「ビーツとじゃがいものサラダ」と「ギリシャヨーグルトの冷奴風」のレシピを紹介します。
今回は、新顔食材2種のレシピを紹介します。
新顔食材の一つ目は「ビーツ」です。「ビーツ」を調べてみると、「ビート」とか「ウズマキダイコン」とも呼ばれているようです。ボルシチなどにも作られているようです。栄養素として、ビタミンB群の葉酸を多く含むようです。後で「管理栄養士さんの一言」で紹介しますが、「飲む血液」ともいわれているようです。
もう一つは「ギリシャヨーグルト」です。ギリシャヨーグルトは私は今回初めてしりました。調べてみると、水切り製法で作られるチーズのように乳清や水分を取り除いた、多少堅めのヨーグルトだそうです。「水切りヨーグルト」とか、「ヨーグルトチーズ」とも呼ばれているようです。脂肪が少ない、低カロリーなヨーグルトです。
一般的なヨーグルトはミルクを温めて発酵させますが、ギリシャヨーグルトは、この後に「水切り」という工程を踏むそうです。この「水切り」で、余分な水分や乳清をのぞき、このことで濃厚なクリーミーな食感になるとのことです。
「ビーツとじゃがいものサラダ」
材料(作りやすい分量)全量 約500kcal 食物繊維 約4.6g
・じゃがいも(ゆで) 100g
・ビーツ(ゆで) 100g
・ツナ 80g
・玉ねぎ(スライス) 10g
・マヨネーズ 大さじ2
作り方
すべてを混ぜ、塩コショウで味を整える。
「ギリシャヨーグルトの冷奴風」
材料(1人分)30kcal たんぱく質5g
・ギリシャヨーグルト 50g
・かつお節、ネギ 適宜
・醤油 適量
作り方
① ギリシャヨーグルトを器に盛り、かつお節やネギをのせ醤油をかける。
*デザートとしてはちみつをかけてもおいしいです。
脂肪分がほぼ0でたんぱく質をしっかりとれる食材で、クリームチーズのようです。
「管理栄養士さんから一言」
★ビーツ★
「奇跡の野菜」「飲む血液」とも言われほうれん草と同種でサトウダイコンの仲間です。便秘・肥満・高血圧・貧血・老化・肝硬変などの予防に効果があるといわれています。缶詰などの加工品も売られています。
「揚げない!里芋のコロッケ」と「いろいろきのこのなめたけ風」のレシピを紹介します。
9月のレシピのキャッチフレーズは「季節の変わり目にいたわる体」です。
今回は、秋の副菜2種のレシピを紹介します。一つは「揚げない!里芋のコロッケ」と「いろいろきのこのなめたけ風」のレシピを紹介します。便秘には食物繊維を摂ることが大切です。本には1日に25gの食物繊維が必要と書いてあります。でも、生野菜は量があってもあまり食物繊維としては量はとれません。「生野菜のサラダを食べているから、食物繊維は十分摂れている。」とは言えません。繊維を摂るのであれば、海藻類やキノコ類が生野菜より繊維を摂ることができます。ですから「海藻とキノコのサラダ」の方が繊維としては多く摂れます。今回は「いろいろきのこのなめたけ風」で繊維しっかり摂ってみてください。
またもう一つはコロッケです。私はコロッケも好きで、たまにいくお店では、クリームコロッケやポテトサラダのコロッケを頼むことが多いです。里芋も便秘にはいいようです。
今回のコロッケは「揚げない!」でフライパンでパン粉を炒めてつくるコロッケです。是非試してみてくださいね。
「揚げない!里芋のコロッケ」
材料(8個分)40kcal 食物繊維0.8g/個
・ 里芋(皮なし) 250g
・梅干し 1個
・だし醤油 小さじ1
・パン粉 大さじ4、 油 大さじ1
作り方
①パン粉に油をかけフライパンできつね色に炒めて冷ます。
②ビニール袋に梅干しを入れ、種を取り細かくつぶし、
やわらかくした里芋も入れてよくつぶし、8個に分けて①をつける
「いろいろきのこのなめたけ風]
材料(作りやすい分量)全量 約100kcal 食物繊維 約12g
・きのこ(しいたけ・舞茸・エノキ・しめじ等) 400~500g
・ しょうゆ 大さじ2
・ 酒・みりん 各大さじ2
作り方
