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2020.07.10

保健医療政策の充実を!

 7月に入り、豪雨が日本を襲っています。各地に甚大な被害を与えながら、今なお雨は降り続いています。
 新型コロナウイルスの拡大もまだまだ収束が見えない中、東京など、感染者が増えてきています。まだまだ第一波が続いているのか、第二波の始まりなのかは定かではありません。新型コロナウイルスの感染拡大の中での豪雨による災害。私たちの生活を脅かし、不安を抱かせます。
 このような中、やはり医療・介護・福祉などの社会保障の充実を求めていかなければなりません。新型コロナウイルスの感染拡大といったこれまで経験したことが無い事態が起きている中、これまで進められてきた保健医療政策が本当に正しかったのか、このまま進めてもいいのかを、いま立ち止まりしっかり検証して、正しい方向へと修正し、舵を取り直さなければならないときだと思います。
 今回は、「新型コロナが浮き彫りにした日本の保健医療政策の不備」という談話を京都府保険医協会が出しました。その談話を紹介したいと思います。

「新型コロナが浮き彫りにした日本の保健医療政策の不備」

        2020年7月10日 京都府保険医協会 

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言が解除され、京都府では約1カ月半が経過した。だが現時点でも、関東圏を中心にクラスターの発生が報告され、東京都の感染者数は明らかに増加しており、私たちは引き続き予断を許さない健康危機の只中にあると言わねばならない。

 国・府・京都市へ3次にわたり提言

 協会は、新型コロナウイルス感染症の流行が拡大局面に入った2月以降、会員医療機関への緊急アンケートを実施し、会員の声に基づいて国や府・京都市にマスクをはじめ感染防護用の医療資機材の供給を要望。続いて爆発的感染拡大を想定した医療提供体制確保と検査充実を求め、3次にわたる提言を行った。

 解決を求めたい四つの課題

 そうした取り組みの上に立ち、今、国や自治体が新型コロナウイルス感染症拡大を防止し、1人でも多くの人命を守るため解決を求めたい四つの課題がある。
 一つめは、国が感染症に対応できる病床の確保を怠ってきた事実を認めること。
 現在、京都府は、33医療機関、431病床を新型コロナウイルスに係る病床として確保している。しかし、都道府県が策定する医療計画上の感染症病床は、人口比に応じ一律に病床数を定めねばならず、38床のままだ。結核病床と合わせても188床に過ぎない。今や、感染症流行以前の医療需要推計、必要病床数、基準病床数はすべて無効であり、少なくとも医療計画上の感染症病床の配置基準や一般病床の指定基準の見直しは急務である。そして、患者を受け入れざるを得ない一般病床での感染症対策は、国が責任を持ち、実施されるべきだ。
 二つめは公的な発熱外来の設置である。
 私たちは最低でも二次医療圏に1カ所、京都市では全行政区の区役所・支所に「公的な発熱外来」を設置し、PCR検査を担う。そこへ地域の開業医が出務する形で診療する仕組みが必要だと主張してきた。これは、医療を必要とする人の受診控えを解消し、医療機関の感染リスクを低減するためにどうしても必要なはずである。
 三つめは保健所機能の抜本強化である。
 今でこそ、都道府県・特別区・保健所設置市と、取りまとめ機関との間のPCR検査・抗原検査実施の委託契約(集合契約)について、事務通知(510日付)が厚生労働省から出されているが、流行拡大時はPCR検査が行政検査である以上、実施は保健所もしくは帰国者・接触者外来のみ。とりわけ地域の保健所は、地域保健法が施行された1994年以降、統廃合や人員削減が進められた。
 そうした中での感染症患者対応は、困難を極めたであろうことは想像に難くない。今回の新型コロナウイルス感染症の拡大で、公衆衛生を担う保健所の重要な役割に対し、どれほど国がそれを軽視してきたか浮き彫りとなった。そこに今日の保健所の苦悩と困難の源泉がある。新型コロナウイルス感染症が収束したとしても、同じ轍を踏む過ちを犯してはならない。今回のように新興感染症が発生した場合、地域住民にとっても、感染患者受け入れ病院にとっても、開業医にとっても、保健所が要となって対応するのが基本で、これは法律で定められている。保健所の機能強化はもちろん、政策としての公衆衛生行政の抜本的改善を求めていく必要がある。
 四つめは開業医の経営支援である。
 病院をはじめ、地域の多くの開業医が、新型コロナウイルス感染症疑いの患者を受け入れ、PCR検査につなぐ役割を担った。協会が実施した緊急アンケートでは、発熱患者等を受け入れるにあたって、別室での対応などさまざまな工夫がなされていた。その一方で、感染拡大に対する怖れと外出自粛の徹底により、多くの患者が受診を手控えた結果、感染症患者の治療を行っている医療機関はもとより、それ以外の医療を担当している一般の医療機関においても、大規模な減収が生じていることが判明した。
 医療機関の経営破綻に端を発する医療崩壊を招かないためにも、協会は昨年同月実績との報酬差額を公費で助成するなど具体的な要請を検討している。実効性を伴った医療機関の経営支援を強く求めていきたい。

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