皆さんこんにちは。渡邉医院の渡邉です。
今、新型コロナウイルス感染に関して「全数把握」の見直しなどが議論されています。
京都市でも「感染症法上の位置付けの見直しなどを国に求める意見書を採択しました。
本当に、この意見書によって今の医療崩壊や保健所の逼迫が解消されるのか、そんな疑問もあり、京都社会保障推進協議会は声明を発表しました。その声明に関して入院中に連絡があり電話での取材等がありました。その記事の内容を転記して、紹介します。
新型コロナの「第7波」の感染拡大を受け、京都市議会7月議会は最終日の2日、感染症法上の位置付けの見直しなどを国に求める意見書を、日本共産党を除く全会派一致で採択しました。共産党は、今やるべきことは医療体制や保健所機能の強化として、そのための支援を求める意見書を提案しましたが、同党のみの賛成で否決されました。これを受け、京都社会保障推進協議会は3日、声明を発表。採択された意見書を批判し、国に求めるべき意見書を提案しました。
同社保協議長で医師の渡邉賢治さんに、意見書の問題点、声明のポイントについて、聞きました。
採択された意見書が求めたものは二つです。新型コロナの感染症の分類を今の「2類相当」からインフルエンザと同じ「5類相当」に引き下げる。もう一つは、感染者の全数把握の見直しです。いずれもその理由は医療機関や保健所の業務ひっ迫です。
現在、患者は医療が受けたくても受けられない、医療機関は診察したくても診察できない状況があります。
しかし、意見書の求める方向が改善につながるか疑問です。
まず分類見直しです。季節性インフルエンザに対し、新型コロナのオミクロン株では、60歳以上の重症化率は3・2倍、致死率は3・6倍です。しかも、インフルエンザには使用のハードルの低い抗ウイルス薬もあります。この状況で、インフルエンザとコロナを同じ扱いにはできません。
また5類となれば、現在行われている入院の勧告・就業制限、外出自粛といった感染拡大を防ぐための要請はできません。全額公費負担の検査費や治療費も、自己負担が必要になります。これでは感染対策どころか、感染者や重症者を増加させる可能性があります
患者の全数把握の見直しも同様です。事務作業が膨大になっているのは事実ですが、実態把握が不十分のままでは、現場は一層ひっ迫します。
そもそも現場のひっ迫を招いた根本的な原因は、国の低医療費政策による医師・看護師・保健師の増員を十分に行ってこなかったことです。声明ではこの点を強調しました。
いま、医師・看護師・保健師は、すべての患者の命と健康を守るために、昼夜分かたぬ努力を続けています。
その現場が何を求めているのか。声明でも指摘しましたが、「5類」にすることや全数把握の見直しではありません。医師や看護師、保健師の増員と病床の確保です。特に緊急的に医師・看護師・介護職員や必要な医療専門職を配置した医療機能を持った臨時的入院施設の確保が求められています。また、検査体制の整備、早期のワクチン接種、治療薬の開発なども必要です。
声明では、こうした立場で市議会が再度意見書を提出するよう求めました。共産党が、採択された意見書に反対し、医療体制や保健所の機能強化を求めたのは当然です。
市議会が、救える命を救うための施策のために動くことを切望します。
京都民報 第3043号 2022年8月21日