きのこを食べやすい大きさに切って、ふたをして弱火で煮る。
管理栄養士さんからの一言
★里芋★ 便秘・肥満・高血圧などの予防や粘膜の保護にも効果があるといわれています。
入院診療の費用に関して。
今回は渡邉医院での入院の際に必要な費用に関してお話します。
渡邉医院は内痔核、痔瘻、裂肛などの肛門の良性疾患の患者さんで、入院での手術が必要な患者さんに入院していただいています。内痔核や痔瘻、裂肛に対しての手術点数は前回お話したように、全国一律で決まっていますので、どの保健医療機関でも同じです。入院基本料は、病院や診療所の規模や医師、看護職員等の配置などによって異なってきます。渡邉医院は有床診療所、入院基本料は2週間までは1日722点です。1点が10円なので、722点×10円=7220円です。患者さんの負担割合で、3割負担の方は×30%、2割負担の方は×20%、1割負担の方は×10%となります。
手術費用は、内痔核に対しての痔核根治術は5190点、5190点×10円=51900円。痔瘻根治術は単純なものは3750点、3750点×10円=3750円、複雑なものは7470点、7470点×10円=74700円。裂肛根治術は3110点、3110点×10円=31100円となります。それぞれの負担割合で、3割負担の方は×30%、2割負担の方は×20%、1割負担の方は×10%となります。
この入院基本料と手術料が主な費用になってきます。あとは、術後の抗生剤の内服薬や術後の処置などに点数が付きますが、術後の処置は52点。内服薬はそれほど高くないので、ほとんどが、この手術料と入院基本料となります。内痔核に対しての痔核根治術、痔瘻に対しての痔瘻根治術、裂肛に対しての裂肛根治術に関して、1泊2日、3泊4日の大まかな概算をパワーポイントで紹介します。
入院手術で、各保険医療機関で入院費用が異なるのは、手術の際の麻酔の方法や、その時の管理料。また医療機関の規模や人員配置の違いで、入院基本料が異なることが大きい理由だと思います。
外来診療の費用に関して。
今回は、外来を受診して必要な費用に関してお話します。
それには、まずは保険診療はどうなっているのかをお話します。健康保険で診療を行っている保険医療機関での診察に関わる費用は、2年に一度の診療報酬改定で決まっていきます。ここで、診療に関わる費用を決めていきます。
初診料、再診料、処置料、手術料、入院基本料などすべてです。国民皆保険制度があるので、保険証を持って保健医療機関を受診すると、いつでも、どこでも、誰もが、全国同じ料金で診察を受けることが出来ます。
診療報酬で決められた点数は、日本全国一律1点が10円です。医療機関によって料金が異なることはありません。ただ、指導料や管理料など、患者さんが実感できない技術料にも点数がついていますので、少しわかりずらいところもあります。
今回は、渡邉医院での外来診察を受けられる際に必要な費用に関して、例を挙げて紹介しようと思います。
初診料は診療所では282点です。したがって、282点×10円=2820円
再診料は75点で、75点×10円=750円、外来管理加算は52点、52点×10円=520円となります。そして窓口負担は、3割負担の方はそれぞれの料金の30%、2割負担は20%、1割負担では10%分を支払うことになります。
例えば外来初診で肛門鏡検査のみを行った場合は、初診料282点、肛門鏡検査200点なので、282点+200点=482点となります。1点が10円ですので、482点×10円=4820円。3割負担の方は4820円×30%=1450円となり、窓口負担は1450円となります。
いろんなパターンをパワーポイントでお示しします。
このように、初診料、再診料、また、検査や処置、そして手術など、すべてに点数がつけられていて、その点数×10円×負担の%で窓口負担の料金が決まってきます。
次回は、渡邉医院での入院での治療費についてお話します。
73回目の終戦記念日を迎えて
戦争が終わって73年、終戦記念日を迎えました。
