「シータのシチュー」のレシピを紹介します。

今回は1986年に公開された宮崎駿監督のジブリスタジオ制作の長編アニメーション「天空の城ラピュタ」のヒロイン、シータが作ったシチューを再現した「シータのシチュー」のレシピを紹介します。
ヒロインのシータが持っている青色の飛行石。何か憧れますよね。本当にあったらいいなあと思います。またシータと一緒に天空の城ラピュタを目指すバズーのグライダーもいい感じでした。亡き父が一度見た天空の城ラピュタへ行く夢を持ち冒険に出る。夢に向かう気持ちも素敵だと思います。また、空中海賊の女船長ドーラもいい味を出していたなあと思います。
さて、今回紹介するシチューは天空の城ラピュタの中で、ヒロインのシータが空中海賊のドーラの船、タイガーモス号の中で作ったシチューです。バズーを始め、ドーラ一家の皆が美味しそうにもりもり食べている映像が目に浮かびます。
もう一度「天空の城ラピュタ」を観ながら今回紹介する「シータのシチュー」を食べようかなあと思います。
では「シータのシチュー」のレシピを紹介しますね。
「シータのシチュー」
1人分 エネルギー 700kcal たんぱく質 20g
シチューが赤っぽく見えたのでトマトベースに、飛行船の中にはいろいろ持ち込めないかとシンプルな具材にしてみました。
シチュー(2人分)
材料
じゃがいも 2個
人参 小1本
玉ねぎ 小3個
牛肉 200g
小麦粉 小さじ2
サラダ油 大さじ1
トマト缶 1/2缶
ビーフシチューのルー 2かけ
塩胡椒
作り方
- ①牛肉は両面をフォークで突いて袋に入れ、玉ねぎ1個をすりおろして加えてもむ。
- ②じゃがいもは皮をむいて半分に、人参は2cmのぶつ切、玉ねぎ2個は半分に切る。
- ③鍋に野菜とトマト缶とひたひたの水を入れ、軟らかくなるまで煮る。
- ④表面をふいて小麦粉を薄くつけた①をフライパンで焼く。
- ⑤③に④とルーを加え煮込む。
管理栄養士さんからの一言
お肉を軟らかくするには
今回は玉ねぎを使いましたが、お肉を軟らかくするたんぱく質分解酵素は
塩麹や甘酒・キウイやパイナップルなど生のフルーツ・まいたけなどにあり、
ヨーグルトの乳酸菌やはちみつ・砂糖の保水力、コーラやビール・炭酸水につけるなど様々な方法があります。
「ぐりとぐらのカステラ」のレシピを紹介します。

今回は「ぐりとぐらのカステラ」のレシピを紹介します。
「ぐりとぐら」という絵本。知っていますが、私は読んだことはありません。皆さんはどうですか?
「ぐりとぐら」を少し調べてみました。1963年「母の友」6月号に掲載した幼児向けの読み物の「たまご」が原型となったそうです。同じ年の12月1日に「こどものとも」93号で「ぐりとぐら」で発表されたそうです。
さて、「ぐりとぐら」の第一作にカステラが出てくるそうです。野ネズミのぐりとぐらが森の中で大きな卵を見つけて、鍋や材料を森に運び込んでカステラを作る。そのカステラの美味しいそうな香りに引き寄せられて、森の中にいる動物たちが集まってくるというストーリーだそうです。
「ぐりとぐら」の絵本の中に書かれているカステラの材料は、「こむぎ、ばたー、ぎゅうにゅう、さとう」それと森の中で見つけた大きな卵だけといったシンプルな材料。そしてカステラを作る調理器具は「おなべ、あわだてき、ぼーる」の三つだけ。作り方も書いてあるそうで、「卵をボールに流し込んで、砂糖と一緒に泡だて器でかき混ぜて、牛乳と小麦粉を入れて、鍋にバターをよく塗ってボールの中身を入れてふたをし、かまどへかける」だそうです。
私は、カステラはお砂糖のジャリジャリ感が残っている面が好きです。じりじゃり面を後から食べるようにしています。
では、「ぐりとぐらのカステラ」のレシピを紹介しますね。
「ぐりとぐらのカステラ」
1人分(1/8カット) エネルギー 170kcal たんぱく質 4.5g
できるだけ簡単にしたく、今回はホットケーキミックスと炊飯器で焼きました。
卵を別立てにしたり、オーブンやフライパンで焼いたりアレンジしてください。
カステラ(1つ分)
材料
ホットケーキミック 200g
卵 2個
砂糖 50g
牛乳 180cc
バター 20g
作り方
- ①卵と砂糖を白っぽくなるまでよく混ぜる。
- ②ホットケーキミックスと牛乳を混ぜ炊飯器で炊く。
*今回は普通炊飯2回かけました。ケーキコースや早炊きコースなど炊飯器に合わせて作ってください。
③焼き上がりにバターをのせる。
管理栄養士さんから一言
卵
卵には食物繊維とビタミンC以外のすべての栄養素を含む食品で、
卵のたんぱく質は必須アミノ酸がすべてそろった良質はたんぱく質です。
価格的にも安定しておりいろいろな調理法があり生でも食べられ
買い置きもできる優れた食品です。
「サツキのお弁当」のレシピを紹介します。

今回は、1988年に公開された宮崎駿監督のスタジオジブリ制作の長編アニメーション「となりのトトロ」に出てくるサツキちゃんが作ったお弁当を想像しながらのレシピを紹介します。
「となりのトトロ」は私も観ました。自然の中で、自然と一体となって暮らす。そして家族への思いが込められた作品かなあと思います。昭和の感じもあって、懐かしさを感じる一方で、観終わるとなんとなく不思議な世界観がある作品だと感じました。皆さんはどうでしょう。
