お盆も明けて、8月も後半に入ってきました。毎日毎日、猛暑が続きますね。熱中症には気を付けて下さいね。水分だけでなく、バランスの取れた食事を摂るように心がけて下さい。
ただ、夕方になるとなんとなく涼しくなってきたような気がします。気がするだけかもしれません。でも着実に秋には季節は進んでいます。
さて、内痔核に対して痔核根治術を受けられた後、スッキリ治らずに、排便時の痛みや出血が続いていると言って受診される患者さんがいます。
決心して手術を受けたのにスッキリ治りきらずいつまでも嫌な症状が続く。とても辛いことだと思います。手術を受けて1か月経っても排便時の出血や痛みが続く場合は、医師に今の状態と今後の見通しを聞いてみて下さいね。
さて、内痔核に対して痔核根治術をした後に、スッキリ治りきらない原因についてお話したいと思います。
痔核根治術をする際に肛門上皮と言って肛門の中に皮膚の部分があって、どうしてもこの皮膚の部分に傷が出来ます。排便時に痛みが出る傷は、この肛門上皮にできる傷です。この肛門上皮の傷を具合よく治るようにするために肛門の外側にドレナージという傷を作ります。
治り方の順番は、肛門上皮の傷が治った後にドレナージの傷が治る。この順番で治る必要があります。先にドレナージの傷が治ってしまい、肛門上皮の傷が残ってしまうと、言ってみれば裂肛(切れ痔)と同じ状態になってしまいます。
また、肛門上皮の傷が治ると同時にドレナージの傷が治っても、具合よく治らないことがあります。それはドレナージの傷は肛門の外側にある傷なので、排便の状態に影響されずに治っていきます。でも肛門上皮の傷は、便が硬かったり下痢だったりすると、一端治ったかなあと思った傷がまた便によって切れてしまうことがあります。裂肛と同じです。ですから理想は、肛門上皮の傷がしっかり治った後も、少しドレナージの傷が残っている。肛門上皮の傷が治ってからドレナージの傷が治る。これが理想です。
痔核根治術を受けた後、具合よく治らない多くの場合が、裂肛様になってしまうことです。しっかり肛門上皮の傷が治りきらず、裂肛様になると、そのまま我慢していると慢性の裂肛になっていってしまいます。治りきっていない傷の外側に皮垂(スキンタグ)が出来たり傷の奥にポリープが出来たりです。
予定通りに治っていかない場合は、ドレナージの傷が先にふさがり肛門上皮の部分の傷が取り残されてしまう時に起きてしまいます。
では対処方法です。
このままだとスッキリ治りきらないと判断して早期の場合は、もう一度肛門上皮の傷を治りやすくするために、ドレナージの傷をつくり治します。
「また傷ができる。」と思ってしまいますが、ドレナージの傷は肛門の外側の傷です。直接便が通るところにできる傷ではありません。ですからもう一度ドレナージの傷をつくり治しても、そのために痛みが強くなるということは有りません。肛門上皮の傷の治りがよくなるので、排便時の痛みもスッと良くなります。
ただ、痛みをどうしても我慢してしまうと、慢性の裂肛様になることがあります。肛門上皮の傷が便意よって慢性の炎症を起こすことで、裂肛の時にできる皮垂(スキンタグ)が出来ることがあります。また裂肛と同様に肛門ポリープもできてしまうことがあります。また排便時の痛みが続くことで内肛門括約筋の緊張が強くなり、排便時の痛みが強くなったり、排便後も痛みが持続するようになります。こういった状態になった場合は、裂肛根治術に準じて手術をします。
でも裂肛の根治術を行った後、排便時の痛みがスッと楽になるように、肛門上皮の傷が治らず慢性裂肛様になっても裂肛根治術をすることで治りが良くなり痛みもスッと良くなっていきます。
内痔核に対して痔核根治術を受けた後、1か月ほど経っても痛みが続いたり、または排便時の痛みが強くなったり、また出血が続くようなことがあれば、医師に今の状況がどうなのかをしっかり聞いて下さいね。そして、今後の見通しや、もう一度手術が必要なのか。手術が必要であればどのような手術がもう一度必要なのかをしっかり聞いて下さい。
治り難くなっている原因を取り除くことで、スッキリ治っていきます。心配しないでくださいね。