時々、昔観た映画のことを思い出します。皆さんにもそんな映画があると思います。
私が山梨県の甲府市にいた頃、小学生の時に父と一緒に初めて観た映画が、「007 サンダーボール作戦」でした。プールにサメが泳いでくるのが怖く、お風呂屋さんの冷たいお風呂に入った時、サメが来たらどうしようなど、ありえないのですが怖がっていたことを思い出します。
さて、私が時々思い出すのは、「ラストコンサート」という映画です。イタリアの恋愛映画でイタリアでの作品名は「Dedicato a una stella」で、日本語に訳すと「星に捧ぐ」です。
1976年に公開された映画です。ですから私が16歳の頃、高校1年生の時です。誰と見に行ったのか、どうして観ようと思ったのかはもうすでに忘れてしまっています。でもその時の映画の場面が時々頭に浮かび、その時の音楽が聞こえてきます。
「stella」は映画に出てくる主人公の少女の名前です。そして題名にある「ラストコンサート」で演奏されるのが「ステラに捧ぐ」です。
大体のあらすじと最後のラストシーンと流れる音楽は思い出すのですが、詳しい内容はだいぶ忘れてしまっています。少し調べてみました。
ストーリーはこんな感じです。
人生に挫折し落ちぶれている作曲家、本来は才能を持っているのですが、そんな作曲家リチャードが、ふとした事から一人の少女と出会います。それがステラです。私の記憶では、バスを待っているリチャードに合うところから話が始まった様に思います。そしてリチャードがピアノを弾いている姿、そしてその音色にステラは出会う。こんな風なシーンで物語は始まっていったように思います。
ステラは白血病に侵されていて、残り3ヶ月の命。人生最後の旅をしているときに偶然にリチャードのピアノの音色に合った。そんなステラが懸命に生き抜こうとする姿、そしてステラの愛によって再起に賭ける作曲家リチャード。年齢的には親子ほどの年齢差。それを越えたふたりの心の交流を描いたラブストーリー作品です。
その映像に流れてくるステルヴィオ・チプリアーニの美しいメロディが私の心をつかんだのだと思います。
イタリアの映画ですが、撮影の大部分は、モン・サン=ミシェルやパリなどのフランスで行われたそうです。
私が今でも覚えているラストシーンは、ステラとリチャードは結婚の約束をします。そしてリチャードはステラのためにウエディングドレスを用意します。でも、ステラの体調は悪くなり、医師からはここ数日、もしくはここ数時間の命とリチャードに告げられます。そのような中、リチャードは「Dedicato a una stella」、ステラに捧ぐというシンフォニーのコンサートをパリで開きます。
そしてその演奏をウエディングドレスを着たステラが舞台の袖で聞きながら静かに息を引き取るといったシーンです。この時のシンフォニーと映像が私の記憶に深く残りました。
ステラの「私のために生きてくれる人がいるとしたら、リチャード、あなただわ。勇気を出して音楽家として再起するのよ。」という言葉。そしてその言葉にもう一度リチャードは二人で美しい夢にかけることにしました。
またリチャードがステラに合った時に言った言葉、「Stella is a star in Latin」(ステラはスター「星」のラテン語)と言った言葉。リチャードにとってはステラは自分にとっての夢を叶えてくれる「星」だったのでしょう。何かとても切ないですが、その二人の純粋な心のふれあい、そして美しく感動的な音楽。もう一度観てみたいと思います。今の私が観ても、16歳の頃と同じように感動すると思います。もしかすると、それ以上に涙してしまうかもしれません。