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2021.01.15

国の進めてきた医療政策の失策を医療機関の責任にすりかえるな!

 今、新型コロナウイルスの感染拡大の第3波のなか、メディアからは「医療崩壊」や「医療破壊」などの言葉が飛び交うようになってきました。このようななか、報道などでは民間病院の新型コロナウイルス感染者の受け入れ率の低さが取り上げられています。そして、そのことに対しての批判的な論調が強まってきています。

 民間病院の新型コロナウイルス感染者の受け入れ率が低い原因が本当に新型コロナウイルス感染者を受け入れることで、民間病院の経営が悪化するなどの経営的な面だけでこのようなことが起こっているのでしょうか?民間病院の単に受け入れたくないといったわがままによるものなのでしょうか?そうではありません。これまで国が進めてきた病院の機能再編など、医療提供体制の政策によって、民間病院が新型コロナウイルス患者を受け入れることが出来ない状態にしてしまったことによります。このことが全く検証されていません。

 この間の国が進めてきた病院の機能再編によって、多くの民間病院や、過疎地域の公立病院は、その病床の多くを回復期や療養型に転換させられてきました。また、今もなお新型コロナウイルスの感染拡大の収束が見通せない中、病床の数が危機的な状況の中にあるにもかかわらず、国は公立・公的病院の削減、統廃合の方針を推し進めています。本来公的病院の担う役割は感染症対策等、民間の医療機関では担うことが出来ないものを責任をもって行うことが求められていました。そのために私たちは税金を払ってきました。本来はこういった感染症拡大が起きた時にこそ力を発揮するのが公的医療機関です。国は、経営面の事だけを考え、今回のような感染症に対応する機能を削減してきてしまいました。

 この背景には、感染症の時代は終わり、高齢者の介護、終末の対応、生活習慣病の管理が上手くいっていない長期療養型の入院、そういった部分への医療資源の配分転換が「選択と集中」の形で推し進められてきたことにもよります。

 この国が進めてきた機能分化は、診療報酬にリンクした施設基準と人員基準によって医療機関の中身を後戻りできないような形で変えてきてしまっています。一旦療養型を選択した医療機関が、新型コロナウイルス感染者に直ぐに対応しろといわれても、簡単にわか「わかりました。」と、おいそれと元の急性期対応に戻れるようなものではありません。

 多くの病院では、人員や施設の関係で本来行いたかった急性期の医療を止む終えず、泣く泣くあきらめ、やむを得ず療養型を選んだという経緯もあります。私たちは、そう姿を地域で多く見てきました。
 こういった国が進めてきた医療政策。このことに対しては何も反省の姿勢を見せず、また、新型コロナウイルス感染拡大を経験しているにも関わらず、何の検証もなく、反省もなく、コロナ以前の医療政策を漫然と進めている。こういったことになんら目を向けず、今の病床の逼迫している原因が、悪いのは自分たち国ではなく、新型コロナウイルス感染者の受け入れを拒む民間病院にあると言わんばかりの姿勢に怒りを感じます。
 こういったことに対してマスコミやメディアも目を向け、国民に正しい情報を発信していかなければならないと思います。そのために私たち医療にかかわるものは、現場の声をしっかりあげ、これまで進めれれてきた医療政策を一端止まらせ、国民の命を守る医療制度へと転換させていかなければならないと思います。

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