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2020.04.01

ALTA療法施行後1か月後に患者さんにするお話。

 今日は一連のALTA療法に関して患者さんにお話し説明している内容の最終回です。
 ALTA療法を行って退院して約1か月後の説明内容です。

ほとんどの患者さんは1か月後には具合良くなっています。

 この時点ではほとんどの患者さんが排便時の出血や内痔核が出てくる症状はなくなって、とても具合よくなっています。でもこれまでお話してきたように、1か月後に診察した際にALTA療法を行った部分に硬結といって硬さを触知する患者さんが多いです。この時点で全くALTA療法を行った部分が解らなく、周りと同じように柔らかく治ってきている患者さんもいます。
 一応、患者さんが感じる症状、例えば排便時の出血や内痔核が出てくると言った症状がなく、患者さんが気になる症状がなければ、ALTA療法を行った部分がまだわかる状態でも一応治療は終了します。この際も患者さんには、「まだまだ注射したところは少し硬くなっています。この硬さも段々柔らかくなって、どこに注射したかわからなくなるまでこれからも治っていきます。半年たってから受診して診せて下さる患者さんもいます。その時はどこに注射したかわからないように治っています。まだまだこれから良くなっていきます。でも硬さがあるということは、まだそこには炎症が残っているということです。とても調子が良かったのに出血するようになったとか、痛みが出てきたりとか、なにか気になる症状があればその時でいいので受診して下さいね。」とお話しています。
 また「一端治った内痔核がある日突然に今回の様に排便時に出てくるようなことはありません。一端治ったら、もしも悪くなったとしても順番だって悪くなっていきます。出血したり違和感があると言った必ず症状が出てきます。また具合悪くなるには原因があります。一番の原因は排便時に頑張っている時間が長い。このことだと思います。排便の状態が悪くなければ内痔核も悪くなってきません。一応今日で終わりにしましょう。またなにか気になる症状がでたら、その時でいいのでまた診せに来てくださいね。」と治療を終了する患者さんにお話しています。

1か月後にまだ症状があることもあります。

 ただ中には約1か月後の診察時に「まだ出血します。」とか「少し出てくる感じがあります。」と言われる患者さんがいます。こういった場合には、さらに1か月後に受診してもらっています。ALTA療法を行ってから、3か月程度は経過を診て内痔核の治り具合を診ていきます。
 3か月経っても症状が続くようであればその時の内痔核の態度や具合に合わせて治療を加えています。例えば出血や少し出てくるという症状がある場合は、パオスクレー(5%フェノール・アーモンドオイル)による痔核硬化療法を追加してみています。また少し内痔核が出てきて、そう硬くなく柔らかな場合は内痔核の性状によっては輪ゴム結紮法などを行っています。
 その時の患者さんの内痔核の状態によって改めて説明して治療を決めていっています。

出血や痛み以外に症状が出ることも。

 また時には「肛門から膿のような、下り物が出てくる。」と言う患者さんも稀にいます。この場合は肛門鏡で観察してみると、少し潰瘍を形成していてそこから膿のような進出物が出てきている場合もあります。この場合は軟膏をつけてもらい経過を診ていくと自然に治っていきます。この場合も特に症状が強くなったり、痛みが強くなってきたり出血が多くなったりといった症状がなければ1か月後に診察に来てもらっています。

何か気になる症状があれば受診を。

 これまでお話したように、たいていの患者さんはALTA療法後とても調子よく治っていきます。でも中には出血が続いたり少し内痔核が出てくるといった症状。また潰瘍を形成したりして、当初の予定通りに治っていかないこともあります。そんな場合は、患者さんにしっかりと今の状態をお話して、これからどのように治っていくか、どういった治療が必要なのかを説明していくことがとても大事だと考えています。

 ALTA療法も患者さんに侵襲を加える治療です。そしてALTA療法の難しいところは、例えば痔核根治術の場合はどのように手術をしようか、どう切除していこうか自分自身がデザインをして手術をして切除することが出来ます。
 これに対してALTA療法は、四段階注射法という注射手技を遵守して、内痔核の大きさでジオンの注入量が決まってきますが、ALTA療法を行った後はどうしてもジオンの効果任せになってしまいます。ALTA療法後は具合よく予定通りにジオンが効いてきているか、具合よく治ってきているかなどしっかり診察してみていく必要があります。そして予定通りに行っていない場合はそのことを患者さんにお話して、今の状態そしてこれからの治療方法、そして今後の経過の予想をしっかり話していかなければならないと考えます。

 また患者さんも何か気になる症状がある場合は、遠慮なく医師にその症状を伝えることもとても大事なことだと思います。

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