「アサリと春キャベツの酒蒸し」のレシピを紹介します。
今回は「アサリと春キャベツの酒蒸し」のレシピを紹介します。
もうすぐ4月になりますね。周りは桜の花が満開に近づき、こころウキウキする季節ですね。
自宅の近くの公園の桜ももうすぐ満開です。
花粉症の方にはちょっとつらい季節かもしれませんが。
今回はアサリと春キャベツを使ったレシピです。
パスタと和えても美味しいんじゃないかと思っています。
ぜひ作ってみてくださいね。
「アサリと春キャベツの酒蒸し」
材料(2人分)1人分 130kcal 食物繊維3.0g アサリ 250g
管理栄養士さんからの一言 ○●アサリの栄養●○ |
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「アスパラのスティック春巻き」のレシピを紹介します。
今回は、「アスパラのスティック春巻き」のレシピを紹介します。
春巻きは私の好きな料理の一つです。パリパリした食感もいいです。
きんぴらごぼうの残りを春巻きの皮で包んで揚げる。中にチーズを入れたり、ソーセージを入れたり。また、あんこを春巻きの皮で包んで揚げる。結構いけますよ。
「アスパラのスティック春巻き」
材料(8本分)食物繊1本当たり 119kcal 食物繊維0.6g 春巻きの皮 4枚 |
作り方 春巻きの皮でいろんなものを巻いて揚げる。
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58歳になって思うこと。
先月の2月19日に58歳になりました。京都に帰ってからもう24年。あっという間です。私はまだまだ若いと思っているのですが、娘に「もうすぐ還暦だね。」と。年の経つのは早いものです。
58歳になっての思いをお話しします。
京都は、これから桜の咲く春に向けて知事選挙です。
いろんな意味で、今回の京都府知事選挙は重要な選挙だと思います。
そんな中、ふと思い出した父の文章があります。
今回はそのことについて紹介します。
父の書いた「痔のおはなし」の終わりに父の本質である詩を紹介しています。
ゲーテの「エグモント」の中で、クレーヘンが愛するエグモントを思って切なく歌う詩です。
よろこびと
かなしみと
あふるる思い
たちがたきせつなさに
なやみはさらず
天高くよろこびの声をあげ
死ぬばかり悲しむを
さちあるはただ
恋するこころ (栗原 佑 訳)
父はここで「常に広い世界の人民の苦しみ、なげき、あこがれ、たたかいを忘れずに、我々もまた人民の一人であることを自覚し、人民を恋するこころ。その幸せを身にしみて味わえるようになりたい。そのために、今やらなければならないことを迷うことなく進まなければならない。」と言いたかったのではと思います。
以前母が昔父が書いていた日記をみつけ、見せてくれました。1965年12月から書き綴った日記でした。父が37歳、私が5歳のころの日記でした。
最初の1ページ目には、「教授にすすめられ、気持ちを整理する意味で12月13日で、日記なるものをつけはじめようと思う。」と書かれていました。
内容の多くは当時、父が甲府市立病院に勤めていたときの手術予定のメモや、病院の内容が多く書かれていました。
そんななかに、私に関して書かれた部分がありました。一つは、
「文化の日。賢治、ピアノ。2回半最後を繰り返し大笑い。それでもほめてやろう。ただし、発表する場合には間違うことは聴いている人に失礼にあたることもいずれは云わねばなるまい。
賢にピアノを習わすこと。画家は目、音楽家は耳、香水、酒づくり、料理家は鼻、舌、その他触覚もあるが、それぞれ人より広い世界にすむことが出来る。そんな意味で、本来の仕事を見つけたら、それの助けとなるようなら許す。そうさせるようにしたい。
三高で極めてすぐれた勉強家がいた。これもピアノを弾けたことを思い出した。あんな形になってくれればよいが。」
もう一つは、
「賢は一応勉強はがんばっているようだ。問題は将来、正義漢になってほしい。何が正しい、何が誤りか。その判断をする基準をなににもとめるか。これを正しく身に付けてほしい。正しく生きぬくことの難しさを感じながら、自分自身をきたえ、深めていく人間になってほしい。そのことが身についた学問を生きた学問にすることであるのだから。しっかりやれ。賢!!」
37歳だった父が、5歳の私に残した言葉。
半世紀以上を生き、58歳になった私が、今子供たちに同じような言葉を残せるか。
今まで学んできたこと、経験してきたことが今生きた学問になっているのか?
今、本当にやらなければならないことをしっかり見つめ、それに進んでいるのか?