まだ73年、もう73年、感じ方はいろいろあると思います。でもこの73年間、日本は戦争をしなかったことは事実です。このことは私たちにとってとても大切なことだと感じます。
さて、私の父は、ヒロシマに原爆が投下されたとき、広島の江田島にある海軍兵学校にいました。そのすさまじい衝撃と原爆雲を体験しました。その後、広島の悲惨な状況を目の当たりにして京都に帰ってきました。
京都に帰ってきて、旧制三高への編入試験の口頭試問の時、「今度の戦争は正しかったと思いますか?」という質問をされたそうです。父は、「貴方達教育者から正しいと教えられ、それを信じて今まで生きてきました。」と答えたそうです。父が17歳の時です。この質問の答えを探すことがその時の父の生きるテーマであり、この時に「戦争は間違っていた。」ときっぱり言えなかったことを悔やんでいたそうです。
戦争は、国の利益を守るという自衛の名のもとに、私達の知らないうちに私達の利益に関係なく進められてしまいます。私たちが平和だと感じている時代においても、私たちが戦争に対して少しでもすきをみせると、その隙間に入り込み、いつの間にか、その実態を隠しながら私達に迫り、私達を戦争へと巻き込んでいきます。そして、いつのまにか戦争を正しいものへと変えていってしまいます。戦争の恐ろしさは、そこにあります。時の為政者が、「戦争は絶対にしない」と言っても、一端戦争への扉を少しでも開くと、戦争は自分の思惑をこえて、始まり、広がっていきます。
戦後73年、私達がしなければならないのは、日本を戦争ができる国にするのではなく、なぜこのような戦争が起きてしまったのか、なぜ防ぐことができなかったのかをしっかりと検証することです。
私は戦争を経験することなく58年間生きてきました。これは祖父母や両親が戦争を経験して、今後日本では決して戦争を起こさせてはいけないという誓いのもと、平和憲法、9条を守り育ててきたからです。
戦争は、戦場で相手から銃口を向けられたとき、そして相手に銃口を向けた時、初めて戦争への真の恐怖、戦争の愚かさを感じるのだろうと思います。そして相手に向けた銃の引き金を引いたとき、その時、殺された人、殺した人、いずれもがその人たちがこれまで築き上げてきたものを全て失ってしまう。でもそれでは遅すぎます。
想像してみてください
愛する人、愛する子供、孫が戦争に行く姿を。そして戦場で人を殺し、そして殺される姿を。
想像してみてください
愛する人、愛する子供、孫が戦争で死に、棺に入って家に帰ってくる姿を。
その時の悲しみ、絶望感を。
想像してみて下さい
仮に戦争で命を落とさなくても、愛する人、愛する子供、孫が負った心の傷を。
そして、この心の傷は決して癒すことはできません。
私達医師は、病気に対して早期に発見して、早期に治療をすることを目指しています。また、そういった病気が起きないように、社会の環境の改善を行ってきています。平和に関しても同じだと思います。戦争へ導く可能性のあるものは早期に発見し、早期に治療しなければなりません。また、戦争が起きない環境もつくっていかなければなりません。これが私たちの医療に従事するものの使命です。
私たち医療に係るものは、誰もが健康で文化的な生活を営む権利を保障する憲法25条を実現させ、患者さんの健康を守ることを使命としています。健康とは肉体的、精神的に病んでいないといった状態だけでなく、社会的にも経済的にも満たされている状態のことをいいます。このことを考えると、健康を守ること、そして憲法25条を実現させることと、戦争は真逆のものです。戦争はその正体をみせることなく、私達にそっと忍び寄り、そしていつの間にか戦争へと巻き込んでいく。患者さんの健康を守るためには、戦争へと進む可能性のあることは、どんな些細なことでも、反対していかなければなりません。また、憲法25条を実現させるには、個人個人が尊重され、幸福を追求する権利が保障されなければならなりません。