さて、今回紹介する「サツキのお弁当」は作品の中で、病院に入院しているお母さんの代わりに、サツキちゃんが3人分のお弁当を作るシーンがあります。その時のお弁当を管理栄養士さんが再現してくれました。お弁当箱に白いご飯を敷き詰めて、その上にはめざしを焼いたものとエンドウ豆の煮つけ。そして桜でんぶ、そして梅干し。凄くシンプルなお弁当です。それを美味しそうに受け取るメイちゃん。印象的なシーンです。
私が小さかったころ、母が作ってくれたお弁当で印象的なのが、お弁当箱にまずはご飯を敷いて、その上にお醤油をつけた海苔を引く、その上に七味を効かせたちりめん雑魚を引く。またその上にご飯を敷いてさらに海苔とちりめん雑魚、そしてご飯。このお弁当がとても美味しかった記憶があります。
親子喧嘩した次の日のお弁当には、お弁当の蓋を開けると、海苔や塩昆布で「バカ」と書いてあったりしました。思わず明けた蓋を直ぐ閉めた思い出があります。
私の妻が2週間ほど入院したことがありました。二人の子供はまだ高校生と中学生。朝、私がお弁当を作ったのですが、おかずを仕切りを使わずに詰めてしまったので、帰ってきた子供たちに「お父さん、おかず全部混ざっていたよ。この仕切りを使ったらいいよ。」と教えてもらいました。
また、渡邉家の卵焼きは、お砂糖を入れた甘い玉子焼きです。作ってみたのですが、一部が少し焦げて、焦げていないところをお弁当に摘めようと思ったら、ポロリと落としてしまった。仕方なく焦げた卵焼きを詰めたところ、帰ってきた娘が、「お父さん、卵焼き焦げていたね。友達に卵焼き焦げているって言ったら、お友達がお父さんが作ってくれたんでしょう。美味しくいただきなって。」なんて良い友達なんだろうと思い。次の日ももう一度卵焼きをリベンジ。お弁当ってなんとなくいろんな思い出がありますね。
少し長くなってしまいました。ではそろそろ「サツキのお弁当」のレシピを紹介しますね。
「サツキのお弁当」
エネルギー 400kcal たんぱく質 25g
手に入りやすい枝豆に味をつけて入れました。桜でんぶの甘さがほっとします。
材料
めざし、桜でんぶ、浸し豆、梅干し、ご飯
「浸し豆」
材料
枝豆 1袋
*えんどう豆、さやいんげんでも
白だし 約小さじ1
*めんつゆでもお好みで
色の薄いほうがきれいです
作り方
①枝豆は袋の中に塩を入れ、袋の外からもんで産毛を取る。
②お湯に入れ軟らかくなるまでゆでる。
③薄皮も取ってさやから取り出す。
④白だしを混ぜ、ラップを枝豆に密着させしばらく置く。
管理栄養士さんから一言
枝豆
枝豆は大豆の未成熟なものなので、大豆と野菜の両方の特徴を持った
緑黄色野菜です。
たんぱく質、ビタミンB群などが豊富で、大豆には含まれていない
カロテンやビタミンCも多く、カリウム、食物繊維やほうれん草より多い鉄分も含んでいます。
ビールのおつまみにも最適でビタミンB1・Cでアルコールの分解を助け、
たんぱく質の中のメチオニンが肝臓の働きを助けると言われています。
「レミーのラタトゥイユ」のレシピを紹介します。

5月のレシピは管理栄養士さんから「今回は、お話の中に出てくる料理を「なんちゃって」で作ってみました。」と。「難しくなく、材料もありそうなもので作ったので、お話の中にでてくる料理と違うかもしれません。もう一度お話を見直しながら食べてもらえたらと思います。」というメールが来ました。そして、「美味しいものは元気にしてくれます。作ること、食べることを楽しみに大事にしたいと思います。」と。家にいる時間が長く、また、いつもだったらあまり一緒にいることができない家族と一緒にいる時間が持てる。その時間を大切な時間にしたいと思います。
さて今回の最初のレシピは「レミーのラタトゥイユ」です。残念ながら私はこの「レミーのおいしいレストラン」という長編アニメーションは観ていません。こんな時期ですので、観てみようと思います。
少し「レミーのおいしいレストラン」について調べてみました。
料理が大好きなネズミのレミーは一流のレストランのシェフになることを夢見ていました。ある日、姿を家の主人に見つけられて、一族は巣を追われることになってしまいます。レミーは家族とはぐれてしまい、ひとりぼっちでパリの一軒のレストランにたどり着きます。そこはレミーが尊敬するフレンチ料理人、グストーのレストランだった・・・
そこにいた見習いシェフ、リングイニと一緒に料理を作り、最後にはレミーとリングイニ、そしてリングイニの彼女のコレット一緒に新しいビストロの店を出し、その看板には「La RaTaTouille」と。というあらすじのピクサー・アニメーション・スタジオによる長編アニメーションです。
2007年に日本で公開されたました。
原題の「Ratatouille」はフランス南部の野菜煮込み料理「ラタトゥイユ」の意味です。主人公のレミーがネズミ(Rat)であることにかけています。英語版のポスターには「rat・a・too・ee」と発音を強調しているのもあるそうです。
この映画の中で今回紹介する「ラタトゥイユ」がkeyとなる料理として出てきます。
この映画の中での名セリフを一つ紹介します。
「自分の限界を決めるのは自分自身である。誰にでも料理はできる。だが、勇気ある者だけが一流になれるのだ!」
なかなか外に出られない、息苦しい環境になっています。こんな時だからこそ、なにができるのかを考えて、心豊かになっていきたいものです。「レミーのおいしいレストラン」原題名「Ratatouille」を観て、「ラタトゥイユ」を皆で作ってみてくださいね。
