現在、私は悪性リンパ腫に対して抗がん剤治療を行っています。その抗がん剤の中にメソトレキセートという抗がん剤があります。
メソトレキセートは、葉酸拮抗薬に分類されます。どのように癌をやっつけるかです。
メソトレキセートはDNAのです。合成に必要な葉酸とよく似た構造式をしています。葉酸は細胞内で酵素によって活性化されて、DNAの合成に使われます。この酵素が、葉酸とよく似た構造をしているメソトレキセートと結合して、葉酸にこの酵素がくっつくことを阻止することで、葉酸の活性を抑え、その結果としてDNAの合成が阻害され、癌細胞の増殖を停止させるといった機序です。
さて、メソトレキセートはどこから排出されるかと言うと腎臓から尿中へと排出されます。したがって腎機能が悪かったり、十分に腎臓から尿中へとメソトレキセートが合い出されないと副作用が出たり、さらに腎機能を悪化させてしまいます。ですから私のように大量のメソトレキセートを投与した場合、速やかに尿中に排出させ、メソトレキセートの血中濃度を下げる必要があります。
さてちなみに、メソトレキセートの副作用としてどのようなものがあるかですが、大きくは三つ。一つは骨髄抑制です。二つ目が腎障害。三つめが粘膜障害でひどい口内炎になってしまいます。
では、メソトレキセートの尿中の排出を促して血中濃度を下げるのにはどうするかです。一つは輸液を多く投与して尿量を確保する。また口からも水分を接種する、また利尿剤を投与するなどがあります。また五時間に100mlを目標として6時間で600ml。これを下回った場合はさらに利尿剤を点滴のルートから静脈内注射したりします。そのようにして十分な尿量を確保します。このようにして私の場合はメソトレキセート投与後48時間後と72時間後にメソトレキセートの血中濃度を測定して基準以下ならば通常通りに戻ります。
これまでの4クールいずれも基準値を下回っています。今回もそれを期待するのとおそらく下回るであろう尿量が確保できています。
さて今回は、このようの尿量を確保する処置をしてもこれまでの私の経験では、昼間に尿量が多く、夜間は尿量が少ないということです。このことにかんし今更ですが少し調べてみました。
そうするとやはり尿量は昼間と夜間では尿量に差があり、日内変動があることがわかりました。
尿量はやはり夜間減少し、昼間増えるようになっています。この尿量の排泄リズムが睡眠と密着に関係しています。そしてこのリズムは一時的な生活状態の変化があったとしても容易に変化したい消失したりしないということです。ですから夜勤があった、徹夜をしたといったリズムが変わったとしても尿量の排泄リズムは変わらないということです。
このリズムはどうしてできるかと言うと、睡眠中には腎臓で作る尿の量を減らす一方で、反対に膀胱ではそのためる量を増やすようになります。このようなリズムになるのは、膀胱の体内時計によるものとされています。そそしてこのバランスが崩れた時に、子供では夜尿症(おねしょ)だったり、高齢者でしたら夜間頻尿となるということです。
今回私の経験でなんとなく夜の尿量は少なく、昼間は尿量が多いといった印象から調べてみましたがやはりそのようなリズムが、そしてリズムを刻む体内時計があることがわかりました。
やはり夜はゆっくり休めるように人間の体はできているのですね。あらためて認識したところです。