長かった1月が終わり、そして2月はあっという間に過ぎ去ってしまいました。そして3月。今日は少し寒かったですが、これからは少しづつ春を感じる季節になりました。
さて今回は、授乳中のお母さんへの薬物療法に関して少しお話したいと思います。
妊婦さんの妊娠3ヶ月から9ヶ月の間であれば、大抵の肛門の手術は可能です。血栓性外痔核で痛みが強い時や、内痔核に血栓が詰まって嵌頓痔核になり、痛みが強い時。また、裂肛でも排便時の痛みが強く、排便が困難になっている場合など、妊娠中でも手術をすることがあります。
また、出産後、授乳中の方にも手術は可能です。
最近は授乳中の患者さんの手術も増えている気がします。また手術でなくても、赤ちゃんと一緒に通院される患者さんも多いです。渡邉医院には病室があるので、待ち時間中に病室で授乳させてもらったり、診察の順番が来るまで病室の方で待っていただくことも有ります。
授乳中の患者さんが良く言われることは、「授乳中なので、授乳に影響のないお薬を出して欲しい。」ということです。
基本的に渡邉医院は肛門の外用薬であったり、内服薬も緩下剤であったり、術後の消炎鎮痛剤や抗生剤などです。いずれも授乳中の患者さんに投与しても問題はありません。通常通りに授乳してもかまわない薬剤ばかりです。
さて授乳している方への薬物療法の基本的な考え方を調べてみました。
調べてみると、薬物療法をしていても、できるだけ授乳を継続することが望ましいとしています。
そこにはこのように書かれていました。「母乳育児中に母親が薬物療法を必要とする場合は、薬物療法の必要性と有害作用の説明に加えて、母乳育児の有益性と母乳を中止した場合の不利益を説明することも必要である。授乳婦の薬物療法では、乳児への影響を最小限にしたうえで、できるだけ授乳を継続することが望ましい。」とありました。(Ⅰ.妊婦・授乳婦への薬物療法の基本的考え方)
母乳の利点としては、栄養面で優れているだけではありません。感染症を予防したり、免疫機能や神経発達を促したり、赤ちゃんにとっていろんな利点があります。こういった点からも、薬物療法をしている間も授乳を継続することが望ましいということです。
大部分の薬剤は授乳中にお母さんが内服したりしても、母乳への移行はほんのわずかな量です。どのくらい授乳することで乳児に移行するかですが、通常ではお母さんに投与された薬物の量の1%以下です。
ですから、お母さんにとって必要だと判断された薬剤は、しっかり内服することが望ましいと思います。
授乳中に注意が必要な薬物には、①抗悪性腫瘍薬、②放射性アイソトープ、③乳児の曝露レベルが高くなる薬、④母乳分泌に影響する薬などがあります。しかしいずれも絶対に投与できないわけではありません。薬物を投与した後、乳児の状態を注意深く観察することで投与も可能となります。
このように妊娠中も授乳中も大抵の治療は通常通りに行うことが出来ます。また、授乳中でも、お母さんにとって必要と判断された薬剤は服用しても母乳をあげている赤ちゃんには影響を与えないということです。赤ちゃんのことも心配かもしれませんが、自分自身の病気をしっかり治すことが大切ですし、そのことで赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性は極々少ないということを知って下さいね。