このように、憲法25条を単独で守り実現させることはできません。日本が戦争をしない平和な国であること。このことを保障する憲法9条、そして、誰もが個人として尊重され、幸福を求める権利を保障する憲法13条。この憲法9条と13条があってこその憲法25条です。これらは深く結びついています。9+13=25です。この9+13=25という理念の下で患者さんの健康や命を守る取り組みを繰り広げていきたいと思います。
想像してみてください。
武力ではなく、平和憲法9条によって世界が平和になる姿を。そして心からの笑顔で幸せに暮らせる社会を。
私たちは今日の終戦記念日を、二度と戦争を起こすことなく、戦争へと導くすべてのものを排除し、世界を平和な社会にする、その誓いの日にしたい。
「8月の献立」を紹介します。
8月に紹介したレシピを組み合わせた8月の献立を紹介します。「万願寺のおかか味噌焼き」のレシピも紹介します。
毎日熱戦を繰り広げている高校野球。それぞれにドラマがあります。一人一人の思いが込められていると思います。その一つ一つに感動します。今日の高校野球。平安高校が勝ちましたね。100回記念大会で100勝目すごいですね。暑い中、さらに熱戦が繰り広げられていくことでしょう。
献立 1人分650kcal 食物繊維 11.5g
・簡単チャプチェ
・たこのカルパッチョ
・セロリとグレープフルーツのサラダ
「万願寺のおかか味噌焼き」
材料(2人分)1人分 80kcal 食物繊維 1.5g
・万願寺 6本
・味噌 大さじ1
・砂糖 大さじ1
・かつお節 1パック
・サラダ油 小さじ1
作り方
① 縦に切り込みを入れ種を取る。
② 味噌と砂糖とかつお節を混ぜて、1のなかに入れる。
③サラダ油をひいてフライパンで焼く。
「管理栄養士さんからひと言」
万願寺唐辛子の栄養
ビタミンAとC、鉄が豊富に含まれています。油を使うことでビタミンAの吸収がよくなります。
食欲増進効果も期待できます。
夏=お祭り、ビアガーデン!おうちバルで夏のおいしいものたっぷりいただきましょう。
「セロリのレシピ」二種を紹介します。
今回はセロリを使ったレシピを二種類紹介します。
セロリが苦手の方もいらっしゃるかもしれません。私は以外とセロリは好きで、小学校の時給食で出たセロリをバリバリ食べていたのを思い出しました。その頃は、お塩をかけて食べたり、マヨネーズを付けてバリバリでした。
今回はちょっとお洒落な「セロリとグレープフルーツのサラダ」と「セロリの葉の炒め煮」です。
管理栄養士さんによると、セロリの香り成分には気持ちを落ち着かせたりする効果があるようです。イライラしたときなどにいいのかなと思います。
「セロリとグレープフルーツのサラダ」
材料(2人分)1人分 30kcal 食物繊維 0.8g
・セロリ 2本
・グレープフルーツ 1/2個
・オリーブオイル、塩コショウ
作り方
①セロリは筋を取って斜めに切る。グレープフルーツは皮をむく。
②塩コショウ、オリーブオイルで和える。
「セロリの葉の炒め煮」
材料
・セロリの葉 2本分
・しょうゆ 4本
・砂糖
・鷹の爪、ごま油
作り方
① 細かく刻みごま油、鷹の爪で炒め、砂糖としょうゆを入れる。
「管理栄養士さんからの一言」
★セロリ★
セロリの香り成分には気持ちを落ち着かせたり、血流をよくする働きがあるといわれています。また、茎より葉にたくさんの栄養があるので、ぜひお召し上がりください。
「簡単チャプチェ」のレシピを紹介します。
今回は、「簡単チャプチェ」のレシピを紹介します。
チャプチェをおかずに白ご飯をもりもり食べる。暑い時期のスタミナ解消にいいかもしれません。味がしみ込んだ春雨。美味しいですよね。冷えたビールをチャプチェをおかずにキューっと飲むのもいいですよね。
「簡単チャプチェ」
材料(4人分)1人分 350kcal 食物繊維 7g
・春雨 40g
・牛肉 200g
・たけのこ 1/2本
・エノキ 1袋
・玉ねぎ 1/2個
・人参 1/2個
・赤ピーマン 1/4個
・にら 1束
・焼き肉のたれ 大さじ3程度
・ごま油 大さじ1
作り方