ではそろそろレシピを紹介しますね。
「レミーのラタトゥイユ」
全量で エネルギー 250kcal たんぱく質 6g 食物繊維 8g
煮込まず並べるだけのお手軽レシピ。野菜だけで華やかな1品になります。
ラタトゥイユ材料
茄子 1本
ズッキーニ 1本
トマト 2個
黄パプリカ 1/3個
トマト缶 1/3缶
(ミートソースでも可)
オリーブオイル
ハーブソルト
別添:なくても可
ジェノベーゼソース(市販)
作り方
①トマトは湯むきし、野菜は厚さを揃え輪切りにして軽く塩をかける。
②さらにトマト缶を敷き、①をきれいに並べる。
③オリーブオイルをかけオーブントースターかグリルで焼く。
④ハーブソルトで味を整え、好みでジェノベーゼソースをかける。
管理栄養士さんから一言
カットトマト(缶詰)
特に豊富に含まれている栄養素はビタミンA、ビタミンB群、ビタミンEで、抗酸化作用の強いリコピンは国産の生のトマトの3倍も含まれています。
新型コロナウイルス感染拡大で受診できない患者さん

新型コロナウイルスの感染拡大により、緊急事態宣言が東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、福岡県の一都一府五県に出されました。5月6日までの期間です。
ただ、この緊急事態宣言で指定された都府県だけでなく、近接した自治体でも同様の体勢をとって望まなければならないと思います。また指定された都府県から他府県への移動も自粛しなければならないと思います。
日常の生活とは全く異なった生活を私たちは過ごさなければならないと思います。この難局を皆さんと共に乗り切らなければならないと思います。
このような状況のなか、本来かかりつけ医の診療所等、医療機関に受診しなければなならい患者さんが受診されなかったり、受診できなかったりする状況があります。医療が必要な患者さんに十分に医療が提供できない状況にあると思います。
一つは患者さん側が、新型コロナウイルスの感染拡大の状況のなか、医療機関に行くための外出が怖い。また受診した場合、医療機関で院内感染をするのではないかという恐れ。また、医療機関側からは、熱発者の受診で院内感染が発生したら困る。また自分自身やスタッフの感染の恐れがある。一端感染者が出ると診療が行えなくなるのではないかという不安。また新型コロナウイルスの疑いのある患者さんの診察にあたって、マスクや防護服そして医療用のフェイスシールドなどの装備や診察でき出来る体制が整っていない。そういった患者さんや医療機関側のそれぞれの不安、恐れ等があってのことだと思います。
でもやはり病気。患者さんにとってはしっかり診察してもらい適切な処置や投薬を受けてもらわなければなりません。また医師側からすると、しっかり患者さんを診察して患者さんの状態に対して適切に処置をして投薬する。この原則が今、新型コロナウイルスの感染拡大で崩れてきています。早く新型コロナウイルスの感染拡大が終息して、本来の状態に戻って欲しいと思います。
渡邉医院でもこんなことがありました。
電話で「熱があるが、肛門がすごく痛いのですが、診察してもらえますか?」という内容でした。おそらく患者さんは、お尻はとても痛くて受診して診察してもらいたいが、熱があるので診察を断られるのではないかという不安があったのだと思います。
急に肛門が痛くなって熱が出る病気といえば肛門周囲膿瘍です。肛門腺の細菌感染から始まり、膿が体に広がっていく病気です。放っておくと、膿がどんどん広がっていきます。また高熱も出てくることがあります。肛門周囲膿瘍の場合は直ぐに切開して排膿しなければなりません。
その患者さんには受診していただくようお話して、来院してもらいました。診察するとやはり肛門周囲膿瘍でした。一番発生しやすい肛門の後ろ、時計でいうと6時の方向の肛門周囲膿瘍でした。一番なりやすい部位ですが、一番深く膿が広がっていく部位でもあります。肛門の奥の方に膿が広がると、痛みが強くなるばかりか、38度以上の熱が出ることもあります。
直ぐに局所麻酔をして切開して排膿すると、多量の排膿がありました。患者さんは排膿したことで痛みは楽になり、肛門周囲膿瘍が原因だった熱も下がり楽になられました。患者さんは「熱があるから診てもらえないかと思った。」と。
こういったように、しっかり受診していただき、適切な処置をする必要があり、しかも早急に行わなければならない病気もあります。
新型コロナウイルスの感染も怖いですが、やはり早急に処置をしたり、投薬して治療をしなければならない病気もあります。そんな時は迷わず、まずは医療機関に電話して、状況を伝えていただき、医療機関を受診してほしいと思います。オンラインでの診療という方法もありますが、なかなか画像だけでは判断できないことがあります。患者さんの息づかい、触診による触った感じ等、医師は五感を使って診察していきます。やはり対面での診察が適切な診断には必要だと思います。
でも、なかなかそういった状況に今はありません。渡邉医院では、今の状況の中でどうしても受診できない、または心配や不安がある方にTwitterのメールで相談を受けています。何か肛門の病気のことで心配や不安がある場合は、遠慮なくTwitterのメールで相談してくださいね。
そして早く今の新型コロナウイルスの感染拡大が終息して、安心して医療にかかることが出来るようになって欲しいと思います。それまでは、いろんな知恵を出し合って、新型コロナウイルス以外の病気に対して、しっかり治療ができるように取り組んでいきましょう。
