どうしても肛門の手術をすると、排便時の痛みが伴います。
手術をすると1日中ずうっと痛みがあると思っている人がありますが、そんなことはありません。ちょっと考えてみて下さい。切り傷や怪我をしても常は痛くないけれども、傷をこすったりすると痛いですよね。
肛門の手術も一緒です。手術をしても1日中痛いわけではありません。ではいつ痛みが出るかというと、やはり排便時です。排便時はどうしても便が傷をこすって出てくるのでどうしても痛みがあります。
でも肛門の手術によってこの排便時の痛みにも違いがあります。
例えば内痔核に対して痔核根治術を行った場合は、排便時の痛みは7~10日間を過ぎると、手術96.5%の人が、スッと痛みがとれます。また、痔瘻の手術では、一番初めに便が出た時に、もう痛くないという人が60%になります。裂肛の手術では、裂肛の手術そのものが、排便時の痛みをとることが目的ですので、最初の排便の時から痛みは楽になっています。裂肛の患者さんの場合は、排便時に痛みが強かった人ほど、手術後の排便時の痛みはとても楽になります。
このように、肛門の病気の種類や、手術の方法で手術の排便時の痛みには違いがあります。
でもやはり手術をしていますので、まったく痛くないということはありません。
しかし、痛みを我慢して治すのではなく、しっかり痛みを取り除くことで、手術後の傷の治りはいいです。「痛いのを我慢したほうが早く治る。」と思っている方もいますが、そんなことはありません。消炎鎮痛剤などでしっかり痛みを取り除いたほうが、手術後の傷の治りはいいです。
さて、傷はいつ治っていくのでしょうか。傷は夜治っていきます。
日中は、見えるもの、聞こえてくるもの、そして仕事などどうしてもストレス多いです。そのストレスに打ち勝つために、日中はアドレナリンの分泌が高まっています。夜になると、様々なストレスが減って、このアドレナリンの分泌が低下 します。このアドレナリンは傷の治りには抑制的に働きます。ですから、アドレナリンの分泌が下がっている夜に傷は治っていきます。
では、人間はいつ痛みを感じるかですが、痛みは夜中から、朝方にかけて痛みを感じます。これは、肛門の手術後の痛みだけでなく、痛みは夜中から朝方にかけて感じます。
したがって、傷が治る夜に痛みがあると、どうしても傷の治りが悪くなります。夜中から朝方にかけての痛みをしっかり取り除くことが手術後の治りを良くしていくことにつながります。
ですから、夜中や朝方に痛みが出た場合は、しっかり取り除くために、消炎鎮痛剤を内服してもらっています。
そうすると、ストレスをしっかり取り除くことが手術後の傷の治りを良くすることになります。痛いのを我慢すること。これは一番のストレスになります。でもこの痛みは消炎鎮痛剤の内服で十分に取り除くことができます。また、肛門の手術後は、7~10日たつと、ほとんどの人がスッと排便時の痛みが取れてきます。この間の痛みをしっかりとることが大切だと思います。
痛みを我慢することなく、治していくことが、傷の治りを早くする一番の近道です。
2018.03.04