もう一度、父の日記や父の書いた文章を読み返し、できることを自分なりにしっかりやっていきたい。
皮垂を切除した405例の検討(臨床肛門病学、第7巻1号、2015)
今回は臨床肛門病学、第7巻1号、2015年に投稿した「皮垂を切除した405例の検討」の論文を紹介します。
皮垂はskin tag、スキンタグとも呼ばれています。肛門にできるしわのことですが、その原因には内痔核や裂肛、血栓性外痔核が原因となることが多いです。
最近、皮垂が気になり切除を希望される患者さんが多いです。「皮垂が気になる。」、「違和感がある。」、「排便後、拭きにくい。」などの症状を訴えられる患者さんが多いです。また、内痔核が飛び出たままになっているのではないかと心配されたり、何か悪性のものができたのではないかと心配される方もいます。
皮垂そのものは悪いものではなく、痛みや出血などの症状はありません。必ず切除しなければならないものではありません。でも、いつもいつも気になっているのもあまりよくないと思います。
渡邉医院では、皮垂が気になる方は切除をしています。切除にあたって注意している点は、皮垂の原因となる内痔核や裂肛などの病気の治療ができていること。そして皮垂を切除する際は、なるべく大きく皮垂を切除することなどです。皮垂の切除は外来での手術になり、入院はしてもらっていません。
今回紹介する論文は、男女差、年齢別による差、また原因疾患別の差、また、皮垂の発生部位などを検討しています。
まずは要旨を紹介します。
要旨
当院で経験した皮垂切除例について検討した。皮垂切除は、患者が切除を希望した場合に切除した。【対象】H7年7月~H27年1月までに皮垂を切除した405例(男性46例、平均年齢57.5歳、女性359例、平均年齢45.2歳。)
【結果】①女性に皮垂切除例が多かった。②原因(内痔核、裂肛)では、女性の若年層では裂肛が、年齢とともに内痔核が原因の皮垂が多かった。③男性では、内痔核が原因での皮垂が多かった。④年齢では、男性と比較して女性では50歳以下群に多かった。⑤皮垂の発生部位は内痔核、裂肛の好発部位に多く、右側にはほとんど認めなかった。
【まとめ】皮垂は、それ自体は病的意義が少ないとされているが、皮垂があることで皮膚炎の原因になったり、また違和感など、患者にとっては不快なものとなることもある。患者の希望がある場合は、皮垂の成因を十分に考慮して切除するとともに、切除にあたっては、原疾患が十分に治療されている必要があると考える。
論文を紹介します。
はじめに
肛門の皮垂は日常の外来診療でよく遭遇する。患者の主訴としては出血や痛みなどは認めないが、肛門部の違和感や不快感などがある。また、内痔核の脱出と勘違いし、押し込もうとする患者もいる。皮垂が原因で排便後に過度に拭きすぎ肛門周囲の皮膚炎を起こすこともある。しかし、病的な意義が少ないと判断され、特に治療せずそのままになっていることも多い。ただ患者にとっては皮垂があることが気になり、皮垂の切除を希望する患者も少なくない。今回、当院で経験した皮垂切除例405例に関して検討した。
対象
対象はH7年7月からH27年1月までに皮垂を切除した405例、男性46例(11.4%)平均年齢57.5歳、女性359例(88.6%)平均年齢45.2歳とした。
検討項目
対象症例について、①皮垂の原因、②皮垂の発生部、③性差、④皮垂の原因別の性差、⑤年齢差の5項目について検討した。
皮垂の治療方針
当院での皮垂の治療方針は、患者にとって皮垂が気になり、その切除を希望した場合に切除術を行っている。
皮垂切除は1%塩酸プロカインによる局所麻酔下に左側臥位で切除を行っている。術後は1時間安静後に出血の有無等を確認して帰宅させている。
皮垂の切除の際には、①切除する場合は、比較的大きく切除する。②裂肛が原因での皮垂では前後に皮垂ができることが多く、切除創が真正面や真後ろにできないように左右にずらして切除する。③内痔核が原因での皮垂の場合は、肛門管内まで少し創がかかるように切除する。以上3点について心がけている。
結果
1)性差
性差では男性が46例(11.4%)、女性が359例(88.6%)と女性で皮垂切除例が多かった。また平均年齢では男性57.5歳、女性45.2歳と女性が若い傾向にあった。(図1)
2)皮垂の原因
皮垂の原因としては内痔核、裂肛が多く、肛門手術後の皮垂も認めた。内痔核及び裂肛が原因での皮垂を男女間で比較すると、女性では内痔核が162例(45.1%)、裂肛が177例(49.3%)と女性では、原因の差は認めなかった。
男性では、内痔核が31例(67.4%)、裂肛が13例(28.3%)と男性では内痔核が原因での皮垂が多い傾向にあった。(図2)
3)皮垂の年齢別男女の切除症例数
女性では50歳以下で皮垂切除症例数が男性と比べて多かった。(図3)
4)皮垂の原因別切除症例数
女性では裂肛が原因での皮垂を切除した症例は30歳以下群にピークがあり、内痔核が原因の皮垂切除は40歳以下群から年齢とともに微増した。(図4)
男性では裂肛が原因での皮垂切除例は少なく、内痔核が原因での皮垂切除例は70歳以下群にピークを認めた。(図5)