お尻の病気、自宅でできる対処法。出血編

新型コロナウイルスの感染が拡大している中、患者さんからも「お尻の具合が悪いが、新型コロナウイルスが怖いので受診できない。」とか、便秘の治療で内服薬を処方している患者さんからも「今のところ具合よく便も出ていて調子がいいです。新型コロナウイルスのこともあるので、薬だけ欲しい。」という問い合わせもあります。中には「熱があるが、肛門がすごく痛いので診てもらえないか。」といった電話での問い合わせもありました。
熱があって肛門が痛かった患者さんはやはり予想通り肛門周囲膿瘍でした。切開して膿を出してあげたことで、痛みは楽になり、肛門周囲膿瘍が原因での熱も下がり、とても楽になったとおっしゃっていました。その患者さんが、「家族には新型コロナウイルスじゃない。」と言われていて心配されていたようです。また「熱が出ていたので、診察してもらえないかと思った。」ともおっしゃっていました。肛門周囲膿瘍でも38度以上の高熱が出ることがあります。心配な時は電話で問合せしてくださいね。
新型コロナウイルスは皆さんの心も蝕んでしまっていきます。早く収束してほしいものです。そのためには私たちが出来ることをしっかりと、そして冷静に行っていきましょう。そして周りの人への思いやりも忘れないようにしなければならないと思います。
さて前回は自宅でできる対処法として痛み編をお話しました。今回は出血編です。
出血、心配ですが慌てずに
出血に対してはそれを自分で治すことはなかなかできません。自宅でできることは、まずは便の調整をして具合よく便が出るようにすること。また、内痔核や裂肛などで出血するときは温めてあげるのもいいと思います。そして軟膏などの外用薬を使うということが中心になると思います。
ただ、肛門の病気で血が止まらなくなって命に係わると言ったことはまずはありません。ですから出血した時も慌てずに、時期を診て医療機関を受診して下さい。さて出血のパターンである程度肛門の病気が推測できます。それによって自宅での対処法が違ってきます。それぞれの出血のパターンと病気についてお話します。
痛みなく出血する
まずは痛みを伴わずに出血するパターンです。
痛みなく出血する場合は内痔核からの出血の可能性が高いです。
内痔核は痛みの感じない部分にできます。ですから出血するときも痛みがありません。出血の仕方は、排便後に拭いたときにトイレットペーパーに血が付いていたり、便に血がついていたりします。また排便時にポタポタ便器に血が落ちることがあったり、内痔核が大きい場合はシャーと音を立てて出血することがあります。でも痛みはありません。出血すると、しかも便器が真っ赤に染まるとすごく心配になります。
でも24時間ずっと出血しているわけではありません。排便時に便が内痔核を擦ったり、押しつぶすように出てくるときに出血するだけで、それ以外の時は出血はしていません。また一回の出血では貧血にもなりません。ただ、排便時の出血が多く、しかも出血している期間が長いと徐々に貧血になっていくこともあります。
内痔核からの出血の対処法
内痔核の出血に対しての対処法としてはまずは便の調子を整えることです。便が出なくて頑張っている時間が長かったり、下痢の時も内痔核が悪くなります。次に血液の流れを良くしてあげると内痔核は良くなります。やはり入浴などで温めてあげることがいいと思います。そしてとりあえず軟膏などの外用薬を使う。まずはこのようなことを自宅で行ってもらって出血が続いたり、量が多かったりする場合は医療機関に受診するといいと思います。
痛みを伴う出血
次に排便時に痛みを伴って出血する場合です。この痛みが伴う場合は裂肛が原因のことが多いです。
便が硬かったり、また下痢の時も肛門に傷がついて痛みがありそして出血します。出血の程度はいろいろです。排便後拭いたら血が付いたり、便に血が付いていることもあります。また傷のつき具合では、ポタポタ血が便器に落ちることもあります。ただ裂肛の場合は痛みが伴います。
裂肛からの出血の対処法
裂肛に対して自宅でできることは、やはり便の状態を良くすることが一番です。硬い便だと傷がつきますし、下痢でも傷つきます。いい便が出るように調整することが一番です。
また、裂肛の場合も入浴などで温めてあげることで血液の流れが良くなり、傷の治りが良くなったり、温めることで肛門の緊張、括約筋の緊張が取れることで裂肛の治りが良くなっていきます。
またどんな軟膏でもいいので肛門の表面を塗った後、少し指を肛門の中に入れることで括約筋の緊張がとれ、裂肛の治りが良くなっていきます。
その他の出血のパターン
①血栓性外痔核が破けて出血
出血という症状にはあと二つほどあります。
一つは血栓性外痔核が破けて出血するパターンです。
血栓性外痔核は急に肛門に血栓、血豆が出来て腫れて痛い病気です。基本は腫れが引いて痛みが段々楽になり、血栓は徐々に溶けて吸収して治っていきます。ただ、場合によってはその血栓、血豆が破けて血が出ることがあります。この場合、急に痛くなって腫れてきて、そしていきなりの出血。びっくりしますし、悪くなったのではないかと心配される患者さんが多いです。
でも血栓性外痔核の場合、破けて中に詰まっていた血豆が出てくることで、血は出ますが痛みはスッと楽になります。血栓性外痔核の場合は血豆が詰まってキンキンに腫れる。これが痛みの原因です。破けて血が出ると一瞬「あっ!」と思いますが、キンキンさがなくなるので出血しても痛みは楽になります。
