11月最初の日曜日。昨日の雨は上がりいい天気になりました。寒さも和らいで、過ごしやすい感じです。散歩にもってこいかもしれません。
渡邉医院のハナミズキの葉も赤く色づき、朝診療所に行くとたくさんの赤や黄色に色づいた葉が落ちています。全部拾わず、少し綺麗に色づいた葉を置いておいてもいいかなあとも思います。
また、医院の中にはの山茶花も咲き始め、蕾もたくさんあります。これからが楽しみです。
裂肛に対しての手術のタイミングは?
今日は裂肛に対して、何時、どんなタイミングで手術を決めたらいいのかを少し考えてみたいと思います。
裂肛(切れ痔)は便秘で便がかたかっり、下痢で一気に出たりした時に肛門の肛門上皮の部分に傷がつく病気です。柔らかい便でも、出にくくて頑張った時に切れるときもあります。
最初のうちは転んだ怪我と一緒で、転んで怪我をしても転ばなければ治っていく。便の出具合で傷がついても便の具合が良ければ治っていきます。また、一度裂肛になったら、何時も裂肛があって、その裂肛が痛かったり痛くなかったりするのかなあと思っている患者さんもいますが、そうではありません。便の具合で、排便した時に痛いと感じたときに傷がつくので、その時が裂肛です。ですから排便をしても痛くも出血もないときは、裂肛は治っているということです。
ですから、裂肛に関してまず一番大切なことは便の具合を良くすることです。便秘の人は便秘を、下痢の人は下痢を改善すると、裂肛は良くなっていきます。
裂肛が悪化していく原因には、排便時の痛みによって内肛門括約筋の緊張が強くなっていくことです。つまり、肛門の締まりが強くなってしまうことが裂肛の悪化の原因になります。裂肛の患者さんを診察する際は、この内肛門括約筋の緊張の度合いを見ることが大事です。具体的に言うと、診察の時、肛門指診をしますが、その時に指を挿入するときの締まり具合を診ます。排便時の痛みがあっても、肛門の緊張が極端につよくなく、柔らかく指を挿入できる場合は、肛門の緊張をとるように指で軟膏をつけながら肛門内に少し指を入れてもらい、裂肛の原因である排便の状態を良くすると、裂肛は治っていきます。また診察の時に筒型の肛門鏡で診察するのですが、この肛門鏡が痛みがあっても、割とすんなりと挿入できる場合も手術ではなく保存的に治療で治っていきます。
裂肛の場合はこのように、多くの場合、肛門の緊張をとるように軟膏をつけてもらい排便の状態を良くすることでまずは手術をしなくても治っていきます。
ではどんな時に手術になるか
ではどんな時に手術になるのかです。
まずは、肛門の緊張、内肛門括約筋の緊張が、痛みを繰り返すことで極端に強くなってしまった時です。診察の際も、私の示指を挿入するのが難しい時があります。挿入できても緊張がが強く、挿入しにくい時です。また痛みの症状が段々強くなり、排便時だけでなく、排便後も痛みが長時間持続するときなども手術を考えます。
また切れたり治ったりを繰り返すと、裂肛の外側に見張りイボと言って裂肛のためにイボのようなものが出来ます。皮垂と言いますが、裂肛を見張っている様にできる皮垂なので、見張りイボと呼ばれています。このように見張りイボがあり、また肛門の中には裂肛が原因での肛門ポリープもできているときは慢性の裂肛となり手術の適応になります。
また肛門鏡で診察した際に、肛門上皮に傷ではなく、深く潰瘍状になった裂肛を認めることがあります。このように裂肛が深く潰瘍になり、痛みが強い場合も手術を考えます。
さて手術をするかどうするか迷う時があります。それは、肛門の緊張、内肛門括約筋の緊張はある程度強いですが、まったく指が入らなかったり、肛門鏡が入らなかったりはしない。少し挿入しにくい感じがある程度。また便の調整をすることで痛みが軽減したり、痛みが取れ、一端裂肛が治る。でもまたしばらくすると切れる。そんな状態を繰り返す場合です。
排便の状態を良くして軟膏をつけてもらうとよくなってくれるので、手術をして治そうと患者さんも私も踏み切れないときがあります。こんな場合が手術をするかどうかを迷う時です。そしてこんなばあい、患者さんにとってはズルズル痛みを引きずってしまうことがあります。こんな場合は患者さんとよく相談して、「何回も繰り返しているし、今回は一度スッキリ手術をして裂肛を治してしまいましょう。」とお話することがあります。患者さんも同じ状況を繰り返していることもあるのか、その提案に賛同してくださることが多いです。
裂肛は排便時に痛みの出る病気です。ストレスになります。また、排便時の痛みで、排便の状態も悪くなっていくこともあります。内肛門括約筋の緊張が極端に強く、見張りイボや肛門ポリープを伴い、また深く潰瘍状になった裂肛など絶対的適応以外にも、繰り返す裂肛による痛みがあるようなら、相談しながら一度スッキリ手術で治す。そういった適応もあると思います。この場合は医師と患者さんとが十分に話をすることが大切だと思います。