしまいます。やはり必要で最小限の傷で内痔核を切除する必要があります。このために麻酔をかけた後にどのように手術をするかのデザインをしっかり頭に描くことが大切です。

 手術は肛門から少し離れた部分の皮膚から剥がしていきます。約2㎝ほど離れた部分から皮膚だけを剥がしていきます。肛門の中の肛門上皮も皮膚一枚剥がしていくと、内痔核の根部、根元まできれいに剥がしていくことが出来ます。決してジョキジョキ切っていくわけではありません。皮膚一枚を剥がしていくので、肛門の括約筋も傷つけることはありません。
 皮膚をコッヘルという器械で挟んで、引っ張りながら手術をしていくときれいに内痔核が剥がれてきます。ところどころ突っ張る靭帯を剥がすと、スッと内痔核は剥がれてきます。内痔核の根部まで剥がれたら、内痔核に流れ込む動脈を糸で結紮して出血しないようにします。この内痔核の根部を結紮するときは、なるべく余分な組織がなく、粘膜と血管だけを縛るようにすると、術後の痛みが楽になります。多くの組織を残したまま、大きく結紮すると、術後の痛みが強かったり、術後の晩期出血の原因にもなります。
 また、内痔核を剥離していく際に、肛門の外側につくるドレナージも傷の治りに重要なポイントになります。
 どうしても肛門は便が通るところです。便が通っても具合よく治る傷にしていかなければなりません。この時に重要なのが肛門の外側につくるドレナージです。排便時に肛門内の傷に便が引っかかります。その便が傷に引っかかったままにならないように、具合よく便が出るようにしてくれるのがドレナージです。
 肛門の外側の傷を小さくして、ドレナージが小さすぎると外側の傷が治っても、肛門の中の傷が治らなく、一見傷はふさがって治った様に見えますが、肛門の中の肛門上皮の部分の傷が治らず、痛みが長引き、場合によってはその傷が裂肛のようになり、痛みがだんだん強くなっていくこともあります。しっかりと十分なドレナージを作ることで、肛門の中の肛門上皮の部分の傷が先に治り、肛門上皮の部分の傷が先に治ることで、排便時の痛みが早くとれます。そして、あとから外側のドレナージの傷が治る。この順番で治ることがベストです。
 肛門内の肛門上皮の傷の治りは、このドレナージの良しあしに影響します。極端なことを言うと、ドレナージは小さいよりも大きいほうが具合よく治ります。ドレナージは便が通るところには傷はありません。どんなことがあっても治ります。でも肛門内の肛門上皮の傷はドレナージが適切でなければ治っていきません。
 こういったことからも、前回お話したように、内痔核の手術にはデザインが重要です。

2018.09.17

内痔核の手術はデザインが大切!