内痔核が原因での皮垂切除例を男女間で比較すると、女性の場合は40歳以下群に一つのピークがあるが、その後は年齢とともに増加する傾向があった。男性の場合は70歳以下群にピークを認めた。(図4、5)
裂肛が原因での皮垂切除例を男女間で比較すると、女性では30歳以下群にピークがあり、年齢とともに減少した。男性では裂肛が原因での皮垂がそもそも少ないが、年齢には差は認めなかった。(図4、5)
5)皮垂の発生部位
皮垂の発生部位を大きく前後左右に分けると、前方199例、後方138例、左84例、右2例であり、右側にはほとんど皮垂は認めなかった。(図6)
考察
皮垂は日常の外来診療でよく遭遇する。しかしながら、病的な意義があまりないとされそのままにされている場合もある。患者にとっても、皮垂が気になる場合もあれば、全く気にならない患者も多い。患者の訴えとしては、「肛門に何かできていて気になる。」、「違和感がある。」、「異物感がある。」など皮垂そのものの存在が症状となる場合や、排便後きれいに拭けないと何度もこすり刺激を与えることで、皮膚炎を合併したり、このことが原因で肛門のべとつき感を訴えたり、皮垂による二次的な症状を訴える場合もある。
皮垂の定義及び原因は、血栓性外痔核や嵌頓痔核が保存的治療によって治癒した後や、痔核手術後の治癒過程で発生した線維組織の増殖であったり、あるいは繰り返しおこる肛門皮膚の炎症などで肛門縁の皮膚に結合織の増殖をともなう繊維性のシワとしている。1)、2)、3)分類ではGoligherは皮垂を特発性と二次性とにわけ、特発性は明らかな原因のないものであり、二次性は出産、内外痔核・裂肛・などに関連しておこるものとしている。4)1)また、病理学的特徴では、肉眼所見では、外痔核領域にみられる肛門皮膚の線維性肥厚であり、組織所見では肛門皮膚の上皮の肥厚および上皮下の間質にみられる強い線維化を特徴とする。さらに、炎症細胞浸潤はなく、Fibro-epithelial polypの形をとるとしている。1)
さて、今回の皮垂はGoligherの分類での二次性の皮垂であり、特に内痔核と裂肛が原因での皮垂について検討した。
性差では女性が88.6%と圧倒的に多く認められた。このことは、男性と比較して美容的な意味合いが強いのではないかと考えられる。このことは、皮垂切除の年齢別症例数をみても、女性では30歳以下群と40歳以下群に切除症例が多い点から、女性の若年者が美容的にきになる傾向があるのではないかと思われる。
原因別でみてみると、女性では内痔核が原因45.1%、裂肛が原因49.3%と差は認めなかったのに対して、男性では内痔核が原因67.4%、裂肛が原因28.3%と内痔核が原因での皮垂が多い傾向にあった。
女性全体では原因に差は認めなかったが、年齢別で比較してみると内痔核が原因の皮垂では40歳以下群に一つのピークがあるものの、年齢とともに皮垂切除例が増加していくのに対して、裂肛が原因での皮垂では逆に30歳以下群にピークがあり、その後年齢とともに減少していく傾向にあった。
このことは、裂肛が若年者に多い傾向があるのと一致していると考える。
また内痔核が原因での皮垂に関して、40歳以下群に一つのピークがあるのは、出産後に生じた内痔核による皮垂に対して、ある程度子育てが落ち着き皮垂の切除に踏み切るといった社会的な要素もあるのではないかと思われる。このような社会的要素は男性の内痔核が原因での皮垂切除でもあると思われる。男性の皮垂切除症例の年齢が50歳以下群から増え、70歳以下群にピークを認めるのも、仕事からリタイヤして手術の時間がとれるなどの理由もあると考えられる。
皮垂の発生部位の検討だが、前方が199例と最も多く、次いで後方が138例であった。
これは裂肛の好発部位であることが要因であると考える。また左側が84例であり、これに対して右側は2例であることも、やはり内痔核の好発部位に皮垂が発生しやすいことを現しているのではないかと考える。これらのことは、皮垂は原発性のものより、内痔核や外痔核、そして裂肛などによる二次的な変化として発生することが多いと考えられる。
皮垂は、それ自体は病的意義が少ないとされている。しかし、皮垂があることで皮膚炎の原因になったり、また違和感など、患者にとっては不快なものとなることもある。
当院での切除するにいたった症例は、全てが患者からの切除希望によるものである。患者の希望がある場合は積極的に皮垂を切除している。
ただ、切除する場合、裂肛による皮垂の場合は、前後に発生していることが多く、皮垂の切除創を真正面や真後ろにつくった場合、切除後に治癒の遷延を起こすことがある。
また、皮垂の原因である裂肛の治療が十分に行われていない場合、皮垂を切除した後に裂肛が悪化した症例も経験する。
一方、内痔核が原因での皮垂の切除の場合、ある程度肛門管内まで切除しないと、術後の浮腫が起き、再度皮垂を発生させる原因にもなってしまうことがある。
皮垂のみを切除する場合は、前提として、裂肛や内痔核などの原因疾患が十分に治療されていることが重要である。また、切除する範囲や切除後の創のデザインを十分に検討して慎重に切除する必要があると考える。
引用文献
1)高木 由利,荘司 輝昭:スキンタッグの治療“肛門美容形成”について,日本大腸肛門病学会誌61:147-150,2008.
