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2020.01.22

渡邉医院の2019年手術統計とその傾向(内痔核編)

 1月はやっぱり長く感じます。お正月は、もうずっと前のことの様に感じます。まだまだ1月も三分の一残っています。今日は少し寒く感じましたが、今年の冬はやはり暖冬ですね。スキー場は雪がなく、本当に困ってられると思います。

 今回から3回に分けて、去年1年間の手術の統計と傾向についてお話したいと思います。

 2019年の1年間で渡邉医院で手術した件数は753件です。平均すると一月で63件の手術をしていることになります。

 今回はその中で、三大肛門疾患である内痔核、裂肛、痔瘻について手術件数や男女差、年齢差について調べてみましたので報告します。

 まずは内痔核です。内痔核に対して外科的治療を行ったのが398件でした。男性は198件、女性は190件と内痔核に対して外科的治療を行った件数は男性と女性では差はありませんでした。さらに内痔核に関しては、痔核根治術を行った患者さんと、ジオンという痔核硬化剤で四段階注射法と言う方法で痔核硬化療法(ALTA療法)を行った患者さんにわけてお話します。

 痔核根治術では、総件数が267件で男性は97件(36.3%)に対して女性は170件(63.7%)と痔核根治術では女性が多い傾向にありました。
 これに対してALTA療法では、男性が101件(77.1%)に対して女性が30件(22.9%)とALTA療法では男性の方が多い傾向にありました。
 この男女差に関しては以前、日本大腸肛門病学会でも報告した時と同じ傾向でかわりはありません。この傾向を見ると、男性の内痔核は、静脈瘤型の内痔核が多く、また皮垂などを含めた外痔核成分が少ない内痔核の患者さんが多いことが解ります。これに対して女性の場合は、静脈瘤というよりは、皮垂などを含め粘膜部分と外痔核部分の成分が多く、ALTA療法では治らない内痔核である患者さんが多いということになります。したがって、男性と女性では内痔核の発生の仕方に関して違いがあるのかもしれません。男性と女性との解剖学的な違いが要因かもしれません。

 また痔核根治術で年齢別に件数をみてみると、男性では30歳から60歳にかけて一つの山としてピークがあるのに対して、女性の場合は30歳から60歳にかけて男性と同様に一つのヤマとしてピークがありますが、もう一つ70歳から80歳以上にもう一つ大きな山があり、二峰性になっています。これは女性の70歳以上では内痔核の性状が静脈瘤型ではなく粘膜脱型になるからではないかと思います。

ALTA療法では、痔核根治術と同様に30歳から徐々に増え、50歳代で少し減少しますが、60歳代をピークに減少していきます。これに対して女性では、40歳代から70歳代にかけて微増で、ほぼ同件数でした。

こういったことからも男性と女性での内痔核の性状の違いや年齢によっての内痔核の性状の変化などがあると思います。例えば、男性の場合はやはり静脈瘤としての内痔核が多く、年齢と共に粘膜型へと変化していく。女性の場合は静脈瘤型と言うよりは、粘膜型であったり、皮垂や外痔核成分の腫脹が占める割合が多い内痔核でALTA療法ではなく、痔核根治術になってしまう。こういった内痔核の性状、発生の違いなどを今後男女間で検討していく必要があると思います。次回は裂肛に関して報告します。

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