肛門の病気で一番多いのが内痔核です。俗に「いぼ痔」とか「痔」といいます。
今回はこの内痔核に対しての痔核根治術について、「内痔核の手術はデザインが大切!」というお話しをしたいと思います。
肛門科医にとって、最も基本的で、そしてもっとも大事な手術が内痔核に対しての痔核根治術です。すべての肛門の手術の基本がこの痔核根治術にあると思います。
排便時に内痔核が脱出して、押し込まなければ戻らない程度の内痔核を第Ⅲ度の内痔核と言います。脱出したままで戻そうと思っても戻らない程度の内痔核を第Ⅳ度の内痔核と言います。第Ⅲ度以上の内痔核になりますと、外科的な治療が必要となります。その際に、輪ゴム結紮法であったり、もう14年過ぎましたが、ジオンという痔核硬化剤での四段階注射法で治すことができる内痔核もあります。でもいずれもどんな内痔核でも治すことのできる、万能な治療法ではありません。極限られた内痔核に対して有効な治療法です。適応を間違えてこれらの治療を行うと、治らないばかりでなく、症状を悪化させたりする可能性もあります。またこれらの治療を行った後、症状が取れなかったり、悪化したたりした場合には、痔核根治術などを行い、リカバリーしなければなりません。
こういったことからも、肛門科医がどうしてもマスターしなければならない最低条件がこの痔核根治術を適切にできるということです。
さて、痔核根治術を行う時に最も大切なのが、どのように内痔核を切除していくかのデザインを決めることです。肛門は排便をするといったとても大切な機能があります。出てくる内痔核、出ている内痔核をただただ切除するだけではだめです。具合よく排便ができる、スムーズに便が出るようにするといった、肛門の機能をしっかり守って、場合にによっては、内痔核の手術をすることで、排便がスムーズに出るように、機能面の回復を図らなければなりません。こういったことからも手術に入る前の手術のデザインが重要になります。
 内痔核のできる場所は、右前、右後ろ、左の3か所です。そして内痔核は、患者さん一人一人全く違った状態です。1か所であったり2か所であったり、また、3か所とも手術が必要だったりします。またその内痔核の脱出の仕方、大きさも患者さん一人一人違います。その患者さんにとって一番良いデザインにしていかなければなりません。
 次回は痔核根治術の具体的な方法をお話したいと思います。

2018.09.13

「CYARINKO」シリーズ

 以前「CYARINKO 赤と白のコラボ」という題で、私が大学時代に描いた自転車の油絵の三部作を紹介しました。
 大学病院に勤め始めて三年目。先輩からの後押しもあって、1週間、個展を開くことを決心しました。
 個展を開く場所は、当時日大駿河台病院に勤務していたので、大学病院の近くの画廊に決めました。お茶の水の駅から大学病院に向かう、ちょうど中間点あたりにその画廊はありました。今年の7月にお茶の水駅の近くで学会があり、発表がてら個展を開いた画廊があるかなと思い訪ねてみましたが、今はもうありませんでした。時代の流れに少し寂しい思いをしました。
 さて、個展を開くために何作か新に絵を描きました。個展を開こうと決めたときは、まだ前回紹介した三部作と、子猫の絵が二作しかなく、新たに描くほうが多かったです。
 日大の第三外科に勤務して3年目。その頃は、麻酔科にローテーションしていた時で、比較的時間があり、絵を描くことができました。でも、仕事が終わってからの制作活動。夜、夜中に描くことが多く、蛍光灯の下での作業。朝起きて自然の太陽の光の下で描いている絵を見ると、「あれ?全然イメージが違う!」と感じることもあって、描き直したりしました。油絵ですので、上から色を重ねていくことが出来ます。かえってそのことが、絵に深みを出せたのかなと思ったりします。
 個展のテーマは「CYARINKO&NEKO」ということで、自転車の絵と子猫の絵に題材を決めて描いていきました。自転車の絵は4号から10号と様々な大きさのキャンバスに描いていきました。でも、自転車だけだと気分が進まないこともあり、同時に子猫の絵も描いていきました。子猫の絵はすべて0号です。三作品ほど同時進行で描いていきました。どうしても油絵ですので乾くまで時間がかかり、一作品づつ描き上げるのでは時間がかかってしまうので、三つの作品を順繰りに描いていき、三作品同時完成といった具合に、個展に向けて「大量生産」モードで描いていきました。今から思うと、よく描けたなと感心します。
 
今回は前回紹介した自転車三部作以外の自転車の作品を紹介します。


 
まずは、自転車のパーツを描いた二作品です。自転車のサドルと、サドルと後輪を描いた作品です。今から思うと、もっと細かく、ハンドル、サドル、フレーム、そして車輪などいくつかのパーツをそれぞれ描いて、描いた絵をそれぞれ組み合わせて、一つの自転車にするといったのもよかったかなと思います。


 
次は夏をイメージした海と空を背景での自転車。自転車もうまく描けたかなと思いますが、それ以上に自転車の影がいい感じかなと思います。できれば空にカモメでも飛ばしたら動きがあってよかったかなと思います。