2)武藤 徹一郎:C.痔核, 武藤 徹一郎編 大腸肛門疾患の診療指針 p41-p47,中外医学社,1986.
3)Richard T Shackelford:C43 Hemorrhoids, Robert Turell Diseases of the Colon and Anorectum, 2nd ed. VⅡ,p895-p940, W.B. Saunders Company, Philadelphia, London, Toronto, 1969.
4)Goliger JC, Duthie HL, Nixon HH: External Piles. Surgery of the anus, rectum and colon. 2nd ed. London. Bailliere Tindall & Cassell, 1975, p165-166
「根菜ごろごろカレー」のレシピを紹介します。
今日は、ふとカレーが食べたくなりました。たぶん、お昼の休憩のときにカレーの料理を紹介していたのを見たからかなと思います。
でもカレーってなんとなく無性に食べたくなる時ってありますよね。そんな時、たまたま家の晩御飯がカレーだとうれしくなってしまいます。お昼時でしたら、コンビニのカレーを買って食べたり。
学生の頃、一人暮らしのアパートで、まずは一番最初に作った料理がカレーだったと思います。
玉ねぎをきつね色になるまでしっかり炒めようと思ったら、真っ黒に焦げてしまい、もう一度玉ねぎを切るところから始めた記憶があります。辛口、甘口など、いろんなルーを混ぜ合わせて自分の味を出したような・・・
カレーにはいろんなものをトッピングします。トウモロコシの季節はトウモロコシを。枝豆の季節は枝豆を。枝豆をたっぷり乗っけるのも美味しいですよ。
さて、今回は「根菜ごろごろカレー」のレシピを紹介します。
「根菜ごろごろカレー」
材料(4~5人分) 1人分:597kcal 食物繊維 2.6g 鶏もも肉 1枚(250g) |
作り方 ① 鶏肉、野菜は大きめの一口大に切る。しめじはほぐしておく。 |
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- 管理栄養士さんから一言
- ○栄養メモ「腸に刺激を」○●
私たちの腸は、食事や運動の刺激によって動きが活発になり、便をすっきりと出せるようになります。食事の量が少なかったり、運動不足の方は、腸の動きが鈍くなっているかもしれません。
食事では、野菜やきのこなど、食物繊維の多い食品を摂りましょう。また、コショウやカレー粉などのスパイス類、炭酸飲料、冷たい飲み物も腸に刺激を与え、スムーズな排便を助けます。
ぜひお試しください☆
当院におけるDay Surgery の検討(第53回日本大腸肛門病学会)
今回は「当院におけるDay Surgeryの検討」についての発表内容を紹介します。
Day Surgeryとは日帰り手術のことです。この発表は今から19年前の発表です。この時期は時代はDay Surgery、日帰り手術が始まりかけたころの発表です。
現在、渡邉医院では基本は1泊2日以上の入院での手術を勧めています。患者さんの置かれた社会的な状況など、例えば小さなお子さんがいる、介護しなければならない方がいる。またご本人に障害があって、入院より自宅での生活が便利など、患者さんの状況にあわせて日帰り手術を行っています。
ただ、痔核根治術、痔瘻根治術、裂肛根治術など、術後の出血や痛みなどを考えると、最低でも1泊2日の入院での治療が患者さん自身も楽だと考えています。事実、日帰り手術を行った患者さんへのアンケートの結果では、「1泊でも入院した方が、やっぱり安心だ。」という結果が多かったです。
どうしても現状の社会状況をみると短期入院、もしくは日帰り手術を患者さんは望まれます。でもやはり手術後の出血や痛み、術後の管理などを考えると1泊以上の入院での加療が望ましいと考えています。
抄録を紹介します。
抄録
当院におけるDay Surgery について、特に内痔核と痔瘻について検討したので報告する。
[対象]H8年1月〜H10年2月までに施行した痔核根治術は730例、うち外来手術266例(36.4%)、痔瘻根治術は176例、うち外来手術73例(41.5%)であり、これらについて入院手術例と比較検討した。またこの期間中に408名に術中術後の疼痛の程度、排便時痛の消失期間についてアンケートをとりこれを集計した。当院での外来手術後の管理は、術後3時間当院で観察後帰宅、以後術後3日間は連日通院、次は約7日目と10日目に受診、以後週1回の割合で通院加療している。