また自然に溶けて治るよりは破けたほうが血は付きますが早く治ってくれます。ですから出血しても悪くなったわけではなく、早く治るんだと思って安心してくださいね。
②肛門周囲膿瘍が自壊して出血
もう一つが肛門周囲膿瘍が、これも自然に破けて出血と膿が出ることがあります。
肛門周囲膿瘍も急に肛門が腫れてきて痛みが出て、しかもその痛みがどんどん強くなってくる病気です。肛門周囲膿瘍の場合は切開して膿を出す必要があります。でも自壊と言って自然に破けて、溜まっていた膿が出ることがあります。
この時も急に出血と膿が出てくるので先ほどと同じように「あっ!」と思いますがキンキンに溜まっていた膿が出るので痛みはスッと楽になります。
膿が出てくれると痛みだけでなく炎症も治まってきます。言ってみれば切開して膿を出した状態と同じです。痛みは楽になり炎症も治まってくるので心配しないでください。
でも肛門周囲膿瘍の場合はその後痔瘻になる可能性もあるので、痛みが楽になっても時期をみて医療機関を受診して下さいね。
できれば出血や痛みなど、肛門の具合が悪いときは肛門科を受診することをお勧めします。ただなかなか新型コロナウイルスの感染が拡大しているなか、医療機関を受診することもためらうことがあると思います。そのことはよくわかります。まずは自宅でできることで対処していただいて、時期を診て肛門科を受診して下さい。また自宅で対処していても症状が強くなってくるとか、やはり心配だと思います。そういった時には肛門科を受診して下さいね。
お尻の病気、自宅でできる対処法。痛み編

4月になって、新型コロナウイルスの感染拡大は治まることなく拡大しています。皆さん不安な日々を過ごしてられると思います。このような状況、なかなかお尻の具合が悪くても受診をためらっているかたも多いと思います。
基本的に肛門の病気は悪性のものは少なく、良性の疾患です。肛門周囲膿瘍は直ぐに切開して膿を出す必要がありますが、それ以外は緊急を要することはあまりありません。内痔核からの出血も排便時に出血はしますが、それ以外ずっと出血しているわけではありません。焦ることはありません。
今回は症状によっての病気の可能性と自宅でできる対処法についてお話します。
まず今日は痛みがでる病気とその対処法をお話します。
痛みのでる病気は?
痛みの出る病気には大きく四つあります。一つ目は血栓性外痔核、二つ目は肛門周囲膿瘍、三つめは裂肛、そして四つ目が内痔核に血栓が詰まった嵌頓痔核です。順番にお話していきますね。
- 1)血栓性外痔核
血栓性外痔核は肛門の外側、正確に言うと肛門上皮という肛門の中の皮膚の部分にまでにできるものを外痔核と言います。肛門の外側に細かな静脈が網の目の様になっている部分に血栓が詰まって、腫れて痛い病気です。冷えたり、疲れたり、忙しかったり、寝不足だったり、ストレスがかかるとどうしても血液の流れが悪くなり、そしてストレスがかかると血小板がくっ付きやすくなって血栓ができやすくなります。そういった条件がそろって、排便の時強く力んだり、重たいものを持ったりなど、腹圧がかかった時に血栓ができることがあります。
症状としては、今まで何ともなかったのに急に痛みが出て、触ってみると少し硬く豆のようなものを認めます。血豆詰まって腫れが強いと痛みが強くなります。
血栓性外痔核は基本は自然に治る。
血栓性外痔核は血栓が詰まって腫れて痛みが出る病気です。基本的には血栓が詰まって腫れて痛いので、段々腫れは引いてきて痛みは軽減してきます。また、血栓は時間がかかっても必ず溶けて吸収して治っていきます。どこかをぶつけて腫れて痛く、青く内出血しても腫れが引くと痛みが治まり、内出血も吸収して治っていくのと同じです。必ず治っていきます。
ただ、痛みが強い場合は局所麻酔をして血栓を取るとスッと楽になります。
血栓性外痔核の自宅での対処法
①温める
では医療機関にかからず自宅でできることはなにか。まず一番痛みが楽になるのが入浴です。ゆっくり温めてあげると、痛みは楽になります。これと同じように患部を温めてあげると楽になるので、ホカロンなどを当てて温めるのもいいと思います。直接当てると火傷するので気を付けて下さい。
②消炎鎮痛剤を使う
また血栓が詰まって腫れて痛いので、その腫れを取ると楽になります。ですから市販の痔の外用薬を付けるよりは、消炎鎮痛剤の座薬や内服薬で腫れをとると痛みは楽になってきます。血栓は自然に徐々に小さくなっていきます。
- 2)肛門周囲膿瘍
肛門周囲膿瘍は肛門にある肛門腺に細菌感染をして化膿して膿がどんどん広がっていく病気です。肛門周囲膿瘍も血栓性外痔核と同様に急に肛門が腫れてきて痛みが出てきます。しかも急速に腫れて痛みもどんどん強くなっていきます。
血栓性外痔核との違いは、血栓性外痔核の場合は血栓ができるので触ってみると豆のようなものを触れます。これに対して肛門周囲膿瘍は水膨れの様になったり、肛門全体が腫れてきたり、また豆と言うよりは全体に膨れた感じになることがあります。また腫れていなくても少し硬くなっていて押さえると痛かったりします。また膿が奥の方に広がっていくと、痛みだけでなく熱が出ることもあります。38度以上の熱が出ることもあります。
また肛門周囲膿瘍は急速に痛みが強くなり、改善されません。
