皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
今日はとてもいい天気です。賀茂川の桜も本当に綺麗に咲いています。
ちょうど1年前の3月29日に悪戦リンパ腫で緊急入院。去年は診ることが出来なかった桜を見ることが出来ました。桜を見て、いろんな思いがこみ上げてきて、涙が出てきました。
まだまだ私自身は、悪性リンパ腫の再発疑いで、検査治療中ですが、段々元気になってきました。もうひと頑張りかなあと思っています。
さて、私も役員をしている京都府保険医協会が「健康保険証廃止法案の撤回を求める要請をしました。また、23日には「健康保険証の原則廃止」撤回を求める署名を提出。署名は厚労省の井原保険局長に直接手渡すことができました。
今回は、その要請内容を紹介するとともに、皆さんにも健康保険証廃止法案の撤回への支援をお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
渡邉医院 渡邉賢治
2023 年3月 23 日
厚生労働大臣 加藤勝信様
健康保険証廃止法案の撤回を求める要請
京都府保険医協会 理事長 鈴木 卓
政府は3月7日、2024 年秋に現行の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに一体化する関 連法改正案を閣議決定した。私たちは国民皆保険の根幹たる健康保険証の維持を求め、廃止法案 の撤回を求める。
同法案によると、カードを持たないためにオンライン資格確認を受けることができない人には、 保険証の代わりに「資格確認書」を発行するが、有効期限が 1 年で更新が必要となる。記載され るのは、氏名・生年月日、被保険者等記号・番号、保険者情報等であり、現行の健康保険証と同 様の情報である。つまり、同じ内容を記載したものを膨大な手間とコストをかけて新たに発行す るというのである。このようなことはそもそも税金の無駄遣いである。だが問題はそれだけに止 まらない。マイナンバー保険証への移行に伴い、受療権の著しい侵害が起こり得るのである。
一つ目は、申請主義となること。国民健康保険法は「都道府県の区域内に住所を有する者は」 「国民健康保険の被保険者とする」(第5条)とし、適用除外(第6条)にあたらない限り、誰も が無条件に被保険者であると定めている。その意味から国の責任において被保険者証は無条件に 交付するのが原則である。にもかかわらず、マイナ保険証であれ、資格確認書であれ、被保険者 による申請と更新の手間をかけねば医療にアクセスできなくすることは看過しがたい権利の後 退である。
二つ目には、「短期被保険者証」と「被保険者資格証明書」の廃止である。資格証明書は特別の 事情がない被保険者が長期にわたり保険料を滞納し続けていると交付される。交付を以て、療養 の給付が停止され、特別療養費の支給(償還払い)に代えられ、一旦医療機関の窓口でかかった 医療費の 10 割を負担せねばならなくなり、事実上医療へのアクセスから疎外される。これはも ともと「負担」しない者の受療権を事実上否定する社会保障制度にあるまじき仕組みである。そこで市町村の国保担当者は、こうした取り扱いに移行しないよう懇切丁寧に「分納相談」し、保 険料滞納を生活危機のサインとして受け止め、短期被保険者証を活用することで、収納と医療保 障を両立させてきたのである。だが今回、そのいずれの証も廃止することで、自治体の裁量権が 失われ、一定期間の保険料滞納により一気に特別療養費の対象となってしまうことが危惧される。 つまり少なくとも全国で 48 万もの短期被保険者証交付世帯が「無保険」となるのである。この 場合、医療機関はマイナンバー保険証による資格確認を通じ、当該患者が特別療養費の対象者で あることを知ることができ、資格確認書の場合でも特別療養費の対象であることが明記される見 通しとされる。これはまさに医療 DX を活用した「負担と給付」の対応関係の明確化、保険原理の 徹底であり、社会保障としての国民健康保険制度の原則を根底から破壊するものとして断じて許すことはできない。
私たちは、政府の進める医療 DX(デジタルトランスフォーメーション)について、個々人の医 療情報を民間企業に利活用させ「経済活動」の道具とすることを目指し、さらに国家が個々人の 医療情報をすべて把握することで、「負担」と「給付」の関係を管理し、医療費抑制政策に役立てることにあると指摘してきた。医療 DX の要であるマイナンバーカードを普及のために、健康保 険証廃止を強行すれば、医療現場の混乱は必至となる。マイナンバーを所持することへの国民の 不安は何か、それさえも置き去りにして拙速に健康保険証を廃止することは断じて許されない。
今国会に提出された DX 関連法案の問題はそれに止まらない。とりわけ「デジタル社会形成基 本法」改正では「デジタル技術の効果的な活用」を妨げると目されたあらゆる「規制」(アナログ 規制7項目として、①目視、②定期検査・点検、③実地監査、④常駐・専任、⑤書面掲示、⑥対 面講習、⑦往訪閲覧・縦覧をターゲットに「1万条項」ともいわれる)を、「当該法令の規定にかかわらず」、国会にはかることもなく、政府がフリーハンドで一方的に見直すことができるよう 法改正をはかろうとしている。これは DX 化を他の政策・制度の上位に位置付け、無条件に従わ せるという民主主義の否定につながり看過することはできない。