今日は、肛門の手術後の便秘に関して少しお話したいと思います。
術後3日間の診察の持つ意味
渡邉医院では、内痔核に対して痔核根治術をしたり、痔瘻に対して痔瘻根治術を行った後、3日間は毎日、診察させてもらっています。1泊2日の入院の患者さんも残り2日間は外来に通院してもらっています。
この理由の一つには、術後3日間の傷の具合が大事であることと、術後の治り方や、術後心配になるであろうことを前もって術後の患者さんにお話するためです。そして一番大きな目的は、この術後3日間の間に1回はスッキリと便が出て欲しいからです。というのも、食べたものが消化され、吸収され、便になるまでゆっくりで3日間かかるからです。
出にくいようなら、緩下剤を内服してもらったり、3日間経ってもどうしてもすっきる便が出ない場合は浣腸をして、スッキリ便を出してもらっています。
術後便秘になってしまう要因は?
どうしても肛門の手術をした後は、便秘になり易くなってしまいます。それは何故か。
術後の排便時の出血や痛みへの不安
まず一番の原因は、どうしても手術をすると、「排便時に出血するかなあ?」とか、「便をするときは痛いんだろうなあ?」と思うと、どうしても便を出すのが怖くなってしまいます。また、実際に排便すると、出血したり、痛みがあると思った通りになってしまう。そんなことで便を出しにくくなってします。
このように肛門の手術後は、排便時の出血や痛みに対しての恐怖心が大きな便秘の原因になってしまいます。
術後の痛みも便秘の要因の一つ
また術後に痛みが強いと、痛みそのものが便秘を引き起こしてしまいます。痛みによるストレスで大腸の動きが悪くなることもあると思います。
ですから、排便の状態を良くするにも術後の疼痛を和らげることが大切だと思います。
便が残り、詰まってしまうことでの痛み
また、術後、便秘になって、直腸内に便が残ったままになったり、詰まってしまうと、そのこと自体が痛みの原因になってしまうことがあります。術後、直腸に便が詰まってしまうことでの痛みは浣腸などをしてすっきる出してしまうと、痛みも随分楽になります。
排便時に便が傷を擦るので痛いのではと思い、我慢してしまうと、かえって直腸に便が残ったり、詰まることでかえって痛くなってしまいます。怖いかも知れまs電が頑張って便を出した方が楽になります。
このように、排便時の出血や痛みに対しての恐怖心などの精神的な要因や、実際に術後の痛みが強い場合は術後の便秘の要因になります。
術後は肛門機能が正常ではない。
もう一つ、術後の肛門の機能の問題も関係してきます。
例えば、内痔核に対して痔核根治術を行った場合、どうしても肛門上皮に傷が出来ます。このことが排便の状態に影響を与えます。
私たちは通常具合よく便が出るときは、排便時に具合よく、肛門上皮が外に出る(このことを脱肛といいます。)ように、具合よく脱肛することで気持ちよくスッキリ便が出ます。
しかし、痔核根治術をすることで肛門上皮に傷がどうしてもできます。そのことで排便時の肛門上皮が外に出る脱肛がし難くなってしまいます。そうすると、ただただ肛門が広がってだけの排便になってしまいます。そうなると直腸にきた便を絞り出すような感じで排便することになります。柔らかい便だと出ますが、硬くなってしまうと出なくなってしまいます。
このような原因でスッキリ便が出なくなることもあります。この場合は、緩下剤などを内服してもらい、便を柔らかくして、出すようにしてもらいます。
肛門上皮の傷が治り、術前の様に肛門上皮が外に出るように、具合よく脱肛するようになるとスッキリ便が出るようになります。
痔核根治術などを行った術後は、肛門上皮に傷が出来ることで、正常の肛門の動きでなくなってしまうのも、術後の排便がスッキリと出ない原因になります。
このように、術後の排便の不安、排便の恐怖心。そして実際の痛み。さらに術後どうしても正常な肛門の動きが悪くなるなどの理由でスッキリ便が出ず、便秘になってしまうことがあります。このようにもともと便秘であった患者さんは皿の胃便秘になり易く、もともと具合よい排便であった患者さんも手術によって便秘になってしまうこともあります。
肛門の手術後は主治医と相談しながら具合よく便が出るようにしていくことが、術後の痛みの軽減にもなります。術後の排便管理がやはりとて重要なポイントとなります。