肛門周囲膿瘍になるときは下痢をした時などに起きることがあります。このように血栓性外痔核とは違った症状が出てきます。
肛門周囲膿瘍の場合はすぐに医療機関を受診。
肛門周囲膿瘍になった場合は入浴して温めたりすると反対に痛みが強くなってきます。肛門周囲膿瘍の場合は自宅で治すことはできないので、直ぐに医療機関を受診して切開して膿を出してもらって下さい。
- 3)裂肛
裂肛は便が硬かったり、反対に下痢などで肛門上皮に傷がつく病気です。最初のうちは排便時の痛みだけですが、悪化していくと排便時だけでなく排便後も痛みが続き次第にその時間が長くなってきます。これは痛みによって内肛門括約筋の緊張が強くなるためです。裂肛は急に痛みが強くなることはありません。段々痛みが強くなってきます。
裂肛に対しての自宅での対処法
①便の調整
裂肛に対しての自宅での対処法ですが、一番が便の調整です。便が硬い場合は水分をしっかり摂ったり、場合によっては緩下剤を内服して便を柔らかくすることです。
②括約筋の緊張をとる
また、括約筋の緊張をとるために入浴も有効です。温めることで血液の流れが良くなり傷の治りもよくなりますし、温まることで括約筋の緊張も摂れます。
また軟膏はどんな軟膏でもいいと思います。裂肛の治療は塗り方が大切です。軟膏を肛門の周りに塗ると滑りが良くなります。そうしたうえで、少し指を肛門の中に入れることで肛門の緊張、括約筋の緊張をとることが出来ます。言ってみれば柔軟体操の要領です。体が硬い時柔軟体操をすると痛いですが、しばらく柔軟体操を続けると体が柔らかくなってきて痛みが楽になる。これに似ています。肛門の緊張、括約筋の緊張をとることで痛みが楽になり、裂肛も治っていきます。
- 3)嵌頓痔核
嵌頓痔核は内痔核に血栓が詰まって出たままの状態になったものをいいます。内痔核が出たままになるとさらに血液の流れが悪くなり腫れが強くなっていきます。できれば肛門の中に戻してあげることが必要ですが、なかなか自分で戻すことはできません。
嵌頓痔核になった場合も医療機関に受診して、一端戻してもらい時期をみて内痔核に対しての痔核根治術をしたり、場合によっては嵌頓痔核の状態で直ぐに手術をして治すこともあります。
嵌頓痔核に対して自宅でできる対処法
①温める
自宅でできることは、血栓性外痔核と同じで、入浴したりホカロンなどで温めてあげるといいです。
②消炎鎮痛剤を使う
また消炎鎮痛剤の座薬や内服薬を使うこともいいと思います。でも嵌頓痔核になった場合は早めに医療機関を受診して下さい。
このように、肛門周囲膿瘍だけは早急に医療機関を受診して切開して排膿してもらうことが必要です。それ以外はある程度自宅でも応急的に対応することはできますが、できれば時期をみて今の病気の状況や今後の治療方法などを決めるために医療機関を受診して下さいね。
次回は出血に対しての対象方法をお話します。
ALTA療法施行後1か月後に患者さんにするお話。

今日は一連のALTA療法に関して患者さんにお話し説明している内容の最終回です。
ALTA療法を行って退院して約1か月後の説明内容です。
ほとんどの患者さんは1か月後には具合良くなっています。
この時点ではほとんどの患者さんが排便時の出血や内痔核が出てくる症状はなくなって、とても具合よくなっています。でもこれまでお話してきたように、1か月後に診察した際にALTA療法を行った部分に硬結といって硬さを触知する患者さんが多いです。この時点で全くALTA療法を行った部分が解らなく、周りと同じように柔らかく治ってきている患者さんもいます。
一応、患者さんが感じる症状、例えば排便時の出血や内痔核が出てくると言った症状がなく、患者さんが気になる症状がなければ、ALTA療法を行った部分がまだわかる状態でも一応治療は終了します。この際も患者さんには、「まだまだ注射したところは少し硬くなっています。この硬さも段々柔らかくなって、どこに注射したかわからなくなるまでこれからも治っていきます。半年たってから受診して診せて下さる患者さんもいます。その時はどこに注射したかわからないように治っています。まだまだこれから良くなっていきます。でも硬さがあるということは、まだそこには炎症が残っているということです。とても調子が良かったのに出血するようになったとか、痛みが出てきたりとか、なにか気になる症状があればその時でいいので受診して下さいね。」とお話しています。
また「一端治った内痔核がある日突然に今回の様に排便時に出てくるようなことはありません。一端治ったら、もしも悪くなったとしても順番だって悪くなっていきます。出血したり違和感があると言った必ず症状が出てきます。また具合悪くなるには原因があります。一番の原因は排便時に頑張っている時間が長い。このことだと思います。排便の状態が悪くなければ内痔核も悪くなってきません。一応今日で終わりにしましょう。またなにか気になる症状がでたら、その時でいいのでまた診せに来てくださいね。」と治療を終了する患者さんにお話しています。
1か月後にまだ症状があることもあります。
ただ中には約1か月後の診察時に「まだ出血します。」とか「少し出てくる感じがあります。」と言われる患者さんがいます。こういった場合には、さらに1か月後に受診してもらっています。ALTA療法を行ってから、3か月程度は経過を診て内痔核の治り具合を診ていきます。
