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2020.12.05

ドラマの医療指導をすることになって。その1

 ひょんなことから、来年の1月から放映されるドラマの医療指導をすることになりました。「ミヤコが京都にやって来た!」というドラマで、佐々木蔵之介さんが「町医者」役で主演されるドラマです。

 その際に演出担当の方からいくつか質問を受けました。その質問と私の回答を今日は紹介しようと思います。

 質問と私の回答はこんな感じです。

  • ①日常の中で、「職業柄、気になってしまう…」という瞬間はありますか?

 診察をして、患者さんに今の病状を説明して、治療方法などをお話しているときに、患者さんの表情を見ながら話をします。私の言っている内容が本当に伝わっているか、理解されているか表情を見ながら話をします。話をしていても何の反応もないときは、内容が伝わっていないか不安があります。「うんうん」等反応があれば、ある程度理解してもらっているのだと思います。
 ただ、どうしても患者さんはある程度、自分のストーリーを作ってこられます。自分の作ったストーリーと一致した部分だけを聞いて理解するということもあります。言ってみれば都合のいいところのみを聞くという感じです。そういった雰囲気を感じたときはもう一度話をします。
 手術入院の治療が必要な時は、術後の経過などは、同じことを表現を変えたりしたりして何度もお話するようにしています。
 また、患者さんが受診された時の表情、診察が終ってからの患者さんの表情も見ています。暗い顔をして眉間にしわを寄せて、不安な雰囲気で受診した患者さんが、診察が終って笑顔で帰られるときは、私の話がちゃんと伝わったんだなあと感じます。

  • ②お仕事をされる中で、「ああ、この仕事を選んでよかった」と思う瞬間はありますか?

 やはり、肛門科ですので、手術をしてスッキリ治った時にみせる患者さんの嬉しそうな笑顔を見るときに「よかった!」と感じます。また、「お尻の具合が悪くなった時には、絶対に渡邉医院を紹介しますね!」と言って下さったときも嬉しく感じます。

 京都に帰ってくる前は、大学の救命救急センターに勤務していました。その時は生死にかかわる緊迫した状態の患者さんが運ばれてきて、グループで救命に取り組む、緊急の手術を行うこともあります。そうして、運ばれてきた患者さんの命を救い、一般病棟に移られたり、転院された時は「やった」「よかった」と思います。そしてグループのみんなの力で救えたことに喜びを感じます。
 京都に帰ってきて、医療の内容がガラッと変わりました。外来で患者さんを診察して、手術が必要な患者さんは入院して手術をする。退院後は外来で経過を診て、治った時の患者さんの笑顔を見る。最初から最後まで一貫して診ていく。このことに関して、救命救急センターでの勤務とは違ったやりがいを感じます。そして喜びも感じています。

  • ③②の質問とは反対に、仕事をしていて大変な時、また、困ることはありますか?

 365日24時間オンコール状態なので、家族との旅行等できません。この生活はずっとこれまで続いてきました。私も父と一緒に旅行に行った記憶がありません。いつも旅行は母と妹と私の3人でした。でもそんなもんだとずっと思っていたので、私は苦にはなりません。家族はどう思っているかわかりませんが、理解してくれていると思っています。ですから、年末年始だけが家族とゆっくり過ごすことができ、旅行に行くこともありました。

 診療に関しては、やはりいつもいつも具合よく患者さんが治っていくわけではありません。術後も具合よく治らないときもあります。そういった時に、治り難くなっている原因を患者さんにお話して理解していただいて、もう一度具合よく治っていくように手術をします。このような場合はとてもつらい思いをします。でも、そのことをしなければ、患者さんは治っていきません。その方がもっと辛いです。しっかりと患者さんとお話して治療を進めています。

 また術後の出血を起こすこともあります。これは時間関係なく起きます。夜中に起きたり朝だったり。その時は時間関係なく、止血術をします。この時は大変ですし、焦りもします。でも一番不安で心配しているには患者さんです。患者さんが不安にならないように、意識して普段よりもゆっくりと話をして、不安を抱く患者さんが安心できるようにして、止血術をします。

 話は少し違いますが、あ行「あ、い、う、え、お」は決して発しないように心がけています。いずれの言葉も患者さんを不安にさせます。「あ~」「えつ」などは特に不安を抱かせる言葉だと思います。

他にも質問事項がありますが、それは次回に回しますね。

 

 

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