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2022.07.11

第15回内痔核治療法研究会総会を終えてー1-

 今日は、第15回内痔核治療法研究会総会がWEBで開催されました。
 朝の930分から午後の1450分までの長時間にわたり開催されました。私は病室から参加をしました。時々入院の関係もあって途切れてしまう所もありましたが、ほぼ参加することができました。

 今回のテーマは二つで、「併用療法の必要性と適応」と「併用療法の手術手技と工夫」でした。

 併用療法とは、以前は脱出してくる内痔核は痔核根治術、高位結紮切除術などの手術療法で治療をしてきました。手術なので、どうしても術後の痛みや出血は避けて通れません。そこで肛門科医は以下に出血しないように、痛みが軽くなるようにと手術を工夫してきました。そんなところにALTA療法が登場しました。ジオンと言うお薬、中身は硫酸アルミニュウムカリウム・タンニン酸水溶液ですが、の出現で、内痔核の治療はガラッと変わりました。ジオンと言う痔核硬化剤を四段階注射することで、脱出してくる内痔核を手術をしなくても治すことができるといった治療方法です。手術と違い傷ができませんから、術後や排便の痛みがありません。また傷がなく動脈を結紮する部分もないので、術後の出血が少ないといった利点があります。ただ、ALTA療法の適応があるか無いかをしっかり見極めることが大切になります。またどうしても再発率が痔核根治術よりも高いということです。そこでALTA療法のいいところと手術、切除のいいところを併用した治療方法と言うことでALTA療法と切除の「併用療法」と言うことになります。

 内痔核治療法研究会の研究会が始まった最初の頃のテーマはALTA療法の適切な注射方法やそのためにどのような器械を使っているか。また、ALTA療法の有害事象の検討と言うところからはじまりました。そして今はALTA療法単時腕の治療だと再発率が高い、その再発をしにくくするのはどうしたらいいのか、と言うことが中心になり、それが「併用療法」です。

 ALTA療法は内痔核の治療方法です。ただ、多くの内は肛門の外側や肛門管内にある外痔核成分が腫れてくる、内外外痔核がやはり多いです。この外痔核部分をどうするかが併用療法の検討課題です。

 今日の「併用療法の質陽性と適応」と「併用療法の手術手技と工夫」の二つのパネルディスカッションで議論された内容を紹介します。少し長くなりそうなので、2回に分けて報告しますね。

 まずはパネルディスカッション1「併用療法の必要性と適応」です。

 パネラーの基本的なところは、ALTA単独療法にはやはり一定数の再発があること。そしてALTA単独療法の適応が限定されるという点です。ここを何とかするために併用療法が必用であるという認識です。そして、やはり外痔核成分をどう処理するかが同じ課題となっていました。

 では再発の原因は何かです。いろんな意見が出ましたが、共通しているのが以下の三つです。一つ目は内痔核の大きさです。やはり内痔核が大きいと再発しやすく、またそういった内痔核は内痔核だけでなく、外痔核成分が多いということです。時に肛門管内外痔核成分です。そして、二つ目が歯状線の破綻がおきているかどうかです。歯状線付近には粘膜支持靭帯(パークス靭帯)があります。この支持組織が破綻することで内痔核や内痔核部分の粘膜が滑脱してきて内痔核が脱出してきます。その粘膜支持靭帯が破綻している場合も再発が多い。そして三つ目は内痔核の変死、器質化、線維化が起きている、硬くなっているかどうかです。これらの要素がALTA単独療法で再発する要素としています。そしてそれぞれ再発しやすい要素を取り除くには手術が必要になり、ALTA療法と切除の「併用療法」を行う必要があるということです。

 ですから、併用療法としては外痔核部分の腫脹や、内痔核が変性して線維化して硬くなったは部分や肛門ポリープなどは手術で切除して、内痔核に対してはALTA療法を行うといった具合です。

 粘膜支持靭帯が破綻して歯状線が固定されているかいないかをみる方法ですが、麻酔後に、内痔核を鉗子でつまみ肛門の外側に引っ張った時に、歯状線が肛門外に出てくるか出てこないかで判断ができるということです。歯状線が出てこない時にはALTA療法の適応があり、出てくるようだとやはり切除が必用で、痔核根治術をするか、併用療法にするかの選択になります。

 さて、話は少し変わります。では併用療法の利点は何かです。やはり痔核根治術をすると、傷が大きくなります。術後で問題になるのは痛みと出血です。
 痛みに関しては、やはり傷ができるので全く痛くないというわけにはいきません。ただ痔核根治術よりは軽減される。
 また、出血に対しては、痔核根治術では内痔核の根元まで剥離して動脈を結紮するために、奥深い部分からの出血であり、止血処置に難渋する。それに対して併用療法では、外痔核を剥離して歯状線まで、場合によっては歯状線をやや超えたあたりで結紮するため、出血に関してはあまり大きな出血はなく、出血して止血処置が必要な場合も比較的浅い部分からの出血なので、止血し易いといった利点があります。
 このようにALTA療法と切除のいいところを合わせたのが「併用療法」と言うことになります。

 今回はここまでとします。次回はパネルディスカッション2の「併用療法の手術手技と工夫」に関して報告しますね。

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