3か月経っても症状が続くようであればその時の内痔核の態度や具合に合わせて治療を加えています。例えば出血や少し出てくるという症状がある場合は、パオスクレー(5%フェノール・アーモンドオイル)による痔核硬化療法を追加してみています。また少し内痔核が出てきて、そう硬くなく柔らかな場合は内痔核の性状によっては輪ゴム結紮法などを行っています。
その時の患者さんの内痔核の状態によって改めて説明して治療を決めていっています。
出血や痛み以外に症状が出ることも。
また時には「肛門から膿のような、下り物が出てくる。」と言う患者さんも稀にいます。この場合は肛門鏡で観察してみると、少し潰瘍を形成していてそこから膿のような進出物が出てきている場合もあります。この場合は軟膏をつけてもらい経過を診ていくと自然に治っていきます。この場合も特に症状が強くなったり、痛みが強くなってきたり出血が多くなったりといった症状がなければ1か月後に診察に来てもらっています。
何か気になる症状があれば受診を。
これまでお話したように、たいていの患者さんはALTA療法後とても調子よく治っていきます。でも中には出血が続いたり少し内痔核が出てくるといった症状。また潰瘍を形成したりして、当初の予定通りに治っていかないこともあります。そんな場合は、患者さんにしっかりと今の状態をお話して、これからどのように治っていくか、どういった治療が必要なのかを説明していくことがとても大事だと考えています。
ALTA療法も患者さんに侵襲を加える治療です。そしてALTA療法の難しいところは、例えば痔核根治術の場合はどのように手術をしようか、どう切除していこうか自分自身がデザインをして手術をして切除することが出来ます。
これに対してALTA療法は、四段階注射法という注射手技を遵守して、内痔核の大きさでジオンの注入量が決まってきますが、ALTA療法を行った後はどうしてもジオンの効果任せになってしまいます。ALTA療法後は具合よく予定通りにジオンが効いてきているか、具合よく治ってきているかなどしっかり診察してみていく必要があります。そして予定通りに行っていない場合はそのことを患者さんにお話して、今の状態そしてこれからの治療方法、そして今後の経過の予想をしっかり話していかなければならないと考えます。
また患者さんも何か気になる症状がある場合は、遠慮なく医師にその症状を伝えることもとても大事なことだと思います。
ALTA療法後7~10日後に患者さんにするお話。

さて、今回はALTA療法を行って退院してから7~10日後に受診された患者さんへの説明についてお話します。
ALTA療法と痔核根治術の違い
ALTA療法を行うと排便時の出血や内痔核が出てくると言った症状は早く良くなります。大抵はこの時受診された患者さんは出血や内痔核が出てくるといった症状はありまあせん。でも中には、「排便時にまだ少し出血します。」とか「小さくはなったがまだ排便時に内痔核が出てくる。」といった症状がある患者さんもいます。
ALTA療法はやはり痔核根治術とは違います。
痔核根治術の場合は、内痔核を切除するので手術することで内痔核はなくなります。ただ、傷ができるので具合よくその傷が治っていくかどうかを診ていくのが痔核根治術です。
ALTA療法はジオンを局注下そのジオンが段々効いてきて内痔核が小さくなり治っていくのを診ていくのがALTA療法です。ここに大きな違いがあります。
ですから7~10日後に肛門鏡で診察してみると、まだまだ内痔核はあります。「この時期に出血や内痔核が出てきても心配はありません。段々ジオンの効果で治っていきます。まだ症状があってもまだまだ焦らないでくださいね。」とお話しています。
症状が無くてもまだ治ったわけではありません
反対に排便時に出血もなく、内痔核が出てこなくなってとても具合良くなっている患者さんもいます。
でもこの患者さんにも、「まだまだ内痔核はあって、これから良くなって内痔核が小さくなっていきます。治ったわけではありません。具合良かったのに出血が多くなったり、痛みが出てきたり、何か気になる症状がある場合はすぐに診せて下さいね。」とお話します。
またこの時期に発熱があったかどうかも患者さんに聞いています。そして特に症状もなくとても具合良くても、次は1か月後に受診してもらうようにお話します。
出血や痛み以外の症状
また、時々この時期に「便をするときに、内痔核は出てこないのだけど、出てくるような感じがする。」という患者さんもいます。この感覚もその通りだと思います。実際にまだ内痔核があり、ALTA療法によって出てこないだけなので、このような感覚があっても不思議はありません。そんな時は「その感覚は正しいと思います。実際に肛門鏡で診てみるとまだ内痔核はあります。段々注射の効果が出て内痔核が小さくなって治っていくとそのような症状も取れてきます。」とお話します。
またこの時期に「便が少し細くなったような気がする。」とか、「少し便が出にくい感じがする。」という患者さんもいます。この症状もまだまだ内痔核があって、治っていないにも関わらず排便時に内痔核が出てこない。このことが原因だと思います。
ALTA療法で治す前は、排便時に具合よく便が出るように、言ってみれば緊急避難的に内痔核が外に出ることで便が出ていた。でもALTA療法を行うことで内痔核があるにもかかわらず排便しても内痔核が出てこない。こんなことから便が少し細くなったり、出しにくくなるのだと思います。特に3箇所の内痔核に対してALTA療法を行った場合にこのような症状が出ることが多い気がします。
