皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
今日は私の63歳の誕生日です。去年の悪性リンパ腫の治療を振り返ると、今日の日を迎えられて、本当に嬉しく思います。去年は妻と年を越せるかなあと話し、年が明けると誕生日は迎えることができるだろうか等話していました。
助けていただいたこの命、無駄にしないようにと思います。
63歳の誕生日を迎えて、悪性リンパ腫に対してのこれまでの治療を振り返ってみました。
去年、3月29日に緊急入院し、そこから悪性リンパ腫の治療が始まりました。悪性リンパ腫には多くのタイプがあって、それぞれに対して治療法が違ってきます。そのようなこともあって、悪性リンパ腫の治療のガイドラインはまだないとのことでした。私は中枢神経限局型の悪性リンパ腫でした。
まず、寛解導入から始まり寛解を確認した後、地固め療法。そして最終的には自家血幹移植を行い完治を目指しました。無事移植も完了して、10月に退院。約7か月間にわたる入退院を繰り返しての治療。そして退院後の療養を終え、まだまだ完璧に元の状態に戻ってはいませんでしたが、今年の1月19日、10カ月ぶりの仕事への復帰、そして渡邉医院の再開にたどり着くことが出来ました。休診前に勤務して下さっていた看護師さんや事務の方がまた復帰、戻って下さいました。この10カ月という期間を、私が復帰、渡邉医院の再開が確実でない中、本当に待っていて下さって、本当に感謝しても感謝しきれない思いです。本当にありがとうございます。皆さんが復帰して下さったので、本当にスムーズに渡邉医院を再開することが出来ました。本当に私は恵まれていると思います。
さて、長期の療養を終え、診療を再開してしばらくしてから、加入している医師国保から去年の1月から11月までに私が使った保険料の明細が送られてきました。
一連の治療で私が使った保険料の総額は約1200万円でした。3割負担で360万円ですが、高額療養費制度があり、実際に支払った自己負担はそこではいかず約160万円。所得によって高額療養費制度の限度額は決まるので、所得によって自己負担は変わってきます。
これをみて感じたことは、私も含めて、保険に加入している人たち、そして国民の皆さんが払っている税金で私の命は救われたのだと感じました。
このことに本当に感謝しなければならないと思います。そして皆さんに助けてもらった命を大切にして、今やらなければならないこと、今やりたいことを後回しにすることなく行っていきたいと思います。そして助けてもらった命を、さらにいっそう、しっかりと目の前にいる患者一人一人をしっかり治していくことに使うことで返していかなければならないと、決意を新たにしました。
ただ、私は悪性リンパ腫に対しての一連の治療を通じて、自己負担金を払うだけの経済的な余裕がり、自家血幹移植まで行い完治まで至り、復帰して渡邉医院を再開することが出来ました。そして仕事ができること、患者さんと接しつながることに喜びと力をいただいています。しかし、経済的理由で治療を途中で打ち切らざるを得ない方や、また医療に繋がることが出来ない方もいらっしゃると思います。それを考えると、まだまだ自分の命を金で買うというという思いは否めません。
やはり、全ての人々が必要とする医療は、経済的理由なく、十分で、そして必要なだけ提供できる、そんな社会保障が必要だと強く感じます。
保険料や自己負担の軽減。それに加えて高額療養費制度のさらなる拡充を国に求めていかなければならないとおもいます。そして、国が強く推し進める社会保障の自己責任論。「自分のことは自分で何とかしろ。それでもどうしようもなくなったら最低限国が助けてやる。」という自助、互助、共助、公助の間違った社会保障の考えを国に改めさせる取り組みをしていかなければいけないと思います。
生きて、そして未来に希望が持って迎えることが出来た63歳の誕生日。さらなる決意の日になりました。