 
最後は川べりに止めてある自転車です。自転車も気に入っていますが、川の水面が水面っぽく描けたかなと思います。
 
次回は、子猫の作品を紹介しますね。

2018.09.09

実りの秋、食欲の秋。9月の献立を紹介します。

 実りの秋、食欲の秋ということで、9月のレシピをもとに、9月の献立を紹介しますね。
 カレイの煮つけ、信田巻、里芋コロッケ、そしてもう一つ甘栗の栗ご飯の献立です。
 実家の近くの家に、大きな栗の木があります。もうだいぶ栗が実っています。毎年、その家の方が栗を下さいます。栗を湯がいて食べるのも美味しいですし、栗ご飯もいいですよね。栗はバランスよく栄養素を含んでいるとのことです。
 「桃栗3年」と言われているように、栗は成長が早く、実が安定して収穫できるそうです。青森県にある三内丸山遺跡で1500年もの間、栗を栽培して、縄文人の主食となっていたようです。三内丸山遺跡は、栗とともに栄えた、定住型都市型社会だったとのことです。9月の献立には、この栗を使った「甘栗の栗ご飯」が加わります。
 今回の献立は、1人分650kcal たんぱく質40gです。

 「甘栗の栗ご飯」

材料(2人分)1人分 320kcal 食物繊維2.1g
ご飯    1合
・剥き甘栗  50g
・塩     少々
・黒ゴマ   適宜

作り方
①温めて混ぜ、ごまを上にかける。
*米を炊くときに入れると一層おいしくできます。

管理栄養士さんから一言
栗の栄養
栗はバランスよく栄養成分を含んでいて、特に糖質の代謝に必要なビタミンB1や熱にも強いビタミンC、食物繊維、高血圧予防にも効果のあるカリウムなどが豊富です。この時期だけの生からのおいしさといつでも使える甘栗の手軽さをお好みで取り入れてください。
夏の疲れが出やすい9月。おいしく食べてリセットしましょう。

 

 

2018.09.08

電子レンジでもできる煮物「魚の煮つけ」、「信田巻」のレシピを紹介します。

今回は、電子レンジでもできる煮物、2種を紹介します。
一つは「魚の煮つけ」。もう一つは「信田巻」です。
魚の煮つけといえば、カレイの煮つけですよね。私も好きで、ご飯が美味しく食べれます。アツアツのご飯の上に、カレイの煮つけを乗せて、煮つけの汁を少しかけて食べる。美味しいですよね。ヒレのところの小さな骨が少し食べにくいですが、この部分も美味しいですよね。
では、電子レンジでできる煮物2種のレシピを紹介しますね。

「魚の煮つけ」

材料(1人分) 全量 150kcal 食物繊維 約0.8g
・魚(カレイ、ブリ、鯛等) 1切れ
・生姜   適宜
・しょうゆ・酒・みりん  各大さじ1
・わかめ    20g

作り方
①切り身の裏側を上にして調味料を入れ、ラップをして2分チン。
②裏返して、わかめを入れ1分チン。

「信田巻」

材料(2本分)280kcal たんぱく質50g 
薄揚げ         2枚
・鶏ひき肉        200g
・下味(しょうゆ小さじ1・砂糖小さじ1)
・すりおろし生姜     大さじ1
・人参・いんげん(ゆで) 各20g
・めんつゆ        大さじ2 

作り方
①薄揚げを破かないように開く。
②ひき肉に下味としょうがを混ぜる
③①に②を広げ、棒状の人参といんげんを芯にして巻き、爪楊枝でとめる。
④容器に③とめんつゆを入れラップをして2分チン。
⑤裏返してラップをして1分チン。食べやすい大きさに切る。

どちらのレシピも電子レンジで、3分程度チンで出来上がり。
一度試してくださいね。

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