私たちは今、新型コロナウイルス感染の第3波の真っただ中にいます。そして2回目の緊急事態宣言も出され、宣言も日本全国に広がる可能性もあります。
そのような中、新型コロナウイルス感染者の治療に当たる病院の病床が逼迫した事態になっています。特に重症患者さんの受け入れが厳しい状態になっています。また、入院できずに調整中の患者さんや、自宅療養を余儀なくされている患者さんもいます。そういった、自宅で待機している患者さんの様態が悪化して命を失ってしまうケースも見られます。
今、病院、診療所も全ての医療機関が一つになって、新型コロナウイルス感染者の人たちの命を守る取り組みをしていかなければなりません。
私たちは新型コロナウイルス感染拡大に対して、一番の目的を次の様に掲げ、3月に京都府に提言を提出しました。それは、
『 COVID-19 に対応する医療提供体制確立の目的は、「死亡者を減らすこと」、同時に人々の不安 感を軽減することとする。』
です。
この提言の中に、入院医療に関しての提言があります。
今、各病院はそれぞれ独自に、そして孤独に新型コロナウイルスに対して戦っておられると思います。それではいけないと思います。それぞれの病院が連携しあって、支え合い、相互に支援できる体制をとらなければなりません。
私たちの提言には、「COVID19医療ネットワーク」を構築して、医療機関のグループを立ち上げ、地域ごとのカバー体制を構築する提言をしています。
今一度この提言を検討していただいて、オール京都で新型コロナウイルスに対して対抗していける体制を早急に作っていただきたいと思います。
入院に関する提言の部分を抜粋したものを示させていただきます。もし、京都府など行政に関係しておられる方がご覧になったら、検討してみて下さい。よろしくお願いいたします。
<提言抜粋>
1. 診療報酬における「感染防止対策加算Ⅰ」を届出る入院医療機関(33 ヵ所)で構成する「COVID19 医療ネットワーク(仮称)(略称:COVID-19 ネット)」を構築する(なお、事態の推移によって同加算Ⅱを算定する医療機関(66 ヵ所)も加えることを想定する)。あわせて、感染防止対策加算Ⅰを算定する入院医療機関と、数カ所の同加算Ⅱを届出る医療機関によるグループを立ち上げ、地域ごとのカバー体制を構築する。
2. COVID-19 ネットは以下を実現する。
(1) 医師が感染を疑ったとき、患者に対する検査(PCRのみならず近く明らかにされる新たなキットによる検査法も含む)について、迅速に実施する。同時に、京都府保健環境研究所、京都 市衛生環境研究所出張所を保健所単位に仮設し、検査実施可能数を拡大する。
(2) 感染が確認された患者について、重症者のトリアージならびにハイリスク患者の判定を行う。
(3) 重症者は原則、各地域の感染防止対策加算Ⅰ算定病院が受入れることとし、必要に応じて COVID-19 ネット全体で対応する。想定される病床は、主に感染症病床もしくは集中治療病床とする。
(4) ハイリスク患者については、各々の疾患特性に応じて COVID-19 ネットが協議し、入院先を決定する。
3.重症者以外の入院は急性期病床、地域包括ケア病床など病態に応じた適切な施設で対応する。
(1) 重症以外の患者については、環境感染学会 GL に準拠し、一般病床における「診療の手引き」を作成した上で、一般病床における病室もしくは病棟でのコホート対応とする。 (2) 不顕性者は自宅だけでなく、ホテル、民泊等への入所も可能となるよう検討する。また、(1) の病床が不足する場合には、軽症者についても臨時的に受け入れることも想定する。こうした 際には、施設内に医師・医療スタッフが不在であるため、プライマリケア連合学会の手引きに準拠する形で、外部から医療を提供できるよう、地域内において担当する医療者の体制を確保 する。
(3) 上記対応によりCOVID-19 ネットを構成する医療機関は重症の感染患者を受け入れるため、 通常の患者の入院先を別に確保することが必要になる。その役割は感染防止対策加算届出以外 の医療機関が担うこととする。さらに休止中の病床の活用、活用されていない有床診療所の病床においての対応が考えられるが、その際はマンパワーの手当てが必要となる。