[結果]
外来で痔核根治術を施行した266例中1個所施行したものは160例(60.2%)、2個所は97例(36.5%)、3個所は9例(3.3%)であり、入院ではそれぞれ104例(22.4%)、170例(36.6%)、190例(41%)であった。
外来で痔瘻根治術を施行した73例中6時の痔瘻は43例(59%)であるのに対して入院では39例(37.9%)であった。術後の出血については外来での痔核根治術では、早期出血5例(1.9%)、晩期出血1例(0.4%)。入院ではそれぞれ3例(0.6%)、5例(1.1%)であった。早期出血はドレナージ創からの出血で、全例術後3時間以内であった。晩期出血は術後7〜10日目であった。痔瘻根治術では、出血については早期出血のみで、外来、入院それぞれ3例(4.1%)、4例(3.9%)であった。再発は外来手術で1例認めただけだった。
当院から患者自宅までの距離について検討すると、内痔核では2個所以内では車で約30分以内が全体の83.1%を占め、3個所の場合は全例が約10分以内であった。痔瘻に関しても約30分以内が全体の90.4%を占めた。ただ内痔核1個所と痔瘻に関しては、1時間以上の場所でも外来手術を施行した症例があるが、いずれも交通の便がいい場所に集中していた。
最後にアンケートの集計結果は、術前自分の考えていた痛みを100%として実際の痛みを相対的に%で答えてもらったところ、麻酔、術中、術後の痛みの平均はそれぞれ48.9%、31.5%、44.3%であった。また排便時痛の消失期間の平均は4.9日で、術後10日目までで全体の98.9%が痛みが軽快していた。
[まとめ]1)早期出血は全例3時間以内であり、術後3時間は病院での観察が必要である。2)患者自宅までの距離は30分以内がよいが、2個所までなら1時間以上でも可能と考える。3)麻酔・術中・術後の痛みや、術後排便時痛の消失期間などを適切に患者に伝え、手術についての過度の不安をとる必要がある。術後の創部の処置が、患者本人だけで簡単にできるよう工夫が必要である。以上のことをもとに、さらにDay Surgery の範囲を広げていけると考える。
温水洗浄便座使用時における肛門粘膜下の血流量の変化について(第53回日本大腸肛門病学会)
今回は、「温水洗浄便座使用時における肛門粘膜下の血流量の変化について」の発表内容を紹介します。
以前、「温水洗浄便座の功罪」についてお話しました。温水洗浄便座を使い際は気を付けて使わないと、肛門や直腸に傷をつけたり、洗浄することで直腸内にお水が入って、それがあとから出てきて、肛門が汚れたり、ただれて肛囲皮膚炎になることをお話ししました。
今回の発表内容は、温水で洗浄することで肛門の血流が良くなるという実験内容の紹介です。ただ、温水での洗浄を5分程度すると血流が良くなるというデータです。タンク式の洗浄便座では、ためてある水を温めて洗浄に使います。1分間に1~2ℓの割合で洗浄します。そうすると、1~2分程度で温められた温水が使い切ってしまいます。また、なかなか5分も洗浄しません。こんなことからも、温水洗浄便座はさっと洗って軽くふくという使用方法がいいと思います。
発表内容 抄録
痔核の保存的療法は、局所の血液循環を促進し、循環障害を改善することが重要であるといわれている。今回温水洗浄便座を用いて、温水で肛門を洗浄することによって、肛門粘膜の血流の変化を測定し検討したので報告する。
(対象)痔疾患に罹患せず、常用薬の習慣のない健常成人男性7名を被験者とした。なお下剤の服用及び浣腸等の前処置は行っていない。
(方法)血流はレーザー・ドップラー法を用いて測定した。レーザー光の透過性及び血管の分布は測定部位及び被験者間で異なるため、血流量は相対量で表し、その変化量を比較した。血流量の測定は、プローブを肛門内に挿入装着し洗浄位置を合わせた後、洗浄前の1分間の血流量を測定、その後の10分間は洗浄中の血流量を測定した。最後に洗浄後の1分間における血流量を測定した。これを常温水と温水とで測定して比較した。
(結果)
1)常温水(24.5〜25.0℃)での血流量の変化。常温水では洗浄前後の血流値及び洗浄中の経時的な血流量の変化はほぼ一定、もしくは減少する傾向がみられた。