①牛肉に塩コショウをして焼いて、取り出しておく。
②千切りにした野菜を炒めて焼き肉のたれで味付けする。
③春雨と春雨がひたひたになる程度の水を入れ煮る。
④水分がなくなればごま油を入れる。
★たくさんできますが、次の日もおいしく食べられます。少ない調味料で手軽にたくさんの野菜がとれます。ビールもご飯も進むおかずです。
「管理栄養士さんからひと言」
牛肉の栄養
牛肉にはたんぱく質が多く含まれます。たんぱく質は体を作る働きがあり、毎日体の中で作り直されているので食事でとる必要があります。また免疫力を高めて、病気になりにくくします。また赤身には体に吸収しやすい鉄分も多く含まれています。
冷製レシピ「たこのカルパッチョ」と「ゴーヤとかにかまのサラダ」を紹介します。
8月、お盆になりました。まだまだ暑い日が続きますね。皆さんお盆はお休みですか?お仕事をされている方もいらっしゃると思います。
今回はこの暑いときにもってこいかもしれません。冷製レシピの二品のレシピを紹介します。一つは「たこのカルパッチョ」もう一つは「ゴーヤとかにたまのサラダ」です。
私はタコが好きです。タコとアボカドをワサビマヨネーズで和えたり、タコのお刺身も好きです。タコのアヒージョも美味しいですよね。そしてタコ焼き。タコはいろんな料理がありますね。ゴーヤも少し苦みがありますが、ゴーヤチャンプルーは美味しいですよね。今回のレシピも是非試してくださいね。
「たこのカルパッチョ」
材料(2人分)1人分 120kcal 食物繊維 0.5g
・たこ 100g
・レタス 1枚
・パプリカのピクルス 大さじ2
・オリーブオイル、塩コショウ、マヨネーズ
作り方
①たこを削ぎ切りにし、レタスを添えて盛り付ける。
「ゴーヤとかにたまのサラダ」
材料(2人分)1人分 70kcal 食物繊維 1.5g
・ ゴーヤ 1/3本
・かにかま 4本
・胡麻ドレッシング 大さじ2
作り方
①ゴーヤはわたと種を取り、薄切りにしてさっとゆで。水に取りしぼる。
②かにかまと胡麻ドレッシングで和える。
「管理栄養士さんからの一言」
★ゴーヤ★
苦みが特徴の野菜です。苦みを和らげるには、わたの部分をしっかりとる、茹でる、塩もみする方法があります。今回は胡麻ドレッシングのまろやかさでさらに食べやすくなっています。
2018 広島原爆の日を迎えて
今日、8月6日は広島に原爆が投下された日。73回目の原爆の日を迎えました。
広島では、平和記念公園の原爆死没者慰霊碑の前で、広島原爆死没者慰霊式と平和祈念式が行われました。
私の父は生前、反核平和の運動に取り組んでいました。父は広島に原爆が投下されたとき、江田島の海軍兵学校にいました。その江田島で経験したこと。そして終戦を迎え、京都に帰って来る時に原爆が投下された広島の悲惨な状況を直接自分の目で見て体で感じ、目の当たりにしました。こういった経験があったからこそ、父は反核平和の運動に取り組むようになったのだと思います。今から思うと残念ですが、私は生前父とそういったことに関して全く話す機会はありませんでした。今から思うと、もう少し広島で父が経験したこと、戦争のことについて話しておけばよかったなと思います。そういったこともあって、私は、父がその時のことを思い出して書いた文章を読んで、その時の父の思いを想像するしかありません。
父は16歳の時に広島の江田島にある海軍兵学校に入校しました。
この写真は入校当時の写真です。16歳です。この時にすでに父は日本のために戦争に行こう、おそらく国のために命を捧げてもいいと決心していたのだと思います。以前、旧海軍兵学校をみに行ってきました。レンガ造りのとてもきれいな建物でした。建物の前には美しい海が広がり、周りも美しい景色で包まれていました。こういった美しい環境のなかで、戦争への教育がされていたんだなと感じました。資料館も見学しましたが、父の名簿もありました。父は、この海軍兵学校で広島に投下された原爆、そして敗戦を経験しました。
広島に原爆が投下された時の状況を父はこう記しています。
