7月も今週で終わります。京都は7月28日の火曜日頃に梅雨明け、そして本格的な夏を迎えます。
今年の夏は、新型コロナウイルスの影響で、これまでとは違う夏を過ごすことになると思います。五山の送り火も縮小され、また各地の花火大会も中止。海水浴場の海の家などもなくなるところもあるようです。これまで過ごしてきた「夏」ではない「夏」を経験することになります。子供たちが楽しみにしている海水浴やプール。どうなるのかなあと思います。
また夏と言えばビヤガーデン。今年はどうなるんだろう。密を避けながらのビヤガーデンになるんでしょうか。仲間たちと一緒に楽しくビールを飲む。今年は少し趣を変えた方法で夏のビールを楽しむことになるのでしょうね。
でも、ある程度気分転換して、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込むこともしなければ、ストレスばかり溜まってしまいます。なかなか難しいですが、新型コロナウイルスの感染に注意をしながらストレスも上手く解消していかなければなりませんね。
さて、7月に二人の妊婦さんの手術をしました。妊娠中は何も治療ができないと思っている方が多いと思います。そんなことは有りません。肛門の病気では、たいていの治療を受けることが出来ます。
軟膏などの治療はおなかの赤ちゃんには影響はありません。またどうしても妊娠中は便秘傾向になります。そういった場合には緩下剤で便の調整をすることもできます。渡邉医院では便秘の際はまずは酸化マグネシウムを内服してもらっています。この酸化マグネシウムもおなかの赤ちゃんには影響はありません。どうしても妊娠中は便秘傾向になり、これが原因で裂肛(切れ痔)や内痔核(いぼ痔)になります。これらの病気は緩下剤などで便の調整をして、軟膏をつけることで大抵の場合は良くなっていきます。
また、内痔核が悪くなり、排便時の出血が多くなってきたり、排便時に少し内痔核が肛門外に出てくるようになっても、パオスクレー(5%フェノール・アーモンドオイル)による痔核硬化療法で、出血は治まりますし、第Ⅱ度程度の排便時に肛門の外に内痔核が出る場合も出なくなります。このようにパオスクレーによる痔核硬化療法も妊娠中でも可能です。
ただ、第Ⅲ度以上の内痔核の治療に使うジオンという痔核硬化剤は妊娠中には使うことはできません。
さて、妊娠中に急にお尻の具合が悪くなり痛みが出てくることがあります。一つは血栓性外痔核と言って、血栓(血豆)が肛門の外側に急に詰まって腫れて痛みが出る病気です。
もう一つは内痔核に血栓が詰まって急に痛くなることがあります。そして血栓が詰まった内痔核が肛門の外に出たままの状態、嵌頓痔核になることもあります。
そしてもう一つ痛みが出る病気に肛門周囲膿瘍があります。
どうしても妊娠中は血栓ができやすくなるのかなあと思います。血栓が詰まって腫れると痛みが出ます。でも血栓性外痔核は基本的には自然に腫れが引いて痛みが楽になり、血栓は自然に体に吸収され治っていきます。でもあまり痛みが強い場合は局所麻酔をして血栓を摘出するとスッと楽になります。
また内痔核に血栓が詰まってしまった場合も、血栓は自然に吸収されていくので、血栓が詰まった前の状態にまでは徐々に戻っていきます。ただ、内痔核に血栓が詰まって肛門の外に出たままになった嵌頓痔核はやはり痛みが強いです。この場合も局所麻酔で痔核根治術をすることがあります。
また、血栓が詰まってはいなくても、排便時に内痔核が出てきて戻しにくくなったり、場合によっては出たままの状態になってしまうこともあります。この場合も痔核根治術をすることがあります。
さて、肛門周囲膿瘍の場合は、そのままだと膿がどんどん広がり、痛みが強くなて行きます。肛門周囲膿瘍の場合は直ぐに局所麻酔をして切開して膿を出すとすぐにスッと楽になります。
このように妊娠中も病気の種類や病状によっては局所麻酔で手術をして治すことが可能です。
痛みが強く、それをずっと我慢している。そのストレスもお腹の赤ちゃんには悪い影響を与えてしまう可能性があるのではないかと思います。痛みの強い場合はしっかり手術をして治す方がいいと思います。
また渡邉医院では手術の際に使う局所麻酔は塩酸プロカインです。手術に使う麻酔の量はそれほど多いものではありません。局所麻酔がお腹の赤ちゃんに与える影響はまずないと思って下さいね。また痛み止めも妊娠中に使える内服薬もあります。そのお薬を術後痛い時に内服してもらっています。
ただ、手術をすることで、今ある痛みが取れてくれます。内痔核の手術の場合は術後排便時の痛みはありますが、その排便時の痛みも1週間ほどするとスッと楽になります。
どうしても妊娠中は何の治療もできない。ただ我慢するだけしかないと思っている方が多いかなあと思います。そんなことは有りません。心配なこと、不安なことがあれば遠慮なくそうだんして下さいね。