さて、今私は悪性リンパ腫に対して抗がん剤投与の4クール目のため入院しています。4クール目もこれまで同様に、特に強い副作用もなくいつも言ってますが、「私はとても元気」です。しっかり治療して復帰していきたいと思います。皆様には本当にご迷惑をおかけして申し訳ありません。
さて、今日は日本大腸肛門病学会主催の第31回教育セミナーに参加しました。今回の病気、入院前に申し込んでいたものでした。朝の9時から午後13時35分まで長時間に渡ってのセミナーでした。
今回の肛門科のセクションは、肛門科を専門医している先生方に向けたセミナーと言うよりは、内科の先生や、肛門の診察をしない先生方に向けての肛門科からのある意味メッセージと言った内容でした。
講演されている先生がこんなことをおっしゃっていました。「患者さんにとっては見せたくない部分、医師にとってはあまり見たくない部分」と。なかなか内科の診察の流れの中で「胸の音を聞いてみましょう。」とか、「お腹の動き具合を聴診してみましょう」とか、「お腹の具合を観ましょうね。」とかで、胸をはだけていただいたり、服をたくし上げてお腹を診せてもらったりはします。ただ、この診察の流れで、「ではお尻を出して下さい。肛門を診てみましょう。」とはなかなかいきません。
でも、肛門内に指を入れて診察する指診だけでも様々なことがわかります。時々糞便栓塞と言って、直腸に便が詰まって受診される患者さんがいらっしゃいます。症状としては、肛門がとても痛い、便がだらだら下痢状に出る。」などの症状を訴えられ、場合によっては救急車で運んでこられる患者さんもいらっしゃいます。こんな場合、肛門が痛いならば、肛門の座薬か軟膏を処方しておくだけ、また患者さんの訴える下痢状の便がだらだら出るには下痢止めを処方してしまう。そんな変な治療になってしまいます。
肛門が痛いのは、直腸に硬い便が詰まってしまって肛門の外側がパンパンに腫れあがっているための痛み。下痢状の便がだらだら出るのは直腸に便が詰まっているために、其の脇を下痢状の便が出ているため。全く違います。チョット肛門を診てあげて、それだけでももうわかります。さらに指を挿入すると、直腸内に硬い便が詰まっていることが指を入れた瞬間わかります。そうすれば直腸にある硬い便を崩して、あるいは摘便してあげて、残った便をグリセリン浣腸で出してしまう。そうすると肛門の痛みもなくなり、お腹もスッキリして患者さんはスッと楽になります。
このように、指を入れて肛門や直腸を指診するだけでもいろんなことがわかります。
さらに肛門鏡で肛門や直腸の中を観察することで病気を早く見つけることもできます。特に出血です。出血したという患者さんに肛門鏡を入れ観察すると、直腸内に多量の血塊が残っている場合があります。このような場合は大腸憩室縁からの出血を疑ったり、直腸の粘膜に炎症などがあれば潰瘍性大腸炎などもわかります。病気の早期発見や治療中の状態などを診ていくこともできます。
このように、指を入れる、肛門鏡を入れて観察するだけで多くの情報を得ることができ、診断治療に繋がっていきます。そんなことで、私からも肛門指診、直腸指診、そして肛門鏡検査をお願いしたいと思います。
少し長く鳴ったので、セミナーの肛門科のセクションはこの辺で終わりにしたいと思います。
次回はセミナーの中で面白かった「便秘」に関してのお話をしたいと思います。