「午前8時15分。手洗いに向かって歩いていた時、一瞬、何かがピカッとひかりました。さほど気にも止めず10歩程歩いたでしょうか?ドーンという大音響、爆風のため、1、2歩後退、校舎の壁のモルタルがバラバラッと落ちました。あわを食ってもぐりこんだ防空壕の外で「見ろ!見ろ!見ろ!」と逃げ遅れた連中が騒いでいるのでおっかなびっくり、防空壕を出てみると、古鷹山(ふるたかやま)より高く、高く、天然現象と思える入道雲が、モクモク、モクモク、上へ上へと成長していくのです。その雲の下でこの世の地獄が現出しているとはつゆ知らず「ガスタンクの爆発」が当時17歳で海軍兵学校の最下級生であった私が考える事の出来た、最大の爆発でした。」
この後父は江田島で終戦を迎えました。「8月15日、夢にも考えなかった敗戦。心の糸がプツンと切れて当日夜から翌日まで、ベッドの上でため息もつかず、何も考えず、級友や上級生ともども、ゴロッと寝転がっていました。こうゆうのを虚脱状態というのでしょう。」と綴っています。
この写真にあるように、父は原爆雲、そしてなにもなくなった悲惨な広島を目に焼き付けて京都に帰ってきました。この経験は父にはとって、人生を変える経験だったと思います。
さて、核兵器廃絶に向けての画期的な出来事が去年の7月におきました。
それは、7月7日に国連で「核兵器の禁止に関する条約」が採択されたことです。122か国の賛成で採択されました。条約の前文には、「核兵器使用の犠牲者(ヒバクシャ)と核実験の影響を被った被災者の受け入れがたい苦悩と被害に留意し」という一節が明記されました。この国連での採択の結果をみると確実に核兵器廃絶への時は刻まれていると思います。
この条約で具体的に何を禁止したかですが、核兵器禁止条約は前文と全21条から成り立っています。
第1条で、核兵器の開発、実験、生産、製造、取得、保有、貯蔵、移転又は管理の移転、移転又は管理の移転の受領、使用と威嚇、以上の禁止活動への支援、奨励、勧誘、禁止活動への支援、奨励、勧誘の受領、自国領域への核兵器の配備、設置、展開の許可が明確に禁止されています。
核兵器にかかわる主要な活動のほとんどを明確に非合法化しています。
そして、第6条 被害者に対する支援及び環境の修復という条文があります。その1項に
締約国は、自国の管轄下において核兵器の使用または実験によって影響を受けた個人に関して、適応可能な国際人道法及び国際人権法に従って、差別することなく、医療、機能回復訓練及び心理的支援を含む年齢及び性別に配慮した支援を十分に提供し、その社会的かつ経済的な包摂を提供する。
とあります。
日本がこの条約に参加すれば、広島・長崎の被爆者への援護施策を手厚く行うことが条約上の義務として国際的に求められることになります。
こういった国際的な核兵器廃絶の流れのなかで残念なことに、唯一被爆国である日本の日本政府の対応は、「我々はこの条約の構想に反対である。だから会議には参加しない」と発言して会議の場から退席してしまいました。
しかし、この会議では、日本政府が退席した後の席は空席として残され、そこに「折り鶴」がずっと置かれていました。その折り鶴には「Wish you were here」(あなたがここにいてほしい)とかかれていました。
私たち国民の核兵器廃絶への願いと日本政府の意識には大きな隔たりがあると思います。私たち国民の方が先を歩んでいると思います。
日本政府を条約に参加させるためには、国内で核兵器禁止条約参加の声を圧倒的な声とし、政府、議会に迫ることが必要です。そして、「核兵器のない世界」への流れを後押しするのが、被爆者が残りの人生をかけて訴えた核兵器廃絶を求める「ヒバクシャ国際署名」です。被爆者の方々の平均年齢は82歳です。本当に自分の命をかけた署名活動だと思います。
今日、広島に原爆が投下された日。私たちは決して忘れてはいけないと思います。そして、確実に全世界から核兵器をなくし、核兵器のない平和な世界を作らなければなりません。