肛門の病気で一番多いのが内痔核です。俗に「いぼ痔」とか「痔」といいます。
今回はこの内痔核に対しての痔核根治術について、「内痔核の手術はデザインが大切!」というお話しをしたいと思います。
肛門科医にとって、最も基本的で、そしてもっとも大事な手術が内痔核に対しての痔核根治術です。すべての肛門の手術の基本がこの痔核根治術にあると思います。
排便時に内痔核が脱出して、押し込まなければ戻らない程度の内痔核を第Ⅲ度の内痔核と言います。脱出したままで戻そうと思っても戻らない程度の内痔核を第Ⅳ度の内痔核と言います。第Ⅲ度以上の内痔核になりますと、外科的な治療が必要となります。その際に、輪ゴム結紮法であったり、もう14年過ぎましたが、ジオンという痔核硬化剤での四段階注射法で治すことができる内痔核もあります。でもいずれもどんな内痔核でも治すことのできる、万能な治療法ではありません。極限られた内痔核に対して有効な治療法です。適応を間違えてこれらの治療を行うと、治らないばかりでなく、症状を悪化させたりする可能性もあります。またこれらの治療を行った後、症状が取れなかったり、悪化したたりした場合には、痔核根治術などを行い、リカバリーしなければなりません。
こういったことからも、肛門科医がどうしてもマスターしなければならない最低条件がこの痔核根治術を適切にできるということです。
さて、痔核根治術を行う時に最も大切なのが、どのように内痔核を切除していくかのデザインを決めることです。肛門は排便をするといったとても大切な機能があります。出てくる内痔核、出ている内痔核をただただ切除するだけではだめです。具合よく排便ができる、スムーズに便が出るようにするといった、肛門の機能をしっかり守って、場合にによっては、内痔核の手術をすることで、排便がスムーズに出るように、機能面の回復を図らなければなりません。こういったことからも手術に入る前の手術のデザインが重要になります。
内痔核のできる場所は、右前、右後ろ、左の3か所です。そして内痔核は、患者さん一人一人全く違った状態です。1か所であったり2か所であったり、また、3か所とも手術が必要だったりします。またその内痔核の脱出の仕方、大きさも患者さん一人一人違います。その患者さんにとって一番良いデザインにしていかなければなりません。
次回は痔核根治術の具体的な方法をお話したいと思います。
2018.09.17