2)温水での洗浄による血流量の変化。温水(39.5〜40.0℃)を用いて肛門部の洗浄を行ったところ、7例中6例で洗浄前後及び洗浄中の経時的な血流量の増加を認めた。血流量の増加がみられた6例についてみると、洗浄前後の血流量の変化は洗浄前、洗浄後ともに平均血流量の絶対値は大きくばらついているが、相対的な血流量の変化率は平均281.7%であった。また洗浄中の血流量の変化についても、最大血流量の出現時期にはばらつきがみられるが、平均194.9%の変化率であった。またいずれの症例も洗浄開始から3〜4分にかけて血流量の増加を認め、5分後以降ほぼ一定となる傾向にあった。 (まとめ)
1)常温水での洗浄では血流量は変化なかった。
2)温水での洗浄では7例中6例で血流量の増加を認めた。
3)洗浄前後の血流量の変化率は平均281.7%であった。
4)洗浄中の血流量の変化率は平均194.9%であった。
5)血流量の増加を目的とする場合、温水での洗浄を5分以上おこなう必要がある。
以上より、内痔核や裂肛の原因とされている局所循環障害の改善を目的とする保存的療法として、また術後の創傷治癒を促進させる方法として温水洗浄便座による肛門部の洗浄は有用であると考えられる。
「鮭ときのこの塩麹炒め」のレシピを紹介します。
今日は「鮭ときのこの塩麹炒め」のレシピを紹介します。
便秘の解消には食物繊維をとることが必要と言われています。でも食物繊維だけとっていても便はかたくなってしまします。便秘を解消して快便になるには、程よい水分と食物繊維の両方が必要になります。
さて、食物繊維ですが、「私は生野菜のサラダを十分摂っているから大丈夫。」と思っている方がいます。でも生野菜は、量があっても食物繊維の量としてはあまり多くありません。
生野菜より、海藻類やきのこ類の方が便の量を増やしてくれます。便秘の解消には、「生野菜のサラダ」より、「きのこと海藻のサラダ」の方がいいと思います。さらに、便秘の治療に酸化マグネシウムがありますが、この酸化マグネシウムに似たものが、おとふを作るときに使う「にがり」があります。にがりは、塩化マグネシウムです。酸化と塩化が違うだけで、にがりはおとふを固めますが、便は柔らかくします。ですから、便秘の解消には、お塗布と海藻、きのこのサラダがいいと思います。
今回は、そのきのこを使ったレシピを紹介します。
鮭ときのこの塩麹炒め
材料(2人分) 1人分:132kcal 塩分1.1g
生鮭 2切れ
塩麹 大さじ1
サラダ油 適宜
しめじ 1パック
エリンギ 1パック
酒 大さじ1
塩麹 小さじ1
小ねぎ(小口切り) 適宜
作り方
- ①鮭は水気をふき取り、塩麹大さじ1をぬり、冷蔵庫で一晩おく。
- ②きのこは石づきを取り、食べやすい大きさに切りほぐしておく。
- ③フライパンに油をしき、弱めの中火で鮭を焼く(塩麹をぬったまま)。
- ④両面に焼き目がついたら②と酒を入れ、フタをして蒸し焼きにする。
- ⑤塩麹小さじ1を加えて軽く炒めたら器に盛り、ねぎを散らす。
☆失敗しないワンポイント☆
塩麹は焦げやすいので、火加減にご注意ください。フライパンにクッキングシートをしき、その上で調理すると焦げつきが防げます。
- ○栄養メモ○●
肉や魚を塩麹に漬けておくと、旨みが増し、柔らかくジューシーになります。
塩麹は野菜やきのことも相性が良く、「魔法の調味料」とも言われるほど。
塩麹には腸の健康を保つ乳酸菌が多く、便秘、下痢どちらにもオススメです。
3月8日、父の命日を迎えて。
8年前、ちょうど京都府知事選挙のあった年に私の父は亡くなりました。今年も京都府知事選挙の年。毎年この季節になると父のことを思い出します。
父は桜の咲くのを楽しみにしながら逝きました。私にとって桜の咲く時期、こころウキウキするのと同時に、父のことを毎年思い出します。
父が逝き、私がいろんなことを判断するとき、「父はどうしただろう。」と、いつも判断の基準に父がどうしたかがあります。もうそろそろ、自分の判断でものごとを決めた方がいいよと言われることがありますが、まだまだ、そうはいかない自分が今あります。
父が逝ったとき、もっと父がしたかったことがあっただろうと思いましたが、そうではないんだと思いなおしました。父の思いは、すでに私の中に託されている。私自身がやりたいことをやる。そのこと自身が、父がやりたかったことだと。これからも父がどうしようとするか、そして私自身がどうしたいか。そのことを大切にしていきたいと思います。
父が亡くなった時に書いた文章をもう一度読み返してみました。今日はその文章を紹介します。