この時は緩下剤を内服してもらい楽に便が出るようにしてもらいます。そして、「注射の効果が出てきて、内痔核が段々小さくなってきたら通常通りに便が出るようになります。」とお話しています。
ALTA療法は内痔核をいったん硬化させて、最終的には柔らかく治っていきます。この一端硬くなる際にこのような症状が出ることがあります。私は今まで経験がありませんが、ALTA療法を行った部分に狭窄を起こすこともあるようです。でもこれも時間と共に狭窄は治っていきます。
このようにALTA療法を行った後、出血や痛みだけでなく、排便の状態が変わることもあります。こういった場合は今お話したような内容を患者さんに説明して、しばらく緩下剤を内服してもらいながら経過を診ていきます。
そして最後の「出血や痛み。またそうでなくても何か気になる症状があった場合にはすぐに診せに来てくださいね。そうでなければ次は1か月後に診せに来てください。」とお話しています。
そして軟膏に関しては、ALTA療法で治すのが主な治療なので、出血や痛み、そして違和感がない場合は毎日つけなくてもいいですよとお話しています。
何らかの症状がある場合だけつけてもらうようにしています。
次回は1か月後の診察の時に説明する内容をお話します。
ALTA療法施行後1日目に患者さんにするお話。

今回はALTA療法を行った次の日、退院の時にお話しする内容を紹介します。
ALTA療法でどのように治っていくのか
まずは、内痔核に対して四段階注射法で痔核硬化療法をしたことをお話します。四段階でジオンを局注していく意味をお話しています。
痔核硬化療法は「硬化」と書くので、出てくる内痔核がそのままの大きさで硬くなって、排便時に出血したり出てこなくなると思っている方がいます。でもそうではありません。ジオンの注射の効果で、徐々に内痔核が小さくなっていき、最終的には硬さもなく元の状態に戻っていきます。ジオンの内容ですが、硫酸アルミニュウムカリウム(明礬のことです。)とタンニン酸が含まれています。ジオンを注射して炎症を起こさせて内痔核を小さくしていくのですが、この炎症を起こさせるのが硫酸アルミニウムカリウムすなはち明礬です。
でも明礬だけを濃い濃度で沢山注射すると、注射した部位が激しく炎症を起こし、潰瘍を形成したりしていきます。この炎症をじわじわゆっくり効かせていくのがタンニン酸の役割です。この明礬とタンニン酸とが上手く合わさって具合よく治っていきます。
またタンニン酸は血管を収縮させる役割があります。したがってタンニン酸の効果で出血が治まってくれます。こういったように明礬とタンニン酸の二つが合わさって内痔核を治していきます。ALTA療法の効果は比較的早く、たいていの場合はALTA療法を行った次の日から排便時に内痔核は出てく無くなり、出血も治まります。
ALTA療法施行後の経過と通院
ただここで重要なことは、排便時に出血しなくなったり、内痔核が出てこなくなったからといって治ってしまったわけではありません。ただただ嫌な症状が治まっただけにすぎません。肛門鏡で観察するとまだ内痔核は存在します。
そこで退院後の受診ですが、まずは7~10日後に受診してもらっています。退院してから7~10日間の間の具合を教えてもらいます。例えば退院した後、排便しても出血も内痔核の脱出もなくなったとか、排便時に内痔核は出てくるが随分小さくなったとか状態を教えてもらいます。そしてこの時に出血もなく内痔核が出てこなくなっていて、とても具合良くなっていたとしても、手術で治すのをALTA療法で治す。ジオンを注射した部分では痛みが無くても激しい反応が起きています。
次は1か月後に受診してもらいます。この間に出血や痛み、それ以外にも気になる症状があり大丈夫かなあと不安を感じるときはすぐに受診していただくようにしています。例えば、明礬による炎症が強ければ痛みが出てきてもおかしくありません。またALTA療法を行ったあと、2週間までに38度台の発熱があることがあります。
渡邉医院では役4%の患者さんに発熱があります。発熱の時期としてはALTA療法を行って1日2日目の直ぐの場合と7~10日後にでることがあります。渡邉医院では7~10日目に発熱する方が多いです。ALTA療法を行ってすぐに熱が出ると、「この熱は注射にせいだ。」と思ってもらえますが、7~10日後に熱が出ると「どうしたんだろう?」と思ってしまいます。なんの症状もなく突然熱が出た場合はALTA療法による熱であることを説明して、退院時に渡す解熱消炎鎮痛剤を内服してもらうようにお話しています。
そしてこの1か月間の間、出血もなく、内痔核も出てこなくなり、症状がなければとりあえず治療は終了とします。ただ、この時点でもジオンを注射した部分は周りと異なり、硬さがあったりします。ですから治療を終了した後でも、出血や痛みなど何か気になる症状が出たときは受診していただくようにお話します。
このようにALTA療法を行った際に痛みがなく、患者さんにとっては楽ですが、排便時に出血しなかったり、内痔核が出てこなくなったからといって治ったわけではありません。
そのことをしっかり患者さんにお話して、出血や痛み、そして何か大丈夫かなあと心配な症状があった時はすぐに受診してもらうようにお話してから退院してもらっています。
次回は退院後7~10日後に受診された時に患者さんに説明する内容をお話します。