去年の日本大腸肛門病学会は、台風の影響で途中で中止になってしまいました。発表を予定していたのですが、発表することなく、学会は終わってしまいました。そして、今年は今のところ、11月に横浜で開催が予定されていますが、新型コロナウイルスの感染が再度拡大している中、開催できるかどうか心配されるところです。
学会では、多くの先生の研究成果や経験等、日々の診療にとても役に立つ発表を聞くことができ、とても有意義な時間を持つことが出来ます。そして実際、学会で学んだことを日々の診療に応用して生かしていったり、また学会で得たことをヒントに、さらなるステップアップに必要な研究や調査に関してのデザインを作ることが出来ます。
このように日々の診療に役立ち、今後の進歩のために大事な勉強の場です。そして、もう一つ学会で面白いのは、医師以外の方々の講演会が企画されることです。
前回10年前の学会の内容を紹介しましたが、この浜松で開催された学会では、スズキ自動車のスズキ株式会社代表取締役会長兼社長の鈴木修氏の特別講演がありました。「俺は、中小企業のおやじ」という題での講演でした。この時の内容が面白かったので、紹介しますね。
10年前に私が書いた記事を一部転記しているので、鈴木氏の年齢等はその当時の時として読んで下さい。
鈴木氏は1930年1月30日生まれで、80歳。壇上に立たれた鈴木氏は80歳とは思えない若々しさを感じました。70歳で会長に就任された際に、「かつては人生50年といっていたが、いまの平均寿命は70歳超。ならば年齢も7掛けで考えるべきではないか。70歳といっても7掛けすれば49歳。だから退くのではなく昇格した。まだまだ現役でバリバリやっていく。(2000年)」と著書に書かれたそうです。こんなこともあって、講演会の紹介では80歳に7掛けをして56歳と紹介されました。講演の内容は如何にして経費を削減して経営を立て直すかを面白く講演されました。少し内容を紹介します。
まずは「三歩で歩くところを二歩にする努力をする。」でした。部品を取り付けているときは仕事をしているとき。部品をとりにいている間は仕事をしているのではない。部品を取りにいく時間を短縮することで増収につながる。
また、筆記用具を赤と黒のボールペン二本にして、鉛筆や消しゴムを使わないようにしたという。消しゴムを使うのは鉛筆を使うからだ。それならいっそ両方ともやめて報告書などすべてボールペンで書くようにした。部下から「ボールペンで間違ったらどうしましょう?」の問いに、「二本線を引いて修正印をおしなさい。」と。さらに「そんなことをしたら報告書がきたなくなります。」に対して、「きたない報告書を書くようなやつは、まとめる能力が疑われる。」と。こんなやりとりがあって、鉛筆や消しゴムの経費が節約でいた以外に、報告書もきれいになったとのことでした。
他にもいろいろ話をされました。政治家が「検討します。」は「何もしない。」ということ。「前向きに検討し善処します。」は「少し時間をおいて何もしない。」ということ。政治がなにもしてくれないのなら、自分たちで頑張るしかないとも力強く話してられました。
やはり大きな企業になるとちょとしたことが経費の削減になり、またそのために苦労、努力しているのだなと感心しました。
企業の経費節減の方法がすべて医療にあてはまるとは思いません。でも参考にできるところは参考にしながらやっていこうと感じました。
今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、多くの学会や研究会、懇談会が中止になっています。今年の日本大腸肛門病学会は11月13日、14日の2日間。横浜のパシフィコ横浜ノースで開催が予定されています。今年のテーマは「挑戦と検証(Challenge and Inspection)です。
無事開催されることを期待しています。