3月8日に突然、父が他界しました。その日夕方の診療が終って、母と2人で食事をした後、駐車場から自宅までのほんの数10mの道で突然倒れて、そのまま救命センターに運ばれましたが意識が戻ることなく逝きました。
3年前に前立腺の手術を受けた際に、腹部の動脈瘤を指摘されていましたが、父親本人も動脈瘤の手術はしないと決めていました。この動脈瘤が破裂したことが死因でした。あっという間ことだったと思います。
今から16年前に父親が脳梗塞で倒れました。その頃私は東京の日本大学の救命救急センターに勤務していました。まだ携帯電話がなく、ポケベルの時代でした。ある朝いつものように救命救急センターに向かう電車のなかでポケベルがなりました。みると京都の自宅からでした。父親が脳梗塞で倒れたとの連絡でした。私は救急救命センターにその旨を伝え、直ぐに新幹線で京都に帰ってきました。そのまま現在に至っています。
脳梗塞で倒れた父と始めて病院であったとき、何時も救命救急センターで診療にあたっていることが、自分の親に起き、ショックを受けたというよりは、「尿量はどうか?血圧は?脈拍は?意識のレベルは?」などと、良いのか悪いのか、医者の立場で対面している自分がいました。
今回の父の死も、母が「動脈瘤はどうなるの?」と聞かれたとき、「動脈瘤が破裂するとあっという間に死んでしまうよ。」と話をしていました。それが現実のことになりました。
動脈瘤の治療に関しては、その時の父親の体の状態や手術を受けた後の状態を想像すると、手術をして治すよりは今を楽しく生活しているほうが良いのではと思い、父も母も同じ意見でした。手術はしなくてよかったと思います。
脳梗塞で倒れた父も最初の3年ほどは入退院を繰り返しましたが、その後は安定して、元気だった頃にやりたかったことが出来るようになりました。一人で診療を行っていたので、旅行にも行けなかったのがいけるようになり、原水爆禁止世界大会に毎年、広島や長崎に行けるようになりました。死ぬ数日前に焼津のビキニデーにも行くことができました。
自分のやりたかったことが、十分ではなくても出来てうれしかったと思います。
父親が元気だったころは、あまりじっくり話をした記憶はありません。そんななか直ぐに思い出すことが三つあります。
一つ目は、私が高校生のころ膝を怪我して1年あまり杖をついて生活をしたときです。それまでスポーツが好きで毎日クラブ活動と、体育をしに学校に行くような生活を送っていました。そんななか、急に怪我をして好きなスポーツもできずやけになっていたときがありました。ある日、「こんな足ならいらない!」とストーブをけ飛ばした事がありました。そんなとき父が「おまえの痛みや悔しさは俺にはわからない。でもおまえはどうなんだ。おまえのことで悲しんでいる母親の気持ちはわかるのか?!」と。そんな言葉になにも言えませんでした。その頃私は自分のことで精一杯だったんだと思います。
二つ目は、私が医者になってからです。「手術は手先の器用さでするのではない、頭で手術するんだ。」と。肛門の解剖や機能を十分に理解して、そして肛門の病気の原因を十分に理解してその原因を取り除き、そして肛門の機能を失わすことなく頭を使って手術や治療を行えと言うことだったと理解しています。よく、「肛門科は患者さんに嘘をつくことができない。排便の時、何時も使うところだから治ったかどうかは患者さんが一番わかる。患者の訴えをしっかりきけ。」とも言っていました。
三つ目は、父親が脳梗塞で倒れた後、私が診療を引き継いだのですが、1週間もしないうちに患者さんがパッタリこられなくなりました。私はこのまま患者さんがだれも来なくなるのではと焦りました。そんなとき父は、「何を焦っているんだ。診察に来られた患者さん一人一人をしっかり診て、しっかりと治していってあげればそれでいいんだ。」と。
これらのことは医者や医療の本質だと思います。実行していくことは難しいことです。でもこの言葉はいつも私のなかにあります。
私の父は自分のやりたいことを、なんの思惑や計算もなく、自分の好きなようにやってきました。こんな姿が周りの人達に好かれ、人気があったんだと思います。
そんななか、突然の死。もっとやりたかったことや、やり残したことがあったのではと思いました。でも直ぐその考えは変わりました。父親の考えや思い、やりたかったことは、今私の中にあるんだと考えるようになりました。私はこの思いを大切にして、育み、次の世代に引き継いで行こうと思います。
京都府知事選挙の立候補者の応援演説をたのまれました。人前で話すのは苦手な方ですが、父親が元気だったらきっと応援したんだろうと思い、受ける事にし、何回か応援演説をしました。
