肛門科を受診し難い理由は何かなあと考えてみました。
肛門科を受診しにくい理由は何かなあと考えてみると、やはり男性女性にかかわらず、一番は「恥ずかしい」がやはり多いと思います。
きっと、恥ずかしいが、それ以上に診察を受けなければならない理由がなければ受診し難いのだと思います。例えば痛みが激しかったり、出血が多くびっくりしたり、その出血がとても不安に感じたりしたときは、受診のきっかけになると思います。また長年肛門の病気に悩まされ、「もうそろそろ治さなければ」といったように、恥ずかしさを上回る理由があって初めて受診できるといったことがあるのだと思います。
でも私たち肛門科医にとっては、何か不安なことや心配なことがあったら、悩まずに受診して相談してほしいなあと思っています。そのためにいかに受診しやすい環境を作っていくかを考えています。
そのためには、ホームページなどで、院内を紹介したり、診察の仕方や段取りなどをあらかじめ知ることができるようにすることもその一つだと思っています。
また、渡邉医院では、Twitterによる相談もしています。受診はしたいけどやっぱり行きにくい、でも心配、不安がある。誰に相談したらいいのかわからない。そんな時にTwitterでの相談を利用してもらっているのだと思います。そういった相談が肛門科への受診のきっかけになるといいなあと思います。そして実際、受診につながってくださった方もいらっしゃいます。
このように私たち肛門科医は、なかなかかかりにくい肛門科を受診しやすい科にしていかなければならないと思っています。
次に多いと思う肛門科を受診し難い理由は、「怖い」があると思います。
診察はどんなふうにされるのだろうか?診察は痛くないのか?受診したらすぐに手術されるのではないか?どんな処置をされるのか不安?など、診療に関しての不安からくる怖さもあるのだと思います。
やっぱり「肛門科を受診するとすぐに切られる。」といったイメージがあるのかなあと思います。
このことに関しても診察はどのように進めていくのか、処置はどんなものがあるのかなど、あらかじめホームページなどにアップしておくことも大切なのかなあと思います。
また、受診してすぐに手術ということになるのはごくわずかです。
どうしても受診してすぐに手術になる病気の一つに肛門周囲膿瘍があります。
肛門周囲膿瘍は放っておくとどんどん膿が広がってしまいます。肛門周囲膿瘍だけは、その場ですぐに切開して膿を出さなければなりません。それ以外はその場で手術ということにはなりません。
時々「受診したら、何も説明もなく輪ゴム結紮された。」などとお話しされる患者さんもいます。これはとてもまずいと思います。
内痔核や裂肛そして痔瘻などの肛門の病気は基本的に良性の病気です。癌などとは違います。ですから、肛門の病気の治療は、いまあるいやな症状を取り除くのが目的です。
患者さんにしっかりと自分の病気は何なのか、そして今どのような状態なのかをしっかり知ってもらって、そしてそのいやな症状を取り除くにはどんな方法があるのかを説明して、納得してもらってからの治療になります。
ですから手術が必要な状態でも、まずはいったん手術の必要性をお話しした後、自分で考えてもらって、「よし、しっかり手術して治そう。」と思っていただいてからの手術、治療になります。
反対に、患者さんは手術だろうと思って受診されても診察すると、手術は必要なく、それ以外の治療法で治すことができることもあります。
まだまだ、その人その人で肛門科を受診し難い理由はあると思います。
「恥ずかしがらずに受診してくださいね。」と言っても、私たち肛門科医が「恥ずかしがらずに受診できる」そんな環境をしっかり作ってあげないと、ただただ言葉だけになってしまいます。
まだまだ肛門科、受診し難い診療科です。受診しやすい環境を作るように今後も努力しなければと思います。