新型コロナウイルスの感染拡大により、緊急事態宣言が東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、福岡県の一都一府五県に出されました。5月6日までの期間です。
ただ、この緊急事態宣言で指定された都府県だけでなく、近接した自治体でも同様の体勢をとって望まなければならないと思います。また指定された都府県から他府県への移動も自粛しなければならないと思います。
日常の生活とは全く異なった生活を私たちは過ごさなければならないと思います。この難局を皆さんと共に乗り切らなければならないと思います。
このような状況のなか、本来かかりつけ医の診療所等、医療機関に受診しなければなならい患者さんが受診されなかったり、受診できなかったりする状況があります。医療が必要な患者さんに十分に医療が提供できない状況にあると思います。
一つは患者さん側が、新型コロナウイルスの感染拡大の状況のなか、医療機関に行くための外出が怖い。また受診した場合、医療機関で院内感染をするのではないかという恐れ。また、医療機関側からは、熱発者の受診で院内感染が発生したら困る。また自分自身やスタッフの感染の恐れがある。一端感染者が出ると診療が行えなくなるのではないかという不安。また新型コロナウイルスの疑いのある患者さんの診察にあたって、マスクや防護服そして医療用のフェイスシールドなどの装備や診察でき出来る体制が整っていない。そういった患者さんや医療機関側のそれぞれの不安、恐れ等があってのことだと思います。
でもやはり病気。患者さんにとってはしっかり診察してもらい適切な処置や投薬を受けてもらわなければなりません。また医師側からすると、しっかり患者さんを診察して患者さんの状態に対して適切に処置をして投薬する。この原則が今、新型コロナウイルスの感染拡大で崩れてきています。早く新型コロナウイルスの感染拡大が終息して、本来の状態に戻って欲しいと思います。
渡邉医院でもこんなことがありました。
電話で「熱があるが、肛門がすごく痛いのですが、診察してもらえますか?」という内容でした。おそらく患者さんは、お尻はとても痛くて受診して診察してもらいたいが、熱があるので診察を断られるのではないかという不安があったのだと思います。
急に肛門が痛くなって熱が出る病気といえば肛門周囲膿瘍です。肛門腺の細菌感染から始まり、膿が体に広がっていく病気です。放っておくと、膿がどんどん広がっていきます。また高熱も出てくることがあります。肛門周囲膿瘍の場合は直ぐに切開して排膿しなければなりません。
その患者さんには受診していただくようお話して、来院してもらいました。診察するとやはり肛門周囲膿瘍でした。一番発生しやすい肛門の後ろ、時計でいうと6時の方向の肛門周囲膿瘍でした。一番なりやすい部位ですが、一番深く膿が広がっていく部位でもあります。肛門の奥の方に膿が広がると、痛みが強くなるばかりか、38度以上の熱が出ることもあります。
直ぐに局所麻酔をして切開して排膿すると、多量の排膿がありました。患者さんは排膿したことで痛みは楽になり、肛門周囲膿瘍が原因だった熱も下がり楽になられました。患者さんは「熱があるから診てもらえないかと思った。」と。
こういったように、しっかり受診していただき、適切な処置をする必要があり、しかも早急に行わなければならない病気もあります。
新型コロナウイルスの感染も怖いですが、やはり早急に処置をしたり、投薬して治療をしなければならない病気もあります。そんな時は迷わず、まずは医療機関に電話して、状況を伝えていただき、医療機関を受診してほしいと思います。オンラインでの診療という方法もありますが、なかなか画像だけでは判断できないことがあります。患者さんの息づかい、触診による触った感じ等、医師は五感を使って診察していきます。やはり対面での診察が適切な診断には必要だと思います。
でも、なかなかそういった状況に今はありません。渡邉医院では、今の状況の中でどうしても受診できない、または心配や不安がある方にTwitterのメールで相談を受けています。何か肛門の病気のことで心配や不安がある場合は、遠慮なくTwitterのメールで相談してくださいね。
そして早く今の新型コロナウイルスの感染拡大が終息して、安心して医療にかかることが出来るようになって欲しいと思います。それまでは、いろんな知恵を出し合って、新型コロナウイルス以外の病気に対して、しっかり治療ができるように取り組んでいきましょう。