Twitterでの相談をしています。様々なことで皆さんは悩んでいることがわかります。
また、肛門の病気はなかなか相談する人もいない。また肛門科への受診も何か行き難い。お一人で悩んでいる方が多いんだなあと感じます。
肛門科、できるだけ敷居を低くして、気楽に受診できる診療科になればいいなあと、これまで取り組んできました。これからも相談しやすい、そして診察を受けやすくなるように工夫をしていきたいと思います。
さて相談の中でも多い相談事は、手術をしてもらったが、具合よく治っているかどうか心配という悩みであったり、具合よく治ってきていたのに、急に痛みが出てとても不安だ。治ってきたと思ったのにショックという悩みなどがあります。
そういった悩みの原因になるものは、「いつまで痛いのだろう?」、「いつになったら出血が治まるのだろう?」、「順調だったのに、急に腫れてきて痛いけど、このままで大丈夫なんだろうか?」などの不安や心配が多いような気がします。
肛門の手術後は、どうしても傷ができた肛門を使わなければなりません。
毎日の排便、また、座ったり歩いたり、どうしても手術をした後、肛門は使いながら治していかなければなりません。そこが普通の怪我などと違うところです。
例えば怪我をした時、その怪我を毎日擦りながら治していく人はいません。傷を擦ると痛いですし、出血もします。怪我した傷はなるべく触らないように、そして傷にはガーゼを当てたり、包帯を巻いたり、傷は安静にして治していきます。でも肛門の手術は安静にすることはできません。使わずに治すことはできません。やはり、便が出るところです。手術でできた傷を排便の時は擦りながら便は出てきます。毎日怪我の傷を「治ったかなあ?出血しないかなあ?」と擦りながら治しているのと同じです。
このように肛門の手術は、使いながら治していくというところに、他の傷との違いがあります。また、このように使いながら治していくので、手術をした、傷のある肛門を使いながらでも、ちゃんと治っていくように手術をしなければなりません。
もう一つ不安になる原因は、手術した傷を自分自身が見ることが出来ないというところにもあります。
例えば、見えるところを怪我をして傷が出来たとします。そうすると、毎日傷の治り具合を自分で見ることが出来ます。「昨日よりも出血しにくくなってきている。」、「傷が大分小さくなってきている。」、「見た感じが、乾いてきていて、浸出液も少なくなってきた。」と自分自身が傷の治りをチェックできます。また、たまたま傷を擦って、出血して痛くても、「この程度なら大丈夫だ。心配いらない。」など自分の目で傷を見て、そしてこれまでの経験を生かすことが出来ます。それが自分の見えないところに傷があると、その経験を生かすことが出来ません。
このように、肛門の手術の後の傷は、使いながら治さなければならないこと、そして自分の目で傷を見て、今までの経験が生かせないこと。このことが術後の治りが具合よく治っているかどうか不安を感じる原因になると思います。
そんな時は、やはり手術をしてくれた主治医の先生に、今の術後の傷の具合はどうかをしっかり聞き、自分の不安を解消していくことが大事だと思います。やはり、心配事、不安なことを抱きながら、ストレスを持って治すよりは、そういった不安や心配事なく、安心して治していく方がやはり術後の傷に治りを良くしてくれます。
また私たち医師も、患者さんのそういった不安や心配を取り除き、安心して治していけるようにしっかりと相談にのることが大事ですし、術後の経過に沿ってある程度皆さん同じ不安や心配をされます。できればそういった不安や心配事を感じる前に、先手先手に不安に感じるであろうことを前もって、患者さんにお話しておくことも、傷を具合よく治していくことにとても大切なことだと思います。