梅雨の中休みで、今日はそれほど暑くもなく爽やかな日です。こんな日は気晴らしで散歩もいいかもしれませんね。ようやく都道府県間の移動も解禁され、少しずつ少しずつではありますが以前の生活に戻ってきています。
なんの心配もなく、楽しく生活できる日が来るのが楽しみです。そのためにも私たちは、うがいや手洗いなどの基本的な感染対策はしていかなければなりませんね。
今日は、患者さんに不安を与えないために心がけていることを少しお話しようと思います。
私が心がけている一つは、声のトーンは高くなく、そして本当にゆっくり患者さんにお話することです。
声のトーンが高く、そして早口でしゃべると、そのことだけでも患者さんはとても不安になると思います。そして私が伝えたいことが全く伝わらなくなってしまいます。この声のトーンを高くせずゆっくりしゃべることの大切さを知ったのは、ラジオやテレビに出させてもらった時でした。
特にラジオでは、話をしている私の顔は見えずに声だけです。番組の内容は肛門の病気に関しての質問に答えるといった内容でした。私が言いたいこと、伝えたいことがたくさんあって、それを一生懸命に伝えようとすると、どうしても早口になってしまいます。喋っているいるときは自分では全く感じなかったのですが、後から自分の喋っているのを聞いてみると、びっくり。自分が伝えたいことが全く伝わってきません。早口で何を言っているのかわからない。「これじゃあ全然伝えたいことが伝わらない!」と反省。
また、テレビに出させてもらった時、診療所の方にスタッフの方々が収録に来られました。その時、撮影用のカメラを向けられ、目の前にいるスタッフの方にお話しするようにしゃべったのですが、この時も緊張のせいもあってか、少し早口に。スタッフの方はとても上手で、「よかったですよ。でももう少しゆっくりお話ししてください。その方がしっかり伝わります。じゃあもう一回行きますね。」と。私を傷つけないように配慮して下さりましたが、「良くなりました。ではもう一度行きましょう。」と何回か繰り返して、最後にOKが出ました。
この時も、「こんなにゆっくり話さなければいけないんだ。」と思うほどのゆっくりさ。でも後から収録を観てみると、私が話していることが良くわかり、ちゃんと伝わる。声のトーンに気をつけて、ゆっくりしゃべることの大切さを知りました。このような経験から、患者さんとの会話だけでなく、例えば学会の発表や、いろんな会議での報告をするときなども極力ゆっくりとしゃべることに注意しています。
いくつか気をつけていることは有るのですが、もう一つだけ紹介します。
それは診察しているとき、また手術等処置をしているときには決して「あ行」の言葉を発しないということです。
例えば「あ」ですが、「あっ」とか「あ~」と声を発すると、患者さんは何か具合悪いことが起きたのではないか?何か失敗したのかなあ?予期せぬことが起きたのか?とすごく不安にそして心配になります。「い」や「う」もそうです。「あ」、「い」、「う」はすべて患者さんを不安にさす言葉です。ですからどんなことが起きても私は「あっ」などの声を発しないように自分自身で気を付け訓練しています。ですから大抵のことが起きても大きな「あ」の声は発しない自信があります。
また「え」はその音がなんとなく「否定」をあらわす印象があります。ですから何か聞く時も「え」とは聞かないようにしています。このことは私の父からも言われました。どんな緊急なことが起きても、急いで行わなければならない事態でも、動じることはなく、声のトーンを高めず、ゆっくりと話す。このことで患者さんの安心感を生むことが出来ると思います。またそういった話し方をすることで、周りのスタッフの気持ちも落ち着き、スムーズな対応ができると思います。
ゆっくり喋ること。意外と難しいですが、皆さんも是非やってみて下さい。周りの人たちの安心感を生むことが出来ると思います。