そんななか、宇治の小学校での応援演説の後、駅までスタッフの方が送って下さいました。少し日が暮れかかっていたこと、桜の花がとても綺麗だったこと、そして、その日の朝、母が「応援演説、おとうさんが生きていても喜んでいるんじゃない。」と言われたこと等が重なって、父の腕時計を見ながら、これで良かったのだろうと思ったとき、涙が出てきました。
今年の春。桜の花の美しさは忘れられないものとなりました。
痔核根治術後の疼痛についてー特に術前肛門内圧による疼痛の比較検討ー(第54回日本大腸肛門病学会)
今回は、「痔核根治術後の疼痛についてー特に術前肛門内圧による疼痛の比較検討ー」の発表を紹介します。
新しい発表から順次過去の発表へと、遡って紹介しているので、学会の若い番号から順次みていただくと、私の痔核根治術後の疼痛についての考えが順序だってわかっていただけるかなと思います。また、この件に関しての論文もまた紹介していきたいと思います。
さて、内痔核に対して痔核根治術を行った後、同じように手術をしても手術後の痛みに差があります。この差はどこにあるのか?どうしたら、術前に術後の疼痛に関して予測できるか?について考えた発表です。
術前に、術後の疼痛の程度を予測できれば、その疼痛の原因となるものを取り除くことで、術後の疼痛を緩和することができます。
これまで経験的に、肛門のしまり、括約筋の緊張が強い人ほど術後の疼痛が強い印象がありました。この経験上感じたことが正しいのかを検討しました。
内肛門括約筋の緊張の度合いを反映するのが、最大肛門静止圧です。この最大肛門静止圧を測定して術後の疼痛との関係を比較検討してみました。
今回は抄録だけの紹介となります。
抄録
痔核根治術後の疼痛は、手術術式の進歩や術後の処置などで緩和されてきているものの避けては通れない問題である。同様の手術を施行しても患者個々で、疼痛の程度はまちまちである。術前からある程度、術後の疼痛(特に術当日)の程度を予測できないか、術前の最大肛門静止圧と術後疼痛との関係で比較検討した。
[対象]術前に最大肛門静止圧を測定するようになったH10年9月〜H11年3月までに痔核根治術を施行した146例(男性76例、女性70例、平均年令48.3才)を対象とした。
[方法]術前に最大肛門静止圧を測定。術後3時間後に疼痛の有無を「痛くない」、「少し痛い」、「痛む」、「とても痛い」の4段階に分類し、痛みの程度と最大肛門静止圧との関係を比較検討した。尚、手術は全例局所麻酔下に施行した。術式は半閉鎖術式を用いている。
[結果]術後3時間後の痛みの程度はそれぞれ、「痛くない」58.2%、「少し痛い」27.4%、「痛む」13.7%、「とても痛い」0.7%であった。痛みの程度と術前最大肛門静止圧の関係は、「痛くない」と答えた患者の術前最大肛門静止圧の平均は93.4mmHgで、「少し痛い」102.3mmHg、「痛む」131.6mmHg、「とても痛い」160mmHgであった。統計学的見当をすると、「痛くない」と「少し痛い」及び「少し痛い」と「痛む」との間には有意差を認めなかったが、「痛くない」と「痛む」との間にはp=0.016で有意差を認めた。また最大肛門静止圧が100mmHg以下と100.1mmHg以上とで痛みの程度をみてみると、100mmHg以下では、「痛くない」57例、「少し痛い」22例、「痛む」6例、「とても痛い」0例に対して、100.1mmHg以上では、「痛くない」28例、「少し痛い」18例、「痛む」14例、「とても痛い」1例で、それぞれの群の間にp=0.012で有意差を認めた。
[まとめ]1)術前の最大肛門静止圧は、「痛くない」と「痛む」の間でp=0.016で有意差を認めた。2)術前の最大肛門静止圧が100mmHg以下の群と、100.1mmHg以上の群との間には術後3時間後の痛みに関してp=0.012で有意差を認めた。以上より、術前の最大肛門静止圧が高くなるにつれて術後の痛みが強くなる傾向があり、100mmHg以上になると術後3時間後の痛みが出現する可能性が出てくる。したがってこのような症例に対しては、消炎鎮痛剤などによる「先取り鎮痛」を考慮したり、術前のストレッチングを十分におこない、術後の過度の括約筋の攣縮を予防したり、また最近裂肛の治療に用いられているニトログリセリンなどを術前に塗布することで術前の最大肛門静止圧を下げるなどの工夫で、術後の痛みをさらに改善できると考える。